JP2005337078A - 電磁駆動弁の電流制御装置 - Google Patents

電磁駆動弁の電流制御装置 Download PDF

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康司 大原
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Abstract

【課題】 電磁駆動弁の電流制御装置に関し、電磁弁の励磁電流を的確に制御して可動子に所望の挙動を実現させることを可能にする。
【解決手段】 可動子20の傾斜角或いは傾斜角に関連するパラメータを検出し、その検出値に応じて電磁石30,32の励磁電流を補正する。可動子20の傾斜角は、例えば、リフト計測手段42により弁体12の最大リフト量を計測し、その計測値から求めることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁駆動弁の電流制御装置に関する。
近年、内燃機関のバルブの駆動方式として、電磁力によってバルブを駆動する電磁駆動方式が提案されている。この電磁駆動方式のバルブである電磁駆動弁では、弁体は可動子に連結されており、可動子を上下に挟むようにして一対の電磁石が配置されている。可動子は電磁石の吸引力によって軸方向に駆動され、可動子の移動に連動して弁体の開閉運動が実現される。所望の開弁状態或いは閉弁状態を得るためには可動子を確実に電磁石に着座させる必要がある。同時に、内燃機関から発生する騒音の低減の上では大きな衝突音が生じないように可動子を着座させる必要もある。可動子の挙動は電磁石から可動子に作用する吸引力によって左右され、その吸引力は電磁石に通電される励磁電流によって左右されるので、可動子に所望の挙動を実現させるためには、電磁石の励磁電流を的確に制御することが重要である。
従来、電磁駆動弁における励磁電流の制御技術としては、例えば特許文献1に記載された従来技術が知られている。この従来技術では、可動子の位置と速度との相関特性曲線が予め設定されており、この相関特性曲線に沿って可動子を運動させるよう、電磁石の励磁電流が制御されるようになっている。
特表2001−515984号公報 特開2001−23818号公報 特開2002−256907号公報 特開2001−221360号公報
しかし、上記従来技術は、可動子の傾斜に伴う可動子と軸受けの間の摩擦力の変化が考慮されていない点に課題がある。一般に電磁駆動弁では、付勢用のスプリング等から横方向の力を受けることにより、或いは、可動子を支持する上下軸受けの軸心のずれにより、可動子の軸が本来の軸方向に対して傾斜している可能性がある。可動子の傾斜角は全ての電磁駆動弁で同一ではなく、個々の電磁駆動弁毎に異なっている。さらに、同一の電磁駆動弁であっても、可動子の傾斜角は仕様によって変化する。可動子の傾斜角は可動子と軸受けの間の摩擦力に影響し、傾斜角が増大するほど摩擦力は増大することになる。
可動子と軸受けの間の摩擦力の変化は、電磁石に通電したときの可動子の挙動に大きく影響する。このため、上記従来技術のように可動子の傾斜に伴う摩擦力の変化を考慮することなく励磁電流を制御する場合には、可動子に所望の挙動を実現させることができないおそれがある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、電磁弁の励磁電流を的確に制御して可動子に所望の挙動を実現させることを可能にした電磁駆動弁の電流制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記目的を達成するため、電磁石と、前記電磁石により駆動される可動子と、前記可動子の軸を支持する軸受けと、前記可動子と一体に移動する弁体と、を備えた電磁駆動弁の電流制御装置であって、
前記電磁石の励磁電流を制御する電流制御手段と、
前記可動子の傾斜角或いは傾斜角に関連するパラメータを検出する傾斜角検出手段と、
前記傾斜角検出手段の検出値に応じて励磁電流を補正する補正手段と、
を備えることを特徴としている。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記補正手段は、前記可動子の傾斜角の増大に応じて、前記可動子を駆動するための励磁電流である駆動電流を増大させることを特徴としている。
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記傾斜角検出手段は、前記弁体の最大リフト量を計測するリフト計測手段を含み、前記最大リフト量を前記可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することを特徴としている。
また、第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記傾斜角検出手段は、前記電流制御手段により前記可動子を一定位置に保持するため励磁電流である保持電流が遮断された後、前記可動子が移動を開始するまでの時間を計測する計時手段を含み、前記時間を前記可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することを特徴としている。
また、第5の発明は、第1又は第2の発明において、前記傾斜角検出手段は、前記可動子が前記軸受けに加える軸方向の荷重を計測する軸受け荷重計測手段を含み、前記軸受け荷重計測手段の出力値を前記可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することを特徴としている。
また、第6の発明は、第1又は第2の発明において、前記傾斜角検出手段は、前記電磁石から前記可動子に作用する吸引力に関連するパラメータを検出する吸引力検出手段を含み、前記可動子が一定位置に保持されているときの前記吸引力検出手段の出力値を前記可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することを特徴としている。
また、第7の発明は、第1乃至第6の何れか1つの発明において、前記可動子の位置を検出する位置検出手段と、
前記可動子の移動速度を検出する速度検出手段とをさらに備え、
前記電流制御手段は、前記可動子の前記電磁石に対する位置、及び移動速度に基づいて前記励磁電流を制御することを特徴としている。
第1の発明によれば、可動子の傾斜角に応じて電磁石の励磁電流が補正されるので、可動子に作用する摩擦力に応じて電磁石の励磁電流を的確に制御し、可動子に所望の挙動を実現させることが可能になる。
また、第2の発明によれば、摩擦力の増大によって阻害される可動子の移動を補助することができるので、可動子を所望の態様で移動させることが可能になる。
可動子の傾斜角が増大するほど弁体の最大リフト量は減少する。第3の発明によれば、最大リフト量を可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することで、可動子の傾斜角を間接的に検出することが可能になる。
可動子の傾斜角が増大するほど可動子と電磁石のギャップに偏りができ、ギャップ大の部分を保持するために必要な電流は大きくなる。このため、保持電流の値が同一ならば、可動子の傾斜角が増大するほど保持電流の遮断から可動子の移動開始までの時間は短くなる。第4の発明によれば、前記時間を可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することで、可動子の傾斜角を間接的に検出することが可能になる。
可動子の傾斜角が増大するほど可動子が軸受けに加える軸方向の荷重は増大する。第5の発明によれば、軸受けに作用する軸方向の荷重を可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することで、可動子の傾斜角を間接的に検出することが可能になる。
可動子の傾斜角が増大するほど可動子が一定位置に保持されているときに電磁石から可動子に作用する吸引力は増大する。第6の発明によれば、前記吸引力を可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することで、可動子の傾斜角を間接的に検出することが可能になる。
また、第7の発明によれば、可動子の電磁石に対する位置、及び移動速度に基づいて励磁電流が制御される上で、可動子の傾斜角に応じて励磁電流の補正が行われるので、可動子の挙動を高い精度で制御することが可能になる。
実施の形態1.
以下、図1乃至図5を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる電流制御装置が適用された電磁駆動弁10の概略構成を示す図である。電磁駆動弁10は弁体12を備えている。弁体12は図示しないバルブシートとともに内燃機関の吸気バルブ或いは排気バルブを構成する。弁体12にはバルブステム14が一体的に接合されている。バルブステム14はシリンダヘッド2に固定されたバルブガイド6に摺動自在に支持されている。バルブステム14の上端部にはバルブステム14と一体に閉弁リテーナ16が取り付けられ、閉弁リテーナ16とシリンダヘッド2との間にはロアスプリング18が配置されている。ロアスプリング18は圧縮バネであり、閉弁リテーナ16及びバルブステム14を介し、弁体12をその閉弁方向に付勢している。
バルブステム14の軸方向上方(閉弁方向)には、軸方向に並んで一対の電磁石30,32がシリンダヘッド2に対する位置を固定されて配置されている。ここでは、上側の電磁石30をアッパ電磁石と呼び、下側の電磁石32をロア電磁石と呼ぶ。両電磁石30,32のそれぞれの中心部には、軸受け34,36が固定されている。両電磁石30,32は、それぞれの軸受け34,36がバルブガイド6と同一の軸上に位置するように、その配置位置を調整されている。
アッパ電磁石30とロア電磁石32との間には、磁性体で形成された円盤状のアーマチャ(可動子)20が配置されている。アーマチャ20には、その円盤面に垂直で且つその中心を通るアーマチャ軸22が一体的に接合されている。アーマチャ軸22は両電磁石30,32の中心部を貫通し、軸受け34,36によって摺動自在に支持されている。アーマチャ軸22の下端部は閉弁リテーナ16に当接しており、上端部にはアーマチャ軸22と一体的に開弁リテーナ24が取り付けられている。アーマチャ軸22の軸方向上方には、シリンダヘッド2に対する位置を固定された静止部材4が配置され、静止部材4と開弁リテーナ24の間にはアッパスプリング26が配置されている。アッパスプリング26は圧縮バネであり、開弁リテーナ24、アーマチャ軸22、閉弁リテーナ16及びバルブステム14を介し、弁体12をその開弁方向に付勢している。
弁体12には、両スプリング18,26のスプリング力と両電磁石30,32の吸引力の合力が作用する。両スプリング18,26のスプリング力はアーマチャ20の位置によって変化し、アーマチャ20がある所定位置にあるときに両スプリング18,26のスプリング力は釣り合う。ここでは、両電磁石30,32への通電が行われていない場合において、アーマチャ20が両電磁石30,32の中間位置(図1に示す位置)で静止するように、両スプリング18,26はそのスプリング力を調整されている。
両電磁石30,32の励磁電流は、電磁駆動弁10の制御装置としてのECU40によって制御される。ECU40の出力側には、アッパ電磁石30のコイル30aとロア電磁石32のコイル32aが接続されている。ECU40からアッパ電磁石30に通電が行われると、アッパ電磁石30からアーマチャ20に吸引力が作用してアーマチャ20はアッパ電磁石30側に駆動され、弁体20は閉弁方向に移動する。逆に、ECU40からロア電磁石32に通電が行われると、ロア電磁石32からアーマチャ20に吸引力が作用してアーマチャ20はロア電磁石32側に駆動され、弁体2は開弁方向に移動する。
ECU40の入力側には、リフトセンサ42が接続されている。リフトセンサ42は静止部材4に固定されており、リフトセンサ42からターゲットである開弁リテーナ24までの距離に応じて信号を出力している。電磁石30,32への通電により弁体12が移動すると、開弁リテーナ24も弁体12とともに軸方向に移動するので、開弁リテーナ24までの距離を計測することで弁体12のリフト量を計測することができる。ECU40は、リフトセンサ42からの出力信号に基づいて、電磁石30,32の励磁電流を制御している。
以下では、図2乃至図5を用いてECU40による電磁石30,32の励磁電流の制御方法について、開弁時を例に挙げて説明する。ここで、開弁とは、弁体12をバルブシートに着座している状態(全閉状態)から最大リフト状態(全開状態)まで移動させる動作を意味するが、この弁体12の動作は、アッパ電磁石30に着座しているアーマチャ20を下方へ駆動し、ロア電磁石32に着座させることで実現される。逆に、ロア電磁石32に着座しているアーマチャ20を上方へ駆動し、アッパ電磁石30に着座させることで、閉弁時の弁体12の動作が実現される。図2は開弁時における各電磁石30,32への電流指令値と、アーマチャ20のロア電磁石32に対する距離(ギャップ)との関係を示すタイムチャートである。
アーマチャ20がアッパ電磁石30に着座している状態では、アッパ電磁石30には保持電流が通電されている。保持電流は、アッパスプリング26のスプリング力に抗してアーマチャ20を現在位置に留めておくのに必要な電流である。なお、ロアスプリング18のスプリング力はアーマチャ20をアッパ電磁石30に押し付ける方向に、すなわち、アッパ電磁石30の吸引力をサポートする方向に作用している。
開弁時には、先ず、アッパ電磁石30の電流指令値が保持電流指令値からゼロに変更される(時点t0)。電流指令値は電磁石30,32に通電する電流の目標値にあたる。電流指令値がゼロに変更されることによって、アッパ電磁石30に流れる電流は次第に減少していき、それに伴いアッパ電磁石30からアーマチャ20に作用する吸引力も減少していく。そして、アッパ電磁石30の吸引力がある程度まで減少した時点で、アーマチャ20はアッパスプリング26のスプリング力によって下降し始める。
アッパ電磁石30の電流指令値をゼロに変更した後、ECU40は、所定のタイミング(突入電流発生タイミング)でロア電磁石32の電流指令値を所定の突入電流指令値に設定する(時点t1)。これにより、ロア電磁石32には駆動電流が流れて電磁力が発生し、ロア電磁石32からアーマチャ20に吸引力が作用する。駆動電流は、アッパスプリング26或いはロアスプリング18のスプリング力に抗してアーマチャ20を駆動するのに必要な電流であり、前述の保持電流よりも大きな値となる。ロア電磁石32からの吸引力によりアーマチャ20は下方に駆動され、ロア電磁石32との距離が縮まっていく。この後、ECU40は、所定のタイミング(保持電流切替タイミング)で電流指令値を所定の保持電流指令値に切り替える(時点t2)。
図3は、ロア電磁石32の電流指令値を一定値に保持した場合に起こりうるアーマチャ20の挙動(アーマチャ20のロア電磁石32に対する距離(ギャップ)の変化、アーマチャ20の速度の変化)を示す図である。アーマチャ20の挙動には、電流指令値Aの大きさに応じたて六つのパターンがある。以下、各パターン間の電流指令値Aの境界値をA1,A2,A3,A4,A5(A1>A2>A3>A4>A5)とし、電流指令値Aが大きい側から順に各パターンの特徴について説明する。
図3の(a)は、電流指令値Aが境界値A1以上の場合に起こりうる挙動パターンを示している。本パターンでは、ロア電磁石32には過大な吸引力が発生し、アーマチャ20はロア電磁石32に確実に着座するものの、極めて大きな速度でロア電磁石32に衝突することになる。このため、着座時には大きな衝突音が発生する。
図3の(b)は、電流指令値Aが境界値A1より小さく、且つ境界値A2以上の場合に起こりうる挙動パターンを示している。本パターンでは、アーマチャ20はロア電磁石32に一旦着座するが、着座時の衝撃によってバウンスし、その後再び着座する。バウンス後のアーマチャ20の移動速度は大きく、着座時には大きな衝突音が発生する。
図3の(c)は、電流指令値Aが境界値A2より小さく、且つ境界値A3以上の場合に起こりうる挙動パターンを示している。本パターンでは、アーマチャ20はロア電磁石32に低速度でゆっくりと着座する。このため、着座時の衝突音は低く抑えられる。
図3の(d)は、電流指令値Aが境界値A3より小さく、且つ境界値A4以上の場合に起こりうる挙動パターンを示している。本パターンでは、アーマチャ20の速度に対する逆起電力によってロア電磁石32からアーマチャ20に反発力が作用し、この反発力によってアーマチャ20はロア電磁石32の近傍で停滞した後にアッパ電磁石30側へ移動する(脱調)。
図3の(e)は、電流指令値Aが境界値A4より小さく、且つ境界値A5以上の場合に起こりうる挙動パターンを示している。本パターンでは、アーマチャ20はロア電磁石32の前方で停滞した後、ロア電磁石32に着座する。本パターンでのアーマチャ20の停滞位置は、図3の(d)の挙動パターンでの停滞位置よりも、ロア電磁石32から離れた位置となる。停滞後のアーマチャ20の移動速度は大きく、着座時には大きな衝突音が発生する。
図3の(f)は、電流指令値Aが境界値A5より小さい場合に起こりうる挙動パターンを示している。本パターンでは、ロア電磁石32の吸引力の不足により、アーマチャ20はロア電磁石32の前方で停滞した後、ロアスプリング18のスプリング力によって押し戻され、アッパ電磁石30側へ移動する(脱調)。本パターンでのアーマチャ20の停滞位置は、図3の(e)の挙動パターンでの停滞位置よりも、ロア電磁石32から離れた位置となる。
以上の六つのパターンのうち、アーマチャ20を脱調することなくロア電磁石32に確実に着座させ、且つ、着座時の衝突音を抑えることができるのは図3の(c)に示す挙動パターンである。したがって、図3の(c)の挙動パターンの条件であるA3>A≧A4を満たす値を電流指令値として設定すれば、理想的なアーマチャ20の挙動を実現することができそうである。しかし、実作動時には、電流変化に対する逆起電力やアーマチャ20の速度に対する逆起電力によって同一電流指令値でも実電流値が変化する場合があり、また、経時変化によって摩擦力も変化する。このため、単にA2>A≧A3を満たす値に電流指令値を設定しただけでは理想的なアーマチャ20の挙動を実現することはできず、図3の(d),(e),(f)の挙動パターンに示すような挙動になってしまう可能性がある。
そこで、ECU40は、次のような手順で電流指令値を設定する。先ず、突入電流発生タイミング(図2の時点t1)において、ECU40はロア電磁石32の電流指令値を所定の初期値Aintに設定する。初期値Aintは、図3の(c)に示す挙動パターンの条件であるA2>Aint≧A3を満たす値である。A2,A3の値は実験等によって求められる。
ロア電磁石32の電流指令値が初期値Aintに設定されることで、ロア電磁石32には駆動電流が流れて電磁力が発生し、ロア電磁石32からアーマチャ20に吸引力が作用する。この吸引力を受けてアーマチャ20はロア電磁石32に接近していくが、逆起電力や摩擦力の影響によってロア電磁石32に着座せず、ロア電磁石32から離れた位置で停滞する場合がある。この場合、ECU40は、アーマチャ20の停滞距離(ロア電磁石32からアーマチャ20までの距離)Lに応じて電流指令値を補正する。
図4は、アーマチャ20の挙動パターンとそれに応じた電流指令値の設定パターンを示す図である。ECU40は、アーマチャ20の停滞距離Lに応じて電流指令値を補正する。図中、破線で示すロア電磁石32に対するアーマチャ20の位置(ギャップ)の変化は電流指令値の補正を行わない場合の変化であり、実線で示す変化は補正を行った場合の変化である。なお、アーマチャ20の停滞距離Lはリフトセンサ42の出力信号から計測することができる。またアーマチャ20の速度Vが所定範囲(0≦V≦Va)まで低下することで、アーマチャ20の停滞を判定することができる。またアーマチャ20の速度Vはリフトセンサ42の出力信号の変化率から求められる。
先ず、停滞距離Lが所定距離L1より小さい場合は、電流指令値は初期値Aintのkdn3倍に補正される。所定距離L1は、図3の(d)における停滞距離と図3の(e)における停滞距離との境界値にあたる。この場合、Kdn3は1より大きい値であり、電流指令値の補正によってロア電磁石32に流れる駆動電流は増大され、ロア電磁石32からアーマチャ20に作用する吸引力は強められる。これにより、図4の(a)に示すように、アーマチャ20は停滞位置からロア電磁石32側に移動してロア電磁石32に着座する。その後、所定の保持電流切替タイミング(図2の時点2)で電流指令値は所定の保持電流指令値Bに切り替えられる。
停滞距離Lが所定距離L1以上、且つ所定距離L2以下の場合は、電流指令値は初期値Aintのkdn2倍に補正される。所定距離L2は、図3の(e)における停滞距離と図3の(f)における停滞距離との境界値にあたる。この場合、kdn2は1より小さい値であり、この電流指令値の補正によってロア電磁石32に流れる駆動電流は低減され、ロア電磁石32からアーマチャ20に作用する吸引力は弱められる。これにより、図4の(b)に示すように、アーマチャ20が停滞位置からロア電磁石32側に移動する際の移動速度は緩められ、アーマチャ20はロア電磁石32にゆっくりと着座する。その後、所定の保持電流切替タイミングで電流指令値は所定の保持電流指令値Bに切り替えられる。
停滞距離Lが所定距離L2より大きい場合は、電流指令値は初期値Aintのkdn1倍に補正される。Kdn1は1より大きい値であり、この電流指令値の補正によってロア電磁石32に流れる駆動電流は増大され、ロア電磁石32からアーマチャ20に作用する吸引力は強められる。これにより、図4の(c)及び(d)に示すように、アーマチャ20は停滞位置からロア電磁石32側に移動する。その際、アーマチャ20がロア電磁石32側に移動する過程で再び停滞した場合には、そのときの停滞距離Lに応じて電流指令値の再補正が行われる。例えば、図4の(c)に示すように、所定距離L1以上所定距離L2以下の位置でアーマチャ20が再び停滞した場合には、電流指令値は現在値のkdn2倍に補正される。これにより、アーマチャ20は停滞位置からロア電磁石32側に移動してロア電磁石32に着座する。その後、所定の保持電流切替タイミングで電流指令値は所定の保持電流指令値Bに切り替えられる。
一方、アーマチャ20が停滞位置から再び停滞することなくロア電磁石32に接近する場合には、アーマチャ20のロア電磁石32からの距離Lが所定距離L3(L3<L1)以下になった時点で、電流指令値は現在値のkdn4倍に補正される。Kdn4は1より小さい値であり、この電流指令値の補正によってロア電磁石32に流れる駆動電流は低減され、ロア電磁石32からアーマチャ20に作用する吸引力は弱められる。これにより、図4の(d)に示すように、アーマチャ20の移動速度は緩められ、アーマチャ20はロア電磁石32にゆっくりと着座する。その後、所定の保持電流切替タイミングで電流指令値は所定の保持電流指令値Bに切り替えられる。
以上のアーマチャ20の位置と速度に応じた電流指令値の補正に加え、ECU40は、アーマチャ20の傾斜角に応じた電流指令値の補正も行う。両スプリング18,26からの横方向の力を受けることにより、或いは、アーマチャ軸22を支持する軸受け34,36間の軸心のずれにより、アーマチャ軸22は本来の軸方向に対して傾斜している可能性があり、さらに、使用により傾斜角が変化する可能性もある。アーマチャ20の傾斜角の変化は、アーマチャ軸22と軸受け34,36の間の摩擦力を変化させ、アーマチャ20の挙動に影響を与える。このため、ECU40は、アーマチャ20の傾斜角の変化に伴う摩擦力の変化を補償するように、ロア電磁石32の電流指令値を補正する。
ECU40は、アーマチャ20の傾斜角の増大に応じて、アーマチャ20を駆動する駆動電流を増大させるようにロア電磁石32の電流指令値を補正する。具体的には、前述の各補正係数kdn1,kdn2,kdn3,kdn4はアーマチャ20の傾斜角をパラメータとするマップに定められており、アーマチャ20の傾斜角に応じた補正係数kdn1,kdn2,kdn3,kdn4がマップから読み出されるようになっている。なお、各補正係数kdn1,kdn2,kdn3,kdn4は、アーマチャ20の傾斜角が大きいほど大きな値になるように設定されている。
本実施形態では、ECU40は、リフトセンサ42からの出力信号に基づいてアーマチャ20の傾斜角を検出する。開閉弁時のアーマチャ20の移動量である最大リフト量は、アーマチャ20の傾斜角が大きいほど小さくなる。したがって、予め、最大リフト量とアーマチャ20の傾斜角との関係を求めてくことで、リフトセンサ42により検出される最大リフト量からアーマチャ20の傾斜角を求めることができる。なお、ECU40は、アーマチャ20の傾斜角の検出を内燃機関のサイクル毎に実行する。アーマチャ20が開閉動作を繰り返すと、スプリング18,26の回転によりスプリング18,26の横力方向(スプリング巻端位置)が変化し、それによりアーマチャ20の傾斜方向や傾斜角に変化が生じるからである。
以上、開弁時を例に挙げて電磁石30,32の励磁電流の制御方法について説明したが、同様の方法によって閉弁時の励磁電流の制御も行うことができる。つまり、上述の制御方法の説明においてロア電磁石32とアッパ電磁石30とを置き換え、開弁時におけるロア電磁石32の電流指令値の制御と同様な制御方法で、アッパ電磁石30の電流指令値を制御すればよい。
図5は、以上説明した開弁時におけるロア電磁石32の電流指令値制御をフローチャートで示したものである。図5に示すルーチンは、アッパ電磁石30の電流指令値が保持電流指令値からゼロに変更された後の突入電流発生タイミング(図2の時点t1)において実行され、先ず、タイマがセットされる(ステップ100)。このタイマは、ロア電磁石32の電流指令値を保持電流指令値へ切り替えるタイミングを計るためのタイマである。続くステップ102では、電流指令値が初期値Aintに設定され、ロア電磁石32に駆動電流が通電される。また、フラグFが0に設定される。
次にステップ104では、リフトセンサ42により現時点におけるリフト量が読み込まれ、続くステップ106では、読み込まれたリフト量からアーマチャ20の移動速度Vとアーマチャ20のロア電磁石32に対する距離Lが算出される。ステップ108では、アーマチャ20の移動速度Vが所定範囲(0≦V≦Va)にあるか否か、すなわち、アーマチャ20が停滞しているか否か判定される。アーマチャ20が停滞していない場合には、ステップ128に進みフラグFが1か否か判定される。このフラグFは後述するステップ110の判定が成立した場合にのみ1に設定され、通常はステップ104で設定されたまま0になっている。フラグFが0の場合にはステップ104の処理に戻り、ステップ108の判定でアーマチャ20が停滞するまで、一連の処理が繰り返し実行される。
ステップ108の判定でアーマチャ20が停滞した場合には、次に、その停滞距離Lが所定値L2より大きいか否か判定される(ステップ110)。停滞距離Lが所定値L2以下の場合には、さらに、停滞距離Lが所定値L2以下所定値L1以上か否か判定される(ステップ118)。そして、ステップ110或いはステップ118で判定された停滞距離Lに応じて、電流指令値が補正される。
停滞距離LがL1より小さい場合には、ステップ118のNoルートに進み、マップからアーマチャ20の傾斜角に応じた補正係数kdn3が読み出される(ステップ124)。アーマチャ20の傾斜角は後述するステップ140,142の処理により求められる。ここでは、前サイクルのステップ140,142の処理で求められた値がメモリから読み出され、マップの入力値として用いられる。補正係数kdn3は前述のように1より大きく、且つ、傾斜角が大きいほど大きな値に設定されている。次のステップ126では、電流指令値は現在値のkdn3倍に補正される。
停滞距離LがL2以下L1以上の場合には、ステップ118のYesルートに進み、マップからアーマチャ20の傾斜角に応じた補正係数kdn2が読み出される(ステップ120)。マップの入力値(傾斜角)としては、前サイクルのステップ140,142の処理で求められた値が用いられる。補正係数kdn3は前述のように1より小さく、且つ、傾斜角が大きいほど大きな値に設定されている。次のステップ122では、電流指令値は現在値のkdn2倍に補正される。
停滞距離LがL2より大きい場合には、ステップ110のYesルートに進み、マップからアーマチャ20の傾斜角に応じた補正係数kdn1が読み出される(ステップ112)。マップの入力値(傾斜角)としては、前サイクルのステップ140,142の処理で求められた値が用いられる。補正係数kdn1は前述のように1より大きく、且つ、傾斜角が大きいほど大きな値に設定されている。次のステップ114では、電流指令値は現在値のkdn1倍に補正される。また、ステップ114の処理の後、フラグFは1にセットされる(ステップ116)。
ステップ114,122,或いは126での電流指令値の補正後は、ステップ100でセットされたタイマのタイムアウトについて判定され(ステップ136)、タイマがタイムアウトするまでステップ104以降の一連の処理が繰り返し行われる。電流指令値が補正されることで、アーマチャ20は停滞状態から再びロア電磁石32へ向けて移動を開始し、ステップ108の判定ではNoルート進むことになる。その際、フラグFが1にセットされている場合にはステップ128の判定でYesルートに進み、現在のロア電磁石32に対するアーマチャ20の距離Lと所定値L3の比較が行われる(ステップ130)。距離Lが所定値L3以下になるまではステップ104に戻り、ステップ104以降の一連の処理が繰り返し行われる。
ステップ130の比較の結果、距離Lが所定値L3以下になったときにはYesルートに進み、マップからアーマチャ20の傾斜角に応じた補正係数kdn4が読み出される(ステップ132)。マップの入力値(傾斜角)としては、前サイクルのステップ140,142の処理で求められた値が用いられる。補正係数kdn4は前述のように1より小さく、且つ、傾斜角が大きいほど大きな値に設定されている。次のステップ134では、電流指令値は現在値のkdn4倍に補正される。電流指令値の補正後はステップ136に進み、タイムアウトの判定が行われる。
ステップ104以降の一連の処理が繰り返し行われることで、やがてアーマチャ20はロア電磁石32に着座する。そして、ステップ136の判定の結果、タイマがタイムアウトしたときには、電流指令値は保持電流指令値に切り替えられる(ステップ138)。これにより、ロア電磁石32の励磁電流は駆動電流から保持電流に切り替えられ、アーマチャ20はロア電磁石32に着座した状態に保持される。
このとき電磁駆動弁10は開弁状態であり、弁体12は最大リフト状態になっている。ステップ140では、リフトセンサ42により最大リフト量が計測され、次のステップ142では、計測された最大リフト量からアーマチャ20の傾斜角が算出される。前述のように、最大リフト量が小さいほど、アーマチャ20の傾斜角は大きくなっている。ステップ142で算出されたアーマチャ20の傾斜角は、電流制御装置42のメモリに記憶され、次回サイクルにおける本ルーチンの実行時、ステップ112,120,124,或いは132の処理において使用される。また、メモリの記憶内容は電磁駆動弁10の運転停止後も消去されることなく記憶されており、電磁駆動弁10の次回起動時には、メモリに記憶されているアーマチャ20の傾斜角に基づいて補正係数kdn1,kdn2,kdn3,kdn4が算出される。
以上のルーチンが実行されることにより、ロア電磁石32の励磁電流はアーマチャ20の傾斜角に応じて補正され、アーマチャ軸22に作用する摩擦力に応じて的確に制御されることになる。これにより、摩擦力の増大によって阻害されるアーマチャ20の移動を補助することができ、アーマチャ20を所望の態様で移動させることが可能になる。その結果、アーマチャ20を脱調することなくロア電磁石32に確実に着座させ、且つ、着座時の衝突音を低減することも可能になる。
また、図5のルーチンは、アッパ電磁石30の電流指令値制御にも適用することができる。図5のルーチンの適用により、閉弁時のアッパ電磁石30の励磁電流はアーマチャ20の傾斜角に応じて補正され、アーマチャ軸22に作用する摩擦力に応じて的確に制御されることになる。その結果、アーマチャ20を脱調することなくアッパ電磁石30に確実に着座させ、且つ、着座時の衝突音を低減することも可能になる。ただし、閉弁時には最大リフト量は計測できないので、アッパ電磁石30の電流指令値制御ではステップ140,142の処理は行わない。補正係数kdn1,kdn2,kdn3,kdn4の決定には、ロア電磁石32の電流指令値制御において算出された傾斜角の値を用いることになる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本発明の実施の形態2としての電流制御装置は、実施の形態1において、最大リフト量からアーマチャ20の傾斜角を求める代わりに、以下に説明する方法でアーマチャ20の傾斜角を求めるようにしたものである。なお、本実施形態の電流制御装置は、実施の形態1と同様、図1に示す構成の電磁駆動弁10に適用されている。
開弁時、アッパ電磁石30の電流指令値がゼロに変更された後も暫くはアッパ電磁石30には電流が流れており、アッパ電磁石30からアーマチャ20には吸引力が作用している。このため、アッパ電磁石30の電流指令値をゼロにしても直ぐにはアーマチャ20は移動せず、アッパ電磁石30の吸引力が次第に低下していき、吸引力と静止摩擦力とロアスプリング18のスプリング力の合力がアッパスプリング26のスプリング力を下回ったとき、アーマチャ20は移動(下降)を開始する。これは閉弁時も同様であり、ロア電磁石32の電流指令値をゼロに変更した後、暫くしてからアーマチャ20は移動(上昇)を開始する。
本実施形態では、ロア電磁石32或いはアッパ電磁石30の電流指令値が一定の保持電流指令値からゼロに変更された後、アーマチャ20が移動を開始するまでの所要時間がECU40により計測され、その計測値からアーマチャ20の傾斜角が検出される。アーマチャ20の傾斜角が増大するほどアーマチャ20と電磁石30,32のギャップに偏りができ、ギャップ大の部分を保持するために電磁石30,32に通電すべき電流は大きくなる。このため、保持電流指令値が一定ならば、アーマチャ20の傾斜角が増大するほど、電流指令値をゼロに変更してからアーマチャ20の移動開始までの所要時間は短くなる。したがって、予め、電流指令値をゼロに変更してからアーマチャ20の移動開始までの所要時間とアーマチャ20の傾斜角との関係を求めておくことで、前記所要時間の計測値からアーマチャ20の傾斜角を求めることができる。
本実施形態にかかる傾斜角の検出方法を図5のルーチンに適用する場合には、ステップ140,142の処理に代えて、アッパ電磁石30の電流指令値をゼロに変更してからアーマチャ20が開方向に移動開始するまでの所要時間を計測するステップと、所要時間の計測値からアーマチャ20の傾斜角を算出するステップとを、ステップ100の処理に先立ち実行すればよい。図5のルーチンをアッパ電磁石30の電流指令値制御に用いる場合であれば、ステップ140,142の処理に代えて、ロア電磁石32の電流指令値をゼロに変更してからアーマチャ20が閉方向に移動開始するまでの所要時間を計測するステップと、所要時間の計測値からアーマチャ20の傾斜角を算出するステップとを、ステップ100の処理に先立ち実行すればよい。
なお、アーマチャ20の移動開始は、リフトセンサ42の出力信号の変化から検出することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本発明の実施の形態3としての電流制御装置は、実施の形態1において、最大リフト量からアーマチャ20の傾斜角を求める代わりに、以下に説明する方法でアーマチャ20の傾斜角を求めるようにしたものである。なお、本実施形態の電流制御装置は、実施の形態1と同様、図1に示す構成の電磁駆動弁10に適用されている。
アーマチャ軸22と軸受け34,36の間に作用する摩擦力は、軸受け34,36に軸方向の荷重として作用する。このため、軸受け34,36の軸方向荷重を計測することで、摩擦力の変化を間接的に検出することができる。例えば開弁時、軸受け34,36の軸方向荷重は、アッパ電磁石30の電流指示値がゼロに変更された後、次第に上昇していく。これは、アッパ電磁石30の吸引力の低下に伴いアーマチャ軸22に作用する開弁方向の力が上昇し、それに応じて静止摩擦力が上昇することによる。そして、アーマチャ20の移動開始の際に軸受け34,36の軸方向荷重は最大値を示す。アーマチャ20の移動開始後は、アーマチャ軸22と軸受け34,36の間に作用する摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変化することに伴い、軸受け34,36の軸方向荷重は低下する。
摩擦力はアーマチャ20の傾斜角が大きいほど大きくなる。軸受け34,36の軸方向荷重は摩擦力に対応しているので、軸受け34,36の軸方向荷重が大きいほど、アーマチャ20の傾斜角も大きいと判断することができる。本実施形態では、アーマチャ20の移動開始の際に計測される軸受け34,36の軸方向荷重の最大値を、アーマチャ20の傾斜角に関係するパラメータとして検出する。軸方向荷重の最大値は最大静止摩擦力に相当し、傾斜角等の条件が同じであれば一定値を示す。したがって、予め、軸受け34,36の軸方向荷重の最大値とアーマチャ20の傾斜角との関係を求めておくことで、荷重の計測値からアーマチャ20の傾斜角を求めることができる。
本実施形態にかかる傾斜角の検出方法を図5のルーチンに適用する場合には、ステップ140,142の処理に代えて、アッパ電磁石30の電流指令値をゼロに変更してからアーマチャ20が開方向に移動開始する際の軸方向の最大荷重を計測するステップと、最大荷重の計測値からアーマチャ20の傾斜角を算出するステップとを、ステップ100の処理に先立ち実行すればよい。図5のルーチンをアッパ電磁石30の電流指令値制御に用いる場合であれば、ステップ140,142の処理に代えて、ロア電磁石32の電流指令値をゼロに変更してからアーマチャ20が閉方向に移動開始する際の軸方向の最大荷重を計測するステップと、最大荷重の計測値からアーマチャ20の傾斜角を算出するステップとを、ステップ100の処理に先立ち実行すればよい。
なお、アーマチャ軸22が軸受け34,36に加える軸方向の荷重は、軸受け34,36にロードセルや圧電素子等の荷重センサを取り付けることで計測することができる。また、アーマチャ20の移動開始は、リフトセンサ42の出力信号の変化から検出することができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
本発明の実施の形態4としての電流制御装置は、実施の形態1において、最大リフト量からアーマチャ20の傾斜角を求める代わりに、以下に説明する方法でアーマチャ20の傾斜角を求めるようにしたものである。なお、本実施形態の電流制御装置は、実施の形態1と同様、図1に示す構成の電磁駆動弁10に適用されている。
本実施形態では、電磁石30,32からアーマチャ20に作用する吸引力が計測され、アーマチャ20が一定位置に保持されているときの吸引力(以下、保持吸引力)の計測値からアーマチャ20の傾斜角が検出される。アーマチャ20が一定位置に保持されているときには、上下のスプリング26,18のスプリング力と静止摩擦力と保持吸引力が釣り合っている。アーマチャ20の傾斜角が増大するほどアーマチャ20と電磁石30,32のギャップに偏りができ、ギャップ大の部分を保持するために電磁石30,32に通電すべき電流は大きくなる。このため、保持吸引力はアーマチャ20の傾斜角が増大するほど増加することになる。したがって、予め、保持吸引力とアーマチャ20の傾斜角との関係を求めておくことで、保持吸引力の計測値からアーマチャ20の傾斜角を求めることができる。
本実施形態にかかる傾斜角の検出方法を図5のルーチンに適用する場合には、ステップ140の処理としてロア電磁石32からアーマチャ20に作用する保持吸引力を計測し、ステップ142の処理として保持吸引力の計測値からアーマチャ20の傾斜角を算出すればよい。図5のルーチンをアッパ電磁石30の電流指令値制御に用いる場合であれば、ステップ140の処理としてアッパ電磁石30からアーマチャ20に作用する保持吸引力を計測し、ステップ142の処理として保持吸引力の計測値からアーマチャ20の傾斜角を算出すればよい。
なお、電磁石30,32からアーマチャ20に作用する吸引力は、吸引力の反力として電磁石30,32に作用する軸方向の荷重を計測することで、間接的に検出することができる。そして、電磁石30,32に作用する軸方向の荷重は、電磁石30,32と電磁石30,32を支持する支持部材との間にロードセルや圧電素子等の荷重センサを取り付けることで計測することができる。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
図5のフローチャートにおいて、ステップ116,128,130,132,134の処理は省略することもできる。ステップ114の処理による電流指令値の補正後、アーマチャ20が停滞状態からロア電磁石32に向けて移動する際、その移動速度が高くない場合には、上記処理を実施しなくても着座時に過大な衝突音が生じることはない。したがって、着座時の衝突速度が十分に小さいことが予想される場合には、上記処理を省略することに不都合はない。
また、実施の形態3では、アーマチャ20の移動開始の際に計測される軸受け34,36の軸方向荷重の最大値をアーマチャ20の傾斜角に関係するパラメータとしているが、アーマチャ20の移動中に計測される軸受け34,36の軸方向荷重をアーマチャ20の傾斜角に関係するパラメータとしてもよい。アーマチャ20の移動中にはアーマチャ軸22と軸受け34,36との間には動摩擦力が作用する。動摩擦力はアーマチャ20の移動中、略一定であるので、軸受け34,36の軸方向荷重も略一定値となる。この略一定の軸方向荷重とアーマチャ20の傾斜角との関係を予め求めておくことで、アーマチャ20の移動中の荷重計測値からアーマチャ20の傾斜角を求めることができる。
ところで、図1に示す構造では、弁体12の全閉時、すなわち、アーマチャ20がアッパ電磁石30に着座している時、バルブステム14とアーマチャ軸20との間に隙間が形成される場合がある。隙間が形成されることで、熱膨張によりバルブステム14やアーマチャ軸20が伸張した場合でも、熱膨張に影響されることなく、弁体12を確実にバルブシートに着座させることができる。しかし、このように隙間が形成される場合、アーマチャ20にはロアスプリング18のスプリング力は作用しない。この場合、アッパ電磁石30に要求される保持吸引力はアッパスプリング26のスプリング力と静止摩擦力の差分となり、ロアスプリング18のスプリング力によるサポートを受けることができない分、大きな保持吸引力が必要とされる。
これに対し、弁体12の全開時、すなわち、アーマチャ20がロア電磁石32に着座している時には、バルブステム14はアーマチャ軸20に当接するため、アーマチャ20には両スプリング26,18のスプリング力が作用する。この場合、ロア電磁石32に要求される保持吸引力は両スプリング26のスプリング力の合力と静止摩擦力の差分となり、アッパスプリング26のスプリング力によってサポートされる分、保持吸引力は小さくて済む。
このように、全閉時にバルブステム14とアーマチャ軸20との間に隙間が形成される構造では、ロア電磁石32に比較してアッパ電磁石30には強い保持吸引力が要求されることになる。したがって、実施の形態4にかかる方法でアーマチャ20の傾斜角を検出する場合には、全開時或いは全開時の何れか一方でのみ傾斜角の検出を行うか、若しくは、全開時か全開時かによって吸引力から傾斜角を算出するためのマップを切り替えるようにするのが好ましい。
また、電磁石30,32の保持電流を遮断した場合、全閉時にはアーマチャ20にはロアスプリング18のスプリング力のみが作用するのに対し、全開時にはアーマチャ20には両スプリング26のスプリング力が作用する。両スプリング26のスプリング力は逆方向に作用しているので、ロア電磁石32の保持電流の遮断によりアーマチャ20に作用するスプリング力に比較して、アッパ電磁石30の保持電流の遮断によりアーマチャ20に作用するスプリング力の方が大きい。このため、閉弁時よりも開弁時のほうがアーマチャ20の移動開始までの所要時間は短くなる。したがって、実施の形態2にかかる方法でアーマチャ20の傾斜角を検出する場合は、閉弁時或いは開弁時の何れか一方でのみ傾斜角の検出を行うか、若しくは、閉弁時か開弁時かによって所要時間から傾斜角を算出するためのマップを切り替えるようにするのが好ましい。
同様に、実施の形態3にかかる方法でアーマチャ20の傾斜角を検出する場合も、閉弁時或いは開弁時の何れか一方でのみ傾斜角の検出を行うか、若しくは、閉弁時か開弁時かによって所要時間から傾斜角を算出するためのマップを切り替えるようにするのが好ましい。アーマチャ20に作用するスプリング力の大きさによってアーマチャ軸20と軸受け34,36との間に作用する摩擦力が変化するからである。
本発明の実施の形態1にかかる電流制御装置が適用された電磁駆動弁の概略構成を示す図である。 開弁時における各電磁石への電流指令値と、アーマチャのロア電磁石に対する距離との関係を示すタイムチャートである。 ロア電磁石の電流指令値を一定値に保持した場合に起こりうるアーマチャの挙動を示す図である。 アーマチャの挙動パターンとそれに応じた電流指令値の設定パターンを示す図である。 本発明の実施の形態1において実行される開弁時のロア電磁石の電流指令値制御を示すフローチャートである。
符号の説明
2 シリンダヘッド
4 静止部材
6 バルブガイド
10 電磁駆動弁
12 弁体
14 バルブステム
16 閉弁リテーナ
18 ロアスプリング
20 アーマチャ
22 アーマチャ軸
24 開弁リテーナ
26 アッパスプリング
30 アッパ電磁石
30a コイル
32 ロア電磁石
32a コイル
34,36 軸受け
40 ECU
42 リフトセンサ

Claims (7)

  1. 電磁石と、前記電磁石により駆動される可動子と、前記可動子の軸を支持する軸受けと、前記可動子と一体に移動する弁体と、を備えた電磁駆動弁の電流制御装置であって、
    前記電磁石の励磁電流を制御する電流制御手段と、
    前記可動子の傾斜角或いは傾斜角に関連するパラメータを検出する傾斜角検出手段と、
    前記傾斜角検出手段の検出値に応じて励磁電流を補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする電磁駆動弁の電流制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記可動子の傾斜角の増大に応じて、前記可動子を駆動するための励磁電流である駆動電流を増大させることを特徴とする請求項1記載の電磁駆動弁の電流制御装置。
  3. 前記傾斜角検出手段は、前記弁体の最大リフト量を計測するリフト計測手段を含み、前記最大リフト量を前記可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することを特徴とする請求項1又は2記載の電磁駆動弁の電流制御装置。
  4. 前記傾斜角検出手段は、前記電流制御手段により前記可動子を一定位置に保持するため励磁電流である保持電流が遮断された後、前記可動子が移動を開始するまでの時間を計測する計時手段を含み、前記時間を前記可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することを特徴とする請求項1又は2記載の電磁駆動弁の電流制御装置。
  5. 前記傾斜角検出手段は、前記可動子が前記軸受けに加える軸方向の荷重を計測する軸受け荷重計測手段を含み、前記軸受け荷重計測手段の出力値を前記可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することを特徴とする請求項1又は2記載の電磁駆動弁の電流制御装置。
  6. 前記傾斜角検出手段は、前記電磁石から前記可動子に作用する吸引力に関連するパラメータを検出する吸引力検出手段を含み、前記可動子が一定位置に保持されているときの前記吸引力検出手段の出力値を前記可動子の傾斜角に関連するパラメータとして検出することを特徴とする請求項1又は2記載の電磁駆動弁の電流制御装置。
  7. 前記可動子の位置を検出する位置検出手段と、
    前記可動子の移動速度を検出する速度検出手段とをさらに備え、
    前記電流制御手段は、前記可動子の前記電磁石に対する位置、及び移動速度に基づいて前記励磁電流を制御することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電磁駆動弁の電流制御装置。


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