JP2005335272A - 印刷版材料および印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、印刷機上現像性に優れ、高い耐刷性を維持しつつ保存性に優れた印刷版材料を提供することにある。
【解決手段】 親水性表面を有する基材上に感熱画像形成層を有する印刷版材料において、該親水性表面の三次元粗さ測定での中心線平均粗さRaが0.2〜1.0μmであり、該親水性表面の表面形状パラメータの油溜り面積A2が1〜10の範囲であり、かつ該感熱画像形成層がブロック化イソシアネート化合物を含有することを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は印刷版材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料に関する。
現在、印刷の分野においては、印刷画像データのデジタル化に伴い、CTP方式による印刷が行われるようになってきているが、この印刷においては、安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
特に近年、特別な薬剤による現像処理が不要であるダイレクトイメージング(以下DIと称す)性能を有し、この機能を備えた印刷機に適用可能であり、またPS版と同等の使い勝手を有するものとして、汎用タイプのプロセスレスプレートが求められている。
サーマルプロセスレスプレートの画像形成に主として用いられるのは近赤外〜赤外線の波長を有する赤外線レーザー記録方式である。この方式で画像形成可能なサーマルプロセスレスプレートには、大きく分けて、アブレーションタイプと熱融着画像層機上現像タイプが存在する。
アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に記載されているものが挙げられる。
これらは、例えば、基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層したものである。表層が親水性層であれば、画像様に露光し、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出することで画像部を形成することができる。ただし、アブレートした表層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため、露光装置には特別な吸引装置が必要となる場合があり、露光装置に対する汎用性は低い。
他方、アブレーションを生じることなく画像形成が可能であり、かつ特別な現像液による現像処理や拭き取り処理の不要な印刷版材料の開発も進められている。たとえば、特許2938397号や特許2938397号に開示されているような、感熱画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性高分子化合物の結合剤とを用いた、印刷機上で湿し水またはインクを用いて現像することが可能なCTP用印刷版材料が挙げられる。
しかし、このような熱可塑性微粒子は50〜60℃程度の比較的低温の温度域においても、わずかながらに熱融着性を示す場合があり、画像形成素材の主素材として熱可塑性微粒子を用いた場合には、50〜60℃の温度で保存された際に機上現像性が劣化する場合があり、保存性は満足できるものではなかった。
一方、熱による画像形成が可能な素材として、ブロック化イソシアネート化合物が知られている。ブロック化イソシアネートは、イソシアネート化合物のイソシアネート基を特定素材で化学的にブロックした化合物であり、特定温度(一般に100℃前後)以下では反応性を示さない。
このブロックは特定温度以上になると解離してイソシアネート基が再生し、反応性を示すようになる。反応性を示すようになるブロックの解離温度に明確な閾値があるため、この解離温度未満の温度範囲であれば比較的良好な保存性を示すものである。
印刷版材料への適用例としては、例えば、画像形成層にブロック化イソシアネート化合物を含有させ、画像形成層もしくは画像形成層に隣接する層にイソシアネート基と反応する官能基を有する素材を含有させることで、加熱した部分の画像形成層のみを反応させ(イソシアネートにより架橋させて)、この反応を利用してインク着肉性と湿し水受容性の差を生じさせることによって印刷版とするような例が挙げられる。
具体的な例としては、例えば親水性表面を有する基体の表面に、ブロックイソシアネートおよびイソシアネートと反応することができる活性水素を有するポリマーとを含有する記録層を設け、かつ基体もしくは記録層の少なくとも何れか一方に光熱変換物質を含有せしめたことを特徴とする平版印刷原版が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
別の例として、特開2001−310566には、三次元架橋した親水性バインダーポリマー中の官能基が、該親水性バインダー樹脂中に0.3μm以下の大きさで分散した特定のブロック化イソシアネートと反応することにより、加熱印字部を疎水化させる画像形成方法が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
この例においては、機上現像を含めた現像が全く不要であるという利点もあるが、親水性層中にブロック化イソシアネートという疎水性素材を含むため、非加熱部においても親水性が低下し、地汚れを生じ易く、また、親水性層が圧力によっても疎水化しやすく、わずかなスクラッチ跡であっても汚れになりやすいという問題があった。
機上現像CTPに適用した例としては、親水性支持体上に、疎水性ポリマー粒子、ブロック化イソシアネート化合物、イソシアネートと反応可能な基を有する親水性樹脂および光熱変換物質を含有する感熱層を有する印刷版材料(特許文献3参照。)や、親水性支持体上に、ブロックイソシアネート基を有するポリマー粒子、親水性樹脂および光熱変換物質を含有する感熱層を有する印刷版材料が挙げられる(特許文献4参照。)。
他方、赤外線レーザーの露光により、書き込み可能なヒートモード記録層を設けた平版印刷版原版として、例えば特許文献5に記載の、粗面化処理されたアルミニウム基板であって、幅が8μm以上の凹部、または、幅に垂直方向の最大深さが1.7μm以上の凹部がlmmの間に10カ所以内であり、且つ、85度光沢度が30以下である支持体上に、赤外線吸収剤、水不溶性且つアルカリ水溶液可溶性高分子化合物を含有した記録層を設けた平版印刷版原版が知られている。
しかしながら、これらの印刷版材料はレーザー光等を用いたデジタル画像露光に対応できるようになったものの、特に印刷機上で現像する際、露光条件のラチチュウードが狭く現像が不充分な場合がある等の問題があり、また印刷機上現像性性と高い耐刷性を維持しつつ、前述のような保存による性能劣化を防止することについては、まだ満足できるものではなかった。
特開昭62−164049号公報 特開2001−310566号公報 特開2002−225451号公報 特開2002−283758号公報 特開2002−99092号公報
本発明の目的は、印刷機上現像性に優れ、高い耐刷性を維持しつつ保存性に優れた印刷版材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(請求項1)
親水性表面を有する基材上に感熱画像形成層を有する印刷版材料において、該親水性表面の三次元粗さ測定での中心線平均粗さRaが0.2〜1.0μmであり、該親水性表面の表面形状パラメータの油溜り面積A2が1〜10の範囲であり、かつ該感熱画像形成層がブロック化イソシアネート化合物を含有することを特徴とする印刷版材料。
(請求項2)
前記感熱画像形成層が印刷機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
(請求項3)
前記感熱画像形成層が、ブロック化イソシアネート化合物の分散物を含有する水系塗布液を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料。
(請求項4)
前記ブロック化イソシアネート化合物が、イソシアネート化合物と、ポリオールと、イソシアネート基のブロック化剤との反応化合物であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
(請求項5)
前記親水性表面を有する基材がアルミニウム板であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の印刷版材料。
(請求項6)
前記親水性表面を有する基材が、粗面化されたアルミニウム板表面の凹部に親水性素材を有するアルミニウム板であることを特徴とする請求項5に記載の印刷版材料。
(請求項7)
前記油溜り面積A2が2〜8の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至6に記載の印刷版材料。
(請求項8)
請求項1乃至7に記載の印刷版材料を赤外線レーザーにより画像露光し、印刷機上で湿し水およびまたはインクを用いて現像を行い、印刷することを特徴とする印刷方法。
本発明の構成により、印刷機上現像性に優れ、高い耐刷性を維持しつつ保存性に優れた印刷版材料が提供できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の印刷版材料は、親水性表面を有する基材上に感熱画像形成層を有する印刷版材料において、該親水性表面の三次元粗さ測定での中心線平均粗さRaが0.2〜1.0μmであり、該親水性表面の表面形状パラメータの油溜り面積A2が1〜10の範囲であり、かつ該感熱画像形成層がブロック化イソシアネート化合物を含有することを特徴とする。
本発明においては、支持体として、上記特定の表面粗さを有する基材を用い、感熱画像形成層としてブロック化イソシアネート化合物を含有する感熱画像形成層を用いることにより、印刷機上現像性に優れかつ高い耐刷性を維持しつつ保存性に優れる印刷版材料が得られる。
(Ra、A2)
本発明でいう三次元粗さ測定での中心線平均粗さRaとは、JIS表面粗さのJIS−B−0601により定義される。
すなわち、測定による中心線平均粗さ(Ra)は、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、カットオフ値0.8mmとして、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、下式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
Figure 2005335272
また、本発明に係る三次元測定による中心線(中心面)平均粗さRaは、特定のサンプリング長で、X方向にM点、Y方向にN点、合計でMN点の高さ測定を行って、粗さ中心面の高さを0とした粗さ曲面を求め、X方向がk点目で、Y方向がj点目の測定点における高さZをf(Zjk)として、下式に従って求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
Figure 2005335272
三次元測定による中心線(中心面)平均粗さ(Ra)を測定することのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
本発明に係る中心線平均粗さRaは、印刷時の水量ラチチュード、耐刷性、現像ラチチュードの面から0.2μm〜1.0μmである必要があり、特に0.25μm〜0.65μmであることが、好ましい。
次いで、本発明に係る表面形状パラメータの油溜り面積A2について説明する。
本発明でいう油溜り面積A2とは、上記と同様に三次元表面形状測定データより得られる負荷曲線(BearingAreaCurve)から求められるパラメータであり、下記の手順に従って求めることができる。
《1:粗さ曲線の作成》
JIS表面粗さのJIS−B−0601により定義された方法に従って、基材表面の粗さ曲線を測定する。表面粗さの測定に用いることのできる測定装置としては、例えば、前出のWYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
《2.負荷長さ率tpの測定》
図1は、負荷長さ率の測定に用いる粗さ曲線の一例を示すグラフである。
図1において、上記方法で求めた粗さ曲線1から、その平均粗さ線5の方向(横軸)に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の粗さ曲線1を山頂線2に平行な切断線4で切断したときに得られる切断長さbの和(負荷長さηp)を求め、これを基準長さLに対する比として、下式に従って求めたのが負荷長さ率tpである。
tp(%)=(ηp/L)×100
ここに、ηp:b1+b2+・・・・+bn、L:基準長
《3:油溜まり面積A2の測定》
次いで、上述の負荷長さ率tpの測定方法に準じて、図1に記載の切断線4を、山頂線2(tp=0%ポイント)から谷底線3(tp=100%ポイント)に向かって順次切断する高さ(μm)を変化させながら、各々の位置で負荷長さ率tpを求め、図2に記載のような縦軸が切断する高さ(DEPTH μm)、横軸が負荷長さ率(tp %)からなる負荷曲線6を作成する。
次いで、図2に示すように、負荷曲線6上で、負荷長さ率(tp)の値の差が40%になるような2点(A、B)を通る直線の中で、その傾きが最も小さくなる直線7を求め、この直線7とtp0%の軸、tp100%の軸との交点をそれぞれC、Dとする。Dを通り横軸に平行な直線と負荷曲線の交点をE、負荷曲線とtp100%の軸との交点をFとする。ここで、線分DE、線分DF、曲線EFで囲まれた面積と、三角形DEGの面積とが等しくなるように、tp100%の軸上でGの位置を求める。
表面粗さパラメータとして、DGの距離を油溜り深さ〔Rvk(μm)〕、点Eにおけるtp値を負荷長さ率2〔Mr2(%)〕と言い、三角形DEGの面積を油溜り面積A2と定義する。したがって、表面粗さ測定装置での測定で得られる表面粗さパラメータ、Rvk(μm)、Mr2(%)から、油溜まり面積A2は下式で求めることができる。
A2=Rvk×(100−Mr2)/2
表面粗さ測定においては、三次元的な測定を行うことが必要である。また、測定条件としては、1μm×1μmよりも細かな解像度を有する測定装置で100μm×100μm以上の面積を測定して、油溜まり面積A2を求める。
A2の値は機上現像性、耐刷性の面で、1〜10の範囲であることが必要であり、特に2〜8の範囲にあることがより好ましい。
(基材)
本発明に係る親水性表面を有する基材とは、印刷時、感熱画像形成層が除去された部分が水受容性となり非画像部となり得る表面を有する基材であり、基材表面を親水化処理し、親水性の表面層を有する基材、親水性物質を含む親水性層を設けた基材を用いることができる。
本発明に係る基材としては、表面形状が本発明で規定する範囲にあれば、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができ、例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。
基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
本発明に係る基材としては、基材表面を親水化処理した金属板が好ましく用いられる。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、本発明においては、比重と剛性との関係から、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金(以下両者含めてアルミニウム板と称する)が好ましく、加えて、公知の粗面化処理、陽極酸化処理、表面親水化処理のいずれかの処理がなされたもの(所謂アルミ砂目板)がより好ましい。
アルミ砂目板としては、表面形状が本発明で規定する表面特性(Ra、A2)にあれば、どのような方法によって製造してもかまわないが、本発明で規定する表面形状が得られる製造方法のひとつとして、特開平10−869号公報に開示されている方法を挙げることができる。ここに示された製造方法にしたがって、適切な電解粗面化条件を選択することで、A2の値を1〜10の範囲とすることができる。
本発明に係る基材として用いるアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
本発明に係る基材として用いられるアルミニウム板は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、基材の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、基材表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力をかけ射出し、基材表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。又、例えば、基材表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を、100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを張り合わせ、圧力をかけてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、基材の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば、特公昭48−28123号公報、英国特許第896,563号公報、特開昭53−67507号公報に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることが出来るが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。この粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることが出来るが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、20〜100A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000C/dm2、更には200〜1000C/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。
これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことが好ましい。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、基材上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許第1,412,768号公報に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、米国特許第3,511,661号公報に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、シュウ酸、マロン酸等を一種又は二種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は、1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
陽極酸化処理された基材は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、親水化処理として、水溶性の樹脂、例えば、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
本発明においては、基材が、粗面化処理されたアルミニウム板であって、かつ表面の凹部が親水性素材を有する基材が好ましく用いられる。
また、親水性素材に光熱変換能や断熱機能、水現像性等の画像形成に係る機能を付与することもできる。
凹部を親水性素材で選択的に埋める具体的方法のひとつとしては、目的とする素材の希薄溶液もしくは分散液(0.1〜数質量%程度)を0.01〜1g/m2程度の乾燥付量となるように塗布、乾燥させる方法が挙げられる。
本発明で用いることのできる親水性素材としては、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾルといった金属酸化物ゾル、ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムといったケイ酸塩、アルコキシシランやシランカップリング剤の加水分解ゾル、公知の親水性ポリマー(適宜公知の方法で架橋させる)等を使用することができる。
(感熱画像形成層)
本発明に係る感熱画像形成層は、画像様加熱により、加熱された部分の感熱画像形成層がインク着肉性の画像を形成し、加熱されなかった部分の感熱画像形成層は除去され親水性層の表面を露出させ、印刷版としての画像を形成し得るものである。
上記の感熱画像形成層の除去は印刷機上で行われるのが好ましい。即ち感熱画像形成層が印刷機上現像可能な層である態様が好ましく、下記のようにブロック化イソシアネート化合物を主体とした画像形成層を設けることにより印刷機上現像可能とすることができる。印刷機上現像可能とは、露光後、平版印刷における湿し水及びまたは印刷インキにより非画像部の画像形成層が除去され得ることをいう。
加熱の方法は、熱源による方法、レーザー等の光露光により発生する熱による方法などがあるが、レーザー等の光露光により発生する熱により画像形成するものが好ましい。
感熱画像形成層は、ブロック化イソシアネート化合物を含み、加熱された部分はブロック化イソシアネート化合物のブロック剤が解離し、イソシアネート基が生成されイソシアネート基と反応性を有する水酸基等を有する化合物や基材等と反応し、インキ着肉性である画像部となる。
感熱画像形成層中のブロックイソシアネート化合物の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、さらに70〜100質量%が好ましく、特に80〜100質量%が好ましい。
本発明に係る感熱画像形成層は、機上現像性の面から、ブロック化イソシアネート化合物の分散物を含有する水系塗布液を用いて塗布形成されたものであることが好ましい態様である。水系塗布液とは、塗布液の溶媒の95質量%以上が水である塗布液をいう
本発明のブロック化イソシアネート化合物は、イソシアネート化合物とイソシアネート基のブロック化剤との反応化合物である。
ブロック化イソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とブロック化剤との反応化合物にさらにポリオールを反応させた化合物が好ましい。
(イソシアネート化合物)
本発明に係るイソシアネート化合物は、イソシアネート基を有する化合物であり、イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート[ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)など];脂肪族ポリイソシアネート[1、6ーヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)など];脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネートなど];芳香脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)など];これらの変性物(ビューレット基、イソシアヌレート基、カルボジイミド基、オキサゾリジン基含有変性物など);およびこれらのポリイソシアネートと分子量50〜5、000の活性水素含有化合物からなる末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが挙げられる。
また、特開平10−72520に記載のポリイソシアネート化合物も好ましく用いることができる。
上記の中では特にトリレンジイソシアネートが、反応性が速く好ましい。
(ブロック化剤)
本発明に係るブロック化剤は、イソシアネート基に付加反応しウレタン結合、ウレア結合を生ずる基を有する化合物であり、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール系ブロック剤、フェノール、クレゾールなどのフェノール系ブロック剤、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤、アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどの酸アミド系ブロック剤、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチルなどの活性メチレン系ブロック剤、ブチルメルカプタンなどのメルカプタン系ブロック剤、コハン酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロック剤、尿素、チオ尿素などの尿素系ブロック剤、N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤、ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどのイミン系ブロック剤などが挙げられる。これらの中では特にオキシム系ブロック剤を用いることが好ましい。
ブロック化剤の付加量としては、ブロック化剤中の活性水素基と後述のポリオールの活性水素基とを合わせてイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.0〜1.1当量となるように含有させることが好ましい。
1.0未満では未反応のイソシアネート基が残存し、また1.1を超えるとブロック剤等が過剰となり好ましくない。
ブロック化剤の解離温度としては、80〜200℃であることが好ましく、80〜160℃であることがより好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。
(ポリオール)
本発明に係るブロック化イソシアネート化合物は上記のブロック化剤の付加物にさらにポリオールを付加させたものが好ましく用いられる。
ポリオールを付加させることにより、ブロック化イソシアネート化合物の保存安定性を向上させることができる。また、加熱して画像を形成した際の画像強度が向上し、耐刷性が向上する。
ポリオールとしては、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキシレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、ソルビトール、しょ糖などの多価アルコール、これらの多価アルコールあるいはポリアミンにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを、あるいは両者を付加重合して得られるポリエーテルポリオール類、ポリテトラメチレンエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール類、さらに上記多価アルコールとたとえばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸などの多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、アクリルポリオール類、ヒマシ油、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールにビニルモノマーをグラフトして得られるポリマーポリオール類、エポキシ変性ポリオール類などが挙げられる。
これらの中では、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキシレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、ソルビトールなど分子量50〜5000のポリオールを好ましく使用することができ、特に分子量50〜500程度の低分子量ポリオールをより好ましく使用できる。
ポリオールの付加量としては、前述のようにポリオールとブロック化剤とを合わせた活性水素の量が、イソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.0〜1.1当量が好ましいが、ポリオール中の水酸基がイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して0.1〜0.9当量となるような範囲が好ましく、特にこの範囲において特にブロック化イソシアネート化合物の保存安定性が向上する。
(ブロック化方法)
イソシアネート化合物のブロック化方法としては、例えば、イソシアネート化合物を無水の条件下、不活性ガス雰囲気下で40〜120℃程度に加温し、攪拌しながらブロック化剤を所定量滴下して混合し、攪拌を続けながら数時間かけて反応させるという方法が挙げられる。
この際、何らかの溶媒を用いることもできる。また、公知の触媒、例えば、有機金属化合物、第3級アミン、金属塩等を用いることもできる。
有機金属触媒としては、たとえば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレートなどのスズ系触媒、2−エチルヘキサン酸鉛などの鉛系触媒などが、第3級アミンとしては、たとえばトリエチルアミン、N、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N、N′−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロ(2、2、2)−オクタンなどが、金属塩触媒としては、たとえば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸鉛酸化リチウムなどが挙げられる。これらの触媒の使用量は、ポリイソシアネート組成物100質量部に対し、通常0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
本発明のブロック化イソシアネート化合物はポリオールとの化合物でもあるため、ブロック化剤およびポリオールをイソシアネート化合物と反応させるが、先にイソシアネート化合物とポリオールとを反応させた後に、残ったイソシアネート基とブロック化剤とを反応させてもよく、また、先にイソシアネート化合物とブロック化剤とを反応させた後に、残ったイソシアネート基とポリオールとを反応させてもよい。
本発明のブロック化イソシアネート化合物の好ましい平均分子量としては、重量平均分子量で500〜2000であることが好ましく、600〜1000であることがより好ましい。この範囲で反応性と保存安定性とのバランスが良好となる。
(水分散物の製造)
本発明に係る画像形成層は、上記のようにブロック化イソシアネート化合物の分散物を含有する水系塗布液を用いて塗布形成されたものであることが好ましい態様である。
上述のようにして得られたブロック化イソシアネート化合物は、例えば、界面活性剤と水とを加えて、ホモジナイザ等を用いて強力に混合攪拌することで分散物とすることができ、これを用いて画像形成層用の水系塗布液を調製することができる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のノニオン系界面活性剤、あるいはラウリルベタイン、ステアリルベタインの塩などのアルキルベタイン型の塩、ラウリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸型の両界面活性剤などを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中ではノニオン界面活性剤が好ましい。
ブロック化イソシアネート化合物の水分散物の固形分としては、10〜80質量%であることが好ましい。界面活性剤の添加量としては、水分散物の固形分中の0.01〜20質量%であることが好ましい。
イソシアネート化合物のブロック化反応等に有機溶媒を用いた場合には、水分散物としてから有機溶媒を除去することもできる。
(水溶性化合物)
本発明に係る感熱画像形成層には水溶性化合物を含有させることができる。水溶性化合物としては、20℃の水100gに0.5g以上溶解する化合物であれば、どのような化合物でも用いることができる。
20℃の水100gに2g以上溶解する化合物であることが良好な機上現像性を得るために好ましく、また、20℃で固体であることが感熱画像形成層の強度維持のために好ましい。具体的には下記のような化合物が挙げられる。
オリゴ糖:トレハロース、スクロース、マルトース、シクロデキストリン等。
水溶性高分子化合物:多糖類(デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン、キトサン、またはこれらの誘導体)、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等。
(親水性微粒子)
本発明に係る感熱画像形成層には親水性微粒子を含有することができる。親水性微粒子としては、表面が親水性で粒径が2μm以下のものが機上現像促進効果の面で好ましく用いることができある。
具体的には下記のようなものが挙げられる。
親水性樹脂粒子:キトサン粒子、アルギン酸塩粒子等。
親水性素材被覆樹脂粒子:樹脂粒子をコアとし、それを親水性素材(金属酸化物等)で被覆した粒子。
金属酸化物粒子:シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、チタニア、ジルコニア等の粒子。多孔質であってもよい。
金属酸化物コロイド:コロイダルシリカやアルミナゾル等で、粒径が3〜200nm程度のもの。この範囲では粒径が大きい方が機上現像性が良好となる。形状は球状、鎖状、ネックレス状、羽毛状等、どのような形状であってもよい。
層状鉱物粒子:カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒子径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒子径(粒子の最大長)が2μm以下であり、又平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒子径が1μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。
上記の中では、加熱で形成した画像部の強度を向上させるという点で金属酸化物コロイドが好ましく、また、少量の添加で良好な機上現像性が得られるという点で層状粘土鉱物粒子が好ましい。
(感熱画像形成層に含有できるその他の素材)
本発明に係る感熱画像形成層には、ブロック化イソシアネート化合物のブロック剤の解離促進や、再生したイソシアネート基と他の官能基との反応を促進させる触媒機能を有する素材を含有させることができる。
これは、上述の公知の触媒、例えば、有機金属化合物、第3級アミン、金属塩等を用いることができる。
また、本発明に係る感熱画像形成層には、その他に疎水性熱可塑性粒子や疎水性素材を内包するマイクロカプセルを含有させることができる。
(疎水性熱可塑性微粒子)
疎水性熱可塑性微粒子としては、後述する熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子を挙げることができる。
本発明に用いることができる熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。
物性としては、保存性及びインク着肉性の観点から、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。
又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は機上現像性、解像度の観点から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。
熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は機上現像性及び解像度の観点から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていたりしてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
(マイクロカプセル)
上述のマイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁の厚さは径の1/100〜1/5であることが好ましく、1/50〜1/10であることがより好ましい。
マイクロカプセルの壁材となる素材、およびマイクロカプセルの製造方法は公知の素材および方法を用いることができる。たとえば、「新版マイクロカプセルその製法・性質・応用」(近藤保、小石真純著/三共出版株式会社発行)に記載されているか、引用されている文献に記載されている公知の素材および方法を用いることができる。
(光熱変換材)
感熱画像形成層には後述の光熱変換材を含有させることができる。
感熱画像形成層に光熱変換材を含有させることで、赤外線レーザーによって画像形成可能な印刷版材料とすることができる。
感熱画像形成層に含有させる光熱変換素材としては、赤外線吸収色素が好ましい。赤外線吸収色素の含有量としては、色素の可視光での着色の程度によって、機上現像時の印刷機汚染との兼ね合いを考慮する必要があるが、一般的に印刷版材料の単位面積あたりとして、0.001g/m2以上、0.2g/m2未満であることが好ましく、0.05g/m2未満であることがより好ましい。また、可視光での着色が少ない色素を用いることが好ましいことは言うまでもない。
赤外線吸収色素の具体例としては、一般的な赤外線吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
本発明に係る感熱画像形成層は水系の塗布液から塗布形成されるため、含有させる赤外線吸収色素としては水溶性であることが好ましい。
水溶性ではない赤外線吸収色素を用いる場合には、赤外線吸収色素を先にエタノール等の水と相溶性の良い有機溶媒に溶解した溶液を作成し、この溶液をブロック化イソシアネート化合物の水分散物を含む分散液中に添加して用いることもできる。この場合、赤外線吸収色素の溶解度は有機溶剤から水と有機溶剤との混合溶媒となることで大きく低下するため、分散液中で析出するが、この際、ブロック化イソシアネート化合物の分散粒子表面に選択的に析出するため、光熱変換素材を表面に担持したブロック化イソシアネート化合物の水分散粒子とすることができ、効率的な画像形成が可能となる。
また、上述のイソシアネート化合物のブロック化から水分散の間のいずれかの工程において、有機溶媒に溶解した赤外線吸収色素を添加し、水分散後に必要に応じ有機溶媒を除去することで、光熱変換素材を内部に担持したブロック化イソシアネート化合物の水分散粒子とすることもできる。
また、感熱画像形成層には、界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。この界面活性剤の含有量は感熱画像形成層(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
また、感熱画像形成層は潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤を含有させることで、感熱画像形成層へのスクラッチ傷(印刷において汚れとなる懸念がある)を軽減させることができる。
潤滑剤としては、公知のワックスが挙げられるが、その中でもインク着肉性の低い脂肪酸アミドや脂肪酸Ca、脂肪酸Znなどが好ましい。
感熱画像形成層は水系塗布液で塗布形成することから、これらの潤滑剤も水分散体として塗布液に添加することが好ましい。
潤滑剤の含有量としては、感熱画像形成層の0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
(露光)
本発明においては、印刷版材料をレーザー光を用いて画像を形成するのが好ましい。その中でも、特にサーマルレーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
即ち、親水性表面を有する基材上に感熱画像形成層を有する印刷版材料において、該親水性表面の三次元粗さ測定での中心線平均粗さRaが0.2〜1.0μmであり、該親水性表面の表面形状パラメータの油溜り面積A2が1〜10の範囲であり、かつ該感熱画像形成層がブロック化イソシアネート化合物を含有することを特徴とする印刷版材料が、本発明の好ましい態様である。
例えば赤外及び/または近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。又特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
(印刷)
本発明の印刷方法は、湿し水及び印刷インクを用いる一般的な平版印刷方法が適用できる。
本発明の印刷方法としては、特に湿し水としてイソプロノールを含有しない(含有しないとは水に対して0.5質量%以下の含有率である)湿し水を使用する場合が好ましい態様である。
即ち、本発明の印刷版材料を赤外線レーザーにより画像露光をし、印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することが好ましい態様である。
画像形成後の印刷版材料をそのまま印刷機の版胴に取り付けるか、あるいは印刷版材料を印刷機の版胴に取り付けた後に画像形成を行い、版胴を回転させながら水供給ローラー及びまたはインク供給ローラーを印刷版材料に接触させることで感熱画像形成層の非画像部を除去することが可能である。
上記の非画像部の除去、いわゆる機上現像方法を下記に示す。
印刷機上での感熱画像形成層の非画像部(未露光部)の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。
また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
本発明に係る感熱画像形成層は、特定のブロック化イソシアネート化合物の水分散物を塗布乾燥して得られた層であるため、比較的高温環境下に保存した場合でも、印刷機上での機上現像が可能であり、良好な画像形成を行なうことが可能となる。
(基材1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行なった。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2とし、合計で480C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に4秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、 次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた0.5質量%の3号ケイ酸Na水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材1を得た。
基材1の各表面形状パラメータを表1に示した(WYKO社製RST Plusを使用し、40倍で測定した)。
(基材2の作製)
基材1の作製における電解粗面化条件を電解粗面化処理を10回にし、合計で400C/dm2の処理電気量(陽極時)とした以外は同様にして基材2を得た。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
(基材3の作製)
ピーク電流密度を70A/dm2とした以外は基材2と同様にして基材3を得た。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
(基材4の作製)
1回の処理電気量(陽極時)を50C/dm2とし、合計で600C/dm2の処理電気量(陽極時)とした以外は基材1と同様にして基材4を得た。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
(基材5の作製)
電解粗面化処理を分割せずに1回で行った以外は同様にして基材5を得た。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
(基材6の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、研磨剤として400メッシュの火山灰とナイロンブラシとを用いて公知の方法でブラシ研磨した。次いで、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
その後の電解粗面化処理以降は基材1と同様にして基材6を得たが、電解粗面化処理は分割せずに1回で行い、処理電気量(陽極時)は200C/dm2とした。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
(基材7の作製)
処理電気量(陽極時)は600C/dm2とした以外は基材6と同様にして基材7を得た。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
(基材8の作製)
塩酸10g/L、酢酸5g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液を用い、ピーク電流密度を70A/dm2とし、かつ、一回の処理電気量(陽極時)を60C/dm2とし、合計で720C/dm2の処理電気量(陽極時)とした以外は基材1と同様にして基材8を得た。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
(基材9の作製)
電解波形として、のこぎり波形の交流を用いた以外は基材1と同様にして基材9を得た。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
(基材10の作製)
基材9の粗面化面に、コロイダルシリカ:スノーテックス−PSM(日産化学社製、ネックレス形状)とコロイダルシリカ:スノーテックス−XS(日産化学社製、粒径5nm)とを、固形分質量で60/40の比率で含有する親水性層塗布液(固形分20質量%)を、乾燥付量で3g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、170℃で3分間乾燥させた。次いで、55℃で72時間のエイジングを行って、基材10を得た。同様に表面粗さパラメータを表1に示した。
Figure 2005335272
実施例1
(ブロック化イソシアネート化合物の水分散物の作成)
トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物をメチルエチルケトキシムでブロックした有機溶媒系のブロック化イソシアネート(固形分55質量%、溶媒:酢酸エチルとMIBKの混合溶媒):364質量部をトルエン:136質量部に溶解した。次いで、この溶液に分散剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル:20質量部を加え、攪拌しながらさらに純水:330質量部を少量ずつ加えた後、この混合液をホモジナイザを用いて強攪拌して水相中に油相を分散させた。次いで、減圧により有機溶媒を除去して、固形分40質量%のブロック化イソシアネート化合物水分散物を得た。
(画像形成層塗布液1〜4の作製)
下表の各組成の素材を十分に混合攪拌し、ろ過して、固形分5質量%の画像形成層用塗布液1〜4を作製した。
画像形成層用塗布液1〜4組成(表中の単位指定のない数字は質量部を表す)
Figure 2005335272
Figure 2005335272
印刷版材料の作製
表3に示した基材、画像形成層塗布液の組み合わせで、基材上に画像形成層を乾燥付量が0.6g/m2となるように塗布して印刷版材料を作成した。乾燥条件は55℃3分間で行い、次いで60℃24時間のエイジングを行った。
(画像形成)
画像形成は赤外線レーザー露光により行った。各印刷版材料を露光ドラム外面に巻きつけて固定し、露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、レーザービームの焦点を印刷版材料表面に合わせて、露光エネルギーを350mJ/cm2とした条件で、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)で画像を形成した。
評価用の画像として、ベタ画像と1200dpi(同上)のライン&スペース細線画像(露光時のビーム主走査方向に対して平行な細線画像)を用いた。
(印刷方法)
印刷機:三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製トーヨーキングハイユニティM紅)を使用して印刷を行なった。
露光後の印刷版材料をそのまま版胴に取り付け、PS版と同様の印刷条件および刷り出しシークエンスを用いて刷り出し、20000枚の印刷を行なった。この際、印刷版材料に形成した1200dpi(同上)のライン&スペース画像の細線が版胴の回転方向に対して垂直となる方向で印刷版材料を取り付けた。
(機上現像性評価)
刷り出しから30枚目の印刷物で機上現像の程度を評価した。評価にはライン&スペース細線画像を用い、スペース部分の抜けの程度をルーペで観察し、下記のように評価した。結果を表3に示した。
○:スペース部分が完全に抜けている
△:スペース部分に汚れが見られる(面積比率で20%未満)
×:スペース部分に汚れが見られる(面積比率で20%以上)
(耐刷性評価:ベタ画像)
印刷2000枚ごとに印刷物のサンプリングを行って、ベタ画像部のカスレを評価した。カスレが確認できた時点の印刷枚数を耐刷性の指標とした。結果を表3に示した。
(耐刷性評価:ライン&スペース細線画像)
印刷2000枚ごとに印刷物のサンプリングを行って、細線画像部の再現性の程度下記のように評価した。結果を表3に示した。
○:細線が途切れなく再現している
△:細線に途切れが見られる(面積比率で20%未満)
×:細線に途切れが見られる(面積比率で20%以上)
Figure 2005335272
表3からわかるように、本発明の印刷版材料は、細線間の汚れの有無といった非常に厳しい条件の機上現像性評価によっても良好な機上現像性が確認され、また、ベタ画像強度はいうまでもなく、細線画像も均一な強度を有しており、良好な耐刷性を示す。
基材の表面形態が本発明の範囲からはずれた場合、ブロック化イソシアネート化合物を含有する画像形成層との組み合わせでは、ベタ画像の耐刷性は得られるが、細線画像の強度は不均一となり、局所的に画像強度の劣る部分が欠落して耐刷不良を生じる。
ブロック化イソシアネート化合物を含有しない画像形成層では画像強度がベタ画像、細線画像ともに弱く、同一条件で比較した場合に耐刷性が劣る。
実施例2
(基材11の作製)
基材6にコロイダルシリカ:スノーテックス−XS(日産化学社製)を固形分で98質量部と、モンモリロナイト:ミネラルコロイドMO(SouthernClayProducts社製)2質量部とをホモジナイザで十分に攪拌混合した固形分5質量%の親水充填層塗布液を、乾燥付量で0.4gとなるように塗布し、170℃で3分間乾燥した。次いで、これを55℃で72時間エイジングして基材11を得た。
基材11は親水充填層によって、凹部の深いピットが選択的に埋められており、表面形状を測定すると、A2の値は6.73であった。
基材11に実施例1と同様にして画像形成層3を塗布して印刷版材料16を得た。これを露光し、実施例1と同様にし評価したところ、機上現像性は○、耐刷性はベタ画像、細線画像ともに20000枚以上で良好であった。
このように、本発明における、凹部の深いピットを選択的に埋めることでさらに良好な性能が得られることがわかる。
実施例3
実施例1に用いた印刷版材料2、14、15を用いて保存安定性を評価した。各印刷版材料を60℃で48時間保存した。保存後の印刷版材料を実施例1と同様にして印刷し、機上現像性の評価を行なったところ、印刷版材料2は保存前の評価と同様の良好な機上現像性(○レベル)を示したが、14、15はいずれも×レベルで、高温保存によって機上現像性が劣化していることが確認された。
このように、本発明の印刷版材料は、良好な保存安定性も有していることがわかる。
本発明に係る負荷長さ率の測定に用いる粗さ曲線の一例を示すグラフである。 本発明に係る油溜り面積A2を求める負荷曲線の一例を示すグラフである。
符号の説明
1 粗さ曲線
2 山頂線
3 谷底線
4 切断線
5 平均粗さ線
6 負荷曲線

Claims (8)

  1. 親水性表面を有する基材上に感熱画像形成層を有する印刷版材料において、該親水性表面の三次元粗さ測定での中心線平均粗さRaが0.2〜1.0μmであり、該親水性表面の表面形状パラメータの油溜り面積A2が1〜10の範囲であり、かつ該感熱画像形成層がブロック化イソシアネート化合物を含有することを特徴とする印刷版材料。
  2. 前記感熱画像形成層が印刷機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
  3. 前記感熱画像形成層が、ブロック化イソシアネート化合物の分散物を含有する水系塗布液を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料。
  4. 前記ブロック化イソシアネート化合物が、イソシアネート化合物と、ポリオールと、イソシアネート基のブロック化剤との反応化合物であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
  5. 前記親水性表面を有する基材がアルミニウム板であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の印刷版材料。
  6. 前記親水性表面を有する基材が、粗面化されたアルミニウム板表面の凹部に親水性素材を有するアルミニウム板であることを特徴とする請求項5に記載の印刷版材料。
  7. 前記油溜り面積A2が2〜8の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至6に記載の印刷版材料。
  8. 請求項1乃至7に記載の印刷版材料を赤外線レーザーにより画像露光し、印刷機上で湿し水およびまたはインクを用いて現像を行い、印刷することを特徴とする印刷方法。
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