JP2005337421A - アンギュラ玉軸受の製造方法およびアンギュラ玉軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】一体部材を分割部で2つの製品部に分割して軌道輪を製造しても、余分の工程を不要として、アンギュラ玉軸受の製造コストをさらに低減することである。
【解決手段】2つの内輪1の製品部5aを連結する一体部材5の分割部5bを、内外径の両方の面に環状溝7を設けて、両側の各製品部5aよりも薄肉に形成し、この分割部5bで一体部材5をホイールカッタ9による切断加工で分割することにより、分割面の仕上げ工程や、クラックの検査工程等の余分の工程を不要とし、アンギュラ玉軸受の製造コストをさらに低減できるようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、アンギュラ玉軸受の製造方法とアンギュラ玉軸受に関する。
産業機械や建設機械などの減速機等に組み込まれ、比較的低回転数で使用されるアンギュラ玉軸受には、低価格での引き合いに対応するために、製造コストの低減対策を迫られているものがある。
このようなアンギュラ玉軸受の製造コストを低減する手段の一つとして、2つの軌道輪の製品部を、その軌道面の薄肉側で分割部を介して軸方向に連結するように一体部材として成形し、この一体部材を分割部で軸方向に分割することにより軌道輪を製造し、製品部を成形するための切削加工費等を低減する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたものでは、一体部材の分割部の内径面や外径面にノッチ溝を形成し、このノッチ溝を起点として破断によって2つの製品部に分割するようにしている。
特公昭50−11863号公報(第1−2頁、第1図)
上述した一体部材を破断によって2つの製品部に分割してアンギュラ玉軸受の軌道輪を製造する方法は、破断面となる分割面の凹凸を除去する仕上げ工程や、破断時に発生する可能性のあるクラックの有無を検査する検査工程等の余分の工程を必要とする問題がある。
そこで、本発明の課題は、一体部材を分割部で2つの製品部に分割して軌道輪を製造しても、余分の工程を不要として、アンギュラ玉軸受の製造コストをさらに低減することである。
上記の課題を解決するために、本発明のアンギュラ玉軸受の軌道輪の製造方法は、2つのアンギュラ玉軸受の軌道輪の製品部を、その軌道面の薄肉側で分割部を介して軸方向に連結するように一体部材として成形し、この一体部材を前記分割部で軸方向に分割することにより軌道輪を製造するアンギュラ玉軸受の製造方法において、前記分割部を両側の前記製品部よりも薄肉に形成し、この分割部で前記一体部材を軸方向に分割する手段を、カッタを用いた切断加工によるものとした方法を採用した。
すなわち、一体部材の分割部を両側の製品部よりも薄肉に形成し、この分割部で一体部材を軸方向に分割する手段を、カッタを用いた切断加工によるものとすることにより、分割面の仕上げ工程や、クラックの検査工程等の余分の工程を不要とし、アンギュラ玉軸受の製造コストをさらに低減できるようにした。なお、切断加工用のカッタとしては、ホイールカッタ等の切断工具のほかに、レーザカッタ等を用いることもできる。
前記分割部の厚みtの前記軌道輪の内径dに対する比t/dを0.005以上とすることにより、切断加工中や切断加工前における一体部材の変形を防止することができる。なお、比t/dの上限は特に限定されないが、切断加工の効率を良くするために0.01程度以下とするのが好ましい。
前記分割部を、前記一体部材の内外径の少なくとも一方の面に環状溝を設けたものとし、この環状溝を、その両内側面が口拡がりの傾斜面とされ、その開口幅が前記カッタの切断代よりも広いものとすることにより、切断加工後に残存する環状溝の傾斜面で形成された両内側面を、製造された軌道輪の端面の面取りとして利用することができる。
前記環状溝の底面の幅を、前記カッタの切断代よりも狭くすることにより、環状溝の両内側面をそのまま軌道輪の端面の面取りとすることができる。
前記軌道輪の熱処理を、前記一体部材を分割する前に行うことにより、単体では断面形状が非対称である軌道輪を連結した一体部材の断面形状に対称性を持たせることができるので、この対称性の付与によって熱処理時の熱ひずみの発生を抑制することができる。
前記アンギュラ玉軸受を、その外径と内径の寸法比が1.3以下の薄型のものとすることにより、薄肉となる軌道輪を一体部材として剛性を高め、切削加工等による成形時の変形を抑制することができる。
また、本発明のアンギュラ玉軸受は、内外輪の少なくともいずれかの軌道輪に、上述したいずれかの製造方法で製造した軌道輪を用いた構成を採用することにより、その製造コストをさらに低減できるようにした。
本発明のアンギュラ玉軸受の製造方法は、2つの軌道輪の製品部を連結する一体部材の分割部を両側の製品部よりも薄肉に形成し、この分割部で一体部材を軸方向に分割する手段を、カッタを用いた切断加工によるものとしたので、分割面の仕上げ工程や、クラックの検査工程等の余分の工程を不要とし、アンギュラ玉軸受の製造コストをさらに低減することができる。
前記分割部の厚みtの軌道輪の内径dに対する比t/dを0.005以上とすることにより、切断加工中や切断加工前における一体部材の変形を防止することができる。
前記分割部を、一体部材の内外径の少なくとも一方の面に環状溝を設けたものとし、この環状溝を、その両内側面が口拡がりの傾斜面とされ、その開口幅がカッタの切断代よりも広いものとすることにより、切断加工後に残存する環状溝の傾斜面で形成された両内側面を、製造された軌道輪の端面の面取りとして利用することができる。
前記環状溝の底面の幅を、カッタの切断代よりも狭くすることにより、環状溝の両内側面をそのまま軌道輪の端面の面取りとすることができる。
前記軌道輪の熱処理を一体部材を分割する前に行うことにより、単体では断面形状が非対称である軌道輪を連結した一体部材の断面形状は対称となるので、この対称性によって熱処理時の熱ひずみの発生を抑制することができる。
前記アンギュラ玉軸受を、その外径と内径の寸法比が1.3以下の薄型のものとすることにより、薄肉となる軌道輪を一体部材として剛性を高め、切削加工等による成形時の変形を抑制することができる。
本発明のアンギュラ玉軸受は、内外輪の少なくともいずれかの軌道輪に、上述したいずれかの製造方法で製造した軌道輪を用いたので、その製造コストをさらに低減することができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。このアンギュラ玉軸受は、外径と内径の寸法比が1.3以下の薄型で、建設機械の走行用減速機の主軸に装着されるものであり、図1に示すように、それぞれ断面形状が非対称な軌道輪である内輪1と外輪2の各軌道面1a、2a間に、複数のボール3が保持器4で保持されている。
前記内輪1と外輪2は、図2(a)、(b)に示すように、それぞれ2つの製品部5a、6aをその軌道面1a、2aの薄肉側で分割部5b、6bを介して軸方向に連結した断面形状が対称な一体部材5、6として、切削加工により成形したのち熱処理し、これらの一体部材5、6を切断加工によって各分割部5b、6bで軸方向に分割することにより、製造されたものである。なお、熱処理は各一体部材5、6を分割した後で行ってもよい。
前記各分割部5b、6bは、それぞれ内外径の両方の面に環状溝7、8を設け、両側の各製品部5a、6aよりも薄肉に形成したものであり、これらの環状溝7、8の底面7a、8aの両側の内側面7b、8bは口拡がりの傾斜面とされている。また、各分割部5b、6bの厚みt1、t2と各製品部5a、6aの内径d1、d2との比t1/d1、t2/d2は、各一体部材5、6の変形を防止するとともに、分割のための切断加工の効率をよくするために、0.005〜0.01の範囲の値に設定されている。
以下に、図2(a)に示した内輪1用の一体部材5を切断加工によって分割する手順を説明する。図3(a)、(b)に示すように、この切断加工にはホイールカッタ9が用いられ、回転駆動されるホイールカッタ9の刃9aは、一体部材5の外径側から分割部5bに送り込まれ、一体部材5の製品部5aを2つの内輪1として分割する。
前記ホイールカッタ9による切断代は刃9aの厚みTで決定されるが、図3(a)に示すように、分割部5bを形成する各環状溝7の開口幅W1は刃9aの厚みTよりも広く、底面7aの幅W2は刃9aの厚みTよりも狭くなっている。したがって、図3(b)に示すように、ホイールカッタ9で切断された後の各製品部5a、すなわち各内輪1の切断側端面には、残存する各環状溝7の傾斜した内側面7bによって面取り10が形成されている。
図示は省略するが、図2(b)に示した外輪2用の一体部材6も同様の切断加工によって分割され、切断された後の各製品部6a、すなわち各外輪2の切断側端面には、残存する各環状溝8の傾斜した内側面8bによって面取りが形成される。
上述した実施形態では、一体部材の分割部の切断加工にホイールカッタを用いたが、他の切断工具やレーザカッタ等を用いることもできる。また、切断加工される分割部を、内外径の両方の面に設けた環状溝で薄肉に形成したが、この環状溝は内外径のいずれか一方の面のみに設けてもよい。
また、上述した実施形態では、製造されるアンギュラ玉軸受を単列のものとしたが、本発明は、両方の軌道輪を軸方向に組合わせた組合せアンギュラ玉軸受や、一方の軌道輪を軸方向に組合わせた複列アンギュラ玉軸受にも適用することができる。
アンギュラ玉軸受の実施形態を示す一部省略縦断面図 a、bは、それぞれ図1の内外輪を製造するための一体部材を示す一部省略縦断面図 a、bは、それぞれ図2(a)の一体部材を分割する手順を説明する断面図
符号の説明
1 内輪
2 外輪
1a、2a 軌道面
3 ボール
4 保持器
5、6 一体部材
5a、6a 製品部
5b、6b 分割部
7、8 環状溝
7a、8a 底面
7b、8b 内側面
9 ホイールカッタ
9a 刃
10 面取り

Claims (7)

  1. 2つのアンギュラ玉軸受の軌道輪の製品部を、その軌道面の薄肉側で分割部を介して軸方向に連結するように一体部材として成形し、この一体部材を前記分割部で軸方向に分割することにより軌道輪を製造するアンギュラ玉軸受の製造方法において、前記分割部を両側の前記製品部よりも薄肉に形成し、この分割部で前記一体部材を軸方向に分割する手段を、カッタを用いた切断加工によるものとしたことを特徴とするアンギュラ玉軸受の製造方法。
  2. 前記分割部の厚みtの前記軌道輪の内径dに対する比t/dを0.005以上とした請求項1に記載のアンギュラ玉軸受の製造方法。
  3. 前記分割部を、前記一体部材の内外径の少なくとも一方の面に環状溝を設けたものとし、この環状溝を、その両内側面が口拡がりの傾斜面とされ、その開口幅が前記カッタの切断代よりも広いものとした請求項1または2に記載のアンギュラ玉軸受の製造方法。
  4. 前記環状溝の底面の幅を、前記カッタの切断代よりも狭くした請求項3に記載のアンギュラ玉軸受の製造方法。
  5. 前記軌道輪の熱処理を、前記一体部材を分割する前に行うようにした請求項1乃至4のいずれかに記載のアンギュラ玉軸受の製造方法。
  6. 前記アンギュラ玉軸受が、その外径と内径の寸法比が1.3以下の薄型のものである請求項1乃至5のいずれかに記載のアンギュラ玉軸受の製造方法。
  7. 内外輪の少なくともいずれかの軌道輪に、請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法で製造した軌道輪を用いたアンギュラ玉軸受。
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