JP2005340566A - コイル部品 - Google Patents

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孝臣 問井
Munekazu Inubushi
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Abstract

【課題】特許文献1に記載のフェライトコアは、脚部の底面電極と側面電極とが分割されているため、側面電極の脚部への接着強度が弱く落下時に図4の(a)に示すような撓み力が作用すると側面電極が剥がれ易い。また、このフェライトコアは、側面電極が脚部の側面全長に渡って形成されているため、図4の(b)に示す捻れ力や同図の(c)に示す衝撃力に弱い。また、特許文献2に記載のフェライトコア、脚部の内側側面(巻芯部側の側面)に電極がないため、図4の(a)に示す撓み力に対して弱い。
【解決手段】本発明のコイル部品10は、巻芯部11及びその両端に形成された鍔部12を有するコア13と、各鍔部12にそれぞれ設けられた電極15と、を備え、電極15は鍔部12の端面12A、底面12B及び内側面12Cに渡って一体的に形成され、且つ電極15の幅Wは鍔部Wの幅の60〜80%に設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイル部品に関し、更に詳しくは、例えば基板に実装した場合の耐衝撃性に優れたコイル部品に関するものである。
最近の携帯電話等の携帯機器は薄型化が急激に進んできる。これに伴って携帯機器で使用される電子部品(特に、インダクタ等のコイル部品)の低背化要求が非常に強くなってきている。携帯機器では回路により高インダクタンス及び低直流抵抗が必要である。また、携帯機器であるが故に落下した時の信頼性が求められている。
このような薄型化の要求に対応するためにコイル部品の場合には巻線を施すコアの巻芯部の薄型化で対応しているが、巻芯部の薄型化のみでは携帯機器の落下試験においてコアの巻芯部が折損し、コイル部品が基板から脱落する等の不具合を生じる。巻芯部の折損を防止するために巻芯部を短くすれば、薄型化と耐落下性を両立することができるが、高インダクタンスと低直流抵抗を取得できなくなり、コイル部品の電気的特性が劣化する。
ところで、電子部品を実装した基板が落下した時には、図4の(a)に示す撓み力、同図の(b)に示す捻れ力及び同図の(c)に示す衝撃力の3つの力が基板に対して複合的に作用することが判っている。従って、コイル部品を基板に実装した場合にはこれら3つの力に対する耐性が要求される。
そこで、コイル部品の基板に対する接着強度を高める技術として、例えば特許文献1に記載されたフェライトコア及びこれを用いたチップインダクタが知られている。このフェライトコアは、胴部の両端に脚部を備え、該脚部の底面と側面に電極を有する逆凹型フェライトコアにおいて、前記側面電極が前記脚部底面の外周長さの20%以上の範囲に存在し、前記底面電極が前記底面の外周端部の少なくとも一部に存在せず、且つ前記底面電極の底面に対する面積割合が50%以下に設定したものである。また、脚部底面の長手方向の長さ及び底面電極の長さをD及びDとし、脚部長手方向と直角方向の底面長さをW及びWとする時、D/D=0.60〜0.92、W/W=0.54〜0.88としている。また、側面電極の下側端部と底面電極の外側端部とが繋がっている。
また、特許文献2には特許文献1と同種のフェライトコアが記載されている。このフェライトコアは、胴部の両端に脚部を有し、該脚部の底面に電極を有する逆凹型フェライトコアにおいて、前記電極が前記底面の外周端部の少なくとも一部に存在せず、且つ前記底面における前記電極の面積割合が20〜77%以下に設定したものである。また、前記底面の長手方向の長さ及び電極の長さをそれぞれD及びDとし、前記底面の長手方向と直角方向の長さ及び電極長さをW及びWとしたとき、D/D=0.25〜0.92、W/W=0.25〜0.84としている。
特開2003−303720号公報 特開2003−209018号公報
しかしながら、特許文献1に記載のフェライトコアは、脚部の底面電極と側面電極とが分割されているため、側面電極の脚部への接着強度が弱く落下時に図4の(a)に示すような撓み力が作用すると側面電極が剥がれ易く、撓み力に対して弱いという課題があった。また、このフェライトコアは、側面電極が脚部の側面全長に渡って形成されているとフェライトコアと基板との接着強度が高くなるが、図4の(b)に示す捻れ力や同図の(c)に示す衝撃力に弱いため、捻れ力等によってフェライトコアが破損し易いという課題があった。
一方、特許文献2に記載のフェライトコア、脚部の内側側面(巻芯部側の側面)に電極がないため、図4の(a)に示す撓み力に対して弱いという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、高インダクタンス及び低直流抵抗性を維持し、しかも落下耐性に優れたコイル部品を提供することを目的としている。
本発明の請求項1に記載のコイル部品は、巻芯部と、巻芯部の両端に形成された鍔部とを有するコアと、上記各鍔部にそれぞれ設けられた電極と、を備えたコイル部品において、上記電極は上記鍔部の端面、底面及び上記巻芯部側の内側面に渡って一体的に形成され、且つ上記電極の上記巻芯部と直交する方向の長さは上記鍔部の上記巻芯部と直交する方向の長さの60〜80%に設定されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、高インダクタンス及び低直流抵抗性を維持し、しかも落下耐性に優れたコイル部品を提供することができる。
以下、図1〜図3に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、図1は本発明のコイル部品の一実施形態を示す斜視図、図2は図1に示すコイル部品のコアを示す斜視図、図3は図2に示すコアと基板との関係を示す図で、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
本実施形態のコイル部品10は、例えば図1に示すように、巻芯部11及びその両端に形成された鍔部12を有するコア13と、コア13の巻芯部11に巻回された絶縁被膜付きワイヤ(以下、単に「ワイヤ」と称す。)14と、コア13の各鍔部12にそれぞれ設けられた電極15と、コア13の電極15とは反対側の面に形成された磁性体粉末入りの樹脂層16と、を備えている。
コア13は、フェライト等の絶縁体の粉末を圧縮成形したものであっても、絶縁体を切削加工したものであっても良い。コア13は、図2に示すように、両鍔部12の端面12A間の長さがL、鍔部12の長手方向の長さ(以下、単に「幅」と称す。)がW、鍔部12の高さがTであるとき、例えばL、W及びTの比がL:W:T=1.0〜4.0:1.0〜4.0:0.3〜1.5に設定して形成されている。携帯機器用のコア13の場合には、例えば長さLが1.0〜4.0mm、幅Wが1.0〜4.0mm、高さTが0.3〜1.5mm程度である。
電極15は、図1、図2に示すように、コア13の鍔部12の端面12A、底面12B及び巻芯部11側の内側面12Cに渡って一体的に形成されている。電極15は、例えばAg等の従来公知の材料によって下地電極層を形成し、Ni、Cu、Snをメッキ等の手法により上層電極層を積層することができる。Ag電極上の各金属膜は必要に応じて積層順序を適宜変えたり、省略したりすることができる。また、金属種も適宜選択することができる。このコイル部品10は図3の(a)、(b)に示すように基板20に実装された状態で、電極15が基板20に対して鍔部12の端面12A及び内側面12Cにおいて半田21によって半田付けされている。この電極15は鍔部12Aの端面12A、底面12B及び内側面12Cに渡って一体的に形成されているため、落下時に撓み力が作用しても電極15は剥がれることがなく落下耐性に優れている。これに対して、底面の電極と端面の電極が分割されていると端面の電極が剥がれ易く、撓み力に対して弱い。また、鍔部の内側面に電極がないと、やはり撓み力に対して非常に弱い。従って、本実施形態のように電極15を三面に渡って一体的に形成することによって落下耐性を格段に高めてコイル部品10の基板20から脱落を防止することができる。
また、図2に示すように、この電極15の巻芯部11と直交する方向の長さ(幅)Wは、鍔部12の巻芯部11と直交する方向の長さ(幅)Wの60〜80%に設定されている。そして、コイル部品10は、図3の(a)、(b)に示すように、基板20に半田付けされて鍔部12の端面12A及び内側面12Cの両面の半田層21によって固定されている。電極15の幅がこの範囲に設定されているため、落下時に電極15の剥がれやコア13の破損を生じる虞はない。この電極15の幅WがWの60%未満になると落下時に電極15に対して過度の負荷が加わって電極15が剥離する虞があり、電極15の幅WがWの80%を超えると落下時の捻れ力(図4の(b))や衝撃力(図4の(c))の影響が大きくなってコア13が破損する虞があって好ましくない。また、本実施形態では、電極15の形成形態を変更するだけで、巻芯部11を短くすることなく電極15の剥離やコア13の破損を防止することができるため、薄型化と耐落下性を両立することができ、高インダクタンスと低直流抵抗を維持することができる。
また、落下時にコイル部品10の実装品に撓み力が作用すると、鍔部12の端面12A側の半田層21(図3の(a)、(b)参照)に引張力が作用し、内側面12C側の半田層21に圧縮力が作用することが試験結果によって判った。更に、端面12A側の半田層21を省略した方が撓み力に対して非常に強くなること、また、内側面12A側の半田層21を省略した端面12A側の半田層21のみでは撓み力に対して弱くなることも判った。
本実施例では以下の手順で複数のコイル部品を作製した。
まず、金型を用いてフェライト粉末を圧縮成形してコアを複数作製した。コアは、断面形状が略四角形状の巻芯部と、この巻回部の両端にそれぞれ形成された鍔部とを有している。コアとしては、例えば長さLが3.0mm、幅Wが3.0mm、高さTが1.0mmの大きさのものを作製した。これらのコアを900〜1200℃の温度で所定時間焼成した後、巻芯部及び鍔部に形成されたバリをバレル研磨によって除去した。
次いで、印刷工法やディップ工法を用いてコアの鍔部の一部に電極を以下のようにして形成した。即ち、予め所定の粘度に調整されたAgペーストを調製し、このAgペーストを印刷または浸漬により鍔部の略中央の底面、端面及び内側面に膜厚0.02〜0.20mm程度のAgペースト層を一体的に形成した。この際、Agペースト層の幅Wを鍔部の幅Wの80%に設定した。その後、コアを600〜900℃で焼成してAg電極を形成した。引き続き、電解メッキ法を用いてAg電極上に例えばNi、Cu、Snの順番で金属膜を形成して所定の電極をコアの鍔部に形成した。Ni膜は1〜5μm、Cu膜は1〜6μm、Sn膜は5〜25μmの膜厚にそれぞれ調整した。
然る後、コアの巻芯部にワイヤを巻回し、ワイヤの両端部をそれぞれ巻芯部両端の電極に熱圧着等によって接続した。更に、必要に応じて巻芯部の周囲またはその一部に磁性体粉末入りの樹脂を塗布して完成品であるコイル部品を作製した。その後、コイル部品を所定の基板に実装して実装品を得た。
本実施例では、電極の幅Wを鍔部の幅Wの60%に設定した以外は実施例1と同様のコイル部品を作製し、このコイル部品を実施例1と同様に基板上に実装してコイル部品の実装品を得た。
また、比較例1、2として電極のWをそれぞれ鍔部の幅Wの100%、50%に設定した以外は実施例1と同様のコイル部品を作製し、このコイル部品を実施例1と同様に基板上に実装してコイル部品の実装品を得た。
次いで、実施例1、2及び比較例1、2の各実装品をそれぞれ12個ずつ用いて所定の落下試験を行い、その結果を表1に示した。
Figure 2005340566
表1に示す結果によれば、実施例1、2のコイル部品の実装品は、いずれも落下試験によってコイル部品が破損せず、電極のハガレもなかった。これに対して比較例1のコイル部品の実装品は12個中3個にコアの破損が生じ、比較例2のコイル部品の実装品は12個中5個に電極にハガレが生じた。
以上の試験結果から、コイル部品の電極幅Wが鍔部の幅Wの60%未満では、落下時に電極に過度の負荷か集中的に加わって剥がれたものと判断される。また、コイル部品の電極幅Wが鍔部の幅Wの80%を超えると、落下時の捻れ力や衝撃力が作用してコアが破損したものと判断される。従って、コイル部品の電極幅を鍔部の幅の60〜80%の範囲に設定することによって、電極の剥がれやコアの破損を防止することができることが判った。
以上説明したように本実施形態によれば、コイル部品10の電極15は、鍔部12の端面12A、底面12B及び内側面12Cに渡って一体的に形成され、且つ電極15の幅Wは鍔部の幅Wの60〜80%に設定されているため、低背化したコイル部品10であっても、落下時に撓み力、捻り力及び衝撃力が複合的に作用しても電極15が剥がれたり、コア13が破損する虞がなく、極めて落下耐性に優れている。
尚、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、要は、本発明のコイル部品は、電極は鍔部の端面、底面及び巻芯部側の内側面に渡って一体的に形成され、且つ電極の巻芯部と直交する方向の長さは鍔部の巻芯部と直交する方向の長さの60〜80%に設定されてなるものであれば良く、このような電極を有するコイル部品であれば全て本発明に包含される。
本発明は、ワイヤをコアに巻回したインダクタ等のコイル部品、特に低背化したコイル部品に好適に利用することができる。
本発明のコイル部品の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示すコイル部品のコアを示す斜視図である。 図2に示すコアと基板との関係を示す図で、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。 コイル部品の実装品が落下した時に作用する力を説明するための図で、(a)は撓み力の説明図、(b)は捻り力の説明図、(c)は衝撃力の説明図である。
符号の説明
10 コイル部品
11 巻芯部
12 鍔部
12A 端面
12B 底面
12C 内側面
13 コア
14 絶縁被膜付きワイヤ
W 鍔部の幅(鍔部の上記巻芯部と直交する方向の長さ)
鍔部の幅(電極の巻芯部と直交する方向の長さ)

Claims (1)

  1. 巻芯部及びその両端に形成された鍔部を有するコアと、上記各鍔部にそれぞれ設けられた電極と、を備えたコイル部品において、上記電極は上記鍔部の端面、底面及び上記巻芯部側の内側面に渡って一体的に形成され、且つ上記電極の上記巻芯部と直交する方向の長さは上記鍔部の上記巻芯部と直交する方向の長さの60〜80%に設定されてなることを特徴とするコイル部品。
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