JP2005342407A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】飛行性能に優れたゴルフボールの提供。
【解決手段】ゴルフボールは、表面に多数のディンプル8を備えている。ディンプル8は、第一側壁面14と、この第一側壁面14よりもボトム側に位置する第二側壁面16と、この第二側壁面16よりもボトム側に位置するボトム面18とを備えている。第一側壁面14の曲率半径R1は、仮想曲率半径Rxと同一であるか又はそれよりも大きい。第二側壁面16の曲率半径R2は、仮想曲率半径Rxよりも小さい。ボトム面18の曲率半径R3は、仮想曲率半径Rxと同一であるか又はそれよりも大きい。第一側壁面14の深さd1は、ディンプル8の深さdの0.10倍以上0.50倍以下である。第二側壁面16の最大直径D2は、ディンプル8の直径D1の0.60倍以上0.95倍以下である。
【選択図】図4

Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、ゴルフボールのディンプルの改良に関する。
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。一般的にゴルフボールは、単一の曲率半径を有する断面形状を備えたシングルラジアスディンプルか、2つの曲率半径を有する断面形状を備えたダブルラジアスディンプルを備えている。ディンプルの役割は、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱すことによって乱流剥離を起こさせることにある。この役割は、「ディンプル効果」と称される。乱流剥離によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流剥離によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。
飛行性能向上を目的とした、ディンプルの断面形状に関する種々の提案がなされている。特開平5−96026号公報には、エッジ近傍のスロープが底部のスロープよりも急傾斜である形状を備えたディンプルが開示されている。特開平9−70449号公報には、断面形状がダブルラジアスから構成されるディンプルが開示されている。
特開平5−96026号公報 特開平9−70449号公報
ゴルフボールに対するゴルファーの最大の関心事は、飛距離である。飛距離向上の観点から、ディンプルの断面形状にはなお改良の余地がある。本発明の目的は、改良されたディンプルを備えており、飛行性能に優れているゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。
(1)仮想曲率半径Rxと同一であるか又はそれよりも大きな曲率半径R1を備えた第一 側壁面、
(2)この第一側壁面よりもボトム側に位置して仮想曲率半径Rxよりも小さな曲率半径 R2を備えた第二側壁面
及び
(3)この第二側壁面よりもボトム側に位置して仮想曲率半径Rxと同一であるか又はそ れよりも大きな曲率半径R3を備えたボトム面
を備えたディンプルの数が総数に占める比率は、50%以上である。本発明において仮想曲率半径Rxとは、仮想ディンプルの曲率半径を意味する。この仮想ディンプルとは、当該ディンプルの直径と同一の直径及び当該ディンプルの容積と同一の容積を備えたシングルラジアスディンプルを意味する。
好ましくは、第一側壁面の深さは、ディンプルの深さの0.10倍以上0.50倍以下である。好ましくは、第二側壁面の最大直径は、ディンプルの直径の0.60倍以上0.95倍以下である。好ましくは、第一側壁面、第二側壁面及びボトム面は、下向きに凸である。
このゴルフボールでは、ランドからディンプルの中心に向かう空気の流れ方向が、3段階に変化する。このディンプルは、空気の流れをよりよく乱す。このゴルフボールは、飛行性能に優れる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール2が示された模式的断面図である。このゴルフボール2は、球状のコア4と、カバー6とを備えている。カバー6の表面には、多数のディンプル8が形成されている。ゴルフボール2の表面のうちディンプル8以外の部分は、ランド10である。このゴルフボール2は、カバー6の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
このゴルフボール2の直径は、40mmから45mmである。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下が好ましく、42.80mm以下がより好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下である。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上が好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が好ましい。
コア4は、ゴム組成物が架橋されることによって形成されている。ゴム組成物の基材ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。反発性能の観点からポリブタジエンが好ましく、特にハイシスポリブタジエンが好ましい。
コア4の架橋には、通常は共架橋剤が用いられる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムである。ゴム組成物には、共架橋剤と共に有機過酸化物が配合されるのが好ましい。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
コア4のゴム組成物には、充填剤、硫黄化合物、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。ゴム組成物に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
コア4の直径は30.0mm以上、特には38.0mm以上である。コア4の直径は42.0mm以下、特には41.5mm以下である。コア4が2以上の層から構成されてもよい。
カバー6に好適なポリマーは、アイオノマー樹脂である。特に、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との共重合体におけるカルボン酸の一部が金属イオンで中和されたものが好適である。好ましいα−オレフィンは、エチレン及びプロピレンである。好ましいα,β−不飽和カルボン酸は、アクリル酸及びメタクリル酸である。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
アイオノマー樹脂に代えて、又はアイオノマー樹脂と共に、他のポリマーが用いられてもよい。他のポリマーとしては、熱可塑性樹脂スチレンエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが例示される。
カバー6には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が適量配合される。比重調整の目的で、カバー6にタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末が配合されてもよい。
カバー6の厚みは0.5mm以上、特には0.8mm以上である。カバー6の厚みは2.5mm以下、特には2.2mm以下である。カバー6の比重は0.90以上、特には0.95以上である。カバー6の比重は1.10以下、特には1.05以下である。カバー6が2以上の層から構成されてもよい。
図2は図1のゴルフボール2が示された拡大平面図であり、図3はその正面図である。図2及び図3から明らかなように、全てのディンプル8の平面形状は円形である。図2及び図3では、ゴルフボール2の表面が12個の等価なユニットに区画された場合の1個のユニットにおいて、符号AからDによってディンプル8の種類が示されている。このゴルフボール2は、直径が4.65mmであるディンプルAと、直径が4.30mmであるディンプルBと、直径が4.00mmであるディンプルCと、直径が3.00mmであるディンプルDとを備えている。ディンプルAの個数は42個であり、ディンプルBの個数は138個であり、ディンプルCの個数は138個であり、ディンプルDの個数は12個である。このゴルフボール2のディンプル8の総数は、330個である。
図4は、図1のゴルフボール2の一部が示された拡大断面図である。この図4には、ディンプル8の面積重心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った断面が示されている。図4における上下方向は、ディンプル8の深さ方向である。深さ方向は、ディンプル8の面積重心からゴルフボール2の中心へ向かう方向である。図4において二点鎖線12で示されているのは、仮想球である。仮想球12の表面は、ディンプル8が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。ディンプル8は、仮想球12から凹陥している。ランド10は、仮想球12と一致している。
このディンプル8は、第一側壁面14、第二側壁面16及びボトム面18を備えている。第一側壁面14及び第二側壁面16はリング状である。ボトム面18は、碗状である。第一側壁面14は、点E1において、ランド10と連続している。点E1は、ディンプル8のエッジである。エッジE1は、ディンプル8の平面形状を確定する。第二側壁面16は、第一側壁面14のボトム側に位置している。第二側壁面16は、点E2において、第一側壁面14と連続している。ボトム面18は、第二側壁面16のボトム側に位置している。ボトム面18は、点E3において、第二側壁面16と連続している。
図4において両矢印D1で示されているのは、ディンプル8の直径である。この直径D1は、第一側壁面14の最大直径でもある。両矢印D2で示されているのは、第二側壁面16の最大直径である。両矢印D3で示されているのは、ボトム面18の最大直径である。
図4において二点鎖線20で示されているのは、仮想ディンプルである。仮想ディンプル20の断面形状は、円弧である。この円弧の曲率半径は、図4において、符号Rxで示されている。この仮想ディンプル20は、シングルラジアスディンプルである。仮想ディンプル20の直径は、D1である。換言すれば、仮想ディンプル20の直径とディンプル8の直径とは、同一である。仮想ディンプル20は、その容積がディンプル8の容積と同一になるように想定される。仮想曲率半径Rxは、通常は5.0mm以上25.0mm以下である。
第一側壁面14は、下向きに凸である。第一側壁面14の曲率半径R1は、仮想曲率半径Rxと同一か、それよりも大きい。換言すれば、第一側壁面14は緩やかに湾曲している。ランド10を通過した空気は、第一側壁面14に沿って流れる。第一側壁面14の湾曲は緩やかなので、ランド10からディンプル8の中心に向かって、空気が円滑に流れ込む。円滑な流れの観点から、曲率半径R1は7.0mm以上が好ましく、8.0mm以上が特に好ましい。曲率半径R1は、30.0mm以下が好ましい。
第一側壁面14の最大直径線は、点E1を通過している。換言すれば、第一側壁面14は、左右方向において、点E1よりも外側にはみ出してはいない。これにより、空気の滞留が防止される。第一側壁面14の最下点は、点E2と一致している。換言すれば、第一側壁面14は、点E1から点E2に至るまで、下向きに傾斜している。これにより、空気の滞留が防止される。
第二側壁面16は、下向きに凸である。第二側壁面16の曲率半径R2は、仮想曲率半径Rxよりも小さい。第一側壁面14を通過した空気は、第二側壁面16に沿って流れる。空気は、第二側壁面16によって急激に方向を変えられる。この方向の変化は、ディンプル効果を高める。ディンプル効果の観点から、曲率半径R2は仮想曲率半径Rxの0.40倍以下が好ましく、0.30倍以下がより好ましく、0.25倍以下が特に好ましい。曲率半径R2は仮想曲率半径Rxの0.10倍以上が好ましい。曲率半径R2は、1.5mm以上5.0mm以下が好ましい。
第二側壁面16の最大直径線は、点E2を通過している。換言すれば、第二側壁面16は、左右方向において、点E2よりも外側にはみ出してはいない。これにより、空気の滞留が防止される。第二側壁面16の最下点は、点E3と一致している。換言すれば、第二側壁面16は、点E2から点E3に至るまで、下向きに傾斜している。これにより、空気の滞留が防止される。
ボトム面18は、下向きに凸である。ボトム面18の曲率半径R3は、仮想曲率半径Rxと同一か、それよりも大きい。換言すれば、ボトム面18は緩やかに湾曲している。第二側壁面16を通過した空気は、ボトム面18に沿って流れる。空気は、このボトム面18によって円滑に反対側の第二側壁面16へと導かれる。空気は、反対側の第二側壁面16によって急激に方向を変えられる。この方向の変化は、ディンプル効果を高める。円滑な空気の流れの観点から、ボトム面18の曲率半径R3は仮想曲率半径Rxの1.10倍以上が好ましく、1.20倍以上がより好ましい。ボトム面18の曲率半径R3は仮想曲率半径Rxの1.70倍以下が好ましい。曲率半径R3は7.0mm以上が好ましく、8.0mm以上が特に好ましい。曲率半径R3は、35.0mm以下が好ましい。
ボトム面18の最大直径線は、点E3を通過している。換言すれば、ボトム面18は、左右方向において、点E3よりも外側にはみ出してはいない。これにより、空気の滞留が防止される。
第二側壁面16の最大直径D2は、ディンプル8の直径D1の0.60倍以上0.95倍以下が好ましい。直径D2が上記範囲未満であると、ディンプル効果に対する第二側壁面16又はボトム面18の寄与率が不十分となる。この観点から、直径D2は、直径D1の0.70倍以上がより好ましく、0.75倍以上が特に好ましい。直径D2が上記範囲を超えると、ディンプル効果に対する第一側壁面14の寄与率が不十分となる。この観点から、直径D2は、直径D1の0.93倍以下がより好ましく、0.90倍以下が特に好ましい。
ボトム面18の最大直径D3は、直径D2の0.60倍以上0.95倍以下が好ましい。直径D3が上記範囲未満であると、ディンプル効果に対するボトム面18の寄与率が不十分となる。この観点から、直径D3は、直径D2の0.70倍以上がより好ましく、0.75倍以上が特に好ましい。直径D3が上記範囲を超えると、ディンプル効果に対する第二側壁面16の寄与率が不十分となる。この観点から、直径D3は、直径D2の0.93倍以下がより好ましく、0.90倍以下が特に好ましい。
図4において両矢印d1で示されているのは第一側壁面14の深さであり、両矢印d2で示されているのは第二側壁面16の深さであり、両矢印d3で示されているのはボトム面18の深さである。深さd1、深さd2及び深さd3の合計は、ディンプル8の深さdである。
第一側壁面14の深さd1は、ディンプル8の深さdの0.10倍以上0.50倍以下が好ましい。深さd1が上記範囲未満であると、ディンプル効果に対する第一側壁面14の寄与率が不十分となる。この観点から、深さd1は深さdの0.15倍以上がより好ましく、0.20倍以上が特に好ましい。深さd1が上記範囲を超えると、ディンプル効果に対する第二側壁面16又はボトム面18の寄与率が不十分となる。この観点から、深さd1は深さdの0.45倍以下がより好ましく、0.40倍以下が特に好ましい。
第二側壁面16の深さd2は、ディンプル8の深さdの0.10倍以上0.60倍以下が好ましい。深さd2が上記範囲未満であると、ディンプル効果に対する第二側壁面16の寄与率が不十分となる。この観点から、深さd2は深さdの0.15倍以上がより好ましく、0.20倍以上が特に好ましい。深さd1が上記範囲を超えると、ディンプル効果に対する第一側壁面14又はボトム面18の寄与率が不十分となる。この観点から、深さd2は深さdの0.55倍以下がより好ましく、0.50倍以下が特に好ましい。
ボトム面18の深さd3は、ディンプル8の深さdの0.05倍以上0.50倍以下が好ましい。深さd3が上記範囲未満であると、ディンプル効果に対するボトム面18の寄与率が不十分となる。この観点から、深さd3は深さdの0.10倍以上がより好ましく、0.15倍以上が特に好ましい。深さd3が上記範囲を超えると、ディンプル効果に対する第一側壁面14又は第二側壁面16の寄与率が不十分となる。この観点から、深さd2は深さdの0.45倍以下がより好ましく、0.40倍以下が特に好ましい。
ディンプル8の面積sは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、輪郭線に囲まれた領域の面積である。円形ディンプルの場合、面積sは下記数式によって算出される。
s = (D1 / 2) * π
図2及び図3に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は16.98mmであり、ディンプルBの面積は14.52mmであり、ディンプルCの面積は12.57mmであり、ディンプルDの面積は7.07mmである。
本発明では、全てのディンプル8の面積sの合計が仮想球12の表面積に占める比率は、占有率と称される。十分なディンプル効果が得られるとの観点から、占有率は70%以上が好ましく、72%以上がより好ましく、74%以上が特に好ましい。占有率は、90%以下が好ましい。図2及び図3に示されたゴルフボール2では、ディンプル8の合計面積は4536.3mmである。このゴルフボール2の仮想球12の表面積は5728.0mmなので、占有率は79.2%である。
ディンプル8の直径D1は、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。直径D1が上記範囲未満であると、ディンプル効果が得られにくい。この観点から、直径D1は2.2mm以上がより好ましく、2.4mm以上が特に好ましい。直径D1が上記範囲を超えると、実質的に球であるというゴルフボール2の特徴が損なわれる。この観点から、直径D1は5.8mm以下がより好ましく、5.6mm以下が特に好ましい。
ディンプル8の深さdは、0.05mm以上0.60mm以下が好ましい。深さが上記範囲未満であると、ホップする弾道となることがある。この観点から、深さは0.08mm以上がより好ましく、0.10mm以上が特に好ましい。深さが上記範囲を超えると、ドロップする弾道となることがある。この観点から、深さは0.45mm以下がより好ましく、0.40mm以下が特に好ましい。
本発明において「ディンプルの容積」とは、ディンプル8の輪郭を含む平面とディンプル8の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。ディンプル8の総容積は、250mm以上400mm以下が好ましい。総容積が上記範囲未満であると、ホップする弾道となることがある。この観点から、総容積は260mm以上がより好ましく、270mm以上が特に好ましい。総容積が上記範囲を超えると、ドロップする弾道となるおそれがある。この観点から、総容積は390mm以下がより好ましく、380mm以下が特に好ましい。
ディンプル8の総数は、200個以上500個以下が好ましい。総数が上記範囲未満であると、ディンプル効果が得られにくい。この観点から、総数は240個以上がより好ましく、260個以上が特に好ましい。総数が上記範囲を超えると、個々のディンプル8のサイズが小さいことに起因してディンプル効果が得られにくい。この観点から、総数は480個以下がより好ましく、460個以下が特に好ましい。
図4に示されたディンプル8は、下記(a)から(c)の条件を満足する。
(a)仮想曲率半径Rxと同一であるか又はそれよりも大きな曲率半径R1を備えた第一 側壁面14を備えること。
(b)この第一側壁面14よりもボトム側に位置して仮想曲率半径Rxよりも小さな曲率 半径R2を備えた第二側壁面16を備えること。
(c)この第二側壁面16よりもボトム側に位置して仮想曲率半径Rxと同一であるか又 はそれよりも大きな曲率半径R3を備えたボトム面18を備えること。
この条件(a)から(c)を満足するディンプル8の数がディンプル8の総数に占める比率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、85%以上が特に好ましい。この比率は、理想的は100%である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
ポリブタジエン(ジェイエスアール社の商品名「BR−11」)100質量部、アクリル酸亜鉛24.5質量部、酸化亜鉛10質量部、硫酸バリウム15質量部及びジクミルパーオキサイド0.8質量部を混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、160℃で20分間加熱して、直径が38.1mmのコアを得た。一方、アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1605」)50質量部、他のアイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1706」)50質量部及び二酸化チタン3質量部を混練し、樹脂組成物を得た。上記コアを、内周面に多数の突起を備えた金型に投入し、コアの周囲に上記樹脂組成物を射出成形法により注入して、厚みが2.3mmであるカバーを成形した。カバーには、突起の形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。このカバーに塗装を施して、直径が42.7mmであり質量が約45.4gである実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールのコンプレッションは、約85である。このゴルフボールのディンプル仕様が、下記表1に示されている。
[実施例2から5及び比較例1から6]
金型を変更してディンプルの仕様を下記の表1、表2及び表3に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から5及び比較例1から6のゴルフボールを得た。比較例1のゴルフボールでは、第一側壁面の曲率半径R1が仮想曲率半径Rxよりも小さい。比較例2のゴルフボールでは、ボトム面の曲率半径R3が仮想曲率半径Rxよりも小さい。比較例3及び5のゴルフボールは、ダブルラジアスディンプルを備えている。比較例4のゴルフボールでは、ディンプルA、B及びCが条件(a)から(c)を満たすが、ディンプルA’、B’、C’及びD’は条件(a)から(c)を満たさない。比較例6のゴルフボールは、シングルラジアスディンプルを備えている。
Figure 2005342407
Figure 2005342407
Figure 2005342407
[飛距離テスト]
ツルテンパー社のスイングマシンに、メタルヘッドを備えたドライバー(住友ゴム工業株式会社の商品名「XXIO」、シャフト硬度:X、ロフト角:9°)を装着した。ヘッド速度が49m/secであり、打ち出し角度がほぼ11°であり、初期スピン速度がほぼ3000rpmである条件でゴルフボールを打撃して、発射地点から静止地点までの距離を測定した。試験中の風のコンディションは、ほぼ無風であった。20回の測定の平均値が、下記の表4に示されている。
Figure 2005342407
表4に示されるように、実施例のゴルフボールは飛行性能に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
上記条件(a)から(c)を満たすディンプルは、ツーピースゴルフボールのみならず、ワンピースゴルフボール、マルチピースゴルフボール及び糸巻きゴルフボールにも敵している。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された模式的断面図である。 図2は、図1のゴルフボールが示された拡大平面図である。 図3は、図2のゴルフボールが示された正面図である。 図4は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図5は、比較例4に係るゴルフボールが示された平面図である。 図6は、図5のゴルフボールが示された正面図である。
符号の説明
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・カバー
8・・・ディンプル
10・・・ランド
12・・・仮想球
14・・・第一側壁面
16・・・第二側壁面
18・・・ボトム面
20・・・仮想ディンプル
A・・・ディンプルA
B・・・ディンプルB
C・・・ディンプルC
D・・・ディンプルD

Claims (4)

  1. その表面に多数のディンプルを備えており、
    仮想曲率半径Rxと同一であるか又はそれよりも大きな曲率半径R1を備えた第一側壁面と、この第一側壁面よりもボトム側に位置して仮想曲率半径Rxよりも小さな曲率半径R2を備えた第二側壁面と、この第二側壁面よりもボトム側に位置して仮想曲率半径Rxと同一であるか又はそれよりも大きな曲率半径R3を備えたボトム面とを備えたディンプルの数が総数に占める比率が50%以上であるゴルフボール。
  2. 上記第一側壁面の深さがディンプルの深さの0.10倍以上0.50倍以下である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記第二側壁面の最大直径がディンプルの直径の0.60倍以上0.95倍以下である請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 上記第一側壁面、第二側壁面及びボトム面が下向きに凸である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
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