JP2005341839A - 散水幅自動可変制御装置およびそれを用いた散水システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一定の時間周期で送水量を自動的に変動させる流量調整弁、或いは流量調整バルブを有した流量自動可変装置が組み込まれた構造よりなる散水幅自動可変制御装置、好ましくは一定の時間周期で送水量を自動的に変動させる流量調整弁、或いは流量調整バルブを有した流量自動可変装置が組み込まれた本管と一定量の送水が常時なされる構造を有するバイパス管とから構成された散水幅自動可変制御装置、又はその装置と散水チューブを組み合わせた散水システム。
【選択図】 図2
Description
この場合、チューブの小孔は長尺方向及び幅方向の散水量分布を均一にするため、小孔のピッチ、孔径、およびチューブ幅方向の穿設位置(即ち、散水角度)が工夫されている。この時、長尺方向均一性は小孔の総面積と散水チューブ管径に主として依存し、チューブ幅方向の均一性は小孔のチューブ幅方向の穿設位置(即ち、散水角度)と孔径に主として依存する。
チューブ幅方向の良好な均一性を得るには幅方向に多数の穿設位置が必要で、一方、大きな散水幅を得るためには孔径の大きな小孔が必要であるが、このためには小孔の総面積が大きくなり長尺方向の均一性が著しく低下する。
そこで一般的にはチューブの長尺方向の均一性が優先され、また、小孔の穿設位置と大きさを優先して高度の穿孔設計を施した散水チューブを採用しても、幅方向の均一性の達成には限界がある。
また、同様に、狭いハウス内での散水の場合で、アスパラ栽培のように、作物自身には飛水した散水が直接かからないような根元散水を行う必要がある場合には、0.1〜2.0m程度に限定しての狭幅付近で均一散水を施す必要があり、ハウスのサイド部や天井部にチューブ真上斜め方向に飛水した散水が接触しないで行うことは物理的制約から均一散水を達成することが困難なケースがある。
本発明の目的は、この原理に着目して、散水チューブの散水量分布の均一性において、高精度の穿孔設計された高品位の散水チューブを採用しなくても、また、高さ制限のある散水環境条件下においても、特定の構造を有した散水幅自動可変制御装置を考案することで、散水チューブの幅方向の均一散水性を達成するような制御装置、および散水システムを提供することにある。
更に請求項2記載の散水幅自動可変制御装置、及び本装置と散水チューブを組み合わせた散水システムによれば、絶えず一定量以上の送水環境を確保でき、送水圧力の変動挙動が均一で連続的に発現できることから、散水チューブの幅方向の散水量分布の更なる均一性を達成することができる。
本発明において、本制御装置は水源、ポンプ、送水管、散水チューブの順で構成される散水装置において、送水管の中に組み込まれ、正確には、図1、図2に示すような水源+ポンプ+送水管+本制御装置+送水管+散水チューブの構成を採る。
この場合、本制御装置は、図3に示すように、送水管と本制御装置を構成する一定周期で送水量を自動的に変動させる流量調整弁或いは流量調整バルブを有した流量自動可変装置(以下、本流量可変装置)とが直接結合した単結合方式と、図4に示すように、送水を本管とバイパス管とに二分割する構造を有し、バイパス管には必要に応じて送水量を適宜調整可能な固定バルブが取り付けられ、一定量の送水が常時なされる構造を有し、一方、本管には本流量可変装置を直接結合した組み合わせの構造を有するバイパス結合方式とがある。
この本流量可変装置は、電磁弁によるタイマー方式にて一定時間の開および閉の状態を保つ流量調整弁を取り付けた方式と、駆動モーターに連結して一定時間周期で回転するボール形状の流量調整バルブ(図5、図6を参照)を取り付けた方式の二通りの方式がある。
この場合、本発明における散水幅自動可変制御装置は、図3に示す単結合方式と図4に示すバイパス結合方式のいずれの方式をも採用することができるが、送水管と流量自動可変装置が直結した構造を有する単結合方式の制御装置(図3)においては、後述の図14に示すように、一定時間周期に必ず制御装置の直後の下送水側の水圧Pが0、すなわち送水停止で散水されない空白の時間帯が生ずる。このため、単結合方式では一定時間周期での送水圧力の変動挙動がやや連続性に欠け、その結果、散水距離および散水量を連続的に変動させることができず、散水チューブの幅方向の散水量分布のより一層の均一性を達成することには若干の限界がある。
一方、バイパス結合方式の制御装置(図4)では、後述の図11〜13に示すように、絶えず一定量以上の送水環境を確保でき、送水圧力の変動挙動が均一で連続的に発現できることから、散水チューブの幅方向の散水量分布の更なる均一性を達成することができ、本発明の目的を達成するためにはより望ましい。
すなわち、この時、P1値の変動比率(P1min/P1max)をa値と規定した場合、0≦a<1となり、本発明におけるa値は本流量可変装置の流量調整弁、或いは流量調整バルブの構造設計や、本管とバイパス管との内径の比などによって任意に設定可能であるが、本来の発明目的である散水チューブの幅方向の散水量分布の均一性を発現するためには、散水元水圧の値や目標とする均一散水性の程度によっても異なるが、好ましくは 0〜0.6、さらに好ましくは 0.03〜0.3である。
また、本流量可変装置の電磁弁などの流量調整弁によるタイマー方式にて弁の全閉⇒全開⇒全閉の状態の1周期に要する時間、または、モーター駆動に連結したボール形状の流量調整バルブの全閉⇒最大開⇒全閉の状態の1周期に要する設定時間をt(秒)(この場合、P1min ⇒ P1max ⇒ P1minとなる1周期に要する時間に対応する)とした時、本流量可変装置の流量調整弁の開閉時間設定、或いは流量調整バルブの構造設計や回転時間設定によって任意に設定可能であるが、本来の発明目的である散水チューブの幅方向の散水量分布の均一性を発現するためには、元水圧の値や目標とする均一散水性の程度によっても異なるが、好ましくは 3秒〜60秒、さらに好ましくは 5〜40秒である。
これらの散水チューブは水源、ポンプ等に連結の送水管を接続して供給水に所定水圧をかけて送水することによって、均一な散水特性を達成できるように、精度の高い穿孔処理、具体的にはポンチ打ち抜き法、熱針穿孔法、或いはレーザー穿孔法などにより、多数の小孔が高精度に規則正しく配列された形態を有している。
尚、実施例に示した散水チューブは以下の通り。
(散水チューブ(A))
材質:密度が0.92g/cm3、メルトインデックスが2g/10分のエチレン−(4メチルペンテン−1)共重合体47重量部、メルトインデックスが1g/10分、酢酸ビニル含有量が10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体50重量部、カーボンブラック3重量部の組成よりなるポリオレフィン系組成物
仕様:管径38mmΦ、折径62mm、肉厚0.55mm、散水孔径0.25、0.35、0.52、0.40mmΦ、散水孔ピッチ40mm、散水孔列数8でレーザーにて穿孔設計されたチューブ仕様のもの(非貼合タイプ、図7を参照)
特性:送水圧力と散水幅の特性を図9に示す
(散水チューブ(B))
材質:散水チューブ(A)と同一組成よりなるポリオレフィン系組成物
仕様:管径31mmΦ、折径50mm、肉厚0.21mm、散水孔径0.35mmΦ、散水孔ピッチ30mm、散水孔列数3(片側)でレーザーにて穿孔設計されたチューブ仕様のもの(非貼合タイプ、図8を参照)
特性:送水圧力と散水幅の特性を図10に示す
図4に示すような、送水を本管(内径40mmΦ)とバイパス管(内径40mmΦ)に二分割する構造を有し、本管にはタイマーによる電磁弁での5秒間全閉⇒5秒間全開⇒5秒間全閉の10秒/周期で作用する電磁弁タイマー制御機能を有した流量調整弁付きの流量自動可変装置が組み込まれた散水幅自動可変制御装置を作成した。
これに、散水チューブ(A)を用いて100m長の敷設を行い、図2に示すように、水源、ポンプ、送水管、散水幅自動可変制御装置、流量計、圧力計(P1)、送水管、散水チューブ、圧力計(P2)の順で平坦な露地面に配置(末端を封止)して、散水を10分間行った。
その結果、散水形状が水圧変動に応じて連続的な大波小波のウェーブ状を呈して散水距離および散水量を連続的に変動することができ、散水チューブの幅方向片側5mずつ(両側の合計幅:5×2=10m)の散水幅で均一に、露地面全体において均等に水が散水された。
その際の圧力計P1およびP2の最大値および最小値の計測結果、敷設50m位置での散水幅の最大値および最小値の計測結果、また、圧力計P1の一定時間周期での変動挙動曲線、およびチューブ幅方向の散水量分布データ(敷設50m位置での散水量分布)を表1、図11、図16に示す。
図4に示すような、送水を本管(内径40mmΦ)とバイパス管(内径40mmΦ)に二分割する構造を有し、本管には回転駆動ボール形状流量調整バルブ(流路径20mmΦ、図5、図6を参照)で、全閉⇒全開⇒全閉の18秒/周期(36秒/1回転)で開閉作用するように設定された流量調整バルブ方式(変速機付き回転モーター、100V)の流量自動可変装置が組み込まれた散水幅自動可変制御装置を作成した。
これに、実施例1と同様に、100m敷設された散水チューブ(A)と組み合わせて、図2に示すように、水源、ポンプ、送水管、散水幅自動可変制御装置、流量計、圧力計(P1)、送水管、散水チューブ、圧力計(P2)の順で平坦な露地面に配置(末端を封止)して、散水を10分間行った。
その結果、実施例1と同様に、散水形状が水圧変動に応じて連続的な大波小波のウェーブ状を呈して散水距離および散水量を連続的に変動することができ、散水チューブの幅方向片側4mずつ(両側の合計幅:4×2=8m)の散水幅で均一に、露地面全体において均等に水が散水された。
その際の圧力計P1およびP2の最大値および最小値の計測結果、敷設50m位置での散水幅の最大値および最小値の計測結果、また、圧力計P1の一定時間周期での変動挙動曲線を表1、図12に示す。
実施例1において、流量自動可変装置が組み込まれた散水幅自動可変制御装置(図4)で、主管でのタイマー設定を10秒間全閉⇒10秒間全開⇒10秒間全閉の20秒/周期で作用する電磁弁タイマー制御の流量調整弁に変更し、散水チューブ(B)に変更して、これをアーチ型パイプハウス内で畝に定植栽培されたアスパラの脇の0.6mの位置に50m長で敷設して、実施例1と同様ながら、図2に示すように、水源、ポンプ、送水管、散水幅自動可変制御装置、流量計、圧力計(P1)、送水管、散水チューブ、圧力計(P2)の順で配置(末端を封止)して、散水を10分間行った。
その結果、実施例1と同様に、散水形状が水圧変動に応じて連続的な大波小波のウェーブ状を呈して散水距離および散水量を連続的に変動することができ、ハウス内のサイド面や天井部に飛水することなく、また、アスパラ自身に飛水することなく、根元付近を中心に散水チュー幅方向に0.6m(片側散水)の散水幅で均一に水が散水された。
その際の圧力計P1およびP2の最大値および最小値の計測結果、敷設25m位置での散水幅の最大値および最小値の計測結果、また、圧力計P1の一定時間周期での変動挙動曲線を表1、図13に示す。
実施例1において、散水幅自動可変制御装置に関して、バイパス管を有しない本管(内径40mmΦ)の流量自動可変装置だけの構造を有する制御装置(タイマーによる電磁弁での5秒間全閉⇒5秒間全開⇒5秒間全閉の10秒/周期で作用する電磁弁タイマー流量調整弁設定)を用いて、実施例1と同様の散水チューブ(A)(100m敷設長)と組み合わせて、図1に示すように、水源、ポンプ、送水管、散水幅自動可変制御装置、流量計、圧力計(P1)、送水管、散水チューブ、圧力計(P2)の順で平坦な露地面に配置(末端を封止)して、散水を10分間行った。
その結果、制御装置の直後の下送水側の水圧P1が0、すなわち送水停止で散水されない空白の時間帯があり、これにより、散水チューブの幅方向での散水形状が水圧変動に応じて連続的な大波小波のウェーブ状を呈することはできず、散水距離および散水量を不均一ながら連続的に変動させることはできたが、散水チューブの幅方向の散水量分布の均一性は実施例1の挙動と比較して若干劣る結果であった。(散水チューブの幅方向片側5mずつ、両側の合計幅10mの散水幅で露地面全体において水が散水された)
その際の圧力計P1およびP2の最大値および最小値の計測結果、敷設50m位置での散水幅の最大値および最小値の計測結果、また、圧力計P1の一定時間周期での変動挙動曲線を表1、図14に示す。
実施例1において、散水幅自動可変制御装置を組み合わせず、バイパス管なしの本管(内径40mmΦ)だけの構造で、流量計、圧力計(P1)、送水管、散水チューブ(A)(100m敷設長)、圧力計(P2)の順で平坦な露地面に配置して、散水を10分間行った。
その結果、常時一定圧力の散水方式であり、散水チューブの幅方向での散水距離および散水量を長手方向で見た場合、散水距離および散水量を連続的に変動させることができず、固定状態での散水であるため、散水チューブの幅方向の散水量分布の均一性を達成することができなかった。(散水チューブの幅方向片側5mずつ、両側の合計幅10mの散水幅で露地面全体において水が散水された)
その際の圧力計P1およびP2の最大値および最小値の計測結果、敷設50m位置での散水幅の最大値および最小値の計測結果、また、圧力計P1の一定時間周期での変動挙動曲線、およびチューブ幅方向の散水量分布データ(敷設50m位置での散水量分布)を表1、図15、図16に示す。
Claims (3)
- 一定の時間周期で送水量を自動的に変動させる流量調整弁、或いは流量調整バルブを有した流量自動可変装置が組み込まれた構造よりなる散水幅自動可変制御装置。
- 一定の時間周期で送水量を自動的に変動させる流量調整弁、或いは流量調整バルブを有した流量自動可変装置が組み込まれた本管と一定量の送水が常時なされる構造を有するバイパス管とから構成された散水幅自動可変制御装置
- 請求項1、或いは請求項2記載の散水幅自動可変制御装置と散水チューブを組み合わせた散水システム
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