JP2005337942A - 測定用器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定のための専門的な知識や技能を持たない人物では、構築物の損傷の寸法を測定することが困難であった。
【解決手段】測定の基準となる第1長さ指定点3−1,3−2と第2長さ指定点3−3,3−4とを有する、棒状の、複数の長さ指定部20−1,20−2と、複数の長さ指定部のそれぞれを、それぞれの長さの中心点2で互いに交差するように、保持するベース部10とを備え、複数の長さ指定部のそれぞれは、直線上に配置された棒状の第1長尺部20−1a,20−2aと第2長尺部20−1b,20−2bとからなり、第1長尺部は、第1端に第1長さ指定点を有するとともに、第2端にベース部と結合する第1結合部14−1,14−2を有し、第2長尺部は、第1端に第2長さ指定点を有するとともに、第2端にベース部と結合する第2結合部14−3,14−4を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】測定の基準となる第1長さ指定点3−1,3−2と第2長さ指定点3−3,3−4とを有する、棒状の、複数の長さ指定部20−1,20−2と、複数の長さ指定部のそれぞれを、それぞれの長さの中心点2で互いに交差するように、保持するベース部10とを備え、複数の長さ指定部のそれぞれは、直線上に配置された棒状の第1長尺部20−1a,20−2aと第2長尺部20−1b,20−2bとからなり、第1長尺部は、第1端に第1長さ指定点を有するとともに、第2端にベース部と結合する第1結合部14−1,14−2を有し、第2長尺部は、第1端に第2長さ指定点を有するとともに、第2端にベース部と結合する第2結合部14−3,14−4を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この発明は、例えば、ひび割れや仕上げ材の部分的な欠落などの、構築物の損傷を測定対象とし、測定対象の周囲に測定の基準となるマークを付すのに好適な測定用器具に関する。
土砂や、コンクリート(モルタルを含む)、木材、石材、金属などの材料を使用する、家(ビルを含む)や、道路、港、橋、堤などの土木建築物と称される構築物は、長期間、風雨に曝されることによって、または、長期間、自動車や風、地震、その他に起因する様々な振動を受けることによって、ひび割れや仕上げ材の部分的な欠落などの損傷が生じる。そこで、これらの構築物の建築主らは、構築物の損傷の寸法を定期的に測定するのが一般的である。構築物の損傷の寸法を測定する手法としては、例えば、以下のようなものがある。
第1の手法は、同じ長さの2つの棒が直角なL字状に接合されている測定用器具を用いるものである。なお、測定用器具の2つの棒は、2つの棒の接合箇所から等しい長さの2つの位置を指定するための定規として利用される部位となる。そこで、以下、測定用器具の2つの棒を長さ指定部といい、測定用器具を二等辺定規という。また、2つの長さ指定部の自由端側の先端(以下、終端という)は、2つの長さ指定部の接合箇所から等しい長さの2つの点を示している。そこで、以下、2つの長さ指定部の終端を長さ指定点という。なお、2つの長さ指定部の固定端側の先端を始端という。
この二等辺定規は、作業者によって以下のように利用される。なお、以下は、測定対象である構築物の損傷として、壁面に生じたひび割れを例にして説明する。
まず、作業者は、目分量で、ひび割れの略中央部の位置を決定する。次に、二等辺定規の頂点(すなわち、2つの長さ指定部の接合箇所)がひび割れの略中央部に重なるように、二等辺定規をひび割れに添える。そして、二等辺定規の2つの終端に沿ってひび割れの周囲にフエルトペンなどの筆記用具でマークを付ける。次に、ひび割れの略中央部と二等辺定規の頂点とを一致させた状態で、二等辺定規を180度回転させる。そして、再度、二等辺定規の2つの終端に沿ってひび割れの周囲にマークを付ける。これにより、ひび割れの周囲には、ひび割れの略中央部から90度間隔で等しい長さの位置(すなわち、長さ指定部と同じ長さの位置)に4つのマークが付けられる。この4つのマークは、二等辺定規の頂点(すなわち、2つの長さ指定部の接合箇所)から90度間隔の長さ指定部と同じ長さに位置する点を示しており、測定時における測定の基準となる。この後、作業者は、二等辺定規をひび割れから取り除き、カメラ(好適にはデジタルカメラ)を所定の位置でかつ所定の方向に設置する。所定の位置とは、測定対象であるひび割れの略中央部に対して垂直となる位置で、かつ、ひび割れの略中央部から所定の距離だけ離間する位置(具体的には、カメラレンズの視野内にひび割れと4つのマークとが入る位置)である。所定の方向とは、カメラレンズの光軸がひび割れの略中央部に垂直に対向する方向である。次に、作業者は、4つのマークが写るように、カメラでひび割れを撮影してその撮影画像をコンピュータに解析させる。コンピュータに解析させるソフトウェアは、すでにいくつかが市販されており、例えば「GS−1」(株式会社ニコン・トリンブル社の商品名)などがある。コンピュータは、これらのソフトウェアに基づいて、撮影画像に写るひび割れとその周囲の4つのマークとを比較し、ひび割れの寸法を解析する。
第2の手法は、例えば特開平8−184193号公報に開示されているように、一定間隔おきに吊り下げた複数のメジャーを用いるものである。具体的には、以下のようなものである。まず、作業者は、ひび割れの上方から一定間隔おきに複数のメジャーを吊り下げる。次に、任意の位置から、フィールドスコープなどによってひび割れの全体と複数のメジャーとを視認する。そして、ひび割れとメジャーとを比較し、これによって、ひび割れの寸法を測定する。
特開平8−184193号公報(段落0009〜段落0013、図3)
第1の手法と第2の手法は、測定のための高度な知識や技能が作業者に必要となるとともに、多大な手間や時間が必要となる。そのため、測定のための専門的な知識や技能を持たない人物では、測定対象の寸法を測定することが困難であるという課題があった。
例えば、前述の第1の手法では、二等辺定規が重いため、作業者は二等辺定規を固定して支えるための技能が必要となる。また、二等辺定規を回転させる際に誤差が生じ易いため、作業者は誤差が生じないように回転させるための技能が必要となる。また、カメラを所定の位置でかつ所定の方向に設置するためには、測定対象であるひび割れの略中央部に対して垂直となる方向を特定するとともに、ひび割れの略中央部から所定の距離だけ離間する位置を特定する必要がある。そのためには、作業者は専用の測量機器を扱い得るだけの高度な知識と技能が必要となる。
また、第1の手法は、ひび割れの略中央部の位置を決定する工程や、ひび割れの周囲にマークを付ける工程、カメラを所定の位置でかつ所定の方向に設置する工程、ひび割れを撮影する工程、撮影画像に基づいてひび割れの寸法を測定する工程などが存在するため、測定対象の寸法を測定するための多大な手間や時間が必要となる。
また、第1の手法は、マークの位置に誤差が生じ易いため、カメラの設置位置と設置方向が限定される。すなわち、第1の手法は、二等辺定規が重いため、また、二等辺定規を正しく180度回転させることが困難であるため、マークの位置に誤差が生じ易い。そこで、誤差の量を識別する必要があるが、誤差の量を識別するためには、所定の方向(すなわち、ひび割れの略中央部に対して垂直となる方向)から撮影した理想的な撮影画像(以下、理想画像という)を取得し、理想画像に写るマークの位置から測定する必要がある。そのため、カメラの設置位置と設置方向を限定する必要があった。
ところで、ひび割れの中には、例えば0.1mm以下の微細なものがある。そのため、撮影方向によっては、ひび割れに陰影が生じない場合がある。したがって、撮影方向によっては、ひび割れを鮮明に写すことができない場合があった。このようなひび割れを鮮明に写すためには、場合に応じて、作業者がカメラの設置位置や設置方向を選択することが好ましい。
しかしながら、第1の手法は、前述の通り、マークの位置に誤差が生じ易いため、カメラの設置位置と設置方向が限定されている。したがって、第1の手法は、作業者がカメラの設置位置や設置方向を選択することは許容されていなかった。そのため、第1の手法は、測定対象の寸法を測定するための高度な知識や技能が作業者に必要となるとともに、多大な手間や時間が必要となる。
このように、第1の手法は、測定のための高度な知識や技能が作業者に必要となるとともに、多大な手間や時間が必要となる。
他方、前述の第2の手法では、一定間隔おきに複数のメジャーを吊り下げる必要があるため、測定のための高度な知識や技能が作業者に必要となる。
また、第2の手法は、メジャーを吊り下げる工程や、フィールドスコープなどによってひび割れの全体と複数のメジャーとを視認する工程、ひび割れの寸法を測定する工程などが存在するため、測定のための多大な手間や時間が必要となる。
このように、第2の手法も、測定のための高度な知識や技能が作業者に必要となるとともに、多大な手間や時間が必要となる。
また、第2の手法では、メジャーを吊り下げる必要があるため、作業者が吊り下げ位置よりも高い場所に上がる必要がある。したがって、非常に危険であった。そのため、この意味からも、第2の手法は、測定のための専門的な知識や技能を持たない人物では、測定対象の寸法を測定することが困難であった。
そこで、この発明は、測定対象をカメラで撮影してその撮影画像をコンピュータに解析させることを前提とし、測定のための専門的な知識や技能を持たない人物であっても、測定対象の周囲のほぼ定位置にマークを付けることができる測定用器具を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、この発明に係る測定用器具は、棒状の、複数の長さ指定部と、複数の長さ指定部をそれぞれの長さの中心点で互いに交差するように保持するベース部とを備える。複数の長さ指定部のそれぞれは、直線上に配置された棒状の第1長尺部と第2長尺部とからなる。第1長尺部は、第1端に測定の基準となる第1長さ指定点を有するとともに、第2端にベース部と結合する第1結合部を有する。他方、第2長尺部は、第1端に測定の基準となる第2長さ指定点を有するとともに、第2端にベース部と結合する第2結合部を有する。
なお、この発明を実施するにあたり、好ましくは、ベース部を、長さ指定部の中心点に対応する対応点を有する構造とする。そして、ベース部を、第1長尺部の第1長さ指定点と対応点と第2長尺部の第2長さ指定点とが直線上に並ぶとともに、対応点から第1長さ指定点までの長さと対応点から第2長さ指定点までの長さが等しくなるように、第1および第2長尺部を保持する構造とする。
この発明に係る測定用器具は、以下のように用いられる。すなわち、作業者は、長さ指定部の中心点が測定対象(例えば、ひび割れ)の略中央部に一致するように測定用器具を設置し、各長さ指定点に沿ってマークを付ける。この後、作業者は、カメラで撮影対象とマークとが写るように撮影し、撮影画像をコンピュータに入力する。そして、撮影画像をコンピュータに解析させる。これにより、コンピュータは、撮影画像に写る測定対象とその周囲のマークとを比較し、測定対象の寸法を解析する。
この発明によれば、作業者は、測定用器具を前述のように設置して、各長さ指定点に沿ってマークを付けるだけで、簡単かつ正確に、測定対象の周囲のほぼ定位置に測定の基準となるマークを付けることができる。また、作業者は、カメラで撮影対象とマークとが写るように撮影し、撮影画像をコンピュータに入力するだけで、コンピュータに測定対象の寸法を解析させることができる。
したがって、この発明によれば、測定のための専門的な知識や技能を持たない人物であっても、測定対象の寸法を簡単かつ正確に測定することができる。
なお、この発明を実施するにあたり、好ましくは、第1結合部を、第1長尺部とベース部とを回動可能に結合するヒンジとし、第2結合部を、第2長尺部とベース部とを回動可能に結合するヒンジとする。また、ベース部を、第1長尺部の回動を所定の方向に導く第1ガイドと、第2長尺部の回動を所定の方向に導く第2ガイドとを有する平板状プレートによって構成する。このような構成において、第1および第2ガイドは、第1および第2長尺部の回動を所定の方向に導き、第1長尺部の第1長さ指定点と対応点と第2長尺部の第2長さ指定点とが直線上に並ぶとともに、対応点から第1長尺部の第1長さ指定点までの長さと対応点から第2長尺部の第2長さ指定点までの長さが等しくなる位置に、第1および第2長尺部を固定する。このような構成の測定用器具は、コンパクトにまとめることができるので、容易に運搬することができるとともに、大きな場所をとらずに保管することができる。
または、この発明を実施するにあたり、好ましくは、第1および第2結合部を、第1および第2長尺部の第2端が嵌入固定される、穴や溝などの嵌入固定部とする。このような構成の測定用器具は、分解することができるので、容易に運搬することができる。
また、この発明を実施するにあたり、好ましくは、ガイドを、プレートから隆起する構造とする。このような構成の測定用器具は、ガイドがプレートから隆起しているので、プレートが立体的な構成となっている。そのため、ベース部の強度を高くすることができる。また、ガイドと長さ指定部との接触面積を大きくすることができる。そのため、ガイドと長さ指定部との間に生じる摩擦力によって、長さ指定部の回動を停止させ、長さ指定部を固定させることができる。
また、この発明を実施するにあたり、好ましくは、第1および第2長尺部を、それぞれ、第1端に、第1端から長さ指定部の中心点側に向けて削り込まれた三角形の切欠を有する構造とする。なお、第1長尺部の切欠は、三角形の頂点が第1長さ指定点となり、第2長尺部の切欠は、三角形の頂点が第2長さ指定点となる。作業者は、このような構成の測定用器具を用いることによって、測定対象の周囲に複数のマークを付けることができる。このとき付けられる各マークは、形状が三角形となる。そして、各マークは、三角形の頂点が長さ指定部の中心点側に向くように配置されているとともに、三角形の頂点が長さ指定点に一致している。そのため、コンピュータによって撮影画像を解析させる場合に、コンピュータは、各マークの形状から各マークの配置関係を識別することができるとともに、各マークの形状と配置関係から長さ指定点を識別することができる。その結果、コンピュータは、長さ指定点を容易かつ高精度に検出することができる。
また、この発明を実施するにあたり、好ましくは、第1および第2長尺部を、複数の貫通孔を有する構造とする。複数の貫通孔は、長さ指定部の中心点からの距離を指定する、副次的な長さ指定点となるものである。複数の貫通孔は、第1長さ指定点と長さ指定部の中心点と第2長さ指定点とを通る直線上に、等間隔で離間して設けられる。作業者は、このような構成の測定用器具を用いることによって、測定対象の周囲の任意の位置に、副次的な長さ指定点となる複数のマークを付けることができる。
また、この発明を実施するにあたり、好ましくは、第1および第2長尺部を、伸縮固定自在な多段状構造とする。第1および第2長尺部は、測定時に伸張され、測定以外の時には圧縮することができる。このような構成の測定用器具は、コンパクトな形状に変形することができるので、容易に運搬することができるとともに、大きな場所をとらずに保管することができる。
また、この発明を実施するにあたり、好ましくは、第1および第2長尺部のそれぞれの長尺方向に直交する横断面形状を、長尺方向に沿う両縁部を互いに向き合う方向に折り曲げてある、コの字状とする。このような構成の測定用器具は、長尺部の強度を高くすることができる。しかも、長尺部の中が空洞であるので軽量にすることができる。
または、この発明を実施するにあたり、好ましくは、第1および第2長尺部のそれぞれの長尺方向に直交する横断面形状を、円環状とする。このような構成の測定用器具は、コの字状の横断面形状より劣るが、長尺部の強度をある程度高くすることができる。
また、この発明を実施するにあたり、好ましくは、ベース部を、測定用器具を持ち抱えるためのグリップ部を備えている構造とする。なお、グリップ部を設ける位置は、ベース部の、長さ指定部の中心点に対応する対応点上が好適である。作業者は、グリップ部を介して測定用器具を持ち抱えることができるので、測定用器具の姿勢を容易に変えることができるとともに、容易に運搬することができる。
また、この発明を実施するにあたり、好ましくは、複数の長さ指定部を、互いに直交する第1および第2長さ指定部とし、以下のような構造とする。
すなわち、第1長さ指定部の第1長さ指定点と第2長さ指定部の第1長さ指定点と第1長さ指定部の第2長さ指定点と第2長さ指定部の第2長さ指定点とを順次に結ぶ直線で形成される軌跡の形状を、平行四辺形とする。
または、長さ指定部の中心点を囲むように、第1長さ指定点と第2長さ指定点と副次的な長さ指定点の中のいずれか4つの指定点を選択する場合に、選択された4つの指定点の隣接するもの同士を順次に結ぶ直線で形成される軌跡の形状を、平行四辺形とする。
作業者は、このような構成の測定用器具を用いることによって、軌跡の形状が平行四辺形となっている4つのマークを、測定対象(例えば、ひび割れ)の周囲に付けることができる。平行四辺形の2つの対角線の交点は、測定対象の略中央部と一致する。そのため、コンピュータによって撮影画像を解析させる場合に、コンピュータは、撮影画像の中から測定対象の略中央部を容易に特定することができる。また、撮影画像が正しい方向(すなわち、測定対象の略中央部に対して垂直となる方向)から撮影されていない場合は、撮影画像に写るマークが形成する図形が軌跡の形状通りの平行四辺形にならない。この場合、コンピュータは、撮影画像に写るマークが形成する図形の辺の比率と軌跡の形状通りの平行四辺形の辺の比率とを比較することによって、撮影画像の歪みを検出することができる。そのため、コンピュータは、撮影画像を部分的に伸張または圧縮することにより、正しい方向から撮影した場合と同様の画像を取得することができる。なお、平行四辺形の中でも正方形は、撮影画像の歪みの検出や、撮影画像の部分的な伸張・圧縮をし易い。そのため、軌跡の形状としては、正方形が最も好ましい。
また、この発明を実施するにあたり、好ましくは、ベース部を、測定用器具を立て掛けた状態で支持する支持部を備えている構造とする。作業者は、測定用器具を立て掛けた状態で設置することができるので、一人でも容易に構築物の損傷の周囲にマークを付けることができる。
この発明に係る測定用器具は、測定のための専門的な知識や技能を持たない人物であっても、測定対象の周囲のほぼ定位置にマークを簡単かつ正確に付けることができるので、簡単かつ正確に測定対象の寸法を測定することができる。
この発明に係る測定用器具は、マークを測定対象(ここでは、ひび割れや仕上げ材の部分的な欠落などの構築物の損傷)の周囲のほぼ定位置に付けるためのものであり、以下のように用いられる。
すなわち、作業者は、後述の長さ指定部が測定対象を覆うように、測定用器具を設置する。そして、測定用器具を用いて、複数のマークを測定対象の周囲に付ける。次に、測定用器具を測定対象から取り外し、各マークが写るように、カメラ(好適にはデジタルカメラ)で測定対象を略垂直方向から撮影し、撮影画像をコンピュータに入力する。そして、その撮影画像をコンピュータに解析させる。コンピュータに解析させるソフトウェアは、すでにいくつかが市販されており、例えば「GS−1」(株式会社ニコン・トリンブル社の商品名)などがある。コンピュータは、これらのソフトウェアに基づいて、入力された撮影画像(以下、入力画像という)が正しい方向(すなわち、測定対象の略中央部に対して垂直となる方向)から撮影した理想的な撮影画像(以下、理想画像という)と同様になるように、入力画像に写る各マークに基づいて入力画像を修正する。これによって理想画像と同様の修正された画像(以下、修正画像という)を取得する。そして、修正画像に基づいて、修正画像に写る測定対象とその周囲の各マークとを比較し、測定対象の寸法を解析する。
以下に、図を参照してこの発明の実施の形態を説明する。なお、各図は、この発明を理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎない。よって、この発明は図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。また、以下は、測定対象として、ひび割れを例にして説明する。
<測定用器具の構成>
図1に、測定用器具の外観を示す。図1に示すように、測定用器具1は、ベース部10と、それぞれの両端に測定の基準となる長さ指定点3を有する、棒状の、複数の長さ指定部20とからなる。
図1に、測定用器具の外観を示す。図1に示すように、測定用器具1は、ベース部10と、それぞれの両端に測定の基準となる長さ指定点3を有する、棒状の、複数の長さ指定部20とからなる。
また、測定用器具1は、測定用器具1を壁などに立て掛けた状態で支持するための支持部30や、壁などに立て掛けた状態にある測定用器具1が動かないように、床面との間に摩擦力を生じさせるための緩衝部40、測定用器具1を持ち抱えるためのグリップ部50などを備える。
ベース部10は、複数の長さ指定部20をそれぞれの長さの中心点2で互いに交差するように保持する。
ベース部10は、後述のヒンジ14、15(図5参照)などの結合部によって長さ指定部20や支持部30を回動可能に保持する。このような構成の測定用器具1は、長さ指定部20や支持部30をベース部10に対して垂直となる方向(以下、収束方向という)に回動することができる。そのため、測定用器具1は、コンパクトな形状に変形することができる。その結果、測定用器具1は、容易に運搬することができるとともに、大きな場所をとらずに保管することができる。なお、結合部は、ヒンジ以外の回動機能を有する構成にしてもよい。
長さ指定部20は、この実施例では、2つ存在する。以下、それぞれの長さ指定部20を区別する場合に、それぞれを、第1長さ指定部20−1、第2長さ指定部20−2と称する。
第1長さ指定部20−1は、棒状の第1長尺部20−1aと第2長尺部20−1bとからなる。第1長さ指定部20−1の第1長尺部20−1aは、自由端側の先端である第1端(以下、終端という場合もある)に第1長さ指定点3−1を有するとともに、固定端側の先端である第2端(以下、始端という場合もある)にベース部10と結合するヒンジ14−1を有する。また、第1長さ指定部20−1の第2長尺部20−1bは、第1端に第2長さ指定点3−3を有するとともに、第2端にベース部10と結合するヒンジ14−3を有する。第1長さ指定部20−1の第1長尺部20−1aと第2長尺部20−1bは、中心点2を通る直線上に点対称に配置されている。すなわち、第1長さ指定部20−1の第1長尺部20−1aと第2長尺部20−1bは、中心点2を中心にして180度異なる方向に突出し、かつ、中心点2から第1長さ指定点3−1までの長さと中心点2から第2長さ指定点3−3までの長さが等しくなるように配置されている。なお、ヒンジ14−1は、第1長さ指定部20−1の第1長尺部20−1aとベース部10とを回動可能に結合する第1長さ指定部20−1の第1結合部となり、ヒンジ14−3は、第1長さ指定部20−1の第2長尺部20−1bとベース部10とを回動可能に結合する第1長さ指定部20−1の第2結合部となる。
他方、第2長さ指定部20−2は、直線上に配置された棒状の第1長尺部20−2aと第2長尺部20−2bとからなる。第2長さ指定部20−2の第1長尺部20−2aは、第1端に第1長さ指定点3−2を有するとともに、第2端にベース部10と結合するヒンジ14−2を有する。また、第2長さ指定部20−2の第2長尺部20−2bは、第1端に第2長さ指定点3−4を有するとともに、第2端にベース部10と結合するヒンジ14−4を有する。第2長さ指定部20−2の第1長尺部20−2aと第2長尺部20−2bは、中心点2を通る直線上に点対称に配置されている。すなわち、第2長さ指定部20−2の第1長尺部20−2aと第2長尺部20−2bは、中心点2を中心にして180度異なる方向に突出し、かつ、中心点2から第1長さ指定点3−2までの長さと中心点2から第2長さ指定点3−4までの長さが等しくなるように配置されている。なお、ヒンジ14−2は、第2長さ指定部20−2の第1長尺部20−2aとベース部10とを回動可能に結合する第2長さ指定部20−2の第1結合部となり、ヒンジ14−4は、第2長さ指定部20−2の第2長尺部20−2bとベース部10とを回動可能に結合する第2長さ指定部20−2の第2結合部となる。
長さ指定部20は、コンピュータによる入力画像の修正のし易さを考慮すると、複数の指定点3の隣接するもの同士を結ぶ直線で形成される軌跡の形状を平行四辺形(特に、正方形)であることが好ましい。そこで、この実施例では、軌跡の形状が正方形となるように、長さ指定部20の数を2つとし、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bによって、2つの長さ指定部20−1,20−2を形成する。そして、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bのそれぞれの長さをLとし、また、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bがなすそれぞれの角度θa〜θdを90度とする。また、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bのそれぞれの終端に、終端から長さ指定部20の中心点2側に向けて削り込まれた三角形の切欠21を設ける。この4つの切欠21は、マークを測定対象の周囲に付けるためのものであり、4つの切欠21の三角形の頂点は、各長さ指定点3−1〜3−4に一致している。なお、4つの切欠21の形状を三角形にするのは、コンピュータによる識別性が高く、また、三角形の頂点を長さ指定点3として利用することができるからである。そのため、マークをコンピュータに識別させる場合に、コンピュータは、長さ指定点3の位置を容易かつ正確に検出することができる。
また、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bは、それぞれの短尺方向の略中央部に、長尺方向に沿って等間隔おきに離間して設けられた複数の貫通孔22を有している。貫通孔22も、マークを測定対象の周囲に付けるためのものである。貫通孔22は、長さ指定部20の中心点2からの距離を指定する副次的な長さ指定点として利用することができる。
支持部30は、長さ指定部20とともにベース部10から放射状に突出するように、2つの長さ指定部20に挟まれたベース部10の一辺に設けられている。
緩衝部40は、支持部30の終端に設けられている。緩衝部40は、ゴムなどの弾性材によって形成され、測定用器具1が壁などに立て掛けられた場合に、床面との間に生じる摩擦力によって、測定用器具1を支持する。
グリップ部50は、作業者が測定用器具1の姿勢を変える場合や運搬する場合において、測定用器具1を持ち抱えるために供される。グリップ部50は、例えば、ベース部10の略中央部(好適には、各長さ指定部20の中心点2と一致する点)に、垂直方向に突出するように設けられている。
図2〜図7に、測定用器具1の細部の構成を示す。図2は測定用器具1全体の細部の構成を示し、図3は測定用器具1の斜め上方から見た場合の細部の構成を示し、図4と図5は測定用器具1のベース部10の周囲の細部の構成を示している。なお、図2〜図4は運搬時における形状を示し、図5は測定時における形状を示している。図6は長さ指定部20の終端の構成を示し、図7は支持部30の終端の構成を示している。
測定用器具1は、運搬時において、図2〜図4に示すように、長さ指定部20や支持部30が収束方向に回動される。これにより、測定用器具1は、一本の柱状に収束したコンパクトな形状となる。なお、長さ指定部20や支持部30は、固定部60(例えば、ゴム材や繊維などによって構成された紐)によって固定される。これにより、作業者は、容易に測定用器具1を持ち抱えて運搬することができる。
測定用器具1のベース部10は、図2〜図5に示すように、平板状のプレート11と、プレート11に隆起して設けられたガイド12とからなる。
プレート11は、長さ指定部20の中心点2に対応する対応点16(図5参照)を有する。なお、図5に示す2つの一点鎖線は、各長さ指定部20の長尺方向の中心線を示している。対応点16は、この実施例では、2つの一点鎖線が交差する点に存在する。
ガイド12は、図5に示すように、この実施例では、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bに応じて4つ存在する。以下、それぞれのガイド12を区別する場合に、それぞれを、第1ガイド12−1,12−2と第2ガイド12−3,12−4と称する。ガイド12−1〜12−4は、それぞれ、溝13を有している。この溝13に、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bが入り込む。そして、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bは、ガイド12との間に生じる摩擦力によって固定される。このとき、ガイド12−1,12−3は、第1長さ指定点3−1と対応点16と第2長さ指定点3−3とが直線上に並ぶとともに、対応点16から第1長さ指定点3−1までの長さと対応点16から第2長さ指定点3−3までの長さが等しくなる位置に、第1長さ指定部20−1の第1長尺部20−1aと第2長尺部20−1bを固定する。また、ガイド部12−2,12−4は、第1長さ指定点3−2と対応点16と第2長さ指定点3−4とが直線上に並ぶとともに、対応点16から第1長さ指定点3−2までの長さと対応点16から第2長さ指定点3−4までの長さが等しくなる位置に、第2長さ指定部20−2の第1長尺部20−2aと第2長尺部20−2bを固定する。
4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bは、図2、図3、図6に示すように、平板を矩形(この実施例では四角形)に折り曲げることによって形成されている。すなわち、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bは、それぞれの長尺方向に直交する横断面形状が、長尺方向に沿う両縁部を互いに向き合う方向に折り曲げてある、コの字状に形成されている。このような4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bは、高い強度を有する。しかも、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bは、測定対象と接する側の面が平面で、かつ、中が空洞なパイプ型の形状に形成されることになるので、測定対象と密着させることができるとともに、軽量にすることができる。
4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bは、前述の通り、それぞれの終端に、三角形の切欠21を有している。作業者は、筆記用具(例えば、フエルトなどのペンや、鉛筆、その他)やシールなどを用いて、切欠21に沿って測定対象の周囲にマークを付すことになる。なお、図6に示す切欠21の角度θTは、作業者がマークを付ける効率やコンピュータがマークを識別する精度を考慮すると、90度が特に好ましい。
測定用器具1の支持部30は、図7に示すように、長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bと同様に、平板を矩形(この実施例では四角形)に折り曲げることによって形成されている。すなわち、支持部30は、長尺方向に直交する横断面形状が、長尺方向に沿う両縁部を互いに向き合う方向に折り曲げてある、コの字状に形成されている。このような支持部30は、長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bと同様に、高い強度を有する。しかも、支持部30は、測定対象と接する側の面が平面で、かつ、中が空洞なパイプ型の形状に形成されることになるので、測定対象と密着させることができるとともに、軽量にすることができる。なお、支持部30は、運搬時における測定用器具1の全長(すなわち、ベース部10の測定対象に対向する側の面から各長尺部の終端までの長さ)をできるだけ小さくするために、長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bと同じ長さまたはそれ以下の長さであることが好ましい。
測定用器具1のベース部10や長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2b、支持部30などの素材は、熱や応力による変形がしにくいように、金属で形成することが好ましい。また、測定用器具1の寸法は、持ち運び時において、車両(一般的な普通乗用車)に積載可能な大きさであることが好ましい。そこで、この実施例では、持ち運び時の全長(すなわち、ベース部10から各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bの終端までの長さ)を百数十cm以内とする。また、測定時において、数十〜百数十cm程度のひび割れを測定できるように、測定時の全長(すなわち、第1長尺部の終端から第2長尺部の終端までの長さ)を二百cm以内とする。具体的には、持ち運び時の全長を約75cm、測定時の全長を150cmとする。特に、測定時の全長は、測定に際して重要な要素となるため、高精度である必要がある。そこで、測定時の全長の精度を±1mm以内とする。また、測定用器具1の重さは、一人で持ち運びでき、かつ、壁などに立て掛けができる程度に軽量であることが好ましい。そこで、この実施例では、重さを十数kg以内とする。なお、このような条件を満たすには、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bや支持部30を、アルミニュウム合金などの軽量な金属によって、中が空洞なパイプ型の形状に形成することが好ましい。
<測定用器具の使用例>
図8〜図11に、測定用器具の使用例を示す。図8は測定用器具1を測定対象の上に設置した状態を示し、図9は複数のマークを測定対象の周囲に付けた状態を示し、図10は作業者によって撮影された撮影画像を示し、図11は撮影画像に写る各マークの位置関係を示している。
図8〜図11に、測定用器具の使用例を示す。図8は測定用器具1を測定対象の上に設置した状態を示し、図9は複数のマークを測定対象の周囲に付けた状態を示し、図10は作業者によって撮影された撮影画像を示し、図11は撮影画像に写る各マークの位置関係を示している。
運搬時において、測定用器具1は、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bや支持部30が収束方向に回動された状態となっている(図2参照)。作業者は、そのような状態となっている測定用器具1を車両などに積載し、測定を行う現場(すなわち、測定対象であるひび割れ71が生じた壁70付近)まで運搬する。
作業者は、現場に到着すると、測定用器具1を車両などから降ろし、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bと支持部30をベース部10に対して平行となる方向(以下、展開方向という)に回動する。これによって、測定用器具1は、図8に示すような形状(すなわち、測定時の形状)に変わる。
次に、作業者は、図8に示すように、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bが測定対象であるひび割れ71を覆うように、測定用器具1を設置する。そして、図9に示すように、筆記用具やシールなどを用いて、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bの切欠21に沿って(または、貫通孔22を通して)、複数(この実施例では4つ)のマーク80をひび割れ71の周囲に付ける。このとき、付される4つのマーク80は、長さ指定部20の中心点2(図1,図5参照)を中心にして、90度間隔で中心点2から長さLの位置に付される。そのため、4つのマーク80は、隣接するもの同士を結ぶ直線で形成される軌跡の形状が正方形となる。
次に、作業者は、測定用器具1をひび割れ71から取り外し、作業者の感覚に基づいて、4つのマーク80が写るように、カメラ(好適にはデジタルカメラ)でひび割れ71を略垂直方向から撮影し、撮影画像をコンピュータに入力する。このとき、撮影された撮影画像を、図10に示す。図10に示すように、撮影画像は、作業者の感覚に基づいて撮影されているため、厳密には不正確な方向から撮影されたものとなっている。そのため、撮影画像には、4つのマーク80が歪んだ位置(すなわち、隣接する4つのマーク80の隣接するもの同士を結ぶ直線の軌跡の形状が正方形とならない位置)に写っている。
コンピュータは、解析用のソフトウェア(例えば、市販の「GS−1」(株式会社ニコン・トリンブル社の商品名))を予め格納しており、解析用のソフトウェアに基づいて、入力された撮影画像(入力画像)を修正し、これによって理想画像と同様の修正画像を取得する。
具体的には、コンピュータは、例えば、以下のようにして、4つのマーク80の位置関係を導き出す。
すなわち、まず、コンピュータは、図11に示すように、4つのマーク80を特定する。なお、図11では、4つのマーク80は、右上のものから時計回りに、順に、80−1、80−2、80−3、80−4として示されている。
次に、コンピュータは、マーク80−1〜マーク80−4の中の隣接するもの同士を結ぶ直線81−a〜81−dを引く。また、マーク80−1とマーク80−3とを結ぶ直線82−1およびマーク80−2とマーク80−4とを結ぶ直線82−2を引く。なお、図11では、直線82−1と直線82−2は、一点鎖線として示されている。そして、コンピュータは、直線82−1と直線82−2とが交差する交点83を特定する。
ここで、各直線81−a〜81−dは、理想画像では、全て等しい長さとなるべきものである。また、直線82−1と直線82−2は、4つの長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bの隣接するもの同士の終端を結ぶ直線で形成される図形(すなわち、広義には平行四辺形となり、この実施例では正方形となる)の対角線となる。また、交点83から各マーク80−1〜80−4までの距離L−1〜L−4は、理想画像では、全て各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bと同じ長さ(すなわち、長さL)になるべきものである。
次に、コンピュータは、直線81−a〜81−dによって形成される図形が正方形となるように(すなわち、各距離L−1〜L−4が同じ長さになるように)、入力画像を部分的に伸張または圧縮する。このとき、コンピュータは、交点83を中心にして放射方向毎に、交点83からの距離に応じて伸張または圧縮する比率を変えながら、入力画像を部分的に伸張または圧縮する。なお、この入力画像の部分的な伸張または圧縮は、解析用のソフトウェアの仕様に応じて、適宜、伸張または圧縮の一方のみ、または、両方とも実行することができる。そして、このような入力画像の部分的な伸張または圧縮は、入力画像に写る測定対象(ひび割れ71)の形状を理想画像におけるひび割れ71の形状と同様な形状に修正することになる。
このようにして、コンピュータは、理想画像と同様の修正画像を取得する。
次に、コンピュータは、解析用のソフトウェアに基づいて、修正画像に基づいて、修正画像に写る測定対象であるひび割れ71と各マーク80−1〜80−4の関係からひび割れ71の寸法を解析する。
具体的には、コンピュータは、修正画像に基づいて、ひび割れ71と、交点83から各マーク80−1〜80−4までの距離L−1〜L−4とを比較する。このとき、交点83から各マーク80−1〜80−4までの距離L−1〜L−4は、全て同じ長さとなっている。しかも、その長さは、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bと同じ長さ(すなわち、長さL)を意味する。したがって、コンピュータは、交点83から各マーク80−1〜80−4までの距離L−1〜L−4を基準にすることによって、ひび割れ71の寸法を特定することができる。
このようにして、コンピュータは、測定対象であるひび割れ71の寸法を解析する。
以上の通り、この発明によれば、作業者は、長さ指定部20の中心点2が測定対象(例えば、ひび割れ71)の略中央部に一致するように測定用器具1を設置し、各長さ指定点3に沿ってマーク80を付けるだけで、簡単かつ正確に、測定対象の周囲のほぼ定位置に測定の基準となるマーク80を付けることができる。したがって、測定のための専門的な知識や技能を持たない人物であっても、ひび割れの寸法を簡単かつ正確に測定することができる。
また、この発明によれば、入力画像に写るマーク80の位置の誤差をコンピュータによって修正することができる。そのため、撮影時において、作業者は、場合に応じて、カメラの設置位置や設置方向を適宜選択することができる。極限すれば、作業者は、適当に測定対象(ひび割れ71)を撮影するだけでよい。そのため、この発明によれば、従来の第1の手法よりも手間や時間を大幅に短縮することができる。しかも、従来の第2の手法のように、高い場所に上がる必要がないので、安全でもある。
<変形例>
この発明は、前述の実施例に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が考えられる。図12〜図15に、変形の一例を示す。
この発明は、前述の実施例に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が考えられる。図12〜図15に、変形の一例を示す。
図12に示す例は、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bを伸縮固定自在な多段状構造としたものである。すなわち、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bに、長尺方向に沿って摺動する摺動部24を設けたものである。また、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bには、摺動部24を固定するねじ25も設けられている。なお、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bは、図12に示す例では2段構造になっているが、摺動部24の内部に別の摺動部(図示せず)を設けることにより、3段以上の構造にすることもできる。
摺動部24は、先端に切欠が設けられ、切欠の頂点を基準にして長尺方向にmm単位の目盛りが設けられた、いわば、物差しに類するものである。摺動部24は、通常時において、長さ指定部20内に収納されているが、測定時において、作業者によって長さ指定部20の終端から長尺方向に突出される。なお、測定時において、作業者は、測定対象であるひび割れ71の大きさに応じて、摺動部24の目盛りの所望の値が長さ指定部20の終端と重なるように、摺動部24を長さ指定部20の終端から突出させることになる。そして、ねじ25によって摺動部24を固定して、測定用器具1をひび割れ71に添え、切欠に沿ってひび割れ71の周囲にマーク80を付けることになる。このような構成の測定用器具1は、コンパクトな形状に変形することができるので、容易に運搬することができるとともに、大きな場所をとらずに保管することができる。
図13に示す例は、ベース部10のガイド12に各長さ指定部20を固定するための固定機構を設けたものである。固定機構は、長さ指定部20を押圧する梁26と、梁26を回動自在に支持するピン27と、梁26を挟み込んで固定するロック28とからなる。このような構成の測定用器具1は、長さ指定部20を固定させることができるので、作業者は好適に利用することができる。
図14に示す例は、4つの結合部を、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bの第2端が嵌入固定される嵌入固定部としたものである。すなわち、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bの第2端側に凸部29を設けるとともに、ベース部10のガイド12に、凸部29が嵌入される凹部16を設け、凹部16の所定の位置に各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bを固定するための固定部17を設けたものである。なお、固定部17を設ける所定の位置とは、中心点2(図1参照)から第1長さ指定点3−1,3−2までの長さと中心点2から第2長さ指定点3−3,3−4までの長さが同じになる位置である。このような構成の測定用器具1は、ベース部10と各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bとを分解することができる。そのため、運搬時に、分解して運搬することができる。
図15に示す例は、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bのそれぞれの長尺方向に直交する横断面形状を、円環状としたものである。このような構成の測定用器具1は、コの字状の横断面形状より強度が劣るが、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bの強度をある程度高くすることができる。なお、ベース部10のガイド12や溝13の形状は、当然ながら、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bが保持できるように、各長尺部20−1a,20−2a,20−1b,20−2bの横断面形状に応じて変形されている。
前述の実施例では、土木建築物のひび割れ(仕上げ材の剥離や部分的な欠落を含む)の寸法を測定する場合を例にして説明しているが、この発明は、ひび割れに限らず、様々な対象物の寸法を測定する場合にも利用することができる。
1 …測定用器具
2 …長さ指定部の中心点
3(3−1〜3−4) …長さ指定点
10 …ベース部
14(14−1〜14−4) …結合部
20(20−1,20−2) …長さ指定部
20−1a,20−1b,20−2a,20−2b …長尺部
21 …切欠
22 …貫通孔
30 …支持部
40 …緩衝部
50 …グリップ部
θa〜θd …角度
2 …長さ指定部の中心点
3(3−1〜3−4) …長さ指定点
10 …ベース部
14(14−1〜14−4) …結合部
20(20−1,20−2) …長さ指定部
20−1a,20−1b,20−2a,20−2b …長尺部
21 …切欠
22 …貫通孔
30 …支持部
40 …緩衝部
50 …グリップ部
θa〜θd …角度
Claims (15)
- 一端に測定の基準となる第1長さ指定点を有するとともに、他端に測定の基準となる第2長さ指定点を有する、棒状の、複数の長さ指定部と、
前記複数の長さ指定部をそれぞれの長さの中心点で互いに交差するように保持するベース部とを備え、
前記複数の長さ指定部のそれぞれは、直線上に配置された棒状の第1長尺部と第2長尺部とからなり、
前記第1長尺部は、第1端に前記第1長さ指定点を有するとともに、第2端に前記ベース部と結合する第1結合部を有し、
前記第2長尺部は、第1端に前記第2長さ指定点を有するとともに、第2端に前記ベース部と結合する第2結合部を有することを特徴とする測定用器具。 - 請求項1に記載の測定用器具において、
前記ベース部は、前記長さ指定部の中心点に対応する対応点を有しており、かつ、前記第1長尺部の第1長さ指定点と前記対応点と前記第2長尺部の第2長さ指定点とが直線上に並ぶとともに、前記対応点から前記第1長さ指定点までの長さと前記対応点から前記第2長さ指定点までの長さが等しくなるように、前記第1および第2長尺部を保持することを特徴とする測定用器具。 - 請求項1に記載の測定用器具において、
前記第1結合部を、前記第1長尺部と前記ベース部とを回動可能に結合するヒンジとし、
前記第2結合部を、前記第2長尺部と前記ベース部とを回動可能に結合するヒンジとすることを特徴とする測定用器具。 - 請求項3に記載の測定用器具において、
前記ベース部を、前記長さ指定部の中心点に対応する対応点を有する平板状プレートとし、
前記平板状プレートは、前記第1長尺部の回動を所定の方向に導く第1ガイドと、前記第2長尺部の回動を所定の方向に導く第2ガイドとを有し、
前記第1および第2ガイドは、前記第1および第2長尺部の回動を所定の方向に導き、前記第1長尺部の第1長さ指定点と前記対応点と前記第2長尺部の第2長さ指定点とが直線上に並ぶとともに、前記対応点から前記第1長尺部の第1長さ指定点までの長さと前記対応点から前記第2長尺部の第2長さ指定点までの長さが等しくなる位置に、前記第1および第2長尺部を固定することを特徴とする測定用器具。 - 請求項1に記載の測定用器具において、
前記第1および第2結合部を、前記第1および第2長尺部の第2端が嵌入固定される嵌入固定部とすることを特徴とする測定用器具。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の測定用器具において、
前記第1および第2長尺部は、それぞれ、前記第1端に、前記第1端から前記長さ指定部の中心点側に向けて削り込まれた三角形の切欠を有しており、
前記第1長尺部の切欠は、三角形の頂点が前記第1長さ指定点となり、
前記第2長尺部の切欠は、三角形の頂点が前記第2長さ指定点となることを特徴とする測定用器具。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定用器具において、
前記第1および第2長尺部は、前記第1長さ指定点と前記長さ指定部の中心点と前記第2長さ指定点とを通る直線上に、等間隔で離間して設けられた、前記長さ指定部の中心点からの距離を指定する複数の貫通孔を、副次的な長さ指定点として備えていることを特徴とする測定用器具。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の測定用器具において、
前記第1および第2長尺部は、伸縮固定自在な多段状構造を備えていることを特徴とする測定用器具。 - 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の測定用器具において、
前記第1および第2長尺部は、それぞれの長尺方向に直交する横断面形状を、長尺方向に沿う両縁部を互いに向き合う方向に折り曲げてある、コの字状とすることを特徴とする測定用器具。 - 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の測定用器具において、
前記第1および第2長尺部は、それぞれの長尺方向に直交する横断面形状を、円環状とすることを特徴とする測定用器具。 - 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の測定用器具において、
前記ベース部は、前記長さ指定部の中心点に対応する対応点を有しており、前記対応点上に測定用器具を持ち抱えるためのグリップ部を備えていることを特徴とする測定用器具。 - 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の測定用器具において、
前記複数の長さ指定部を、互いに直交する第1および第2長さ指定部とし、
前記第1長さ指定部の第1長さ指定点と前記第2長さ指定部の第1長さ指定点と前記第1長さ指定部の第2長さ指定点と前記第2長さ指定部の第2長さ指定点とを順次に結ぶ直線で形成される軌跡の形状が平行四辺形であることを特徴とする測定用器具。 - 請求項7に記載の測定用器具において、
前記複数の長さ指定部を、互いに直交する第1および第2長さ指定部とし、
前記長さ指定部の中心点を囲むように、前記第1長さ指定点と前記第2長さ指定点と複数の前記副次的な長さ指定点の中のいずれか4つの指定点を選択する場合に、選択された4つの指定点の隣接するもの同士を順次に結ぶ直線で形成される軌跡の形状が平行四辺形であることを特徴とする測定用器具。 - 請求項12または13に記載の測定用器具において、
前記軌跡の形状は、正方形であることを特徴とする測定用器具。 - 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の測定用器具において、
前記ベース部は、測定用器具を立て掛けた状態で支持する支持部を備えていることを特徴とする測定用器具。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100779096B1 (ko) | 2007-06-14 | 2007-11-27 | 케이에스엠기술 주식회사 | 교량의 교각 크랙길이 안전진단용 점검장치 |
CN110883407A (zh) * | 2019-10-24 | 2020-03-17 | 上海江南长兴造船有限责任公司 | 一种用于解决生产中焊接接头缺陷的方法 |
-
2004
- 2004-05-28 JP JP2004158645A patent/JP2005337942A/ja active Pending
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