JP2005332667A - 画像表示装置の製造方法および封着材充填装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、超音波を印加しながら金属封着材を充填する際に、所定の超音波出力を保持し、金属封着材の飛散を確実に抑制して、金属封着材の封着面に対する濡れ性の向上を得られる画像表示装置の製造方法および封着材充填装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置の製造方法として、背面基板と、背面基板に対向配置された前面基板11を有する外囲器と、外囲器内に設けられた複数の表示素子とを備えていて、先端面の周縁に沿って段部を備えたノズル55を背面基板と前面基板との間の封着面に当てノズルに超音波を印加しながら溶融した金属封着材を封着面に充填する工程と、封着面に金属封着材を充填した後、金属封着材を加熱して溶融させ背面基板と前面基板とを封着面で直接あるいは間接的に封着する工程とを具備する。
【選択図】 図6
【解決手段】画像表示装置の製造方法として、背面基板と、背面基板に対向配置された前面基板11を有する外囲器と、外囲器内に設けられた複数の表示素子とを備えていて、先端面の周縁に沿って段部を備えたノズル55を背面基板と前面基板との間の封着面に当てノズルに超音波を印加しながら溶融した金属封着材を封着面に充填する工程と、封着面に金属封着材を充填した後、金属封着材を加熱して溶融させ背面基板と前面基板とを封着面で直接あるいは間接的に封着する工程とを具備する。
【選択図】 図6
Description
本発明は、対向配置された基板と、これら基板間に設けられた複数の表示素子とを有する画像表示装置を製造するための製造方法および封着材充填装置に関する。
近年、次世代の軽量、薄型の平面型表示装置として、電子放出素子(以下、エミッタと称する)を多数並べ、蛍光面と対向配置させた表示装置の開発が進められている。エミッタとしては、電界放出型あるいは表面伝導型の素子が想定される。通常、エミッタとして電界放出型電子放出素子を用いた表示装置は、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)、また、エミッタとして表面伝導型電子放出素子を用いた表示装置は、表面伝導型電子放出ディスプレイ(以下、SEDと称する)と呼ばれている。
上記FEDは、所定の隙間を置いて対向配置された前面基板および背面基板を有し、これらの基板は、矩形枠状の側壁を介して周縁部同士を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。前面基板の内面には蛍光体スクリーンが形成され、背面基板の内面には、蛍光体を励起して発光させる電子放出源として多数の電子放出素子が設けられる。また、背面基板および前面基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これら基板の間には複数の支持部材が配設されている。
背面基板側の電位はほぼ0Vであり、蛍光面にはアノード電圧Vaが印加される。そして、蛍光体スクリーンを構成する赤、緑、青の蛍光体に電子放出素子から放出された電子ビームを照射し、蛍光体を発光させることによって画像を表示する。このようなFEDでは、前面基板と背面基板との隙間を数mm以下に設定することができ、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されている陰極線管(CRT)と比較して、軽量化、薄型化を達成することができる。
上記FEDは、所定の隙間を置いて対向配置された前面基板および背面基板を有し、これらの基板は、矩形枠状の側壁を介して周縁部同士を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。前面基板の内面には蛍光体スクリーンが形成され、背面基板の内面には、蛍光体を励起して発光させる電子放出源として多数の電子放出素子が設けられる。また、背面基板および前面基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これら基板の間には複数の支持部材が配設されている。
背面基板側の電位はほぼ0Vであり、蛍光面にはアノード電圧Vaが印加される。そして、蛍光体スクリーンを構成する赤、緑、青の蛍光体に電子放出素子から放出された電子ビームを照射し、蛍光体を発光させることによって画像を表示する。このようなFEDでは、前面基板と背面基板との隙間を数mm以下に設定することができ、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されている陰極線管(CRT)と比較して、軽量化、薄型化を達成することができる。
本出願人は、先に、上述した画像表示装置の製造方法および封着材充填装置の関連技術を出願[特許文献1]している。
ここに記載される画像表示装置の製造方法としては、背面基板と前面基板との間の封着面に超音波を印加しながら溶融した金属封着材を充填する工程と、金属封着材の充填後、真空雰囲気中で金属封着材を加熱して溶融させ背面基板と前面基板とを封着面で直接あるいは間接的に封着する工程とを備えてなる。
さらに、上記封着面に金属封着材を充填する封着材充填装置として、封着面を有した被封着物を位置決め支持する支持台と、溶融した金属封着材を貯溜する貯溜部、この貯溜部から送られた溶融金属封着材を封着面に充填するノズル、このノズルから封着面に充填される溶融金属封着材に超音波を印加する超音波発生部を有した充填ヘッドと、充填ヘッドを封着面に対して相対的に移動させるヘッド移動機構とを備えている。
特開2000−377816号公報
ここに記載される画像表示装置の製造方法としては、背面基板と前面基板との間の封着面に超音波を印加しながら溶融した金属封着材を充填する工程と、金属封着材の充填後、真空雰囲気中で金属封着材を加熱して溶融させ背面基板と前面基板とを封着面で直接あるいは間接的に封着する工程とを備えてなる。
さらに、上記封着面に金属封着材を充填する封着材充填装置として、封着面を有した被封着物を位置決め支持する支持台と、溶融した金属封着材を貯溜する貯溜部、この貯溜部から送られた溶融金属封着材を封着面に充填するノズル、このノズルから封着面に充填される溶融金属封着材に超音波を印加する超音波発生部を有した充填ヘッドと、充填ヘッドを封着面に対して相対的に移動させるヘッド移動機構とを備えている。
なお説明すると上記の[特許文献1]の技術では、上記ノズルは先端部が円錐状をなし、先端面は平坦な円形状に形成されている。ノズルの基端部から先端面に亘る中心軸に沿って供給孔が設けられ、金属封着材であるインジウムが加熱され溶融した状態で供給源から供給孔に導かれる。そして、ノズルの先端面を封着面に接触させたまま超音波を印加し、供給孔の先端からインジウムを供出するようになっている。
このようにして、超音波を印加しながらインジウムを充填するので、封着面に対するインジウムの濡れ性が向上する反面、所定の出力をもって超音波を印加するため、ノズルの先端から金属封着材が粒状となって飛散し易い。極端な状態では、飛散した金属封着材粒がパネル有効面まで汚してしまう。
超音波出力を下げれば金属封着材の飛散が収まる傾向にあるが、今度は封着面に対する金属封着材の濡れ性が低下してしまい、封着効果に悪影響を及ぼす虞れがある。すなわち、所定の超音波出力を保持しつつ、金属封着材の飛散を確実に抑制し、かつ金属封着材の封着面に対する濡れ性の向上を図れる手段が求められている。
このようにして、超音波を印加しながらインジウムを充填するので、封着面に対するインジウムの濡れ性が向上する反面、所定の出力をもって超音波を印加するため、ノズルの先端から金属封着材が粒状となって飛散し易い。極端な状態では、飛散した金属封着材粒がパネル有効面まで汚してしまう。
超音波出力を下げれば金属封着材の飛散が収まる傾向にあるが、今度は封着面に対する金属封着材の濡れ性が低下してしまい、封着効果に悪影響を及ぼす虞れがある。すなわち、所定の超音波出力を保持しつつ、金属封着材の飛散を確実に抑制し、かつ金属封着材の封着面に対する濡れ性の向上を図れる手段が求められている。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、超音波を印加しながら金属封着材を充填する際に、所定の超音波出力を保持し、金属封着材の飛散を確実に抑制して、金属封着材の封着面に対する濡れ性の向上を得られる画像表示装置の製造方法および封着材充填装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の態様に係る画像表示装置の製造方法は、背面基板と、背面基板に対向配置された前面基板を有する外囲器と、外囲器内に設けられた複数の表示素子とを備えていて、
先端面の周縁に沿って段部を備えたノズルを背面基板と前面基板との間の封着面に当てノズルに超音波を印加しながら溶融した金属封着材を封着面に充填する工程と、封着面に金属封着材を充填した後、金属封着材を加熱して溶融させ背面基板と前面基板とを封着面で直接あるいは間接的に封着する工程とを具備する。
先端面の周縁に沿って段部を備えたノズルを背面基板と前面基板との間の封着面に当てノズルに超音波を印加しながら溶融した金属封着材を封着面に充填する工程と、封着面に金属封着材を充填した後、金属封着材を加熱して溶融させ背面基板と前面基板とを封着面で直接あるいは間接的に封着する工程とを具備する。
また、本発明の他の態様に係る画像表示装置の製造方法は、背面基板および、背面基板に対向配置された前面基板と、前面基板の周縁部と背面基板の周縁部との間に配設され前面基板および背面基板に封着された側壁とを有した外囲器と、外囲器内に設けられた複数の画素表示素子とを備え、前面基板と側壁との間の封着面および背面基板と側壁との間の封着面の少なくとも一方が金属封着材層により封着されていて、
先端面の周縁に沿って段部を備えたノズルを少なくとも一方の封着面に当て、ノズルに超音波を印加しながら溶融した金属封着材を封着面に充填する工程と、封着面に金属封着材を充填した後、金属封着材を加熱して溶融させ、背面基板、前面基板、および側壁を上記封着面で封着する工程とを具備する。
さらに、金属封着材は、低融点金属材料が用いられる。
さらに、低融点金属材料は、In、Bi、Sn、Gaの単体または、少なくとも一つが含まれる合金である。
先端面の周縁に沿って段部を備えたノズルを少なくとも一方の封着面に当て、ノズルに超音波を印加しながら溶融した金属封着材を封着面に充填する工程と、封着面に金属封着材を充填した後、金属封着材を加熱して溶融させ、背面基板、前面基板、および側壁を上記封着面で封着する工程とを具備する。
さらに、金属封着材は、低融点金属材料が用いられる。
さらに、低融点金属材料は、In、Bi、Sn、Gaの単体または、少なくとも一つが含まれる合金である。
本発明の態様に係る封着材充填装置は、画像表示装置の製造において封着面に金属封着材を充填する装置であって、封着面を有した被封着物を位置決め支持する支持台と、溶融した金属封着材を貯溜する貯溜部および貯溜部から送られる溶融金属封着材を封着面に充填するノズルを有する充填ヘッドと、この充填ヘッドのノズルに連結されノズルに超音波を印加する超音波発生部とを具備し、ノズルは、中心軸に沿って貯溜部から送られた溶融金属封着材を先端面に供出案内する供給孔を備えるとともに、ノズルの先端面周縁に沿って段部が設けられる。
さらに、上記ノズルは、先端部が断面矩形状に形成され、先端面の封着面接触部分が矩形状に形成される。
さらに、上記ノズルは、先端部が断面矩形状に形成され、先端面の封着面接触部分が矩形状に形成される。
本発明によれば、金属封着材層を用いて前面基板と背面基板と直接あるいは間接的に封着することにより、背面基板に設けられた電子放出素子などに熱的な損傷を与えることのない低い温度で封着を行うことができ、真空外囲器の気密性、封着強度を向上することができる。封着面に対して金属封着材を充填する際、超音波を印加しながら金属封着材を充填することにより、封着面に対する金属封着材の濡れ性が向上し、金属封着材としてインジウム等を用いた場合でも金属封着材を所望の位置に良好に充填できる。
また、溶融した金属封着材を封着面に沿って連続的に充填する際、超音波を印加しながら溶融した金属封着材を充填することにより、上記封着面に沿って切れ目なく延びた金属封着材層を形成することが可能となる。
段部の無いノズル先端面であると、金属封着材がノズルの先端面周縁から粒状となって飛散し易いが、ノズルの先端面周縁に沿って段部を形成したので、金属封着材は一旦、段部と封着面との間の空間部に溜った状態となってから封着面に塗布され、金属封着材の飛散を防止してパネル有効面を汚すことがなく、封着面に対する濡れ性が良い。
また、溶融した金属封着材を封着面に沿って連続的に充填する際、超音波を印加しながら溶融した金属封着材を充填することにより、上記封着面に沿って切れ目なく延びた金属封着材層を形成することが可能となる。
段部の無いノズル先端面であると、金属封着材がノズルの先端面周縁から粒状となって飛散し易いが、ノズルの先端面周縁に沿って段部を形成したので、金属封着材は一旦、段部と封着面との間の空間部に溜った状態となってから封着面に塗布され、金属封着材の飛散を防止してパネル有効面を汚すことがなく、封着面に対する濡れ性が良い。
本発明によれば、気密性および封着強度の高い画像表示装置を製造するのに、所定の超音波出力を保持したうえで、金属封着材の飛散を確実に抑制し、金属封着材の封着面に対する濡れ性の向上を得られるという効果を奏する。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本実施の形態に係る製造方法によって製造される画像表示装置の一例として、FEDについて説明する。
図1および図2に示すように、このFEDは、絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる前面基板11、および背面基板12を備え、これらの基板は約1.5〜3.0mmの隙間を置いて対向配置されている。前面基板11および背面基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が封着され、内部が真空状態に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。
図1および図2に示すように、このFEDは、絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる前面基板11、および背面基板12を備え、これらの基板は約1.5〜3.0mmの隙間を置いて対向配置されている。前面基板11および背面基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が封着され、内部が真空状態に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。
真空外囲器10の内部には、背面基板12および前面基板11に加わる大気圧荷重を支えるため、複数の支持部材14が設けられている。これらの支持部材14は、真空外囲器10の長辺と平行な方向に延出しているとともに、短辺と平行な方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、支持部材14の形状については特にこれに限定されるものではなく、柱状の支持部材を用いてもよい。
図3に示すように、前面基板11の内面には蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、緑、青の3色に発光する蛍光体層R、G、Bとマトリックス状の黒色光吸収部20とで形成されている。上述の支持部材14は、黒色光吸収部の影に隠れるように置かれる。また、蛍光体スクリーン16上には、メタルバックとして図示しないアルミニウム層が蒸着されている。
図3に示すように、前面基板11の内面には蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、緑、青の3色に発光する蛍光体層R、G、Bとマトリックス状の黒色光吸収部20とで形成されている。上述の支持部材14は、黒色光吸収部の影に隠れるように置かれる。また、蛍光体スクリーン16上には、メタルバックとして図示しないアルミニウム層が蒸着されている。
図2に示すように、背面基板12の内面上には、蛍光体層R、G、Bを励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の電界放出型の電子放出素子22が設けられている。これらの電子放出素子22は、それぞれの画素毎に対応して複数列および複数行に配列され、表示素子として機能する。
さらに詳細に述べると、背面基板12の内面上には、導電性カソード層24が形成され、この導電性カソード層上には多数のキャビティ25を有した二酸化シリコン膜26が形成されている。二酸化シリコン膜26上には、モリブデン、ニオブ等からなるゲート電極28が形成されている。そして、背面基板12の内面上において各キャビティ25内に、モリブデン等からなるコーン状の電子放出素子22が設けられている。その他、背面基板12上には、電子放出素子22に接続された図示しないマトリックス状の配線等が形成されている。
さらに詳細に述べると、背面基板12の内面上には、導電性カソード層24が形成され、この導電性カソード層上には多数のキャビティ25を有した二酸化シリコン膜26が形成されている。二酸化シリコン膜26上には、モリブデン、ニオブ等からなるゲート電極28が形成されている。そして、背面基板12の内面上において各キャビティ25内に、モリブデン等からなるコーン状の電子放出素子22が設けられている。その他、背面基板12上には、電子放出素子22に接続された図示しないマトリックス状の配線等が形成されている。
上記のように構成されたFEDにおいて、映像信号は、単純マトリックス方式に形成された電子放出素子22とゲート電極28に入力される。電子放出素子22を基準とした場合、最も輝度の高い状態の時、+100Vのゲート電圧が印加される。また、蛍光体スクリーン16には+10kVが印加される。そして、電子放出素子22から放出される電子ビームの大きさは、ゲート電極28の電圧によって変調され、この電子ビームが蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起して発光させることにより画像を表示する。
このように蛍光体スクリーン16には高電圧が印加されるため、前面基板11、背面基板12、側壁18、および支持部材14用の板ガラスには、高歪点ガラスが使用されている。また、後述するように、背面基板12と側壁18との間は、フリットガラス等の低融点ガラス30によって封着され、前面基板11と側壁18との間は、封着面上に形成された下地層31と、この下地層上に形成されたインジウム層32とが融合した封着層33によって封着されている。
このように蛍光体スクリーン16には高電圧が印加されるため、前面基板11、背面基板12、側壁18、および支持部材14用の板ガラスには、高歪点ガラスが使用されている。また、後述するように、背面基板12と側壁18との間は、フリットガラス等の低融点ガラス30によって封着され、前面基板11と側壁18との間は、封着面上に形成された下地層31と、この下地層上に形成されたインジウム層32とが融合した封着層33によって封着されている。
つぎに、上記のように構成されたFEDの製造方法について詳細に説明する。
まず、前面基板11となる板ガラスに蛍光体スクリーン16を形成する。これは、前面基板11と同じ大きさの板ガラスを準備し、この板ガラスにプロッターマシンで蛍光体層のストライプパターンを形成する。この蛍光体ストライプパターンが形成された板ガラスと、前面基板用の板ガラスとを位置決め治具に載せて露光台にセットすることにより、露光、現像して蛍光体スクリーン16を生成する。
続いて、背面基板用の板ガラスに電子放出素子22を形成する。この場合、板ガラス上にマトリックス状の導電性カソード層を形成し、この導電性カソード層上に、例えば熱酸化法、CVD法、あるいはスパッタリング法により二酸化シリコン膜の絶縁膜を形成する。
まず、前面基板11となる板ガラスに蛍光体スクリーン16を形成する。これは、前面基板11と同じ大きさの板ガラスを準備し、この板ガラスにプロッターマシンで蛍光体層のストライプパターンを形成する。この蛍光体ストライプパターンが形成された板ガラスと、前面基板用の板ガラスとを位置決め治具に載せて露光台にセットすることにより、露光、現像して蛍光体スクリーン16を生成する。
続いて、背面基板用の板ガラスに電子放出素子22を形成する。この場合、板ガラス上にマトリックス状の導電性カソード層を形成し、この導電性カソード層上に、例えば熱酸化法、CVD法、あるいはスパッタリング法により二酸化シリコン膜の絶縁膜を形成する。
そのあと、この絶縁膜上に、たとえばスパッタリング法や電子ビーム蒸着法によりモリブデンやニオブなどのゲート電極形成用の金属膜を形成する。つぎに、この金属膜上に、形成すべきゲート電極に対応した形状のレジストパターンをリソグラフィーにより形成する。このレジストパターンをマスクとして金属膜をウェットエッチング法またはドライエッチング法によりエッチングし、ゲート電極28を形成する。
つぎに、レジストパターンおよびゲート電極をマスクとして絶縁膜をウェットエッチングまたはドライエッチング法によりエッチングして、キャビティ25を形成する。そして、レジストパターンを除去したあと、背面基板表面に対して所定角度傾斜した方向から電子ビーム蒸着を行うことにより、ゲート電極28上に、たとえばアルミニウムやニッケルからなる剥離層を形成する。
つぎに、レジストパターンおよびゲート電極をマスクとして絶縁膜をウェットエッチングまたはドライエッチング法によりエッチングして、キャビティ25を形成する。そして、レジストパターンを除去したあと、背面基板表面に対して所定角度傾斜した方向から電子ビーム蒸着を行うことにより、ゲート電極28上に、たとえばアルミニウムやニッケルからなる剥離層を形成する。
このあと、背面基板表面に対して垂直な方向から、カソード形成用の材料として、たとえばモリブデンを電子ビーム蒸着法により蒸着する。これによって、各キャビティ25の内部に電子放出素子22を形成する。続いて、剥離層をその上に形成された金属膜とともにリフトオフ法により除去する。
電子放出素子22の形成された背面基板12の周縁部と矩形枠状の側壁18との間を、大気中で低融点ガラス30により互いに封着する。同時に、大気中で、背面基板12上に複数の支持部材14を低融点ガラス30により封着する。
電子放出素子22の形成された背面基板12の周縁部と矩形枠状の側壁18との間を、大気中で低融点ガラス30により互いに封着する。同時に、大気中で、背面基板12上に複数の支持部材14を低融点ガラス30により封着する。
そのあと、背面基板12と前面基板11とを側壁18を介して互いに封着する。この場合、図4(a)(b)に示すように、まず、背面基板12における封着面となる側壁18の上面、および前面基板11の内面周縁部上にそれぞれ、たとえば銀ペーストからなる下地層31を全周に亘って所定幅に塗布して形成する。なお、前面基板11の全面積に対して背面基板12の全面積が一廻り大きく形成され、かつこれら前面基板11と背面基板12に対する下地層31の位置が互いに同一であるところから、背面基板12端縁から下地層31端縁までの距離は、前面基板11端縁から下地層端縁までの距離よりも大に設定することとなる。
続いて、各下地層31の上に、後述するように金属封着材料としてのインジウム(In)を塗布し、それぞれ下地層31の全周に亘り連続して延びたインジウム層32を形成する。このインジウム層32の幅は、下地層31の幅よりも狭く形成し、インジウム層32の両側縁が下地層31の両側縁からそれぞれ所定の隙間を置いた状態に塗布する。たとえば、側壁18の幅を9mmとした場合、下地層31の幅は8mm、インジウム層32の幅は6mm程度に形成される。
金属封着材料としては、融点が約350℃以下で密着性、接合性に優れた低融点金属材料を使用することが望ましい。本実施の形態で用いるインジウムは、融点156.7℃と低いだけでなく、蒸気圧が低く、軟らかくて衝撃に対して強く、低温でも脆くならないなどの優れた特徴がある。しかも、条件によってはガラスに直接接合することができるので、本発明の目的に好適した材料である。
金属封着材料としては、融点が約350℃以下で密着性、接合性に優れた低融点金属材料を使用することが望ましい。本実施の形態で用いるインジウムは、融点156.7℃と低いだけでなく、蒸気圧が低く、軟らかくて衝撃に対して強く、低温でも脆くならないなどの優れた特徴がある。しかも、条件によってはガラスに直接接合することができるので、本発明の目的に好適した材料である。
低融点金属材料としては、主成分としてInの単体ではなく、Bi、Sn、Gaの単体または、少なくとも一つが含まれる合金を用いることもできる。たとえば、In97%−Ag3%の共晶合金では、融点が141℃とさらに低くなり、しかも機械的強度を高めることができる。
上記説明では、「融点」という表現を用いているが、2種以上の金属からなる合金では、融点が単一に定まらない場合がある。一般にそのような場合には、液相線温度と固相線温度が定義される。前者は、液体の状態から温度を下げていった際、合金の一部が固体化し始める温度であり、後者は合金の全てが固体化する温度である。本実施の形態では、説明の便宜上、このような場合においても融点という表現を用いることにし、固相線温度を融点と呼ぶことにする。
上記説明では、「融点」という表現を用いているが、2種以上の金属からなる合金では、融点が単一に定まらない場合がある。一般にそのような場合には、液相線温度と固相線温度が定義される。前者は、液体の状態から温度を下げていった際、合金の一部が固体化し始める温度であり、後者は合金の全てが固体化する温度である。本実施の形態では、説明の便宜上、このような場合においても融点という表現を用いることにし、固相線温度を融点と呼ぶことにする。
一方、前述した下地層31は、金属封着材料に対して濡れ性および気密性の良い材料、つまり、金属封着材料に対して親和性の高い材料を用いる。上述した銀ペーストの他、金、アルミニウム、ニッケル、コバルト、銅等の金属ペーストを用いることができる。金属ペーストの他、下地層31として、銀、金、アルミニウム、ニッケル、コバルト、銅等の金属メッキ層あるいは蒸着膜、又はガラス材料層を用いることもできる。
なお、封着面に形成された下地層31上へのインジウムの充填、すなわち、インジウムの塗布は、以下の封着材充填装置を用いて行う。
図5に示すように、封着材充填装置は、平坦な載置面40aを有した支持台40を備え、載置面上には、平坦な矩形板状のホットプレート42と、このホットプレート上に被封着物を位置決めする位置決め機構44と、被封着物上に封着材を充填する充填ヘッド46と、被封着物に対して充填ヘッドを相対的に移動するヘッド移動機構48が設けられている。
なお、封着面に形成された下地層31上へのインジウムの充填、すなわち、インジウムの塗布は、以下の封着材充填装置を用いて行う。
図5に示すように、封着材充填装置は、平坦な載置面40aを有した支持台40を備え、載置面上には、平坦な矩形板状のホットプレート42と、このホットプレート上に被封着物を位置決めする位置決め機構44と、被封着物上に封着材を充填する充填ヘッド46と、被封着物に対して充填ヘッドを相対的に移動するヘッド移動機構48が設けられている。
ホットプレート42には、被封着物として、前述した側壁18が封着された背面基板12、あるいは前面基板11が載置される。そして、このホットプレート42は載置された被封着物を加熱する加熱手段としても機能する。
位置決め機構44は、たとえばホットプレート42上に載置された前面基板11の直交する2辺にそれぞれ当接する3つの固定の位置決め爪50と、前面基板11の他の2辺にそれぞれ当接し、位置決め爪50に向かって前面基板11を弾性的に押付ける2つの押え爪52とを有している。
位置決め機構44は、たとえばホットプレート42上に載置された前面基板11の直交する2辺にそれぞれ当接する3つの固定の位置決め爪50と、前面基板11の他の2辺にそれぞれ当接し、位置決め爪50に向かって前面基板11を弾性的に押付ける2つの押え爪52とを有している。
図5および図6(a)に示すように、充填ヘッド46は、溶融したインジウムを貯溜する貯溜部54と、この貯溜部から送られた溶融インジウムを前面基板11の封着面に充填するノズル55を備えている。そして、ノズル55は金属棒56を介して超音波発生部として機能する超音波振動子57に連結される。この超音波振動子57が作動することにより、超音波振動は金属棒56を介してノズル55に伝達され、ノズル端部が中心軸に沿う縦振動をなす。
また、充填ヘッド46には、パージガスを供給する供給パイプ58が接続されているとともに、ノズル55を加熱するヒータ部60が設けられている。上記ヘッド移動機構48は、図5に示すように、充填ヘッド46を支持台40の載置面40aに対して垂直な、つまり、ホットプレート42上に載置された前面基板11に対し垂直なZ軸方向に沿って昇降駆動自在に支持されるZ軸駆動ロボット62と、このZ軸駆動ロボット62を上記前面基板11の短辺と平行なY軸方向に沿って往復駆動自在に支持されるY軸駆動ロボット64とを備えている。さらに、Y軸駆動ロボット64は、載置面40a上に固定されたX軸駆動ロボット66および補助レール67により、上記前面基板11の長辺と平行なX軸方向に沿って往復駆動自在に支持されている。
また、充填ヘッド46には、パージガスを供給する供給パイプ58が接続されているとともに、ノズル55を加熱するヒータ部60が設けられている。上記ヘッド移動機構48は、図5に示すように、充填ヘッド46を支持台40の載置面40aに対して垂直な、つまり、ホットプレート42上に載置された前面基板11に対し垂直なZ軸方向に沿って昇降駆動自在に支持されるZ軸駆動ロボット62と、このZ軸駆動ロボット62を上記前面基板11の短辺と平行なY軸方向に沿って往復駆動自在に支持されるY軸駆動ロボット64とを備えている。さらに、Y軸駆動ロボット64は、載置面40a上に固定されたX軸駆動ロボット66および補助レール67により、上記前面基板11の長辺と平行なX軸方向に沿って往復駆動自在に支持されている。
上述した封着材充填装置を用いてインジウムを塗布する場合、図5に示すように、封着面を上にして前面基板11をホットプレート42上に載置し、位置決め機構44によって所定位置に位置決めする。続いて、図6(b)に示すように、溶融状態のインジウムが貯溜される充填ヘッド46を所望の充填開始位置にセットした後、ヘッド移動機構48により、前面基板11の封着面、ここでは前面基板11上に形成された下地層31に沿って充填ヘッド46を所定の速度で移動する。
そして、充填ヘッド46を移動しながら、ノズル55から下地層31上に溶融インジウムを連続的に充填し、下地層31に沿って連続的に延びたインジウム層32を全周に亘り形成する。同時に、超音波振動素子Uを作動してノズル55を超音波振動させ、溶融インジウムに超音波を印加しながら下地層31上に充填する。したがって、ノズル55cでは前面基板11の封着面である下地層31の表面に対して垂直な方向に超音波振動が生じる。超音波の振動数は、たとえば30〜40kHzに設定する。
そして、充填ヘッド46を移動しながら、ノズル55から下地層31上に溶融インジウムを連続的に充填し、下地層31に沿って連続的に延びたインジウム層32を全周に亘り形成する。同時に、超音波振動素子Uを作動してノズル55を超音波振動させ、溶融インジウムに超音波を印加しながら下地層31上に充填する。したがって、ノズル55cでは前面基板11の封着面である下地層31の表面に対して垂直な方向に超音波振動が生じる。超音波の振動数は、たとえば30〜40kHzに設定する。
ここで、上記ノズル55について詳述する。上記ノズル55は、基端部55a上部に上記貯溜部54が設けられ、この貯溜部54を貫通する基端部55a上端面に金属棒56が連設されるとともに、金属棒56上端には超音波発生部として機能する超音波振動素子Uが取着される。一方、ノズル基端部55aから下部側には、たとえば四角柱状に形成されるノズル先端部55bが着脱自在に取付けられる。ノズル先端部55bの先端面55cは後述するように形成される。
図7(a)(b)に示すように、ノズル55の中心軸に沿って供給孔57が設けられる。この供給孔57は、基端部55aから先端面55cに亘って開口していて、基端部55aに連結される貯溜部54から溶融したインジウムを案内し、インジウムはノズル先端面55cから供出されるようになっている。そして、ノズル55の先端面55cは、この周縁に沿って断面矩形状に切欠加工された段部Dが設けられる。ノズル先端面55cに段部Dが設けられることにより、ノズル55の先端は先細り状をなす。
図7(a)(b)に示すように、ノズル55の中心軸に沿って供給孔57が設けられる。この供給孔57は、基端部55aから先端面55cに亘って開口していて、基端部55aに連結される貯溜部54から溶融したインジウムを案内し、インジウムはノズル先端面55cから供出されるようになっている。そして、ノズル55の先端面55cは、この周縁に沿って断面矩形状に切欠加工された段部Dが設けられる。ノズル先端面55cに段部Dが設けられることにより、ノズル55の先端は先細り状をなす。
ノズル55から下地層31にインジウムを塗布する際に、ノズル先端面55cを下地層31に接触して行う。実際には、ノズル先端面55cに段部Dが形成されているから、下地層31に接触するのは段部Dと供給孔57を除く先端面55c部分となる。なお、段部Dの高さ寸法Hを0.1〜0.5mmとし、幅寸法Aを0.1〜0.7mmと設定することにより、後述するように好ましい結果が得られた。さらに、好ましくは段部Dの高さ寸法Hを0.2mm、幅寸法Aを0.5mmとするとよい。
ノズル先端面55cを下地層31に接触させて、超音波振動素子Uに超音波を印加すると、金属棒56を介してノズル55に超音波振動が伝達される。供給孔57に導かれるインジウムはノズル55の超音波振動によって形成されるノズル先端面55cと下地層31との間の微細な隙間から供出され、段部Dと下地層31との間に形成される空間部Sへ出て撹拌混合の状態となる。すなわち、下地層31と段部Dとの間に形成される空間部Sにインジウムが液溜り状に溜り、溜ったインジウムで周縁を隠す状態となって、段部D周縁から周辺への飛散がない。
ノズル先端面55cを下地層31に接触させて、超音波振動素子Uに超音波を印加すると、金属棒56を介してノズル55に超音波振動が伝達される。供給孔57に導かれるインジウムはノズル55の超音波振動によって形成されるノズル先端面55cと下地層31との間の微細な隙間から供出され、段部Dと下地層31との間に形成される空間部Sへ出て撹拌混合の状態となる。すなわち、下地層31と段部Dとの間に形成される空間部Sにインジウムが液溜り状に溜り、溜ったインジウムで周縁を隠す状態となって、段部D周縁から周辺への飛散がない。
これらの作用とともに、先に図5で説明したヘッド移動機構48が作動して充填ヘッド46を移動することにより、図8(a)(b)に示すように、ノズル先端面55cからインジウムが下地層31上に塗布される。
このようにして、超音波を印加しながらインジウムを充填すると、封着面あるいは下地層31に対するインジウムの濡れ性が向上し、インジウムを所望の位置に良好に充填することが可能となる。このとき、インジウム粒子が周辺へ飛散することがないから、パネル有効面の汚れを防止して信頼性の向上を図れる。また、溶融したインジウムを下地層31に沿って連続的に充填することができ、下地層31に沿って切れ目なく延びたインジウム層32を形成することが可能となる。さらに、超音波を印加しながら溶融インジウムを充填することにより、充填した時点でインジウムの一部が下地層31の表面部内に拡散して合金層を形成することができる。
このようにして、超音波を印加しながらインジウムを充填すると、封着面あるいは下地層31に対するインジウムの濡れ性が向上し、インジウムを所望の位置に良好に充填することが可能となる。このとき、インジウム粒子が周辺へ飛散することがないから、パネル有効面の汚れを防止して信頼性の向上を図れる。また、溶融したインジウムを下地層31に沿って連続的に充填することができ、下地層31に沿って切れ目なく延びたインジウム層32を形成することが可能となる。さらに、超音波を印加しながら溶融インジウムを充填することにより、充填した時点でインジウムの一部が下地層31の表面部内に拡散して合金層を形成することができる。
なお、ノズル55の先端面55cに形成される段部Dは矩形状としたが、これに限定されるものではない。図9(a)(b)(c)に示すような段部であっても、全く同様の作用効果が得られる。
すなわち、図9(a)に示すノズル55Aのノズル先端部55b1では、下地層31に接触する先端面55c周縁から周端部に亘って直状に形成される段部Daであり、図9(b)に示すノズル55Bのノズル先端部55b2では、下地層31に接触する先端面55c周縁から周端部に亘ってR状に膨出曲成される段部Dbであり、図9(c)に示すノズル55Cのノズル先端部55b3では、下地層31に接触する先端面55c周縁から周端部に亘ってアーチ状に凹陥曲成される段部Dcである。
すなわち、図9(a)に示すノズル55Aのノズル先端部55b1では、下地層31に接触する先端面55c周縁から周端部に亘って直状に形成される段部Daであり、図9(b)に示すノズル55Bのノズル先端部55b2では、下地層31に接触する先端面55c周縁から周端部に亘ってR状に膨出曲成される段部Dbであり、図9(c)に示すノズル55Cのノズル先端部55b3では、下地層31に接触する先端面55c周縁から周端部に亘ってアーチ状に凹陥曲成される段部Dcである。
いずれの構成であっても、ノズル先端が先細り状となるとともに、封着面である下地層31に接触するノズル先端面55cは四角形状をなしていて、矩形状以外の形状、たとえば円形状や楕円状は避けることが望ましい。
すなわち、下地層31に接触する先端面部分をたとえば円形状としてインジウムを充填すると、ノズルの移動方向と平行な直径部分および、その近傍部分は下地層に接触する面積と時間が大であるが、移動方向とは直交する方向の周端部は下地層に接触する面積と時間が極めて小になる。そのため、この周端部分におけるインジウムの供給量が、ノズルの移動方向に沿う直径部分および、その近傍部分と比較して極めて小になり、充分な充填量が得られない。ただし、生産性への影響を重要視しなければ、ノズル先端面が円形状であっても、充填速度を遅くすることで濡れ性を充分に確保することは可能である。
すなわち、下地層31に接触する先端面部分をたとえば円形状としてインジウムを充填すると、ノズルの移動方向と平行な直径部分および、その近傍部分は下地層に接触する面積と時間が大であるが、移動方向とは直交する方向の周端部は下地層に接触する面積と時間が極めて小になる。そのため、この周端部分におけるインジウムの供給量が、ノズルの移動方向に沿う直径部分および、その近傍部分と比較して極めて小になり、充分な充填量が得られない。ただし、生産性への影響を重要視しなければ、ノズル先端面が円形状であっても、充填速度を遅くすることで濡れ性を充分に確保することは可能である。
なお、インジウムを充填する工程において、上記超音波の発振出力、あるいは、ノズル55に設けられる供給孔57の孔径のいずれか一方を調整することにより、インジウムの吐出量を制御し、形成されるインジウム層の厚さを調整することができる。
一方、図4(a)に示すように、背面基板12に封着された側壁18の封着面上、ここでは、下地層31上にインジウムを充填する場合、上記と同様に、背面基板12を封着材充填装置のホットパネル42上に位置決めし、充填ヘッド46により超音波を印加しながら溶融したインジウムを下地層31に沿って連続的に充填し、この下地層31に沿って連続的に延びたインジウム層32を形成する。
一方、図4(a)に示すように、背面基板12に封着された側壁18の封着面上、ここでは、下地層31上にインジウムを充填する場合、上記と同様に、背面基板12を封着材充填装置のホットパネル42上に位置決めし、充填ヘッド46により超音波を印加しながら溶融したインジウムを下地層31に沿って連続的に充填し、この下地層31に沿って連続的に延びたインジウム層32を形成する。
つぎに、封着面に下地層31およびインジウム層32が形成された前面基板11と、背面基板12に側壁18が封着されるとともに、この側壁上面に下地層31およびインジウム層32が形成された背面側組立体とは、図10に示すように、封着面同士が向かい合った状態で、かつ、所定の距離をおいて対向した状態で図示しない治具等により保持され、真空処理装置に投入される。
図11に示すように、この真空処理装置100は、順に並んで設けられたロード室101、ベーキング、電子線洗浄室102、冷却室103、ゲッタ膜の蒸着室104、組立室105、冷却室106、およびアンロード室107を有している。これら各室は真空処理が可能な処理室として構成され、FEDの製造時には全室が真空排気されている。また、隣合う処理室間はゲートバルブ等により接続されている。
図11に示すように、この真空処理装置100は、順に並んで設けられたロード室101、ベーキング、電子線洗浄室102、冷却室103、ゲッタ膜の蒸着室104、組立室105、冷却室106、およびアンロード室107を有している。これら各室は真空処理が可能な処理室として構成され、FEDの製造時には全室が真空排気されている。また、隣合う処理室間はゲートバルブ等により接続されている。
所定の間隔をおいて対向した背面側組立体および前面基板11は、ロード室101に投入され、このロード室101内を真空雰囲気とした後、ベーキング、電子線洗浄室102へ送られる。べーキング、電子線洗浄室102では、10−5Pa程度の高真空度に達した時点で、背面側組立体および前面基板11を300℃程度の温度に加熱してベーキングし、各部材の表面吸着ガスを十分に放出させる。
この温度ではインジウム層(融点約156℃)32が溶融する。しかし、インジウム層32は親和性の高い下地層31上に形成されているため、インジウムが流動することなく下地層31上に保持され、電子放出素子22側や背面基板の外側、あるいは蛍光体スクリーン16側への流出が防止される。
この温度ではインジウム層(融点約156℃)32が溶融する。しかし、インジウム層32は親和性の高い下地層31上に形成されているため、インジウムが流動することなく下地層31上に保持され、電子放出素子22側や背面基板の外側、あるいは蛍光体スクリーン16側への流出が防止される。
また、べーキング、電子線洗浄室102では、加熱と同時に、べーキング、電子線洗浄室102に取付けられた図示しない電子線発生装置から、前面基板11の蛍光体スクリーン面、および背面基板12の電子放出素子面に電子線を照射する。この電子線は、電子線発生装置外部に装着された偏向装置によって偏向走査されるため、蛍光体スクリーン面、および電子放出素子面の全面を電子線洗浄することが可能となる。
加熱、電子線洗浄後、背面基板側組立体および前面基板11は冷却室103に送られ、たとえば約100℃の温度の温度まで冷却される。続いて、背面側組立体および前面基板11はゲッタ膜の蒸着室104へ送られ、ここで蛍光体スクリーンの外側にゲッタ膜としてBa膜が蒸着形成される。このBa膜は、表面が酸素や炭素などで汚染されることが防止され、活性状態を維持することができる。
加熱、電子線洗浄後、背面基板側組立体および前面基板11は冷却室103に送られ、たとえば約100℃の温度の温度まで冷却される。続いて、背面側組立体および前面基板11はゲッタ膜の蒸着室104へ送られ、ここで蛍光体スクリーンの外側にゲッタ膜としてBa膜が蒸着形成される。このBa膜は、表面が酸素や炭素などで汚染されることが防止され、活性状態を維持することができる。
つぎに、背面側組立体および前面基板11は組立室105に送られ、ここで200℃まで加熱されインジウム層32が再び液状に溶融あるいは軟化される。この状態で、前面基板11と側壁18とを接合して所定の圧力で加圧した後、インジウムを除冷して固化させる。これにより、前面基板11と側壁18とが、インジウム層32および下地層31を融合した封着層33によって封着され、真空外囲器10が形成される。このようにして形成された真空外囲器10は、冷却室106で常温まで冷却された後、アンロード室107から取り出される。以上の工程により、FEDが完成する。
以上のように構成されたFEDおよびその製造方法によれば、真空雰囲気中で前面基板11、および背面基板12の封着を行うことにより、ベーキングおよび電子線洗浄の併用によって基板の表面吸着ガスを十分に放出させることができ、ゲッタ膜も酸化されず十分なガス吸着効果を得ることができる。これにより、高い真空度を維持可能なFEDを得ることができる。
以上のように構成されたFEDおよびその製造方法によれば、真空雰囲気中で前面基板11、および背面基板12の封着を行うことにより、ベーキングおよび電子線洗浄の併用によって基板の表面吸着ガスを十分に放出させることができ、ゲッタ膜も酸化されず十分なガス吸着効果を得ることができる。これにより、高い真空度を維持可能なFEDを得ることができる。
封着材料としてインジウムを使用することにより封着時の発泡を抑えることができ、気密性および封着強度の高いFEDを得ることが可能となる。同時に、インジウム層32の下に下地層31を設けることにより、封着工程においてインジウムが溶融した場合でもインジウムの流出を防止し所定位置に保持することができる。したがって、インジウムの取扱いが簡単となり、50インチ以上の大型の画像表示装置であっても容易に、かつ確実に封着することができる。
さらに、超音波を印加しながらインジウムを充填することにより、封着面あるいは下地層31に対するインジウムの濡れ性が向上し、金属封着材としてインジウムを用いた場合でも、インジウムを所望の位置に良好に充填することが可能となる。また、溶融したインジウムを下地層31に沿って連続的に充填することができ、下地層に沿って切れ目なく延びたインジウム層を形成することが可能となる。
さらに、超音波を印加しながらインジウムを充填することにより、封着面あるいは下地層31に対するインジウムの濡れ性が向上し、金属封着材としてインジウムを用いた場合でも、インジウムを所望の位置に良好に充填することが可能となる。また、溶融したインジウムを下地層31に沿って連続的に充填することができ、下地層に沿って切れ目なく延びたインジウム層を形成することが可能となる。
段部の無いノズル先端面であると、インジウムがノズルの先端面周縁から粒状となって周辺へ飛散し易い。これに対して本発明ではノズル55の先端面55c周縁に沿って段部Dを形成したので、インジウムは一旦、段部58と下地層31との間の空間部Sに溜ってから下地層31に塗布されるようになり、飛散を防止してパネル有効面を汚すことがなく、信頼性の向上を得られる。
本実施の形態のように下地層31を用いた場合、超音波を印加しながら溶融インジウムを充填することにより、充填した時点でインジウムの一部が下地層31の表面部内に拡散して合金層を形成することができる。そのため、封着時にインジウムが溶融した場合でも、インジウムの流動を一層確実に防止し所定位置に保持することができる。以上のことから、金属封着材の取扱いが容易であり、真空雰囲気中で容易に、かつ確実に封着を行うことが可能な画像表示装置の製造方法を得ることができる。
本実施の形態のように下地層31を用いた場合、超音波を印加しながら溶融インジウムを充填することにより、充填した時点でインジウムの一部が下地層31の表面部内に拡散して合金層を形成することができる。そのため、封着時にインジウムが溶融した場合でも、インジウムの流動を一層確実に防止し所定位置に保持することができる。以上のことから、金属封着材の取扱いが容易であり、真空雰囲気中で容易に、かつ確実に封着を行うことが可能な画像表示装置の製造方法を得ることができる。
なお、上述した実施の形態では、前面基板11の封着面と側壁18の封着面との両方に下地層31およびインジウム層32を形成した状態で封着するようにしたが、いずれか一方、たとえば前面基板11の封着面のみに下地層31およびインジウム層32を形成した状態で封着する構成としてもよい。
また、上述した実施の形態では、封着面に下地層を形成し、その上にインジウム層を形成する構成としたが、下地層を用いることなく直接、封着面上にインジウム層を充填する構成としても良い。この場合においても、超音波を印加しながら溶融したインジウムを充填することにより、封着面に対するインジウムの濡れ性が向上し、所望位置にかつ連続的にインジウムを充填することができる。これらの構成において、インジウムを充填するノズルの先端面に段部を備えていることは言うまでもない。
上述した実施の形態では、電子放出素子として電界放出型の電子放出素子を用いたが、これに限らず、pn型の冷陰極素子あるいは表面伝導型の電子放出素子等の他の電子放出素子を用いてもよい。また、この発明は、プラズマ表示パネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の他の画像表示装置の製造にも適用可能である。
また、上述した実施の形態では、封着面に下地層を形成し、その上にインジウム層を形成する構成としたが、下地層を用いることなく直接、封着面上にインジウム層を充填する構成としても良い。この場合においても、超音波を印加しながら溶融したインジウムを充填することにより、封着面に対するインジウムの濡れ性が向上し、所望位置にかつ連続的にインジウムを充填することができる。これらの構成において、インジウムを充填するノズルの先端面に段部を備えていることは言うまでもない。
上述した実施の形態では、電子放出素子として電界放出型の電子放出素子を用いたが、これに限らず、pn型の冷陰極素子あるいは表面伝導型の電子放出素子等の他の電子放出素子を用いてもよい。また、この発明は、プラズマ表示パネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の他の画像表示装置の製造にも適用可能である。
12…背面基板、11…前面基板、10…真空外囲器、55c…(ノズルの)先端面、D…段部、55…ノズル、32…インジウム層、18…側壁、40…支持台、56…超音波振動素子、46…充填ヘッド、57…供給孔。
Claims (6)
- 背面基板、およびこの背面基板に対向配置された前面基板を有する外囲器と、上記外囲器内に設けられた複数の表示素子と、を備えた画像表示装置の製造方法において、
先端面の周縁に沿って段部を備えたノズルを上記背面基板と上記前面基板との間の封着面に当て、ノズルに超音波を印加しながら溶融した金属封着材を上記封着面に充填する工程と、
上記封着面に金属封着材を充填した後、上記金属封着材を加熱して溶融させ、上記背面基板と上記前面基板とを上記封着面で直接あるいは間接的に封着する工程と、
を具備することを特徴とする画像表示装置の製造方法。 - 背面基板と、この背面基板に対向配置された前面基板と、上記前面基板の周縁部と上記背面基板の周縁部との間に配設され上記前面基板および背面基板に封着された側壁とを有する外囲器と、上記外囲器内に設けられた複数の画素表示素子とを備え、
上記前面基板と側壁との間の封着面、および上記背面基板と側壁との間の封着面の少なくとも一方が金属封着材層により封着されている画像表示装置の製造方法において、
先端面の周縁に沿って段部を備えたノズルを上記少なくとも一方の封着面に当て、ノズルに超音波を印加しながら溶融した金属封着材を上記封着面に充填する工程と、
上記封着面に金属封着材を充填した後、上記金属封着材を加熱して溶融させ、上記背面基板、前面基板、および側壁を上記封着面で封着する工程と、
を具備することを特徴とする画像表示装置の製造方法。 - 上記金属封着材は、低融点金属材料が用いられることを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の画像表示装置の製造方法。
- 上記低融点金属材料は、In、Bi、Sn、Gaの単体または、少なくとも一つが含まれる合金であることを特徴とする請求項3記載の画像表示装置の製造方法。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像表示装置の製造方法において封着面に対し金属封着材を充填する封着材充填装置であって、
上記封着面を有する被封着物を位置決め支持する支持台と、
上記溶融した金属封着材を貯溜する貯溜部、および上記貯溜部から送られる溶融金属封着材を上記封着面に充填するノズルを有する充填ヘッドと、
この充填ヘッドの上記ノズルに連結され、ノズルに超音波を印加する超音波発生部とを具備し、
上記ノズルは、中心軸に沿って、上記貯溜部から送られた溶融金属封着材を先端面に供出案内する供給孔を備えるとともに、ノズルの先端面周縁に沿って段部が設けられることを特徴とする封着材充填装置。 - 上記ノズルは、先端部が断面矩形状に形成され、先端面の封着面接触部分が矩形状に形成されることを特徴とする請求項5記載の封着材充填装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007167791A (ja) * | 2005-12-22 | 2007-07-05 | Shibaura Mechatronics Corp | ペースト塗布装置、これを用いた表示パネルの製造装置、及び、ペースト塗布方法 |
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2004
- 2004-05-19 JP JP2004149330A patent/JP2005332667A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007167791A (ja) * | 2005-12-22 | 2007-07-05 | Shibaura Mechatronics Corp | ペースト塗布装置、これを用いた表示パネルの製造装置、及び、ペースト塗布方法 |
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