JP2005339769A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】2個の記録層を有する光記録媒体の第2層目の記録層の記録特性を改良すること。
【解決手段】第1の記録層102及び第2の記録層105を有する光記録媒体100であって、第2の記録層105が、含金属アゾ色素を含み、第1の記録層102に含まれる色素の吸光度の1.3倍以上の吸光度を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は光記録媒体に関し、より詳しくは、少なくとも2個の記録層を有する光記録媒体に関する。
現在、CD−R、CD−RW、MO等の各種光記録媒体は、大容量の情報を記憶でき、ランダムアクセスが容易であるために、コンピュータのような情報処理装置における外部記憶装置として広く認知され普及しつつある。種々の光記録媒体の中でもCD−R、DVD−R、DVD+R等、有機色素を含む記録層を有する光記録媒体は比較的安価で、且つ、再生専用の光ディスクとの互換性を有するため、特に広く用いられている。例えば、有機色素を含む記録層を有する代表的なCD−R等は、透明ディスク基板上に色素含有記録層と反射層とをこの順に有し、これらの記録層や反射層を覆う保護層を有する積層構造であり、基板を通してレーザ光にて記録・再生が行われる。
これら光記録媒体の記録容量を更に大容量化するための1つの手段として、1枚の媒体に記録層を複数、例えば、2層(デュアルレイヤ)設けることが挙げられる。また、この場合、2個の記録層を片面から記録・再生ができるようにすることが利便性の上で要請されている。このような要請に応えるべく、本出願人は、ディスク状の透明な第1の基板上に、色素を含む第1の記録層、半透明の第1の反射層、中間樹脂層、色素を含む第2の記録層、第2の反射層、接着層及び第2の基板をこの順に有してなる光記録媒体について出願を行った(特許文献1)。これにより、2個の記録層を有する光記録媒体の片面側から第1の記録層及び第2の記録層に情報を記録することが可能になり、再生時にも、デュアルレイヤタイプの光記録媒体として片面側から信号を読み取ることが可能となっている。
特開2003−331463号公報
ところで、特許文献1に記載された2個の記録層を有する光記録媒体に情報を記録する場合、第1の基板側から入射した光ビームのパワーが半透明の第1の反射層の存在等で2分され、第1の記録層の記録と第2の記録層の記録とに振り分けられる。このため、第2の記録層では、半減された光ビームのパワーにより情報の記録が行われるので、記録特性が低下し易いという問題がある。
本発明は、このように、2個の記録層を有する光記録媒体の記録特性を検討する際の問題を解決すべくなされたものである。
即ち、本発明の目的は、第2層目の記録層の記録特性が改良された光記録媒体を提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明では、第2層目の記録層に、入射光に対して高感度の色素を使用している。
即ち、本発明によれば、光により情報の記録再生が可能な第1の記録層と、少なくとも1つの第2の記録層と、を有する光記録媒体であって、第2の記録層に含まれる色素の吸光度が、光が入射する側に最も近い第1の記録層に含まれる色素の吸光度より大きいことを特徴とする光記録媒体が提供される。
本発明が適用される光記録媒体においては、このように、第2の記録層に含まれる色素の吸光度を第1の記録層に含まれる色素の吸光度より大きくすることにより、第1の記録層と第2の記録層と間に生じる感度差を適切な範囲に納めることができる。
第1の記録層と第2の記録層と間に生じるこのような感度差の適切な範囲としては、後述する「実験例」において詳述する測定方法によって求められる記録パワーの比((第2の記録層の記録パワー)/(第1の記録層の記録パワー))が0.7以上であり、1.16より小さいことが好ましい。感度差をこの範囲にすることによって、第1の記録層及び第2の記録層において、記録条件の過度の調整を行うことなく記録を行うことができ、その結果、これらの記録層について良好なジッタ(jitter)特性を得ることができる。
ここで、第2の記録層に含まれる色素の吸光度は、0.005以上、0.015以下であることが好ましい。光記録媒体に照射される光における吸光度が、上記の範囲である色素を含有することにより、レーザ光に対する第2の記録層の感度を十分に向上させることができ、また、反射率の低下を抑制することができる。
また、第2の記録層に含まれる色素の吸光度が、第1の記録層に含まれる色素の吸光度の1.3倍以上であることが好ましい。
また、本発明が適用される光記録媒体において、第2の記録層の厚さが50nm以上200nm以下であることが好ましい。
さらに、第1の記録層と第2の記録層との間に設けられる半透明反射層は、厚さ5nm以上、50nm以下であることが好ましい。
また、本発明が適用される光記録媒体に情報を記録し、記録された情報を再生するために使用する光の波長は350nm〜900nmである。
本発明が適用される光記録媒体において、第2の記録層に含まれる色素が、下記一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される含金属アゾ色素から選ばれることが好ましい。このような含金属アゾ色素は、記録感度に優れ、且つ耐久性、耐光性に優れるため好ましい。
Figure 2005339769
(但し、式中、環A1及び環A2は、各々独立に置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環であり、環B1及び環B2は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環であり、Xは、少なくとも2個のフッ素原子で置換されている炭素数1〜炭素数6のアルキル基である。)
さらに、第2の記録層に含まれる色素の屈折率が1.0以上であることが好ましく、また、照射される光に対する消衰係数が0.5以下であることが好ましい。
また、本発明によれば、2個の記録層を有する光記録媒体であって、記録光が入射する側に設けられた第1の記録層に情報を記録する記録パワー(P1)と、記録光が入射する側から遠い側に設けられた第2の記録層に情報を記録する記録パワー(P2)と、の比(P2)/(P1)が、1.16未満になるように、第2の記録層が、第1の記録層に含まれる色素の記録光における吸光度より大きい吸光度を有する含ニッケルアゾ色素を含むことを特徴とする光記録媒体が提供される。
ここで、第2の記録層に含まれる含ニッケルアゾ色素の吸光度が、第1の記録層に含まれる色素の吸光度より1.05倍以上大きいことが好ましい。
尚、吸光度(OD:Optical Density)は、記録層に用いる色素のクロロフォルム溶液またはメタノール溶液(濃度5mg/l)を、それぞれ、光路長10mmのセルに入れ、吸光度計を使用して波長800nm〜波長400nmの範囲において測定した透過光量(I)を用い、下記関係式から求められる(吸収スペクトル)。実際には、通常は、分光光度計において、波長をスキャンさせながら、波長に対する吸光度の測定値を得ることができる。
OD=Iabs=−log(I/I
(但し、Iは、入射光量であり、Iは透過光量である。尚、対数の底は10である。)
尚、上述した色素の吸光度は、色素の形態が、結晶や粉末等の単離物(純粋な色素)ではない場合には、下記の方法で求めることができる。
例えば、吸光度が未知の色素が、接着層により貼り合わせた2層ディスクの、それぞれの記録層に含まれる場合は、2層ディスク端部から接着層にカッター刃を差込み、2枚のディスクに分離する。次に、第1の記録層に相当する部分と、第2の記録層に相当する部分とを、さらに剥離して分離し、それぞれの記録層を別々にエタノール等で洗浄し、記録層に含まれる色素を流し出す(ここでは、この操作をエタノール洗浄という)。次に、色素が溶解又は分散したエタノール洗浄液をそれぞれ別々の容器に集め、続いて溶液中のエタノールを蒸留等により除去し、固体としての色素、即ち、第1の記録層に含まれる色素と第2の記録層に含まれる色素を別々に得る。吸光度の測定が可能な程度の色素量を確保するために、複数個の2層ディスクから色素を採取することが好ましい。
尚、吸光度を測定するための色素の量が5mg未満の場合は、(色素量)/(溶媒体積)が5mg/lになるように、溶媒の量を調整する。例えば、色素1mgの場合は、溶媒200mlを使用する。
また、色素の吸光度は、上述のようにして得られた吸収スペクトルにおいて、記録再生光波長での吸光度とする。
但し、例えば、第1の記録層に含まれる色素の吸光度、または、第2の記録層に含まれる色素の吸光度が、0.003未満の場合には、吸光度の測定値に光源等のノイズの影響が含まれるため、正確な吸光度の測定が困難となりやすい。
そこで、この場合は、以下のような方法により色素の吸光度を求めることが好ましい。先ず、記録再生光波長における第1の記録層に含まれる色素の吸光度と第2の記録層に含まれる色素の吸光度とを比較し、より吸光度の小さいほうの色素を特定する。次に、記録再生光波長よりも短い波長において、前述した吸光度の小さいほうの色素の吸光度が0.003となるような波長を求め、続いて、その波長におけるもう一方の色素(吸光度が大きいほうの色素)の吸光度を求める。即ち、この場合、記録再生光波長における吸光度の小さいほうの色素の吸光度が0.003であり、記録再生光波長における吸光度が大きいほうの他の色素の吸光度は、0.003より大きくなる。
また、吸光度の測定の際に用いる有機溶媒としては、クロロホルム、メタノール等が好ましい。また、有機溶媒としては、色素を溶解できる有機溶媒であれば特に限定されないが、極性溶媒は、金属錯体化合物の配位結合に影響を与えることが多く、正確な吸収スペクトルを測定できないおそれがあるので好ましくない。
尚、本文中では、第1の記録層に含まれる色素の吸光度を、第1の記録層色素の吸光度と称し、第2の記録層に含まれる色素の吸光度を、第2の記録層色素の吸光度と称することがある。
かくして本発明によれば、第2層目の記録層の記録特性が改良された光記録媒体が得られる。
以下、図面に基づき、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態)について詳述する。但し、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変更をして用いることができる。また、図面は、実施の形態を説明するために用いるものであり実際の大きさを表すものではない。
(光記録媒体)
図1は、本実施の形態が適用される光記録媒体の一例を説明する図である。図1に示された光記録媒体100は、ディスク状の光透過性の第1の基板101と、この第1の基板101上に、第1の基板101を介して照射されたレーザ光110により情報の記録・再生が行われる色素を含む第1の記録層102と、第1の基板101側から入射したレーザ光110のパワーを振り分ける半透明の第1の反射層103と、光透過性の材料で構成された中間層104と、第1の記録層102に含まれる色素の感度より高感度の色素を含む第2の記録層105と、第2の記録層105を透過したレーザ光110を反射する第2の反射層106と、接着層107と、最外層を形成するダミー基板である第2の基板108とが、順番に積層された構造を有している。
図1に示すように、光記録媒体100の第1の基板101側から照射されたレーザ光110により、色素を含む第1の記録層102に光情報が記録され、また、記録された光情報の再生が行われる。さらに、レーザ光110の一部は、半透明の第1の反射層103を透過し、中間層104を介して色素を含む第2の記録層105に照射され、第1の記録層102と同様に、光情報の記録・再生が行われる。
尚、第1の反射層103により反射されたレーザ光110の一部及び第2の反射層106により反射されたレーザ光110の一部は、それぞれ、レーザ光110を集光するためのフォーカシング(図示せず)に利用される。また、ダミー基板である第2の基板108は、接着層107により第2の反射層106上に積層され、光記録媒体100の最外層を形成すると共に、光記録媒体100に剛性を付与し、形状の安定性を保っている。さらに、第1の基板101及び中間層104上にはそれぞれ凹凸が形成され、それぞれ記録トラックを構成している。
ここで、本実施の形態が適用される光記録媒体100において、「光透過性(又は透明)」とは、色素を含む第1の記録層102及び第2の記録層105に光情報を記録・再生するために照射される光の波長に対する光透過性を意味するものであり、具体的には、記録・再生のための光の波長について50%以上、好ましくは60%以上の透過性があることを言う。
本実施の形態が適用される光記録媒体100における2個の記録層(第1の記録層102、第2の記録層105)には、350nm〜900nm程度の可視光〜近赤外域に最大吸収波長λmaxを有し、青色〜近マイクロ波レーザでの記録に適する色素化合物が使用される。第1の記録層102又は第2の記録層105に使用する色素としては、例えば、大環状アザアヌレン色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等)、ピロメテン色素、ポリメチン色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等)、アントラキノン色素、アズレニウム色素、含金属アゾ色素、含金属インドアニリン色素等が挙げられる。
本実施の形態が適用される光記録媒体100における第2の記録層105には、第1の基板101側から照射されるレーザ光110の記録波長における吸光度が、通常、0.005以上、好ましくは、0.006以上、さらに好ましくは、0.0065以上であり、但し、通常、吸光度が、0.015以下、好ましくは、0.013以下、さらに好ましくは、0.012以下の色素が使用されることが必要である。第2の記録層105に使用する色素の吸光度がこの範囲内であれば、レーザ光110に対する第2の記録層105の感度を十分に向上させることができ、また、レーザ光110の吸収過多を原因とする反射率の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態が適用される光記録媒体100において、第2の記録層105に使用する色素の吸光度を、第1の記録層102に使用する色素の吸光度よりも大きくする。具体的には、第2の記録層105に使用する色素の吸光度が、第1の記録層102に使用する色素の吸光度に対して、通常、1.05倍以上、好ましくは、1.1倍以上、さらに好ましくは、1.2倍以上、一層さらに好ましくは、1.3倍以上である。但し、4倍以下が好ましく、より好ましくは3.5倍以下、さらに好ましくは、3.2倍以下である。第2の記録層105に使用する色素の吸光度と第1の記録層102に使用する色素の吸光度との関係がこの範囲内であれば、第1の記録層102と第2の記録層105と間に生じる感度差を適切な範囲に納めることができ、更に、反射率の低下を抑制することができる。
第2の記録層105に使用する色素の中でも、含金属アゾ色素は、記録感度に優れ、且つ耐久性、耐光性に優れるため好ましい。このような含金属アゾ色素としては、特に、下記一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005339769
(但し、式中、環A1及び環A2は、各々独立に置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環であり、環B1及び環B2は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環であり、Xは、少なくとも2個のフッ素原子で置換されている炭素数1〜炭素数6のアルキル基である。)
更に、一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される化合物の中でも、一般式(II)で表される化合物が特に好ましく、具体的な化合物としては以下の化合物が挙げられる。
Figure 2005339769
尚、使用する色素の吸光度は、必ずしも単独の色素だけ達成する必要はなく、複数種の色素を混合して達成しても良い。例えば、吸光度の高い色素と吸光度の低い色素とを混合し、その比率を調整して本願の範囲となるようにしても良い。
また、第2の記録層105に使用する色素の屈折率(但し、記録光又は再生光の波長に対する屈折率)が、通常、1.00以上、好ましくは1.50以上であり、但し、通常、3.00以下である。
更に、第2の記録層105に使用する色素の消衰係数(但し、記録光又は再生光の波長に対する消衰係数)が、通常、0.50以下であり、好ましくは0.30以下であり、但し、通常、0.001以上である。消衰係数が過度に大きいと、第2の記録層105における記録光又は再生光の吸収が増大し、反射率が低下する傾向があるので好ましくない。また、消衰係数が過度に小さいと、第2の記録層105における記録光又は再生光の吸収が低下するので好ましくない。
第2の記録層105の厚さは、通常、50nm以上、好ましくは、60nm以上であり、但し、通常、200nm以下、好ましくは、150nm以下、更に好ましくは100nm以下である。第2の記録層105の厚さが過度に大きいと、感度が低下するので好ましくない。また、第2の記録層105の厚さが過度に小さいと、十分な信号振幅が得られないので好ましくない。ここで、第2の記録層105の厚さは、通常、厚膜部における膜厚をいう。
尚、第1の記録層102の膜厚は、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常、20nm以上、好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは40nm以上である。但し、光を透過させる必要があるため、通常、200nm以下であり、好ましくは180nm以下、より好ましくは150nm以下である。
また、本実施の形態において、第1の記録層102に使用される色素は、第1の基板101側から照射されるレーザ光110の記録波長における吸光度が、前述した理由により、通常、0.003以上、好ましくは0.0035以上、より好ましくは0.004以上、好ましくは、0.0045以上、さらに好ましくは、0.005以上であり、但し、吸光度が、通常、0.0115以下、好ましくは、0.01以下、さらに好ましくは、0.009以下である。
本実施の形態が適用される光記録媒体100において、2個の記録層(第1の記録層102、第2の記録層105)には、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えば、エチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
また、2個の記録層(第1の記録層102、第2の記録層105)には、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
第1の記録層102又は第2の記録層105の成膜方法としては、通常、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等一般に行われている薄膜形成法が挙げられるが、量産性、コスト面からはスピンコート法等の湿式製膜法が好ましい。また、均一な記録層が得られるという点から、真空蒸着法が好ましい。
スピンコート法による成膜の場合、回転数は10rpm〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、一般的に加熱処理を行い、溶媒を除去する。ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法により記録層を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
これらの溶媒を除去するための加熱処理は、溶媒を除去し、且つ、簡便な設備により行うという観点から、通常、使用する溶媒の沸点よりやや低い温度で行われ、通常、60℃〜100℃の範囲で行われる。また、加熱処理の方法は、特に限定されないが、例えば、第1の基板101上に第1の記録層102を形成するために色素を含有する溶液を塗布して成膜した後、所定の温度で所定時間(通常、5分間以上、好ましくは10分間以上、但し、30分間以内、好ましくは20分間以内)保持する方法が挙げられる。また、赤外線、遠赤外線を短時間(例えば、5秒間〜5分間)照射し、第1の基板101を加熱する方法も可能である。
真空蒸着法の場合は、例えば、有機色素と、必要に応じて各種添加剤等の記録層成分を、真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−2Pa〜10−5Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させることにより行われる。
次に、本実施の形態が適用される光記録媒体100を構成する他の層について説明する。
(第1の基板)
第1の基板101は、光透過性を有し、複屈折率が小さい等の光学特性に優れ、また、射出成形が容易等の成形性に優れる材料から構成される。さらに、吸湿性が小さいことが望ましい。更に、光記録媒体100がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。第1の基板101を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等が挙げられる。また、ガラス等の基体上に、光硬化性樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も使用できる。これらの中でも、光学特性、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点からはポリカーボネートが好ましい。また、耐薬品性、低吸湿性等の点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性等の点からは、ガラス基板が好ましい。
第1の基板101の厚さは、通常、2mm以下、好ましくは1mm以下である。対物レンズと記録層との距離が小さく、また、基板が薄いほどコマ収差が小さい傾向があり、記録密度を上げやすい。但し、光学特性、吸湿性、成形性、形状安定性を十分得るために、通常10μm以上、好ましくは30μm以上である。
尚、第1の基板101の表面には、所定の幅及び深さの溝が形成されている。
本実施の形態が適用される光記録媒体100が、DVD(デジタル多用途ディスク)に使用される光の波長で記録再生する場合には、この溝幅、溝深さは、DVD±Rとして公知の範囲で形成される。具体的には、溝深さは、60nm以上が好ましく、より好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。但し、300nm以下が好ましく、より好ましくは270nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。溝幅は、通常0.074μm以上であり、好ましくは0.148μm以上、さらに好ましくは0.222μm以上である。但し、通常、0.666μm以下であり、好ましくは0.592μm以下、さらに好ましくは0.518μm以下である。
(第1の反射層)
第1の反射層103は、記録再生光の吸収が小さく、光透過率が40%以上あり、且つ、通常、30%以上の適度な光反射率を有する必要がある。例えば、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせることができる。また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、第1の反射層103の上層(ここでは中間層104)からの他の成分の浸み出しにより第1の記録層102が影響されないような遮断性を持つことが望ましい。
第1の反射層103の厚さは、光透過率が40%以上であるために、通常、50nm以下、好ましくは30nm以下、更に好ましくは25nm以下である。但し、第1の記録層102が第1の反射層103の上層により影響されないために、通常3nm以上、好ましくは5nm以上である。
第1の反射層103を構成する材料としては、特に限定されないが、再生光の波長における反射率が適度に高いものが好ましく、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、希土類金属等の金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。これらの中でもAu、Al、Agは反射率が高く第1の反射層103の材料として適している。また、特に、Agを50%以上含有する金属材料はコストが安い点、反射率が高い点から好ましい。
第1の反射層103は膜厚が薄く、膜の結晶粒が大きいと再生ノイズの原因となるため、結晶粒が小さい材料を用いるのが好ましい。純銀は結晶粒が大きい傾向があるためAgは合金として用いるのが好ましい。中でもAgを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1原子%〜15原子%でもかまわないが、それらの合計が0.1原子%〜15原子%であることが好ましい。
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有し、必要に応じ、少なくとも1種の希土類元素を0.1原子%〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNd等である。
第1の反射層103としてはAuのみからなる層は結晶粒が小さく、耐食性に優れ好適である。また、第1の反射層103としてSiからなる層を用いることも可能である。さらに、金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
第1の反射層103を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、第1の基板101と第1の記録層102との間、第1の記録層102と第1の反射層103との間に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系材料からなる中間層、接着層を設けることもできる。
(中間層)
中間層104を構成する樹脂は、光透過性を有し、凹凸により溝やピットが形成可能であることが必要である。また接着力が高く、さらに、硬化接着時の硬化収縮率が、通常、15%以下、好ましくは、10%以下であることが、中間層104の形成時の反りの発生を抑えることができ、光記録媒体100の形状安定性を高めることができるので好ましい。また、中間層104の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上が必要である。但し、100μm以下が好ましい。また、中間層104は、必ずしも1層のみで形成する必要はなく、複数層として形成しても良い。
中間層104には、凹凸が螺旋状又は同心円状に設けられ、溝及びランドを形成する。通常、このような溝及び/又はランドを記録トラックとして、第2の記録層105に情報が記録・再生される。溝幅は、通常、50nm〜500nm程度であり、溝深さは10nm〜250nm程度である。また記録トラックが螺旋状である場合、トラックピッチは0.1μm〜2.0μm程度であることが好ましい。この他に必要に応じ、ランドプリピット等の凹凸ピットを有してもよい。このような凹凸は、コストの観点から、凹凸を持つ樹脂スタンパ等から光硬化性樹脂等の硬化性樹脂に転写、硬化させて製造する2P法(Photo Polymerization法)により行われる。
中間層104を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等を挙げることができる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを塗布し、乾燥(加熱)することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外光を照射して硬化させることによって形成することができる。これらの材料は単独または混合して用いても良い。さらに、多層膜にして用いても良い。
塗布方法としては、スピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。高粘度の樹脂はスクリーン印刷等によっても塗布形成できる。紫外線硬化性樹脂は、20℃〜40℃において液状であるものを用いると、生産性の観点から、溶媒を用いることなく塗布できるので好ましい。また、粘度は20mPa・s〜1000mPa・sとなるように調製するのが好ましい。
中間層104の材料の中でも、紫外線硬化性樹脂は、透明度が高く、硬化時間が短く製造上有利な点で好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、ラジカル系紫外線硬化性樹脂とカチオン系紫外線硬化性樹脂が挙げられ、いずれも使用することができる。ラジカル系紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、これらの重合性モノマーと同時に併用できるものとしては、重合性オリゴマーとして、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、ラジカル系紫外線硬化性樹脂には、通常、光重合開始剤を配合する。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが好ましい。このような光重合開始剤として、分子開裂型としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
さらに、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良い。水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等が挙げられる。
また、これらの光重合開始剤とともに、増感剤を併用することができる。増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N、N−ジメチルベンジルアミンおよび4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
カチオン系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン重合型の光重合開始剤を含むエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、遊離した塩素および塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量が1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。
カチオン重合型の光開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられる。ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェード、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
さらに、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
カチオン型紫外線硬化性樹脂100重量部当たりのカチオン重合型光開始剤の割合は通常、0.1重量部〜20重量部であり、好ましくは0.2重量部〜5重量部である。なお、紫外線光源の波長域の近紫外領域や可視領域の波長をより有効に利用するため、公知の光増感剤を併用することができる。この際の光増感剤としては、例えばアントラセン、フェノチアジン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
また、紫外線硬化性樹脂には、必要に応じてさらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
(第2の反射層)
第2の反射層106は、高反射率、かつ高耐久性であることが望ましい。高反射率を確保するために、第2の反射層106の厚さは、通常、40nm以上、好ましくは、50nm、更に好ましくは60nm以上である。但し、生産上のタクトタイムを短縮しコストを低減するためには、通常、400nm以下、好ましくは300nm以下である。
第2の反射層106を構成する材料としては、再生光の波長において反射率の十分高いものが好ましく、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta及びPdの金属を単独または合金にして用いることが可能である。これらの中でも、Au、Al、Agは反射率が高く、第2の反射層106の材料として適している。また、これらの金属を主成分とする以外に他の成分を含んでいても良い。他の成分の例としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属等の金属及び半金属を挙げることができる。
これらの中でもAgを主成分とするものが好ましく、Agの合金として用いるのが好ましい。Agを主成分とするものとしては、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1原子%〜15原子%、またはそれらの合計が0.1原子%〜15原子%であることが好ましい。
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有し、必要に応じ、少なくとも1種の希土類元素を0.1原子%〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNd等である。
また、第2の反射層106としては、Auのみからなる層は高耐久性(高耐食性)が高く好適である。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、第2の反射層106として用いることも可能である。第2の反射層106を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、第2の反射層106の上下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
(接着層)
接着層107は、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。また、接着層107は第2の反射層106にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために両層の間に公知の無機系または有機系の保護層を設けることもできる。接着層107の膜厚は、通常、2μm以上、好ましくは5μm以上である。但し光記録媒体をできるだけ薄くするために、また硬化に時間を要し生産性が低下する等の問題があるため、通常、100μm以下が好ましい。接着層107の材料は、中間層104の材料と同様のものが用いうるほか、感圧式両面テープ等も使用可能である。感圧式両面テープを第2の反射層106と第2の基板108との間に挟んで押圧することにより、接着層107を形成できる。
(第2の基板)
ダミー基板である第2の基板108は、機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。また接着層107との接着性が高いことが望ましい。このような材料としては、第1の基板101に用いうる材料と同じものが用い得るほか、例えば、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分とした例えばMg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板等を用いることができる。
なお、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点からはポリカーボネートが好ましい。耐薬品性、低吸湿性等の点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性等の点からは、ガラス基板が好ましい。光記録媒体100に十分な剛性を持たせるために、第2の基板108はある程度厚いことが好ましく、厚さは0.3mm以上が好ましい。但し、3mm以下、好ましくは1.5mm以下である。
(その他の層)
光記録媒体100は、上記の積層構造において、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良く、或いは、媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。具体的には、第1の反射層103と中間層104との間、中間層104と第2の記録層105との間、第2の反射層106と接着層107との間等にバッファー層を設けてもよい。この場合、バッファー層の厚さは2nm以上が好ましく、より好ましくは5nm以上である。バッファー層の厚さが過度に薄いと、上記の混和現象の防止が不十分となる虞がある。但し2000nm以下が好ましく、より好ましくは500nm以下である。バッファー層が過度に厚いと、混和防止には不必要であるばかりでなく、光の透過率を低下させる恐れもある。また無機物からなる層の場合には成膜に時間を要し生産性が低下したり、膜応力が高くなったりする虞があり200nm以下が好ましい。特に、金属の場合は光の透過率を過度に低下させるため、20nm以下程度が好ましい。
また、記録層や反射層を保護するために保護層を設けても良い。保護層の材料としては、記録層や反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。有機物質の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF、SnO等の誘電体が挙げられる。
尚、本実施の形態は、図1に示された光記録媒体100に限定されるものではなく、光により情報の記録再生が可能な複数の記録層を有する光記録媒体であれば、他の構成の光記録媒体に適用することが出来る。
図3は、本実施の形態が適用される光記録媒体の他の例を説明する図である。
図3には、接着層を介して記録層を有する2枚の基板が貼り合わされた貼り合わせ型の光記録媒体300が示されている。図3に示された光記録媒体300は、溝及びランド、プリピットを有するディスク状の光透過性の第1の基板301と、同様に溝及びランド、プリピットを有するディスク状の第2の基板307とが、接着層304(中間層)を介して貼り合わされた構造を有している。
第1の基板301上には、第1の基板301を介して照射されたレーザ光310により情報の記録・再生が行われる色素を含む第1の記録層302と、第1の基板301側から入射したレーザ光310のパワーを振り分ける半透明の第1の反射層303とが順番に積層されている。また、第2の基板307上には、第2の反射層306と、第1の記録層302に含まれる色素の感度より高感度の色素を含む第2の記録層305と、バッファー層308が積層されている。
図3に示すように、第1の基板301と第2の基板307とは、それぞれ、第1の記録層302と第2の記録層305とが向かい合うように、接着層(中間層)304を介して貼り合わされている。
尚、第1の基板301の表面及び第2の基板307の表面に形成された所定の幅及び深さの溝は、前述した光記録媒体100(図1)と同様な範囲で形成される。
(光記録媒体の製造方法)
次に、本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法の一例について説明する。
図2は、本実施の形態が適用される光記録媒体の製造方法を説明する図である。先ず、図2(a)に示すように、表面に溝及びランド、プリピットが形成された第1の基板201を、スタンパを用いた射出成形法等により作製する。次に、少なくとも有機色素を溶媒に溶解させた塗布液を第1の基板201の凹凸を有する側の表面にスピンコート等により塗布し、塗布液に使用した溶媒を除去するために加熱(アニール)して第1の記録層202を成膜する。第1の記録層202を成膜した後、Ag合金等をスパッタまたは蒸着することにより、第1の記録層202上に、スパッタ法等により半透明な第1の反射層203を成膜する。
続いて、図2(b)に示すように、第1の反射層203の表面全体に紫外線硬化性樹脂層204aをスピンコート等により塗布して形成し、さらに、図2(c)に示すように、紫外線硬化性樹脂層204aをスピンコート等により塗布した後、樹脂スタンパ210を載置し、紫外線硬化性樹脂層204aに凹凸を転写する。このとき、紫外線硬化性樹脂層204aの膜厚が所定範囲になるように調節しつつ行なう。そして、この状態で樹脂スタンパ210側から紫外線を照射する等して紫外線硬化性樹脂層204aを硬化させ、十分硬化したところで樹脂スタンパ210を剥離し、表面に凹凸を有する中間層204を形成する。
尚、樹脂スタンパ210は、中間層204となるべき樹脂に対して十分な剥離性を有していれば良く、成形性が良く、形状安定性が良いことが望ましい。生産性及びコストの観点から、望ましくは、樹脂スタンパ210は複数回の転写に使用可能であるのが望ましい。また、使用後のリサイクルが可能であることが望ましい。また、樹脂スタンパ210の材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点から非晶質ポリオレフィンが好ましい。
続いて、図2(d)に示すように、有機色素を溶媒に溶解させた塗布液をスピンコート等により中間層204表面に塗布し、塗布液に使用した溶媒を除去するために加熱(アニール)して第2の記録層205を成膜する。
そして、図2(e)示すように、Ag合金等をスパッタ、蒸着することにより第2の記録層205上に第2の反射層206を成膜する。その後、図2(f)に示すように、ポリカーボネートを射出成形して得られた第2の基板208としての鏡面基板を、接着層207を介して第2の反射層206に貼り合わせて光記録媒体の製造が完了する。
以上、本実施の形態が適用される光記録媒体100及びその製造方法について説明したが、本実施の形態は上記の態様に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、光記録媒体が3つ以上の複数の記録層を有していても良い。また、各層間や最外層として必要に応じて他の層を設けてもよい。基板入射型光ディスクに限られず、少なくとも基板/反射層/第2の記録層/バッファー層/中間層/半透明反射膜/第1の記録層/保護層からなる積層構造を有し、保護層側(即ち、膜面側)からレーザ光を照射して情報の記録・再生を行なう膜面入射型光ディスクにおいても適用できる。
以下、実施例に基づき本実施の形態を更に具体的に説明する。尚、本実施の形態は、その要旨を越えない限り、実施例に限定されるものではない。
(1)光記録媒体の調製
表面に溝が形成されたNiスタンパを用いて、ポリカーボネートを射出成形することにより、ピッチ0.74μm、幅0.33μm、深さ140nmの溝が形成された直径120mm、厚さ0.57mmの基板を3枚形成した。
次に、一般式(II)で表される含金属アゾ色素の中、下記化学式で表される色素Aのオクタフルオロペンタノール溶液(濃度1.52重量%)を3枚の基板上にそれぞれ滴下し、スピンコートした後、100℃で30分間乾燥し第1の記録層をそれぞれ形成した。第1の記録層の膜厚は3枚とも約80nmであった。
Figure 2005339769
続いて、それぞれの第1の記録層上に、Ag−Bi(Bi:1.0原子%)からなるAg合金を用いて、スパッタリング法により厚さ17nmの半透明の第1の反射層を成膜した。次いで、この第1の反射層の上に、紫外線硬化性樹脂を塗布し、予め作製した非晶質ポリオレフィン樹脂からなる樹脂スタンパの凹凸面を第1の基板側に向けて載置し、続いて、樹脂スタンパ側から紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂を硬化させた後、樹脂スタンパを剥離して、第1の基板と同様に、表面にピッチ0.74μm、幅0.39μm、深さ170nmの溝を有する厚さ約50μmの中間層をそれぞれ形成した。
続いて、一般式(II)で表される含金属アゾ色素の中、前述した色素A、下記化学式で表される色素C、色素Aと色素Cとの混合物(色素A/色素C=60/40重量%)である色素Bの、3種類の色素のオクタフルオロペンタノール溶液(濃度1.9重量%)をそれぞれ調製した。次に、これら3種類の色素(色素A、色素B、色素C)のオクタフルオロペンタノール溶液を、それぞれの基板の中間層の上に滴下し、スピンコートした後、100℃で30分間乾燥し、第2の記録層が形成された3種類のディスク(ディスク1(色素B)、ディスク2(色素C)、ディスク3(色素A))を形成した。このとき、第2の記録層の膜厚は、ディスク1〜ディスク3のいずれの場合も、約90nmであった。
Figure 2005339769
続いて、3種類のディスクのそれぞれの第2の記録層上に、Ag合金からなる厚さ130nmの第2の反射層を成膜し、次いで、第2の反射層上に紫外線硬化性樹脂をスピンコートして接着層を設け、その接着層上に直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製の第2の基板を載置し、紫外線を照射し硬化接着させ、2個の記録層を有する3種類の光記録媒体(光記録媒体1〜光記録媒体3)を調製した。第1の記録層及び第2の記録層に用いた色素の種類と光記録媒体との種類を表1に示す。
Figure 2005339769
(2)吸光度の測定
色素A〜色素Cの各クロロフォルム溶液(濃度5mg/l)を、それぞれ、光路長10mmのセルに入れ、吸光度計(日立社製:U−3300スペクトラムメータ)を使用して波長800nm〜波長400nmの範囲において透過光量(I)を測定し、下記関係式から吸光度(Iabs)(OD:Optical Density)を求める。尚、リファレンスは、上述したセルにクロロホルムを入れたものとした。
abs=−log(I/I
(但し、Iは、入射光量であり、Iは透過光量である。尚、対数の底は10である。)
色素A〜色素Cの、波長657nmにおける吸光度の測定結果を表2に示す。尚、色素A、B、Cの吸光度の大小関係は、波長690nm〜590nmの範囲において変らないことを確認している。
Figure 2005339769
(3)最適記録パワーの測定
2個の記録層を有する光記録媒体に対し、波長657nm、対物レンズ開口数0.65の記録再生評価機(パルステック工業株式会社製DDU−1000)により、第1の基板側からレーザ光を照射し、第1の記録層及び第2の記録層に、記録線速度3.8m/s、基準クロック周期38.5ns(1/26Mbps)、8−16変調のEFM+信号を記録パワーを変化させながら記録した。再生線速度は、記録線速度と同様に、3.8m/sとし、再生パワー0.7mWで再生した信号のジッタを測定し、ジッタが最小値になる近傍の記録パワーを最適記録パワーとして求めた。
ここで、再生信号のジッタとは、再生信号をイコライザとLPFを通過させた後に、スライサにより2値化信号とし、この2値化信号のリーディングエッジとトレーリングエッジとのPLLクロックに対する時間のずれの標準偏差(ジッタ)を基準クロック周期Tで規格化したものである。
(実施例1、実施例2、比較例)
予め調製した2個の記録層を有する3種類の光記録媒体(光記録媒体1〜光記録媒体3)について、最適記録パワー及び反射率を測定し、測定結果を表3に示した。
Figure 2005339769
表3に示した結果から、2個の記録層を有する光記録媒体において、第2の記録層に含まれる色素の吸光度を、第1の記録層に含まれる色素の吸光度よりも大きくすることが好ましいことが分かる。具体的には、吸光度が0.005以上の色素を第2の記録層に使用する場合(実施例1及び実施例2)は、第2の記録層の最適記録パワーが低減し、記録層の感度が向上することが分かる。
これに対して、吸光度が0.005未満の色素を第2の記録層に使用する場合(比較例)は、第2の記録層の最適記録パワーが増大し、第1の記録層の感度と比較して第2の記録層の記録感度が著しく低下することが分かる。
図4は、実施例1、実施例2及び比較例における第2の記録層の最適記録パワーと(第2の記録層色素の吸光度)/(第1の記録層色素の吸光度)(以下、吸光度比と記載することがある。)の関係を示す図である。DVDの1倍速記録とほぼ同じ、3.8m/sで行う記録において、記録パワーが20.5mW以上の場合は、より高速の記録が困難となるおそれがある。この理由については、後述する「実験例」において詳しく説明する。
図4に示す結果から、吸光度比は1.05倍以上が好ましく、より好ましくは1.1倍以上である。さらに好ましくは1.2倍以上である。さらに、既存の低速対応のDVD−Rのドライブは、レーザパワーの上限がディスク面上で23mW近傍であることから、1倍速相当の記録速度では、最適記録パワーが20mW以下で記録できることが好ましいと考えられる。そのためには、吸光度比が1.3倍以上が好ましいことが分かる。
また、第2の記録層の反射率は、第2の記録層に含まれる色素の吸光度が大きくなる程、低下する傾向が見られることが分かる。これは記録層に含まれる色素の吸光度が過度に高いと、第2の記録層に光が吸収され過ぎて十分な反射率を確保することが難しくなるためと考えられる。尚、一般に、市販のDVDドライブを用いて再生するためには反射率が16%以上である必要があり、2層型DVD−ROMの規格と完全互換性をとるためには、反射率を18%以上とする必要がある。このため、十分な反射率を確保するには、吸光度の上限値は0.015になると考えられる。
(実験例)
実施例1で使用した光記録媒体1と、実施例2で使用した光記録媒体2と、比較例で使用した光記録媒体3について、それぞれの第1の記録層と第2の記録層とに、実施例1で用いたものよりレーザ照射パワーの上限が高い記録再生評価機(パルステック工業株式会社製ODU,NA=0.65)を用いて、以下の条件で記録を行った。記録パルスストラテジーを以下に示す。
<記録条件>
(1)記録パルスストラテジー
DVD+R version 1.2準拠(DVD+R規格書)
Tl3=1.88T, Ttop=1.75T, Tend(cm=4)=0.63T, Tend(cm≧5)=1.00T, dTle=0T, Tc=2.0T
(2)記録線速度(1倍速=1X=3.84m/s)
2.4X=9.22m/s,4X=15.36m/s,6X=23.04m/s
(3)再生速度 3.84m/s
<測定方法>
上述した条件で記録された信号を再生して得られる再生信号波形のアシンメトリー(asymmetry)が5%となるレーザパワーを「記録パワー」とした。こうして、得られた記録パワーは、最も簡単に記録層の感度(記録感度)を評価できる指標である。
上述した条件によって3種類の光記録媒体について記録を行い、第2の記録層の記録パワーと第1の記録層の記録パワーとの比(以下、記録感度比と記載することがある)と、第2の記録層色素の吸光度(以下、第2の記録層吸光度と記載することがある)と第1の記録層色素の吸光度(以下、第1の記録層吸光度と記載することがある)の比(以下、吸光度比と記載することがある)を、表4に示す。
尚、表4においては、記録パワー(mW)は、Asym=0.05となる記録パワーとした。また、記録感度比は、記録パワー(mW)の、第1の記録層に対する第2の記録層の比とした。
Figure 2005339769
表4に示す結果から、吸光度比が1.0の場合には、上記の方法による記録感度比が1.16となる(光記録媒体3)。この場合は、6倍速記録においては、高パワーレーザの照射パワーの上限である55mWでも記録パワーが不足し、良好な記録ができなかった。従って、記録感度比は1.16を下回ることが好ましいことが分かる。
以上のことから、上記測定方法における第2の記録層と第1の記録層の記録感度比は1.16を下回ることが好ましく、より好ましくは1.1以下である。最も好ましいのは、1.0であるが、1.0を下回ることもよい。
但し、第1の記録層と第2の記録層との間で記録感度の差が過度に大きい場合は、良好なジッタ値(ジッタの最小値)を得るためには、それぞれの記録層において、記録パルスストラテジーを最適化する必要が生じるため、好ましくない。このような理由により、記録感度比は0.7以上が好ましいと考えられる。
より実用的な観点からは、即ち、良好なジッタ値を得るためには、上述した記録感度比は1.0に近いほど好ましい。
図5は、表4に示した3種類の光記録媒体について、記録感度比(第2の記録層/第1の記録層)と、(第2の記録層色素の吸光度)/(第1の記録層色素の吸光度)との関係を示す図である。
図5に示すように、上述した好ましい記録感度比を得るためには、第2の記録層色素の吸光度は、第1の記録層色素の吸光度の1.05倍以上、より好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.3倍以上であることが分かる。
また、第2の記録層色素の吸光度が第1の記録層色素の吸光度の1.9倍前後で、2個の記録層の記録感度がほぼ等しくなることが分かる。
上述した吸光度比が4を超えると、記録感度比が0.7を下回るため、前述したのと同じ理由により好ましくない。
本発明によれば、透明基板上に設けられた複数の色素記録層を有する光記録媒体の記録特性が改善される。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。
本実施の形態が適用される光記録媒体の一例を説明する図である。 本実施の形態が適用される光記録媒体を製造する方法を説明する図である。 本実施の形態が適用される光記録媒体の他の例を説明する図である。 実施例1、実施例2及び比較例における第2の記録層の最適記録パワーと(第2の記録層色素の吸光度)/(第1の記録層色素の吸光度)の関係を示す図である。 表4に示した、3種類の光記録媒体について、記録感度比(第2の記録層/第1の記録層)と、(第2の記録層色素の吸光度)/(第1の記録層色素の吸光度)の関係を示す図である。
符号の説明
100,300…光記録媒体、101,201,301…第1の基板、102,202,302…第1の記録層、103,203,303…第1の反射層、104,204…中間層、204a…紫外線硬化性樹脂層、105,205,305…第2の記録層、106,206,306…第2の反射層、107,207…接着層、108,208,307…第2の基板、110,310…レーザ光、210…樹脂スタンパ、304…接着層(中間層)、308…バッファー層

Claims (11)

  1. 光により情報の記録再生が可能な第1の記録層と、少なくとも1つの第2の記録層と、を有する光記録媒体であって、
    前記第2の記録層に含まれる色素の吸光度が、前記光が入射する側に最も近い前記第1の記録層に含まれる色素の吸光度より大きいことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記第2の記録層に含まれる前記色素の吸光度が0.005以上、0.015以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 前記第2の記録層に含まれる色素の吸光度が、前記第1の記録層に含まれる色素の吸光度の1.3倍以上であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  4. 前記第2の記録層の厚さが50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  5. 前記第1の記録層と前記第2の記録層との間に、厚さ5nm以上、50nm以下である半透明反射層を有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  6. 前記光の波長が350nm〜900nmであることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  7. 前記第2の記録層に含まれる前記色素が、下記一般式(I)及び/又は一般式(II)で表される含金属アゾ色素から選ばれることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
    Figure 2005339769
    (但し、式中、環A1及び環A2は、各々独立に置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環であり、環B1及び環B2は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環であり、Xは、少なくとも2個のフッ素原子で置換されている炭素数1〜炭素数6のアルキル基である。)
  8. 前記第2の記録層に含まれる前記色素の屈折率が1.0以上であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  9. 前記第2の記録層に含まれる前記色素の前記光に対する消衰係数が0.5以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  10. 2個の記録層を有する光記録媒体であって、
    記録光が入射する側に設けられた第1の記録層に情報を記録する記録パワー(P1)と、前記記録光が入射する側から遠い側に設けられた第2の記録層に情報を記録する記録パワー(P2)と、の比(P2)/(P1)が、1.16未満になるように、前記第2の記録層が、前記第1の記録層に含まれる色素の前記記録光における吸光度より大きい吸光度を有する含ニッケルアゾ色素を含むことを特徴とする光記録媒体。
  11. 前記第2の記録層に含まれる前記含ニッケルアゾ色素の吸光度が、前記第1の記録層に含まれる前記色素の吸光度より1.05倍以上大きいことを特徴とする請求項10記載の光記録媒体。
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