JP2005332687A - 燃料電池システム及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 DMFC方式の燃料電池部54において、燃料タンク110の容器外壁を可撓性とし、上記外壁に当接して変形させる手動操作の変形機構120を有する。よって、起動時に電動式ポンプ1321へ電力を供給するためのバッテリーが不要となり、システムの小型、軽量化、コストダウンを図ることができる。
【選択図】図1
Description
このような燃料電池は、燃料の電気エネルギーへの変換効率が良いため、省エネルギー、環境保護の観点から有効なエネルギー源として注目されているだけでなく、燃料を供給し続ける間は発電するため、著しい機能の進歩とともに消費電力の増え続けるパーソナルコンピュータ等の携帯機器に用いる電源として、又、可搬型の電源としても注目されている。又、従来の充電型電池よりも大消費電力機器の駆動や長時間駆動が可能となる。
燃料としてアルコール、特にメタノールを直接供給する直接型メタノール燃料電池(DMFC)は、電解質材として固体高分子電解質膜を用いることができるため、100℃以下で動作可能であることに加えて、燃料が液体で輸送及び貯蔵が容易であることなどから、小型・可搬用に適しており、携帯型電子機器用電源及び自動車動力用電源として有力視されている。
尚、メタノール及び水の供給手段としては、ポンプ方式以外に毛細管を利用したものも考案されているが、ゴミづまり等の信頼性低下と正確な流量制御が困難であるという観点から、上記のポンプ方式のものが主流を占めている。
さらに、バッテリー56は、発電モジュール54で生成された電気エネルギーによって充電される仕組みとなっているものの、バッテリー56が自然放電により未充電状態になった場合には、燃料電池システムを起動させることができなくなるという課題を有していた。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、小型化、軽量化、低コスト化を容易にする燃料電池システム、及び該燃料電池システムを備えた電子機器を提供することを目的とする。
即ち、本発明の第1態様の燃料電池システムは、燃料及び空気が供給され該燃料及び空気の化学反応にて発電を行う燃料電池部と、
上記燃料を収納する部分で可撓性部分を有しかつ上記燃料電池部に接続される燃料収納容器と、
上記燃料収納容器の上記可撓性部分を変形させる変形用部材を有し、上記燃料電池部による発電開始前に、上記燃料収納容器を変形させて上記燃料収納容器から上記燃料電池部へ上記燃料の供給を行い発電を開始させる変形機構と、
を備えたことを特徴とする。
又、上記起動用スイッチ機構は、回動部と、該回動部及び上記変形機構に連結した連結機構とを備えることで、回動部の回転に連動して、連結機構を介して変形機構により燃料収納容器から燃料電池部へ燃料供給が可能となる。よって、操作者が変形機構を操作する手間を省き、ユーザーインターフェースを向上させることができる。
第1実施形態;
図1には、一実施形態の燃料電池システム101を示している。該燃料電池システム101は、燃料電池部54と、燃料収納容器110と、変形機構120を備え、燃料収納容器110と燃料電池部54とは第1燃料供給経路130にて接続されている。
上記燃料電池部54は、上述の従来例における燃料電池部と同様の構成で、電解質膜57、カソード電極58、アノード電極59、触媒膜(図示せず)等から構成され、アノード電極59に供給される燃料と、カソード電極58に供給される空気中の酸素とを化学反応させて電気エネルギーを生成する発電モジュールである。尚、図示では、電解質膜57、カソード電極58、及びアノード電極59からなる1セルのみを示しているが、実際には、複数セルが直列接続されて構成される。
又、変形機構120には、押圧部材1211に燃料収納容器110を常に接触させておくための容器付勢部材124が設けられ、本実施形態では、容器付勢部材124は一例としてスプリングにてなる。
図4に示すように、まず使用者が手動でスイッチ部材122を移動方向1221に押下することにより、くさび状の伝達部材1212を介して押圧部材1211が燃料収納容器110の可撓性部分110aの外壁を押圧する。燃料収納容器110は、容器付勢部材124にて、押圧方向123とは逆方向に付勢されていることから、上記押圧により、燃料収納容器110は変形し、該変形により、内部に貯蔵されているメタノール水溶液つまり燃料111は、電動式ポンプ1321側に押し出される。電動式ポンプ1321には差圧式で開閉する逆止弁機構を内蔵しているため、燃料収納容器110側の圧力上昇により、電動式ポンプ1321及び配管131を通して燃料111は、燃料電池部54のアノード電極59へ供給される。燃料電池部54内ではアノード電極59に供給された燃料111が電解質膜57によりイオン化し、外気から取り込んだカソード電極58側の酸素と反応することで電気エネルギーが生成される。
該発電動作により、燃料電池部54からポンプ駆動回路1322へ電力が供給され、電動式ポンプ1321が駆動を開始する。これにて燃料電池部54には、燃料収納容器110から安定して燃料111が供給される。
又、ポンプ駆動用のバッテリーを装備した構成の燃料電池システムの場合であっても、本実施形態の燃料電池システム101の構成を採ることで、上記バッテリーが未充電になった場合でも、燃料電池システムを起動させることが可能となる。
さらに又、容器付勢部材124を設けたことで、燃料111の減少と共に燃料収納容器110の容積が縮小しても、常に燃料収納容器110を押圧部材1211に当接させることができる。よって、燃料111の残量に関係なく安定して一定量の燃料111をポンプ1321の起動のために燃料電池部54へ供給することが可能である。
該燃料電池システム102では、燃料電池システム101に対してさらに第2燃料供給経路135を設ける。第2燃料供給経路135は、第1燃料供給経路130のバイパスとして、燃料収納容器110と、燃料電池部54のアノード電極59とを接続するもので、配管1351と、該配管1351に取り付けられ差圧式で開閉する逆止弁1352とを有する。
このような第2燃料供給経路135を設けることで、第1燃料供給経路130に備わる燃料供給ポンプ1321が万一、故障した場合においても、使用者が手動でスイッチ部材122を押下することで、上述のように燃料収納容器110が変形されることから、第2燃料供給経路135の配管1351及び逆止弁1352を通して、燃料収納容器110からアノード電極59へ燃料111を供給することができる。よって、しばらくの間ではあるが、燃料電池部54から電力の供給が可能となる。尚、通常運転時には、第1燃料供給経路130を通して燃料111は燃料電池部54へ供給される。第2燃料供給経路135は、あくまで、予備的な燃料供給経路である。
第2実施形態として図6に示す燃料電池システム103を構成することもできる。該燃料電池システム103と、上述した第1実施形態の燃料電池システム101、102との差異部分は、高濃度のメタノール水溶液もしくはメタノール原液を、燃料電池部54から排出された水を利用して、上記メタノールの濃度を薄める混合手段を有する構成となっている点である。よって、燃料電池システム103では、上述の燃料収納容器110に接続される元燃料収納容器140及び水収納容器150を有し、これら元燃料収納容器140及び水収納容器150を変形させる変形部材をさらに有する構造である。尚、燃料収納容器110及び燃料電池部54に関する部分は、上述の燃料電池システム101、102における構成に変わりない。よってこの部分の説明は省略する。
又、元燃料収納容器140は、元燃料供給経路141を介して燃料収納容器110に接続される。元燃料供給経路141は、元燃料収納容器140から燃料収納容器110へ元燃料112を供給するための配管142と、その途中に、元燃料供給を行うための元燃料供給装置143とを有する。該元燃料供給装置143は、差圧式で開閉する逆止弁(図示せず)機構を有する電動式の元燃料供給ポンプ1431と、該ポンプ1431の駆動回路1432とを有する。該駆動回路1432は、燃料収納容器110内の燃料111の濃度を測定する濃度測定器113からの濃度情報に基づいて、燃料111が上述の例えば10%程度の規定濃度に維持されるように元燃料供給ポンプ1431の動作を制御する。
又、燃料収納容器110と同様に、元燃料収納容器140についても、カートリッジ式とし、当該燃料電池システム103に対して着脱可能な構造とすることができる。
又、水収納容器150は、水供給経路151を介して燃料収納容器110に接続されるとともに、水排出経路155を介して燃料電池部54のカソード電極58に接続される。水供給経路151は、水収納容器150から燃料収納容器110へ水を供給するための配管152と、その途中に、水供給を行うための水供給装置153とを有する。該水供給装置153は、差圧式で開閉する逆止弁(図示せず)機構を有する電動式の水供給ポンプ1531と、該ポンプ1531の駆動回路1532とを有する。該駆動回路1532は、上記濃度測定器113からの濃度情報に基づいて、燃料111が上記規定濃度に維持されるように水供給ポンプ1531の動作を制御する。
水排出経路155は、燃料電池部54による発電にともないカソード電極58にて生成される水を水収納容器150へ回収するための配管156と、該配管156に設けられ水収納容器150からカソード電極58への水の逆流を防止する逆止弁157とを有する。
共通部材125は、以下に説明する、元燃料収納容器140及び水収納容器150を変形させる各変形部材127,128に連結され、スイッチ部材122の移動方向1221への移動に伴い同方向に移動する。尚、上記移動後、共通部材125を元位置に復帰させるため、共通部材125には、付勢手段として本実施形態ではスプリング1251が設けられている。
上記間接伝達部材126は、弾性部材にてなり共通部材125が移動方向1221に移動することで圧縮力が生じ、該圧縮力にて押圧部材1211を押下するように作用する部材であり、上記弾性部材の一例として本実施形態ではスプリングを用いている。該間接伝達部材126の作用により、本実施形態では、燃料収納容器110は、スイッチ部材122の移動方向1221への移動開始よりも遅れたタイミングにて変形される。
又、共通部材125と水収納容器150との間にて、水収納容器150の可撓性部分150aに当接して水用変形部材128が設けられる。該水用変形部材128は、共通部材125の移動方向1221への移動に対応して上記可撓性部分150aを押圧し、水収納容器150を変形させ、水収納容器150から燃料収納容器110へ水を供給させる。又、変形機構120には、水用変形部材128に水収納容器150を常に接触させておくための容器付勢部材1281が設けられ、本実施形態では、容器付勢部材1281は一例としてスプリングにてなる。
まず操作者が手動でスイッチ部材122を押下することにより、共通部材125を介して元燃料用変形部材127及び水用変形部材128が元燃料収納容器140及び水収納容器150における可撓性の外壁を押圧する。よって、各容器140、150の内部に貯蔵された元燃料112及び水は、電動式のポンプ1431、1531側に押し出される。電動式ポンプ1431,1531には差圧式で開閉する逆止弁機構が内蔵されているため、各容器140、150側の圧力上昇に伴い、ポンプ1431,1531及び配管142、152を通して、元燃料112及び水114がそれぞれ燃料収納容器110へ供給される。
又、上述のように間接伝達部材126の作用により、上記元燃料112及び水114の燃料収納容器110への供給後若干遅れて、燃料収納容器110も押圧部材1211により押圧される。よって、燃料収納容器110内にて混合され濃度調整されたメタノール水溶液が配管131を通して燃料電池部54のアノード電極59へ供給される。以後の動作は、上述した燃料電池システム101、102の場合に同じであるので、ここでの説明は省略する。
図7は、上述の燃料電池システムを搭載した電子機器がノート型のパーソナルコンピュータ210である場合を示し、該コンピュータ210では、液晶モニター等の表示部211が本体212側に対して枢軸221を中心に開閉自在であり、又、本体212内に燃料電池システムを設けた構造を有する。表示部211には、枢軸221を中心とした表示部211の回動とともに回動する回動部220を有し、該回動部220には係合部222を形成している。該係合部222の一例として、ここでは回動部220の表面から突出した凸状部の形態をなす。尚、コンピュータ210に搭載される燃料電池システムとしては、上述の燃料電池システム101〜103のいずれでもよい。但し、上述のように容器変形発生用機構250は、スイッチ部材122を有する機構ではない。尚、以下の説明では、燃料電池システム101を設けた場合を例に採る。
図8に示すように、操作者が表示部211を開くことに連動して、回動部220が回転し、所定の開閉角度から回動部220の係合部222が押圧レバー232と接触する。さらに表示部211が開かれることで、係合部222は押圧レバー232を押圧方向123へ移動させる。該押圧レバー232の移動により、押圧レバー232は、燃料収納容器110を押圧し変形させる。よって、上述したように、燃料収納容器110から燃料111が排出される。
図9に示すように、表示部211を完全に開いた状態とすることで、係合部222は押圧レバー232から離れる。これにより、燃料収納容器110に設けられている上述の容器付勢部材124の付勢力によって、押圧レバー232は、元の位置へ復帰する。
101〜103…燃料電池システム、110…燃料収納容器、111…燃料、
112…元燃料、114…水、120…変形機構、121…変形用部材、
122…スイッチ部材、127…元燃料用変形部材、128…水用変形部材、
130…第1燃料供給経路、132…燃料供給装置、135…第2燃料供給経路、
140…元燃料収納容器、150…水収納容器、155…水排出経路、
220…回動部、230…連結部材。
Claims (9)
- 燃料(111)及び空気が供給され該燃料及び空気の化学反応にて発電を行う燃料電池部(54)と、
上記燃料を収納する部分で可撓性部分(110a)を有しかつ上記燃料電池部に接続される燃料収納容器(110)と、
上記燃料収納容器の上記可撓性部分を変形させる変形用部材(121)を有し、上記燃料電池部による発電開始前に、上記燃料収納容器を変形させて上記燃料収納容器から上記燃料電池部へ上記燃料の供給を行い発電を開始させる変形機構(120)と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システム。 - 上記燃料収納容器と上記燃料電池部とを接続し、かつ上記燃料電池部における発電開始後、該電力にて駆動され上記燃料収納容器から上記燃料電池部へ上記燃料の供給を行う燃料供給装置(132)を有する第1燃料供給経路(130)と、
上記第1燃料供給経路のバイパスとして上記燃料収納容器と上記燃料電池部とを接続し、上記変形機構により上記燃料収納容器から排出された上記燃料を移送する第2燃料供給経路(135)と、をさらに備えた、請求項1記載の燃料電池システム。 - 可撓性部分(140a)を有し上記燃料を構成する元燃料(112)を収納しかつ上記燃料収納容器に接続される元燃料収納容器(140)と、
可撓性部分(150a)を有し上記燃料を構成する水(114)を収納しかつ上記燃料収納容器に接続される水収納容器(150)と、
上記燃料電池部による発電開始前に上記変形機構により駆動され上記元燃料収納容器を変形させて上記元燃料収納容器から上記燃料収納容器へ上記元燃料の供給を行う元燃料用変形部材(127)と、
上記燃料電池部による発電開始前に上記変形機構により駆動され上記水収納容器を変形させて上記水収納容器から上記燃料収納容器へ水の供給を行う水用変形部材(128)と、をさらに備えた、請求項1又は2記載の燃料電池システム。 - 上記燃料電池部と上記水収納容器との間に設けられ、上記燃料電池部での発電の際に生じる水を上記水収納容器へ供給する水排出経路(155)をさらに備えた、請求項3記載の燃料電池システム。
- 上記元燃料収納容器は着脱自在である、請求項3又は4記載の燃料電池システム。
- 上記燃料電池部は、上記燃料をメタノール水溶液としたダイレクトメタノール方式である、請求項1から5のいずれかに記載の燃料電池システム。
- 請求項1から6のいずれかに記載の燃料電池システムを備えたことを特徴とする電子機器。
- 上記燃料電池システム(101〜103)に備わる変形機構(120)は、当該電子機器の起動時に操作される起動用スイッチ機構(122)に備わる、請求項7記載の電子機器。
- 上記起動用スイッチ機構は、枢軸を中心に開閉可能な回動部(220)と、
上記回動部及び上記変形機構に連結され上記回動部の開動作に対応して上記変形機構を動作させて上記燃料電池システムに備わる燃料収納容器(110)を変形させて上記燃料収納容器から上記燃料電池システムに備わる燃料電池部(54)へ燃料の供給を行う連結機構(230)とを有する、請求項8記載の電子機器。
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