しかしながら、上記の如き従来のワイパ装置では、外部からの衝撃によって単に上記脆弱部を破断させワイパ装置の車体内方側への移動を可能とするにすぎないため、ワイパ装置に作用する衝撃荷重、すなわちワイパ装置から反力として衝突物に作用する衝撃荷重を一層緩和することが困難であった。
具体的には、従来のワイパ装置では、脆弱部の破断後にも衝突物が車体を変形させつつワイパ装置と共に車体内方側に移動するため、この衝突物には、車体を変形させることによる衝撃吸収に伴う反力(緩和された衝撃荷重)のみならず、ワイパ装置、特にワイパモータ等の重量物を車体内方に移動させる移動力の反力が衝撃荷重として作用する。すなわち、脆弱部の破断によって車体の変形による衝撃吸収は許容されるものの、ワイパ装置(を車体内方側に移動させる移動力の反力)が車体の自由変形を妨げるように作用し、衝突物に作用する衝撃荷重の低減を阻害する(車体の衝撃吸収性能を悪化する)原因となる。このように、従来のワイパ装置では、衝突物に作用する衝撃が十分に吸収されないという問題がある。
本発明は上記事実を考慮して、衝撃入力時にフレームの一部が破断して車体内方に移動可能となることで衝撃吸収を可能とすることは勿論のこと、上記フレームの破断後に衝突物に作用する荷重を軽減することができるワイパ装置を得ることが目的である。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るワイパ装置は、互いに離間して車体側に固定されると共にそれぞれ先端にワイパアームが固定されたピボット軸を回転自在に支持する2つのピボットホルダと、前記各ピボットホルダを互いに連結するフレームと、前記フレームに固定される駆動源と、前記駆動源の駆動力を前記各ピボット軸に伝達するリンク機構とを備えたワイパ装置において、前記フレームの長手方向中間部には、所定値以上の曲げモーメントが作用すると破断する破断部が設けられており、前記破断部が破断したときに、前記フレームにおける破断して形成された各端部を付勢力によってそれぞれ車体内方側に移動する付勢部材を備える。
請求項1記載のワイパ装置では、それぞれピボットシャフトを回転可能に支持する2つのピボットホルダがフレームによって互いに連結され、また、フレームには駆動源が固定され、さらに、駆動源と各ピボット軸とはリンク機構を介して駆動力を伝達可能に連結されており、全体としてアッセンブリ状態とされている。
ここで、例えば、フレームまたはフレームに固定された駆動源にフレームの長手方向に交差する方向から衝突物が衝突する等して、所定値以上の曲げモーメントがフレームの破断部に作用すると、フレームが長手方向中間部(中央には限定されない)の破断部において破断する。これにより、破断して形成された端部(車体に固定されたピボットホルダと反対側の各破断端)であるフレームの長手方向中間部が車体内方側に移動可能(車体の変形を許容する状態)となる。そして、フレームが破断部において破断した後には、該フレームの各破断して形成された端部が、付勢部材の付勢力によって積極的に車体内方側に移動する。このため、フレームは衝突物から車体内方側への移動力を受けることがなくなるか該移動力が小さくなり、換言すれば、フレーム(ワイパ装置)が車体の自由変形を妨げてしまうことが抑制または防止され、衝突物に作用する衝撃荷重が緩和される。
このように、請求項1記載のワイパ装置では、衝撃入力時にフレームの一部が破断して車体内方に移動可能となることで衝撃吸収を可能とすることは勿論のこと、上記フレームの破断後に衝突物に作用する荷重を軽減することができる。
なお、ピボットホルダを3つ以上有するワイパ装置においては、フレームの長手方向(車幅方向)に沿って隣り合う各ピボットホルダ間を、長手方向中間部に破断部を有する上記フレームにて連結することが望ましいが、例えば駆動源等の重量物が配置される一部のピボットホルダ間のみを、長手方向中間部に破断部を有する上記フレームにて連結しても良い。
請求項2記載の発明に係るワイパ装置は、請求項1記載のワイパ装置において、前記付勢部材は、一端が前記フレームにおける前記破断部に対し長手方向一方側に係止されると共に、他端が前記フレームにおける前記破断部に対し長手方向の他方側に係止され、前記破断部が破断したときに前記フレームを折り畳む方向の付勢力を生じる、ことを特徴としている。
請求項2記載のワイパ装置では、フレームの破断部が破断すると、このフレームは、付勢部材の付勢力によって折り畳まれる方向に変位して、それぞれの他端部を積極的に車体内方に移動させる。このように、付勢部材は、破断部を跨いで両端がそれぞれフレームに係止されており、一端が車体側に係止される必要がない。このため、ワイパ装置は、車体への組付前に全体として1つのアッセンブリ(モジュール、ユニット)として構成することができる。
上記目的を達成するために請求項3記載の発明に係るワイパ装置は、互いに離間して車体側に固定されると共にそれぞれ先端にワイパアームが固定されたピボット軸を回転自在に支持する第1ピボットホルダ及び第2ピボットホルダと、前記各ピボットホルダを互いに連結するフレームと、前記フレームに固定された駆動源と、前記駆動源の駆動力を前記各ピボット軸に伝達するリンク機構とを備えたワイパ装置において、前記フレームは、一端側が前記第1ピボットホルダに接続されると共に、他端側が一端側よりも前記第2ピボットホルダ側に位置する第1分割フレームと、一端側が前記第2ピボットホルダに接続されると共に、他端側が一端側よりも前記第1ピボットホルダ側に位置する第2分割フレームと、前記第1分割フレームの他端側と前記第2分割フレームの他端側とを連結すると共に、前記フレームの長手方向と直交する方向からの所定値以上の荷重によって破断する破断部を有する連結部材と、前記連結部材の破断部が破断したときに、付勢力によって前記第1分割フレームの他端側及び前記第2分割フレームの他端側をそれぞれ車体内方側に移動させる付勢部材と、備えて構成されている。
請求項3記載のワイパ装置では、それぞれピボットシャフトを回転可能に支持する第1及び第2ピボットホルダがフレームによって互いに連結され、また、フレームには駆動源が固定され、さらに、駆動源と各ピボット軸とはリンク機構を介して駆動力を伝達可能に連結され、全体としてアッセンブリ状態とされている。そして、第1ピボットホルダと第2ピボットホルダとの間で駆動源を支持するフレームは、その長手方向の中間部分において連結部材によって互いに連結された第1分割フレームと第2分割フレームとを有して構成されている。連結部材の破断部は、フレームの長手方向と直交する方向からワイパ装置に作用する所定値以上の荷重、例えば、駆動源またはフレームに入力される荷重のフレーム長手方向と直交する方向の所定値以上の分力によって、破断するように設定されている。また、例えば、第1分割フレーム及び第2分割フレームの各他端側と車体との間、または第1分割フレームと第2分割フレームとの間等に付勢部材が配置されている。
ここで、例えば、フレームまたはフレームに固定された駆動源にフレームの長手方向に交差する方向から衝突物が衝突する等して、破断部に所定値以上の荷重が作用すると、連結部材の破断部が破断して、第1及び第2分割フレームの各他端側が車体内方側に移動可能(車体の変形を許容する状態)となる。そして、連結部材が破断部において破断した後には、第1及び第2分割フレームの各他端側、すなわちフレームの長手方向中間部(中央には限定されない)が、付勢部材の付勢力によって積極的に車体内方側に移動する。このため、フレームは衝突物から車体内方側への移動力を受けることがなくなるか該移動力が小さくなり、換言すれば、フレーム(ワイパ装置)が車体の自由変形を妨げてしまうことが抑制または防止され、衝突物に作用する衝撃荷重が緩和される。
このように、請求項3記載のワイパ装置では、衝撃入力時にフレームの一部が破断して車体内方に移動可能となることで衝撃吸収を可能とすることは勿論のこと、上記フレームの破断後に衝突物に作用する荷重を軽減することができる。
なお、ピボットホルダを3つ以上有するワイパ装置においては、フレームの長手方向(車幅方向)に沿って隣り合う各ピボットホルダ間を、長手方向中間部で分割された上記フレームにて連結することが望ましいが、例えば駆動源等の重量物が配置される一部のピボットホルダ間のみを、長手方向中間部で分割された上記フレームにて連結しても良い。また、付勢部材は、例えば、第1、第2分割フレームと車体との間にそれぞれ設けられても良く、第1及び第2分割フレーム間に設けられても良い。
請求項4記載の発明に係るワイパ装置は、請求項3記載のワイパ装置において、前記連結部材は、一端が前記第1分割フレームの他端側に固定されると共に他端が前記第2分割フレームの他端側に固定されており、該一端と他端との間に前記破断部が配置されている、ことを特徴としている。
請求項4記載のワイパ装置では、連結部材における第1分割フレームへの固定部と第2分割フレームへの固定部との間に破断部が設けられている。このため、連結部材における第1または第2分割フレームへの固定部の強度と、所定値以上の荷重で破断する破断部の強度とを独立して設計することができ、連結部材における第1または第2分割フレームへの固定部を破断部とする構成と比較して設計が容易である。また、破断部の破断後に、例えばボルト等の締結手段が破断部位に干渉してフレームのスムースな移動を妨げることも防止される。
請求項5記載の発明に係るワイパ装置は、請求項3または請求項4記載のワイパ装置において、前記第1分割フレーム及び第2分割フレームは、それぞれの他端側に断面コ字状に形成された収容部を有し、前記連結部材は、一端側が前記第1分割フレームの収容部に収容されると共に、他端側が前記第2分割フレームの収容部に収容されて、該第1分割フレームと第2分割フレームとを連結している、ことを特徴としている。
請求項5記載のワイパ装置では、連結部材は、一端側が第1分割フレームの収容部に収容されると共に、他端側が第2分割フレームの収容部に収容された状態で、第1分割フレームと第2分割フレームとを連結している。各収容部は、断面コ字状に形成されているため、連結部材の良好な組付性及びフレームの剛性確保が両立される。
請求項6記載の発明に係るワイパ装置は、請求項3乃至請求項5の何れか1項記載のワイパ装置において、前記付勢部材は、前記破断部を跨いで一端が前記第1分割フレーム側に係止されると共に他端が前記第2分割フレーム側に係止されており、前記破断部が破断したときに前記フレームを折り畳む方向の付勢力を生じる、ことを特徴としている。
請求項6記載のワイパ装置では、連結部材の破断部が破断すると、第1及び第2分割フレームは、付勢部材の付勢力によって荷重入力側に折り畳まれるように変位してそれぞれの他端部を積極的に車体内方に移動する。すなわち、付勢部材は、第1及び第2分割フレームの他端側間を跨いで(架け渡して)設けられ、一端が車体側に係止される必要がない。このため、ワイパ装置は、車体への組付前に全体として1つのアッセンブリ(モジュール、ユニット)に構成することができる。
特に、連結部材における第1分割フレームへの固定部と第2分割フレームへの固定部との間に破断部が設けられた構成(請求項4に係る構成)において、付勢部材の一端を連結部材における破断部に対し第1分割フレーム側に係止すると共に、付勢部材の他端を連結部材における破断部に対し第2分割フレーム側に係止した構成とすれば、第1分割フレームと第2分割フレームとを連結する前に、一部品である連結部材に付勢部材を組み付けておくことが可能であり、フレームの組立が容易になる。
請求項7記載の発明に係るワイパ装置は、請求項6記載のワイパ装置において、前記付勢部材は、一対のアーム部の間にコイル部が形成された捩りコイルばねであり、前記コイル部が前記連結部材に保持されると共に、少なくとも一方のアーム部の先端が前記フレームの長手方向にスライド可能に前記連結部材に係止されている、ことを特徴としている。
請求項7記載のワイパ装置では、付勢部材である捩りコイルばねは、コイル部が連結部材に保持されているため、該連結部材の破断時に確実にばねとして機能する。そして、この捩りコイルばねは、少なくとも一方のアーム部の先端が連結部材に対しフレームの長手方向に沿うスライド可能に係止されているため、連結部材の破断部が破断されて分離する第1及び第2分割フレームの動きを付勢部材が阻害してしまうこと(付勢部材の付勢力がフレームの移動抵抗として作用してしまうこと)がない。これにより、構造が簡単で安価な捩りコイルばねの使用が可能となる。
請求項8記載の発明に係るワイパ装置は、請求項3乃至請求項7の何れか1項記載のワイパ装置において、前記駆動源は、前記破断部を跨いで、前記第1分割フレームの他端側及び前記第2分割フレームの他端側のそれぞれに固定されている、ことを特徴としている。
請求項8記載のワイパ装置では、駆動源は、連結部材の破断部を跨ぐようにして該第1及び第2分割フレームの各他端側、すなわち、フレームにおける衝撃入力時に車体内方への移動ストロークが最も大きい部分の近傍に固定されている。このため、第1及び第2分割フレームの各他端側の車体内方への移動に伴う駆動源の車体内方への大きな移動ストロークが確保される。
請求項9記載の発明に係るワイパ装置は、請求項3乃至請求項8の何れか1項記載のワイパ装置において、前記連結部材は車体への固定部を有し、該固定部は前記破断部の破断に伴って車体への固定状態が解除される、ことを特徴としている。
請求項9記載のワイパ装置では、第1及び第2ピボットホルダにおいて車体に固定されると共に、連結部材の取付部においても車体に固定され、車体に安定して搭載される。連結部材は、所定値以上の荷重が作用すると、破断部において破断すると共に固定部における車体への固定状態が解除され、例えば第2分割フレーム等に車体への固定部を設けた構成のように衝撃入力時に該第2分割フレーム等の移動を妨げてしまうことがない。このように、衝撃入力時に破断する連結部材に固定部を設けることで、ワイパ装置は、通常時の安定した搭載状態の維持と、衝突時の衝撃吸収(車体の自由変形を妨げないこと)とを両立することができる。
本発明の実施の形態に係るワイパ装置10について、図1乃至図7に基づいて説明する。図1には本発明の実施の形態に係るワイパ装置10の全体構成が正面図にて示されており、図2にはワイパ装置10の全体構成が平面図にて示されている。また、図3にはこのワイパ装置10の主要部の構成が分解斜視図にて示されており、図4にはワイパ装置10の主要部の組立状態における構成が斜視図にて示されている。
これらの図に示される如く、ワイパ装置10は、第1ピボットホルダとしてのピボットホルダ12、及び第2ピボットホルダとしてのピボットホルダ14を備えている。ピボットホルダ12とピボットホルダ14は略左右対称に形成されており、基本的構成は同じ構成である。ピボットホルダ12には筒部16が設けられ、ピボットホルダ14には筒部18が設けられている。これらの筒部16、18は円筒形に形成されており、それぞれ挿通されたピボット軸としてのピボットシャフト20、ピボットシャフト22を回転可能に支持している。
ピボットシャフト20、22の下端にはピボットレバー24、26がそれぞれ固定されており、ピボットレバー24、26の揺動によってピボットシャフト20、22が回動されるようになっている。また、ピボットホルダ12、14の部材角部には、固定孔28、30がそれぞれ形成されている。各固定孔28、30は、それぞれ部材外方へ向けて(筒部16、18と反対側を向いて)開放する開放部28A、30Aを有している。これらの固定孔28、30に挿通された取付ボルトによって、ワイパ装置10が車体に固定される構成である。
また、ピボットホルダ12、14には、固定孔28、30と反対側の側壁部分に、連結シャフト32、34が設けられている。連結シャフト32、34は、断面円形の中実シャフト(むく軸)とされており、その先端部は後述するフレーム40に嵌合接続(連結)する接続部36、接続部38とされている。なお、これらの連結シャフト32、34を断面円形の中実シャフトとするに限らず、断面円環状の中空シャフトに形成する構成としても良い。接続部36、38の外周には、それぞれ凹部36A、38Aが形成されている。ピボットホルダ12、14は、それぞれの接続部36、38がフレーム40の異なる長手方向端部に接続されることで互いに連結されている。
フレーム40は、第1分割フレーム42と第2分割フレーム44とが連結部材46を介して連結されて、全体として車幅(左右)方向に長手の略直線状に形成されている。第1分割フレーム42、第2分割フレーム44は、それぞれの長手方向一端部が接続部36、38に接続されると共に、長手方向他端部が連結部材46によって互いに連結されている。本実施の形態では、第1分割フレーム42と第2分割フレーム44とは、基本的に同一構造とされており、組付方向が互いに反対となる構成である。
具体的には、第1分割フレーム42、第2分割フレーム44におけるそれぞれフレーム40の長手方向端部となる各長手方向一端部は、それぞれ接続部36、38に対応する接続部48、50となっている。この接続部48、50は、それぞれ断面円環状に形成されており、接続部36、38に嵌合し、さらにこの状態で凹部36A、38Aに対応して接続部48、50がカシメられて接続部36、38に連結固定される構成となっている。これにより、ピボットホルダ12、14がフレーム40を介して互いに連結されている。
一方、図3にて詳細に示される如く、第1分割フレーム42、第2分割フレーム44の各長手方向他端部には、それぞれ収容部としての連結収容部52、54が形成されている。連結収容部52、54は、それぞれ中空でない断面コ字形に形成されており、コ字形の開口側が真横(本実施形態では車体後方)に向くように設定されている。また、各連結収容部52、54は、長手方向端部においても開口している。これらの連結収容部52、54における車体前方を向く前面は、取付平座面52A、54Aとなっている(図2参照)。
これらの連結収容部52、54には、後述するワイパモータ84を固定するためのモータ取付孔56、58と、連結部材46を固定するためのフレーム連結孔60、62とがそれぞれ形成されている。各モータ取付孔56、58とフレーム連結孔60、62とは、共に連結収容部52、54(取付平座面52A、54A)を板厚方向に貫通しており、各フレーム連結孔60、62の方がモータ取付孔56、58よりも車幅方向外側(それぞれ対応するピボットホルダ12、14側)に配置されている。
また、各連結収容部52、54における接続部48、50側の端部には、徐変部64、66が連設されている。徐変部64、66は、それぞれ連結収容部52、54から接続部48、50へ向けて前記中空でない断面コ字形から断面円環状に徐々に中空変化して形成されている。第1分割フレーム42、第2分割フレーム44は、断面円環状の中空母材(パイプ材)をプレス加工することによって形成されている。
連結部材46は、本体部68と、本体部68の長手方向両端からそれぞれ延設されたフランジ部70、72とを有して構成されている。各フランジ部70、72には、フレーム連結孔60、62に対応する透孔74、76が形成されている。また、本体部68の長手方向中央部は、両端部よりも上下方向の板厚が小さく破断しやすい破断部68Aとされている。破断部68Aは、上方に開口する凹部の如く形成されている。
この破断部68Aは、所定値以上の曲げモーメントが作用すると破断するようになっている。本実施の形態では、破断部68Aは、図2に示すワイパモータ84(後述)にフレーム40の長手方向と直交する方向から所定値以上の荷重Pが作用すると、破断するように設定されている。また、図2に示す上記直交方向(荷重Pの作用方向)に対し傾斜する方向の荷重P’の該直交方向分力が所定値以上になる場合にも、破断部68Aが破断するようになっている。
一方、連結部材46は、その長手方向に作用する荷重に対しては十分な強度を有している。具体的には、ワイパ装置10の作動状態でフレーム40には、後述するワイパアーム112及びリンクロッド104、106からの反力が長手方向に作用するが、連結部材46の破断部68Aは、ウインドシールドガラス下端部の雪溜まりなどでワイパアーム112が拘束される場合の反力に対し十分に余裕のある強度を有している。すなわち、フレーム40では、破断部68Aの破断荷重は、フレーム40の長手方向に直交する方向からの荷重に基づく曲げモーメントにて設定されており、長手方向の荷重に対しては十分な強度を有している。
さらに、本体部68における破断部68Aの両側には、それぞれ連結部材46の長手方向に長手とされた係止スリット(係止スリット)68B、68Cが形成されている。フランジ部70(第1分割フレーム42)側の係止スリット68Bは車体前方を向いて開口しており、フランジ部72側に係止スリット68Cは車体後方を向いて開口している。本実施の形態では、各係止スリット68B、68Cの下縁が、平坦面である破断部68Aと略面一に形成されている。また、本体部68の係止スリット68C内におけるフランジ部72近傍には、後述するスプリング82の一端部が係止されるばね係止孔77が形成されている。
そして、フレーム40は、連結部材46の主に破断部68Aよりもフランジ部70側部分を、係止スリット68Bの開口端が車体前方を向くように第1分割フレーム42の連結収容部52に収容すると共に、該連結部材46の主に破断部68Aよりもフランジ部72側部分を第2分割フレーム44の連結収容部54に収容した状態で、各フレーム連結孔60、62及び透孔74、76をそれぞれ貫通したボルト78及びボルト78に螺合したナット80によって締結固定されることで、連結部材46が第1及び第2分割フレーム42、44に固定されて構成されるようになっている。
すなわち、フレーム40は、互いに長手方向を一致させた第1分割フレーム42及び第2分割フレーム44の各他端部は互いに離間しており、この第1分割フレーム42及び第2分割フレーム44の他端部間に破断部68Aが配置されて構成されている。連結部材46は、例えばアルミダイキャストに形成された成形品、樹脂成形に形成された成形品等とされる。
以上説明したフレーム40には、付勢部材としてのスプリング82が取り付けられている。スプリング82は、一対のアーム部82A、82B間にコイル部82Cが形成された捩りコイルばねとされており、自由状態では、アーム部82A、82Bの先端間にコイル部82Cが位置するようになっている(図3の想像線参照)。このスプリング82は、弾性変形させて互いに(略180°に)広げた各アーム部82A、82Bを、連結部材46の係止スリット68B、68Cに入り込ませて係止させている。また、係止スリット68Bに入り込むアーム部82Aの先端82Dは、屈曲されてばね係止孔77に挿入されている。この状態でコイル部82Cは、破断部68A上に位置するようになっている。
これにより、アーム部82Aは、連結部材46に対し該連結部材46(フレーム40)の長手方向へのスライド、及びその先端82D廻りの回転不能に支持されており、コイル部82Cも連結部材46に対し長手方向またはその直交方向に移動しないように保持されている。一方、アーム部82Bは、係止スリット68C内で、連結部材46の長手方向に沿ってスライド可能とされている。したがって、連結部材46が本体部68の破断部68Aにおいて破断すると、フレーム40は、スプリング82の復元力である付勢力によって、第1及び第2分割フレーム42、44をコイル部82C側に折り畳む(略「く」字状に折り曲げる)ように変形する構成である。
以上説明したフレーム40には、駆動源としてのワイパモータ84が固定的に取り付けられている。ワイパモータ84は、モータ部84A及びギヤ部84Bが一体に設けられた構成となっており、ギヤ部84Bのハウジング86からは一対の取付足88、90がそれぞれ突出形成されている。各取付足88、90には、締結孔88A、90Aがそれぞれ水平方向に沿って(換言すれば、フレーム40の取付平座面52A、54Aに対して垂直方向に)形成されている。
そして、これらの取付足88、90が、フレーム40の取付平座面52A、54A上に密着して直接当接し、この状態で締結孔88A、90A及びモータ取付孔56、58をそれぞれ貫通したボルト92及びボルト92に螺合するナット94によって締結固定されることで、ワイパモータ84がフレーム40に固定される構成となっている。
したがって、ワイパモータ84は、一方の取付足88が第1分割フレーム42に固定されると共に、他方の取付足90が第2分割フレーム44に固定され、これら第1及び第2分割フレーム42、44を連結する連結部材46の破断部68Aを跨ぐようにしてフレーム40に取り付けられている。また、ワイパモータ84のハウジング86からは、一対の取付足88、90と略反対側(車体前方)に向けて支持ピン86Aが突設されている。
以上の如くワイパ装置10は、一対のピボットホルダ12、14が、ワイパモータ84の支持基台としてのフレーム40と一体に構成された、所謂フレーム一体式の構成となっている。そして、ワイパ装置10は、ワイパモータ84の駆動力を各ピボットシャフト20、22に伝達するリンク機構96を備えている。
リンク機構96は、ワイパモータ84におけるハウジング86の裏面側(図2において紙面裏面側)へ向けて突出した出力軸98の先端に取り付けられたクランクアーム100を備えている。クランクアーム100の先端には、ボールジョイント102を介してリンクロッド104及びリンクロッド106が連結されている。一方のリンクロッド104は、ピボットホルダ12に支持されたピボットシャフト20のピボットレバー24にボールジョイント108を介して連結されており、また、他方のリンクロッド106は、ピボットホルダ14に支持されたピボットシャフト22のピボットレバー26にボールジョイント110を介して連結されている。
これにより、ワイパモータ84が作動しクランクアーム100が回転することにより、リンクロッド104、106及びピボットレバー24、26を介して駆動力が伝達されて、ピボットシャフト20、22がそれぞれ回動する構成である。また、ピボットシャフト20、22の先端にはそれぞれワイパアーム112が取り付けられ(図5に図示)、各ピボットシャフト20、22の回転によってワイパアーム112が所定範囲で往復回動するようになっている。この往復回動によって、各ワイパアーム112の先端に連結されたワイパブレードがウインドシールドガラス(何れも図示省略)を払拭する構成である。
以上説明したワイパ装置10は、各ピボットホルダ12、14の固定孔28、30、及びワイパモータ84の支持ピン86Aにおいて、車体Bに固定されるようになっている。具体的には、図5に示される如く、各固定孔28、30には、ゴム材またはエラストマー材等の弾性材から成るグロメット114が取り付けられており、各グロメット114に挿通された固定部材である取付ボルト116によって、ワイパ装置10が車体Bに固定される構成である。すなわち、各グロメット114は、ワイパ装置10(ピボットホルダ12、14)を車体Bに対してフローティング支持している。これにより、各グロメット114は、ピボットシャフト20、22あるいは後述する駆動源としてのワイパモータ84に荷重が作用した場合に、弾性変形することによりピボットホルダ12、14(装置全体)を車体Bに対し傾斜変位可能としている。
また、取付ボルト116は、固定孔28、30の開放部28A、30Aの隙間寸法よりも小径とされ、開放部28A、30Aよりも大径のグロメット114を介して車体Bに固定される。したがって、開放部28A、30Aの開放方向と反対側(各ピボットホルダ12、14が互いに接近する方向)へ向けた所定値を越える荷重がピボットホルダ12、14に作用すると、グロメット114が弾性変形して開放部28A、30Aから取付ボルト116が抜け出し可能(固定孔28、30の開放部28A、30Aが取付ボルト116から離脱可能)となっている。
一方、図6に示す如く、ワイパモータ84の支持ピン86Aは、車体B側のパネル118に設けられた取付孔120に対応している。取付孔120には、弾性材から成るグロメット122が取り付けられている。このグロメット122は、外周が取付孔120に嵌まり込んで取り付けられる円筒部122Aと、円筒部122Aの一端に形成された受部122Bとから構成されており、円筒部122Aの内周に支持ピン86Aが挿通されると共に、支持ピン86Aが円筒部122Aに挿通された際に受部122Bにハウジング86が当接するようになっている。
すなわち、グロメット122の受部122Bにハウジング86が当接する状態まで支持ピン86Aを挿通することによって、ワイパ装置10の車体Bに対する位置決め及び支持が行なわれ、かつこの状態で、上記の如くピボットホルダ12、14の固定孔28、30に挿通された取付ボルト116を締結することで、ワイパ装置10が車体に固定される構成である。そしてこの場合、ワイパモータ84に作用する所定値以上の荷重Pで連結部材46の破断部68Aが破断するのに伴って、グロメット122が支持ピン86Aと共にあるいは支持ピン86Aのみが取付孔120から抜け出して(離脱して)当該部位の支持固定が解除されるように構成されている。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
上記構成のワイパ装置10では、ピボットシャフト20、22を回転可能に支持するピボットホルダ12、14がフレーム40によって互いに連結され、また、フレーム40にはワイパモータ84が直接固定され、全体としてアッセンブリ状態とされている。この状態で、ワイパモータ84のハウジング86に設けられた支持ピン86Aが車体B側のパネル118に設けられた取付孔120にグロメット122と共に挿通されて位置決めかつ支持が成され、かつこの状態でピボットホルダ12、14の固定孔28、30に取り付けられたグロメット114を介して該グロメット114に挿通された取付ボルト116によって、ウインドシールドガラス下方の車体Bに固定される(車体Bに対してフローティング支持される)。
そして、車体Bに固定されたワイパ装置10では、ワイパモータ84の作動によってピボットシャフト20、22が回動して、ワイパアーム112が所定範囲で往復回動することでワイパブレードがウインドシールドガラスの雨滴等を払拭する。
ここで、このワイパ装置10では、車体外部からワイパモータ84に荷重Pが作用すると、グロメット114が変形してピボットホルダ12、14(装置全体)が車体Bに対し傾斜変位される。さらに、荷重が増加しワイパモータ84に所定値以上の荷重Pが作用すると、破断部68Aに作用する曲げモーメントが所定値以上となり、図7に示す如く、フレーム40の連結部材46が破断部68Aにおいて破断する。
破断部68Aの破断後にも、上記荷重P(車体Bによって徐々に吸収される衝撃荷重)が作用しているワイパモータ84は、第1分割フレーム42及び第2分割フレーム44の各他端部(互いの連結側端部)と共に車体内方側に移動しつつ、ピボットホルダ12、14(固定孔28、30)を該ワイパモータ84の側に引張る。この動作に伴って、ワイパモータ84の支持ピン86Aが取付孔120から抜け出して(離脱して)当該部位の支持固定が解除されると共に、ピボットホルダ12、14がそれぞれワイパモータ84の側に引張られさらに傾斜変位しながら固定孔28、30の開放部28A、30Aからグロメット114と共に取付ボルト116が抜け出す。
このとき、スプリング82の付勢力が、長手方向中間部で破断したフレーム40を荷重Pの入力側に折り畳む方向(ピボットホルダ12、14を互いに近接させ上記ワイパモータ84の車体内方への移動を促進する方向)に作用し、第1分割フレーム42及び第2分割フレーム44の各他端部(フレーム40における破断部68Aの破断によって形成された端部)の車体内方側への移動が促進される。
したがって、本ワイパ装置10が搭載された車両が衝突等に至り衝突荷重が作用した際には(ワイパモータ84に所定値以上の荷重Pが作用すると)、フレーム40の長手方向中間部は、破断し、かつ積極的に車体内方側に移動する。すなわち、フレーム40は、荷重Pの一部をその移動力として受けつつ衝突物に反力を作用させることなく、または、ごく小さい移動力を受けながら、車体内方側に移動する。このため、ワイパ装置10が車体の自由変形を妨げてしまうことが回避され、車両の衝突エネルギ吸収量を減少(車体の衝突エネルギ吸収特性を悪化)させてしまうことが防止され、衝突物に作用する衝撃荷重が緩和される(衝突物に伝達される衝撃エネルギが低減する)。すなわち、ワイパ装置10が車体の衝撃吸収構造(性能)に与える影響が抑制される。
このように、本実施の形態に係るワイパ装置10では、衝撃入力時にフレーム40の一部が破断して車体内方に移動可能となることで衝撃吸収を可能とすることは勿論のこと、上記フレーム40の破断後に衝突物に作用する荷重を軽減することができる。
また、ワイパ装置10では、連結部材46における本体部68に、すなわち、第1分割フレーム42、第2分割フレーム44に対する取付部であるフランジ部70、72間に、破断部68Aが設けられているため、例えばフランジ部70を破断部とする構成と比較して、破断後に各部材が干渉し難い。特に、フレーム40が全体として略直線状に形成され、かつ第1分割フレーム42の他端と第2分割フレーム44の他端との間の隙間に破断部68Aが配置されているため、破断後の連結部材46と第1分割フレーム42または第2分割フレーム44が干渉してしまうことが確実に防止される。また、破断部68Aとフランジ部70、72(透孔74、76)とを独立して設計することができるため、換言すれば、フレーム40の破断荷重を設定する部分とフレーム40の組付強度を担保する部分とを独立して設計することができるため、破断荷重の設定が容易である。
さらに、連結部材46が、該連結部材46の組込用の開口を有する連結収容部52、54に収容された状態で第1分割フレーム42、第2分割フレーム44を連結する構成であるため、第1分割フレーム42、第2分割フレーム44の剛性(フレーム40の長手方向の強度)の確保と、連結部材46の組付性とが両立される。
さらにまた、付勢部材として、破断部68Aを跨いで連結部材の係止スリット68B、68Cに係止されるアーム部82A、82Bを有するスプリング82を採用したため、換言すれば、第1及び第2分割フレーム42、44の各他端を車体内方に付勢するためのスプリング82の両端が破断部68Aを挟んで共にフレーム40に係止されているため、ワイパ装置10を、車体への組付前に全体として1つのアッセンブリに構成することが実現された。特に、スプリング82を一部品である連結部材46に組み付ける構成であるため、フレーム40の組立が容易である。
しかも、スプリング82は、一方のアーム部82Aが係止スリット68Bに入り込んだ状態で先端68Dをばね係止孔772挿入すると共に、他方のアーム部82Bが係止スリット68Cに入り込むことで、コイル部68Cの連結部材46に対する各方向の移動が規制され、該連結部材46の破断時に確実にばねとして機能する。そして、この捩りコイルばねであるスプリング82は、アーム部82Bの先端が連結部材46の係止スリット68Cに対しフレーム40の長手方向に沿うスライド可能に係止されているため、連結部材46の破断部68Aが破断されて車体内方側に移動する第1及び第2分割フレーム42、44の車体内方側への移動を確実に促進する。
また、ワイパ装置10では、ワイパモータ84がフレーム40における破断部68Aの近傍である連結収容部52、54、すなわち第1及び第2分割フレーム42、44の衝撃作用時にそれぞれ車体内方側に移動する側である他端側にワイパモータ84が固定されているため、ワイパ装置10を構成する重量物であるワイパモータ84の車体内方への大きなストロークを確保することができる。しかも、破断部68Aがフレーム40の長手方向中央に配置されているため、ワイパモータ84を、フレーム40における車体内方へのストロークが最も大きい部分に、ストローク中に姿勢があまり変化しないように配置する構成が実現された。
なお、上記の実施の形態では、ワイパ装置10は、フレーム40の長手方向中間部においては、ワイパモータ84の支持ピン86Aが車体Bに支持される構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図8に示す如き変形例とすることもできる。以下、この変形例について説明するが、上記実施の形態と基本的に同一の部品・部分については上記実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示す変形例では、フレーム40は、第1分割フレーム42と第2分割フレーム44とが、連結部材46に代えて、連結部材130によって連結されている。連結部材130は本体部132を備えており、本体部132は、平面視でワイパモータ84側に開口する略U字状に形成された破断部132Aの両端に係止スリット68A、68Bの形成部位が連設されて構成されている。また、本体部132における破断部132Aの開口側と反対側には、略半円状の固定部134が一体的に延設されている。固定部134には、固定孔136が設けられており、固定孔136は破断部132Aと反対側へ向けて開放する開放部136Aを有している。実質的には、破断部132AのU字状の内縁と固定孔136の内縁との最小幅部が、所定値以上の荷重Pによって破断する破断部とされる。
そして、図示は省略するが、固定部134は、図5に示すピボットホルダ12、14と同様の構造によって、車体Bに固定されるようになっている。すなわち、固定孔136には、ゴム材またはエラストマー材等の弾性材から成るグロメットが取り付けられており、グロメットに挿通された取付ボルトによって、固定部134が車体Bに固定される構成である。この取付ボルト116は、固定孔136の開放部136Aの隙間寸法よりも小径とされ、開放部136Aよりも大径のグロメットを介して車体Bに固定される。なお、ワイパモータ84には、支持ピン86Aが設けられていない。
本変形例に係るワイパ装置10では、ワイパモータ84に所定値以上の荷重Pが作用すると、破断部132Aが破断し、これに伴い固定部134(固定孔136の孔縁)も破断するので、フレーム40の長手方向中間部における車体Bへの支持状態が解除される構成である。したがって、本変形例に係る構成によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本変形例では、衝撃入力時に破断する連結部材130に固定部134を設けることで、通常時の安定した搭載状態の維持と、衝突時の衝撃吸収(車体の自由変形を妨げないこと)とを両立することができる構成を、ワイパモータ84に支持ピン86Aを設けることなく実現することができる。
なお、上記の実施の形態または変形例では、ワイパモータ84に所定値以上の荷重Pが作用すると、フレーム40の破断部68A、132Aが破断し、該破断部位がスプリング82の付勢力によって積極的に車体内方に移動する説明としたが、ワイパモータ84のみならずフレーム40を構成する第1分割フレーム42、第2分割フレーム44、連結部材46,130等に加えられた衝撃によるフレーム長手方向に垂直な荷重が所定値以上である場合(該荷重が所定値以上の曲げモーメントを破断部68A、132Aに生じさせる場合)にも、前述と同様の効果を発揮することができる。すなわち、衝突物の衝突部位がワイパモータ84ではなくても、前述と同様の効果を発揮することができる。
また、上記の実施の形態または変形例では、付勢部材であるスプリング82の各アーム部82A、82Bがそれぞれ連結部材46に係止された構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、アーム部82Aを第1分割フレーム42に係止すると共にアーム部82Bを第2分割フレーム44に係止するようにしても良い。さらに、スプリング82は、アーム部82Aを係止スリット68Bに入り込ませると共に該アーム部82Aの先端をばね係止孔77に挿入することで、連結部材46に保持される構成に限定されることはなく、例えば、コイル部82Cに連結部材の支軸を挿入すると共に各アーム部82A、82Bをそれぞれ係止スリット68B、68Cにスライド可能に入り込ませるようにしても良い。また、付勢部材は、フレーム40における破断部68Aの両側に跨るように設けられる構成には限定されず、例えば、第1分割フレーム42、第2分割フレーム44と車体Bとの間にそれぞれ設けられたコイルばねとしても良く、第1分割フレーム42と第2分割フレーム44との間に設けられた板ばねであっても良い。後者の場合、板ばね部を第1分割フレーム42及び第2分割フレーム44の何れか一方または双方に一体に設けても良い。
さらに、上記の実施の形態または変形例では、フレーム40が第1分割フレーム42と第2分割フレーム44とを破断部68Aを有する連結部材46にて連結した構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、フレーム40が破断部68Aを有する一部材で構成されても良い。また、フレーム40における破断部68Aは、長手方向中央に配置される構成に限定されることはなく、例えば、第1分割フレームと第2分割フレーム44とを異なる長さとすることで長手方向中央からオフセットして配置されても良い。また、フレーム40は、連結部材46を収容する連結収容部52、54を有する好ましい構成に限定されることもなく、連結収容部52、54が側方(車体後方)に開口する構成に限定されることもなく、さらに、フレーム40(の構成部品)がパイプ材のプレス加工にて形成される構成に限定されることもない。
さらにまた、上記実施の形態または変形例では、連結部材46は、本体部68に他の部分よりも薄肉の破断部68A、132Aが設けられた構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、厚みや幅の急変部を形成する切欠部や切抜部等を設けて破断部を構成しても良い。
また、上記実施の形態または変形例では、ワイパモータ84が一対の取付足88、90を有し、破断部68Aを跨いで第1分割フレーム42の他端部、第2分割フレーム44の他端部にそれぞれ固定された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、ワイパモータ84は、第1分割フレーム及び第2分割フレーム44のうち何れか一方のみに固定されても良い。
さらに、上記実施の形態または変形例では、ワイパ装置10が2つのピボットホルダ12、14を有する一般的な構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ピボットホルダを3つ以上備えた構成しても良い。したがって例えば、ピボットホルダ14に対しピボットホルダ12と反対側にピボットホルダを設けることができ、この追加のピボットホルダとピボットホルダ14とはフレーム40と同様に(ワイパモータ84の取付部は不要)構成されたフレームにて連結されることが好ましい。
10…ワイパ装置、12・14…ピボットホルダ、20・22…ピボットシャフト(ピボット軸)、40…フレーム、42…第1分割フレーム、44…第2分割フレーム、46…連結部材、52・54…連結収容部(収容部)、68A…破断部、82…スプリング(付勢部材)、82A・82B…アーム部、82C…コイル部、84…ワイパモータ(駆動源)、96…リンク機構、130…連結部材、132A…破断部