JP2005342742A - 亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法及びその装置並びに亜鉛めっき鋼板製プレス成形品 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法及びその装置並びに亜鉛めっき鋼板製プレス成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 亜鉛めっき鋼板から生産される製品のめっき層による犠牲防食機能を確保でき、また、亜鉛めっき鋼板を正確な形状にプレス成形できる亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法及びその装置、並びに亜鉛めっき鋼板製プレス成形品を提供すること。
【解決手段】 亜鉛めっき鋼板1はピックアップ手段7で搬送手段5に送られ、この鋼板1は、加熱手段3で焼入れ可能な範囲の温度に加熱された後にプレス手段4に達し、プレス手段4でプレス成形されると同時に急冷されて焼入れされる。加熱手段3で鋼板1のめっき層が加熱されることで、めっき層における鉄の含有量は増加するが、プレス成形は、めっき層における鉄の含有量が90質量%を超える前になされ、これにより、亜鉛による犠牲防食機能が確保され、また、鋼板1が加熱されることでプレス成形性が良好となる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、亜鉛めっき鋼板をプレス成形する方法及びその装置と、亜鉛めっき鋼板のプレス成形で生産されるプレス成形品に係り、例えば、四輪車両の車体や電気機器の機体等を亜鉛めっき鋼板で生産する際に利用できるものである。
亜鉛めっき鋼板は安価であるため、各種の製造分野で用いられ、例えば、四輪車両の車体や電気機器の機体等の材料として多用されている。また、亜鉛めっき鋼板のめっき層は、母材の主成分である鉄と亜鉛との電位差に基づく犠牲防食機能を有しているため、この犠牲防食機能の有効期間中は母材に錆が発生しないという防錆機能を有している。亜鉛めっき鋼板には、めっき層全体に鉄と亜鉛の合金層を生成させ、主としてδ1層(鉄の含有量が7〜16%)からなる鉄亜鉛合金化めっき層が被覆されているものと、鉄の含有量が7%以下となっている非合金化めっき層が被覆されているものとがあり、鉄亜鉛合金化めっき鋼板は、非合金化めっき鋼板を熱処理することによって得られる。
亜鉛めっき鋼板の表面に電着塗装等による塗装作業で有機塗膜を施し、この塗膜に欠損部が生じた場合には、めっき層の亜鉛が酸化されることにより、酸化亜鉛と水酸化亜鉛との塩基性化合物である白錆が発生する。このような白錆が生ずると、白錆によって欠損部の周辺の塗膜が持ち上げられて剥離し、この結果、亜鉛めっき鋼板によって生産された製品の寿命が短くなるという事態が生ずる。非合金化めっき鋼板は、鉄亜鉛合金化めっき鋼板よりもめっき層における亜鉛の含有量が多いため、上記犠牲防食機能に関して鉄亜鉛合金化めっき鋼板よりも優れているが、鉄亜鉛合金化めっき鋼板は、非合金化めっき鋼板よりもめっき層における亜鉛の含有量が少ないため、上記製品寿命に関して非合金化めっき鋼板よりも優れている。
鋼板を加熱した後にプレス成形する熱間プレス成形は、冷間プレス成形と比較して、鋼板の軟化により成形性が良好となるため、冷間プレス成形で生ずるスプリングバックが発生しない又は発生しにくいことや、深絞り加工が可能になるなど、精密成形を行えるという利点を有するが、亜鉛めっき鋼板は、高温に加熱すると亜鉛が消失してしまい、上記犠牲防食機能が失われると考えられていたため、亜鉛めっき鋼板は冷間プレス成形の材料として用いられていた。また、めっき層における鉄の含有量が16質量%程度を超えると、めっき層が脆くなり、プレス成形が難しくなるため、冷間プレス成形に供される亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量は、16質量%程度までとなっていた。
その一方で、下記の特許文献1には、亜鉛めっき鋼板の焼入れ温度が高すぎると、めっき層の合金化が進みすぎてめっき層における鉄の含有量が増加する傾向になり、これにより、錆が生じ易く、めっき層が消失し、めっき層による防食効果が失われることが記載されている。そして、この特許文献1には、鋼板の成分原料の選択とその比率の設定によって、鋼板に、優れた延性や、焼入れ後の高硬度、優れためっき性状等を与えることが可能になることが開示されている。
また、下記の非特許文献1には、亜鉛めっきの耐用年数についての計算式が記載され、この計算式では、めっき付着量の90%が腐食された時点をめっき層の寿命とするという判定方法によって決められた0.9の係数が用いられており、このため、この計算式によると、めっき層における亜鉛の含有量が10質量%以下に低下する前までは、言い換えると、鉄の含有量が90質量%以上になる前までは、めっき層は有効であるとなっている。このため、めっき層による犠牲防食機能は、めっき層における鉄の含有量が90質量%になるまでは維持されると考えることができ、特許文献1に記載されている、めっき層による防食効果が失われるとは、めっき層における鉄の含有量が90質量%以上になったときのことであると考えられる。
特開2002−241895(要約、段落番号0007〜0011) 「溶融亜鉛めっきの耐食性」(編集:亜鉛めっき鋼構造物研究会 平成5年8月初版、15年5月増刷)の第2頁の「2.亜鉛めっき皮膜の推定耐用年数の計算方法」
亜鉛めっき鋼板を四輪車両の車体や電気機器の機体等の材料とし、この亜鉛めっき鋼板をプレス成形して所定形状の製品を生産する場合には、めっき層による犠牲防食機能が確保されていることと、亜鉛めっき鋼板が正確に所定形状にプレス成形されていることとが求められる。
本発明は、本発明者が、亜鉛めっき鋼板を加熱しても、加熱時間が短時間であれば、めっき層における鉄の含有量を90質量%を超えない値で停止させることができるとの知見を得て、また、亜鉛めっき鋼板を加熱すると、成形性が良好になるため正確なプレス成形を行えることに着目してなされたものである。
本発明の目的は、亜鉛めっき鋼板から生産される製品のめっき層による犠牲防食機能を確保でき、また、亜鉛めっき鋼板を正確な形状にプレス成形できるようになる亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法及びその装置を提供するところにある。
また、本発明の目的は、めっき層による犠牲防食機能が確保され、正確な形状にプレス成形されている亜鉛めっき鋼板製プレス成形品を提供するところにある。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法は、亜鉛めっき鋼板を加熱するための加熱工程と、この加熱工程で加熱された前記亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に、前記亜鉛めっき鋼板をプレス成形するためのプレス工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
また、本発明に係る亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置は、亜鉛めっき鋼板を加熱するための加熱手段と、前記亜鉛めっき鋼板をプレス成形するためのプレス手段と、前記加熱手段で加熱された前記亜鉛めっき鋼板を、この亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に、前記加熱手段から前記プレス手段へ搬送してプレス成形するための搬送手段と、を備えていることを特徴とするを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る亜鉛めっき鋼板製プレス成形品は、亜鉛めっき鋼板から生産されたプレス成形品であって、加熱された前記亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に、前記亜鉛めっき鋼板がプレス成形されることによって生産されていることを特徴とするものである。
本発明では、亜鉛めっき鋼板は加熱された後にプレス成形されるが、この熱間プレス成形は、加熱によって増加するめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に、言い換えると、亜鉛の含有量が10質量%以上となっているときに行われ、亜鉛めっき鋼板よりも低温のプレス型がプレス成形時に亜鉛めっき鋼板に接触することにより、めっき層における鉄の含有量の増加は、この含有量が90質量%を超えない値になっているときに停止することになる。このため、亜鉛めっき鋼板を材料として生産された製品のめっき層による犠牲防食機能を確保でき、この製品は耐食性を備えることになる。
また、亜鉛めっき鋼板は加熱された後にプレス成形されるため、冷間プレス成形よりも成形性が良好となり、スプリングバックが発生せず又はその発生が抑制され、深絞りも可能となり、亜鉛めっき鋼板から生産された製品は、正確な形状に仕上げられている。
また、亜鉛めっき鋼板は加熱後にプレス成形されるため、このプレス成形時におけるめっき層中の鉄の含有量が16質量%を超えていても、めっき層は脆くなっておらず、このため、亜鉛めっき鋼板を容易に所定形状にプレス成形することができる。
本発明において、加熱された亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に亜鉛めっき鋼板をプレス成形することにより、この亜鉛めっき鋼板から生産された製品に、めっき層の犠牲防食機能によって耐食性を具備させることができるが、めっき層における鉄の含有量が90質量%よりも小さい値、例えば、60質量%以下や50質量%以下、40質量%以下等の値になっているときに亜鉛めっき鋼板をプレス成形し、めっき層における鉄の含有量をそのときの値で停止させることにより、その製品の耐食性をより一層向上させることができる。
本発明に係るプレス成形装置においては、前記加熱手段と前記プレス手段を、互いに隣接配置することが好ましい。これによると、加熱手段で加熱された亜鉛めっき鋼板を前記搬送手段でプレス手段へ搬送するとき、その搬送に必要な時間を短時間とすることができるため、加熱された亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に、一層確実に亜鉛めっき鋼板をプレス成形することができる。また、搬送手段は搬送速度が低速のものでよいため、搬送手段の構造の簡単化を図ることができる。
本発明において、亜鉛めっき鋼板のプレス成形によって生産されたプレス成形品に、電着塗装等による塗装を行ってよく、行わなくてもよい。
プレス成形品に、電着塗装等による塗装を行い、その表面に有機塗膜を設けた場合には、その塗膜に欠損部が生じても、めっき層は加熱によって鉄亜鉛合金化めっき層となっていて、めっき層における亜鉛の含有量は非合金化めっき層よりも少ないため、欠損部の周辺の塗膜を持ち上がらせて剥離させる白錆は発生しにくい。このため、亜鉛めっき鋼板を材料として生産された製品を長寿命化させることができる。そして、この製品が塗装されていること自体でも、製品寿命を長期化させることができる。
また、本発明において、加熱される前の亜鉛めっき鋼板のめっき層は、非合金化めっき層でもよく、鉄亜鉛合金化めっき層でもよい。
加熱される前の亜鉛めっき鋼板のめっき層が非合金化めっき層になっていると、それだけ、めっき層における鉄の含有量が90質量%以上になるまでの加熱時間が長くなり、このため、加熱工程の次のプレス工程のために必要な段取り作業時間を長く確保できるなどの効果を得られる。
一方、加熱される前の亜鉛めっき鋼板のめっき層が鉄亜鉛合金化めっき層になっていると、言い換える、鉄亜鉛合金化めっき層を有している鋼板を購入し、この鋼板を加熱してからプレス成形すると、この鋼板を加熱するために必要な熱量を少なくでき、エネルギコストを低減することができる。
また、亜鉛めっき鋼板を加熱するための温度は、焼入れ可能な範囲の温度でもよく、焼入れ可能な範囲の温度よりも低い温度でもよい。
亜鉛めっき鋼板を加熱するための温度を焼入れ可能な範囲の温度とし、この温度に加熱された亜鉛めっき鋼板をプレス成形すると同時に急冷すると、すなわち、急冷手段が設けられたプレス手段でプレス成形すると、この鋼板を、所定形状に成形しながら、要求される硬度に焼入れすることができる。また、鋼板を急冷すると、めっき層における鉄の含有量の増加がその急冷時に確実に停止し、鉄の含有量を予定値に確実に設定することができる。
なお、焼入れは、亜鉛めっき鋼板の全体を焼入れ可能な範囲の温度に加熱することにより、この鋼板の全体について行ってもよく、亜鉛めっき鋼板の1箇所又は複数箇所の所定領域だけを焼入れ可能な範囲の温度に加熱することにより、この鋼板を部分的に焼入れしてもよい。
なお、亜鉛めっき鋼板の焼入れ可能な最も低い温度は、母材の成分原料やその比率によっても異なるが、概ね850℃である。また、焼入れのための加熱は、めっき層における亜鉛が酸化で消失しない温度、すなわち1050℃以下の温度で行う。
以上説明した本発明において、加熱手段は、高周波電流による誘導加熱式によるものでもよく、ガス火炎によるものでもよく、レーザー光によるものでもよく、任意である。
また、プレス成形は、曲げ加工、絞り加工、深絞り加工、エンボス加工、ビード加工、増肉化加工、薄肉化加工等の各種加工でよく、また、少なくとも2つの加工を同時に行う複合加工でもよく、さらに、孔開け加工や、トリミング加工、切断加工等を同時に行うものでもよい。また、プレス成形は、単発プレス加工でもよく、トランスファプレス加工でもよい。
また、本発明における亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板でもよく、電気亜鉛めっき鋼板でもよく、その母材は、冷延鋼板でもよく、熱延鋼板でもよい。そして、亜鉛めっき鋼板は、複数枚の鋼板が加熱される前に予め溶接等で接合されてテーラードブランクとなっているものでもよく、このテーラードブランクは、加熱される前に予備的等のプレス成形がなされたものでもよい。
また、前記プレス手段でよるプレス成形によって得られたプレス成形品を前記塗装手段で塗装する前に、このプレス成形品を他のプレス成形品や鋼板と溶接等で接合し、これによって生産された生産物を前記塗装手段で塗装するようにしてもよい。
さらに、本発明は、亜鉛めっき鋼板をプレス成形して任意な製品を作るために適用でき、その製品には、四輪車両の車体や、室外に設置される電気機器の機体が含まれ、室外に設置される電気機器とは、例えば、空調機の室外機や、缶ジュース等の自動販売機である。また、本発明は、室内で用いられる電気機器等の製品を作るためにも適用できる。
本発明によると、亜鉛めっき鋼板から生産される製品のめっき層による犠牲防食機能を確保でき、また、亜鉛めっき鋼板を正確な形状にプレス成形できるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。初めに、亜鉛めっき鋼板について実施した加熱実験の結果を、図1及び図2のグラフによって説明する。これらの実験で用いた亜鉛めっき鋼板は、めっき層における鉄の含有量が13質量%のものである。
図1のグラフは、亜鉛めっきの目付け量が37.7g/m2となっている鋼板についての実験結果である。Aは、めっき層における亜鉛の含有量が10質量%となるまで、言い換えると、めっき層における鉄の含有量が90質量%となるまでの加熱温度と加熱時間との関係を示し、Bは、亜鉛が消失するまでの加熱温度と加熱時間との関係を示す。AとB共に、加熱温度が高くなると、加熱時間は短くなる。めっき層の亜鉛による犠牲防食機能が残存している限界値を示しているAでは、加熱温度が800℃のとき、限界加熱時間は111秒であり、加熱温度が900℃のとき、限界加熱時間は84秒であり、加熱温度が1000℃のとき、限界加熱時間は49秒である。
図2のグラフは、亜鉛めっきの目付け量と、めっき層における鉄の含有量が90質量%になるまでの加熱時間との関係を示し、Cは加熱温度が800℃のとき、Dは加熱温度が900℃のとき、Eは加熱温度が1000℃のときである。目付け量が多くなると、それぞれの加熱温度において、限界加熱時間は、目付け量と概ね比例して長くなる。目付け量が37.7g/m2であって、加熱温度が900℃のとき、限界加熱時間は84秒であるが、目付け量が120g/m2であって、加熱温度が900℃のとき、限界加熱時間は442秒である。
以上は、加熱される前のめっき層が鉄亜鉛合金化めっき層となっている鋼板についての実験結果であったが、加熱される前のめっき層が非合金化めっき層(鉄の含有量が7質量%以下)となっている鋼板については、限界加熱時間が上記時間よりも長くなることは明らかである、
図3は、本実施形態に係る亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法を実施するための装置の全体を示す概略図である。この装置は、多数の亜鉛めっき鋼板1が積載されたスタック台2と、鋼板1を加熱するための加熱手段3と、加熱後の鋼板1をプレス成形するためのプレス手段4と、鋼板1を加熱手段3へ搬送し、さらにプレス手段4へも搬送するための搬送手段5と、鋼板1がプレス手段4でプレス成形されることにより生産されたプレス成形品を塗装するための塗装手段6と、スタック台1に積載されている多数の鋼板1を上から1枚ずつ順番に搬送手段5に供給するピックアップ手段7とにより構成されている。
ピックアップ手段7は、真空吸引力又は磁力による吸着力で鋼板1をスタック台2から取り出すためのワーク取出部材7Aを備えており、このワーク取出部材7Aで取り出された鋼板1は、スタック台2の真上で昇降動と、水平動と、水平動の後の昇降動とを行うワーク取出部材7Aにより、搬送手段5におけるスタック台2側の端部付近に載せられる。搬送手段5は、多数のローラ5Aを有し、これらのローラ5Aがモータからの駆動力で回転するローラコンベアであり、加熱手段3を貫通して設置されているこの搬送手段5は、スタック台2側の端部が加熱手段3から突出した位置まで達しているとともに、スタック台2とは反対側の端部はプレス手段4の近くまで達している。
加熱手段3は、鋼板1が搬送手段5で搬送されながら通過するワーク通路3Aの上面に、高周波電流の誘導コイル3Bが鋼板1の通過方向に複数個並設された高周波電流誘導式加熱炉である。また、プレス手段4は、上型4Aが下型4Bに対して上下動するプレス機械であり、これらの上型4Aと下型4Bの内部には、冷却水が流通する冷却水流通管8が配管されている。このため、プレス手段4は、これらの冷却水流通管8による急冷手段を備えている。また、プレス手段4と加熱手段3は、互いに隣接配置されており、加熱手段3で加熱された鋼板1が、搬送手段5でプレス手段4に直接供給されるようになっている。また、塗装手段6は、塗装液が収容されている電着塗装槽や、この電着塗装槽に配線されている電気回路等で構成されている。
なお、加熱手段3とプレス手段4と搬送手段5のそれぞれをプレス機械9の一部とし、このプレス機械9において、加熱手段3による鋼板1の加熱工程と、プレス手段4による鋼板1のプレス工程とがなされるようにしてもよい。
図4は、スタック台2に積載されているときの鋼板1の断面図である。この鋼板1は溶融亜鉛めっき鋼板であり、母材1Aの表面に亜鉛めっき層1Bが設けられている。亜鉛めっき層1Bは、鉄亜鉛合金化めっき層である。
スタック台2に積載されていた鋼板1は、ピックアップ手段7のワーク取出部材7Aで上から順番に1枚ずつ搬送手段5に送られ、この搬送手段5により、鋼板1は加熱手段3に送り込まれるとともに、全体が加熱手段3で焼入れ可能な範囲の温度まで加熱される。この加熱により、鉄亜鉛合金化めっき層1Bにおける鉄の含有量が次第に増加する。この後、鋼板1は、搬送手段5で加熱手段3からプレス手段4に直接送られ、このプレス手段4の上型4Aが下動することにより、鋼板1は上下型4A,4Bで所定形状に熱間プレス成形されるとともに、急冷手段を構成している冷却水流通管8を流通する冷却水によって急冷され、鋼板1は焼入れされる。そして、めっき層における鉄の含有量は、この急冷時の値に固定される。
以上において、鋼板1が加熱手段3で加熱された後にプレス手段4でプレス成形されるまでの時間は、めっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前までの時間である。このような時間は、鋼板1の亜鉛めっきの目付け量や、加熱手段3での加熱温度に応じて、上吊り式の搬送手段5の搬送速度を図1及び図2で示した実験結果に基づき決定することによって設定できる。
鋼板1のプレス成形によって生産された焼入れ済みのプレス成形品10は、図示しないロボット等による取出手段でプレス手段4から取り出され、この後、このプレス成形品10は、リン酸塩等による所定の下地処理を行った後に塗装手段6で電着塗装され、これにより、表面に塗膜が被せられた製品11が出来上がる。
なお、鋼板1を焼入れしない場合であっても、プレス手段4の上下型4A,4Bで鋼板1をプレス成形するときに、加熱手段3で加熱された鋼板1を、冷却水流通管7を流通する冷却水で冷却してもよい。
また、塗装手段6で電着塗装される際のプレス成形品10は、他のプレス成形品や鋼板と溶接等で接合されたものとなっていてもよい。
以上の本実施形態によると、製品11のめっき層における鉄の含有量は90質量%を超えていないため、このめっき層の亜鉛による犠牲防食機能は維持され、このため、製品11の母材の耐食機能は確保されている。
また、加熱手段3とプレス手段4は互いに隣接配置されているため、搬送手段5による鋼板1の搬送により、鋼板1のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上となる前に確実に鋼板1をプレス成形することができる。
さらに、鋼板1は加熱されてからプレス成形されているため、この熱間プレス成形によって鋼板1の成形性は良好となり、したがって、プレス成形品10は、上下型4A,4Bの型形状が正確に転写された形状に仕上げられた精密プレス成形品となっている。そして、加熱によってめっき層の鉄の含有量が16質量%以上となっていても、めっき層は加熱されるで脆くなっていないため、このめっき層を備えた鋼板1を所定の形状にプレス成形できる。
また、製品11には電着塗装によって有機塗膜が設けられ、この塗膜に欠損部が生じても、めっき層における亜鉛の含有量は加熱によって低下しているため、酸化亜鉛と水酸化亜鉛との塩基性化合物である白錆は発生しにくい。このため、このような白錆が原因となる欠損部の周辺の塗膜の持ち上がりや、これによる塗膜の剥離は発生せず、又はその発生は抑制され、この結果、亜鉛めっき鋼板1から生産された製品11の寿命は長くなる。
さらに、加熱手段3で鋼板1を焼入れ可能な範囲の温度に加熱し、この鋼板1をプレス手段4でプレス成形すると同時に急冷することにより、鋼板1から得られるプレス成形品10のめっき層における鉄の含有量を確実に90質量%以下の値とすることができるとともに、プレス成形品10を焼入れすることができ、必要な硬度を有するプレス成形品10を得られる。
本発明は、亜鉛めっき鋼板のプレス成形により、例えば、四輪車両の車体や室外に設置される電気機器の機体等を生産するために利用できる。
亜鉛めっき鋼板を加熱した場合に、めっき層における鉄の含有量が90質量%になるまで及び亜鉛が消失するまでの加熱時間を、加熱温度との関係で調べた実験結果を示すグラフである。 亜鉛めっきの目付け量と、めっき層における鉄の含有量が90質量%になるまでの加熱時間との関係を、異なる加熱温度ごとに調べた実験結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法を実施するための装置の全体を示す概略図である。 加熱される前の亜鉛めっき鋼板を示す断面図である。
符号の説明
1 亜鉛めっき鋼板
1A 母材
1B 鉄亜鉛合金化めっき層
2 スタック台
3 加熱手段
4 プレス手段
5 搬送手段
6 塗装手段
7 ピックアップ手段
8 急冷手段である冷却水流通管
9 プレス機械
10 プレス成形品
11 製品

Claims (16)

  1. 亜鉛めっき鋼板を加熱するための加熱工程と、この加熱工程で加熱された前記亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に、前記亜鉛めっき鋼板をプレス成形するためのプレス工程と、を含んでいることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法。
  2. 請求項1に記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法において、前記プレス工程で前記亜鉛めっき鋼板から生産されたプレス成形品を塗装するための塗装工程を含んでいることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法。
  3. 請求項1又は2に記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法において、前記加熱工程の前の前記亜鉛めっき鋼板のめっき層は、非合金化めっき層であることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法。
  4. 請求項1又は2に記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法において、前記加熱工程の前の前記亜鉛めっき鋼板のめっき層は、鉄亜鉛合金化めっき層であることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法において、前記加熱工程における前記亜鉛めっき鋼板の加熱温度は焼入れ可能な範囲の温度であり、この温度に加熱された前記亜鉛めっき鋼板を前記プレス工程で急冷することによって焼入れすることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形方法。
  6. 亜鉛めっき鋼板を加熱するための加熱手段と、前記亜鉛めっき鋼板をプレス成形するためのプレス手段と、前記加熱手段で加熱された前記亜鉛めっき鋼板を、この亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に、前記加熱手段から前記プレス手段へ搬送してプレス成形するための搬送手段と、を備えていることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置。
  7. 請求項6に記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置において、前記加熱手段と前記プレス手段は、互いに隣接配置されていることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置。
  8. 請求項6又は7に記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置において、前記プレス手段で前記亜鉛めっき鋼板から生産されたプレス成形品を塗装するための塗装手段を備えていることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置において、前記加熱手段で加熱される前の前記亜鉛めっき鋼板のめっき層は、非合金化めっき層であることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置。
  10. 請求項6〜8のいずれかに記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置において、前記加熱手段で加熱される前の前記亜鉛めっき鋼板のめっき層は、鉄亜鉛合金化めっき層であることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置において、前記加熱手段は、前記亜鉛めっき鋼板を焼入れ可能な範囲の温度に加熱する手段であり、前記プレス手段は、焼入れ可能な範囲の温度に加熱された前記亜鉛めっき鋼板をプレス成形時に急冷するための急冷手段を有し、この急冷手段により、焼入れ可能な範囲の温度に加熱された前記亜鉛めっき鋼板が前記プレス手段によるプレス成形時に焼入れされることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のプレス成形装置。
  12. 亜鉛めっき鋼板から生産されたプレス成形品であって、加熱された前記亜鉛めっき鋼板のめっき層における鉄の含有量が90質量%以上になる前に、前記亜鉛めっき鋼板がプレス成形されることによって生産されていることを特徴とする亜鉛めっき鋼板製プレス成形品。
  13. 請求項12に記載の亜鉛めっき鋼板製プレス成形品において、前記プレス成形後に塗装されていることを特徴とする亜鉛めっき鋼板製プレス成形品。
  14. 請求項12又は13に記載の亜鉛めっき鋼板製プレス成形品において、加熱される前の前記亜鉛めっき鋼板のめっき層は、非合金化めっき層であることを特徴とする亜鉛めっき鋼板製プレス成形品。
  15. 請求項12又は13に記載の亜鉛めっき鋼板製プレス成形品において、加熱される前の前記亜鉛めっき鋼板のめっき層は、鉄亜鉛合金化めっき層であることを特徴とする亜鉛めっき鋼板製プレス成形品。
  16. 請求項12〜15のいずれかに記載の亜鉛めっき鋼板製プレス成形品において、前記加熱は焼入れ可能な範囲の温度への加熱であり、前記亜鉛めっき鋼板は、前記プレス成形時に急冷されることによって焼入れされていることを特徴とする亜鉛めっき鋼板製プレス成形品。
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