JP2007001112A - 平版印刷版材料及び画像形成方法 - Google Patents

平版印刷版材料及び画像形成方法 Download PDF

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JP2007001112A JP2005183073A JP2005183073A JP2007001112A JP 2007001112 A JP2007001112 A JP 2007001112A JP 2005183073 A JP2005183073 A JP 2005183073A JP 2005183073 A JP2005183073 A JP 2005183073A JP 2007001112 A JP2007001112 A JP 2007001112A
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昌二 西尾
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Abstract

【課題】 複雑なフイルムを介した画像露光を必要とせずに画像を記録ができ、耐刷性があり、感度及び解像度に優れた平版印刷版材料及びその製造方法の提供、又、画像を記録してから湿式現像処理を行わずに印刷する画像形成方法の提供。
【解決手段】 親水性支持体上に、シェルと軟化点が該シェルより40℃以上低いコアを有するコア/シェル構造微粒子、ブロック化イソシアネート化合物、イソシアネートと反応可能な基を有する親水性樹脂を含有する画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版材料。前記シェルの軟化点が60〜250℃、コアの軟化点が20〜200℃であること、前記コア/シェル構造微粒子が、イソシアネートと反応可能な基を有することは、共に好ましい態様である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、画像形成層に高分子微粒子(コア/シェル)粒子を含有する平版印刷版材料及び画像形成方法に関し、特に、ディジタル信号に基づいたレーザー光の走査露光によって画像を記録し、印刷機により現像できる平版印刷版材料、及びそれを用いる画像形成方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインクを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とから成る。従来の平版印刷版は、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けたPS版に、フイルムを介してマスク露光した後、非画像部を現像液によって溶解除去することにより製版するのが普通であった。近年では、コンピュータを用いて画像情報をデジタル情報として電子的に処理し、蓄積して出力する。従って、デジタル画像情報に応じた画像形成処理は、レーザ光の様な指向性の高い活性放射線を用いる走査露光により、フイルムを介することなく、平版印刷版材料に対して直接画像形成を行う所謂コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)が今後の主流となる。
又、従来のPS版では、露光後、非画像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠である。更に、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来のPS版の大きな検討課題となっている。
前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。環境への配慮からも、湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更するか、更には無処理化することが望ましい。
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの平版印刷版材料を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、平版印刷版材料の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。即ち、平版印刷版材料を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。このような機上現像に適した平版印刷版材料は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。従来のPS版では、このような要求を満足することは、実質的に不可能であった。
又、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷版材料が記載されている(例えば特許文献1を参照)。
上記、特許文献1の記載によると、製版において、赤外線レーザ露光して熱可塑性疎水性重合体微粒子を熱により合体(融着)させて画像形成した後、印刷機の版胴上に平版印刷版材料を取り付け、湿し水又はインクを供給することにより機上現像できる。この平版印刷版材料は感光域が赤外領域であることにより、明室での取扱い性も有している。
しかしながら、上記のような高分子重合体粒子を、露光によって生じる熱で融着、合体させる画像形成方法では、機上現像をし易くすると耐刷力が得難く、耐刷力を高めると機上現像性や印刷での汚れ難さが劣化するという、両立させるのが困難な問題があった。
特許2938397号公報
本発明の目的は、第1に、複雑なフイルムを介した画像露光を必要とせずに画像を記録でき、耐刷性があり、感度及び解像度に優れた平版印刷版材料を提供することにある。又、第2として、画像を記録してから湿式現像処理を行わずに印刷する画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
(請求項1)
親水性支持体上に、シェルと軟化点が該シェルより40℃以上低いコアを有するコア/シェル構造微粒子、ブロック化イソシアネート化合物、イソシアネートと反応可能な基を有する親水性樹脂を含有する画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版材料。
(請求項2)
シェルの軟化点が60〜250℃、コアの軟化点が20〜200℃であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版材料。
(請求項3)
コア/シェル構造微粒子が、イソシアネートと反応可能な基を有することを特徴とする請求項1又は2記載の平版印刷版材料。
(請求項4)
請求項1又は2記載の平版印刷版材料を画像状に加熱し、シェルを軟化させてシェル同士を融着させ、化学的に結合させる工程、そして、平版印刷版材料を水性媒体で処理し、加熱していない部分の画像形成層を除去する工程を経て画像を得ることを特徴とする画像形成方法。
(請求項5)
レーザー光で走査することで画像状に加熱することを特徴とする請求項4記載の画像形成方法。
本発明の平版印刷版材料は、複雑なフイルムを介した画像露光を必要とせずに画像を記録ができ、耐刷性があり、感度及び解像度に優れた効果を有する。又、本発明の画像形成方法は、画像を記録後、湿式現像処理を行わずに印刷できる優れた効果を有する。
以下、本発明の平版印刷版材料(以下、単に印刷版材料とも記す)について詳細に説明する。まず、印刷版材料の画像形成層が有する素材から順次説明する。
(コア/シェル構造微粒子)
まず、本発明の特徴であるコア/シェル構造微粒子(以下、コア/シェル微粒子とも記す)について説明する。
本発明のコア/シェル微粒子は、微粒子を形成するコアポリマーの軟化温度がシェルポリマーの軟化温度より40℃以上低いことが特徴である。上限値は150℃程度が好ましい。
シェルポリマーは60〜250℃の軟化温度を有することが好ましく、80〜120℃の軟化温度を有することが更に好ましい。コアポリマーは、20〜200℃の軟化温度を有することが好ましく、25〜65℃の軟化温度を有することが更に好ましい。
コア/シェル微粒子の平均粒径は60〜300nmであることが好ましく、80〜250nmが更に好ましい。粒子サイズ分布は、成る可く均一であることが好ましい。コア/シェルの質量比は0.01〜5であることが好ましく、0.03〜4が更に好ましい。2種類以上のコア/シェル微粒子を混合して用いてもよい。コア/シェル微粒子は、画像形成層に20〜99質量%含まれることが好ましく、50〜95質量%が更に好ましく、60〜90質量%含まれることが最も好ましい。
(コア)
本発明のコア/シェル微粒子のコアには、化学的に活性な物質を使用する。画像形成において、コアは、別のコア、親水性ポリマー及び親水性支持体の何れかと、化学的に結合する。この化学結合は、水素結合、イオン結合、配位結合及び共有結合の何れかである。化学結合は、外部のエネルギー(熱エネルギー、光エネルギー等)なしで形成される結合であることが好ましい。
水素結合の場合、化学的活性コアが水素(プロトン)供与性基及び水素受容性基の一方を有し、別のコア、親水性ポリマー及び親水性支持体の何れかが他方を有す。化学的活性コアが、水素供与性基及び水素受容性基の双方を有してもよい。水素供与性基の例には、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、1級アミノ基(−NH2)、二級アミノ基(−NRH)及びイミノ基(=NH)が含まれる。水素受容性基の例には、カルボニル基(>C=O)、エーテル基(−O−)及び3級アミノ基(−NR2)が含まれる。水素供与基−水素受容性基の組合せとしては、ヒドロキシル基−3級アミノ基、カルボキシル基−3級アミノ基及びヒドロキシル基−エーテル基が好ましい。ヒドロキシル基−3級アミノ基及びカルボキシル基−3級アミノ基が更に好ましく、フェノール性ヒドロキシル基−含窒素複素環中の3級アミノ基及びカルボキシル基−含窒素複素環中の3級アミノ基が最も好ましい。
イオン結合の場合、化学的活性コアがアニオン性基及びカチオン性基の一方を有し、別のコア、親水性ポリマー及び親水性支持体の何れかが他方を有す。化学的活性コアが、アニオン性基及びカチオン性基の双方を有していてもよい。アニオン性基の例には、スルホネート、カルボキシレート及びホスホネートが含まれる。カチオン性基の例には、アンモニウム基、ヨードニウム基、スルホニウム基及びホスホニウム基が含まれる。
配位結合の場合、化学的活性コアが配位子として機能する官能基を有し、親水性支持体がアルミニウム支持体であって、配位子として機能する官能基がアルミニウムと錯体を形成することが好ましい。配位子として機能する官能基の例には、1〜3級アミノ基、アンモニウム基、ピリジニウム基、ホスホン酸基及びその塩、硼酸基及びその塩、アセトアセチル基、フェノール性ヒドロキシル基、エポキシ基及びシロキサン基が含まれる。この中でも、アンモニウム基、ピリジニウム基、ホスホン酸基及びその塩、硼酸基及びその塩、アセトアセチル基、フェノール性ヒドロキシル基、エポキシ基及びシロキサン基が好ましく、アンモニウム基、アセトアセチル基、フェノール性ヒドロキシル基及びエポキシ基が更に好ましい。
共有結合の場合、化学的活性コアが以下に述べる化学反応成分の一方を官能基として有し、別のコア、親水性ポリマー及び親水性支持体の何れかが他方を官能基として有す。化学的活性コアが、双方の基を有してもよい。
(A)活性エステルと活性水素を含む基との反応、活性エステルの例にはN−ヒドロキシフタルイミドエステル、N−ヒドロキシ琥珀酸イミドエステル、p−ニトロフェニルエステル、p−クロロフェニルエステル、p−メトキシカルボニルフェニルエステル、p−スルホニウムフェニルエステル及びHCH(OCH3)COOCH3が含まれる。活性水素を含む基の例にはヒドロキシル、1〜2級アミノ、チオール、ヒドラジノ、ヒドラジド及びアミドの各基が含まれる。
(B)酸無水物と活性水素を含む基との反応、
(C)酸ハロゲン化物と活性水素を含む基との反応、
(D)求核反応により脱離する基と求核性基との反応、求核反応により脱離する基の例にはハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基及びアジド基が含まれる。求核性基の例にはヒドロキシル、アミノ、チオール、ヒドラジノ、ヒドラジド、アミド、スルフィド及びホスフィノの各基が含まれる。
(E)環内に不飽和結合を有する複素環基とカルボニル基との縮合反応、環内に不飽和結合を有する複素環の例にはN−アルキルインドール、N−アルキルピロール、N−アルキルイミダゾール、フラン及びオキサゾールが含まれる。
(F)環内に不飽和結合を有する複素環基とアセタール基との縮合反応、
(G)o−位に活性水素を有するフェノール基とo−位又はp−位にヒドロキシメチル基を有するフェノール基との縮合反応、
(H)o−位に活性水素を有するフェノール基とo−位又はp−位にヒドロキシメチル基を有するアニリノ基との縮合反応、
(I)カルボキシル基とN−メチロール基との縮合反応、
(J)カルボキシル基とN−アルコキシメチル基との縮合反応、
(K)カルボキシル基とカルボキシル基との縮合反応、(L)カルボキシル基と活性水素を含む基との縮合反応、
(M)活性水素を含む基とN−メチロール基との縮合反応、(N)活性水素を含む基とN−アルコキシメチル基との縮合反応、
(O)カルボニル基とヒドラジド基との縮合反応、
(P)1級アミノ基、ヒドラジノ基、ケチミン又はエステル基と活性水素原子を含む基との縮合反応、
(Q)ジアゾ基と活性メチレン基との反応、
(R)環状エーテル基と求核性基との反応、環状エーテル基の例にはエポキシ、オキセタン及びテトラヒドロフランが含まれる。求核性基の例にはヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、チオール、ヒドラジノ、ヒドラジド、アミド、スルフィド及びホスフィノの各基が含まれる。
(S)ビニルエーテル基とヒドロキシル基又はカルボキシル基との反応、
(T)ジエンとジエノフィルとのディールス−アルダー反応、
(U)エノンと求核性基とのマイケル付加反応、エノンの例にはアクリロイル及びメタクリロイルが含まれる。求核性基の例にはヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、チオール、ヒドラジノ、ヒドラジド、アミド、スルフィド及びホスフィノの各基が含まれる。
(V)イソシアネートと活性水素を含む基との反応、活性水素を含む基の例にはヒドロキシル、1〜2級アミノ、チオール、ヒドラジノ、ヒドラジド及びアミドの各基が含まれる。
好ましい反応は、
(A)活性エステルと活性水素を含む基との反応、
(D)求核反応により脱離する基と求核性基との反応、
(E)環内に不飽和結合を有する複素環基とカルボニル基との縮合反応、
(F)環内に不飽和結合を有する複素環基とアセタール基との縮合反応、
(G)o−位に活性水素を有するフェノール基とo−位又はp−位にヒドロキシメチル基を有するフェノール基との縮合反応、
(H)オルト位に活性水素を有するフェノール基とo−位又はp−位にヒドロキシメチル基を有するアニリン基との縮合反応、
(I)カルボキシル基とN−メチロール基との縮合反応、
(J)カルボキシル基とN−アルコキシメチル基との縮合反応、
(M)活性水素を含む基とN−メチロール基との縮合反応、
(N)活性水素を含む基とN−アルコキシメチル基との縮合反応、
(O)カルボニル基とヒドラジドとの縮合反応、
(Q)ジアゾ基と活性メチレン基との反応、
(R)環状エーテル基と求核性基との反応、
(T)ジエンとジエノフィルとのディールス−アルダー反応、
及び(V)イソシアネートと活性水素を含む基との反応である。
更に好ましい反応は、
(A)活性エステルと活性水素を含む基との反応、
(D)求核反応により脱離する基と求核性基との反応、
(E)環内に不飽和結合を有する複素環基とカルボニル基との縮合反応、
(F)環内に不飽和結合を有する複素環基とアセタール基との縮合反応、
(I)カルボキシル基とN−メチロール基との縮合反応、
(J)カルボキシル基とN−アルコキシメチル基との縮合反応、
(M)活性水素を含む基とN−メチロール基との縮合反応、
(N)活性水素を含む基とN−アルコキシメチル基との縮合反応、
(O)カルボニル基とヒドラジドとの縮合反応、
及び(T)ジエンとジエノフィルとのディールス−アルダー反応である。
最も好ましい反応は、
(A)活性エステルと活性水素を含む基との反応、
(I)カルボキシル基とN−メチロール基との縮合反応、
(J)カルボキシル基とN−アルコキシメチル基との縮合反応、
(M)活性水素を含む基とN−メチロール基との縮合反応、
(N)活性水素を含む基とN−アルコキシメチル基との縮合反応、
(O)カルボニル基とヒドラジドとの縮合反応、
及び(T)ジエンとジエノフィルとのディールス−アルダー反応である。
コアは、以上述べたような化学的に活性な官能基を有する化合物から成る。コアは化学的に活性な官能基を有するポリマーであることが好ましく、化学的に活性な官能基を側鎖に有するポリマーであることが更に好ましい。ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル及びそれらの組合せから選ばれることが好ましい。中でも、炭化水素主鎖が特に好ましい。化学的に活性な官能基は、主鎖に直結することができる。ただし、化学的に活性な官能基は、連結基を介して主鎖に結合する方が好ましい。
ポリマーの主鎖は、化学的に活性な官能基以外にも置換基を有することができる。置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、1価の脂肪族基、1価の芳香族基、1価の複素環基、−OR、−COR、−NHR、−N(R)2、−N+(R)3、−COOR、−OCOR、−CONHR、−CON(R)2及び−NHCORが含まれる。ここで、Rはそれぞれ1価の脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。置換基が複数のRが含む場合、複数のRは互いに異なってもよい。カルボキシル基及びスルホ基は、水素原子が解離しても、塩の状態でもよい。主鎖の複数の置換基が結合して、脂肪族環又は複素環を形成してもよい。形成される環は、主鎖とスピロ結合の関係であってもよい。形成される環は置換基を有してもよく、該置換基の例には、上記主鎖の置換基に加えて、オキソ基(=O)が含まれる。又、主鎖の複数の置換基が結合して架橋構造を形成してもよい。
脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有してもよく、不飽和結合を有してもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜40であることが好ましく、1〜30であることがより好ましく、1〜20が更に好ましく、1〜15が特に好ましく、1〜12が最も好ましい。
脂肪族基は置換基を有していてもよ、置換基の例にはハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、1価の芳香族基、1価の複素環基、−OR、−COR、−NHR、−N(R)2、−N+(R)3、−COOR、−OCOR、−CONHR、−CON(R)2及び−NHCORが含まれる。上記Rは、それぞれ、1価の脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。カルボキシル基及びスルホ基は、水素原子が解離しても、塩の状態になってもよい。
芳香族基は、ベンゼン環又はナフタレン環を有することが好ましい。又、置換基を有してもよく、該置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、それぞれ1価の脂肪族基、芳香族基又は複素環基、−OR、−COR、−NHR、−N(R)2、−N+(R)3、−COOR、−OCOR、−CONHR、−CON(R)2及び−NHCORが含まれる。上記Rは、それぞれ1価の脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。カルボキシル基及びスルホ基は、水素原子が解離しても、塩の状態になってもよい。複素環基は3〜7員環を有することが好ましく、不飽和結合を有してもよい。複素環の例には、ピペリジン環及びピペラジン環が含まれる。複素環基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、芳香族基の置換基と同様である。
ポリマーが炭化水素主鎖を有する場合、下記式(I)で表される化学的に活性な官能基を含む繰返し単位を有することが好ましい。
Figure 2007001112
式中、R1は水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、カルボキシル基又は炭素原子数が2〜11のアルコキシカルボニル基である。R1は水素原子、炭素原子数が1〜6のアルキル基、カルボキシル基又は炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基であることが好ましく、水素原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、カルボキシル基又は炭素原子数が2〜4のアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であることが更に好ましく、水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。
1は、単結合又は2価の連結基である。L1は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−、−S−、−CO−、−CS−、−NH−及びそれらの組合せから成る2価の連結基であることが更に好ましい。脂肪族基、芳香族基及び複素環基の定義及び例は、前述した通りである。Xは化学的に活性な官能基である。
コアに用いるポリマーとして、化学的に活性な官能基を含む繰返し単位のみから成るホモポリマーを用いることができる。又、化学的に活性な官能基を含む繰返し単位が2種類以上から成るコポリマーを用いることができる。化学的に活性な官能基を含む繰返し単位と化学的に活性な官能基を含まない繰返し単位とのコポリマーを用いることもできる。以下に、ポリマーを構成する繰返し単位の例を示す。
Figure 2007001112
Figure 2007001112
Figure 2007001112
Figure 2007001112
Figure 2007001112
Figure 2007001112
Figure 2007001112
Figure 2007001112
Figure 2007001112
化学的に活性な官能基を含む繰返し単位と化学的に活性な官能基を含まない繰返し単位とを組み合わせる場合、化学的に活性な官能基を含む繰返し単位/化学的に活性な官能基を含まない繰返し単位の割合は、モル比で0.1/99.9〜99.8/0.2であることが好ましく、0.2/99.8〜99/1がより好ましく、0.5/99.5〜95/5が更に好ましく、1/99〜80/20が更に又好ましく、2/98〜49/51であることが最も好ましい。
以下にコポリマーの例を示す。括弧内の番号は、繰返し単位の例示番号に相当する。繰返し単位の割合はモル比(%)である。
CP−1:−(9)25− −(201)75−,
CP−2:−(4)30− −(102)70−,
CP−3:−(8)25− −(19)75−,
CP−4:−(8)50− −(201)50−,
CP−5:−(17)20− −(20)80−,
CP−6:−(8)50− −(17)50−,
CP−7:−(8)50− −(21)50−,
CP−8:−(8)50− −(22)50−,
CP−9:−(23)60− −(136)40−,
CP−10:−(8)20− −(135)80−,
CP−11:−(24)20− −(243)80−,
CP−12:−(1)30− −(201)70−,
CP−13:−(26)30− −(201)70−,
CP−14:−(27)30− −(201)70−,
CP−15:−(34)95− −(35)5−,
CP−16:−(102)40− −(209)60−,
CP−17:−(101)80− −(103)20−,
CP−18:−(9)25− −(201)75−,
CP−19:−(40)50− −(248)50−,
CP−20:−(41)50− −(201)50−,
CP−21:−(243)80− −(248)20−,
CP−22:−(104)80− −(211)20−,
CP−23:−(43)30− −(201)70−,
CP−24:−(44)30− −(202)70−,
CP−25:−(48)50− −(110)50−,
CP−26:−(50)50− −(51)50−,
CP−27:−(52)20− −(201)80−,
CP−28:−(53)25− −(120)75−,
CP−29:−(54)25− −(101)75−,
CP−30:−(1)20− −(201)80−,
CP−31:−(13)30− −(201)70−,
CP−32:−(56)50− −(110)50−,
CP−33:−(57)80− −(201)20−,
CP−34:−(58)50− −(201)50−,
CP−35:−(59)50− −(104)50−,
CP−36:−(60)50− −(61)50−,
CP−37:−(61)50− −(201)50−,
CP−38:−(51)20− −(62)80−,
CP−39:−(40)50− −(110)50−,
CP−40:−(63)30− −(201)70−,
CP−41:−(64)80− −(201)20−,
CP−42:−(65)50− −(104)50−,
CP−43:−(66)50− −(67)50−,
CP−44:−(8)80− −(109)20−,
CP−45:−(68)80− −(69)20−,
CP−46:−(70)50− −(110)50−,
CP−47:−(71)80− −(201)20−,
CP−48:−(61)50− −(72)50−,
CP−49:−(75)20− −(201)80−,
CP−50:−(74)25− −(201)75−,
CP−51:−(76)20− −(201)80−。
コアに用いるポリマーは、前述した繰返し単位に対応するモノマー(一般に、エチレン性不飽和モノマー)の重合反応(ラジカル重合反応)によって合成できる。化学的に活性な官能基は、主鎖ポリマーの合成後に導入してもよい。コアに用いるポリマーは、架橋構造を有してもよい。架橋構造は、多官能モノマー(例えば、エチレン性不飽和基を2個以上有するモノマー)を用いることで、ポリマーに導入できる。多官能モノマーの例には、エチレングリコールジメタクリレート及びジビニルベンゼンが含まれる。コアに用いる架橋ポリマーは、80〜200℃の軟化温度を有することが好ましい。重合は、乳化重合反応であることが好ましい。乳化重合反応であると、ポリマーの合成と同時にコア微粒子を形成することができる。乳化重合反応は、ラテックスの製造に一般に用いられている反応条件を採用すればよい。均質な微粒子を形成するため、乳化重合反応において界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤に分類される。
アニオン性界面活性剤には、カルボン酸塩(ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(オクチル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等)、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム等)及び燐酸エステル塩(ラウリル燐酸ナトリウム等)が含まれる。アニオン性界面活性剤は、アニオン性基に加えてノニオン親水性基を有してもよい。ノニオン親水性基を有するアニオン性界面活性剤には、ポリエチレングリコール硫酸エステル塩(2,4,6−トリ(sec−ブチル)フェニルポリエチレングリコールエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルポリエチレングリコールエーテル硫酸ナトリウム、オクチルポリエチレングリコールエーテル硫酸ナトリウム、ヘプタデシルポリエチレングリコールエーテル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコールエーテル硫酸アンモニウム等)、ポリエチレングリコールスルホン酸塩(p−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニルポリエチレングリコールスルホン酸ナトリウム、ドデシルポリエチレングリコールエーテルスルホ琥珀酸ジナトリウム等)及びポリエチレングリコール燐酸エステル(ドデシルポリエチレングリコールエステルホスフェート、ジ(ドデシルポリエチレングリコールエステル)ホスフェート等)が含まれる。
カチオン性界面活性剤には、アミン塩(ラウリルアミン硫酸塩、ステアリルアミン硫酸塩等)、ピリジニウム塩(セチルピリジニウムクロライド等)及び4級アンモニウム塩(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレイト等)が含まれる。カチオン性界面活性剤は、カチオン性基に加えてノニオン親水性基を有してもよい。ノニオン親水性基を有するカチオン性界面活性剤には、ポリエチレングリコール4級アンモニウム塩などが挙げられる。
ノニオン界面活性剤には、ソルビタンエステル(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート等)、ポリエチレングリコールエーテル(ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリエチレングリコールオクタデセニルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールポリ(トリメチレン)グリコールエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールエチニルエーテル、ポリエチレングリコール・p−(1−i−ブチル−3−メチルブチル)フェニルエーテル、ポリエチレングリコール・2,4,6−トリ(sec−ブチル)フェニルエーテル、2,4,7,9−テトラメチル−デカン−5−イン−4,7−ジ(ポリエチレングリコール)エーテル等)、ポリエチレングリコールエステル(ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールオレエート、ポリエチレングリコールジステアレート等)、ソルビタンモノエステルトリ(ポリエチレングリコール)エーテル(ソルビタン−6−ラウレート−2,3,4−トリ(ポリエチレングリコール)エーテル、ソルビタン−6−ステアレート−2,3,4−トリ(ポリエチレングリコール)エーテル等)、ポリエチレングリコールアミン(ジ(ポリエチレングリコール)ドデシルアミン、ジ(ポリエチレングリコール)オクタデシルアミン等)、ソルビトールポリエチレングリコールエーテル(ソルビトール−1,2,3,4−テトラ(ポリエチレングリコールステアレート)−5,6−ジ(ポリエチレングリコール)エーテル等)及びポリエチレングリコールアミド(N,N−ジ(ポリエチレングリコール)ラウリルアミド、N,N−ジ(ポリエチレングリコール)ステアリリルアミド等)が含まれる。
両性界面活性剤は、アニオン性基とカチオン性基とを有する。両性界面活性剤には、ベダインエステル(ジメチルラウリルベダイン等)が含まれる。
ノニオン界面活性剤、ノニオン性基を有するアニオン性界面活性剤及びノニオン性基を有するカチオン性界面活性剤が好ましい。2種類以上の界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤の使用量は、モノマー総量の0.01〜10質量%であることが好ましい。重合反応は、重合開始剤(連鎖移動剤)を用いることが好ましい。重合開始剤の使用量は、モノマー総量の0.05〜10質量%であることが好ましい。
コア微粒子の平均粒径は、12〜150nmであることが好ましく、16〜125nmであることが更に好ましい。粒子サイズ分布は、成る可く均一であることが好ましい。コア微粒子を形成するポリマーは、20〜200℃の軟化温度を有することが好ましく、25〜65℃の軟化温度を有することが更に好ましい。
(シェル)
シェルポリマーは60〜250℃の軟化点を有することが好ましく、80〜120℃の軟化点を有することが更に好ましい。シェルポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル及び、それらの組合せから選ばれることが好ましい。炭化水素主鎖が特に好ましい。
シェルポリマーの主鎖は、ポリマー全体が疎水性である範囲内で、置換基を有することができる。置換基の例にはハロゲン原子、シアノ基、それぞれ1価の脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR、−COR、−NHR、−N(R)2、−N+(R)3、−COOR、−OCOR、−CONHR、−CON(R)2及び−NHCORが含まれる。上記Rは、それぞれ1価の脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。置換基が複数のRが含む場合、複数のRは互いに異なってもよい。カルボキシル基、スルホ基、硫酸エステル基、ホスホノ基及び燐酸エステル基は、水素原子が解離しても、塩の状態になってもよい。又、主鎖の複数の置換基が結合して、脂肪族環又は複素環を形成してもよい。形成される環は、主鎖とスピロ結合の関係になってもよい。形成される環は置換基を有してもよく、置換基の例には、上記主鎖の置換基に加えてオキソ基(=O)が含まれる。
シェルポリマーが炭化水素主鎖を有する場合、下記式(II)で表される繰返し単位を有することが好ましい。
Figure 2007001112
式中、R2は、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、カルボキシル又は炭素原子数が2〜11のアルコキシカルボニル基である。R2は、水素原子、炭素原子数が1〜6のアルキル基、カルボキシル基又は炭素原子数が2〜7のアルコキシカルボニル基であることが好ましく、水素原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、カルボキシル基又は炭素原子数が2〜4のアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であることが更に好ましく、水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。
2は、−O−又は−N(−R4)−である。R3及びR4は各々、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。脂肪族基、芳香族基及び複素環基の定義及び例は、微粒子のコアで説明した通りである。
シェルポリマーの繰返し単位の例は、微粒子のコアで説明した繰返し単位の例(101)〜(140)及び(201)〜(252)と同様である。シェルポリマーとして2種類以上の繰返し単位から成るコポリマーを用いることもできる。以下に、2種類の繰返し単位から成るコポリマーの例を示す。括弧内の番号は、微粒子のコアで説明した繰返し単位の例示番号に相当する。繰返し単位の割合はモル比(%)である。
CP−101:−(102)70− −(110)30−,
CP−102:−(102)80− −(104)20−,
CP−103:−(102)60− −(112)40−,
CP−104:−(102)95− −(140)5−,
CP−105:−(102)50− −(201)50−,
CP−106:−(102)90− −(212)10−,
CP−107:−(102)80− −(207)20−,
CP−108:−(201)90− −(101)10−,
CP−109:−(201)80− −(104)20−,
CP−110:−(201)80− −(110)20−,
CP−111:−(201)90− −(112)10−,
CP−112:−(201)90− −(139)10−,
CP−113:−(201)95− −(126)5−,
CP−114:−(201)80− −(204)20−,
CP−115:−(201)80− −(203)20−,
CP−116:−(201)50− −(207)50−,
CP−117:−(209)80− −(104)20−,
CP−118:−(209)70− −(106)30−,
CP−119:−(209)70− −(112)30−,
CP−120:−(209)80− −(207)20−。
シェルポリマーは、前述した繰返し単位に対応するモノマー(一般にエチレン性不飽和モノマー)の重合反応(ラジカル重合反応)によって合成できる。シェルは、重合反応によりコア微粒子上に直接形成できる。均質な微粒子を形成するため、シェル形成においては、コア形成と同様に界面活性剤を使用することが好ましい。好ましい界面活性剤は、コア形成において説明した界面活性剤と同様である。2種類以上の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、モノマーの総量の0.01〜10質量%であることが好ましい。重合反応には、重合開始剤(連鎖移動剤)を用いることが好ましい。重合開始剤の使用量は、モノマー総量の0.05〜10質量%であることが好ましい。
シェルポリマーは、20〜200℃の軟化温度を有することが好ましく、25〜65℃の軟化温度を有することが更に好ましい。
(ブロック化イソシアネート化合物)
本発明に係る画像形成層はブロック化イソシアネート化合物を含み、加熱された部分はブロック化イソシアネート化合物のブロック剤が解離し、イソシアネート基が生成されポリオールの未反応水酸基や支持体と反応し、インキ着肉性である画像部となる。
画像形成層中のブロックイソシアネート化合物の含有量は50質量%以上であることが好ましく、更に70〜100質量%が好ましく、特に80〜100質量%が好ましい。
本発明に係る画像形成層は、ブロック化イソシアネート化合物を含有する水系画像形成層用塗布液を塗布して形成されたものである。水系画像形成層用塗布液とは、塗布液の溶媒の95質量%以上が水である塗布液を言う。
ブロック化イソシアネート化合物が塗布液中に含有される状態としては、散物として含有される状態が好ましい。即ち水系画像形成層用塗布液は、ブロック化イソシアネート化合物の水分散物である態様が好ましい。
本発明のブロック化イソシアネート化合物は、イソシアネート化合物とポリオールとイソシアネート基のブロック化剤との反応化合物である。
(イソシアネート化合物)
上記イソシアネート化合物は、イソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、芳香族ポリイソシアネート[ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等];脂肪族ポリイソシアネート[1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)等];脂環式ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート等];芳香脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等];これらの変性物(ビューレット基、イソシアヌレート基、カルボジイミド基、オキサゾリジン基含有変性物など);及びこれらのポリイソシアネートと分子量50〜5,000の活性水素含有化合物から成る末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーが挙げられる。
又、特開平10−72520号に記載のポリイソシアネート化合物も、好ましく用いることができる。
上記の中では、特にトリレンジイソシアネートが、反応性が速く好ましい。
(ブロック化剤)
ブロック化剤は、イソシアネート基に付加反応し、ウレタン結合、ウレア結合を生ずる基を有する化合物であり、例えばメタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤;フェノール、クレゾール等のフェノール系ブロック剤;ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、メチルエチルケトキシム、メチル−i−ブチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック剤;アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系ブロック剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル等の活性メチレン系ブロック剤;ブチルメルカプタン等のメルカプタン系ブロック剤;琥珀酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;イミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;尿素、チオ尿素などの尿素系ブロック剤;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤;ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系ブロック剤などが挙げられる。これらの中では、特にオキシム系ブロック剤を用いることが好ましい。
ブロック化剤の付加量としては、ブロック化剤中の活性水素基と後述のポリオールの活性水素基とを合わせてイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.0〜1.1当量となるように含有させることが好ましい。1.0当量未満では未反応のイソシアネート基が残存し、又、1.1当量を超えるとブロック剤等が過剰となり好ましくない。
ブロック化剤の解離温度としては、80〜200℃であることが好ましく、80〜160℃であることがより好ましく、80〜130℃が更に好ましい。
(ポリオール)
本発明に係るブロック化イソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のポリオール付加物である。
ポリオールを付加させることにより、ブロック化イソシアネート化合物の保存安定性を向上させることができる。又、加熱して画像を形成した際の画像強度が向上し、耐刷性が向上する。
ポリオールとしては、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、ソルビトール、蔗糖などの多価アルコール;これらの多価アルコールあるいはポリアミンにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを、あるいは両者を付加重合して得られるポリエーテルポリオール類;ポリテトラメチレンエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール類、更に、上記多価アルコールと例えばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸などの多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール類;ポリブタジエンポリオール類、アクリルポリオール類、ヒマシ油、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールにビニルモノマーをグラフトして得られるポリマーポリオール類、エポキシ変性ポリオール類などが挙げられる。
これらの中では、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、ソルビトール等、分子量50〜5000のポリオールを好ましく使用することができ、特に分子量50〜500程度の低分子量ポリオールをより好ましく使用できる。
ポリオールの付加量としては、前述のようにポリオールとブロック化剤とを合わせた活性水素の量が、イソシアネート化合物のイソシアネート基に対して1.0〜1.1当量が好ましいが、ポリオール中の水酸基がイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して0.1〜0.9当量となるような範囲が好ましく、特に0.2〜0.7当量の範囲においてブロック化イソシアネート化合物の保存安定性が向上する。
(ブロック化方法)
イソシアネート化合物のブロック化方法としては、例えば、イソシアネート化合物を無水の条件下、不活性ガス雰囲気下で40〜120℃程度に加温し、攪拌しながらブロック化剤を所定量滴下して混合し、攪拌を続けながら数時間かけて反応させるという方法が挙げられる。この際、何らかの溶媒を用いることもできる。又、公知の触媒、例えば有機金属化合物、第3級アミン、金属塩等を用いることもできる。
有機金属触媒としては、例えばスタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等の錫系触媒、2−エチルヘキサン酸鉛などの鉛系触媒などが、第3級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタン等が、金属塩触媒としては、例えばナフテン酸コバルト、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸鉛酸化リチウム等が挙げられる。
これらの触媒の使用量は、ポリイソシアネート組成物100質量部に対し、通常、0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
本発明のブロック化イソシアネート化合物は、ポリオールとの化合物でもあるため、ブロック化剤及びポリオールをイソシアネート化合物と反応させるが、先にイソシアネート化合物とポリオールとを反応させた後に、残ったイソシアネート基とブロック化剤とを反応させてもよく、又、先にイソシアネート化合物とブロック化剤とを反応させた後に、残ったイソシアネート基とポリオールとを反応させてもよい。
ブロック化イソシアネート化合物の好ましい平均分子量としては、重量平均分子量で500〜2000であることが好ましく、600〜1000であることがより好ましい。この範囲で反応性と保存安定性とのバランスが良好となる。
(ブロック化イソシアネート化合物水分散物の製造)
上述のようにして得られたブロック化イソシアネート化合物は、例えば界面活性剤と水とを加えて、ホモジナイザ等を用いて強力に混合攪拌することで水分散物とすることができる。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、琥珀酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のノニオン系界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタインの塩などのアルキルベタイン型の塩;ラウリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン等のアミノ酸型の両界面活性剤などを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中ではノニオン界面活性剤が好ましい。
ブロック化イソシアネート化合物の水分散物の固形分としては、10〜80質量%であることが好ましい。界面活性剤の添加量としては、水分散物の固形分中の0.01〜20質量%であることが好ましい。イソシアネート化合物のブロック化反応等に有機溶媒を用いた場合には、水分散物としてから有機溶媒を除去することもできる。
(支持体)
平版印刷版材料の支持体としては、印刷版の支持体として使用される公知の材料を使用することができる。例えば金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合支持体などが挙げられる。支持体の厚さとしては、印刷機に取付け可能であれば特に制限されないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱い易いので好ましい。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
本発明に用いる支持体としては、特にPET、PENが好ましい。これらプラスチックフィルムは、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
又、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機又は無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
又、支持体裏面の滑り性を制御する(版胴表面との摩擦係数を低減させるなど)目的で、裏面コート層を設けた支持体も好ましく使用することができる。以下に一例を挙げる。
(プラズマ処理)
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学社製:AP−I−H−340)を用いて、高周波出力4.5kW、周波数5kHz、処理時間5秒、及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比を、それぞれ90%及び5%で、プラズマ処理を行った。
(熱処理)
1.25m幅にスリットした後の支持体に対し、張力2hPaで180℃、1分間の低張力熱処理を実施した。
(印刷版材料の作製)
親水性層を塗設する直前に、下引き済み支持体1に対し、100℃で30秒間熱処理を加えて乾燥させ、防湿シートでカバーをして空気中の湿度が入らないようにした。支持体試料の一部をサンプリングして水分率測定をしたところ、支持体1は0.2%であった。カバーをしたものについてはシートを除去後、直ぐに塗布を行った。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は、通常、その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するために、アルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては、特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。又、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。例えば、珪酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行う方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。又、陽極酸化処理と上記浸漬又は塗布処理を組み合わせて使用することもできる。又、公知の方法で粗面化されたアルミニウム支持体、所謂アルミ砂目を親水性表面を有する支持体として使用することもできる。
以下、アルミ砂目について詳細に述べる。
本発明の平版印刷版材料の支持体に使用されるアルミニウム支持体には、純アルミニウム及びアルミニウム合金より成る支持体が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
アルミニウム支持体は、粗面化に先立ってアルミニウム表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、水酸化ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。
脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合には、燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電気化学的粗面化を行う場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
化学的粗面化は、脱脂処理と同様に水酸化ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いる。処理後には燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し、中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電気化学的粗面化を行う場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
機械的粗面化法は特に限定されないが、ブラシ研磨、ホーニング研磨が好ましい。
ブラシ研磨では、例えば毛径0.2〜1mmのブラシ毛を植毛した円筒状ブラシを回転し、接触面に研磨材を水に分散させたスラリーを供給しながら、支持体表面に押し付け粗面化を行う。
ホーニング研磨では、研磨材を水に分散させたスラリーをノズルより圧力を掛けて射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行う。研磨材としては、火山灰、アルミナ、炭化珪素等の一般に研磨に使用されるものが挙げられ、その粒度は#200〜#2000、好ましくは#400〜#800である。
機械的に粗面化された支持体は、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、アルミニウム屑等を取り除いたり、ピット形状をコントロールする等のために、酸又はアルカリの水溶液に浸漬して表面をエッチングすることが好ましい。酸としては、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でも、アルカリの水溶液を用いるのが好ましい。アルカリの水溶液で浸漬処理を行った場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あるいは、それらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
中和処理の次に電気化学的粗面化を行う場合は、中和に使用する酸を電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましく、又、中和処理の次に陽極酸化処理を行う場合は、中和に使用する酸を陽極酸化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
電気化学的粗面化は、一般に酸性電解液中で交流電流を用いて粗面化を行う。酸性電解液は、通常、電気化学的粗面化法に用いられるものが使用できるが、塩酸系又は硝酸系電解液を用いるのが好ましく、本発明での分割電解処理には、塩酸系電解液を用いるのが特に好ましい。電解に使用する電源波形は、矩形波、台形波、鋸波等、様々な波形を用いることができるが、特に正弦波が好ましい。
硝酸系電解液を用いての電気化学的粗面化において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。電気量は、全処理工程を合計して100〜2000C/dm2、好ましくは200〜1500C/dm2、より好ましくは200〜1000C/dm2である。温度は10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、硼酸、酢酸、蓚酸等を加えることが出来る。
塩酸系電解液を用いての電気化学的粗面化において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。電気量は全処理工程を合計して、100〜2000C/dm2が好ましく、200〜1000C/dm2が更に好ましい。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、硼酸、酢酸、蓚酸等を加えることが出来る。
又、特開平10−869号に記載されるような、電気化学的粗面化を複数回に分割して行う方法も好ましく用いることができる。
電気化学的に粗面化された支持体は、表面のスマット等を取り除いたり、ピット形状をコントロールしたりする等のために、酸又はアルカリの水溶液に浸漬して表面をエッチングすることが好ましい。
酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。上記をアルカリの水溶液で浸漬処理を行った場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に陽極酸化処理を行なう場合は、中和に使用する酸を陽極酸化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
粗面化処理の次に、陽極酸化処理を行い、続いて、封孔処理、親水化処理を行う。本発明で用いられる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理により支持体上には酸化皮膜が形成される。本発明において、陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50質量%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に米国特許1,412,768号に記載される硫酸中で高電流密度で電解する方法や、米国特許3,511,661号に記載される燐酸を用いて電解する方法等を用いることができる。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ナトリウム処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等、公知の方法を用いて行うことができる。
(塩酸電解砂目)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い、水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行った。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2とし、合計で480C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。尚、各回の粗面化処理の間に5秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマットを含めた溶解量が1.2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10質量%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。次いで、20質量%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、更に水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた1質量%の燐酸2水素ナトリウム水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、支持体1を得た。支持体1の表面粗さ(Ra)は460nmであった(WYKO社製:RST Plusを使用し、40倍で測定)。
次に、親水性層(アンカー層も同様)に係る素材について説明する。
(無機バインダ)
親水性層に用いられる親水性素材としては、金属酸化物が好ましい。金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。例えばコロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でもよい。微粒子の平均粒径としては3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理が為されてもよい。
金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても、良好な強度を得ることができる。
上記コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、更に、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
ネックレス状コロイダルシリカとは、1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称である。本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは、1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味する。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。
ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業社製の「スノーテックス−PS」シリーズ等が挙げられる。製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、層の多孔質化材として好ましく使用できる。
これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、又、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
又、コロイダルシリカは、粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては、日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは、前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性を維持しながら、強度を更に向上させることが可能となり、特に好ましい。平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
本発明の親水性層には、その他の添加素材として、珪酸塩水溶液も使用することができる。珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムといったアルカリ金属珪酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率は、珪酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが、無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
(有機−無機バインダ)
又、金属アルコキシドを用いた、所謂ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載される、又は本書に引用される文献に記載の公知の方法を使用することができる。
(有機バインダ)
親水性層中には親水性有機樹脂を含有させてもよい。この親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
又、カチオン性樹脂を含有しても9く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等の様なポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加してもよい。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
本発明のより好ましい態様としては、親水性層中に含有される親水性有機樹脂は水溶性であり、かつ、少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが挙げられる。水溶性の素材であっても、架橋剤等によって架橋し、水に不溶の状態になると、その親水性は低下して印刷性能を劣化させる懸念がある。
親水性層に含有される水溶性素材としては糖類が好ましい。親水性層に糖類を含有させることにより、後述する画像形成能を有する機能層との組合せにおいて、画像形成の解像度を向上させたり、耐刷性を向上させたりする効果が得られる。糖類としては、後に詳細に説明するオリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、澱粉類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン等が使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布・乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することが、より良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さ等)は、アルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
凹凸構造のピッチとしては0.2〜30μmであることがより好ましく、0.5〜20μmであることが更に好ましい。又、ピッチの大きな凹凸構造の上に、それよりもピッチの小さい凹凸構造が形成されているような多重構造の凹凸構造が形成されてもよい。表面粗さとしては、Raで100〜1000nmが好ましく、150〜600nmがより好ましい。
又、親水性層の膜厚としては0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μm、更に好ましくは0.5〜3μmである。
(フィラー類)
フィラーとして、多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子が好ましい。
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法では、珪酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得られる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は、製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子は、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば特開平10−71764号に記載される方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時に、その他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも、本発明に使用できる。これらの複合体粒子も、製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上がより好ましく、1.8〜2.5ml/gであることが更に好ましい。
細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって、印刷時に汚れ難く、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため、塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が1.0ml/g未満の場合には、印刷時の汚れ難さ、水量ラチチュードの広さが不充分となる。
粒径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると、親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残り易くなり非画線部汚れやブランケット汚れが発生する場合がある。
ゼオライトは結晶性のアルミノ珪酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい3次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
(M1、M21/2m(AlmSin2(m+n))・xH2
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4+(TMA)、Et4+(TEA)、Pr4+(TPA)、C7152 +、C816+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8182 2+等である。又、n≧mであり、m/nの値、つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
ゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又、粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si1248)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで、親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れ難く、水量ラチチュードも広くなる。又、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
多孔質無機粒子の粒径としては、親水性層に含有されている状態で、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
又、本発明の印刷版材料の親水性層は、金属酸化物として層状粘土鉱物粒子を含んでもよい。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物、及びハイドロタルサイト、層状ポリ珪酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。
中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成弗素雲母は、粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成弗素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が20μm以下であり、又、平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒径が5μm以下で、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましく、平均粒径が1μm以下で、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入り難く、乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。又、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲を外れると、引掻きによる傷抑制効果が低下する場合がある。又、アスペクト比が20μm未満である場合、柔軟性が不充分となり、同様に引掻きによる傷抑制効果が低下する場合がある。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
特に膨潤性合成弗素雲母やスメクタイトは、少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作製した後、塗布液に添加することが好ましい。
(その他の含有可能な素材)
本発明の親水性層(の塗布液)には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
又、親水性層は燐酸塩を含むことができる。本発明では、親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、燐酸塩としては燐酸三ナトリウムや燐酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。燐酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。燐酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
(画像形成層)
本発明の画像形成層の好ましい態様の一つとして、画像形成層が疎水化前駆体を含有する態様が挙げられる。
(疎水化前駆体微粒子)
疎水化前駆体としては、熱によって親水性(水溶性又は水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマーを用いることができる。具体的には、例えば特開2000−56449に開示される、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができるが、本発明においては、疎水化前駆体としては、熱可塑性疎水性粒子もしくは疎水性物質を内包するマイクロカプセルを用いることが好ましい。
熱可塑性微粒子としては、後述する熱溶融性微粒子及び熱融着性微粒子を挙げることができる。
上記熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40〜120℃、融点60〜150℃であることが好ましく、軟化点40〜100℃、融点60〜120℃が更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800〜10000程度のものである。又、乳化し易くするために、これらのワックスを酸化し、ヒドロキシル基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるために、これらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、椰子脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミド等を添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦傷等による印刷汚れ耐性が向上する。
熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりし易くなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱溶融性微粒子は、内部と表層との組成が連続的に変化したり、もしくは異なる素材で被覆されてもよい。この被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
画像形成層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体量の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。
本発明の熱融着性微粒子として、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えばポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類;ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体;酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらの内、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体から成るものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を溜去して微粒子化する方法等が挙げられる。
何れの方法においても、必要に応じて、重合あるいは微粒子化の際に、分散剤、安定剤としてラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。
熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱融着性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱融着性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりし易くなり、機上現像が不十分になって地汚れの懸念が生じる。又、熱融着性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
熱融着性微粒子は、内部と表層との組成が連続的に変化したり、もしくは異なる素材で被覆されてもよい。被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
画像形成層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体量の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。平版印刷版材料に用いられるマイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や同2002−19317号に記載される疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均粒径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmが更に好ましい。マイクロカプセルの壁の厚さは、粒径の1/100〜1/5であることが好ましく、1/50〜1/10であることがより好ましい。マイクロカプセルの含有量は、画像形成層全量の5〜100質量%であり、20〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることが更に好ましい。
マイクロカプセルの壁材となる素材、及びマイクロカプセルの製造方法は、公知の素材及び方法を用いることができる。例えば「新版マイクロカプセル その製法・性質・応用」(近藤保、小石真純著/三共出版社発行)に記載されるか、引用されている文献に記載されている公知の素材及び方法を用いることができる。
(バインダ)
画像形成層には、バインダとして水溶性樹脂、水分散性樹脂を含有させることができる。水溶性樹脂、水分散性樹脂としては、オリゴ糖、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。これらの中では、オリゴ糖、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(ナトリウム塩等)、ポリアクリルアミドが好ましい。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
多糖類としては、澱粉類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン等が使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(ナトリウム塩等)、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜500万であることが好ましく、5000〜100万であることがより好ましい。
(その他の素材)
画像形成層には、後述の光熱変換素材を含有させることができる。画像形成層は一部が機上現像されるため、可視光での着色の少ない素材を用いることが好ましく、色素を用いることが好ましい。
画像形成層には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全量(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。更に、pH調整のための酸(燐酸、酢酸等)又はアルカリ(水酸化ナトリウム、珪酸塩、燐酸塩等)を含有していても良い。
(光熱変換素材)
光熱変換剤として、赤外吸収色素(IR色素)、顔料が使用できる。
一般的なIR色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。又、特開平11−240270号、同11−265062号、特開2000−309174号、同2002−49147号、同2001−162965号、同2002−144750号、同2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば如何なる金属でも使用することができる。形状としては球状、片状、針状等、何れの形状でもよい。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、又は素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄や2種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)等が挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換剤の内、黒色酸化鉄や2種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が、より好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄(Fe34)としては、平均粒子径0.01〜1μmであり、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは8面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。このような黒色酸化鉄粒子としては、例えばチタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。又、8面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
更に、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒径0.2〜0.3μm)、8面体形状粒子:ABL−207A(粒径0.2μm)が挙げられる。
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる2種以上の金属から成る複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号、同9−25126号、同9−237570号、同9−241529号、同10−231441号等に開示される方法により製造することができる。
複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系又はCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号に開示される処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は、添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。
従って、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
(画像形成)
本発明の一つの態様である印刷版材料の画像形成は、熱により行うことができるが、特に赤外線レーザーによる露光によって画像形成を行うのが好ましい。より具体的には、赤外及び/又は近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
本発明の走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、
(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に1本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、
(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から1本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、
(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から1本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。
本発明に関しては特に(3)の走査露光方式が好ましく、特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
(機上現像方法)
本発明の平版印刷版材料の好ましい態様である、赤外線レーザー熱溶融・熱融着方式の平版印刷版材料の画像形成層は、赤外線レーザー露光部が親油性の画像部となり、未露光部の層が除去されて非画像部となる。未露光部の除去は、水洗によっても可能であるが、印刷機上で湿し水及び又はインクを用いて除去する、いわゆる機上現像することも十分に可能である。
印刷機上での画像形成層の未露光部の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、又は、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。又、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、あるいは無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いでインクローラーを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1〜数十回転させ、次いで印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を〜数十回転させ、次いで印刷を開始する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
〈コア/シェル構造微粒子の調製1〉
1リットルの三口フラスコに、下記のアニオン界面活性剤の29.6%水溶液4.8g及び蒸留水540gを入れ、窒素気流下、50℃にて250rpmで30分攪拌した。ここに、ペルオキソ二硫酸カリウム0.462g、亜硫酸水素ナトリウム0.178g及び1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液5.13mlを混合し蒸留水で30mlとした溶液と、グリシジルメタクリレート(モノマー10)71.08gとを3時間かけて滴下した。滴下終了後、ペルオキソ二硫酸カリウム0.231g、亜硫酸水素ナトリウム0.089g、蒸留水10mlおよび1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液2.56mlを混合した溶液を加えた後、そのまま3時間攪拌を続け、コア微粒子を調製した。得られたコア微粒子の平均粒子径は100nmであった。又、コア微粒子を形成するポリマーの軟化温度は80℃であった。
Figure 2007001112
得られた反応混合物を、窒素気流下、50℃にて250rpmで30分攪拌した後、ペルオキソ二硫酸カリウム0.127g、亜硫酸水素ナトリウム0.048g、1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液1.4mlを混合し蒸留水で30mlとした溶液とメチルメタクリレート23.53gとをそれぞれ3時間かけて滴下した。滴下終了後、更にペルオキソ二硫酸カリウム0.127g、蒸留水10g、亜硫酸水素ナトリウム0.048g、1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液1.4mlを混合した溶液を加えた後、そのまま攪拌を続けた。3時間後、反応混合物を室温まで冷却し、グラスフィルターにより濾過して凝集物を取り除いた。蒸留水にて固形分濃度を10%に調整して、コア/シェル構造微粒子10を調製した。得られたコア/シェル構造微粒子の平均粒子径は110nmであった。又、コア/シェルの質量比は3.02であり、シェルポリマーの軟化温度は128℃であった。
〈コア/シェル構造微粒子の調製2〜4〉
調製1におけるコアモノマーのグリシジルメタクリレートに代えて、それぞれメチルメタクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートコポリマー(共重合モル比:70/30,CP−2)、スチレン/N−(イソブトキシメチル)アクリルアミドコポリマー(共重合モル比:75/25,CP−50)、スチレン/p−ビニルベンジルアセトアセテートコポリマー(共重合モル比:80/20,CP−51)を用いた以外は調製1と同様して、コア/シェル構造微粒子を調製した(コア及びシェルの平均粒径及び軟化点は表1に記載)。
〈ブロック化イソシアネート化合物水分散物の調製〉
以下のようにブロック化イソシアネート化合物水分散物1及び2を調製した。
[ブロック化イソシアネート化合物水分散物1]
トリレンジイソシアネート63部と2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート91部とをトルエン250部に溶解した。次いで、このイソシアネート化合物溶液を60℃に保ち、攪拌しながらメチルエチルケトキシム63部を60分かけて滴下し、60℃に保ち攪拌しながら150分間反応させた。
次いで、この反応液に1,3−ブタンジオール33部を添加・混合し、同様に60℃に保ちながら攪拌下に300分間反応させて、ブロック化イソシアネート化合物のトルエン溶液を得た。
このトルエン溶液に、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル25部を加え、攪拌しながら更に純水412.5部を少量ずつ加えた後、この混合液をホモジナイザを用いて強攪拌して水相中に油相を分散させた。次いで、減圧によりトルエンを除去して、固形分40%のブロック化イソシアネート化合物水分散物1を得た。
[ブロック化イソシアネート化合物水分散物2の調製]
トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物をメチルエチルケトキシムでブロックした有機溶媒系のブロック化イソシアネート(固形分55%、溶媒:酢酸エチルとメチル−i−ブチルケトンの混合溶媒)364部をトルエン136部に溶解した。次いで、この溶液に分散剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル20部を加え、攪拌しながら更に純水330部を少量ずつ加えた後、この混合液をホモジナイザを用いて強攪拌して水相中に油相を分散させた。次いで、減圧により有機溶媒を除去して、固形分40%のブロック化イソシアネート化合物水分散物2を得た。
〈支持体の作製〉
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中、25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後、T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の平均膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを、延伸温度として前段延伸が102℃で1.3倍に、後段延伸は110℃で2.6倍に縦延伸した。次いで、テンターで120℃で4.5倍に横延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナーリング加工を行い、40℃に冷却後47N/mで巻き取った。このようにして厚さ175μmの2軸延伸PETフィルムを得た。このPETフィルムのTgは79℃であった。得られたPETフィルムの幅(製膜幅)は2.5mであった。又、得られた支持体1の厚み分布は3%であった。
〈下引き済み支持体1の作製〉
上記で得られた支持体1のフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで表1記載のように、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃で4分間乾燥させた(下引き面A)。又、反対側の面に、下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、それぞれ180℃で4分間乾燥させた(下引き面B)。
塗布後の25℃・25%RH(相対湿度)での表面電気抵抗は108Ωであった。又、下引き面B側の表面の表面粗さを測定したところRa値で0.8μmであった。次いで、各下引き層表面に下記条件のプラズマ処理を施した。
(下引き塗布液a)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 92.0%
(下引き塗布液b)
ゼラチン 1%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05%
硬膜剤H−1 0.02%
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02%
防黴剤F−1 0.01%
水 98.9%
(下引き塗布液c)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 0.4%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス 7.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 91.9%
(下引き塗布液d)
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物 6.4%
硬膜剤H−2 0.7%
アニオン系界面活性剤S−1 0.07%
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03%
水 93.4%
成分d−1;スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体から成るアニオン性高分子化合物
成分d−2;スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20から成る3成分系共重合ラテックス
成分d−3;スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20から成る高分子活性剤
Figure 2007001112
〈印刷版材料の作製〉
前記下引き済み支持体1に、下記組成の画像形成層塗布液を塗布し、60℃にて3分間乾燥した。乾燥後の塗布量は0.6g/m2であった。このようにして、印刷版材料(試料1〜8)を作製した。
(画像形成層塗布液)
コア/シェルポリマー分散物(表1記載) 19.7部
ブロック化イソシアネート分散物(固形分換算) 2.26部
80%鹸化ポリビニルアルコール 1.8部
純水 76.24部
〈印刷版原版の作製と評価〉
得られた各印刷版材料を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したクレオ社製トレンドセッター3244VFSにて、外面ドラム回転数100rpm、版面エネルギー200mJ/cm2、解像度2400dpi(dpiは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数)の条件で露光した。現像処理することなく、ハイデルベルグ社製SOR−M印刷機に装着し、市販の添加剤を加えた湿し水を用いて、市販の黒インキ(GEOS−G墨:大日本インキ化学工業社製)を用いて通常通り印刷し、良好な印刷物が得られる迄の印刷枚数(刷出し)と良好な印刷物が得られた枚数(耐刷性)で評価した。
別に、得られた平版印刷版用原版を、アルミクラフト紙でくるんだ状態で55℃・RH50%の恒温恒湿倉庫中に3日間放置した後、上記と同様の条件で露光し印刷した。上記製造直後と同様に、良好な印刷物が得られる迄の印刷枚数(刷出し性)と良好な印刷物が得られた枚数(耐刷性)で評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2007001112
この結果から明らかなように、本発明の平版印刷版材料及び画像形成方法により作製された印刷版原版は、製造直後、経時保存の何れにおいても優れた印刷性能を有する。

Claims (5)

  1. 親水性支持体上に、シェルと軟化点が該シェルより40℃以上低いコアを有するコア/シェル構造微粒子、ブロック化イソシアネート化合物、イソシアネートと反応可能な基を有する親水性樹脂を含有する画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版材料。
  2. シェルの軟化点が60〜250℃、コアの軟化点が20〜200℃であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版材料。
  3. コア/シェル構造微粒子が、イソシアネートと反応可能な基を有することを特徴とする請求項1又は2記載の平版印刷版材料。
  4. 請求項1又は2記載の平版印刷版材料を画像状に加熱し、シェルを軟化させてシェル同士を融着させ、化学的に結合させる工程、そして、平版印刷版材料を水性媒体で処理し、加熱していない部分の画像形成層を除去する工程を経て画像を得ることを特徴とする画像形成方法。
  5. レーザー光で走査することで画像状に加熱することを特徴とする請求項4記載の画像形成方法。
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