JP2005337548A - 熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 冷媒と空気との間で熱交換を行わせる熱交換器10の熱交換シート40は、冷媒を中に通す複数の中空の細管50と複数の細線部材60とが織り込まれ一体化されたものである。細管50の外面は、空気と接する。熱交換シート40の細管50および細線部材60は、熱交換器10が空気流路にセットされた状態において、水平面に対して5°以上の傾斜を有している。
【選択図】 図2
Description
このような熱交換器に代わるものとして、特許文献1に、複数の細径の中空糸を相互に織り込んで構成した編成体(熱交換部)を有する熱交換器が開示されている。ここでは、編成体の中空糸の中に冷媒を流通させる一方、編成体の編み目に空気を通すようにして、冷媒と空気との間で熱交換を行わせる。
しかし、細い細管が織り込まれて交差した状態となっている編成体においては、熱交換のときに空気中の水分が結露して細管に付着したときには、編み目が小さいことや交差部分が存在することから、結露した水滴が編成体の上に長く残ってしまう恐れがある。このように結露水が編成体に残ると、熱交換効率が低下したりスケール(水垢)が発生したりする不具合が生じることがある。
これに対して、ここでは、細管同士を交差させた熱交換部の場合には細管を、細管と細線部材とを交差させた熱交換部の場合には細管および細線部材を、水平面に対して5°以上の傾斜がつくように配置している。このようにすることで、細管の外面において結露して生じた結露水が、細管や細線部材に導かれて下方に流れ、交差部分で結露水が滞留するといった不具合が少なくなる。
第2発明に係る熱交換器は、第1熱媒体と第2熱媒体との間で熱交換を行わせる熱交換器であって、熱交換部を備えている。熱交換部は、第1熱媒体を中に通す複数の中空の細管同士が交差して一体化されたもの、あるいは、第1熱媒体を中に通す複数の中空の細管と複数の細線部材とが交差して一体化されたものである。この熱交換部の細管の外面は、第2熱媒体と接する。そして、熱交換部において細管同士が交差している場合には、細管が、その表面に撥水層を有している。一方、熱交換部において細管と細線部材とが交差している場合には、細管および細線部材が、それらの表面に撥水層を有している。
これに対して、ここでは、細管同士を交差させた熱交換部の場合には細管の表面に、細管と細線部材とを交差させた熱交換部の場合には細管および細線部材の表面に、撥水層を形成している。このようにすることで、細管の外面において結露して生じた結露水が、交差部分を含む細管や細線部材の上に滞留し難くなる。
なお、表面に撥水層を有している細管あるいは細線部材とは、例えば、撥水剤の液槽の中に細管や細線部材を浸けて撥水剤を表面に含浸させたり、撥水剤をスプレー塗布して細管や細線部材の表面に撥水層を形成させたりしたものである。
ここでは、織り込みによって熱交換部を生成しているため、細管同士あるいは細管と細線部材との交差部分において結露水の滞留が更に生じやすくなる。しかし、第1発明又は第2発明の熱交換器の構造によって交差部分における結露水の滞留が抑えられており、結露水による悪影響が少なくなる。
ここでは、熱交換部の折り目に沿って結露水を流すために結露水流路形成部材を設けているため、熱交換部における結露水の滞留を更に抑えることができる。また、折り目から不適当な場所に結露水が垂れたり飛散したりすることが抑えられる。
ここでは、細管の外径を1mm以下としているため、各熱交換部の高い屈曲性を維持することができ、熱交換器を適用する空気調和機などの装置における設計の自由度を向上させたり熱交換器の製作誤差を吸収したりすることが容易となる。
そして、このように外径の小さな細管を用いて熱交換部を構成する場合には結露水の滞留がより多く生じる恐れがあるが、ここでは第1発明や第2発明の熱交換器の構造によって結露水の滞留が抑えられる。
ここでは、熱交換部の隣接する細管同士の隙間を3mm以下としているため、殆ど熱交換を行わずに熱交換部を通り抜けていってしまう対象流体の量を小さく抑えることができる。
そして、このように細管同士の隙間を小さくした場合には結露水の滞留がより多く生じる恐れがあるが、ここでは第1発明や第2発明の熱交換器の構造によって結露水の滞留が抑えられる。
第2発明に係る熱交換器では、細管や細線部材の表面に撥水層を形成しているため、細管の外面において結露して生じた結露水が、交差部分を含む細管や細線部材の上に滞留し難くなる。これにより、結露水による悪影響が少なくなる。
第4発明に係る熱交換器では、熱交換部の折り目に沿って結露水を流すために結露水流路形成部材を設けているため、熱交換部における結露水の滞留を更に抑えることができる。また、折り目から不適当な場所に結露水が垂れたり飛散したりすることが抑えられる。
第6発明に係る熱交換器では、細管同士の隙間が小さく結露水の滞留がより多く生じる恐れがあるが、熱交換器の構造によって結露水の滞留が抑えられる。
本発明の一実施形態に係る熱交換器は、空気(第2熱媒体)の空気流路に配置され、その空気流路を流れる空気を冷やしたり暖めたりするために用いられるものである。図1に示すように、熱交換器10は、四方を壁91で囲まれた断面が長方形の空気流路90の中に配置されており、矢印A11で示すように上流側から流れてくる空気と熱交換を行う。熱交換器10と熱交換を行った空気は、矢印A19で示すように、下流側へと流れ、空調対象空間などに供給される。矢印A11で示すように流れてくる空気は、建物の外部にある外気であってもよいし、建物の内部にある空気であってもよい。また、空気流路90内の空気の流れは、熱交換器10の下流側あるいは上流側に配置される送風機95などによって生成される。
次に、図2から図4を参照して、熱交換器10の詳細構成について説明する。
熱交換器10は、主として、入口側ヘッダー20と、出口側ヘッダー30と、熱交換シート(熱交換部)40と、折り目カバー70とから構成されている。
入口側ヘッダー20は、冷媒入口管11から入ってくる冷媒を熱交換シート40の後述する多数の細管50に分配する役割を果たす。出口側ヘッダー30は、熱交換シート40の各細管50から出てくる冷媒を集合させ冷媒出口管12へと流す役割を果たす。各熱交換シート40の細管50は、その下端が入口側ヘッダー20と、その上端が出口側ヘッダー30と連通している。冷媒入口管11から入口側ヘッダー20に流れ込んだ冷媒は、熱交換シート40の細管50を通って出口側ヘッダー30へと流れていき、そこから冷媒出口管12を通って冷凍サイクルの下流へと流れる。
熱交換シート40は、入口側ヘッダー20と出口側ヘッダー30とを結ぶ方向に延びる、すなわち水平面に対して斜めに延びる多数の細管50と、それらの細管50に略直交するように交差する多数の細線部材60とから構成されている。各細管50は、入口側ヘッダー20の上面から出口側ヘッダー30の下面へと延びており、入口側ヘッダー20の上面および出口側ヘッダー30の下面に対して90°の角度を有している。熱交換シート40が両ヘッダー20,30とともに空気流路90にセットされた状態で、細管50および細線部材60が図2に示すように水平面に対して傾斜することになるが、熱交換シート40自身の側面視における形状は長方形である(図1参照)。また、細管50および細線部材60の水平面に対する傾斜は、5°以上となっている。具体的には、細管50の傾斜を45°以上である60°強に、細線部材60の傾斜を45°以下の30°弱にして、細管50の水平面に対する傾斜を細線部材60の傾斜よりも大きくしている。
細管50は、外径0.5mm以下(ここでは0.3mm)の中空の管であり、長期耐熱性や耐食性に優れたスーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)から成形されたものである。各細管50の上端が入口側ヘッダー20に、下端が出口側ヘッダー30に連通している。また、隣り合う細管50同士の隙間は、平均して2mm以下(ここでは0.5〜1.0mm)にセットされる。
このような細管50および細線部材60が織り込まれることで、非常に薄い厚みを持つ熱交換シート40が形成されている。そして、熱交換シート40は、図2および図4に示すように、多数の折り目がつくように複数回折り返されている。具体的には、20°以下の鋭角に多数回折り返されており、熱交換シート40は、空気流路90の断面積の数倍の表面積を持つものになっている。
折り目カバー(結露水流路形成部材)70は、図2および図4に示すように、熱交換シート40の空気流れ下流側の折り目をカバーするように設けられている。これらの折り目カバー70は、熱交換シート40の折り目の上端から下端まで延びており、熱交換シート40の折り目に対して微小隙間をあけて配置され、入口側ヘッダー20の上面および出口側ヘッダー30の下面に固定される。
(1)
熱交換器10では、熱交換シート40の細管50の外径を0.5mm以下まで小さくしているため、熱交換シート40の高い屈曲性を維持することができている。また、熱交換シート40において隣接する細管50同士の隙間を2mm以下まで小さくしているため、殆ど熱交換を行わずに熱交換シート40を通り抜けていってしまう空気の量を小さく抑えることができている。
そして、このように細管50同士の隙間を小さくした場合には、細管50の外面において結露した空気中の水分(以下、結露水という。)の熱交換シート40における滞留が多く生じる恐れがある。
また、熱交換器10では、細管50と細線部材60とが織り込まれた熱交換シート40を用いているため、細管50の外面に生じた結露水が、図3(A)に示す細管50と細線部材60との交差部分56などに滞留して長く残ってしまう恐れもある。
(3)
上記のように、熱交換器10では、熱交換器10の細管50および細線部材60の表面に撥水層を形成するとともに、細管50および細線部材60が水平面に対して傾斜するようにしているため、細管50や細線部材60の上に結露水が滞留することが抑えられる。
これに対し、熱交換器10では、熱交換シート40の空気流れ下流側の折り目をカバーする複数の折り目カバー70を設け、それらの折り目カバー70に、結露水を熱交換シート40の折り目に沿って斜め下方に導くガイドの役割をさせている。このように、熱交換器10では、結露水をあまり飛散させることなく熱交換シート40の折り目に沿って下方に流すための折り目カバー70を配備しているため、熱交換シート40における結露水の滞留をさらに少なくすることができるとともに、熱交換シート40の折り目からドレンパン80がない部分に結露水が飛散するような不具合が抑えられている。
上記の熱交換器10では、細線部材60と細管50とを織り込むことで熱交換シート40を作っているが、細線部材60を用いずに冷媒を中に通す細管50だけを用いて熱交換シートを作ることもできる。この場合には、細管50のサイズによっては熱交換シートの折り曲げ度合いに制限がかかることも想定されるが、細管50だけにより熱交換シートを構成することによる熱交換効率の向上も期待できるため、上記の熱交換器10と同等の十分に高い熱交換効率を有する熱交換器を実現することが可能である。
上記の熱交換器10では、金属あるいは炭素繊維から形成される細線部材60を細管50と織り込んで熱交換シート40を作っているが、樹脂製の細線部材を用いるほうがよい場合もある。金属や炭素繊維から細線部材を作るほうが熱交換器の熱交換効率が向上するが、耐食性や耐熱性などを重視して樹脂製の細線部材を採用することも考えられる。
上記の熱交換器10では、1枚の熱交換シート40を複数回折り返して空気との熱交換部分を形成しているが、この熱交換シート40に代えて、図5に示す熱交換シート群を熱交換部分として採用した熱交換器も考えられる。
図5に示す熱交換シート群は、6枚の熱交換シート41〜46から構成されている。熱交換シート41〜46は、それぞれ、上記の熱交換シート40に相当する。これらの熱交換シート41〜46は、空気流れ方向に重ねられて並び、それぞれの細管50が入口側ヘッダー20と出口側ヘッダー30とを結ぶ。そして、熱交換シート41〜46の各細管50は、熱交換器が空調装置などの空気流路に設置されたときに、水平面に対して、例えば80°〜85°の傾斜を有する。
<第4変形例>
上記の熱交換器10では、細線部材60を細管50と織り込んで熱交換シート40を作っているが、細線部材60に代えて、細管50と接触するものの細管50に織り込まない細線部材65(図6参照)によって熱交換シートを形成することも可能である。
熱処理によって細管50に細線部材65を固着する場合には、樹脂製の細管50の表面を一部溶解させて、その後の冷却により細管50と細線部材65とを固着させる。
上記の熱交換器10は、四方を壁91で囲まれた断面が長方形の空気流路90の中に配備するものであるが、熱交換器10が配備される空気流路は、上記の空気流路90のようなものに限られない。例えば、本発明に係る熱交換器は、空気調和装置の室内機や室外機における熱交換器として用いることもできる。
上記の熱交換器10では、熱交換器10の細管50および細線部材60の表面に撥水層を形成するとともに、細管50および細線部材60が水平面に対して傾斜するようにしているが、撥水層の形成および細管50等の水平面に対する傾斜のうち何れか一方だけを採用した場合にも、熱交換器の熱交換シートにおける結露水の滞留の抑制という効果を得ることができる。
40 熱交換シート(熱交換部)
50 細管
60 細線部材
70 折り目カバー(結露水流路形成部材)
80 ドレンパン
90 空気流路
Claims (6)
- 第1熱媒体と第2熱媒体との間で熱交換を行わせる熱交換器(10)であって、
前記第1熱媒体を中に通す複数の中空の細管同士が交差して一体化され、あるいは、前記第1熱媒体を中に通す複数の中空の細管(50)と複数の細線部材(60)とが交差して一体化され、前記細管の外面が前記第2熱媒体と接する熱交換部(40)を備え、
前記細管同士が交差する場合には前記細管が、前記細管と前記細線部材とが交差する場合には前記細管および前記細線部材が、水平面に対して5°以上の傾斜を有している、
熱交換器。 - 第1熱媒体と第2熱媒体との間で熱交換を行わせる熱交換器(10)であって、
前記第1熱媒体を中に通す複数の中空の細管同士が交差して一体化され、あるいは、前記第1熱媒体を中に通す複数の中空の細管(50)と複数の細線部材(60)とが交差して一体化され、前記細管の外面が前記第2熱媒体と接する熱交換部(40)を備え、
前記細管同士が交差する場合には前記細管が、前記細管と前記細線部材とが交差する場合には前記細管および前記細線部材が、表面に撥水層を有している、
熱交換器。 - 前記熱交換部は、交差する前記細管同士を織り込んだ熱交換部、あるいは、交差する前記細管(50)と前記細線部材(60)とを織り込んだ熱交換部(40)である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。 - 前記熱交換部は、折り目がつくように折り込まれており、
前記細管の外表面において結露した水を前記折り目に沿って流すための結露水流路形成部材(70)をさらに備えた、
請求項1から3のいずれかに記載の熱交換器。 - 前記細管は、外径が1mm以下である、
請求項1から4のいずれかに記載の熱交換器。 - 隣接する前記細管同士の隙間は、3mm以下である、
請求項1から5のいずれかに記載の熱交換器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004155160A JP2005337548A (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | 熱交換器 |
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- 2004-05-25 JP JP2004155160A patent/JP2005337548A/ja active Pending
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