JP2005330249A - 光学活性シタロプラムの製造方法、およびその中間体 - Google Patents

光学活性シタロプラムの製造方法、およびその中間体 Download PDF

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哲哉 池本
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Abstract

【課題】 新規な立体選択的反応を開発してアトムエコノミーの向上を図ることにより、光学活性シタロプラムを効率的に製造できる方法を提供する。
【解決手段】 式(I)で表される化合物を式(II)で表される化合物に変換させる工程を含む製造方法により式(III)で表される光学活性シタロプラムを製造する。
【化1】
Figure 2005330249

(式中、各記号は本願明細書中に定義の通りである。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗うつ剤として有用である光学活性シタロプラムの製造方法およびその合成中間体に関する。
一般式
Figure 2005330249
(式中、*は不斉炭素を示す。)
で表される光学活性シタロプラムは抗うつ剤として有用であり、様々な製造方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来、光学分割法により得られる光学活性な中間体を経由する方法が知られているのみであり、不要なエナンチオマーを半分捨てることになり、アトムエコノミーが低いため、環境およびコスト上の問題があり、有利な製造方法とは言えなかった。
特開平2−36177号公報
本発明の目的は、新規な立体選択的反応を開発してアトムエコノミーの向上を図ることにより、光学活性シタロプラムを効率的に製造できる方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、後掲の式(I)で表される化合物を、後掲の式(IV)で表される中央の炭素に不斉中心をもったプロパン骨格を有する化合物と反応させて、後掲の式(II)で表される光学活性な中間体を得る工程を製造工程に含めることにより、目的の光学活性シタロプラムを選択的に製造することができることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りであり。
〔1〕式(I)
Figure 2005330249
で表される化合物(以下、化合物(I)ともいう。)を、式(II)
Figure 2005330249
(式中、*は不斉炭素を示し、Xは保護基を有していてもよいヒドロキシル基を示し、Yはジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示し、Zは水素原子、ヒドロキシル基または酸素原子を示し、
Figure 2005330249
はZが水素原子、ヒドロキシル基である場合には単結合を、Zが酸素原子である場合には二重結合を示すか、あるいはXとYは一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成してもよい。)で表される化合物(以下、化合物(II)ともいう。)に変換する工程を含むことを特徴とする式(III)
Figure 2005330249
で表される化合物(光学活性シタロプラム。以下、化合物(III)ともいう。)の製造方法。
〔2〕化合物(I)を、式(IV)
Figure 2005330249
(式中、X’は保護基を有していてもよいヒドロキシル基を示し、Y’はジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示すか、あるいはX’とY’は一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成してもよく、Qは式(V)
Figure 2005330249
〔式中、Aは水素原子または酸素原子を示し、
Figure 2005330249
はAが水素原子である場合には単結合を、Aが酸素原子である場合には二重結合を示し、Jは水素原子またはLG{LGはハロゲン原子またはRSOOで表される基(Rは低級アルキル基をまたは置換されていてもよいフェニル基を示す。)を示す。}を示し、但し、A、Jが同時に水素原子を示すことはない。〕で表される基を示すか、あるいはX’とAは一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成してもよい。但し、X’とAが一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成する場合には、
Figure 2005330249
は単結合であり、Jは水素原子であり、Y’は前記の定義からオキシラン環と反応する基は除かれる。)で表される化合物(以下、化合物(IV)ともいう。)と、塩基の存在下で反応させて式(II)で表される化合物に変換する上記〔1〕記載の製造方法。
〔3〕化合物(II)のZが水素原子であり、Xがヒドロキシル基であり、Yがジメチルアミノ基に変換可能な基であってオキシラン環とは反応しない基である場合において、化合物(IV)が、式(VII)
Figure 2005330249
(式中、Y”は、ジメチルアミノ基に変換可能な基であってオキシラン環とは反応しない基を示す。)
で表される化合物(以下、化合物(VII)ともいう。)である上記〔2〕記載の製造方法。
〔4〕さらに、
(i)Yをジメチルアミノ基に変換する工程
(ii)化合物(II)のXをLG’(LG’はLGと同義である)に変換する工程
(iii)塩基で処理して該LG’を脱離させて不飽和結合を形成させる工程
(iv)該不飽和結合に水素を添加する工程
を含むことを特徴とする上記〔3〕記載の製造方法。
〔5〕式(II)
Figure 2005330249
(式中、*は不斉炭素を示し、Xは保護基を有していてもよいヒドロキシル基を示し、Yはジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示し、Zは水素原子、ヒドロキシル基または酸素原子を示し、
Figure 2005330249
はZが水素原子、ヒドロキシル基である場合には単結合を、Zが酸素原子である場合には二重結合を示すか、あるいはXとYは一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成してもよい。)で表される化合物。
〔6〕Xがヒドロキシル基であり、Yがジメチルアミノ基に変換可能な基であってオキシラン環とは反応しない基であり、Zが水素原子である上記〔5〕記載の化合物。
本発明の製造方法によれば、光学活性シタロプラムの不斉中心を高選択的かつ効率的に誘導することができ、光学分割法のように不要なエナンチオマーを捨てる必要がないため、従来より高いアトムエコノミーで光学活性シタロプラムを製造することができる。また、本発明の製造方法の過程で得られる中間体は光学活性シタロプラムの合成に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明で用いられている記号および用語の定義を説明する。
XおよびX’で示される「保護基を有していてもよいヒドロキシル基」の「保護基」としては、特に限定はなく、例えば、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基、ベンジル基、メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基等が挙げられ、これらのうち、2−テトラヒドロピラニル基、ベンジル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましい。
YおよびY’で示される「ジメチルアミノ基に変換可能な基」としては、ジメチルアミノ基に変換できるものであれば特に限定はなく、また、当該基は直接的にジメチルアミノ基に変換されうるものであっても間接的にジメチルアミノ基に変換されうるものであってもよい。具体的な例としては、保護基を有していてもよいヒドロキシル基(例えば、ヒドロキシル基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、1−エトキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、ベンジルオキシメトキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、保護基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられ、これらのうち、ヒドロキシル基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、1−エトキシエトキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
X’とAが一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成する場合に、Y’より除かれる「オキシラン環と反応する基」としては、アミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
Y”で示される「ジメチルアミノ基に変換可能な基であってオキシラン環とは反応しない基」としては、YおよびY’で示される「ジメチルアミノ基に変換可能な基」として挙げられた基から、アミノ基等のオキシラン環と反応する基を除いたものが挙げられる。
LGおよびLG’で示されるハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、これらのうち、塩素原子、臭素原子が好ましい。
Rで示される「低級アルキル基」としては、炭素数1〜6好ましくは炭素数1〜2の直鎖状または分枝状のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。
Rで示される「置換されていてもよいフェニル基」の置換基の例としては、アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)等を挙げることができる。
化合物(II)は塩基性のジメチルアミノ基を有する場合は塩を形成してもよい。そのような塩としては、例えば、無機酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩等)または有機酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等)等が挙げられる。
化合物(III)すなわち光学活性シタロプラムは酸付加塩として得られてもよく、酸付加塩としては薬理的に許容される非毒性酸付加塩が好ましく、例えば、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、パモイン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンジスルホン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マンデリン酸塩、ケイ皮酸塩、シトラコン酸塩、アスパラギン酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、イタコン酸塩、グリコール酸塩、p−アミノ安息香酸塩、グルタミン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、テオフィリン酢酸塩、8−ハロテオフィリン(例えば8−ブロモテオフィリン等)等の有機酸との塩または塩酸、臭化水素酸、スルフィン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸との塩が挙げられる。
構造式中に示される*は、付された炭素原子が光学活性な不斉炭素であることを示し、当該不斉炭素が二つ以上存在する化合物(II)については、存在し得るあらゆるジアステレオマーまたはその混合物をも包含する。
本発明において光学活性とは、不斉炭素においてその立体配置が異なる異性体の等量混合物(例えば、ラセミ体)でないことを意味し、一方の立体異性体が過剰に存在する場合(例えば、6:4の混合物)であれば、光学活性と定義される。
本発明の製造方法は下記反応スキームに示される。
Figure 2005330249
工程(a)
工程(a)は、化合物(I)を化合物(II)に変換する工程であり、当該工程の好ましい態様は、化合物(I)を塩基の存在下化合物(IV)と反応させることにより実施される。
出発物質である化合物(I)は、公知の方法(例えば、特公昭61−35986号公報記載の方法)により合成して入手することができる。
塩基としては、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムジシクロヘキシルアミド、ナトリウムアミド等が挙げられ、これらのうち、水素化ナトリウム、LDAが好ましい。
当該工程は反応を円滑に行うために通常、溶媒が用いられる。溶媒は、反応を阻害しないものである限り特に限定はされず、用いられる溶媒の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらは単独で、または混合して用いることができ、これらのうち、THF、トルエンが好ましい。溶媒の使用量としては化合物(I)1kgに対して通常1〜50L、好ましくは2〜20Lである。
反応操作の好ましい態様としては、化合物(IV)と塩基との間の副反応を防ぐ観点から、まず、化合物(I)と塩基とを反応させる。例えば、窒素等の反応に不活性である気体の雰囲気下で、前記溶媒に化合物(I)を溶解させた溶液に、前記塩基を添加し、化合物(I)と塩基とを反応させる。リチウムジイソプロピルアミドを使用する場合には、公知の方法、例えば、前記溶媒中でN,N−ジイソプロピルアミンとブチルリチウム等のアルキルリチウムと反応させることによってまずリチウムジイソプロピルアミドを生成させ、その後その溶液に化合物(I)を添加してもよい。
塩基の使用量としては、化合物(I)1モルに対し、通常1.0〜1.5モルであり、好ましくは1.0〜1.3モルである。塩基の使用量がこの範囲外であっても反応を行うことができるが、1.5モルより多いと副反応が顕著に進行し、収率や品質が低下する傾向にあり、1.0モルより少ないと化合物(I)が残存し、収率が低下する傾向にある。
塩基としてLDA等を用いる場合、反応温度は通常−70〜0℃、好ましくは−60〜20℃であり、反応時間は通常0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間である。
塩基として水素化ナトリウム等を用いる場合、反応温度は通常40〜90℃、好ましくは50〜80℃であり、反応時間は通常1〜24時間、好ましくは3〜12時間である。
次いで、この反応混合物に化合物(IV)を添加する。添加する際、化合物(IV)を上記溶媒に溶解させて、溶液として添加しても良い。化合物(IV)の具体的な例としては以下の式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2005330249
(式中、*、X’、Y’およびY”は前記と同義であり、LG”はLGと同義である。)
これらの化合物は、市販されているものについてはそのまま使用することができ、公知の方法により合成して入手することもできる。
化合物(II)のZが水素原子である場合には、式(VI)で表される化合物(以下、化合物(VI)ともいう。)または化合物(VII)が用いられる(化合物(VI)が用いられる場合の工程を以下工程(a’-1)とし、化合物(VII)が用いられる場合の工程を以下工程(a’-2)とする)。
化合物(II)のZがヒドロキシル基である場合には、式(VIII)で表される化合物(以下、化合物(VIII)ともいう。)または式(IX)で表される化合物(以下、化合物(IX)ともいう。)が用いられる(この場合の工程を以下工程(a’-3)とする)。
化合物(II)のZが酸素原子である場合には、式(X)で表される化合物(以下、化合物(X)ともいう。)または式(XI)で表される化合物(以下、化合物(XI)ともいう。)が用いられる(この場合の工程を以下工程(a’-4)とする)。
工程(a’-1)
使用される化合物(VI)の量としては、化合物(I)1モルに対し、通常1.0〜2.0モルであり、好ましくは1.0〜1.5モルである。
反応温度は通常−60〜100℃、好ましくは−40〜80℃であり、反応時間は通常1〜24時間、好ましくは3〜12時間である。
反応を円滑に進行させるために、4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を添加しても良い。相間移動触媒の使用量は通常、化合物(I)1モルに対して、0.01〜1.0モルである。
工程(a’-2)
使用される化合物(VII)の量としては、化合物(I)1モルに対し、通常1.0〜1.6モルであり、好ましくは1.0〜1.4モルである。
反応温度は通常−60〜100℃、好ましくは−40〜80℃であり、反応時間は通常1〜24時間、好ましくは3〜12時間である。
反応を円滑に進行させるために、4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を添加しても良い。相間移動触媒の使用量は通常、化合物(I)1モルに対して、0.01〜1.0モルである。
工程(a’-3)
使用される化合物(VIII)または(IX)の量としては、化合物(I)1モルに対し、通常1.0〜1.5モルであり、好ましくは1.0〜1.3モルである。
反応温度は通常−78〜30℃、好ましくは−60〜0℃であり、反応時間は通常0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間である。
工程(a’-4)
使用される化合物(X)または(XI)の量としては、化合物(I)1モルに対し、通常1.0〜1.5モルであり、好ましくは1.0〜1.3モルである。
反応温度は通常−78〜30℃、好ましくは−60〜0℃であり、反応時間は通常0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間である。
工程(a)により得られる化合物(II)は、常法により単離、精製することができる。例えば、反応混合物に水およびトルエン等の有機溶媒を加えて分液し、有機層を水洗、乾燥後、濃縮することにより化合物(II)を単離することができ、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。
工程(b)
工程(b)は、化合物(II)を化合物(III)に変換する工程である。当該工程は公知の反応方法を組み合わせる事により実施することができ、以下に例となる態様について説明する。
化合物(II)が工程(a’-1)により得られている場合には、工程(b)は、以下の工程からなる。
(i)Yがジメチルアミノ基でない場合にYをジメチルアミノ基に変換する工程
(ii)化合物(II)のXをLG’(LG’はLGと同義である)に変換する工程
(iii)塩基で処理して該LG’を脱離させて不飽和結合を形成させる工程
(iv)該不飽和結合に水素を添加する工程
(i)の工程は、(ii)〜(iv)の工程の前、間、後のいずれで実施してもよいが、最初に実施することが好ましい。特に、Yがハロゲン原子である場合は、LG’にハロゲン原子を採用した場合にXおよびYが同時にハロゲン原子となることを避けるために、最初に実施することが望ましい。
化合物(II)が工程(a’-2)により得られている場合には、工程(b)は、前記(i)〜(iv)と同様の工程により実施され、(i)と同様の工程は必須となる。
また、化合物(II)が工程(a’-3)により得られている場合には、工程(b)は、
(i)と同様の工程
(v)化合物(II)のXおよびZをLG’に変換する工程
(iii)および(iv)と同様の工程(通常、2回繰り返す。)
により実施される。LG’が1化合物中に2つ存在するのに対し、(iii)と同様の工程で脱離するLG’は普通1化合物につき1つであるため、通常、(iii)および(iv)と同様の工程を実施した後、さらにもう一度(iii)および(iv)と同様の工程を実施することになる。
また、化合物(II)が工程(a’-4)により得られている場合には、工程(b)は、
(i)と同様の工程
(vi)Zをヒドロキシル基に還元する工程
(v)と同様の工程
(iii)および(iv)と同様の工程(通常、2回繰り返す。)
により実施される。この場合、LG’が1化合物中に2つ存在するため、上記と同じく、(iii)および(iv)と同様の工程は通常2回繰り返される。
さらに、工程(a’-3)および工程(a’-4)により得られた化合物(II)のXとYが一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成している場合には、工程(b)にはさらに
(vii)オキシラン環を開環させる工程
が含まれる。この工程は、他の工程よりも先に実施される。
これらの各工程は、公知の方法により実施することができる。例えば以下に説明する方法により実施することができる。
(i)の工程は、Yで示される「ジメチルアミノ基に変換可能な基」の態様により、ジメチルアミノ基に変換する方法が異なる。例えば、Yが保護基を有していてもよいヒドロキシル基である場合は、必要により脱保護した後、当該ヒドロキシル基を脱離性エステルに変換後、ジメチルアミンと反応させることにより行うことができる。
ヒドロキシル基を脱離性エステルに変換する方法としては、溶媒(例、トルエン、キシレン、THF、MTBE等)中において、0.9〜1.5当量の酸ハライド(例、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、10−ショウノウスルホニルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド等)と、−20℃〜80℃で、1〜24時間反応させることにより行うことができる。
さらにジメチルアミンとの反応においては、溶媒(例、トルエン、キシレン、THF、MTBE、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)中において、0.9〜5当量のジメチルアミン(好ましくは水溶液)と、0℃〜80℃で、1〜24時間反応させることにより行うことができる。
(i)の工程の他の態様として、Yが保護基を有していてもよいアミノ基である場合は、必要により脱保護した後、溶媒(例、トルエン、キシレン、THF、MTBE等)中において、2〜4当量のメチル化剤(例、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル等)と、−20℃〜80℃で、0.5〜12時間反応させることにより行うことができる。
(i)の工程のさらに他の態様として、Yがハロゲン原子である場合は、溶媒(例、THF、MTBE、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、水等)中において、1〜500当量のジメチルアミン(好ましくは水溶液)と、0〜100℃で、1〜72時間反応させることにより行うことができる。
(ii)または(v)の工程としては、まずXが保護されたヒドロキシル基である場合には、まず常法により脱保護を行う。そして、LG’がRSOOで表される基である場合には、塩基の存在下、化合物(II)のヒドロキシル基をRSO-Halで表される化合物(Rは前記と同義であり、-Halは塩素、臭素等のハロゲン原子を示す。)と反応させることにより実施することができる。LG’がハロゲン原子である場合には、上記方法により化合物(II)のヒドロキシル基をRSOOで表される基に変換した後、さらに当該基をアルカリ金属ハロゲン化物と反応させることにより実施することができる。あるいは、化合物(II)のヒドロキシル基を直接ハロゲン化水素やハロゲン化リンと反応させることにより実施することができる。
LG’がRSOOで表される基である場合の具体的な反応条件の一例を示すと以下の通りである。
化合物(II)を溶媒に溶解させ、塩基を添加し、さらにRSO-Halで表される化合物を添加して反応させる。
溶媒の例としてはTHF、MTBE、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン等を挙げることができ、これらは単独で、または混合して用いることができ、これらのうち、THF、MTBE、トルエンが好ましい。溶媒の使用量としては化合物(II)1kgに対して通常1〜50L、好ましくは2〜20Lである。
塩基の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン等を挙げることができ、これらのうちトリエチルアミン、ピリジンが好ましい。塩基の使用量としては化合物(II)のX1モルに対して通常1.0〜2.0モル、好ましくは1.0〜1.5モルである。
RSO-Halで表される化合物の好ましい例としては、メタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド等を挙げることができ、RSO-Halで表される化合物の使用量としては化合物(II)のX1モルに対して通常1.0〜2.0モル、好ましくは1.0〜1.5モルである。
反応温度は通常−30〜70℃、好ましくは−20〜50℃であり、反応時間は通常0.5〜12時間、好ましくは1〜8時間である。
(iii)の工程は、例えば、LG’が導入された化合物(II)を、t−ブトキシカリウム、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセ−7−エン(DBU)等の塩基と作用させる等により実施することができる。
LG’が導入された化合物(II)を塩基と作用させる場合の具体的な反応条件の一例を示すと以下の通りである。
LG’が導入された化合物(II)を溶媒に溶解させ、塩基を添加する。
溶媒の例としてはキシレン、メシチレン、トルエン、THF、1,4−ジオキサン、ジグリム、エタノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等を挙げることができ、これらは単独で、または混合して用いることができ、これらのうちキシレン、メシチレン、トルエン、ジグリムが好ましく、溶媒の使用量としてはLG’が導入された化合物(II)1kgに対して通常1〜50L、好ましくは2〜20Lである。
塩基の例としては、DBU、1,5ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノン−5−エン(DBN)、t−ブトキシカリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等を挙げることができ、これらのうち、DBU、t−ブトキシカリウムが好ましく、塩基の使用量としてはLG’が導入された化合物(II)のLG’1モルに対して通常1.0モル〜2.0モル、好ましくは1.0モル〜1.5モルである。
反応温度は通常40〜200℃、好ましくは60〜150℃であり、反応時間は通常1〜24時間、好ましくは2〜12時間である。
(iv)の工程は、例えば、溶媒中、水素化触媒の存在下、不飽和結合が導入された化合物(II)を水素と反応させる等により行うことができる。
溶媒の例としては酢酸エチル、エタノール、酢酸等を挙げることができ、これらは単独で、または混合して用いることができ、これらのうち酢酸エチル、エタノールが好ましく、溶媒の使用量としては不飽和結合が導入された化合物(II)1kgに対して通常1〜30L、好ましくは2〜15Lである。
水素化触媒の例としては、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、白金炭素、酸化白金、ロジウム炭素等を挙げることができ、これらのうちパラジウム炭素が好ましい。また、化合物(II)のニトリル基の還元を回避するために、水素化触媒は、硫黄等で被毒して触媒活性を調節しておくことが好ましい。
水素化触媒の使用量としては不飽和結合が導入された化合物(II)1kgに対して通常0.1〜100g、好ましくは0.5〜50gである。
使用する水素の圧力は、通常100kPa〜1MPaであり、好ましくは100kPa〜500kPaである。
反応温度は通常0〜100℃、好ましくは10〜70℃であり、反応時間は通常1〜24時間、好ましくは2〜12時間である。
(vi)の工程は、例えば、溶媒中、化合物(II)を還元剤と反応させる等により行うことができる。
溶媒の例としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール、THF、MTBE、トルエン等を挙げることができ、これらは単独で、または混合して用いることができ、これらのうち、メタノール、THFが好ましく、溶媒の使用量としては化合物(II)1kgに対して通常1〜50L、好ましくは2〜30Lである。
還元剤の例としては、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等を挙げることができ、これらのうち、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。触媒の使用量としては化合物(II)1モルに対して通常1.0モル〜2.0モル、好ましくは1.0モル〜1.5モルである。
反応温度は通常−20〜70℃、好ましくは0〜50℃であり、反応時間は通常0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間である。
(vii)の工程は、例えば溶媒中、化合物(II)をアミン化合物と反応させることにより行うことができる。この反応により化合物(II)のオキシラン環が開裂し、ヒドロキシル基が生成すると共に、(ジアルキル)アミノ基等が導入される。
溶媒の例としてはTHF、MTBE、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール等を挙げることができ、これらは単独で、または混合して用いることができ、これらのうちメタノール、THFが好ましく、溶媒の使用量としては化合物(II)1kgに対して通常1〜50L、好ましくは2〜30Lである。
アミン化合物の例としては、アンモニア、ジメチルアミン、メチルアミン等、オキシラン環との反応により、ジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基が導入されるアミン化合物を挙げることができ、これらのうち、直接ジメチルアミノ基が導入できるジメチルアミンが好ましい。塩基の使用量としては化合物(II)1モルに対して通常1〜500モル、好ましくは3〜100モルである。
反応温度は通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃であり、反応時間は通常1〜72時間、好ましくは3〜24時間である。
(i)〜(vii)の工程において生成する化合物は、反応混合物より常法により単離、精製することができる。また、単離、精製することなく次の工程に使用してもよい。最終的に得られる化合物(III)は、再結晶に付することにより光学純度を上げることができる。
化合物(III)はフリー塩基として得られるが、必要により酸付加塩にすることができる。当該酸付加塩は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、水と混和しうる溶媒中(例、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロパノール等)、化合物(X)のフリー塩基を有機酸(例、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、シュウ酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデリン酸、ケイ皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、テオフイリン酢酸、8−ハロテオフイリン等)又は無機酸(例、塩酸、臭化水素酸、スルフィン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等)、好ましくはシュウ酸と反応させ、濃縮または冷却によって析出した酸付加塩を濾過等により単離するか、あるいはエチルエーテル、酢酸エチル又はジクロロメタン等の貧溶媒中で反応させ、析出した酸付加塩を単離することにより行うことができる。得られた該酸付加塩は、必要により再結晶に付することにより、光学純度を上げることができる。
また、工程(b)を行うにあたり、(iii)および(iv)の工程の代わりに、LG’が導入された化合物(II)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトン等の溶媒中、LG’が導入された化合物(II)に対し1〜10当量のヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等と反応させて、対応するヨウ化物に変換した後、トルエン、キシレン等の溶媒中、対応するヨウ化物に対し0.001〜0.5当量のアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル発生剤および1〜5当量のトリブチルスズヒドリド等と30〜150℃で1〜48時間反応させることにより行うこともできる。この対応するヨウ化物は、Synthesis, 835-849 (2002)記載の方法により還元してもよい。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 光学活性−1−(4−フルオロフェニル)−1−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−5−フタランカルボニトリルの合成
N,N−ジイソプロピルアミン(4.73g, 46.8mmol)をTHF(37mL)に溶解させた溶液中に−50〜−60℃で15wt% n−ブチルリチウム/hexane溶液(19.6g,45.9mmol)を滴下し、さらに1−(4−フルオロフェニル)−5−フタランカルボニトリル(10.0g, 41.8mmol)のTHF(20mL)溶液を−50〜−60℃で滴下した。その後、−30℃付近まで加温後、(S)−エピクロロヒドリン(4.45g, 48.1mmol)を滴下して、20℃まで2時間かけて昇温した。反応液は、氷水(200mL)中にあけ、トルエン(50mL)を加えて抽出した。有機相は水(50mL)で2回洗浄した後、硫酸マグネシウム(3g)、シリカゲル(2g)を添加後濾過して、溶媒を留去させることにより、表題化合物(13.2g)を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δ ppm 2.2-2.65 (2H, m), 3.48-3.6; 3.67-3.73;3.85-3.92(3H, m), 5.07-5.29(2H, m), 7.05-7.1 (2H, m), 7.4-7.7 (5H, m).
実施例2 光学活性−1−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル)−5−フタランカルボニトリルの合成
1−(4−フルオロフェニル)−1−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−5−フタランカルボニトリル (4.0g, 12mmol)をTHF(40mL)に溶解させた溶液に、50wt%ジメチルアミン(10.8g, 120mmol)を室温で加え、終夜攪拌した。反応液にトルエン(40mL)、水(50mL)を加え、有機相を分離後、水相をさらにトルエン(30mL)で抽出した。あわせた有機相は1N塩酸(50mL)で2回洗浄後、トルエン相を10%苛性ソーダ水溶液(50mL)で1回、水(50mL)で3回洗浄し、無水炭酸カリウム(1.0g)を加え脱水後、濾過し、溶媒を留去することにより、表題化合物(3.0g)を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δ ppm 2.15 (6H, s), 2.15-2.4 (2H, m), 3.5-3.57;3.67-3.72; (1H, m), 5.06-5.33(2H, m), 7.0-7.05 (2H, m), 7.4-7.75 (5H, m).
実施例3 光学活性1−[2−(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)−3−ジメチルアミノプロピル]−1−(4-フルオロフェニル)−5−フタランカルボニトリルの合成
1−(フルオロフェニル)−5−フタランカルボニトリル(1.0g, 4.18mmol)、[2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−クロロ−プロピル]−ジメチルアミン(1.37g,5.43mmol)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(1.85g, 5.02mmol)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)(10mL)に溶解させた溶液に窒素雰囲気下、60wt%水素化ナトリウム(200.6mg,5.02mmol)を添加し、65℃に加熱して8時間反応した。反応終了後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)、トルエン(20mL)を加えて抽出し、水相をトルエン(20mL)で再度抽出した有機相を合わせて5%炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄を行った。ついで、水(20mL)、10%塩酸(20mL)および、トルエン(20mL)、10%水酸化ナトリウム(30mL)でそれぞれ洗浄を行い、有機相を5%食塩水(20mL)で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過後、濃縮して橙色の油状物の目的化合物(0.38g、収率20%)を得た。
実施例4 光学活性―1−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ジメチルアミノプロピル)−5−フタランカルボニトリル(光学活性シタロプラム)の合成
光学活性−1−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル)−5−フタランカルボニトリルを、THF溶媒、トリエチルアミン存在下、メタンスルホニルクロリドを作用させ対応するメタンスルホニルエステルとした後、DMF中溶媒中でヨウ化ナトリウムを作用させ、対応するヨウ素化物に変換した後、トルエン中でトリブチル錫ヒドリドとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を作用させることにより、表題化合物を得る。
実施例5 光学活性−1−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ジメチルアミノプロピル)−5−フタランカルボニトリル(光学活性シタロプラム)の合成
光学活性1−[2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−ジメチルアミノプロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−5−フタランカルボニトリルを、常法によりtert−ブチルジメチルシリル基を脱離させた後、THF溶媒、トリエチルアミン存在下、メタンスルホニルクロリドを作用させ対応するメタンスルホニルエステルとした後、キシレン溶媒中で、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)を作用させ、光学活性−1−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ジメチルアミノプロペニル)−5−フタランカルボニトリルとした後、さらに硫黄で被毒した酢酸エチル溶媒中、パラジウム炭素触媒下、水素添加することにより、表題化合物を得る。

Claims (6)

  1. 式(I)
    Figure 2005330249

    で表される化合物を、式(II)
    Figure 2005330249

    (式中、*は不斉炭素を示し、Xは保護基を有していてもよいヒドロキシル基を示し、Yはジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示し、Zは水素原子、ヒドロキシル基または酸素原子を示し、
    Figure 2005330249
    はZが水素原子、ヒドロキシル基である場合には単結合を、Zが酸素原子である場合には二重結合を示すか、あるいはXとYは一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成してもよい。)で表される化合物に変換する工程を含むことを特徴とする式(III)
    Figure 2005330249

    で表される化合物(光学活性シタロプラム)の製造方法。
  2. 式(I)で表される化合物を、式(IV)
    Figure 2005330249

    (式中、X’は保護基を有していてもよいヒドロキシル基を示し、Y’はジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示すか、あるいはX’とY’は一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成してもよく、Qは式(V)
    Figure 2005330249

    〔式中、Aは水素原子または酸素原子を示し、
    Figure 2005330249
    はAが水素原子である場合には単結合を、Aが酸素原子である場合には二重結合を示し、Jは水素原子またはLG{LGはハロゲン原子またはRSOOで表される基(Rは低級アルキル基をまたは置換されていてもよいフェニル基を示す。)を示す。}を示し、但し、A、Jが同時に水素原子を示すことはない。〕で表される基を示すか、あるいはX’とAは一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成してもよい。但し、X’とAが一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成する場合には、
    Figure 2005330249
    は単結合であり、Jは水素原子であり、Y’は前記の定義からオキシラン環と反応する基は除かれる。)で表される化合物と、塩基の存在下で反応させて式(II)で表される化合物に変換する請求項1記載の製造方法。
  3. 式(II)で表される化合物のZが水素原子であり、Xがヒドロキシル基であり、Yがジメチルアミノ基に変換可能な基であってオキシラン環とは反応しない基である場合において、式(IV)で表される化合物が、式(VII)
    Figure 2005330249

    (式中、Y”は、ジメチルアミノ基に変換可能な基であってオキシラン環とは反応しない基を示す。)
    で表される化合物である請求項2記載の製造方法。
  4. さらに、
    (i)Yをジメチルアミノ基に変換する工程
    (ii)式(II)で表される化合物のXをLG’(LG’はLGと同義である)に変換する工程
    (iii)塩基で処理して該LG’を脱離させて不飽和結合を形成させる工程
    (iv)該不飽和結合に水素を添加する工程
    を含むことを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 式(II)
    Figure 2005330249

    (式中、*は不斉炭素を示し、Xは保護基を有していてもよいヒドロキシル基を示し、Yはジメチルアミノ基またはジメチルアミノ基に変換可能な基を示し、Zは水素原子、ヒドロキシル基または酸素原子を示し、
    Figure 2005330249
    はZが水素原子、ヒドロキシル基である場合には単結合を、Zが酸素原子である場合には二重結合を示すか、あるいはXとYは一緒になってそれぞれ結合する炭素原子と共にオキシラン環を形成してもよい。)で表される化合物。
  6. Xがヒドロキシル基であり、Yがジメチルアミノ基に変換可能な基であってオキシラン環とは反応しない基であり、Zが水素原子である請求項5記載の化合物。
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