JP2005337626A - ヒートポンプ給湯機システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 給湯負荷と給湯負荷以外の熱負荷に熱を供給するにあたって、ヒートポンプ回路の運転効率を高く保つこと。
【解決手段】 ヒートポンプ回路から熱供給を受ける給湯負荷および給湯負荷以外の熱負荷を備えてなるヒートポンプ給湯機システムにおいて、ヒートポンプ回路は、独立に設けられた複数のヒートポンプ回路を有し、複数のヒートポンプ回路の少なくとも一のヒートポンプ回路の熱出力の最大能力は、他のヒートポンプ回路の熱出力の最大能力よりも大きく設定され、給湯負荷は、少なくとも一のヒートポンプ回路の熱交換器から熱供給を受ける管路を備え、給湯負荷以外の熱負荷は、他のヒートポンプ回路の熱交換器から熱供給を受けるように構成されることにより、ヒートポンプ回路の運転効率を高く保つことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ヒートポンプ式給湯機に関する。
複数の熱負荷を備え、ヒートポンプ回路から熱供給を受けた温水や熱媒体を各熱負荷に供給するようにしたヒートポンプ式給湯機が知られている。例えば、単一の熱源ユニットであるヒートポンプ回路に並列に複数の熱交換器を配設し、この複数の熱交換器のそれぞれに給水又は熱媒体を導いて異なる温度に加熱し、給湯負荷および床暖房負荷などに熱を供給するようにしたヒートポンプ式給湯装置が知られている(特許文献1参照。)。
また、一つの給湯負荷に対して複数のヒートポンプ回路を設け、例えば、水温、外気温度、給湯負荷などに応じて運転するヒートポンプ回路の台数を変化させ、熱出力の最大能力を制御するヒートポンプ式給湯機が提案されている(特許文献2参照。)。
特開2003−50050号公報 特開2003−343914号公報
しかしながら、特許文献1のように、単一のヒートポンプ回路から給湯負荷と床暖房負荷などの複数の負荷設備に熱を供給する構成の場合、運転態様によっては、熱負荷が比較的小さい床暖房負荷を単独運転する態様がある。この場合、ヒートポンプ回路は、圧縮機を低回転数で断続運転することがあり、圧縮機の運転効率低下と共に断続運転によるエネルギロスが生じ、ヒートポンプ回路の成績係数が低くなるという問題がある。
一方、特許文献2の方法によれば、複数のヒートポンプ回路の熱出力の最大能力を同等に設定すると、例えば、床暖房負荷などの熱負荷を追加した場合、上述と同様、床暖房負荷を単独運転すると、低回転数で圧縮機を断続運転することがあり、成績係数が低くなる。
本発明は、給湯負荷と給湯負荷以外の熱負荷に熱を供給するにあたって、ヒートポンプ回路の運転効率を高く保つことを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、ヒートポンプ回路から熱供給を受ける給湯負荷および給湯負荷以外の熱負荷を備えてなるヒートポンプ給湯機システムにおいて、ヒートポンプ回路は、独立に設けられた複数のヒートポンプ回路を有し、この複数のヒートポンプ回路の少なくとも一のヒートポンプ回路の熱出力の最大能力は、他のヒートポンプ回路の熱出力の最大能力よりも大きく設定され、給湯負荷は、少なくとも一のヒートポンプ回路の熱交換器から熱供給を受ける管路を備え、給湯負荷以外の熱負荷は、他のヒートポンプ回路の熱交換器から熱供給を受けるように構成されたことを特徴とする。
すなわち、通常、床暖房などに比べて給湯設備の熱負荷が最も大きいことから、ヒートポンプ回路を独立に複数設け、少なくともヒートポンプ回路の最大能力を他のヒートポンプ回路よりも大きくする。そして、最大能力の最も大きいヒートポンプ回路により給湯負荷に熱を供給するようにし、床暖房などの熱負荷に対しては、最大能力が小さい他のヒートポンプ回路から熱供給を行うようにしたのである。したがって、給湯負荷以外の熱負荷を単独運転させる場合、その熱負荷に対応する最大能力を有するヒートポンプ回路を設けることにより、ヒートポンプ回路の運転効率を向上させることができる。
この場合において、給湯負荷は、他のヒートポンプ回路の熱交換器から熱供給を受ける管路を備えていることが好ましい。すなわち、一般に、床暖房などの熱負荷は、熱媒体を循環させて熱を供給しており、その熱媒体の戻り温度と供給温度の差は小さいため、ヒートポンプ回路の加熱能力に余剰が生じる場合がある。そこで、給湯負荷と組み合わせた構成とすることにより、他のヒートポンプ回路の熱交換器の運転効率を一層向上できる。
つまり、この場合、他のヒートポンプ回路の熱交換器は、給湯負荷以外の熱負荷の熱媒体が通流する第1の伝熱流路と、給湯負荷の給水が通流する第2の伝熱流路とを備え、第1の伝熱流路は、第2の伝熱流路よりも他のヒートポンプ回路に流れる冷媒の上流側に配置するようにする。このように、加熱負荷の異なる二つの伝熱流路を冷媒の通流方向に沿って適宜配置することにより、ヒートポンプ回路の熱効率を高くできる。
また、他のヒートポンプ回路の熱交換器は一体に形成されることにより、装置構成が簡単になる。
なお、給湯負荷以外の熱負荷としては、例えば、床暖房設備と浴室乾燥機の少なくとも一つを含むようにしてもよい。
ここで、ヒートポンプ回路の最大能力は、圧縮機の容量(行程容積)、蒸発器又は熱交換器の伝熱面積などによって決まってくる。具体的に、一のヒートポンプ回路は、他のヒートポンプ回路と比べて、圧縮機の行程容積、蒸発器の伝熱面積、熱交換器の伝熱面積がそれぞれ大きくなるように設定する。
また、給湯負荷により加熱した湯を貯湯タンクに蓄える貯湯手段と、貯湯タンク内の湯量を検出する湯量検出手段と、給湯量を検出する給湯量検出手段と、外気温度を検出する外気温度検出手段と、湯量検出手段と給湯量検出手段と外気温度検出手段がそれぞれ検出した信号に基づいてヒートポンプ回路の起動停止を制御する制御手段とを備えることが好ましい。これによれば、各検出手段の検出値に基づいて、起動させるヒートポンプ回路を適宜選択できるから、例えば、システム全体の運転効率が向上し、消費電力を低減できる。
さらに、少なくとも一のヒートポンプ回路には、二酸化炭素冷媒が封入されていることが好ましい。すなわち、二酸化炭素冷媒を最大能力の大きいヒートポンプ回路に用いることにより、ヒートポンプ回路の効率を向上させることができる。
本発明によれば、給湯負荷と給湯負荷以外の熱負荷に熱を供給するにあたって、ヒートポンプ回路の運転効率を高く保つことができる。
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を適用してなるヒートポンプ給湯機システムの全体構成図である。
本実施形態のヒートポンプ給湯機システムは、ヒートポンプ回路、給湯経路、床暖房経路、制御装置から構成される。ヒートポンプ回路は、それぞれが独立して運転できる第1のヒートポンプ回路及び第2のヒートポンプ回路からなり、第1のヒートポンプ回路は、第1の圧縮機1、第1の水熱交換器2、第1の電動膨張弁3、第1の蒸発器4を順次冷媒配管で接続した閉回路であり、第2のヒートポンプ回路は、第2の圧縮機11、第2の水熱交換器12、第2の電動膨張弁13、第2の蒸発器14を順次冷媒配管で接続した閉回路である。各回路には同種又は異種の冷媒が封入されている。
第1の圧縮機1及び第2の圧縮機11は、低速回転から高速回転まで回転数が制御自在になっている。また、第1の蒸発器4及び第2の蒸発器14は、それぞれ第1のファン5及び第2のファン15から送られる空気と冷媒とを熱交換するようになっている。
第1の二方向弁6及び第2の二方向弁16は、例えば、電磁コイルと、電磁コイル通電中のみ開放する開閉弁とを備えて構成され、第1の圧縮機1及び第2の圧縮機11の出口側と、第1の蒸発器4及び第2の蒸発器14の入口側をそれぞれバイパスして形成され、第1の蒸発器4及び第2の蒸発器14が着霜する際に開閉弁を開き、第1の圧縮機1及び第2の圧縮機11から吐出される高温高圧の冷媒ガスを、第1の蒸発器4及び第2の蒸発器14にそれぞれ導いて霜を融かすようになっている。
第1のヒートポンプ回路の熱出力の最大能力(以下、最大能力と略す。)は、第2のヒートポンプ回路の最大能力より大きく設定されている。具体的には、第1のヒートポンプ回路は、第2のヒートポンプ回路に比べて、圧縮機の容量(行程容積)、蒸発器の伝熱面積、水熱交換器の伝熱面積が大きくなるように設定されている。
給湯経路は、給水口、ポンプ20、第2の水熱交換器12、第1の水熱交換器2、タンク湯混合弁22、二方弁24、出湯口を順次水配管で接続して構成される。貯湯タンク21は、頂部がタンク湯混合弁22と接続される一方、底部が給水口とポンプ20を接続する給水管と接続されている。また、給水口は、二方弁23を備えた水管を介してタンク湯混合弁22と出湯口とを接続する給湯管に接続されており、出湯温度調節のため所定量の配水が行われるようになっている。
床暖房経路は、床暖房31、ポンプ30、第2の水熱交換器12を順次水配管で接続した環状経路からなり、ポンプ30の稼動に伴い、水またはブライン等の熱媒体が循環するようになっている。
第1の水熱交換器2は、第1のヒートポンプ回路の冷媒が通流する冷媒側伝熱管7と、給湯経路から供給される水が通流する給水側伝熱管25とを備えて構成され、第2の水熱交換器12は、第2のヒートポンプ回路の冷媒が通流する冷媒側伝熱管17と、給湯経路から供給される水が通流する給水側伝熱管26と、床暖房経路から供給される熱媒体が通流する熱媒体伝熱管32とを備えて構成される。第2の水熱交換器12においては、熱媒体伝熱管32は、給水側伝熱管26の冷媒上流側に配置されており、冷媒側伝熱管17の一部と熱媒体伝熱管32とが熱的に接触して形成される熱媒体熱交換部と、冷媒側伝熱管17の一部と給水側伝熱管26とが熱的に接触して形成される水熱交換部とを備えて構成される。
外気温度センサ41、貯湯量検知センサ42、43、44及び使用水量センサ45により検知された信号は、マイクロコンピュータを有する制御装置40に入力され、ここにおいて演算処理された後、第1の圧縮機1及び第2の圧縮機11、第1のファン5及び第2のファン15、ポンプ20及びポンプ30を運転制御するようになっている。また、図示しないが、制御装置40は、第1の電動膨張弁3及び第2の電動膨張弁13、二方弁6及び二方弁16、タンク湯混合弁22、二方弁23及び二方弁24などを制御するようになっている。
次に、本実施形態の動作を説明する。図1の矢印は、冷媒と水の流れ方向を示す。第1のヒートポンプ回路において、第1の圧縮機1で圧縮された冷媒は、第1の水熱交換器2の冷媒側伝熱管7に導入され、放熱して給水側伝熱管25を通流する水を加熱するとともに凝縮する。冷媒側伝熱管7を通過して、第1の電動膨張弁3に導かれ膨張した冷媒は、第1の蒸発器4において、空気と熱交換して吸熱により蒸発し、第1の圧縮機1に吸い込まれる。
一方、第2のヒートポンプ回路において、第2の圧縮機11で圧縮された冷媒は、第2の水熱交換器12の冷媒側伝熱管17に導かれ、放熱して熱媒体伝熱管32を通流する床暖房の循環水又はブラインを加熱し、次いで給水側伝熱管26を通流する給水を加熱して凝縮する。そして、第2の電動膨張弁13を通じて膨張した冷媒は、第2の蒸発器14において、空気と熱交換して吸熱により蒸発し、第2の圧縮機11に吸い込まれる。
次に、給湯と床暖房の経路について説明する。ここで3つの運転状態について、次のように定義する。まず、「給湯運転」とは、熱交換器で冷媒により加熱された温水を直接出湯する運転を示す。この運転は、必要に応じて貯湯タンク21内の湯を混合して出湯するが、基本的には、直接出湯することから、「直接出湯(運転)」とも呼ぶ。次に「貯湯運転」とは、水熱交換器で冷媒により加熱された温水を貯湯タンク21内に蓄える運転を示す。また、「床暖房運転」とは、第2の水熱交換器12で加熱された温水又はブラインを床暖房31に循環させる運転を示す。
給湯運転時において、水源から供給された給水は、ポンプ20の稼動に伴い、まず、第2の水熱交換器12の給水側伝熱管26に導かれ、所定温度まで加熱された後、第1の水熱交換器2の給水側伝熱管25を通じて、さらに高温の所定温度に加熱され、タンク湯混合弁22、二方弁24を経由して出湯口から出湯される。ここで、必要に応じて貯湯タンク21内から供給された温水は、タンク湯混合弁22を通じて所定量混合され、設定温度の温水に調節されて出湯される。なお、二方弁24は、給湯運転時以外は閉じられ、給湯運転時のみ開放されている。
貯湯運転時において、水源から供給された給水は、給湯運転時と同様、ポンプ20の稼動に伴い、第2の水熱交換器12を通じて所定温度まで加熱され、次いで、第1の水熱交換器2に導かれ、さらに高温の所定温度に加熱された後、タンク湯混合弁22を経由して貯湯タンク21に蓄えられる。
床暖房運転において、ポンプ30の稼動により循環する循環水又はブラインは、第2の水熱交換器12の熱媒体伝熱管32を通じて所定温度に加熱された後、床暖房31において放熱する。なお、後述するように、給湯運転や貯湯運転は、2つのヒートポンプ回路のいずれか一方のみを運転する場合もある。このとき、給水は2台の水熱交換器2,12のうちのいずれか一方によって加熱される。また、床暖房を行い、常時貯湯用の湯がつくられている場合などには、貯湯タンク21の湯を出湯するようにしてもよい。
図2は、給湯運転、貯湯運転、床暖房運転の三つの運転モードについての組み合わせと、制御装置40によって選択される運転動作からなる9通りの運転モードを示している。なお、運転動作は、外気温度や使用水量、貯湯タンク21の貯湯量等に基づいて適宜選択される。
運転モード1は、給湯運転と床暖房運転とを同時に行うものであり、外気温度センサ41で検出された外気温度が低い場合や使用水量センサ45で検出された使用水量が多く負荷が大きい場合に適用され、第1のヒートポンプ回路と第2のヒートポンプ回路の両方を運転する。このとき、第1の圧縮機1及び第2の圧縮機12、第1のファン5及び第2のファン15、ポンプ20及びポンプ30は、全て運転している。
運転モード2は、貯湯運転と床暖房運転とを同時に行う場合であり、床暖房を運転しているとき、貯湯タンク21内の貯湯量が少ない場合に適用される。なお、貯湯タンク21の貯湯量は、図1の貯湯量検知センサ(例えば、温度センサ)42,43,44によって検出される。運転モード3は、同じく貯湯運転と床暖房運転とを同時に行う場合であるが、ある程度貯湯タンク21の貯湯量が確保されている場合に適用され、床暖房と同時にゆっくりと貯湯運転を行うようにする。この場合、ポンプ20により送られる水の流量を少なくするとよい。
運転モード4及び運転モード5は、給湯のみ行う運転モードである。運転モード4は、外気温度センサ41で検出された外気温度が低い場合や使用水量センサ45で検出された使用水量が多く負荷が大きい場合に適用され、両方のヒートポンプ回路を運転している。運転モード5は、外気温度センサ41で検出された外気温度が高い場合や、使用水量センサ45で検出された使用水量が少なく比較的負荷が小さい場合に適用され、第1のヒートポンプ回路のみを運転している。
運転モード6から運転モード8は、貯湯のみ行う運転モードである。運転モード6では、貯湯量検知センサ42,43,44によって検出された貯湯タンク21の貯湯量が少ない場合や、外気温度センサ41で検出された外気温度が低い場合などに適用され、両方のヒートポンプ回路を運転する。運転モード7は、外気温度センサ41で検出された外気温度が高い場合や、使用水量センサ45で検出された使用水量が少ない場合など、負荷が低く、かつ湯量センサ42,43,44で検出された貯湯タンク21の貯湯量もある程度確保されている場合に適用され、第1のヒートポンプ回路のみ運転する。運転モード8は、貯湯タンクの貯湯量がかなり多く、外気温度が高い場合などに適用され、第2のヒートポンプ回路のみを運転する。運転モード9は、床暖房のみを運転する場合であり、貯湯タンク21が満水のときに床暖房運転を行うときに適用され、第2のヒートポンプ回路のみを運転する。
これらの運転モードのほか、第1の蒸発器4に霜が多く着いた場合には、第1の圧縮機1を運転し、二方弁6を開いて、ファン5を停止する除霜運転を行う。第2の蒸発器14に霜が多く着いた場合も同様に、第2の圧縮機11を運転し、二方弁16を開いて、ファン15を停止する除霜運転を行う。多く霜が着いたかどうかは、図1には示していないが、例えば、蒸発器出口のパイプに取り付けられた温度センサの検出温度によって判定できる。
図3は、本実施形態の2つのヒートポンプ回路をモリエル線図で表したものであり、(a)は、第1のヒートポンプ回路を示し、(b)は、第2のヒートポンプ回路を示している。なお、図のモリエル線図は、ヒートポンプ回路をフルパワーで運転した場合を示している。
第1のヒートポンプ回路の最大能力は大きいため、高圧側の圧力は高く、低圧側の圧力は低くなり、冷媒循環量は多い。第2のヒートポンプ回路の最大能力は小さいため、高圧側の圧力は低く、低圧側の圧力は高く、冷媒循環量は少ない。したがって、第1のヒートポンプ回路は高能力運転に適しており、第2のヒートポンプ回路は低能力運転時の効率が高い。給湯運転で直接出湯を行う場合は、高い給湯能力が必要なのに対し、安定時の床暖房運転では小さな暖房能力しか必要ないため、床暖房を備えた第2のヒートポンプ回路の最大能力を小さくすることにより、床暖房の単独運転時に最大能力が大きいヒートポンプ回路を用いて、低速、断続運転を行う必要がなくなり、ヒートポンプ回路の運転効率が向上し、床暖房の成績係数が向上して消費電力を低減できる。
また、外気温度、使用水量及び貯湯タンク21の貯湯量などに応じて、運転するヒートポンプ回路を選択することにより、給湯と床暖房のシステムの効率が向上し、消費電力を低減できる。さらに床暖房の場合、水の出入口の温度差が小さいため、特に二酸化炭素冷媒の場合には運転効率が低下する傾向がある。これは、図3の第2のヒートポンプ回路に示した破線のようなサイクルになるためである。そこで、前述したように、第2のヒートポンプ回路を、熱媒体熱交換部と水熱交換部を組み合わせた構造とし、床暖房運転と貯湯運転とを同時に行うことにより、さらに総合的な効率を向上することができ、消費電力を大幅に低減できる。
また、第1のヒートポンプ回路と第2のヒートポンプ回路の冷媒を異なるものとしてもよい。例えば、第1のヒートポンプ回路には二酸化炭素冷媒を用い、第2のヒートポンプ回路にはプロパン等の炭化水素系冷媒を用いる。それぞれの冷媒が給湯と床暖房の異なる温度レベルに適しているので、総合的に高い効率が得られ、消費電力を低減できる。
本実施形態では、第1の蒸発器4及び第2の蒸発器14を別個に設けているが、2つを一体化した共通の蒸発器とし、冷媒流路のみを2系統設けてもよい。なお、本実施形態では、ファン5,6を2個設けているが、1個のファンで全ての蒸発器に送風するようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図4は、本実施形態におけるヒートポンプ給湯機システムの全体構成図である。なお、図1と構成が共通する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態のヒートポンプ給湯機システムは、3つのヒートポンプ回路、給湯経路、床暖房経路、浴室乾燥経路、制御装置から構成され、第1と第2のヒートポンプ回路、床暖房経路は第1の実施形態と同様である。第3のヒートポンプ回路は、第3の圧縮機51、第3の水熱交換器52、第3の電動膨張弁53、第3の蒸発器54を順次冷媒配管で接続した閉回路で構成され、第3の水熱交換器52において、浴室乾燥機61に流れる循環水を加熱すると共に、給湯経路から供給された水を加熱するようになっている。
浴室乾燥経路は、浴室乾燥機61、ポンプ60、第3の水熱交換器52を順次水配管で接続した環状経路であり、浴室乾燥運転を行うようになっている。第3の水熱交換器52は、第3のヒートポンプ回路の冷媒が通流する冷媒側伝熱管57と、給湯経路から供給される水が通流する給水側伝熱管27と、浴室乾燥経路から供給される循環水又はブラインの熱媒体が通流する熱媒体伝熱管62とを備えて構成される。第3の水熱交換器52においては、熱媒体伝熱管62は、給水側伝熱管27の冷媒上流側に配置されており、冷媒側伝熱管57の一部と熱媒体伝熱管62とが熱的に接触して形成される熱媒体熱交換部と、冷媒側伝熱管57一部と給水側伝熱管27とが熱的に接触して形成される水熱交換部とを備えている。
第3の圧縮機51で圧縮された冷媒は、第3の水熱交換器52の冷媒側伝熱管57に導かれ、放熱して熱媒体伝熱管62を通流する浴室乾燥機の循環水又はブラインを加熱し、さらに給水側伝熱管27を通流する給水を加熱して凝縮する。そして、第3の電動膨張弁53を通じて膨張した冷媒は、第3の蒸発器54において、空気と熱交換して吸熱により蒸発し、第3の圧縮機51に吸い込まれる。なお、蒸発器54には、ファン55の回転に伴い、空気が供給される。
浴室乾燥運転時において、ポンプ60の稼動により循環する循環水又はブラインは、第3の水熱交換器52の熱媒体伝熱管62を通じて所定温度に加熱された後、浴室乾燥機61において放熱する。
一方、給湯運転時において、水源から供給された給水は、ポンプ20の稼動に伴い、まず、第3の水熱交換器52の給水側伝熱管27に導かれ、所定温度まで加熱された後、第2の水熱交換器12の給水側伝熱管26を通じてさらに高温の所定温度に加熱され、続いて、第1の水熱交換器2を通じてさらに高温の所定温度に加熱され、タンク湯混合弁22、二方弁24を経由して出湯口から出湯する。
なお、床暖房運転時において、ポンプ30の稼動により循環する循環水又はブラインが、第2の水冷媒熱交換器12を通じて加熱され、床暖房31で放熱するのは、第1の実施形態と同様である。
本実施形態では、3つのヒートポンプ回路のうち、第1のヒートポンプ回路を、最も高い最大能力とし、第2のヒートポンプ回路及び第3のヒートポンプ回路の最大能力を、第1のヒートポンプ回路の最大能力よりも低くなるようにしている。そのためには、上述したように、それぞれのヒートポンプ回路において、圧縮機の行程容積、水熱交換器の伝熱面積、蒸発器の伝熱面積などを変化させ、最大能力に差が生じるようにする。なお、本実施形態においても、各運転の組み合わせ、外気温度や使用水量、貯湯タンク21の貯湯量等に応じて、どのヒートポンプ回路を運転するかを適宜選択して運転を行うようにする。
本実施形態によれば、直接給湯運転、貯湯運転、床暖房運転、浴室乾燥運転に応じて、最大能力の異なる3系統のヒートポンプ回路を備え、それらを適宜選択して運転することにより、消費電力を低減し、ヒートポンプ回路の運転効率を向上することができる。
なお、本実施形態においても、ヒートポンプ回路の最大能力や熱負荷側の使用温度レベルに応じて2種類以上の冷媒を用いるようにしてもよい。
本発明を適用してなる第1の実施形態のヒートポンプ給湯機システムの全体構成図である。 図1のヒートポンプ給湯機システムにおける各運転モードの運転動作を示す図である。 図1のヒートポンプ給湯機システムにおけるヒートポンプ回路をモリエル線図で表したものであり、(a)は、第1のヒートポンプ回路を示し、(b)は、第2のヒートポンプ回路を示している。 本発明を適用してなる第2の実施形態のヒートポンプ給湯機システムの全体構成図である。
符号の説明
1 第1の圧縮機
2 第1の水熱交換器
3 第1の電動膨張弁
4 第1の蒸発器
11 第2の圧縮機
12 第2の水熱交換器
13 第2の電動膨張弁
14 第2の蒸発器
20,30,60 ポンプ
21 貯湯タンク
31 床暖房
40 制御装置
41 外気温度センサ
42,43,44 貯湯量センサ
45 使用水量センサ
61 浴室乾燥機

Claims (10)

  1. ヒートポンプ回路から熱供給を受ける給湯負荷および該給湯負荷以外の熱負荷を備えてなるヒートポンプ給湯機システムにおいて、
    前記ヒートポンプ回路は、独立に設けられた複数のヒートポンプ回路を有し、該複数のヒートポンプ回路の少なくとも一のヒートポンプ回路の熱出力の最大能力は、他のヒートポンプ回路の熱出力の最大能力よりも大きく設定され、前記給湯負荷は、少なくとも前記一のヒートポンプ回路の熱交換器から熱供給を受ける管路を備え、前記給湯負荷以外の熱負荷は、前記他のヒートポンプ回路の熱交換器から熱供給を受けるように構成されたことを特徴とするヒートポンプ給湯機システム。
  2. 前記給湯負荷は、前記他のヒートポンプ回路の熱交換器から熱供給を受ける管路を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機システム。
  3. 前記他のヒートポンプ回路の熱交換器は、前記給湯負荷以外の熱負荷の熱媒体が通流する第1の伝熱流路と、前記給湯負荷の給水が通流する第2の伝熱流路とを備え、前記第1の伝熱流路は、前記第2の伝熱流路よりも前記他のヒートポンプ回路に流れる冷媒の上流側に配置されてなることを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプ給湯機システム。
  4. 前記他のヒートポンプ回路の熱交換器は、一体に形成されてなることを特徴とする請求項3に記載のヒートポンプ給湯機システム。
  5. 前記給湯負荷以外の熱負荷は、床暖房設備と浴室乾燥機の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のヒートポンプ給湯機システム。
  6. 少なくとも前記一のヒートポンプ回路の圧縮機は、前記他のヒートポンプ回路の圧縮機よりも大きな行程容積を有することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機システム。
  7. 少なくとも前記一のヒートポンプ回路の蒸発器は、前記他のヒートポンプ回路の蒸発器よりも大きな伝熱面積を有することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機システム。
  8. 少なくとも前記一のヒートポンプ回路の熱交換器は、前記他のヒートポンプ回路の熱交換器よりも大きな伝熱面積を有することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機システム。
  9. 前記給湯負荷により加熱した湯を貯湯タンクに蓄える貯湯手段と、前記貯湯タンク内の湯量を検出する湯量検出手段と、給湯量を検出する給湯量検出手段と、外気温度を検出する外気温度検出手段と、前記湯量検出手段と前記給湯量検出手段と前記外気温度検出手段がそれぞれ検出した信号に基づいて前記ヒートポンプ回路の起動停止を制御する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のヒートポンプ給湯機システム。
  10. 少なくとも前記一のヒートポンプ回路には、二酸化炭素冷媒が封入されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のヒートポンプ給湯機システム。
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