JP2005330952A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 排気規制に適合容易であって殊に小排気量のエンジンに好適な空燃比制御装置を提供すること。
【解決手段】 汎用エンジンや作業機械用エンジンなどの比較的小型のエンジン１に燃料を供給する気化器２の定燃料室３から吸気通路４に燃料を送出する燃料通路５に設置した燃料制御部材６と、前記エンジン１の排気管９に設置した可燃性ガスセンサ１０と、電子式コントロールユニット１１とを備え、前記コントロールユニット１１は前記可燃性ガスセンサ１０が検知した排気中の可燃性ガス成分濃度に応じて前記燃料制御部材６を作動させて燃料流量を制御するものとした。
【選択図】 図１

Description

本発明は排気規制に適合容易であって例えば汎用エンジン、小型汎用エンジン、携帯作業機械用エンジン、芝刈り機用エンジンなどのように乗用エンジンと異なり比較的小型で取付空間に余裕がないような作業機械の動力源に使用されるエンジンなどに実施可能な空燃比制御装置に関する。

エンジンの排気に含まれる有害成分を減少させて排気規制に適合させるため、例えば排気ガス中に含まれる酸素量を酸素センサ（以下「Ｏ２センサ」という）を使用して検知し、濃度に応じて理論空燃比となるように燃料流量を制御し、且つ三元触媒を使用して有害成分を高転化率で無害成分化する空燃比制御装置は周知である。

しかし、前記従来の空燃比制御装置は、Ｏ２センサおよび三元触媒に加えてかなりの容量の電子式コントロールユニットが必要となり、機械を大幅に大形化・複雑化・大重量化・高価格化することを避けられず、例えば携帯作業機械など小型、軽量で取扱いやすいことが要求される例えば汎用エンジンなどに採用することは困難である。

その対応の一つとして、２サイクルエンジンに燃料を供給する気化器の定燃料室から吸気通路に燃料を送出する燃料通路に電動モータ駆動の調整針弁および所望により電磁駆動の開閉弁を設け、エンジン回転数に応じて電子式コントロールユニットが調整針弁および開閉弁を動作させることにより、混合気希薄領域で空燃比制御を行うことが米国特許第５，７０９，１９３号明細書に記載されている。このものはＯ２センサを用いることなく燃料流量を制御し空燃比制御を行うことができることで小型化が可能で、汎用エンジンなどにも採用することが可能であるが、排気の実際の状態を検知して排気規制に対応することを直接考慮していないので実用性に乏しい。
米国特許第５，７０９，１９３号明細書

本発明は自動車エンジン向けの空燃比制御システムを汎用エンジンの空燃比制御にそのまま適用するには大きさ、重量、価格などの面で難点があり、またエンジン回転数を用いて空燃比制御を行うものとした前記の技術は簡便であるが排気規制に対応することを考慮していない、という点を解決し、排気規制に適合容易であって殊に小排気量のエンジンに好適な空燃比制御装置を提供することを目的とする。

前記課題を解決するために、本発明は汎用エンジンや作業機械用エンジンなどの比較的小型のエンジンに燃料を供給する気化器の定燃料室から吸気通路に燃料を送出する燃料通路に設置した燃料制御部材と、前記エンジンの排気管に設置した可燃性ガスセンサと、電子式コントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットは前記可燃性ガスセンサが検知した排気中の可燃性ガス成分濃度に応じて前記燃料制御部材を作動させて燃料流量を制御するものとした。

汎用エンジンを排気規制に適合させるために高精度の空燃比制御は必ずしも必要でなく、有害成分の濃度が排気規制数値範囲内であれば目的が達成される。本発明はＯ２センサに比べて大幅に安価な可燃性ガスセンサを使用して排気に含まれている有害成分と云われている可燃性ガスの内で任意の特定成分（例えば一酸化炭素（以下「ＣＯ」という）の濃度を検出し、その濃度を低下させるため混合気を希薄化するように燃料制御部材を作動させて燃料流量を制御するものであり、このことにより従来のような高価な酸素Ｏ２センサや三元触媒を使用したり大容量のコントロールユニットを使用することなく排気規制に適合するように空燃比を制御することができる。

尚、本発明における可燃性ガスとしては、一酸化炭素、水素、炭化水素および二酸化硫黄や二酸化窒素などの大気質などが揚げられる。

また、本発明はエンジンが冷却ファンを具えた強制空冷エンジンであって、この汎用エンジンに燃料を供給する気化器の定燃料室から吸気通路に燃料を送出する燃料通路に設置した燃料制御部材と、冷却ファンの吐出空気の一部を汎用エンジンの排気管に導入する空気送入路と、排気管の空気送入路接続個所よりも下流側に設置した可燃性ガスセンサと、電子式コントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットは前記可燃性ガスセンサが検知した排気中の可燃性ガス成分濃度に応じて前記燃料制御部材を作動させて燃料流量を制御することもできる。

可燃性ガスセンサは検知ガス濃度が低濃度範囲のものや耐熱性に劣るものが多い。本発明は空冷用空気の一部を排気に混入することによって有害成分濃度を検知可能な範囲に低下させ、また温度を使用可能な温度域に低下させて使用可能な可燃性ガスセンサの選択幅が広くなる。

また、本発明の目的を達成するうえで、可燃性ガスセンサとしてＣＯセンサを使用し燃料制御部材として電磁弁を使用するのが好適である。排気中の有害成分はＣＯが最大量であってエンジンの大きさや出力に関係なく混合気の高濃域で最高１０％程度となり、理論空燃比付近から希薄域で１％程度となることは周知である。 従って、ＣＯセンサを使用して排気中のＣＯ濃度を検知し排気規制適合範囲に減少させるように開閉弁を閉弁させることは目的達成にきわめて有効である。また、電磁弁として常開型を用いた場合には断線などにより作動しなくなったとき燃料通路を開放したままとするので、気化器としての通常の機能を維持してエンジン運転を継続させることができる。

本発明によると全体を大形・複雑・大重量・高価格とすることなく、殊に比較的小型の機械に用いる動力源であるエンジンについて排気規制に適合するように空燃比を簡易に且つ確実に制御することができるものである。

次に図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。

図１は本発明を燃料を供給する気化器２としては膜式気化器を用いたエンジン１に本発明を適用した場合の実施の形態を示すものであり、定燃料室３から吸気通路４に燃料を送出する燃料通路５に例えば開閉弁からなる燃料制御部材６が設置されている。

本実施の形態では、エンジン１は強制空冷エンジンであって冷却ファン７を具えており、この冷却ファン７の吐出空気の一部を空気送入路８によって汎用エンジン１の排気管９に導入するようになっている。そして、排気管９の空気送入路８接続個所よりも下流側には排気中の可燃性ガス（例えばＣＯガス）成分濃度を検知する可燃性ガスセンサ（例えばＣＯセンサ）１０が設置されている。

一方、電子式コントロールユニット１１が具えられており、このコントロールユニット１１は可燃性ガスセンサ１０が検知した可燃性ガスの濃度に基づいて燃料制御部材６に制御信号を送るようになっている。

燃料制御部材６は電動モータによって弁体を前後動させるものであってもよいが、電磁石によって弁体を前後動させるものが応答性にすぐれており、殊に常開型電磁弁は断線など電気系統に故障を生じたとき開弁位置に固定され燃料通路５を開放したままとして気化器２に通常の機能を維持させることができる、という点で好適である。

可燃性ガスセンサ１０は可燃性ガスの接触燃焼による熱線の温度変化を測定する接触燃焼式、ガスの電解による電解電流を測定するカルバニ電池式、金属酸化物半導体表面でのガス吸着による電導度変化を測定する半導体式などから適宣のものを選択して使用することができる。尚、可燃性ガスセンサ１０として例えばＣＯセンサを使用し、排気の多ければ１０％程度を占めるＣＯを排気規制適合範囲内とするように空燃比制御することが排気対策上好適である。

以上の構成を有する本実施の形態は、エンジン１の運転により発生する排気中の有害成分とされる可燃性ガスが可燃性ガスセンサ１０によって検知され、検出した可燃性ガス濃度はコントロールユニット１１に入力されて排気規制値を超えているか否かが判定される。そして、超えているときは可燃性ガス濃度に応じて設定した時間だけ燃料通路５を閉止して燃料供給を一時的に遮断するようにコントロールユニット１１が燃料制御部材６に閉弁信号を出力する。 閉弁は燃料不足によるエンジン不調を招くことがないようにごく短い時間だけ行って燃料流量を減少させ、その結果混合気が薄くなって可燃性ガス濃度が低下する。尚、一回の閉弁で排気規制に適合するに至らないときは、適合するまで閉弁を繰り返す。 この場合、エンジン運転に支障を与えることがないように、短時間の閉弁を或る間隔で繰り返し、また可燃性ガス濃度の低下に伴って閉弁時間を短くして排気規制適合範囲内に至らせるのが好ましい。

尚、可燃性ガスセンサ１０として例えばＣＯセンサなど市場に提供されているものから容易に入手することができるが、例えば半導体式ガスセンサのように低濃度ガスに対する感度が高いもので可燃性ガス濃度を検知させる場合、或いは、高温での使用に不適な可燃性ガスセンサの場合、冷却ファン７の吐出空気の一部を空気送入路８より排気管９に導入して排気を稀釈するとともに温度を低下するようにした本実施の形態によって対応することができる。この場合、冷却ファン７はエンジン駆動であるので、その吐出空気量は排気量にほぼ比例する。従って、排気は常にほぼ一定に稀釈された可燃性ガス濃度の検知を不正確、不安定とすることなく燃料流量制御を正確に行わせることができる。

以上の説明から理解されるように、本実施の形態によるとＯ２センサに比べて入手容易且つ安価な例えばＣＯセンサのような特定の可燃性ガスセンサ１０を使用し、排気ガス中の特定可燃性ガス濃度に応じて燃料制御部材６に制御信号を送って燃料通路５を一時的に閉じて特定可燃性ガス濃度を低下させるように燃料流量を制御するという簡単なプログラムをコントロールユニット１１に設定することにより、エンジン１の排気中の可燃性ガス濃度を排気規制適合範囲内とすることができる。また、大形で大重量の部品を付加するものではないので、乗用エンジンと異なり携帯作業機械に搭載する小排気量の汎用エンジンについて全体を大形・複雑・大重量・高価格とすることなく装備して、使い勝手を損なわせないものである。

尚、本実施の形態では、本発明を、燃料を供給する気化器としては膜式気化器に適用した場合を示したが、本発明はフロート式気化器など他の形式の気化器についても実施することが可能であることは勿論であり、燃料制御部材としても開閉弁だけでなく燃料を供給する気化器の定燃料室から吸気通路に燃料を送出する燃料通路に設けた電動モータ駆動の調整針弁等を用いることもできる。

また、本発明は燃料を供給する気化器の定燃料室から吸気通路に燃料を送出する燃料通路に設けた燃料制御部材により燃料を制御するものであり、２サイクルエンジン、４サイクルエンジンなどエンジン形式に限定されることなく実施が可能である。

本発明の本実施の形態を示す配置図。

符号の説明

１ エンジン、 ２ 気化器、 ３ 定燃料室、 ４ 吸気通路、 ５ 燃料通路、 ６ 燃料制御部材、 ７ 冷却ファン、 ８ 空気送入路、 ９ 排気管、 １０ 可燃性ガスセンサ、 １１ 電子式コントロールユニット

Claims (6)

1. 汎用エンジンや作業機械用エンジンなどの比較的小型のエンジンに燃料を供給する気化器の定燃料室から吸気通路に燃料を送出する燃料通路に設置した燃料制御部材と、前記エンジンの排気ガスを検知可能に設置した可燃性ガスセンサと、電子式コントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットは前記可燃性ガスセンサが検知した排気中の可燃性ガス成分濃度に応じて前記燃料制御部材を作動させて燃料流量を制御することを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
2. エンジンに燃料を供給する気化器の定燃料室から吸気通路に燃料を送出する燃料通路に設置した燃料制御部材と、エンジンに備えられた冷却ファンまたは別途設けた送風ファンにおける吐出空気の一部を前記エンジンの排気管に導入する空気送入路と、前記排気管の空気送入路接続個所よりも下流側に設置した可燃性ガスセンサと、電子式コントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットは前記可燃性ガスセンサが検知した排気中の可燃性ガス成分濃度に応じて前記燃料制御部材を作動させて燃料流量を制御することを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
3. 前記コントロールユニットは可燃性ガスセンサが検知した排気中の可燃性ガス濃度を設定範囲内に保つように燃料制御部材を作動させて燃料流量を制御する請求項１または２に記載したエンジンの空燃比制御装置。
4. 前記可燃性ガスセンサは接触燃焼式センサである請求項１,２または３に記載したエンジンの空燃比制御装置。
5. 前記燃料制御部材か常時開弁している常開型電磁弁である請求項１,２,３または４に記載したエンジンの空燃比制御装置。
6. 前記可燃性ガスセンサはＣＯセンサである請求項１,２,３,４または５に記載したエンジンの空燃比制御装置。
   

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