JP2005341960A - 核酸分子送達用担体 - Google Patents

核酸分子送達用担体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005341960A
JP2005341960A JP2004322853A JP2004322853A JP2005341960A JP 2005341960 A JP2005341960 A JP 2005341960A JP 2004322853 A JP2004322853 A JP 2004322853A JP 2004322853 A JP2004322853 A JP 2004322853A JP 2005341960 A JP2005341960 A JP 2005341960A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sugar
repeating unit
carrier
nucleic acid
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004322853A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4701414B2 (ja
Inventor
Tetsuji Yamaoka
哲二 山岡
Yutaka Tokiwa
豊 常盤
Masaru Kitagawa
優 北川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Toyobo Co Ltd filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2004322853A priority Critical patent/JP4701414B2/ja
Publication of JP2005341960A publication Critical patent/JP2005341960A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4701414B2 publication Critical patent/JP4701414B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】遺伝子発現効率に優れた核酸分子送達用担体を提供すること。
【解決手段】カチオン性基を有する繰り返し単位(A)及び糖を含有する繰り返し単位(B)を有する糖含有共重合体を用いて形成される核酸分子送達用担体。更に、(A)及び(B)に加え、疎水性置換基を有する繰り返し単位(C)を有する糖含有共重合体から形成される核酸分子送達用担体。
【選択図】図1

Description

本発明は、糖含有共重合体から形成される核酸分子送達用担体に関する。
最近注目されている遺伝子治療では、患者の体内から取り出した細胞に培養系で外来遺伝子を導入し、形質転換細胞を増殖させた後に患者に再移植する「Ex vivo遺伝子導入法」が主として実施されている。この場合、患者から単離できる細胞は限られているため、多くの場合、末梢血リンパ球が利用されている。しかし、ターゲットとなる細胞は、その対象疾患によって異なり、特に体細胞や臓器組織の細胞をターゲットとする場合には、外来遺伝子をコードするプラスミドDNAを直接生体に投与する必要がある(In vivo遺伝子導入法)。
In vivo遺伝子導入法は、多くの研究者によって検討が行われており、遺伝子を効率よく生体内に導入し、安全性が確保できる核酸分子送達用担体の開発が強く望まれている。
一方、米国FDAにより認可されている、遺伝子治療プロトコールの85%以上においては、アデノウィルスやレトロウィルスなどが使用されている(非特許文献1参照)。ウィルスによる遺伝子導入効果は極めて高く、有効であるが、米国で実施された遺伝子治療においてはウィルスに対する免疫反応が原因と考えられる事故が起こるなど、ウィルス増殖などの危険性が指摘されていた。
そのため、カチオニックリポソーム(非特許文献2参照)やカチオンポリマー(非特許文献3及び非特許文献4参照)などの非ウィルス性担体を核酸分子送達用担体として用いることが検討されてきた。具体的には、従来、ジエチルアミノエチルデキストラン(DEAE-dex)やポリ-L-リジン(PLL)などの直鎖状ポリカチオンが検討されてきた。
ポリカチオンの遺伝子発現効率はリポソームより低いが、リポソームに比べて生体内に直接投与したときに肝臓に集積する傾向が少なく、体内動態のコントロールが比較的容易であるという利点がある。しかし、ポリカチオンの一つで、従来、核酸分子送達用担体として精力的に検討されてきたポリ-L-リジンは、遺伝子導入能の効率が低い。
このような問題に鑑み、本発明者らは、特定の構造を有する糖含有共重合体並びに該糖含有共重合体から形成される核酸分子送達用担体に関する技術を発明し、先に特許出願を行ったが(特許文献1参照)、遺伝子発現効率の更なる向上などが求められていた。
特開2004−26866号 Annu.Rev.Microbiol., 49, 807, 1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 84, 7413, 1987 Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 92, 7297, 1995 Bioconjugate Chem., 6, 7, 1995
本発明は、糖含有共重合体から形成される、遺伝子発現効率に優れた核酸分子送達用担体を提供することを主な目的とする。
本発明者は、遺伝子発現を効率的に行うことができる核酸分子送達用担体について鋭意研究した結果、特定の構造を有する糖含有共重合体を用いて形成する場合に、優れた効果を奏する核酸分子送達用担体が得られることを見出し、更に鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の核酸分子送達用担体に係る。
1. 一般式(I)
(式中、Rは、H又はCHを示す。
Yは、−C(=O)O−(CH)ny−、−OC(=O)−(CH)ny−、―OC(=O)−(CH)ny−C(=O)、又は−CONH−(CH)ny−を示す。nyは1〜10の整数を示す。
Zは、−NR(R及びRは、各々同一または異なって炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)、−N+(R、R及びRは、各々同一または異なって炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)、又は窒素含有複素環式基を示す。)
で表されるカチオン性基を有する繰り返し単位(A)と、一般式(II)
(式中、Rは、−H又は−CHを示す。
Sugarは糖から1個のNH2(Sugarがアミノ糖のアミノ基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくはOH(Sugarが糖の水酸基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライド或いはポリサッカライドの場合)を除いた糖残基を示す。
Xは、−C(=O)Z−、−C(=O)O−R−、−CONH−、−CONH−R−、−OC(=O)−R−C(=O)Z−、又は―Ph−R−Z−を示す。ここで、
は−Ph−O−、又は−(CH)na−O−を示す。naは1〜10の整数を示す。
は−Ph−O−、又は−(CH)nb−O−を示す。nbは1〜10の整数を示す。
は−(CH)n−、又は−(CH)n−Ph−(CH)n−を示す。nは2〜18、好ましくは2〜10の整数を示す。
は−CH−、又は−SO−を示す。
は−O−または−NH−を示す。
Phは(o-, m-またはp-)フェニレン基を示す。)。
で表される糖(sugar)を含有する繰り返し単位(B)を有する糖含有共重合体
(但し、上記一般式(I)で表される繰り返し単位が下記式(IA)
(式中、nは1〜10の整数を示す。)
で表される場合、一般式(IA)及び(II)で表される繰り返し単位のモル比率が1:9〜9:1であって、且つ、重量平均分子量が1×10〜5×10である糖含有共重合体を除く。)
を含む核酸分子送達用担体。
2. カチオン性基を有する繰り返し単位(A)、糖(Sugar)を含有する繰り返し単位(B)及び疎水性置換基を有する繰り返し単位(C)を有する糖含有共重合体を含み、該カチオン性基を有する繰り返し単位(A)が一般式(I)
(式中、Rは、H又はCHを示す。
Yは、−C(=O)O−(CH)ny−、−OC(=O)−(CH)ny−、―OC(=O)−(CH)ny−C(=O)、又は−CONH−(CH)ny−を示す。nyは1〜10を示す。
Zは、−NR(R及びRは、各々同一または異なって炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)、−N+(R、R及びRは、各々同一または異なって炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)、又は窒素含有複素環式基を示す。)
で表され、糖(Sugar)を含有する繰り返し単位(B)が一般式(II):
(式中、Rは、−H又は−CHを示す。
Sugarは糖から1個のNH2(Sugarがアミノ糖のアミノ基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくはOH(Sugarが糖の水酸基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライド或いはポリサッカライドの場合)を除いた糖残基を示す。
Xは、−C(=O)Z−、−C(=O)O−R−、−CONH−、−CONH−R−、−OC(=O)−R−C(=O)Z−、又は―Ph−R−Z−を示す。ここで、
は−Ph−O−、又は−(CH)na−O−を示す。naは1〜10の整数を示す。
は−Ph−O−、又は−(CH)nb−O−を示す。nbは1〜10の整数を示す。
は−(CH)n−、又は−(CH)n−Ph−(CH)n−を示す。nは2〜18、好ましくは2〜10の整数を示す。
は−CH−、又は−SO−を示す。
は−O−または−NH−を示す。
Phは(o-, m-またはp-)フェニレン基を示す。)。
で表される、核酸分子送達用担体。
3. 糖を含有する繰り返し単位(B)が、下記一般式(III)
(式中、Sugarは糖から1個のNH2(Sugarがアミノ糖のアミノ基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくはOH(Sugarが糖の水酸基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライド或いはポリサッカライドの場合)を除いた糖残基を示し、mは2〜10の整数を示す。ZはOまたはNHを示す。)
で表される繰り返し単位である請求項1又は2に記載の核酸分子送達用担体。
4. カチオン性基を有する繰り返し単位(A)が、下記一般式(IV):
(式中、nは1〜10を示す。RおよびRは、同一または異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で表される繰り返し単位である請求項1〜3のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
5. 疎水性置換基を有する繰り返し単位(C)が、下記一般式(V)で表される繰り返し単位である請求項2〜4のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
一般式(V):
(式中、Rは、−H又は−CHを示す。
Wは−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)−(CH)n−C(=O)O−、又は−C(=O)NHを示す。nは2〜18、好ましくは2〜10の整数を示す。
は、炭素数3〜30の飽和または不飽和の脂肪族または脂環式の炭化水素基を示す。)
6. 糖含有共重合体における繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)のモル比率がA:B=1:99〜99:1である、請求項1〜5のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
7. 糖含有共重合体における繰り返し単位(A)+繰り返し単位(B)に対する繰り返し単位(C)のモル比率が(A+B):C=99.9:0.1〜0.1:99.9である、項2〜6のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
8. 糖含有共重合体の重量平均分子量が10000〜1000000である請求項1〜7のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
9. 項1〜8のいずれかに記載の核酸分子送達用担体を用いたトランスフェクション試薬。
10. 項1〜8のいずれかに記載の核酸分子送達用担体を用いた遺伝子治療用担体。
下記の結果に示されるように、本発明の糖含有共重合体から形成される核酸分子送達用担体は、高い遺伝子発現効率を示すことが明らかになった。
本発明の核酸分子送達用担体は、細胞の取り込み機構に応じて、核酸分子を細胞内に適切に導入することができるものであって、レセプターを介在したエンドサイトーシスによる核酸分子送達に特に適している。
レセプターを介在したエンドサイトーシスにより取り込まれた複合体(核酸分子と糖含有共重合体とのcomplex)は、核内への移行性が高く、本発明の核酸分子送達用担体によって、核酸分子の核内への送達が、特に効率よく行われる。
また、本発明の核酸分子用送達担体は、特に遺伝子の送達用担体として好適に用いることができる。本発明の核酸分子用送達担体により運ばれた遺伝子は、細胞内に送達された後、高い効率で遺伝子発現が行われる。特に、本発明の核酸分子送達用担体において、疎水性置換基を有する繰り返し単位を有する糖含有共重合体から形成されるものは、DNA解離能が高く、細胞内に取り込まれた遺伝子の遺伝子発現を特に効率よく行うことができる。
本発明の核酸分子送達用担体はこのように優れた特性を備えたものであって、各種細胞への遺伝子導入に有効に利用し得るものである。
本発明の核酸分子送達用担体は、カチオン性基を有する繰り返し単位(A)及び糖を含有する繰り返し単位(B)を有する糖含有共重合体、或いは、繰り返し単位(A)及び(B)に加えて、更に疎水性置換基を有する繰り返し単位(C)を有する糖含有共重合体により形成される。
カチオン性基を有する繰り返し単位(A)
カチオン性基を有する繰り返し単位の構造は所望に応じて適宜設定し得るが、本発明においては、下記一般式(I)で表される構造であることが好ましい。
(式中、R、YおよびZは前記に定義される通りである。)
本発明の1つの好ましい実施形態において、カチオン性基を有する繰り返し単位(A)が、下記一般式(IV):
(式中、R、Rおよびnは前記に定義される通りである。)
で表される。
〜Rで表される炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基、或いは環式炭化水素基等が挙げられる。環式炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭化水素基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。また、R3とR4或いはR5とR6が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジン環またはピペリジン環を形成することが可能である。
窒素含有複素環式基としては、例えば、ピロリジニル、ピペリジル、ピペリジノ、ピペラジニル、N−メチルピペラジノ、モルホリノ、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリジニル、キノリル、イソキノリル等が挙げられる。
およびRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチルなどの直鎖又は分枝を有するアルキル基が例示される。
該繰り返し単位は、カチオン性基を有する単量体を重合することによって得ることができる。
好ましいカチオン性基を有する単量体としては、例えば、
CH=CH−C(=O)O−(CH−N(CH
CH=CH−C(=O)O−(CH−N+(CH
CH=CH−OC(=O)−(CH−N(CH
CH=CH−OC(=O)−(CH−N+(CH
CH=CH−CONH−(CH−N(CH
CH=CH−OC(=O)−(CH−C(=O)O−N(CH
CH=CH−OC(=O)−(CH−C(=O)O−N(CHCH
などが挙げられる。
糖を含有する繰り返し単位(B)
糖を含有する繰り返し単位の構造は所望に応じて適宜設定し得るが、特に下記一般式(II)で表される構造のものが好適に用いられる。
一般式(II):
(式中、R、XおよびSugarは前記に定義される通りである。)。
一般式(II)において「Sugar」は、糖(単糖、二糖、多糖)から1個のNH(アミノ糖の場合)または1個のOH(アミノ糖以外の大部分の糖の場合)を除いた糖残基を示す。該糖残基(Sugar)がOH基で結合する場合、ヘキソースの場合にはアノマー炭素(1位)または2位の水酸基、或いは6位の1級水酸基に結合し、ヘキソース以外にもこれらに対応する位置で結合する。また、該糖残基(Sugar)がNH基で結合する場合、例えばグルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミンなどNH基の結合している炭素は通常2位である。
Sugarは、Sugar−(OH)で表される糖とSugar−(NH)で表されるアミノ糖の両方を含む。
Sugar−(OH)で表される糖の種類は特に限定されず、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、キシロース,エリスロース,ソルボース,リボース,リブロース,キシルロース等の単糖、スクロース、マルトース、ラクトースセロビオース,アガロビオース,イソマルトース,キシロビオース,ゲンチオビオース,コージビオース,ソフォロース,タラノース,トレハロース等の二糖、マルトトリオース,ラフィノース,ラクト−N−テトラオース、デキストリン、アミロース,アミロペクチン,キトサン、デンプン、セルロース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等の多糖及び多糖の加水分解生成物などが挙げられる。それらは天然糖でも合成糖でもよい。
Sugar−(NH)で表されるアミノ糖としては、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、ノイラミン酸等の単糖、或いはこれらアミノ単糖を有する二糖ないし多糖が例示される。
糖の種類は核酸分子送達用担体を適する生物試料の種類に応じて適宜設定し得る。例えば、肝実質細胞のように、ガラクトースレセプターが存在する細胞に遺伝子を導入する場合には、ガラクトースが好適に用いられる。
糖を含有する繰り返し単位(B)は、対応する糖含有単量体を重合することにより得ることができる。
好ましい糖含有単量体としては、例えば、ビニルアジポイル−D−ガラクトース(vinyladipoyl-D-Galactose)、ビニルアジポイル−D−グルコース((vinyladipoyl-D-Glucose)、アクリロイルガラクトース、アクリロイルグルコース、ビニルセバシルグルコース、アジポイルマンノース等が挙げられる。
疎水性置換基を有する繰り返し単位(C)
疎水性置換基を有する繰り返し単位の構造は所望に応じて適宜設定し得るが、特に下記一般式(V)で表される構造のものが好適に用いられる。
一般式(V):
(式中、R、RおよびWは、前記に定義される通りである。)。
の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基(プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル(ステアリル)、アイコシル等のC〜C30のアルキル基))又は不飽和炭化水素基(アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、アイコセニル等のC〜C30のアルケニル基など)、或いは環式炭化水素基等が挙げられる。環式炭化水素基としては、芳香族炭化水素基(例えばフェニル、キシリル、トルイル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなど)、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基(シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、コレステリル、植物ステロール由来の基など)が挙げられる。植物ステロールとしては、スチグマステロール、スチグマスタノール、シトステロール(α,β、γなど)、カンペステロールなどが挙げられる。Rは好ましくはステアリル、パルミチル、ペンタデカノイル、ヘプタデカノイル、コレステリルが挙げられる。
疎水性置換基を有する繰り返し単位(C)は、疎水性置換基を有する単量体を重合することにより得ることができる。
疎水性置換基を有する単量体としては、例えば、炭素数10〜20の高級脂肪酸のアクリル酸エステル、炭素数10〜20の高級脂肪酸のビニルエステル、コレスロール環を有するビニル単量体等が挙げられる。より具体的には、ステアリルアクリレートや下記一般式(VI)で表されるコレステロール環を有するビニル単量体等が例示できる。
一般式(VI)
(式中、n1は、2〜18、好ましくは2〜10の整数を示す。)
上記のコレステロール誘導体は、エステル型の重合性置換基と酵素を用いる方法により容易に合成することができる。
溶媒としてはテトラヒドロフラン、トルエン、ピリジン、ジオキサンなどの有機溶媒を使用し、酵素としてはPseudomonas sp.由来のリパーゼ(LPL-311)、LPL-311の固定化酵素(LIP-301)等を使用する。重合性置換基としてはコハク酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニルなどのジカルボン酸ジビニルが例示される。コレステロールと同様に、対応する植物ステロールを使用して、同様に対応する植物ステロールエステルを合成できる。
本発明に用いたビニルエステルは重合後、ポリマー鎖がポリビニルアルコールとなる。ポリビニルアルコールは古くから生体材料としても使用されており。安全性は高い。
糖含有共重合体
本発明における、繰り返し単位(A)及び繰り返し単位(B)を有する糖含有共重合体は、カチオン性基を有する単量体及び糖含有単量体を共重合することによって、得ることができる。また、本発明における、繰り返し単位(A)、繰り返し単位(B)及び繰り返し単位(C)を含有する共重合体は、カチオン性基を有する単量体、糖含有単量体及び疎水性置換基を有する単量体を共重合させることによって、得ることができる。
各単量体を共重合する方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、重合開始剤を用いるラジカル重合により行うことができる。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、アゾイソブチルニトリル(AIBN)等のアゾ系開始剤や有機過酸化物などを使用することができる。
糖含有共重合体における各繰り返し単位のモル比率は、所望の性質を有する糖含有共重合体又は核酸分子送達用担体を得ることを目的として、適宜設定することができる。
通常、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなる共重合体において、(A)と(B)とのモル比率は、A:B=1:99〜99:1程度、好ましくは10:90〜90:10程度、より好ましくはA:B=15〜85:50〜50、さらに好ましくはA:B=20〜80:30〜70である。
また、繰り返し単位(C)を有する場合、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)の総和に対する繰り返し単位(C)のモル比率は、A+B:C=99.9:0.1〜0.1:99.9程度、好ましくは99.5:0.5〜0.5:99.5程度である。なお、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)の総和(A+B)の各繰り返し単位(A),(B)の比率は、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)からなる共重合体の上記AとBの比と同じである。より好ましくは(A+B):C=99.5〜0.5:90〜10;さらに好ましくは(A+B):C=99.3〜0.7:95〜5である。
糖含有共重合体の分子量は、所望に応じて適宜設定し得るが、通常、重量平均分子量で10000〜1000000程度、好ましくは15000〜50000、より好ましくは20000〜50000程度である。
また、本発明の糖含有共重合体には、本発明の目的の範囲内で、繰り返し単位(A)、(B)又は(C)以外の他の繰り返し単位や構成単位を含めてもよい。
核酸分子送達用担体
本発明の核酸分子送達用担体は、上記本発明の糖含有共重合体を用いて形成される。
該核酸分子送達用担体における糖含有共重合体が、静電的作用によって核酸分子を凝縮し、核酸分子と複合体を形成する。この複合体が細胞に取り込まれ、核酸分子が細胞内に送達されることとなる。
糖含有共重合体と核酸分子との複合体を形成する方法は、公知の方法により適宜行うことができるが、例えば、核酸分子を含有する溶液と、糖含有共重合体を含有する溶液を混合することによって、調整することができる。
核酸が導入される細胞は、ヒトを含む哺乳動物細胞、昆虫細胞等の動物細胞、植物細胞、酵母、大腸菌などの細菌、真菌などが例示されるが、好ましくは動物細胞、特に哺乳動物細胞である。
細胞への導入は、本発明の細胞導入剤とDNA,RNAなどの核酸分子を細胞に作用させことで、実施可能である。細胞導入剤とDNA,RNAなどの核酸分子は、予め複合体を形成し、次に細胞に作用させて、核酸を導入してもよい。
複合体における糖含有共重合体と核酸分子の比率は、糖含有共重合体のカチオン基のモル数(C)のDNA又はRNAのリン酸基のモル数(A)に対する比率(以下、これをC/A比と言う)で表して、通常0.5以上であり、1.0以上が好ましく、さらに1.5以上が好ましい。
細胞には、高分子量のタンパク質などを細胞膜の一部で包み込んで取り入れるエンドサイトーシスという現象が存在することが知られている。エンドサイトーシスには、リガンドに対する特異性がない液相エンドサイトーシスとレセプターが介在したエンドサイトーシス(RME)がある。前者は非特異的であり取込速度が遅いため細胞内への物質輸送としては有用性が低いが、後者は低濃度のリガンドを認識して効率よく細胞内に取り込むためにこの機構を利用した核酸分子用送達担体の応用性は高い。RMEは、肝臓、腎臓、小腸、肺、筋肉、脂肪細胞、胎盤あるいは赤血球、白血球繊維など、多くの細胞に存在する機構であることが知られている。それぞれの細胞によってリガンドは異なっているが、肝臓実質細胞のガラクトースやN−アセチルガラクトサミン介在性の取込みや肝臓非実質細胞のマンノース介在性の取込みが良く知られている。本発明の核酸分子送達用担体は、このようなレセプターを介在したエンドサイトーシス(RME)による核酸分子送達に、特に適したものである。
本発明の核酸分子送達用担体により運ばれる核酸分子の種類は特に限定されず、例えば、DNA又はRNAなどが挙げられる。より具体的には、特定の蛋白質をコードする遺伝子やアンチセンスDNA、プラスミド、当該遺伝子を含む発現コンストラクト、iRNAなどが挙げられる。
本発明の核酸分子用送達担体は、特に遺伝子の送達用担体として好適に用いることができる。本発明の核酸分子用送達担体により運ばれた遺伝子は、細胞内に送達された後、高い効率で遺伝子発現が行われる。
特に、疎水性繰り返し単位(C)を有する共重合体は、細胞に導入後に細胞内で核酸と導入剤が分離し、導入された核酸の発現効率が高くなるため、特に好ましい。
以下、実施例、実験例及び比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。
例1:
ポリ(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド-co-6-O-ビニルアジポイル-D-ガラクトース)Poly(dimethylaminopropylacrylamide-co-6-o-vinyladipoil-D-galactose)
又はポリ(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド-co-6-O-ビニルアジポイル-D-グルコース)Poly(dimethylaminopropylacrylamide-co-6-o-vinyladipoil-D-glucose)を用いて形成された核酸分子送達用担体による遺伝子発現例。
(1−1)糖含有共重合体の合成
Poly(dimethylaminopropylacrylamide-co-6-o-vinyladipoil-D-galactose)(ポリ(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド-co-6-O-ビニルアジポイル-D-ガラクトース))を以下のように作成した。
DMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)と6-O-vinyladipoyl-D-galactose (6-O-ビニルアジポイル-D-ガラクトース)をモノマーとして用い、2,2-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylbaleronitrile)(AMDVN)を開始剤として1.0mol%加え、Dimethylsulfoxide(DMSO)を溶媒として全量を1mlとした。密栓できる、すりつき試験管にそれらを仕込み、三方コックで栓をして液体窒素で凍結させてから、試験管内を三回窒素置換させた。これをもう一度室温に戻して融解させ、再び凍結させて窒素置換を繰り返した。この操作を合計三回繰り返し行った後、凍結させずにそのまま真空ラインを用いて脱気した。その後、真空状態で60℃のウォーターバスに4時間浸し、反応させた。4時間後、分子量1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で24時間透析した。24時間後、ガラスチューブに入れて凍結乾燥し、ポリマー粉末を得た。DMAPAAと6-O-vinyladipoyl-D-galactoseのモノマーの仕込み比は、20 : 80, 35 : 65, 50 : 50, 65 : 35, 80 : 20 (単位は全て mol%)とし、各場合について、同様の操作を行った。
得られたガラクトース含有共重合体の分子量、繰り返し単位のモル比及び収率を以下の表1に示す。以下、ポリマーにおける繰り返し単位のモル比は、1H-NMR測定によって求められる積分値によって計算した。1H-NMR測定は、乾燥したポリマーを10mgはかり採り、700μlのD2Oに溶かして200MHzの1H-NMR装置を用いて行った。また、ポリマーの重量平均分子量は、GPC測定により、乾燥したポリマーの濃度5mg/ml溶液をそれぞれ調製し、1/15Mリン酸バッファー(pH=7.42)を移動相として流速0.5ml/min、カラム温度40℃で20μlインジェクトして、プルラン(pullulan)を標準サンプルとして用いて、測定した。
また、ガラクトース含有単量体に代えて、グルコース含有単量体(6-O-vinyladipoyl-D-gulcose (6-O-ビニルアジポイル-D-グルコース))を用いる以外は、上記と同様にして、グルコース含有共重合体を得た。
得られたグルコース含有共重合体の分子量、及び繰り返し単位のモル比を以下の表2に示す。
(1−2)核酸分子と糖含有共重合体との複合体の形成と確認
核酸分子として、プラスミドpCMV-Luc(プロメガ社)を用いた。
上記(1-1)で作成した糖含有共重合体2.4mgを1000μlのD-MEM培地に溶解してストック溶液を作製した。このストック溶液5μlとpCMV-Luc溶液45μl(pCMV-Lucを100ng含有)を混合することで、C/A(Cation/Anion)比=50とした。ストック溶液を段階希釈し、同濃度のpCMV-Luc溶液と混合して、C/A比の異なる試料溶液(C/A比=0.5、1、1.5、2、3、4、5)を調製した。
種々のC/A比で混合した糖含有共重合体と核酸分子との複合体(Complex)形成は、次のように、0.8%アガロースゲル電気泳動を用いることによって確認した。Ethydium bromide(EtBr)を含む0.5×TBE溶液を用いて0.8%アガロースゲルを作製した。C/A=0.5、1、1.5、2、3、4及び5 のポリマー(D40glu60, D42gal58)溶液10μl 、pCMV-Luc(200ng/μl) 1μl 及び BPB溶液2μl を混合して13μl とし、37℃で30分間放置した。30分後、サンプルをスロットにアプライし、泳動バッファーを0.5×TBE with EtBr として100Vで30分間電気泳動した。
(1−3)複合体による遺伝子発現実験
肝細胞HepG2細胞と腎上皮細胞COS-1細胞に対する、pCMV-Luc-ガラクトース含有ポリマー複合体とpCMV-Luc-グルコース含有ポリマー複合体を用いた場合における遺伝子発現効率とC/A比の関係を調べた。
遺伝子発現効率は、以下のように測定した。
核酸分子送達用担体としては、上記(1-2)で作製したプラスミドDNA(pCMV-Luc)と糖含有共重合体(D40glu60,D42gal58)との複合体、即ち、pCMV-Luc-ガラクトース含有ポリマー(Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)(D42gal58)複合体と、pCMV-Luc-グルコース含有ポリマー(Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose) (D40glu60))複合体を用いた。
核酸分子を送達する細胞としては、ヒトの肝癌細胞であるHepG2細胞とミドリザルの腎上皮細胞であるCOS-1細胞を用いた。
96well plateに1×104cells/wellずつ播種して接着させたCOS-1細胞とHepG2細胞に、complexを50μl/well添加し、200μMクロロキン溶液(FBS free)を50μl/well添加して8時間インキュベートさせた。8時間後、PBSで洗浄して、D-MEM(10%FBS)を100μl/well添加し、さらに40時間インキュベートさせた。40時間後、PBSで洗浄して細胞溶解液(Triton X-100など)50μl/wellを添加し、37℃で30分間放置後、それを20μlずつ取り出して蛍光基質液(ATP, D-Luciferinなどを含有)100μl入ったビンに入れ、ミルカウンターでLuciferase活性によって細胞への遺伝子発現効率を測定した。
肝細胞HepG2細胞に対する結果を図1(A)に、腎上皮細胞COS-1細胞に対する結果を図1(B)に示す。
その結果、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)を用いた核酸分子送達用担体は、ガラクトースレセプターを有する肝細胞HepG2細胞において高い遺伝子発現効率を示すことが明らかになった(図1(A))。また発現効率は、C/A=1.5〜2で高い値を示していた。一方、COS細胞に対する同様の実験を行った結果では、取り込み促進は見られなかった(図1(B))。HepG2細胞にはガラクトースレセプターが存在するが、COS細胞にはガラクトースレセプターが存在しないため、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)は、ガラクトースレセプターに基づくレセプター介在により細胞特異的に遺伝子を発現できた可能性が高いと考えられた。
これに対し、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)を用いた核酸分子送達用担体は、HepG2細胞においては、取込促進作用が見られなかったが、COS細胞においては、取込促進作用が認められた(図1(A)及び(B))。
(1−4)細胞に対する毒性評価
また、DC protein法によるタンパク定量を行うことによって細胞への毒性も検討した。タンパク定量はLowry法に基づいて行った。
各ポリマー(Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)(D42gal58)及び(Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose) (D40glu60))について毒性の比較を行った結果を図2に示す。細胞が死んだ場合、プレートから細胞が剥がれ落ちるため、タンパク量は減るが、図2に示されるように、どちらのポリマーを用いた実験でも総タンパク量は変化しなかった。この結果、どちらのポリマーもほとんど毒性はなく、毒性による発現効率への影響はないと考えられた。
(1−5)糖添加による競争阻害実験
次いで、遺伝子の取込みがガラクトースレセプター介在によるものであるかを確認する為に 上記(1-3)の遺伝子発現実験において、D-galactose を添加して、糖添加による競争阻害実験を行うことにした。Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)がガラクトースレセプターを介してHepG2細胞へ導入されているならば、ガラクトースレセプターに対してD-galactose の結合が競合するために、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)がレセプターに結合しにくくなり、D-galactose添加により、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)のHepG2細胞への遺伝子発現効率は下がると考えられる。
実験には、高い遺伝子発現効率を示したPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)のC/A = 2のものを用いた。
糖添加による競争阻害実験は以下のように行った。
96wellplate に 1×104cells/well ずつ播種して接着させたCOS-1細胞とHepG2細胞に、種々の濃度のD-galactose、あるいはD-glucose を5μl/well加え、プラスミドDNA(pCMV-Luc)とポリマーとのcomplexを50μl/well添加した。そこへ、200μMクロロキン溶液(FBS free)を55μl/well添加して8時間インキュベートした。8時間後、PBSで洗浄して、D-MEM(10%FBS)を 100μl/well添加し、さらに40時間インキュベートした。Luciferase活性を測定することによって遺伝子発現効率を調べた。
HepG2細胞へのPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)(D42Gal58)の遺伝子発現効率におけるガラクトース添加による競争阻害実験の結果を図3に示す。
その結果、図3に示されるようにガラクトース添加によってPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)のHepG2細胞への遺伝子発現効率は20%程度にまで減少した。
(1−6)RIによる遺伝子の取込位置の測定
次に、糖添加の存在における遺伝子の取り込みの仕組みにおいて、遺伝子が核内へ取り込まれているのか、細胞質に留まっているのかを明らかにするために、糖添加による競争阻害条件下での32P-pCMV-Luc活性を測定し、核への取り込み量を調べた。糖添加による競争阻害条件は、上記(1-5)と同様にした。
(1)32P-pCMV−Lucのラベル化
ニックトランスレーション法によりα-dCTP-32PをpCMV-Lucにラベル化した。
(2)32P-pCMV-Lucによる取り込み量測定
液体シンチレーションカウンターによって細胞内へ導入された32P-pCMV-Lucの放射能活性を測定し、核及び細胞質内への取り込み量を測定した。96well plate に 1×104cells/wellずつ播種して接着させたCOS-1細胞とHepG2細胞へ、様々な濃度のD-galactose、あるいはD-glucoseを加え、形成させた32P-pCMV-Lucとポリマー(D40glu60, D42gal58)とのcomplexを50μl/well添加した。そこへ、200μMクロロキン溶液(FBS free)を50μl/well添加して8時間インキュベートした。8時間後、PBS溶液で洗浄し、トリプシン溶液を添加して細胞を剥離させた後、SDS溶液を添加して細胞を溶解した。遠心分離後、上清と沈殿とを分け、それぞれ液体シンチレーションカクテルへ入れて、液体シンチレーションカウンターによって細胞内へ導入された32P-pCMV-Lucの放射能活性を測定した。このときの上清を細胞質(Cytoplasm)への取り込み量、沈殿を核(Nuclear)への取り込み量とした。
図4にPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)(D42Gal58)を用いたcomplexによるHepG2細胞への遺伝子取り込みとガラクトースの影響を調べた結果を示す。
図4に示されるように、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)の核内取り込みは、HepG2細胞においてC/A比が高くなるにつれて取り込み量も増加していた。また、細胞質内への取り込み量も、C/A比が高くなるにつれて上昇していた。
前記図1の実験結果に示されるように、遺伝子の発現効率は、C/Aが1.5から2で最高値になっている。これに対し、図4の実験結果に示されるように、細胞内への遺伝子取り込み量は、C/A>1.5においても増加している。この結果から、発現効率と、ポリマーと遺伝子の複合体の取り込みには、単純な相関関係がなりたたないものと考えられた。
また、D-galactoseを添加することによってPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)を用いた場合における、32P-pCMV-Lucの取り込み量の減少がみられた。
このように、ガラクトース添加により細胞への遺伝子取り込み量が減少している結果は、HepG2細胞におけるPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)を用いた遺伝子取り込みが、ガラクトースレセプター介在性の取り込みであることを示すものと考えられた。
また、図5にPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)(D40glu60)を用いたcomplexによるHepG2細胞へのDNA取り込みとグルコースの影響を調べた結果を示す。
図5に示されるように、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)は、HepG2細胞においてC/A比が高くなるにつれて細胞内への取り込み量は増加したが、核への取り込みは低い値を示した。
また、D-glucoseを添加することにより、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)を用いた場合における、32P-pCMV-Lucの取り込み量はあまり変化しなかった。
このことから、HepG2細胞におけるPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)を用いた場合の遺伝子取り込みは、ガラクトースレセプター介在性のエンドサイトーシスではなく、細胞の非特異的な取り込みであるエンドサイトーシスにより取り込まれているものと考えられた。
糖の種類による取り込みの機構の違いについて明瞭にするために、図6にHepG2細胞におけるPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)(D42Gal58)とPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)(D40Glu60)により導入した遺伝子の細胞質への取り込み量、そして、核への取り込み量の比率について、C/A比が異なる場合の結果を図示した。
この結果から、D40Glu60によりレセプターを介さずに細胞質内に取り込まれたと考えられる遺伝子は、C/A比の違いに関わらず、ほとんどが細胞質に留まり、核への移行性が低いことが分かった。一方、D42Gal58によりガラクトースレセプターを介して取り込まれたと考えられる遺伝子は、C/A比の違いに関わらず、ほとんどが細胞質から核へ移行することが分かった。この結果から、レセプター介在型によるエンドサイトーシスにより取り込まれた複合体(complex)は、核内への移行性が高いと考えられた。
例2:
Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose-co-stearyl)又はPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl) を用いて形成された核酸分子送達用担体における遺伝子発現例。
遺伝子の細胞内への取り込み量の増加にともなって、遺伝子発現効率も増加すると考えていたが、図1及び図4に表される実験結果に示されるように、遺伝子取り込み量と遺伝子発現効率との間には相関性が見られないことが明らかになった。これは、C/A比が上昇するにつれて取り込み量は増加する一方で、DNA-ポリマー複合体(ポリプレックス)からDNAが解離しにくくなり、そのため、転写・翻訳も困難になり、その結果、遺伝子の発現効率も低下する可能性が考えられた。そこで、アニオン分子によるポリプレックスからのDNAの解離を検討した(図7参照)。そして、疎水性置換基を有する単量体を用いて共重合体を合成することによって、ポリマーの形状を変化させることにより、ポリプレックスからのDNAの解離の変化を調べてみることにした。
すなわち、カチオン性繰り返し単位及び糖含有繰り返し単位を有するポリマーに、更に疎水性置換基であるstearyl基を有する繰り返し単位を導入した共重合体、具体的には、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose-co-stearyl)とPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl- D-galactose-co-stearyl) を合成し、これらのポリマーを用いることによって、アニオン分子によるポリプレックスからのDNAの解離能と遺伝子の発現効率との相関性を比較した。
(2−1)Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl)と Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose-co-stearyl)の合成
カチオン性基を有する単量体としてDMAPAA、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-glucose又は6-O-vinyladipoyl-D-galactose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてステアリルアクリレート(stearylacrylate)を用い、実験例における共重合体の合成と同様の方法で重合反応を行った。モノマー全体の濃度を0.5×10-3molとし、モノマーの仕込み比をDMAPAA : 6-O-vinyladipoyl-D-glucose(又は6-O-vinyladipoyl-D-galactose) : stearylacrylate = 35 : 65 : 1(単位は全てmol%)とした。開始剤2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile)(AMDVN)を1.0mol%加えて、DMSOを溶媒として全量を1mlとした。密栓できる、すり付き試験管にそれらを仕込み、三方コックで栓をして液体窒素で凍結させてから、試験管内を三回窒素置換させた。これをもう一度室温に戻して融解させ、再び凍結させて窒素置換を繰り返す。この操作を合計三回繰り返して行った後、凍結させずにそのまま真空ラインでひいて脱気した。その後、真空状態で60℃のウォーターバスに4時間浸し、反応させた。4時間後、分子量1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で24時間透析した。24時間後、ガラスチューブに入れて凍結乾燥した。
得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率について、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl)は表3に、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose-co-stearyl)は表4に示す。
(2−2)DNA解離能の確認
Poly(DMAPAA-o-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl(D50gal49s1)とDNAとのcomplex、及びPoly(DMAPAA-o-6-O-vinyladipoyl- D-glucose(D38glu61s1)) とDNAとのcomplexに、アニオン分子であるpotassium polyvinyl Sulfate Solution (PVSK)を添加し、complexからのDNAの解離能をアガロースゲル電気泳動によって確認した。すなわち、Poly(DMAPAA-o-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl)とDNA (pCMV-Luc)とのcomplex(C/A比=0.5, 1, 1.5, 2, 3, 4, 5, 10)とPoly(DMAPAA-o-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)とDNA(pCMV-Luc)とのcomplex(C/A比=0.5, 1, 1.5, 2, 3, 4, 5, 10)を各5μlずつとり、1μlのpCMV-Luc(200μg/μl)と混合して、37℃で30分間放置したものに、等モル量のPVSKを各3.88μl添加し、37℃で30分間放置した。コントロールとして1μlのpCMV-Luc(200μg/μl)にD-MEMを5μl、TEを3.88μl添加したものと、1μlのpCMV-Luc(200μg/μl)に各C/A比のポリマー溶液を5μl、TEを3.88μl添加したものを、電気泳動した。
(2−3)Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl) (D50gal49s1)を用いた遺伝子発現効率の測定
DNAの解離能と遺伝子の発現効率との相関性を確認する為に、D50gal49s1を用いて遺伝子導入を行うこととした。プラスミドDNA (pCMV-Luc)とポリマーとのcomplexを形成させた。96well plateに1×104 cells/wellずつ播種して接着させたCOS-1細胞とHepG2細胞へ、complexを50μl/well添加し、200μMクロロキン溶液(FBS free)を50μl/well添加して8時間インキュベートさせた。8時間後、PBSで洗浄して、D-MEM(10%FBS)を100μl/well添加し、さらに40時間インキュベートさせた。40時間後、PBSで洗浄して細胞溶解液(Triton X-100など)50μl/well添加し、37℃で30時間放置後、それを20μlずつ取り出して発光基質液(ATP,D-Luciferinなど)100μl入ったビンに入れ、ミルカウンターでLuciferase活性による細胞への遺伝子発現効率を測定した。
同様に、Poly(DMAPAA-co-6-o-vinyladipoil-D-galactose)(D42gal58)、Poly(DMAPAA-co-6-o-vinyladipoil-D-glucose)(D40glu60)、Poly(DMAPAA-co-6-o-vinyladipoil-D-glucose-co-stearyl)(D38glu61s1)の共重合体を用いて遺伝子発現効率の測定を行った。
具体的には、上記4種の共重合体とpCMV-Lucとの複合体によりHep2細胞への遺伝子取り込みを行った場合のルシフェラーゼの発現効率とC/A比の関係を調べた。結果を図8に示す。
図8に示される結果から、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose) (D42Gal58)を用いた場合には、核への移行性はC/A比の上昇にしたがって向上するが、C/A=1.5で発現効率がピークになることがわかった。
一方、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl)を用いた場合には、C/A比が高くなるにつれてHepG2細胞における遺伝子の発現量が増加した。
このことから、HepG2細胞におけるガラクトース含有共重合体を用いた遺伝子送達の場合、遺伝子取り込みの量はC/A比の上昇に伴って向上するが、DNAを解離しにくい場合には、C/A=1.5で遺伝子の発現効率がピークになってしまうことが示唆された。
(2−4)アニオン分子の添加によるDNAの解離
さらに、pCMV-Luc-Gal58(pCMV-Luc-D42Gal58)複合体及びpCMV-Luc-Gal49(s)(pCMV-Luc-D50Gal49s1)複合体からのPVS(Poly(vinylsulfate))存在下での遺伝子の遊離を調べた。遺伝子の遊離は、上記(2−2)DNA解離能の確認と同様の方法で行った。結果を図9に示す。
C/A=1.5の時、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)(D42gal58)は、アニオン分子を添加していない時はスロット内に留まっているが、アニオン分子を添加するとDNAが解離し、スロットから流れだしたバンドを確認することができた。C/A=2では、解離して流れ出したDNAのバンドを確認することはできるが、C/A=1, 1.5 の時のバンドと比べると、非常に薄くなっていた。さらにC/A比が上昇すると、解離してスロットから流れ出したDNAのバンドを確認することはできなかった。このことから、発現効率がC/A=1.5のとき最高値を示すのは、やはりこのDNAの解離能と関係があるのではないかと示唆される。一方、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl)(D50gal49s1)では、C/A=10のときでも、アニオン分子を添加することによって、解離してスロットから流れ出したDNAを確認することができた。
これらの結果から、DNAの解離能が発現効率と関係があるのならば、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose-co-stearyl)を用いることによって、C/A比の上昇に伴って発現効率も上昇すると考えられる。
例3:糖含有共重合体の合成
(1)メチルガラクトシド含有ポリマー
Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside-co-stearylacrylate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside、そして、疎水性置換基を有する単量体としてstearylacrylate(ステアリルアクリレート)を用いた。単量体全体の濃度を0.5×10-3molとし、仕込み比をそれぞれカチオン性基:糖:疎水性=50:50:1(単位はすべてmol%)とした。開始剤2,2’-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile) (AMDVN)を1 mol%加えて、DMSOを溶媒としてガラスアンプル中で全量を1mlとした。脱気封かんし、60℃で24時間反応した。分子量1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で24時間透析し、凍結乾燥した。得られたパウダーをアセトンで洗浄し、真空下乾燥しポリマーを得た。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside-co-vinylstearate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylstearate(ステアリン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside-co-vinylpalmitate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylpalmitate(パルミチン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEA-co-6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside-co-stearyl)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEA(ジメチルアミノエチルアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside、そして、疎水性置換基を有する単量体としてstearylacrylate(ステアリルアクリレート)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEA-co-6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside-co-vinylstearate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEA(ジメチルアミノエチルアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylstearate(ステアリン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEAA-co-6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside-co-vinylpalmitate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEA(ジメチルアミノエチルアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-methyl-D-galactoside、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylpalmitate(パルミチン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。
(2)マンノース含有ポリマー
Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-mannose-co-stearylacrylate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-mannose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてstearylacrylate(ステアリルアクリレート)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。
Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-mannose-co-vinylstearate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-mannose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylstearate(ステアリン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。
Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-mannose-co-vinylpalmitate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-mannose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylpalmitate(パルミチン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEMA-co-6-O-vinyladipoyl-D-mannose-co-stearylacrylate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEMA(ジメチルアミノエチルメタアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-mannose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてstearylacrylate(ステアリルアクリレート)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEMA-co-6-O-vinyladipoyl-D-mannose-co-vinylstearate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEMA(ジメチルアミノエチルメタアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-mannose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylstearate(ステアリン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEMA-co-6-O-vinyladipoyl-D-mannose-co-vinylpalmitate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEMA(ジメチルアミノエチルメタアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-mannose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylpalmitate(パルミチン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

(3)マルトース含有ポリマー
Poly(DMAEA-co-6-O-vinyladipoyl-D-maltose-co-stearylacrylate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEA(ジメチルアミノエチルアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-maltose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてstearylacrylate(ステアリルアクリレート)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEA-co-6-O-vinyladipoyl-D-maltose-co-vinylstearate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEA(ジメチルアミノエチルアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-maltose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylstearate(ステアリン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEA-co-6-O-vinyladipoyl-D-maltose-co-vinylpalmitate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEA(ジメチルアミノエチルアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-maltose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylpalmitate(パルミチン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

(4)トレハロース含有ポリマー
Poly(DMAEMA-co-6-O-vinyladipoyl-D-trehalose-co-stearylacrylate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEMA(ジメチルアミノエチルメタアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-trehalose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてstearylacrylate(ステアリルアクリレート)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEMA -co-6-O-vinyladipoyl-D-trehalose-co-vinylstearate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEMA(ジメチルアミノエチルメタアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-trehalose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylstearate(ステアリン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

Poly(DMAEMA -co-6-O-vinyladipoyl-D-trehalose-co-vinylpalmitate)
カチオン性基を有する単量体としてDMAEMA(ジメチルアミノエチルメタアクリレート)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-trehalose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinylpalmitate(パルミチン酸ビニルエステル)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。

(5)グルコース含有ポリマー
Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose-co-vinyladipoyl-cholesterol)
カチオン性基を有する単量体としてDMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、糖を含有する単量体として6-O-vinyladipoyl-D-mannose、そして、疎水性置換基を有する単量体としてvinyladipoyl-cholesterol(3-ビニルアジポイルコレステロール)を用い、上と同様の方法で反応した。得られたポリマーの分子量、繰り返し単位のモル比及び収率については下の表に示す。
3-ビニルアジポイルコレステロールは、以下のように合成した。
(1)溶媒の検討
コレステロール485mg、ジビニルアジピン酸0.95mlを溶かしたテトラヒドロフラン5mlに、酵素(LIP-301)500mgを加えて、室温で6日間振とうした。反応液を薄層クロマトグラフィー(展開溶媒としてヘキサン:酢酸エチル=9:1硫酸発色)で調べ生成物の有無を確認した。結果を表5に示す。
a0.5M濃度(++++:よく溶ける、−:溶けにくい)、bTLCで確認(+:生成物有り、−:生成物無し)
(2)酵素の検討
コレステロール485mg、ジビニルアジピン酸0.95mlにトルエン、DMSO、DMF、ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフランをそれぞれ5ml加え、酵素としてはCandida Antarctica 由来のlipase:Novozyme435(Novo)、Pseudomonas sp.由来のリパーゼ:LPL-311(東洋紡績)、LPL-311の固定化酵素:LIP-301(東洋紡績)、ぶた膵臓由来リパーゼ:L-3126(シグマ)、Bacillus subtilis由来のアルカリ性プロテアーゼ:Bioprase conc.(長瀬)、Streptomyces sp.由来のアルカリ性プロテアーゼ:ALP-101(東洋紡績)それぞれ500mgを添加、室温で6日間振とうした。反応液を薄層クロマトグラフィー(展開溶媒としてヘキサン:酢酸エチル=9:1硫酸発色)で調べ生成物の有無を確認した。結果を図10Aに示す。
(3)ジビニルアジピン酸濃度の検討
コレステロール485mg、コレステロールに対して3倍モル、2倍モル、1.5倍モル、1.1倍モルになるように加えたジビニルアジピン酸を溶かしたテトラヒドロフラン5mlに、酵素(LIP-301)500mgを加えて、室温で6日間振とうした。反応液を薄層クロマトグラフィー(展開溶媒としてヘキサン:酢酸エチル=9:1硫酸発色)で調べ生成物の有無を確認した。結果を図10Bに示す。
(4)スケールアップ合成
コレステロール2.228g、ジビニルアジピン酸4.36mlを溶かしたテトラヒドロフラン23mlに、リパーゼ(LIP-301)2.3gを加えて、室温で一晩振とうした。反応後、反応液をろ過し不溶の酵素を除去した後、溶媒を濃縮し、シリカゲル50gをつめたカラムに、溶離液としてヘキサン:酢酸エチル=20:1を用いて目的物であるエステル体の油状生成物2.5gを得た。
SA: stearylacrylate(ステアリルアクリレート)、SV: vinylstearate(ステアリン酸ビニルエステル)、PV: vinylpalmitate(パルミチン酸ビニルエステル)、CholV: vinyladipoyl-cholesterol(3-ビニルアジポイルコレステロール)

合成例1:
(1)固定化リパーゼによるモノアクリロイルα−シクロデキストリンの合成
α−シクロデキストリン(ナカライテスク製)10gをDMF50mlに溶解し、固定化リパーゼ(LIP 東洋紡製)1gおよびモレキュラーシーブ3Aを8g加え、2時間撹拌した。アクリル酸ビニル2mlを加え、48時間、室温で撹拌した。反応終了後、ハイフロースーパーセル(ナカライテスク製)で濾過し、さらにカートリッジフィルター(MINISART SRP 15 、ザルトリウス製)で濾過後、酢酸エチル300mlを加え、モノアクリロイルα−シクロデキストリンの白色の沈殿物5gを得た。
(2)Poly(DMAPAA-co-acryloyl a-cyclodextrin-D-galactoside-co-stearyl)の合成
DMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、acryloyl a-cyclodextrin、stearylacrylate(ステアリルアクリレート)を用いた。単量体全体の濃度を0.5×10-3molとし、仕込み比をそれぞれカチオン性基:糖:疎水性=50:50:1(単位はすべてmol%)とした。開始剤2,2’-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile) (AMDVN)を1mol%加えて、DMFを溶媒としてガラスアンプル中で全量を1mlとした。脱気封かんし、60℃で24時間反応した。分子量1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で24時間透析し、凍結乾燥した。得られたパウダーをアセトンで洗浄し、真空下乾燥しポリマーを得た。
合成例2:
・ 固定化リパーゼによるビニルアジポイルα−シクロデキストリンの合成
α−シクロデキストリン(ナカライテスク製)10gをDMF50mlに溶解し、固定化リパーゼ(LIP 東洋紡製)1gおよびモレキュラーシーブ3Aを8g加え、2時間撹拌した。アジピン酸ジビニル2mlを加え、48時間、室温で撹拌した。反応終了後、ハイフロースーパーセル(ナカライテスク製)で濾過し、さらにカートリッジフィルター(MINISART SRP 15 、ザルトリウス製)で濾過後、酢酸エチル300mlを加え、ビニルアジポイルα−シクロデキストリンの白色の沈殿物5gを得た。
(2)Poly(DMAPAA-co-vinyladipoyl a-cyclodextrin-D-galactoside-co-stearyl)の合成
DMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、vinyladipoyl a-cyclodextrin、stearylacrylate(ステアリルアクリレート)を用いた。単量体全体の濃度を0.5×10-3molとし、仕込み比をそれぞれDMAPAA:vinyladipoyl a-CD:stearylacrylate=50:50:1(単位はすべてmol%)とした。開始剤2,2’-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile) (AMDVN)を1mol%加えて、DMFを溶媒としてガラスアンプル中で全量を1mlとした。脱気封かんし、60℃で24時間反応した。分子量1万カットの透析膜に入れ、純水中室温で24時間透析し、凍結乾燥した。得られたパウダーをアセトンで洗浄し、真空下乾燥しポリマーを得た。
試験例1
例3と同様に合成したステアリル基(S)含量(0%、2%、3%、10%、13%)のガラクトースを糖残基として有するRITCラベルしたポリマー(Poly(DMAPAA-co-6-vinyladipoyl -D-galactoside-co-stearyl(S含量は0%);
Poly(DMAPAA-co-6-vinyladipoyl -D-galactoside-co-stearyl)(S含量は2%))
を使用して、FITCラベルしたDNAと複合体(complex)を形成した。該複合体にポリビニル硫酸カリウム塩(PVSK)を作用させて、DNAの遊離の有無を確認した。結果を図11に示す。
疎水性基としてステアリル基を含有しないカチオン基、ガラクトース基のみからなるポリマーでは、AFM画像とした確認できなかったことから直鎖状になっているものと思われた(S content=0)。このとき、アガロース電気泳動からアニオン性ポリマーPVSK添加でもDNAの遊離は確認されなかった。一方、2mol%以上のステアリル基を導入した場合、ポリマーのみあるいはDNA複合体を形成した場合のいずれにおいても粒子状になっていることがAFMから確認された。さらに、アガロース電気泳動からステアリル含量が多いほど、遊離しやすい現象が見られた。
このFITCラベルしたDNAとRITCラベルしたポリマーの複合体にポリビニル硫酸カリウム塩(PVSK)を作用させて、DNAの遊離の有無を確認した。結果を図11下段に示す。図11に示されるように、ステアリル基(S)含量が上がるほど、DNAが遊離されやすいことを確認した。
さらに、該複合体のHepG2細胞を用いた遺伝子導入をFRET解析することにより、実際の細胞内においてDNAが遊離することを確認した(図12)。ステアリル基を含まないポリマー(Gal-D-A)においては、細胞のFITCの励起波長(495nm)で励起した場合、RITCの蛍光が増大したことから、FRETが確認され、DNAとポリマーが細胞内でも複合体を形成したままであることが分かった。一方、ステアリル基を含有したポリマーでは、 FITCの励起波長(495nm)でFITCの蛍光が見られ、FRETが生じなかった。このことから、これらのポリマーにおいては、細胞内でも効果的にDNAが遊離していることが確認された。
図1は、(A)HepG2細胞へのpCMV-Lucと糖含有共重合体との複合体、及び(B)COS細胞へのpCMV-Lucと糖含有共重合体との複合体による、ルシフェラーゼの発現効率とC/A比の関係を調べた結果を示す図面である。PEIはポリエチレンイミン(Polyethyleneimine)を示す。 図2は、DC protein法によるタンパク定量を行うことによって、ポリマーの細胞に対する毒性を検討した結果を示す図面である。 図3は、HepG2細胞への遺伝子発現効率に及ぼすガラクトースの影響を調べた結果を示す図面である。Poly-Galはガラクトース含有共重合体、Poly-gluはグルコース含有共重合体、PEIはポリエチレンイミン(Polyethyleneimine)を用いた場合を示す。 図4は、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)によるHepG2細胞へのDNA取り込みとガラクトースの影響を調べた結果を示す図面である。(A)は核内、(B)は細胞質内に対する取り込みの検討結果を示す。図4においてSugarはガラクトースを示す。 図5は、Poly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)によるHepG2細胞への DNA取り込みとグルコースの影響を調べた結果を示す図面である。(C)は核内、(D)は細胞質内に対する取り込みの検討結果を示す。図5においてSugarはグルコースを示す。 図6は、HepG2細胞に対しPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-galactose)及びPoly(DMAPAA-co-6-O-vinyladipoyl-D-glucose)により導入した遺伝子の核移行性の割合を示した図面である。 図7は、アニオン分子によるポリプレックスからのDNAの解離をモデル化した図面である。 図8はpCMV-Lucと各種糖含有共重合体との複合体を用いた場合におけるHepG2細胞へのルシフェラーゼの発現効率とC/A比の関係を示した図面である。 図9は、ガラクトース含有共重合体とpCMV-Luとの複合体のPVS存在下での遺伝子の遊離に関する図面である。 図10Aは、コレステリルエステル合成の酵素検討の結果を示す。 図10Bは、コレステリルエステル合成のDVA(ジビニルアジペート)の濃度の検討結果を示す。 図11は、ステアリル基(S)含量によるポリマーDNA複合体のAFM画像とアガロース電気泳動を用いたアニオンポリマー(PVSK)添加によるDNAの解離の確認を示す。 図12は、FRET解析による細胞内でのDNA解離の確認を示す。図12において、Gal-D-A (a) :ステアリル基を含まないポリマーGal-D-A-S (b) :ステアリル基を2〜10%含有するポリマー細胞:HepG2 cells. 、Excitation wavelength = 495nm, Bar = 20μm

Claims (10)

  1. 一般式(I)
    (式中、Rは、H又はCHを示す。
    Yは、−C(=O)O−(CH)ny−、−OC(=O)−(CH)ny−、―OC(=O)−(CH)ny−C(=O)、又は−CONH−(CH)ny−を示す。nyは1〜10の整数を示す。
    Zは、−NR(R及びRは、各々同一または異なって炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)、−N+(R、R及びRは、各々同一または異なって炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)、又は窒素含有複素環式基を示す。)
    で表されるカチオン性基を有する繰り返し単位(A)と、一般式(II)
    (式中、Rは、−H又は−CHを示す。
    Sugarは糖から1個のNH2(Sugarがアミノ糖のアミノ基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくはOH(Sugarが糖の水酸基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライド或いはポリサッカライドの場合)を除いた糖残基を示す。
    Xは、−C(=O)Z−、−C(=O)O−R−、−CONH−、−CONH−R−、−OC(=O)−R−C(=O)Z−、又は―Ph−R−Z−を示す。ここで、
    は−Ph−O−、又は−(CH)na−O−を示す。naは1〜10の整数を示す。
    は−Ph−O−、又は−(CH)nb−O−を示す。nbは1〜10の整数を示す。
    は−(CH)n−、又は−(CH)n−Ph−(CH)n−を示す。nは2〜18の整数を示す。
    は−CH−、又は−SO−を示す。
    は−O−または−NH−を示す。
    Phは(o-, m-またはp-)フェニレン基を示す。)。
    で表される糖(sugar)を含有する繰り返し単位(B)を有する糖含有共重合体
    (但し、上記一般式(I)で表される繰り返し単位が下記式(IA)
    (式中、nは1〜10の整数を示す。)
    で表される場合、一般式(IA)及び(II)で表される繰り返し単位のモル比率が1:9〜9:1であって、且つ、重量平均分子量が1×10〜5×10である糖含有共重合体を除く。)
    を含む核酸分子送達用担体。
  2. カチオン性基を有する繰り返し単位(A)、糖(Sugar)を含有する繰り返し単位(B)及び疎水性置換基を有する繰り返し単位(C)を有する糖含有共重合体を含み、該カチオン性基を有する繰り返し単位(A)が一般式(I)
    (式中、Rは、H又はCHを示す。
    Yは、−C(=O)O−(CH)ny−、−OC(=O)−(CH)ny−、―OC(=O)−(CH)ny−C(=O)、又は−CONH−(CH)ny−を示す。nyは1〜10の整数を示す。
    Zは、−NR(R及びRは、各々同一または異なって炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)、−N+(R、R及びRは、各々同一または異なって炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)、又は窒素含有複素環式基を示す。)
    で表され、糖(Sugar)を含有する繰り返し単位(B)が一般式(II):
    (式中、Rは、−H又は−CHを示す。
    Sugarは糖から1個のNH2(Sugarがアミノ糖のアミノ基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくはOH(Sugarが糖の水酸基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライド或いはポリサッカライドの場合)を除いた糖残基を示す。
    Xは、−C(=O)Z−、−C(=O)O−R−、−CONH−、−CONH−R−、−OC(=O)−R−C(=O)Z−、又は―Ph−R−Z−を示す。ここで、
    は−Ph−O−、又は−(CH)na−O−を示す。naは1〜10を示す。
    は−Ph−O−、又は−(CH)nb−O−を示す。nbは1〜10を示す。
    は−(CH)n−、又は−(CH)n−Ph−(CH)n−を示す。nは2〜18の整数を示す。
    は−CH−、又は−SO−を示す。
    は−O−または−NH−を示す。
    Phは(o-, m-またはp-)フェニレン基を示す。)。
    で表される、核酸分子送達用担体。
  3. 糖を含有する繰り返し単位(B)が、下記一般式(III)
    (式中、Sugarは糖から1個のNH2(Sugarがアミノ糖のアミノ基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライドまたはポリサッカライド場合)もしくはOH(Sugarが糖の水酸基で結合しているモノサッカライド、ジサッカライド或いはポリサッカライドの場合)を除いた糖残基を示し、mは2〜10の整数を示す。ZはOまたはNHを示す。)
    で表される繰り返し単位である請求項1又は2に記載の核酸分子送達用担体。
  4. カチオン性基を有する繰り返し単位(A)が、下記一般式(IV):
    (式中、nは1〜10の整数を示す。RおよびRは、同一または異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    で表される繰り返し単位である請求項1〜3のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
  5. 疎水性置換基を有する繰り返し単位(C)が、下記一般式(V)で表される繰り返し単位である請求項2〜4のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
    一般式(V):
    (式中、Rは、−H又は−CHを示す。
    Wは−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)−(CH)n−C(=O)O−、又は−C(=O)NHを示す。nは2〜18の整数を示す。
    は、炭素数3〜30の飽和または不飽和の脂肪族または脂環式の炭化水素基を示す。)
  6. 糖含有共重合体における繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)のモル比率がA:B=1:99〜99:1である、請求項1〜5のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
  7. 糖含有共重合体における繰り返し単位(A)+繰り返し単位(B)に対する繰り返し単位(C)のモル比率が(A+B):C=99.9:0.1〜0.1:99.9である、請求項2〜6のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
  8. 糖含有共重合体の重量平均分子量が10000〜1000000である請求項1〜7のいずれかに記載の核酸分子送達用担体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の核酸分子送達用担体を用いたトランスフェクション試薬。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の核酸分子送達用担体を用いた遺伝子治療用担体。
JP2004322853A 2003-11-07 2004-11-05 核酸分子送達用担体 Expired - Fee Related JP4701414B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004322853A JP4701414B2 (ja) 2003-11-07 2004-11-05 核酸分子送達用担体

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003379096 2003-11-07
JP2003379096 2003-11-07
JP2004138734 2004-05-07
JP2004138734 2004-05-07
JP2004322853A JP4701414B2 (ja) 2003-11-07 2004-11-05 核酸分子送達用担体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005341960A true JP2005341960A (ja) 2005-12-15
JP4701414B2 JP4701414B2 (ja) 2011-06-15

Family

ID=35494888

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004322853A Expired - Fee Related JP4701414B2 (ja) 2003-11-07 2004-11-05 核酸分子送達用担体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4701414B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015504968A (ja) * 2012-01-27 2015-02-16 ザ、リージェンツ、オブ、ザ、ユニバーシティ、オブ、カリフォルニアThe Regents Of The University Of California 糖ポリマーを用いた生体分子の安定化
WO2015133524A1 (ja) * 2014-03-07 2015-09-11 学校法人東京理科大学 細胞内送達用高分子担体
KR20190004769A (ko) * 2016-05-20 2019-01-14 오지 홀딩스 가부시키가이샤 패턴 형성용 자기 조직화 조성물 및 패턴 형성 방법

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10158331A (ja) * 1996-09-19 1998-06-16 Agency Of Ind Science & Technol 糖含有ポリマー及びその製造方法と活性酸素発生剤
JP2000080130A (ja) * 1998-09-04 2000-03-21 Agency Of Ind Science & Technol 両親媒性糖含有ポリマー、その製法およびその用途
JP2003306515A (ja) * 2002-02-18 2003-10-31 Nippon Fine Chem Co Ltd カチオン性共重合体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10158331A (ja) * 1996-09-19 1998-06-16 Agency Of Ind Science & Technol 糖含有ポリマー及びその製造方法と活性酸素発生剤
JP2000080130A (ja) * 1998-09-04 2000-03-21 Agency Of Ind Science & Technol 両親媒性糖含有ポリマー、その製法およびその用途
JP2003306515A (ja) * 2002-02-18 2003-10-31 Nippon Fine Chem Co Ltd カチオン性共重合体

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015504968A (ja) * 2012-01-27 2015-02-16 ザ、リージェンツ、オブ、ザ、ユニバーシティ、オブ、カリフォルニアThe Regents Of The University Of California 糖ポリマーを用いた生体分子の安定化
WO2015133524A1 (ja) * 2014-03-07 2015-09-11 学校法人東京理科大学 細胞内送達用高分子担体
JP2015168653A (ja) * 2014-03-07 2015-09-28 学校法人東京理科大学 細胞内送達用高分子担体
KR20190004769A (ko) * 2016-05-20 2019-01-14 오지 홀딩스 가부시키가이샤 패턴 형성용 자기 조직화 조성물 및 패턴 형성 방법
JPWO2017199521A1 (ja) * 2016-05-20 2019-02-07 王子ホールディングス株式会社 パターン形成用自己組織化組成物及びパターン形成方法
JP2019112643A (ja) * 2016-05-20 2019-07-11 王子ホールディングス株式会社 パターン形成用自己組織化組成物及びパターン形成方法
KR102188289B1 (ko) 2016-05-20 2020-12-08 오지 홀딩스 가부시키가이샤 패턴 형성용 자기 조직화 조성물 및 패턴 형성 방법
US11117996B2 (en) 2016-05-20 2021-09-14 Oji Holdings Corporation Self-assembly composition for pattern formation and pattern forming method

Also Published As

Publication number Publication date
JP4701414B2 (ja) 2011-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Tripathi et al. Linear polyethylenimine-graft-chitosan copolymers as efficient DNA/siRNA delivery vectors in vitro and in vivo
US9006193B2 (en) Polymeric carrier
CN102869774B (zh) 用于靶向递送siRNA的组合物
JP5755563B2 (ja) ミセル集合体
CN112111042B (zh) 一种生物磁性微球及其制备方法和使用方法
JP2011520901A (ja) 治療剤の細胞内送達のためのミセル
US10058620B2 (en) Dextran-peptide hybrid for efficient gene delivery
US8822550B2 (en) Temperature-, pH- or salt concentration-sensitive separation material and use thereof
Itagaki et al. Interaction between cells and poly (ethylene glycol)-lipid conjugates
Wang et al. Targeted siRNA delivery by anti-HER2 antibody-modified nanoparticles of mPEG-chitosan diblock copolymer
JP4701414B2 (ja) 核酸分子送達用担体
WO2018130282A1 (en) Star-like (guanidyl)x-oligosaccharidic compounds and conjugates or complexes thereof
Saha et al. Smart glycopolymeric nanoparticles for multivalent lectin binding and stimuli-controlled guest release
US20070059828A1 (en) Carrier for nucleic acid molecule delivery
WO2023276937A1 (ja) 細胞剥離剤および細胞分離方法
WO2019140001A1 (en) Pattern recognition receptor agonist prodrugs and methods of use thereof
Rathi et al. Biorecognition of sugar containing N‐(2‐hydroxypropyl) methacrylamide copolymers by immobilized lectin
KR101956450B1 (ko) Rna 특이적 전달용 나노입자 복합체 및 이의 제조방법
CN116115769B (zh) 一种磷酸核苷化蛋白质胞内递送体系及其制备方法与应用
JPH1045630A (ja) 新規なグラフト共重合体、それを用いた薬剤、及びそれを用いて薬物を特定細胞に取り込ませる方法
US20240150507A1 (en) Programmable polymer droplets and associated uses
Onishi et al. Dextran graft copolymers: Synthesis, properties and applications
CN113045682A (zh) 一种阳离子多糖及其制备方法与应用
JP2010163364A (ja) 四級化アミノ基を有する架橋ポリマー由来のポリマー微粒子と核酸の複合体
WO2015133524A1 (ja) 細胞内送達用高分子担体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071029

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101116

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110125

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4701414

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees