JP2005330275A - ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 産業上有用な化合物であるピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を光学純度高く、収率良く、溶状品質良く簡便な製造法を提供すること。
【解決手段】 原料としてピロリドンカルボン酸塩を含有する水媒体に亜鉛塩を添加し、特定のpHで結晶を分離することにより、高光学純度かつ高溶状品質のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を高収率で製造する方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 原料としてピロリドンカルボン酸塩を含有する水媒体に亜鉛塩を添加し、特定のpHで結晶を分離することにより、高光学純度かつ高溶状品質のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を高収率で製造する方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、大幅に改善された溶状を示し、光学純度の高いピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物、その製造方法(ワンポット製造方法)およびその評価方法に関する。
ピロリドンカルボン酸は皮膚角質中に存在する天然保湿性因子(Natural Moisturizing Factor:NMF)とよばれる水溶性物質の主成分である。ピロリドンカルボン酸は、角質中では主に塩の状態で存在し水分保持に重要な役割を果たしていることが知られている。ピロリドンカルボン酸の各種塩類や誘導体に関する検討は古くから行われている。これら塩類や誘導体は、医薬分野、食品分野、工業分野、化粧料・トイレタリー分野において、あるいは上記分野で用いる材料の製造中間体として、広く用いられている。
各種塩類のなかでもピロリドンカルボン酸亜鉛は、産業上有用な化合物であり、収斂効果、静菌作用、臭気予防成分、光学活性グルタミン酸の製造中間体、塩化ビニル樹脂の安定化効果といった幅広い機能が開示されている。これまでに、製品や製造中間体としてのピロリドンカルボン酸亜鉛の製造方法を開示する例は数例にとどまる。
例えば、特許文献1ではL−ピロリドンカルボン酸(フリー体, free acid)水溶液に対して、酢酸亜鉛水溶液を入れ、再結晶時にアセトンを加え、L−ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を得ている。この場合、原料としてL−ピロリドンカルボン酸(フリー体)を用い、亜鉛源として工業的に入手困難な酢酸亜鉛を使用し、さらに、貧溶媒として有機溶剤であるアセトンを加え、再結晶時に−20℃まで冷却しているなど、必ずしも工業的に簡便な製造法として満足いくものではなかった。
また、特許文献2には、DL−ピロリドンカルボン酸(フリー体)と酸化亜鉛とを水中で反応させ、攪拌冷却晶析によりDL−ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を製造している例が開示されている。この例では、亜鉛源として中性領域下で水に溶け難い酸化亜鉛が使用されており、90℃以上の高温条件を必要としており、収率が48%以下であることから、必ずしも工業的に簡便な製造法として満足いくものではなかった。
さらに特許文献3には、調味料やその他有用な光学活性グルタミン酸の製造の中間物であるピロリドンカルボン酸の、亜鉛塩を用いた光学分割法が開示されている。具体的には、DL−ピロリドンカルボン酸の水酸化ナトリウム水溶液に硫酸亜鉛水溶液を混合し、L−ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を種晶として加え、55℃からの冷却晶析により結晶を分取する。この方法により、光学純度93.8%のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を得ている。種晶や冷却晶析を要するにもかかわらず、収量は添加した種晶の3倍程度と極めて低く、更には得られた製品を水溶液にしたところ予期せぬ沈殿物を生じる等、製品品質(溶状)は必ずしも満足いくものではなかった。
このように、産業上有用な化合物であるピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を光学純度高く、収率良く、溶状品質良く簡便に製造できる方法は未だ開示されていない。
ES8604138号公報
特開平3−168240号公報
特公昭43−27859号公報
特開2003−34680号公報
よって、本発明の課題は、光学純度が高く、溶状品質が良いピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を簡便かつ収率良く製造する方法を提供することである。
本発明者らは、前記記載の課題を達成すべく鋭意研究した。その結果、原料としてのピロリドンカルボン酸塩を含有する水媒体に亜鉛塩を添加し、特定のpHで結晶を水媒体から分離することにより、光学純度が高く溶状品質が良いピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を高収率で製造する方法を提供できることを見出し、本研究を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
(1)水媒体にピロリドンカルボン酸塩を溶解してなる溶液に亜鉛塩を加えて、ピロリドンカルボン酸塩と亜鉛塩とを反応させてピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を上記水媒体中に析出せしめる工程と、pH2.8〜4.2(25℃換算値)で上記水媒体からピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を分離する工程とを有する、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造方法。
(2)上記ピロリドンカルボン酸塩の光学純度が100%〜50%である、(1)記載の製造方法。
(3)水媒体中で光学純度100%〜50%のグルタミン酸塩を加熱して上記光学純度が100%〜50%のピロリドンカルボン酸塩を得る工程をさらに有する、(2)に記載の製造方法。
(4)上記亜鉛塩が塩化亜鉛及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1) - (3)のいずれかに記載の製造方法。
(5) (1) - (4)のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする、光学純度が100%〜95%であるピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
(6)10g/dlの水溶液の光の透過率を測定することを特徴とするピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の評価方法。
(7)10g/dlの水溶液の光路長10mmにおける波長550nmの光の透過率が94%〜100%である、(5)記載のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
(8)光学純度が100%〜95%であり、10g/dlの水溶液の光路長10mmにおける波長550nmの光の透過率が94%〜100%である、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
(9) (5)に記載のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を含有することを特徴とする化粧料。
(1)水媒体にピロリドンカルボン酸塩を溶解してなる溶液に亜鉛塩を加えて、ピロリドンカルボン酸塩と亜鉛塩とを反応させてピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を上記水媒体中に析出せしめる工程と、pH2.8〜4.2(25℃換算値)で上記水媒体からピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を分離する工程とを有する、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造方法。
(2)上記ピロリドンカルボン酸塩の光学純度が100%〜50%である、(1)記載の製造方法。
(3)水媒体中で光学純度100%〜50%のグルタミン酸塩を加熱して上記光学純度が100%〜50%のピロリドンカルボン酸塩を得る工程をさらに有する、(2)に記載の製造方法。
(4)上記亜鉛塩が塩化亜鉛及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1) - (3)のいずれかに記載の製造方法。
(5) (1) - (4)のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする、光学純度が100%〜95%であるピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
(6)10g/dlの水溶液の光の透過率を測定することを特徴とするピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の評価方法。
(7)10g/dlの水溶液の光路長10mmにおける波長550nmの光の透過率が94%〜100%である、(5)記載のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
(8)光学純度が100%〜95%であり、10g/dlの水溶液の光路長10mmにおける波長550nmの光の透過率が94%〜100%である、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
(9) (5)に記載のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を含有することを特徴とする化粧料。
本発明によって、産業上有用な化合物であり溶状品質が良いピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を収率良く簡便に製造する方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を製造する方法は、以下の[第二工程]を必須に有し、好ましくは、[第一工程]および[第二工程]の両方を有する。
[第一工程]原料としてのグルタミン酸塩を水媒体中で塩基と共に加熱してピロリドンカルボン酸塩を得る工程。
[第二工程]ピロリドンカルボン酸塩を原料として含有する水媒体に亜鉛塩を添加し、得られる結晶をpH2.8〜4.2(25℃換算値)で水媒体から分離することを特徴とするピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を得る工程。
以下順次各工程の説明をする。
[第一工程]原料としてのグルタミン酸塩を水媒体中で塩基と共に加熱してピロリドンカルボン酸塩を得る工程。
[第二工程]ピロリドンカルボン酸塩を原料として含有する水媒体に亜鉛塩を添加し、得られる結晶をpH2.8〜4.2(25℃換算値)で水媒体から分離することを特徴とするピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を得る工程。
以下順次各工程の説明をする。
本発明の製法が任意的に有する第一工程は、特許文献4に開示されているように、グルタミン酸塩を高温高圧条件下で反応せしめる等の常法を採ることができる。収率を高くし、得られるピロリドンカルボン酸塩の光学純度を高くするという観点では、熱履歴の少ない製造方法を選択することが好ましい。
第一工程で使用される反応の態様としては、熱履歴が少ない点から、加圧加熱下にてフロー方式で環化させる態様が好ましい。オートクレーブ等を使用するバッチ方式を選択する場合は、グルタミン酸塩の塩基性水媒体中の熱反応等といった、熱履歴の少ない態様を選択することが好ましい。反応器の素材、形状についても特に制限されなず、反応器にかかる圧力、温度に耐え得るステンレス鋼等といった素材であれば良く、圧力変動を吸収するのに適した内部容積、壁の厚み、口径を有していればよい。
第一工程の原料であるグルタミン酸塩のグルタミン酸の光学純度については、通常100%〜50%である。光学純度の高いピロリドンカルボン酸亜鉛を得るという観点では、グルタミン酸の光学純度は100%〜60%が好ましく、100%〜70%がより好ましく、100%〜80%が更に好ましく、100%〜90%が特に好ましい。ここで光学純度は、L体およびD体の存在割合の差で表現され、例えば、光学純度70%という場合、L体85%とD体15%とが存在することを意味する。
第一工程の原料であるグルタミン酸塩のグルタミン酸の製造方法は、特に制限はなく、例えば微生物発酵法が挙げられ、通常、さとうきび、とうもろこし、キャッサバなどを原料とした糖蜜などを糖源とし、これに無機窒素源などを加えた培地中で微生物を培養してグルタミン酸を蓄積させ、これを中和、分離、精製して結晶化する製法で得ることができる。
第一工程の原料であるグルタミン酸塩の塩の種類については、亜鉛塩以外であれば特に限定は無く、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等の有機塩基塩、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩、等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上を混合物であっても良い。
第一工程で用いる水媒体は、主溶媒は水であり、共溶媒を含んでいてもよい。共溶媒は反応条件下基質と反応しない溶媒であれば特に制限されず、具体的にはメタノール、エタノール、t−ブタノール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上を混合して使用しても良い。反応系の簡素化という観点では、共溶媒は極力少ない方が好ましく、水のみが最も好ましい。水は、反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、具体的には市水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。反応系の簡素化という観点では、不純物量が少ない水が好ましく、イオン交換水や蒸留水がより好ましい。
第一工程の塩基については、ピロリドンカルボン酸塩への環化反応が進行するような塩基であれば特に制限はなく、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基;リジン、アルギニン、オルニチン等の塩基性アミノ酸、等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上を混合して使用しても良い。次工程で亜鉛塩との塩交換反応が進行し易いという観点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
第一工程のpHについては、環化反応が進行すれば特に制限は無いが、通常pH6.0〜12.0であり、ラセミ化を防止或は軽減させるという観点からは、pH6.0〜9.0が好ましく、pH6.0〜8.0がより好ましく、pH6.0〜7.0が更に好ましい。
第一工程の反応温度については、反応が進行すれば特に制限はないが、通常、80〜300℃である。80℃より低温では反応が著しく遅くなり、300℃より高温ではラセミ化反応が進行してしまう。ラセミ化を伴わず安定的に反応が進行するという観点で、100〜270℃が好ましく、150〜250℃がより好ましく、170℃〜220℃が特に好ましい。
第一工程の圧力については、適用する反応温度における水の蒸気圧よりも高く、反応が進行すれば特に制限はないが、通常0.1MPa〜25MPaの範囲である。ラセミ化を防止する観点からは、0.5〜20MPaが好ましく、0.5〜15MPaがより好ましく、0.5〜10MPaが更に好ましい。
第一工程の反応濃度については、反応が進行すれば特に制限はないが、通常ピロリドンカルボン酸フリー体として25〜75wt%である。25wt%より低濃度では製造効率や結晶の回収率が低く、逆に75wt%より高濃度では反応系の粘度が著しく上昇して操作性が悪くなる。安定的に高収率でピロリドンカルボン酸塩が得られるという観点から、30〜70wt%が好ましく、40〜60wt%がより好ましく、45〜55wt%が特に好ましい。
第一工程の反応時間については、反応が完結すれば特に制限はないが、通常10秒〜24時間である。反応温度の選択にも依存するが、反応時間が長くなると副反応としてのラセミ化が進行してしまう。よって、室温などへの冷却を含む反応全体の温度の履歴を考慮して反応時間を設定することが好ましい。工業的な製造において第1工程が律速工程にならないようにするという観点で、反応時間は、30分〜12時間が好ましく、1時間〜8時間がより好ましく、2時間〜6時間が特に好ましい。
第一工程の反応後は、得られた反応液をそのまま次工程に利用することができる。このような第一工程を経ることにより、通常は光学純度が100%〜50%程度のピロリドンカルボン酸塩を得ることができる。
本発明の製造方法が必須に有する第二工程について説明する。
第二工程は、水媒体にピロリドンカルボン酸塩を溶解してなる溶液に亜鉛塩を加えて、ピロリドンカルボン酸塩と亜鉛塩とを反応させてピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を上記水媒体中に析出せしめる工程と、pH2.8〜4.2(25℃換算値)で上記水媒体からピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を分離する工程とを有する。
第二工程は、水媒体にピロリドンカルボン酸塩を溶解してなる溶液に亜鉛塩を加えて、ピロリドンカルボン酸塩と亜鉛塩とを反応させてピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を上記水媒体中に析出せしめる工程と、pH2.8〜4.2(25℃換算値)で上記水媒体からピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を分離する工程とを有する。
本発明の第二工程の原料として使用されるピロリドンカルボン酸塩は、特に由来は限定されないが、上記第一工程より得られるものであっても、別法により得られたものであっても、購入品でも構わない。ピロリドンカルボン酸塩の光学純度は、通常100%〜50%であり、光学純度の高いピロリドンカルボン酸亜鉛を収率良く得るという観点では、光学純度は100%〜60%が好ましく、100%〜70%がより好ましく、100%〜80%が更に好ましく、100%〜90%が特に好ましい。
本発明の第二工程の原料であるピロリドンカルボン酸塩の塩については、亜鉛塩以外のものであれば特に限定は無く、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等の有機塩基塩、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩、等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上を混合しても良い。なお、第一工程を経て第二工程を実施する場合には、第一工程で得られたピロリドンカルボン酸塩をそのまま用いることが好ましい。
本発明の第二工程で用いる水媒体は、主溶媒は水であり、共溶媒を含んでいてもよい。共溶媒は反応条件下基質と反応しない溶媒であれば特に制限されず、具体的にはメタノール、エタノール、t−ブタノール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上を混合して使用しても良い。反応系の簡素化という観点では、共溶媒は極力少ない方が好ましく、水のみが最も好ましい。水は、反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、具体的には市水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。反応系の簡素化という観点では、不純物量が少ない水が好ましく、イオン交換水や蒸留水がより好ましい。
本発明の第二工程で用いる亜鉛塩については、反応のpH領域において水に溶ければ特に制限はなく、具体的には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等の無機亜鉛;グルコン酸亜鉛、パラトルエンスルホン酸亜鉛等の有機亜鉛、等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上を混合して使用しても良い。ピロリドンカルボン酸亜鉛以外の塩が溶解しやすくピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶に混じらないという観点で、無機塩が好ましく、塩化亜鉛および硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。速やかにピロリドンカルボン酸塩と塩交換をするという観点で、硫酸亜鉛は特に好ましい。ピロリドンカルボン酸塩を溶解してなる溶液に亜鉛塩を加える態様は、塩交換反応が進行しさえすれば特に制限されず、固体のまま投入しても構わないし、上記水媒体に予め溶解させて投入しても構わない。塩交換反応を速やかに進行させられるという観点で、上記水媒体に予め溶解させて投入する方が好ましい。
本発明の第二工程において亜鉛塩を加える前のピロリドンカルボン酸塩を溶解してなる溶液の濃度については、反応が進行すれば特に制限はないが、通常、ピロリドンカルボン酸フリー体として20〜75wt%である。20wt%より低濃度では製造効率や結晶の回収率が低く、逆に75wt%より高濃度では反応系の粘度が著しく上昇して操作性が悪くなり、光学純度にも影響を与える可能性が高くなる。高収率で高光学純度のピロリドンカルボン酸亜鉛が安定的に得られるという観点から、25〜70wt%が好ましく、35〜60wt%がより好ましく、45〜55wt%が特に好ましい。
本発明の第二工程では、通常、ピロリドンカルボン酸(フリー体)1.0モルに対して亜鉛イオンが0.1〜0.9モルとなる量の亜鉛塩が使用される。ピロリドンカルボン酸(フリー体)1.0モルに対して亜鉛イオンが0.1モルよりも少ない場合には収率が低くなりがちであり、0.9モルよりも多い場合には製品中の不純物含量が増加し品質が低下してしまう。高収率、高溶状品質を得るといった観点で、ピロリドンカルボン酸(フリー体)1.0モルに対する亜鉛イオンの量は0.2〜0.8モルが好ましく、0.3〜0.7モルがより好ましく、0.4〜0.6モルが特に好ましい。
本発明の結晶分離時の濃度は、通常、ピロリドンカルボン酸フリー体として10〜70wt%である。10wt%より低濃度では製造効率や結晶の回収率が低く、逆に70wt%より高濃度では反応系の粘度が著しく上昇して操作性が悪くなり、光学純度にも影響を与える可能性が高くなる。高収率で高光学純度のピロリドンカルボン酸亜鉛が安定的に得られるという観点から、15〜60wt%が好ましく、20〜50wt%がより好ましく、25〜40wt%が特に好ましい。
本発明の第二工程の亜鉛塩交換反応の反応温度については、交換反応が進行すれば特に限定されないが、通常−10から100℃が選択される。−10℃よりも低い温度では、系の固結や反応の進行が著しく遅くなり、100℃よりも高温ではラセミ化が進行したり分解が生じたりする可能性がある。塩交換を安定的に進行させる観点から、0〜70℃が好ましく、5〜50℃が更に好ましく、10〜30℃が特に好ましい。
本発明の第二工程の亜鉛塩投入前pHは、ピロリドンカルボン酸塩溶液に亜鉛塩を投入する前のpHのことを指し、製品の品質ならびに収率を向上させるために、通常はpH4.0〜5.5の範囲で調整され、pH4.0〜5.5が好ましく、pH4.5〜5.3がより好ましく、pH5.0〜5.2が特に好ましい。亜鉛塩投入前pHは、第一工程における塩基の種類・量や、後述の酸の添加などにより適宜に調整することができる。
本発明の第二工程の亜鉛塩投入後pHは、亜鉛塩交換反応温度においてピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物結晶が析出し終えた状態のpHを指し、実際には亜鉛塩を投入するときからpHを連続的に測定してpHの値が実質的に変動しなくなったときの当該pHの値である。温度による変動もありうるが、亜鉛塩投入後pHは製品の品質ならびに収率を向上させるために、通常はpH2.8〜4.3の範囲で調整され、pH3.3〜4.2が好ましく、pH3.5〜4.1がより好ましく、pH3.8〜4.0が特に好ましい。亜鉛塩投入後pHは、第一工程における塩基の種類・量や、後述の酸の添加などにより適宜に調整することができる。
本発明では、pH(25℃換算の数値)が2.8〜4.2で水媒体からピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を分離することが製品の品質ならびに収率を向上させるために大変重要である。pHが2.8より低いと得られた製品の溶状は改善されるが晶析率が著しく低下してしまい、pHが4.2より高いと収率は確保できるが得られた製品の溶状が著しく低下してしまう。製品の品質を確保しつつ収率を高くするという観点から、pH3.3〜4.2が好ましく、pH3.5〜4.2がより好ましく、pH3.5〜4.1がさらに好ましく、pH3.5〜4.0がさらに一層好ましく、pH3.8〜4.0が特に好ましい。pHは測定温度やイオン種により変動し得るが、前記範囲内にpHを調整するためには、詳細なデータに基づいてもよいし、あるいは化学平衡の理論に基いて適宜に調整することもできる。
本発明の第二工程では、上述した亜鉛塩投入後pHと、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を水媒体から分離するときの水媒体のpHとの差は小さい方が好ましく、前記差は、好ましくは−0.5〜+0.5、より好ましくは−0.3〜+0.3、更に好ましくは−0.1〜+0.1である。この差を実質的にゼロにするためには、第二工程において、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶が水媒体中に析出し終えた後に水媒体のpHを変動させる処理を行うことなく結晶を水媒体から分離すればよい。換言すると、水媒体中にピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶が析出した後は、酸やアルカリなどは加えない方がよい。
本発明の第二工程にて、pH調整のために使用される酸は、反応系を目的とするpHの範囲に調整し得るのであれば特に制限はなく、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、酢酸などの有機酸等、が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上を混合して使用しても良い。反応系内のイオン種を少なくし少量の添加で目的とするpHに達し得るという観点で、無機酸が好ましく、塩酸、硫酸、硝酸がより好ましく、硝酸が特に好ましい。ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物への不純物の取り込みを極力防止するためには、必要とする酸を亜鉛塩投入前に入れてpH調整するか、亜鉛塩投入後に入れてpH調整することが好ましく、亜鉛塩投入前に入れてpH調整することが最も好ましい。
本発明の第二工程の亜鉛塩による塩交換の反応時間については、使用する酸やpHや温度によっても異なるが反応が完結しさえすれば特に制限はなく、常温であれば通常5分〜3時間である。分離しやすい結晶が得られるように十分な熟成効果を期待するという観点で、10分〜2時間が好ましく、20分〜1時間がより好ましい。ここで、反応時間とは、亜鉛塩を添加してから、反応温度においてpHの値が実質的に変動しなくなるまでの時間である。
本発明の第二工程では、結晶を析出させるために常法を適用でき、具体的には冷却晶析、攪拌晶析等が挙げられる。結晶の分離としては、遠心分離、ろ過分離等の通常使用される方法を使用することができる。
本発明の第二工程で結晶を水媒体から分離するときの温度は、結晶の溶解性を下げて収率を上げるために、低いほど好ましいが、通常は−10℃〜50℃が選択される。−10℃よりも低いと、反応系全体が凍ったり、粘度が高くなって分離操作が困難になり、50℃よりも高いとピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の溶解性が高くなるため収率が下がる。良好な操作性と高い収率を達成する観点から、−5〜40℃が好ましく、0〜30℃が更に好ましく、5〜25℃が更に一層好ましく、5〜20℃が特に好ましい。
本発明の第二工程で分離した結晶を洗浄するための水媒体は、上述の水媒体を使用することができる。高品質な製品を得るためには洗浄のための水媒体は多いほど好ましく、通常はピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の乾燥結晶に対し5重量%〜150重量%の水媒体で洗浄する。ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物は水溶性が高く150重量%よりも多量の水媒体で洗浄すると、分離した結晶が溶けて収率が低下してしまい、5重量%よりも少量の水媒体での洗浄では、イオンなどの不純物が製品中に残存し高品質な製品が得難い。高収率、高品質を達する観点から、洗浄に用いる水媒体の量は結晶に対して5〜100重量%が好ましく、10〜90重量%が更に好ましく、20〜80重量%が特に好ましい。洗浄用水媒体は、上述の分離温度で選択される温度範囲が好ましい。また、溶状を悪化させる不純物を再付着させないためには、結晶を分離するときのpHで洗浄するのが好ましい。
本発明の第二工程で分離して得た結晶は、好ましくは、結晶への付着水を乾燥させるために常法により乾燥させる。乾燥設備の減圧度、送風能力または加熱能力を考慮して乾燥温度を設定することができ、通常30〜140℃の範囲が選択される。30℃よりも低い温度では、乾燥しにくいので送風或は減圧を高める必要があり、140℃より高い温度では結晶が水和水を失って吸湿性の高い無水物になってしまう。工業的に安定した生産という観点で、50〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましく、70〜90℃が更に好ましい。
本発明の第二工程によって、適正条件を選択すれば光学純度が通常95%以上程度の高い光学純度のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を、例えば、40%以上の高い収率で得られる。本発明の製法で得られるピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物は高品質であり、例えば、それを水に溶かして得られる溶液は光の透過率が高い。得られたピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を評価対象物として、この評価対象物4gを水に溶かしてなる溶液(40ml)、つまり評価対象物の10g/dlの水溶液、を光路長10mmにて波長550nmの光で測定した透過率は好ましくは94%〜100%である。特に、結晶を分離するときのpHを上記好ましい範囲にした場合、例えば、光学純度98%以上、透過率98%以上の結晶が、50%以上の高収率で得られる。
本発明者らは、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の品質の評価方法として、上述のように評価対象物の水溶液の透過率を測定すべきことを見出した。この評価方法では、評価対象としてのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を所定の濃度で水に溶解してなる水溶液の透過率を測定する。評価対象物の濃度は、5.0〜15.0重量%程度が例示され、特には、上記のように10g/dl(例;4gの評価対象物を水で40mlに希釈定容)である。透過率を測定する際の光は、通常は可視光であり、特には波長550nmの光である。具体的な評価の例は実施例にて詳述する。
本発明の第一工程、第二工程を連続して行った場合、グルタミン酸塩のオートクレーブによるピロリドンカルボン酸塩への反応の後、得られた反応液をpH調整した後に直接亜鉛塩水溶液を室温で添加し、反応完結後に分離、洗浄、乾燥を経る方法が、高光学純度で高収率なピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を得る最も簡便で方法である。
本発明で得られたピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物は、収斂剤、制菌剤、臭気防止剤等の化粧料や薬剤として利用可能である。また、光学活性グルタミン酸の製造中間体としても利用可能である。一方、塩化ビニル樹脂の安定剤としても利用可能である。
ここで、化粧料とは、ヒトの皮膚や毛髪につけることができるよう構成された組成物である。本発明の化粧料は、本発明で得られたピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を必須に含み、さらに、通常の化粧料に含まれる水性成分、油性成分、粉末成分などを含んでいてもよい。本発明の化粧料全体に占めるピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の量は、好ましくは0.05〜5.0重量%である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、これらの例は本発明を何ら限定するものではない。
[定量分析方法]
グルタミン酸およびピロリドンカルボン酸の定量分析は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:住友化学分析センター製「SUMIPAX PGODS 100−7」、カラム温度:40℃、溶離液:10mMリン酸水溶液、流量:1ml/min,検出:UV,210nm)を用いて定量した。定量は、標準としてのグルタミン酸(味の素株式会社製)およびピロリドンカルボン酸(ALDRICH製)を含む標準溶液(それぞれ100mg/dl)との相対エリア比較により行った。
グルタミン酸およびピロリドンカルボン酸の定量分析は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:住友化学分析センター製「SUMIPAX PGODS 100−7」、カラム温度:40℃、溶離液:10mMリン酸水溶液、流量:1ml/min,検出:UV,210nm)を用いて定量した。定量は、標準としてのグルタミン酸(味の素株式会社製)およびピロリドンカルボン酸(ALDRICH製)を含む標準溶液(それぞれ100mg/dl)との相対エリア比較により行った。
[光学純度分析方法]
グルタミン酸塩およびピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の光学純度は、高速液体クロマトグラフィー(キラルカラム:住友化学分析センター製「OA−5500」、カラム温度:常温、溶離液:2mmol硫酸銅(II)水溶液/アセトニトリル=95/5、流量:1ml/min,検出:UV 254nm)を用いて測定した。この分析法によって検出されるエリア比を以ってL/D比とした。光学純度は、純度全体(100%)からラセミ体のパーセンテージを引算(減算)した値である。すなわち、100%−2×D体割合(%)にて算出される値が、光学純度である。
グルタミン酸塩およびピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の光学純度は、高速液体クロマトグラフィー(キラルカラム:住友化学分析センター製「OA−5500」、カラム温度:常温、溶離液:2mmol硫酸銅(II)水溶液/アセトニトリル=95/5、流量:1ml/min,検出:UV 254nm)を用いて測定した。この分析法によって検出されるエリア比を以ってL/D比とした。光学純度は、純度全体(100%)からラセミ体のパーセンテージを引算(減算)した値である。すなわち、100%−2×D体割合(%)にて算出される値が、光学純度である。
[pH測定方法]
pHは、株式会社堀場製作所製カスタニ−LABpHメーター(Fシリーズ)を用いて測定した(pH電極:#6366−10D、飽和塩化カリウム水溶液内部標準液)。測定のたびに、使用前には、pH6.86標準液(中性りん酸塩)とpH4.01標準液(フタル酸塩)を用いる2点校正を、25℃において行った。pH調整時の測定温度は常温25℃で行うのが好ましい。ただし、pH値の変動が生じ難い25℃±5℃の範囲においては系の温度の影響は受けないものとする。晶析条件などにより、25℃±5℃の範囲外になる場合は、温度係数を用いた換算値によって調整する方法、またはpHメーターに装備された自動温度換算機能を使用して測定する必要がある。
[pH換算式] pH(25)=pH(t)−α(t−25)
但し、pH(25):25℃に換算されたpH値
pH(t):t℃におけるpH値
α:温度係数(pH/℃)
t:測定時の温度(℃)
[温度係数式] α=(pH[25]−pH[t])/(t−25)
但し、pH[25]:25℃におけるpH値
pH[t]:t℃におけるpH値
pHは、株式会社堀場製作所製カスタニ−LABpHメーター(Fシリーズ)を用いて測定した(pH電極:#6366−10D、飽和塩化カリウム水溶液内部標準液)。測定のたびに、使用前には、pH6.86標準液(中性りん酸塩)とpH4.01標準液(フタル酸塩)を用いる2点校正を、25℃において行った。pH調整時の測定温度は常温25℃で行うのが好ましい。ただし、pH値の変動が生じ難い25℃±5℃の範囲においては系の温度の影響は受けないものとする。晶析条件などにより、25℃±5℃の範囲外になる場合は、温度係数を用いた換算値によって調整する方法、またはpHメーターに装備された自動温度換算機能を使用して測定する必要がある。
[pH換算式] pH(25)=pH(t)−α(t−25)
但し、pH(25):25℃に換算されたpH値
pH(t):t℃におけるpH値
α:温度係数(pH/℃)
t:測定時の温度(℃)
[温度係数式] α=(pH[25]−pH[t])/(t−25)
但し、pH[25]:25℃におけるpH値
pH[t]:t℃におけるpH値
[溶状分析方法]
測定機器、測定条件、試料調製方法、測定手順は以下の通りである。
1.測定機器 分光光度計 V−570 (JAS.CO製)
Spectrophotometer(UV/VIS/NIR)
2.測定条件
測光モード: %T
測定波長: 550nm
バンド幅: 2.0nm
バンド幅(近赤外): 8.0nm
レスポンス: Medium
繰り返し回数: 2回
繰り返し間隔: 3sec.
測定セル: 東ソー・クォーツ社製 石英ガラスセル T−1−UV−10
(光路幅;10mm、外幅;12.5mm、高さ;45mm)
測定温度: 25℃(室温管理)
3.試料調製方法
ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物4gを採取し、水により室温で攪拌溶解し、40mlに定容(10g/dl溶液相当)、25℃の恒温室で1日放置した水溶液を用いた。
4.測定手順
1)測定の約2時間前に装置を立ち上げ、数値を安定化させる。
2)測定プログラムの固定波長測定Fixed Wavelength programを選択し、波長初期化を行う。
3)ブランクセル、試料用セルそれぞれへイオン交換水約3mlを注入し、光度計へセットし、ゼロ点補正した後、ブランク測定を行う(測定準備完了)。
4)前日に調製した水溶液を、マグネットスターラ(MITAMURA RIKEN KOGYO INC.製 Magmix Stirrer)のスピードレンジ「3」で1分間攪拌し、その後、その水溶液を速やかに測定セルへ約3ml注入する。
5)セルの中に気泡が含んでいないことを確認し、セルを光度計へ速やかにセットする。
6)セットの後、1分間静置してから測定を開始する。
7)光度計によって検出された値を透過率(%T)とした。
上記の測定条件では、評価対象の試料が不溶物質を含んでいても不溶物質はセル全体に均一に分散しているため、透過率を正しく得ることができる。一方、攪拌を行わなかったり、セルをセットしてから測定までに10分以上静置し続けたりすると、沈殿が生じて、見かけ上の透過率が高まり、正しい値を得ることができない。
5.判断基準
目視による溶状と透過率の関係を考慮し、判断基準を以下の通りとした。
◎:100〜98%
○:97〜94%
△:93〜85%
×:84〜0%
測定機器、測定条件、試料調製方法、測定手順は以下の通りである。
1.測定機器 分光光度計 V−570 (JAS.CO製)
Spectrophotometer(UV/VIS/NIR)
2.測定条件
測光モード: %T
測定波長: 550nm
バンド幅: 2.0nm
バンド幅(近赤外): 8.0nm
レスポンス: Medium
繰り返し回数: 2回
繰り返し間隔: 3sec.
測定セル: 東ソー・クォーツ社製 石英ガラスセル T−1−UV−10
(光路幅;10mm、外幅;12.5mm、高さ;45mm)
測定温度: 25℃(室温管理)
3.試料調製方法
ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物4gを採取し、水により室温で攪拌溶解し、40mlに定容(10g/dl溶液相当)、25℃の恒温室で1日放置した水溶液を用いた。
4.測定手順
1)測定の約2時間前に装置を立ち上げ、数値を安定化させる。
2)測定プログラムの固定波長測定Fixed Wavelength programを選択し、波長初期化を行う。
3)ブランクセル、試料用セルそれぞれへイオン交換水約3mlを注入し、光度計へセットし、ゼロ点補正した後、ブランク測定を行う(測定準備完了)。
4)前日に調製した水溶液を、マグネットスターラ(MITAMURA RIKEN KOGYO INC.製 Magmix Stirrer)のスピードレンジ「3」で1分間攪拌し、その後、その水溶液を速やかに測定セルへ約3ml注入する。
5)セルの中に気泡が含んでいないことを確認し、セルを光度計へ速やかにセットする。
6)セットの後、1分間静置してから測定を開始する。
7)光度計によって検出された値を透過率(%T)とした。
上記の測定条件では、評価対象の試料が不溶物質を含んでいても不溶物質はセル全体に均一に分散しているため、透過率を正しく得ることができる。一方、攪拌を行わなかったり、セルをセットしてから測定までに10分以上静置し続けたりすると、沈殿が生じて、見かけ上の透過率が高まり、正しい値を得ることができない。
5.判断基準
目視による溶状と透過率の関係を考慮し、判断基準を以下の通りとした。
◎:100〜98%
○:97〜94%
△:93〜85%
×:84〜0%
[実施例1]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造
(硝酸添加で結晶分離前のpH3.7)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃、2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液)100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を2.7g加え、pH5.2に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH 4.1)。室温にて30分攪拌し(pH3.7)、析出した結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄して、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物32.0g(0.09mol、収率55%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
(硝酸添加で結晶分離前のpH3.7)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃、2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液)100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を2.7g加え、pH5.2に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH 4.1)。室温にて30分攪拌し(pH3.7)、析出した結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄して、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物32.0g(0.09mol、収率55%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[実施例2]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造
(硝酸添加で結晶分離前のpH2.8)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃、2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を11.5g加え、pH4.0に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をpH調整したピロリドンカルボン酸ナトリウム50wt%水溶液に添加した(pH3.1)。30分攪拌させ(pH2.8)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄して、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩2水和物25.1g(0.07mol、収率43%)を得た。光学純度98.2%(L/D比99.1/0.9)であった。
(硝酸添加で結晶分離前のpH2.8)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃、2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を11.5g加え、pH4.0に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をpH調整したピロリドンカルボン酸ナトリウム50wt%水溶液に添加した(pH3.1)。30分攪拌させ(pH2.8)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄して、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩2水和物25.1g(0.07mol、収率43%)を得た。光学純度98.2%(L/D比99.1/0.9)であった。
[実施例3]ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造(硝酸添加で結晶分離前のpH3.8、PCANa:光学純度72%、L/D=86/14)
ピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液78.0g(0.25mol、pH7.7、光学純度72%、L/D=86/14)に対し、硝酸(純度60wt%)を2.7g加え、pH5.2に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.1)。室温にて30分攪拌させ(pH3.8)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物32.0g(0.09mol、収率50%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
ピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液78.0g(0.25mol、pH7.7、光学純度72%、L/D=86/14)に対し、硝酸(純度60wt%)を2.7g加え、pH5.2に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.1)。室温にて30分攪拌させ(pH3.8)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物32.0g(0.09mol、収率50%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[実施例4]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造
(硝酸添加で結晶分離前のpH4.0)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を1.5g加え、pH5.4に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.4)。室温にて30分攪拌させ(pH4.0)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物33.8g(0.09mol、収率58%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
(硝酸添加で結晶分離前のpH4.0)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を1.5g加え、pH5.4に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.4)。室温にて30分攪拌させ(pH4.0)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物33.8g(0.09mol、収率58%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[実施例5]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛の製造
(硫酸亜鉛水および硝酸を添加で結晶分離前のpH3.7)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対して、硝酸(純度60wt%)2.7gと、硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液(pH0.4)とを添加した(pH4.0)。室温にて30分攪拌させ(pH3.7)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩2水和物32.1g(0.09mol、収率55%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
(硫酸亜鉛水および硝酸を添加で結晶分離前のpH3.7)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対して、硝酸(純度60wt%)2.7gと、硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液(pH0.4)とを添加した(pH4.0)。室温にて30分攪拌させ(pH3.7)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩2水和物32.1g(0.09mol、収率55%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[実施例6]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造
(硝酸添加で亜鉛塩投入前pH6.0、結晶分離前のpH4.0)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウム溶液50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を0.5g加え、pH6.0に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.9)。室温にて5分攪拌させた後(pH4.6)、硝酸(純度60wt%)を0.9g加えてpH4.0に調整した。室温でさらに20分間攪拌させた後(pH4.0)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物31.2g(0.09mol、収率53%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
(硝酸添加で亜鉛塩投入前pH6.0、結晶分離前のpH4.0)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウム溶液50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を0.5g加え、pH6.0に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.9)。室温にて5分攪拌させた後(pH4.6)、硝酸(純度60wt%)を0.9g加えてpH4.0に調整した。室温でさらに20分間攪拌させた後(pH4.0)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物31.2g(0.09mol、収率53%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[実施例7]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造
(塩酸添加で結晶分離前のpH3.7、亜鉛源に塩化亜鉛を用いた)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物48.0gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃、2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液78.0g(0.26mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、塩酸(純度36wt%)を1.9g加え、pH5.0に調整した。塩化亜鉛18.1g(0.13mol)を45.6gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.1)。室温にて30分攪拌し(pH4.1)、析出した結晶をろ取した。結晶を17.3gの水にて洗浄して、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物14.1g(0.04mol、収率31%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
(塩酸添加で結晶分離前のpH3.7、亜鉛源に塩化亜鉛を用いた)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物48.0gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃、2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液78.0g(0.26mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、塩酸(純度36wt%)を1.9g加え、pH5.0に調整した。塩化亜鉛18.1g(0.13mol)を45.6gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.1)。室温にて30分攪拌し(pH4.1)、析出した結晶をろ取した。結晶を17.3gの水にて洗浄して、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物14.1g(0.04mol、収率31%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[比較例1]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造(硝酸添加なし、結晶分離前のpH5.4)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液を添加した(pH5.3)。室温にて30分攪拌し(pH5.4)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物35.0g(0.10mol、収率60%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液を添加した(pH5.3)。室温にて30分攪拌し(pH5.4)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物35.0g(0.10mol、収率60%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[比較例2]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造(硝酸添加で結晶分離前のpH4.6)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を0.5g加え、pH6.0に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液に添加した(pH4.8)。室温にて30分攪拌させ(pH4.6)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物34.8g(0.10mol、収率59%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を0.5g加え、pH6.0に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液に添加した(pH4.8)。室温にて30分攪拌させ(pH4.6)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物34.8g(0.10mol、収率59%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[比較例3]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造(硝酸添加で結晶分離前のpH4.3)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を0.8g加え、pH5.6に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.6)。室温にて30分攪拌させ(pH4.3)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物34.5g(0.10mol、収率59%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を0.8g加え、pH5.6に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.6)。室温にて30分攪拌させ(pH4.3)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物34.5g(0.10mol、収率59%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
[比較例4]L−グルタミン酸ナトリウム塩からのピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造(硝酸添加で溶液pH5.2、次いで、NaOH添加で結晶分離前のpH5.8)
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を2.4g加え、pH5.2に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.1)。結晶が析出する前に27%水酸化ナトリウム水溶液を3.5g添加しpH5.2に調整した。室温にて30分攪拌させ(pH5.8)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩2水和物34.9g(0.10mol、収率60%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物61.1gの水溶液を加熱釜(オートクレーブ)で180℃2時間加熱することで得られたピロリドンカルボン酸ナトリウムの50wt%水溶液100.0g(0.33mol、pH7.7、光学純度84%、L/D比=92/8)に対し、硝酸(純度60wt%)を2.4g加え、pH5.2に調整した。硫酸亜鉛7水和物47.6g(0.17mol)を34.2gの水に溶解させた水溶液をピロリドンカルボン酸ナトリウム水溶液に添加した(pH4.1)。結晶が析出する前に27%水酸化ナトリウム水溶液を3.5g添加しpH5.2に調整した。室温にて30分攪拌させ(pH5.8)、析出結晶をろ取した。結晶を21.9gの水にて洗浄後、ピロリドンカルボン酸亜鉛塩2水和物34.9g(0.10mol、収率60%)を得た。光学純度99.8%(L/D比99.9/0.1)であった。
結果を以下の表1および表2に示す。
以上、表から明らかなように、pHを調整したピロリドンカルボン酸ナトリウム塩水溶液に水溶性亜鉛を加え系のpHを2.8〜4.2に調整し、析出した結晶を分取するだけで簡便に純度の高いピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を製造できる。
[実施例8]モイスチャージェル処方例
実施例1で得られたピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を用いて、化粧料としてのモイスチャージェルを以下の処方で作製した。
ジプロピレングリコール 7.0重量%
PEG1500 8.0
カルボキシビニルポリマー 0.4
メチルセルロース 0.2
POE(15)オレイルアルコールエーテル 1.0
水酸化カリウム 0.1
ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物(実施例1) 0.1
精製水 83.2
実施例1で得られたピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を用いて、化粧料としてのモイスチャージェルを以下の処方で作製した。
ジプロピレングリコール 7.0重量%
PEG1500 8.0
カルボキシビニルポリマー 0.4
メチルセルロース 0.2
POE(15)オレイルアルコールエーテル 1.0
水酸化カリウム 0.1
ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物(実施例1) 0.1
精製水 83.2
このモイスチャージェルは無色透明であり、みずみずしい清涼感を示し、さっぱりとした使用感を示した。
各種塩類のなかでもピロリドンカルボン酸亜鉛は、産業上有用な化合物であり、収斂効果、静菌作用、臭気予防成分、光学活性グルタミン酸の製造中間体、塩化ビニル樹脂の安定化効果といった幅広い機能が開示されている。
Claims (9)
- 水媒体にピロリドンカルボン酸塩を溶解してなる溶液に亜鉛塩を加えて、ピロリドンカルボン酸塩と亜鉛塩とを反応させてピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を上記水媒体中に析出せしめる工程と、pH2.8〜4.2(25℃換算値)で上記水媒体からピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の結晶を分離する工程とを有する、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の製造方法。
- 上記ピロリドンカルボン酸塩の光学純度が100%〜50%である、請求項1記載の製造方法。
- 水媒体中で光学純度100%〜50%のグルタミン酸塩を加熱して上記光学純度が100%〜50%のピロリドンカルボン酸塩を得る工程をさらに有する、請求項2に記載の製造方法。
- 上記亜鉛塩が塩化亜鉛及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法によって得られることを特徴とする、光学純度が100%〜95%であるピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
- 10g/dlの水溶液の光の透過率を測定することを特徴とするピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物の評価方法。
- 10g/dlの水溶液の光路長10mmにおける波長550nmの光の透過率が94%〜100%である、請求項5記載のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
- 光学純度が100%〜95%であり、10g/dlの水溶液の光路長10mmにおける波長550nmの光の透過率が94%〜100%である、ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物。
- 請求項5に記載のピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物を含有することを特徴とする化粧料。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005125139A JP2005330275A (ja) | 2004-04-23 | 2005-04-22 | ピロリドンカルボン酸亜鉛2水和物およびその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2016516856A (ja) * | 2013-03-28 | 2016-06-09 | ペーアーエルイクス プラスティクス ベーフェーPARX Plastics BV | 抗菌性ポリマーおよびそれを製造する方法 |
WO2019070018A1 (ja) | 2017-10-05 | 2019-04-11 | 味の素株式会社 | 光学活性ピロリドンカルボン酸またはそのアルカリ金属塩の製造方法 |
-
2005
- 2005-04-22 JP JP2005125139A patent/JP2005330275A/ja not_active Withdrawn
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