JP2005337483A - 転動装置 - Google Patents

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義樹 藤井
Yasuhiro Kobayashi
康裕 小林
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Abstract

【課題】 寿命が長くて製造コストが安い転動装置を提供すること。
【解決手段】 外輪1の軸受綱製の本体部11の表面全面に、膜厚が略6μmで、硬さが略Hv500で、かつ、リンを略11重量%含有すると共に、ケイ素を略0.5重量%含有するニッケル被膜12を形成する。また、内輪2の軸受綱製の本体部16の表面全面に、膜厚が略6μmで、硬さが略Hv500で、かつ、リンを略11重量%含有すると共に、イオウ含有量が0.01重量%以下のニッケル被膜17を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転がり軸受、直動装置またはボールネジ等の転動体を有する転動装置に関し、特に、半導体装置の洗浄装置や液晶の洗浄装置等、腐食が起こり易い環境で使用される転動装置に関する。
従来、転動装置としては、半導体装置の洗浄装置や液晶の洗浄装置に使用される防錆処理が施された深溝玉軸受がある。
この深溝玉軸受は、内輪と、外輪と、玉とを備える。
上記内輪は、外周面に深溝型の軌道溝を有している。上記内輪の上記深溝型の軌道溝を含む表面全面には、防錆作用を有するニッケル被膜が形成されている。このニッケル被膜のビッカース硬さ(以下、Hvという)は、略Hv800になっている。この略Hv800のニッケル被膜は、ニッケル被膜を内輪の表面全面に形成した後、熱処理(硬化処理)を行うことによって形成されている。
上記外輪は、内周面における上記内輪の軌道溝に対向する箇所に、深溝型の軌道溝を有している。上記外輪の表面全面にも、内輪と同様な方法で、略Hv800のニッケル被膜が形成されている。
上記従来の深溝玉軸受は、内輪および外輪の表面全面に、略Hv800のニッケル被膜を形成することによって、軸受の耐荷重性を向上させると共に、ニッケル被膜の耐摩耗性を向上させるようにしている。
しかしながら、上記従来の深溝玉軸受は、内輪および外輪の表面全面に、略Hv800のニッケル被膜を形成しているので、ニッケル膜が摩耗した場合、摩耗粉の深溝玉軸受への攻撃性が強くて、深溝玉軸受が、膜摩耗後早期に回転不良状態に陥るという問題がある。
また、軌道溝上でニッケル膜が部分的に摩耗する片摩耗が起こって、玉と内外輪軌道間に、この摩耗粉をかみ込むことにより深溝玉軸受が回転不良(トルク大、ロック、ガタ発生)となる問題がある。
また、上記従来の深溝玉軸受は、ニッケル被膜の熱処理(硬化処理)を必要とするので、製造コストが高いという問題がある。
従来の防錆処理が施された別の転動装置としては、特開2000―130445号公報(特許文献1)に記載されている軌道輪を用いた第2の深溝玉軸受がある。
この第2の深溝玉軸受は、上記軌道輪の軌道面以外の部分にのみ、ニッケル被膜を有している。詳しくは、上記軌道輪は、軌道輪全面にニッケル被膜を形成した後、軌道面上のニッケル被膜を機械的加工により除去することによって形成されている。
上記第2の深溝玉軸受は、軌道面以外の部分の防錆を、ニッケル被膜によって行うと共に、軌道面の防錆を、グリースによって行うようになっている。
上記第2の深溝玉軸受は、軌道輪の軌道面にニッケル被膜を形成しないことによって、軸受の耐荷重性を向上させるようにしている。
しかしながら、上記第2の深溝玉軸受では、軌道面上のニッケル被膜を機械的加工により除去する必要があり、製造コストが高いという問題がある。
特開2000−130445号公報
そこで、本発明の課題は、寿命が長くて製造コストが安い転動装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の転動装置は、
軌道面を有する第1の軌道部材と、
軌道面を有する第2の軌道部材と、
上記第1の軌道部材の上記軌道面と上記第2の軌道部材の上記軌道面との間に配置された転動体と
を備え、
上記第1の軌道部材と上記第2の軌道部材のうちの少なくとも一方は、
合金鋼からなる本体部と、
この本体部の上記軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されると共に、ビッカース硬さが、420以上で、かつ、600以下であるニッケル被膜と
を備えることを特徴としている。
本発明によれば、上記本体部の上記軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv600以下であるので、転動体の軌道面に対する転動によって生じたニッケル被膜の摩耗粉が、上記第1の軌道部材と上記第2の軌道部材とを攻撃することがなくて、上記摩耗粉によって上記第1の軌道部材と上記第2の軌道部材が劣化することがない。したがって、転動装置の寿命を従来よりも大幅にのばすことができる。尚、本体部の上記軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv600を超えると、ニッケル被膜の摩耗粉の転動体の部品に対する攻撃性が高くなって、転動体の部品に損傷(軌道面の摩耗)が生じたり、軌道面のニッケル被膜の片摩耗が生じて転動装置に回転不良が生じたりして、転動装置の寿命が短くなる。また、ニッケル被膜の硬度が低くなることにより、転動体との接触に伴い、当接被膜が摩耗し易くなるが、この部分は通常の使用状態において、グリースやオイル等の潤滑剤による耐食効果があるため、腐食の問題はない。
また、本発明によれば、上記本体部の上記軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv420以上であるので、上記本体部における上記軌道面以外の部分の上に形成されたニッケル被膜が、剥離することがなくて、ニッケル被膜の耐食性を問題がないものにすることができる。したがって、転動装置の上記軌道面以外の部分の防錆を確実に行うことができる。尚、本体部の上記軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv420よりも小さくなると、ニッケル被膜の剥離や異常摩耗が発生して、転動装置の外部環境露出面の防錆を確実に行うことができなくなる。
また、本発明によれば、ニッケル被膜の熱処理(硬化処理)や、機械的加工による軌道面上のニッケル被膜の除去を必要としないので、従来よりも製造コストを格段に低減できる。
また、一実施形態の転動装置は、上記ニッケル被膜の膜厚が、4μmより大きく、かつ、10μm以下である。
上記実施形態によれば、上記ニッケル被膜の膜厚が、4μmより大きいので、上記本体部の上記軌道面以外の部分の上に形成されたニッケル被膜の耐食性を問題がないものにすることができて、防錆を確実に行うことができる。尚、ニッケル被膜の膜厚が、4μm以下になると、ニッケル被膜の膜厚が薄すぎてニッケル被膜の耐食性が小さくなって、防錆を確実に行うことができなくなる。
また、上記実施形態によれば、上記ニッケル被膜の膜厚が、10μm以下であるので、軌道面上のニッケル被膜が摩耗したときに生じる転動体と駆動面との間の隙間が過大にならなくて、転動装置にガタが生じることがない。尚、上記ニッケル被膜の膜厚が、10μmより大きくなると、軌道面上のニッケル被膜が摩耗したときに生じる隙間が過大になって、転動装置にガタが発生する。
また、一実施形態の転動装置は、上記ニッケル被膜が、リンを、10重量%以上、かつ、13重量%以下含有すると共に、イオウ含有量を0.01重量%以下にしている。
上記実施形態によれば、ニッケル被膜が、リンを、10重量%以上含有しているので、ニッケル被膜を柔らかくすることができて、転動体による軌道面上のニッケル膜摩耗粉による攻撃性を小さくすることができる。尚、リンの含有量を、10重量%より小さく抑えると、ニッケル被膜を柔らかくする効果が小さくなって、摩耗粉の攻撃性が増大する。
また、上記実施形態によれば、ニッケル被膜が、リンを、13重量%以下含有しているので、ニッケル被膜が柔らかくなりすぎることがなくて、ニッケル被膜における軌道面以外の部分の剥離が起こることがない。尚、リンの含有量を、13重量%より大きくすると、ニッケル被膜が柔らかくなりすぎて、ニッケル被膜における軌道面以外の部分の剥離や異常摩耗が起こり、軌道部材の軌道面以外の部分の防錆を行うことができなくなる。
また、上記実施形態によれば、上記ニッケル被膜のイオウ含有量を0.01重量%以下としているので、ニッケル被膜の耐食性を向上させることができる。尚、イオウ含有量が0.01重量%より大きくなると、耐食性が低下するという問題がある。
本発明によれば、第1の軌道部材と第2の軌道部材のうちの少なくとも一方の本体部の軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv600以下であるので、転動体の上記軌道面上の転動によって、軌道面上のニッケル被膜が片状に摩耗することを防止できて、転動装置にガタが生じることを防止できる。
また、本発明によれば、上記本体部の軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv600以下であるので、転動体の軌道面に対する転動によって生じたニッケル被膜の摩耗粉が、上記第1の軌道部材と上記第2の軌道部材を攻撃することがなくて、転動装置の寿命を従来よりも大幅にのばすことができる。
また、本発明によれば、上記本体部の軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv420以上であるので、上記本体部の上記軌道面以外に形成されたニッケル被膜が、剥離することがなくて、上記本体部の上記軌道面以外の防錆を確実に行うことができる。
また、本発明によれば、ニッケル被膜の熱処理(硬化処理)や、機械的加工による軌道面上のニッケル被膜の除去を必要としないので、従来よりも製造コストを格段に低減できる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の転動装置の一実施形態の玉軸受の軸方向の断面図である。
この玉軸受は、第1の軌道部材の一例としての外輪1と、第2の軌道部材の一例としての内輪2と、転動体の一例としての玉3と、保持器4と、シール部材5,6とを備える。また、潤滑剤の一例として耐食性のあるグリースが封入されている。
上記外輪1は、内周に深溝型の軌道溝7を有すると共に、内周の軌道溝7に対する軸方向の両側に環状溝を有する。上記外輪1は、合金綱の一例としての軸受綱(JIS規格SUJ2)製の本体部11と、本体部11の表面全面に形成されたニッケル被膜12とから成る。上記ニッケル被膜12は、その膜厚が、略6μmで、そのHvが、略500に設定されている。また、上記ニッケル被膜12は、リンを略11重量%含有しており、イオウ含有量は0.01重量%以下としている。
上記内輪2は、外周における軌道溝7に対向する箇所に深溝型の軌道溝8を有すると共に、外周の軌道溝8に対する軸方向の両側に段部を有している。上記内輪2は、合金綱の一例としての軸受綱(JIS規格SUJ2)製の本体部16と、本体部16の表面全面に形成されたニッケル被膜17とから成る。上記ニッケル被膜17は、その膜厚が、略6μmで、その硬さが、略Hv500に設定されている。また、上記ニッケル被膜17は、リンを略11重量%含有しており、イオウ含有量は0.01重量%以下としている。
上記玉3は、軸受綱(JIS規格SUJ2)製である。上記玉3は、外輪1の軌道溝7と内輪2の軌道溝8との間に、保持器4によって保持された状態で、周方向に一定の間隔を隔てて複数配置されている。
上記シール部材5,6は、玉3の両側に、略対称に配置されている。上記シール部材5,6の夫々の径方向の外方の端部は、外輪1の環状溝に取り付けられている一方、シール部材5,6の夫々の径方向の内方の端面は、内輪2における上記段部よりも軸方向の外方の周面上を摺動するようになっている。上記シール部材5,6は、軸受内に封入されているグリースが軸受外に流出することを防止すると共に、内外輪1,2の軌道溝7,8を外部から保護する役割を担っている。
表1は、基本呼び番号608の試験軸受の外輪に、各種硬度、膜厚のニッケルメッキを施して様々な外輪を作成した後、各外輪を有機溶剤(ヘキサン)にて、揺動(ゆすり)させながら超音波洗浄を行い、その後、5N−HCl(5規定塩酸)に室温で72時間浸漬させて、発錆の有無を検査する耐食試験の結果を示す表である。尚、上記基本呼び番号608以外の型番の試験軸受でも、効果は同じである。

[表1]

Figure 2005337483
○:発錆なし, ×:発錆, −:未実施
表1に示すように、膜厚4μm以下では、どの硬度でも発錆が確認されると共に、Hv420未満では、7μmでも発錆が確認された。このことから、膜厚が4μm以下のニッケル被膜は、実用に適さず、Hv420未満のニッケル被膜も実用に適さない。一方、表1の結果からも明らかなように、Hv420以上でかつ膜厚が4μmよりも大きいニッケル被膜を形成すると、確実に防錆を行うことができる。
また、基本呼び番号608の試験軸受(以下の表2に材質等を示す)の内輪に、様々なHvおよび膜厚のニッケルメッキを施して軸受を形成し、その軸受を以下の表2に示す試験条件で回転させて軸受回転試験を行った。詳しくは、表2の条件で軸受を回転させ、回転試験中に回転トルクが増加し、しきい値を越えた軸受を、回転不良と判断した。尚、上記基本呼び番号608以外の型番でも、効果は同じである。

[表2]

Figure 2005337483
その結果、Hv600よりも大きなニッケルメッキを形成した軸受は、不具合の発生が確認され、膜厚が10μmよりも大きいニッケルメッキを形成した軸受においても不具合の発生が確認された一方、Hv600以下のニッケルメッキを形成した軸受は、全く不具合の発生が確認されず、更に、膜厚が10μm以下のニッケルメッキを形成した軸受も、全く不具合の発生が確認されなかった。このことから、ニッケル被膜の硬さをHv600以下に設定すると共に、ニッケル被膜の膜厚を10μm以下に設定すると、回転トルクが小さくて、回転特性に優れる軸受を形成できる。
内外輪の表面に形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv600を超えると、ガタが生じる理由は、玉の転動によって内外輪の軌道面のニッケル被膜が部分的に剥離する片摩耗が生じたり、硬さがHv600よりも大きいニッケルの摩耗粉が玉軸受の部品を攻撃性するためだと考えられる。また、ニッケル被膜の膜厚が、10μmよりも大きくなると、ガタが生じる理由は、軌道面上のニッケル被膜の摩耗によって生じる転動体と駆動面との間の隙間が過大になるためだと考えられる。
また、内外輪の表面上に形成されるニッケル被膜の硬さが、Hv420よりも小さくなると、軌道面以外のニッケル被膜の防錆機能がなくなる理由は、軌道面以外のニッケル被膜の剥離や異常摩耗が発生するためだと考えられる。また、ニッケル被膜の膜厚が、4μm以下になると、軌道面以外のニッケル被膜の防錆機能がなくなる理由は、ニッケル被膜の膜厚が薄すぎて耐食性が小さいためだと考えられる。
更に、本発明者は、様々な元素を様々な重量%含有させたニッケル被膜と、そのニッケル被膜のHvとの関係を調査した。その結果、ニッケル被膜のHvと、ニッケル被膜のリンの含有量との間に、ニッケル被膜にリンを10重量%以上含有させるとニッケル被膜の硬さをHv600以下にでき、かつ、ニッケル被膜にリンを13重量%以下含有させるとニッケル被膜の硬さをHv420以上にできるという相関関係が存在することを見いだした。
また、ニッケル被膜のイオウの含有量を0.01重量%以下とすると、ニッケル被膜の耐食性を向上させることができる。ニッケル被膜にイオウを0.01重量%よりも多く含有させると、耐食性が低下するという問題が発生するということを見いだした。
上記実施形態の玉軸受によれば、外輪1の本体部11の表面に形成されるニッケル被膜12の硬さが略Hv500でHv600以下で、かつ、内輪2の本体部16の表面に形成されるニッケル被膜17の硬さが略Hv500でHv600以下であるので、玉3の軌道溝7,8上の転動によって、ニッケル被膜12,17における軌道溝7,8上の部分が摩耗してもその摩耗粉の攻撃性は低い。また、従来の防錆処理が施された軸受と異なり、ニッケル被膜12,17における軌道溝7,8上の部分が片状に摩耗することがないので、転動装置の回転不良が生じることがない。また、ニッケル被膜12,17の軌道溝7,8上の部分を使用後直ぐに略完全に除去できるので、軸受の耐荷重性を向上させることができる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、外輪1の本体部11の表面に形成されるニッケル被膜12の硬さがHv600以下であり、かつ、内輪2の本体部16の表面に形成されるニッケル被膜17の硬さがHv600以下であるので、玉3の軌道溝7,8に対する転動によって生じたニッケル被膜の摩耗粉が、外輪1、内輪2および玉3を攻撃することがなくて、この摩耗粉の存在によって外輪1、内輪2および玉3が劣化することがない。したがって、玉軸受の寿命を従来よりも大幅にのばすことができる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、外輪1の本体部11の表面に形成されるニッケル被膜12の硬さが略Hv500でHv420以上であり、かつ、内輪2の本体部16の表面に形成されるニッケル被膜17の硬さが略Hv500でHv420以上であるので、外輪1のニッケル被膜12における軌道溝7上の部分以外の部分が、剥離や異常摩耗を起こすことがなくて、本体部16の軌道溝7以外の箇所の防錆を確実に行うことができる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、従来の転動装置が必要としたニッケル被膜の熱処理(硬化処理)や、機械的加工による軌道面上のニッケル被膜の除去を必要としないので、従来よりも製造コストを格段に低減できる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、ニッケル被膜12,17の膜厚が、略6μmで4μmよりも大きいので、ニッケル被膜12,17における軌道溝7,8上の部分以外の部分の耐食性を問題がないものにすることができて、この部分の防錆を確実に行うことができる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、ニッケル被膜12,17の膜厚が、略6μmで10μm以下であるので、軌道溝7,8のニッケル被膜が摩耗しても、すきまが過大になることがなくて、転動装置にガタが生じることがない。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、ニッケル被膜12,17が、リンを、略11重量%含有し、リンを、10重量%以上含有しているので、ニッケル被膜12,17を柔らかくすることができて、転動体による軌道面上のニッケル膜の剥離を円滑に行うことができ、軌道面に対する攻撃性の高い摩耗粉の発生を防止できる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、ニッケル被膜12,17が、リンを、略11重量%含有し、リンを、13重量%以下含有しているので、ニッケル被膜12,17が柔らかくなりすぎることがなくて、ニッケル被膜12,17の軌道溝7,8上の部分以外の部分の剥離や異常摩耗が起こることがない。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、ニッケル被膜12,17のイオウ含有量が0.01重量%以下であるので、ニッケル被膜12,17の耐食性を向上させることができる。
尚、上記実施形態の玉軸受では、外輪1の表面に、硬さが略Hv500で、膜厚が略6μmのニッケル被膜12を形成したが、外輪の表面に、硬さがHv420以上Hv600以下であり、かつ、膜厚が4μmより大きくかつ10μm以下であるニッケル被膜を形成すれば、上記作用効果と同様な作用効果を獲得できる。また、同様に、上記実施形態の玉軸受では、内輪2の表面に、硬さが略Hv500で、膜厚が略6μmのニッケル被膜17を形成したが、内輪の表面に、硬さがHv420以上Hv600以下であり、かつ、膜厚が4μmより大きくかつ10μm以下であるニッケル被膜を形成すれば、上記作用効果と同様な作用効果を獲得できる。
また、上記実施形態の玉軸受では、外輪1のニッケル被膜12に、リンを略11重量%含有させたが、外輪のニッケル被膜に、リンを10重量%以上13重量%以下含有させると、上記実施形態と同様の作用効果を獲得できる。また、同様に、上記実施形態の玉軸受では、内輪2のニッケル被膜17に、リンを略11重量%含有させたが、内輪のニッケル被膜に、リンを10重量%以上13重量%以下含有させると、上記実施形態と同様の作用効果を獲得できる。
また、上記実施形態では、本体部11、16を合金鋼の一例としての軸受綱SUJ2から形成したが、この発明の転動装置では、本体部を、浸炭焼入綱SAE5120等、軸受綱SUJ2以外の合金綱から構成しても良い。
また、上記実施形態の玉軸受では、内外輪1,2の表面全面に、所定の硬さを有すると共に所定の膜厚を有するニッケル被膜12,17を形成したが、この発明の転動装置では、所定の硬さを有すると共に所定の膜厚を有するニッケル被膜は、第1の軌道部材と第2の軌道部材のうちの少なくとも一方の軌道面上と外部環境露出面上とに、少なくとも形成されていれば良い。
尚、上記実施形態では、第1の軌道部材と第2の軌道部材のうちの少なくとも一方の軌道面上と外部環境露出面上とに、所定の硬さおよび所定の膜厚を有するニッケル被膜を形成するというこの発明を、玉軸受に適用したが、第1の軌道部材と第2の軌道部材のうちの少なくとも一方の軌道面上と外部環境露出面上とに、所定の硬さおよび所定の膜厚を有するニッケル被膜を形成するというこの発明を、ころ軸受等の玉軸受以外の転がり軸受に適用しても良いことは勿論である。また、この発明を、ボールネジや直動装置等、第1の軌道部材、第2の軌道部材および転動体を有する転がり軸受以外の転動装置に適用しても良いことは勿論である。
本発明の一実施形態の玉軸受の軸方向の断面図である。
符号の説明
1 外輪
2 内輪
3 玉
4 保持器
5,6 シール部材
11,16 本体部
12,17 ニッケル被膜

Claims (3)

  1. 軌道面を有する第1の軌道部材と、
    軌道面を有する第2の軌道部材と、
    上記第1の軌道部材の上記軌道面と上記第2の軌道部材の上記軌道面との間に配置された転動体と
    を備え、
    上記第1の軌道部材と上記第2の軌道部材のうちの少なくとも一方は、
    合金鋼からなる本体部と、
    この本体部の上記軌道面に対応する部分の上および上記本体部における外部の環境に露出する表面上に少なくとも形成されると共に、ビッカース硬さが、420以上で、かつ、600以下であるニッケル被膜と
    を備えることを特徴とする転動装置。
  2. 請求項1に記載の転動装置において、
    上記ニッケル被膜の膜厚は、4μmより大きく、かつ、10μm以下であることを特徴とする転動装置。
  3. 請求項1または2に記載の転動装置において、
    上記ニッケル被膜は、リンを、10重量%以上、かつ、13重量%以下含有すると共に、イオウ含有量を0.01重量%以下とすることを特徴とする転動装置。
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