JP2005330988A - シール材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 真空保持性と耐腐食ガス性を具備し、その真空保持性と耐腐食ガス性を長期的に維持できるシール材を提供することを目的とする。
【解決手段】 開口部4と、第1側壁面1と、第2側壁面2と、底壁面3とを、有する環状の装着溝5内に装着される環状のシール材30であって、そのシール材30は、腐食ガス収納室Z側の第1側壁面1に対向して配設される耐腐食用リング6と、第2側壁面2側に配設される弾性シール本体7と、から成るものである。かつ、耐腐食用リング6は、第2側壁面2側に開口する嵌込凹溝8を有する横断面形状が略C字状であり、弾性シール本体7は、横断面に於て第2側壁面2側に膨出する略半円部9と、嵌込凹溝8に挿嵌される突部10を有している。さらに、弾性シール本体7には、底壁面3側と、開口部4に相対的に接近する相手部材20側に、それぞれ膨出する小突隆部11,11を備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体製造装置又は液晶パネルの表面処理装置等に使用される耐腐食ガス性に優れたシール材に係り、特には、シール性に加え、耐プラズマ性、耐腐食性を兼ね備えたシール材に関する。
半導体製造装置又は液晶パネルの表面処理装置に使用されるシール材は、真空環境を作り出すために、一般にフッ素ゴムのOリングが用いられていたが、このOリングは、半導体のドライエッチングや液晶パネルの表面処理プロセスに於て、反応性ガス(具体的には、四フッ化炭素、三フッ化炭素、六フッ化硫黄)雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、又は、反応性ガスと酸素ガスとの混合気体雰囲気下でのプラズマ処理という過酷な条件に曝されるため、劣化(腐食)して発塵し、半導体ウエハー上にコンタミ(不純物・異物)を付着させる原因となっていた。
一方、耐腐食ガス性(耐反応ガス性及び耐プラズマ性)を有する材料には、フッ素樹脂等が挙げられるが、フッ素樹脂は弾性が小さいので、シール性が充分でなく接面漏れが発生し、真空を保持する目的には使用できなかった。
そこで、上記問題を解決するため、図9に示すように、従来の装着溝に装着されるOリングは、合成ゴムの部位40と耐腐食性材料の部位41とから成り、合成ゴムの部位40を大気22側に配置し、耐腐食性材料の部位41を腐食ガス21側に配置することで、耐腐食性材料の部位41は合成ゴムの部位40を腐食ガス21から保護し、合成ゴムの部位40は真空を維持できた(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−2328号公報
しかし、図9に示した従来のシール材は断面が円形であるため、そのOリングが相手部材20から圧縮荷重を受けた圧縮使用状態に於て、耐腐食性材料の部位41は装着溝及び相手部材20に密着する範囲が少なく、合成ゴムの部位40と耐腐食性材料の部位41との隣接部分では、耐腐食性材料の部位41は、合成ゴムを腐食ガス21から完全に保護することができず、長期的に合成ゴムの劣化を抑止して真空を維持することができない問題があった。
そこで、本発明は、真空保持性(密封性)と耐腐食ガス性を具備し、その真空保持性(密封性)と耐腐食ガス性を長期的に維持できるシール材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るシール材は、開口部と、第1側壁面と、第2側壁面と、底壁面とを、有する環状の装着溝内に装着される環状のシール材であって、該シール材は、腐食ガス収納室側の第1側壁面に対向して配設される耐腐食用リングと、第2側壁面側に配設される弾性シール本体と、から成り、該耐腐食用リングは、第2側壁面側に開口する嵌込凹溝を有する横断面形状が略C字状であり、上記弾性シール本体は、横断面に於て第2側壁面側に膨出する略半円部と、上記嵌込凹溝に挿嵌される突部を有し、さらに、弾性シール本体には、上記底壁面側と、上記開口部に相対的に接近する相手部材側に、それぞれ膨出する小突隆部を備えた。
また、開口部と、相互に該開口部側に近づくにつれて接近する第1側壁面・第2側壁面と、底壁面とを、有する環状の蟻溝形の装着溝内に装着される環状のシール材であって、該シール材は、腐食ガス収納室側の第1側壁面に対向して配設される耐腐食用リングと、第2側壁面側に配設される弾性シール本体と、から成り、該耐腐食用リングは、第2側壁面側に開口する嵌込凹溝を有する横断面形状が略C字状であり、上記弾性シール本体は、横断面に於て第2側壁面側に膨出する略半円部と、上記嵌込凹溝に挿嵌される突部を有し、さらに、弾性シール本体には、上記底壁面側と、上記開口部に相対的に接近する相手部材側に、それぞれ膨出する小突隆部を備えた。
また、上記耐腐食用リングはフッ素樹脂から成り、上記弾性シール本体はフッ素ゴム又はシリコーンゴムから成っている。
また、装着未圧縮状態に於て、底壁面側の小突隆部は、上記耐腐食用リングの底壁面側の端面より底壁面側へ突出し、相手部材側の小突隆部は、耐腐食用リングの相手部材側の端面より相手部材側へ突出して形成されている。
また、上記嵌込凹溝の底面と、その底面に向かい合う上記突部の端面との間に隙間を設けた。
また、上記シール材が、半導体製造装置用又は液晶パネルの表面処理装置用のものである。
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
本発明に係るシール材によれば、耐腐食用リング6は、腐食ガス収納室Zからの腐食ガス21が弾性シール本体7に接するのを抑止でき、弾性シール本体7は、大気22が腐食ガス21側へ入り込むのを阻止できる。従って、弾性シール本体7は、腐食ガス21によって劣化しないので、真空保持性を長期的に維持でき、かつ、その劣化による弾性シール本体7の発塵が起こらないので、製品に不純物や異物が付着することがなくなる。
以下、実施の形態に示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1・図2・図3に示す第1の実施形態に於て、23はシール取付部材であり、シール取付部材23は装着溝5を具備し、装着溝5は、開口部4と、相互にその開口部4に近づくにつれて接近する第1側壁面1・第2側壁面2と、底壁面3とを、有する環状の横断面台形の蟻溝である。本発明はその装着溝5内に装着される(全体が環状の)シール材30であり、第1側壁面1を内周側に配設し、第2側壁面2を外周側に配設している。なお、この環状には円形状、矩形状及びその他の形状も含まれる。20は開口部4に相対的に接近する相手部材である。
図1は、シール材30が装着溝5内に装着されているが、シール材30は相手部材20から圧縮荷重を受けていない状態──装着未圧縮状態──を示す。図2は、シール材30が装着溝5へ装着される前の状態──自由状態──を示す。また、図3は、シール材30が装着溝5内に装着されて、相手部材20から圧縮荷重を受けている状態──圧縮使用状態──を示す。なお、図1及び図3では、シール取付部材23と相手部材20は互いに平行に配置されている。
図1に示す装着未圧縮状態に於て、Zは反応性ガス(具体的には、四フッ化炭素、三フッ化炭素、六フッ化硫黄)やプラズマ状態にあるガス等が含まれる腐食ガスを収納する腐食ガス収納室であり、第1側壁面1は腐食ガス収納室Z側に配置され、第2側壁面2は大気22側に配置されている。シール材30は、第1側壁面1側に(接近又は接触するように)配設される耐腐食用リング6と、第2側壁面2側に(接近又は接触するように)配設される弾性シール本体7と、から成り、言い換えると、耐腐食用リング6は内周側に配置され、弾性シール本体7は外周側に配置されている。また、耐腐食用リング6は、PFA、FEP、PTFE等のフッ素樹脂製であり、中でも、耐腐食性の点でPTFEが最も好ましい。弾性シール本体7は、公知のゴム材料であれば良く、具体的には、シリコーンゴム製、フッ素ゴム製、ニトリルゴム製等が適用でき、中でも、耐プラズマ性や耐腐食ガス性が優れている点で、シリコーンゴム製、フッ素ゴム製が好ましい。さらに、シール材30が物理的劣化(イオン化した原子が弾性シール本体7を削り取るように傷つけること)の起こり易い箇所に装着される場合は、弾性シール本体7はシリコーンゴム製であることが好ましく、シール材30が化学的劣化(反応性ガスが弾性シール本体7に接触し、腐食劣化させること)の起こり易い箇所に装着される場合は、弾性シール本体7はフッ素ゴム製であることが好ましい。
さらに、弾性シール本体7は、特に酸素プラズマ処理(酸素ラジカル状態)の環境下で用いる場合、以下に記す耐酸素プラズマ性に優れた(ア)又は(イ)の素材から成型されることが好ましい。
(ア)は、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、又は、及び、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体 100重量部に対して、硫酸バリウム20〜100 重量部を配合して成る組成物をポリオール加硫した素材である。
(イ)は、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、又は、及び、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体 100重量部に対して、さらに四フッ化エチレン樹脂 0.5〜30重量部を配合して成る素材である。
耐腐食用リング6は、第2側壁面2側──大気側──に開口する嵌込凹溝8を有し、その横断面は略C字状に形成されている。
弾性シール本体7は、横断面に於て第2側壁面2側に膨出する略半円部9と、上記嵌込凹溝8に挿嵌される突部10を有し、かつ、弾性シール本体7の横断面はきのこ形(マッシュルーム形)に形成されている。きのこ傘に相当する略半円部9には、上記底壁面3側と相手部材20側に、それぞれ膨出する小突隆部11,11を備えている。
また、底壁面3側の小突隆部11は、耐腐食用リング6の底壁面3側の端面12より底壁面3側へ突出し、相手部材20側の小突隆部11は、耐腐食用リング6の相手部材20側の端面13より相手部材20側へ突出して形成されている。なお、耐腐食用リング6の変形とクリープを抑制するために、端面12,13は平坦に形成されると共に、底壁面3側の端面12は底壁面3と平行に配置され、相手部材20側の端面13は相手部材20と平行に配置されている。また、端面12と端面13は互いに平行である。この小突隆部11は低く小さい丸山形である。
次に、図2に示す自由状態に於て、耐腐食用リング6の内周側へ膨出する凸曲面の横断面は円弧状に形成され、嵌込凹溝8の底面17は横断面円弧状の凹曲面である。
略半円部9は、外周側へ膨出する横断面弧状の大弧状部15と、小突隆部11,11の表面を形成する横断面弧状の小弧状部16,16を有する。さらに、突部10は、横断面が略矩形に形成されている。
また、嵌込凹溝8の底面17と、その底面17に向かい合う突部10の端面との間に隙間14を設けている。この隙間14は、圧縮変形時(装着未圧縮状態から圧縮使用状態へ変化する時)の弾性シール本体7の体積移動を調整できるために設けている。嵌込凹溝8に挿嵌された突部10が外れにくくするために、突部10の幅寸法D2 は嵌込凹溝8の幅寸法D1 より若干大きく設定してもよく、また、嵌込凹溝8の幅寸法D1 を外周側に向かって徐々に小さく設定し、突部10の幅寸法D2 を内周側に向かって徐々に大きくなるように設定しても自由である。
図4と図5に示す第2の実施の形態に於て、図4は装着未圧縮状態を示し、図5は分解した自由状態を示す。環状の装着溝5の第1側壁面1は外周側に配設され、第2側壁面2は内周側に配設されている。従って、耐腐食用リング6は外周側に配設され、弾性シール本体7は内周側に配設されている。なお、図4と図5に於て、図1・図2と同一の符号は図1・図2と同様の構成であるので、説明を省略する。
図6と図7に示す第3の実施の形態に於て、図6は装着未圧縮状態を示し、図7は圧縮使用状態を示す。環状の装着溝5の第1側壁面1と第2側壁面2は、底壁面3に直交して形成されている。すなわち、装着溝5は横断面矩形であり、全ての位置での溝幅寸法が同一に形成されている。また、第1側壁面1は内周側に配設され、第2側壁面2は外周側に配設されている。従って、耐腐食用リング6は内周側に配設され、弾性シール本体7は外周側に配設されている。なお、図6と図7に於て、図1・図3と同一の符号は図1・図3と同様の構成であるので、説明を省略する。
また、第1側壁面1と第2側壁面2が底壁面3に直交して形成される環状の装着溝5に於て、耐腐食用リング6を外周側に配設し、弾性シール本体7を内周側に配設した(第1側壁面1を外周側に配設し、第2側壁面2を内周側に配設した)シール材を本発明の第4の実施形態としてもよい(図示省略)。
図8は比較例を示し、この図8に於て、図6に示す装着溝5と同様の装着溝5に、シール材が装着されており、そのシール材は、第1側壁面1側に開口する嵌込凹溝80を有すると共に、第2側壁面2側に配設される弾性シール本体70と、その嵌込凹溝80に挿嵌される突部100 を有すると共に、第1側壁面1側に配設される樹脂製耐腐食用リング60と、から成るものである。さらに、弾性シール本体70には、底壁面3側と相手部材20側に、それぞれ膨出する小突隆部110 ,110 を備え、耐腐食用リング60はフッ素樹脂製であり、弾性シール本体70はフッ素ゴム製又はシリコーンゴム製である。
この図8に示すシール材は、相手部材20から圧縮荷重を受けて圧縮された場合、耐腐食用リング60が充分に弾性変形しないので(半導体製造装置や液晶パネルの表面処理装置で発生する程度の圧縮荷重では弾性変形しないので)、腐食ガス収納室Zから腐食ガス21(弾性シール本体70を劣化させる要因)が弾性シール本体70側へ流れ易く、弾性シール本体70の劣化(腐食)を長期的に防止できず、シール材30の製品寿命が短い。
これに対し、図1に示す本発明では、耐腐食用リング6の底壁面3側の突出端部32と相手部材20側の突出端部33の厚さ寸法Aを 0.1mm〜0.8mm に設定し弾性シール本体7と複合化された構造であるので、相手部材20からの圧縮荷重で弾性変形し易くしており、詳細には、弾性変形した弾性シール本体7の体積移動を隙間14で調整できるようにしているので、耐腐食用リング6は相手部材20の極微小の凹凸にも沿って弾性変形して、腐食ガス収納室Zから弾性シール本体7側へ腐食ガス21が流れるのを防ぐことが可能となっている。このように、耐腐食用リング6の突出端部32,33の厚さ寸法Aが十分に小さいので弾性変形しやすく、しかも、弾性シール本体7の突部10が耐腐食用リング6の嵌込凹溝8内に挿嵌されているため、シール材30が圧縮荷重を受けた場合、突出端部32,33は突部10と共に圧縮され弾性変形して、(複合構造として)シール性を一層発揮することができる。
上述した本発明であるシール材30の使用方法(作用)について説明する。
図2に於て、嵌込凹溝8に突部10を挿嵌することで、耐腐食用リング6と弾性シール本体7を組み合わせ、自由状態にあるシール材30を形成する。
次に、図1に示すように、嵌込凹溝8の底面17と、底面17に向かい合う突部10の端面とが、接近又は接触するように、シール材30を圧縮しながら、蟻溝形の装着溝5にシール材30を装着し、装着未圧縮状態とする。
そして、シール取付部材23と相手部材20とを相対的に接近させると、シール材30は圧縮荷重を受け図3に示すように圧縮使用状態になる。この場合、耐腐食用リング6の底壁面3側の端面12は底壁面3と密着し、相手部材20側の端面13は相手部材20と密着し、腐食ガス収納室Zからの腐食ガス21が、弾性シール本体7側へ流れるのを防ぐ。さらに、耐腐食用リング6は第1側壁面1とも密着し、端面12側へ腐食ガス21が流れるのを防ぐ。
また、弾性シール本体7の小突隆部11,11は、圧縮荷重により圧縮され潰され、弾性シール本体7は、底壁面3と相手部材20に高い面圧にて密着し、大気22が腐食ガス21側(真空側)へ入り込むのを阻止する。さらに、弾性シール本体7は第2側壁面2とも密着する。
なお、耐腐食用リング6の横断面形状としては、図示のものの他に嵌込凹溝8が深いU字に近いものであったり、逆に、浅いキャップ状(円弧状)に近いものでもよい。(これらを全て略C字状と呼ぶ。)また、小突隆部11の横断面形状を三角山形状としたり、図例では単数であるが、これを2個以上としてもよい。
以上のように、本発明であるシール材は、開口部4と、第1側壁面1と、第2側壁面2と、底壁面3とを、有する環状の装着溝5内に装着される環状のシール材30であって、該シール材30は、腐食ガス収納室Z側の第1側壁面1に対向して配設される耐腐食用リング6と、第2側壁面2側に配設される弾性シール本体7と、から成り、該耐腐食用リング6は、第2側壁面2側に開口する嵌込凹溝8を有する横断面形状が略C字状であり、上記弾性シール本体7は、横断面に於て第2側壁面2側に膨出する略半円部9と、上記嵌込凹溝8に挿嵌される突部10を有し、さらに、弾性シール本体7には、上記底壁面3側と、上記開口部4に相対的に接近する相手部材20側に、それぞれ膨出する小突隆部11,11を備えたので、耐腐食用リング6は、腐食ガス21が弾性シール本体7側へ流れるのを抑止でき、弾性シール本体7は、大気22が腐食ガス21側(真空側)へ入り込むのを阻止できる。従って、弾性シール本体7は腐食ガス21によって劣化しないので、真空保持性を長期的に維持でき、かつ、その劣化による弾性シール本体7の発塵が起こらないので、製品に不純物が付着することがなくなる。
また、耐腐食用リング6は横断面形状が略C字状であるので、圧縮弾性変形し易く、シール取付部材23と相手部材20との間隔の増減にも対応可能であり、安定姿勢を保ちつつ、腐食ガス21が弾性シール本体7に接触することを防ぎ得る。
また、開口部4と、相互に該開口部4側に近づくにつれて接近する第1側壁面1・第2側壁面2と、底壁面3とを、有する環状の蟻溝形の装着溝5内に装着される環状のシール材30であって、該シール材30は、腐食ガス収納室Z側の第1側壁面1に対向して配設される耐腐食用リング6と、第2側壁面2側に配設される弾性シール本体7と、から成り、該耐腐食用リング6は、第2側壁面2側に開口する嵌込凹溝8を有する横断面形状が略C字状であり、上記弾性シール本体7は、横断面に於て第2側壁面2側に膨出する略半円部9と、上記嵌込凹溝8に挿嵌される突部10を有し、さらに、弾性シール本体7には、上記底壁面3側と、上記開口部4に相対的に接近する相手部材20側に、それぞれ膨出する小突隆部11,11を備えたので、耐腐食用リング6は、腐食ガス21が弾性シール本体7側に接触するのを抑止でき、弾性シール本体7は、大気22が腐食ガス21側(真空側)へ入り込むのを阻止できる。従って、弾性シール本体7は腐食ガス21によって劣化しないので、真空保持性を長期的に維持でき、かつ、その劣化による弾性シール本体7の発塵が起こらないので、製品に不純物が付着することがなくなる。
また、上記耐腐食用リング6はフッ素樹脂から成り、上記弾性シール本体7はフッ素ゴム又はシリコーンゴムから成るので、耐腐食用リング6は、耐腐食ガス性──耐反応ガス性及び耐プラズマ性──を長期的に維持でき、弾性シール本体7は、真空維持力(弾発力)を長期的に維持できる。このことにより、耐腐食用リング6と弾性シール本体7の劣化による発塵が起こらないので、製品に不純物が付着することがなくなる。
また、装着未圧縮状態に於て、底壁面3側の小突隆部11は、上記耐腐食用リング6の底壁面3側の端面12より底壁面3側へ突出し、相手部材20側の小突隆部11は、耐腐食用リング6の相手部材20側の端面13より相手部材20側へ突出して形成されたので、圧縮使用状態に於て、小突隆部11,11が圧縮荷重により圧縮され潰されることにより、弾性シール本体7は底壁面3と相手部材20に高い面圧にて密着できる。これにより、弾性シール本体7は、大気22が腐食ガス21側(真空側)へ入り込むのを阻止できる。
また、上記嵌込凹溝8の底面17と、その底面17に向かい合う上記突部10の端面との間に隙間14を設けたので、装着溝5が蟻溝形の場合や、装着溝5の溝幅寸法がシール材30の幅寸法より小さく設定されている場合であっても、その装着溝5にシール材30を容易に装着できる。このような装着溝5にシール材30を装着することで、シール材30は装着溝5から外れにくく、かつ、耐腐食用リング6は、腐食ガス21が弾性シール本体7側に接触するのをさらに抑止でき、弾性シール本体7のシール性を一層向上させることができる。また、相手部材20からの圧縮荷重で弾性変形した弾性シール本体7の体積移動を隙間14で調整できるようにしているので、弾性シール本体7が十分に変形して、腐食ガス収納室Zから弾性シール本体7側へ腐食ガス21が流れるのを防ぐこと、気密性を保持することが可能となっている。
また、上記シール材30が、半導体製造装置用又は液晶パネルの表面処理装置用であるので、反応性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、又は、反応性ガスと酸素ガスの混合気体雰囲気下に於て、耐腐食用リング6は、腐食ガス21が弾性シール本体7側に接触するのを抑止でき、弾性シール本体7は、大気22が腐食ガス21側(真空側)へ入り込むのを阻止できる。
本発明の第1の実施の形態を示す装着未圧縮状態の要部拡大断面図である。 自由状態を示す要部拡大断面図である。 圧縮使用状態を示す要部拡大断面図である。 第2の実施の形態を示す装着未圧縮状態の要部拡大断面図である。 自由状態を示す要部拡大断面図である。 第3の実施の形態を示す装着未圧縮状態の要部拡大断面図である。 圧縮使用状態を示す要部拡大断面図である。 比較例を示す要部拡大断面図である。 従来のシール材を示す断面図である。
符号の説明
1 第1側壁面
2 第2側壁面
3 底壁面
4 開口部
5 装着溝
6 耐腐食用リング
7 弾性シール本体
8 嵌込凹溝
9 略半円部
10 突部
11 小突隆部
12 端面
13 端面
14 隙間
20 相手部材
30 シール材
Z 腐食ガス収納室

Claims (6)

  1. 開口部(4)と、第1側壁面(1)と、第2側壁面(2)と、底壁面(3)とを、有する環状の装着溝(5)内に装着される環状のシール材(30)であって、該シール材(30)は、腐食ガス収納室(Z)側の第1側壁面(1)に対向して配設される耐腐食用リング(6)と、第2側壁面(2)側に配設される弾性シール本体(7)と、から成り、
    該耐腐食用リング(6)は、第2側壁面(2)側に開口する嵌込凹溝(8)を有する横断面形状が略C字状であり、
    上記弾性シール本体(7)は、横断面に於て第2側壁面(2)側に膨出する略半円部(9)と、上記嵌込凹溝(8)に挿嵌される突部(10)を有し、
    さらに、弾性シール本体(7)には、上記底壁面(3)側と、上記開口部(4)に相対的に接近する相手部材(20)側に、それぞれ膨出する小突隆部(11)(11)を備えたことを特徴とするシール材。
  2. 開口部(4)と、相互に該開口部(4)側に近づくにつれて接近する第1側壁面(1)・第2側壁面(2)と、底壁面(3)とを、有する環状の蟻溝形の装着溝(5)内に装着される環状のシール材(30)であって、該シール材(30)は、腐食ガス収納室(Z)側の第1側壁面(1)に対向して配設される耐腐食用リング(6)と、第2側壁面(2)側に配設される弾性シール本体(7)と、から成り、
    該耐腐食用リング(6)は、第2側壁面(2)側に開口する嵌込凹溝(8)を有する横断面形状が略C字状であり、
    上記弾性シール本体(7)は、横断面に於て第2側壁面(2)側に膨出する略半円部(9)と、上記嵌込凹溝(8)に挿嵌される突部(10)を有し、
    さらに、弾性シール本体(7)には、上記底壁面(3)側と、上記開口部(4)に相対的に接近する相手部材(20)側に、それぞれ膨出する小突隆部(11)(11)を備えたことを特徴とするシール材。
  3. 上記耐腐食用リング(6)はフッ素樹脂から成り、上記弾性シール本体(7)はフッ素ゴム又はシリコーンゴムから成る請求項1又は2記載のシール材。
  4. 装着未圧縮状態に於て、底壁面(3)側の小突隆部(11)は、上記耐腐食用リング(6)の底壁面(3)側の端面(12)より底壁面(3)側へ突出し、相手部材(20)側の小突隆部(11)は、耐腐食用リング(6)の相手部材(20)側の端面(13)より相手部材(20)側へ突出して形成された請求項1,2又は3記載のシール材。
  5. 上記嵌込凹溝(8)の底面(17)と、その底面(17)に向かい合う上記突部(10)の端面との間に隙間(14)を設けた請求項1,2,3又は4記載のシール材。
  6. 上記シール材(30)が、半導体製造装置用又は液晶パネルの表面処理装置用である請求項1,2,3,4又は5記載のシール材。
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