以下、添付の図面を参照して、本発明の印刷/打刻複合装置、印刷/打刻方法、及びプログラムの実施形態について説明する。
まず、本発明の複合装置1について図1〜図5を参照して説明する。この複合装置1は、墨字印刷を行う墨字印刷装置(墨字印刷手段)10と、点字打刻を行う点字打刻装置(点字打刻手段)30とから構成され、墨字印刷装置10により墨字印刷を行った後テープTを排出し、排出されたそのテープTを、ユーザにより墨字印刷装置10とインタフェースを介して接続された点字打刻装置30の打刻テープ挿入部33に挿入することで、点字打刻を行うものである。
図1は、墨字印刷装置10および点字打刻装置30の外観図である。墨字印刷装置10は、手持ち部分を有する印刷装置ケース11により外殻が形成され、印刷装置ケース11の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード12が配置されると共に、後部上面には、その左半部に開閉蓋20が取り付けられ、右半部にディスプレイ13が配設されている。そして、開閉蓋20の内側には、テープTおよびインクリボンRを収容したテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部14(墨字印刷部120)が窪入形成されており、テープカートリッジCは開閉蓋20を開放した状態でカートリッジ装着部14に着脱される。
また、印刷装置ケース11の左側部には、カートリッジ装着部14と装置外部とを連通する印刷テープ排出口21が形成され、この印刷テープ排出口21には、モータ駆動(カッタモータ131、図5参照)でハサミ形式のテープカッタ22が臨んでいる。そして、印刷テープ排出口21から、墨字印刷が行われたテープTが送り出される際に、テープTがテープカッタ22により切断され排出される。
キーボード12は、種々の指定およびデータを後述する制御部200に入力するものであって、入力キーには、アルファベットキー群、記号キー群、数字キー群、仮名キー群を含む文字キー群12aの他、各種の動作を指定するための機能キー群12b等が配列されている。機能キー群12bには、テキスト入力時のデータ確定や改行、選択画面における各種モードの選択指示のための選択キー、各種入力を取りけるための取り消しキー、各キーの役割変更などに用いられるシフトキー、カーソル移動やディスプレイ13の表示範囲を移動させるための4個のカーソルキー、印刷/打刻動作を開始するための印刷/打刻キー、ファイル操作や印刷フォーム選択のためのファイルフォームキー等が設けられている。
ディスプレイ13は、横方向(X方向)約6cm×縦方向(Y方向)4cmの長方形の形状の内側に、96ドット×64ドットの表示画像データを表示可能であり、ユーザがキーボード12から文字情報を入力して、墨字印刷を行うための墨字データや、点字打刻を行うための点字データを作成・編集する際に用いられる。また、各種エラーやメッセージ(指示内容)を表示し、ユーザに報知する。
カートリッジ装着部14には、ヘッドカバー17内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド15が内蔵されたヘッドユニット16と、印刷ヘッド15に対峙するプラテン駆動軸18と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸19と、後述のテープリール29の位置決め突起23と、を備えている。また、カートリッジ装着部14の下側には、プラテン駆動軸18および巻き取り駆動軸19を回転させる印刷送りモータ121(図5参照)が内蔵されている。
テープカートリッジCは、カートリッジケース24内部の上部中央部に、一定の幅のテープTを巻回したテープリール29と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール27とを収容して構成されており、テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール29の左下部には上記ヘッドユニット16を覆うヘッドカバー17に差し込むための貫通孔28が形成されており、テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、上記プラテン駆動軸18に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ25が配置されている。一方、上記リボンリール27に近接してリボン巻き取りリール26が配置され、リボンリール27から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー17を周回するように配置されたリボン巻き取りリール26に巻き取られるようになっている。
テープカートリッジCがカートリッジ装着部14に装着されると、ヘッドカバー17に貫通孔28が、位置決め突起23にテープリール29の中心孔が、巻き取り駆動軸19にリボン巻き取りリール26の中心孔がそれぞれ差し込まれ、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド15がプラテンローラ25に当接して墨字印刷が可能になる。そして、入力された文字情報に基づき墨字データの印刷を行った後、墨字印刷後のテープTは、印刷テープ排出口21に送られる。
テープTは、特に図示はしないが、裏面に粘着剤層が設けられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムで構成された基材シートと、この粘着剤層により基材シートに貼付された剥離紙とから構成されている。剥離紙は、基材シートをラベルとして使用する時まで粘着剤層に埃などが付着しないようにするためのものであって、表面にシリコン処理がなされた上質紙などで構成されている。そのため、粘着剤層が剥離紙に及ぼす粘着力は、基材層に及ぼす粘着力よりも極端に小さくなっている。
また、テープTは、テープ種別(テープ幅、テープ色、墨字インク色、テープ材質など)が異なる複数種のものが用意されており、この種別を指標する複数の孔(図示省略)がカートリッジケース24の裏面に設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部14には、これらを検出するテープ識別センサ(マイクロスイッチ)141(図5参照)が複数設けられており、このテープ識別センサ141の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
一方、点字打刻装置30は、図示しないコネクタを介して墨字印刷装置10と有線又は無線接続されており(図示ではコネクタケーブルで接続)、打刻装置ケース31により外殻が形成されている。また、打刻装置ケース31には、その内部に主構成装置を装置フレーム65に組み込んだ、点字打刻アッセンブリが組み込まれ、その上面は点字打刻アッセンブリの点字打刻部(具体的には、後述するテープ走行路70、打刻ユニット80およびテープ送り機構60)150が露出するように十字状に開放されている。また、この十字状の露出部32の右部にはユーザによりテープTが手差し挿入される打刻テープ挿入部33が形成されていると共に、左部には点字打刻後のテープTが排出される打刻テープ排出部34が形成されている。すなわち、点字打刻部150の右部に上面を開放した打刻テープ挿入部33が、またその左部に上面を開放した打刻テープ排出部34が形成されている。
点字打刻部150は、図3に示すように3個の打刻ピン41により点字打刻を行う打刻ユニット80と、打刻テープ挿入部33に挿入されたテープTを打刻テープ排出部34に向けて送るテープ送り機構60と、打刻テープ挿入部33から打刻テープ挿入部34に至るテープ走行路70とを有し、テープ送り機構60の駆動によりテープ走行路70に沿って送られていくテープTに対し、打刻ユニット80により3個の打刻ピン41を選択的に駆動することで点字Bが形成される。
テープ送り機構60は、正逆回転可能な送りローラ61と、送りローラ61を装置フレーム65に回転自在に支持する支持部材62と、図示しない動力伝達機構を介して送りローラ61を回転させる打刻送りモータ151(図5参照)とから成り、送りローラ61は、形成された点字Bを押し潰すことがないよう、テープ走行路70の幅方向における上下3カ所ずつ(縦3個の打刻ポイント201(図2(a)参照)に相当する位置)に環状溝63(図4参照)が形成されている。
また、打刻ユニット80は、テープTの裏面側に配設されると共に上記3個の打刻ピン41が組み込まれた打刻部材81(打刻ヘッド)と、テープTを挟んで打刻部材81と対向する位置に設けられた打刻受け部材82とから成り(図3(b)参照)、テープ走行路70の幅方向における下部(手前部)に固定配置されている(図3(a)参照)。したがって、最大幅(24mm)のテープT1に点字打刻を行う場合は、テープT1の幅方向における下半部に点字打刻を行うこととなる(図4参照)。
ここで、図2を参照し、テープT(T3:テープ幅12mm)上に形成される点字B(6点点字B)について説明する。同図(a)は、文字情報「し」を表す点字(点字データ)Bを示す図である。同図に示すように、6点点字Bは、縦3個×横2個の6個の点(打刻ドット)で1マス200が構成され、1マス200で、1文字または濁点等の属性が表現される。なお、点字Bには、仮名文字や数字等を表す6点点字の他、縦3個×横3個の9個のビットパターンの点で特殊な仮名文字(「ぎ」や「ちゃ」など)を表す9点点字や、縦4個×横2個の8個のビットパターンの点で漢字を表す8点点字も使用されている。本実施形態の点字打刻装置30は、後述するように6点点字B及び9点点字を打刻するものであるが、もちろん8点点字を打刻可能な構成であってもよい。
6点点字Bは、1マス200が縦3個×横2個の配置パターンで6個の打刻ポイント201a〜201fに分割されており、同図の「し」では、6個の打刻ポイント201a〜201fのうち4個の打刻ポイント201a,201b,201e,201fが選択的に打刻されて、テープT上に4個の打刻凸部202a,202b,202e,202fが形成されている。また、6個の打刻凸部202は、縦方向のピッチが略2.4mm、横方向のピッチが略2.1mm、隣接マスの点までの(マス間)ピッチは略3.3mmとなっている。
同図(b)は、打刻凸部202の断面形状である。同図に示すように、打刻凸部202の形状は、角の丸まった円筒形である。なお、打刻凸部202の形状は、角の丸まった円筒形のものが良い(触感が良く好ましい)とされているが、他の形状、例えば半球形、円錐形、四角錐形等であってもよい。
また、本実施形態の点字打刻装置30は、打刻ユニット80として相互に交換可能な2種類のユニットが用意されており、一方は小形の小打刻凸部203を形成し、他方は大形の大打刻凸部204を形成する。小打刻凸部203は、円筒の直径が略1.4mm、高さが略0.4mmであり、大打刻凸部204は、円筒の直径が略1.8mm、高さが略0.5mmである。大小2種類の打刻凸部203,204は、その用途によって使い分けられるものであり、例えば、小打刻凸部203が点字Bの読み取りに慣れた者(先天盲者)向けであって、大打刻凸部204が初心者(中途失明者)向けである。
次に、図3を参照し、打刻ユニット80の構成について説明する。同図(a)は打刻ユニット80を図1における上側から見た平面図であり、同図(b)は打刻ユニット80の断面図である。同図(a)は、墨字印刷後のテープT(テープ幅12mm)が、打刻テープ挿入部33から手差し挿入によりテープ走行路70に送り込まれ、打刻テープ排出部34に向かってテープTが送られていく状態を示したものである。
両図に示すとおり、打刻ユニット80は、3個の打刻ピン41を備えた打刻部材81と、これら打刻ピン41を受ける打刻受け部材82とを備えている。
打刻部材81は、テープ幅方向(同図(a)における上下方向)に沿って、2.4mmの間隔で配列された3個の打刻ピン41を備えており、3個の打刻ピン41は、6個の打刻ポイント201のうち縦3個の打刻ポイント201に対応していると共に、ソレノイド47を駆動源とした直線運動をガイドする打刻ガイド部材45によって、テープTに対し垂直に保持されている。打刻ピン41の頭部41aは、打刻した打刻凸部202の形状が最終的に半球状に、角の丸まった円筒形に形成されている。なお、打刻凸部202の形状を他の形状、例えば円錐形、四角錐形等にする場合には、打刻ピン41の頭部41aの形状も、打刻後の残留ひずみによる戻りを考慮した略相補的形状に形成される。
また、各打刻ピン41の尾部には、アーム部材46の一端が半固定的に連結されている。このアーム部材46には、その他端にソレノイド47のプランジャー48の先端部が回動可能に接続していると共に、その中間部を回動自在に支持する回動支軸49が設けられている。そして、このソレノイド47のプランジャー48は、テープTに対して垂直方向に直線運動をするように、プランジャー48と上記の打刻ピン41とは平行に配設されている。したがって、ソレノイド47によりプランジャー48が直線運動を行うと、アーム部材46が回動支軸49を中心として回動し、打刻ピン41がテープTに対し垂直方向に直線運動(打刻動作)を行う。
そして、打刻ユニット80は、この打刻ピン41と打刻受け部材82とにより、テープTに打刻凸部202を形成する。すなわち、入力された点字文字情報に基づいて生成された点字打刻データに対応してソレノイド47が励磁し、プランジャー48が吸引されると、打刻ピン41が打刻ガイド部材45に案内されてテープTに対して垂直方向に進み、テープTを挟んで対応する打刻受け凹部43に突き当たり、テープTに打刻凸部202を形成する。
次に、図4を参照し、点字打刻部150におけるテープTの送りについて説明する。上記のとおり、点字打刻部150は、打刻ピン41によりテープTに打刻凸部202を形成する打刻ユニット80、テープTが送られるテープ走行路70、並びにテープ走行路70に沿ってテープTを搬送するテープ送り機構60を備える他、テープTの送りをガイドするテープガイド部材71,72と、テープTの先端を検出する透過型の先端検出センサ152と、をさらに備えている。
打刻テープ挿入部33には、テープ幅の大きいものからテープT1(テープ幅24mm)、テープT2(テープ幅18mm)、テープT3(テープ幅12mm)が挿入可能となっているが、最大テープ幅のテープT1については上下ガイド71,72によってガイドされ、それ以外のテープ幅のテープT2,T3については、下テープガイド部材72のみによってガイドされる。例えば、最小テープ幅のテープT3を用いる場合、ユーザは、テープT3を下テープガイド部材72に沿ってその先端がテープ送り機構60(送りローラ61)に到達するまで(挿入可能な位置まで)手差し挿入する。そして、テープ挿入をトリガとしてテープ送り機構60によるテープT3の送りを開始させる。
このとき、テープ先端から打刻開始位置までの前余白長が、打刻ユニット80(打刻ピン41)と、先端検出センサ151との間の長さL1よりも短く設定されている場合は(但し、送りローラ61の位置関係上、前余白長が打刻ユニット80と送りローラ61との間の長さL2よりも長く設定されていることが前提となる)、送りローラ61を逆回転させることでテープTを送り戻し、特定の位置(頭出し位置)まで送ったところで打刻および正方向へのテープ送りを開始する。そして、打刻終了後テープ送り機構60により所定長さのテープ送りを行うことで、打刻テープ排出部34からテープTを排出する。
さらに、図5を参照し、墨字印刷装置10および点字打刻装置30の制御構成について説明する。墨字印刷装置10は、ユーザインタフェースを司る操作部110と、墨字データを印刷する墨字印刷部120と、テープTを所定長さとなるように切断する切断部130と、各種検出を行う検出部140と、各部を駆動する駆動部160と、各部と接続され、墨字印刷装置10全体を制御する制御部200とによって構成されている。
操作部110は、キーボード12およびディスプレイ13を有し、ユーザによる文字情報の入力や各種情報の表示などを行う。また墨字印刷部120は、テープカートリッジC、印刷ヘッド15および印刷送りモータ121を有し、テープTおよびインクリボンRを搬送しながらテープT上に墨字文字情報に基づく墨字データを印刷する。さらに、切断部130はテープカッタ22、およびこれを駆動するカッタモータ131を有し、テープTを所定長さとなるように切断する。
検出部140は、テープT(テープカートリッジC)の種別を検出するテープ識別センサ141、印刷送りモータ121の回転速度を検出する印刷部回転速度センサ142、を有し各種検出を行う。
駆動部160は、ディスプレイドライバ161、ヘッドドライバ162、印刷送りモータドライバ163aおよびカッタモータドライバ163bに加え、後述する点字打刻装置30内のソレノイド47および打刻ピン41を駆動する打刻ドライバ164、後述する点字打刻装置30内の打刻送りモータ151を駆動する打刻送りモータドライバ165をさらに有し、各部を駆動する。
制御部200は、CPU210、ROM220、RAM230および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」という)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。ROM220は、墨字印刷処理や点字打刻処理等の各種処理をCPU210で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック221と、墨字印刷を行うための文字フォントデータや点字打刻を行うための点字フォントデータの他、点字データの打刻制御のための制御データ等を記憶する制御データブロック222とを有している。なお、文字フォントデータは、ROM220内ではなく、CG−ROMを別個に備えても良い。
RAM230は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック231の他、生成された墨字印刷データを記憶する墨字印刷データブロック232と、生成された点字打刻データを記憶する点字打刻データブロック233と、ディスプレイ13に表示するための表示データを記憶する表示データブロック234と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM230は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
IOC250には、CPU210の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC250は、キーボード12からの入力データや制御データをそのまま或いは加工して内部バス260に取り込むと共に、CPU210と連動して、CPU210から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部160に出力する。
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力した各種信号・データに基づいてRAM230内の各種データを処理し、IOC250を介して墨字印刷装置10内の各部に各種信号・データを出力することにより、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御などを行う。
また、点字打刻装置30は、テープT上に点字打刻を行う点字打刻部150と、点字打刻部150において、テープTの先端を検出する先端検出センサ152および打刻送りモータ151の回転速度を検出する回転速度センサ153とを有している。点字打刻部150は、ソレノイド47、打刻ピン41および打刻送りモータ151を備え、テープTを搬送しながら、受信した点字打刻データに基づく点字データをテープT上に打刻する。
例えば、CPU210は、キーボード12より墨字文字情報および点字文字情報が入力されると、墨字文字情報に基づいて墨字印刷データを生成し、墨字印刷データブロック232に一時的に記憶すると共に、点字文字情報に基づいて点字打刻データを生成し、点字打刻データブロック233に一時的に記憶する。また、キーボード12から印刷/打刻指示を取得すると、印刷送りモータ121の駆動を開始し、印刷部回転速度センサ142の検出結果に応じて印刷ヘッド15を駆動することにより、墨字印刷データブロック232内の墨字データに基づいて墨字印刷を行う。その後、墨字印刷データに基づく所定長さのテープ送りを行った後、テープカッタ22によりテープ後端部を切断し印刷テープ排出口21から印刷済テープTを排出する。
また、印刷/打刻指示において、墨字印刷/点字打刻の両方または点字打刻のみが指示された場合は、CPU210は点字打刻データブロック233内の点字打刻データを点字打刻装置30へ送信する。そして、点字打刻装置30は、ユーザによりテープTが打刻テープ挿入部33から挿入されると、打刻ユニット80およびテープ送り機構60を駆動することにより、墨字印刷装置10から受信した点字打刻データに基づいて点字打刻を行う。点字打刻が終了すると、打刻送りモータ151の駆動によりテープ送りを行い、打刻テープ排出部34から打刻済テープTを排出する。
次に、本発明の印刷/打刻複合装置1における墨字印刷および点字打刻の流れを図6を参照して説明する。なお、以下の説明はテープ幅が12mmのテープTに対して印刷/打刻を行うことを前提とする。まず、ユーザによるキーボード12からのデータ入力により、点字文字情報および/又は墨字文字情報の入力後(S01)、さらにユーザによって印刷/打刻キーが押されると(S02)、墨字印刷装置10は、テープTに対して「(a).墨字印刷のみを行うモード」と、「(b).墨字印刷および点字打刻の双方を行うモード」「(c).点字打刻のみを行うモード」と、との中からいずれかを選択する画面を表示する(S03)。
「(b).墨字印刷および点字打刻の双方を行うモード」が選択された場合は、印刷領域Pおよび打刻領域S(図8参照)を設定する印刷/打刻領域設定処理(印刷領域設定手段、打刻領域設定手段)を行う(S04)。なお、印刷/打刻領域設定処理については後述する。
印刷/打刻領域設定処理を行った後、設定した印刷領域Pに墨字文字情報に基づき墨字印刷を行うと共に(S05)、CPU210は、点字打刻データブロック233に記憶した点字打刻データを点字打刻装置30へ送信する(S06)。その後、墨字印刷後のテープTの切断を行い、印刷テープ排出口21からテープTを排出する(S07)。さらにユーザによって、排出されたテープTが点字打刻装置30の打刻テープ挿入部33から挿入されると(S08)、点字打刻装置30は受信した点字打刻データに基づき打刻領域Sに点字打刻を行う(S09)。その後、点字打刻済のテープTを打刻テープ排出部34から排出し処理を終了する(S10)。
また、「(a).墨字印刷のみを行うモード」が選択された場合は(S03:(a))、墨字印刷装置10は、入力された墨字情報に基づきテープTに印刷を行った後(S11)、テープTを切断して印刷テープ排出口21からテープTを排出する(S12)。また「(c).点字打刻のみを行うモード」が選択された場合は(S03:(c))、墨字印刷装置10は、点字打刻データを点字打刻装置30へ送信すると共に(S06)、点字打刻データに基づきテープTを所望の長さで切断しテープTを印刷テープ排出口21から排出する(S07)。そして、ユーザによりテープTが点字打刻装置30の打刻テープ挿入部33から挿入されることにより(S08)、点字打刻装置30は受信した点字打刻データに基づき点字打刻を行い(S09)、打刻テープ排出部34から点字打刻済のテープTを排出して処理を終了する(S10)。
なお、「(b).墨字印刷および点字打刻の双方を行うモード」あるいは「(c).点字打刻のみを行うモード」が選択された場合には、印刷テープ排出口21からテープTを排出すると共に、ディスプレイ13上に打刻テープ挿入部33へのテープ挿入を促す旨のメッセージ表示を行ってもよい。また、メッセージ表示に代えてインジケータやLEDによって表示を行ってもよい。
ここで、印刷/打刻領域設定処理について図7および図8を参照して詳細に説明する。上記したように、点字Bは、テープ幅方向(縦列方向)に並んだ3つの打刻ピン41が選択的に駆動されることで生成されるため、点字が打刻される1マス及びマス間ピッチは予め設定されている(図2参照)。すなわち「(b).墨字印刷および点字打刻の双方を行うモード」が選択された場合は、入力された点字文字情報から生成した点字打刻データに基づき、点字行領域hにおいて点字Bを打刻する打刻領域Sが設定されると共に、これに伴って墨字Aを印刷する印刷領域Pが設定される(図8参照)。
図7は印刷/打刻領域設定処理を示したフローチャートである。墨字印刷装置10は、「(b).墨字印刷および点字打刻の双方を行うモード」がユーザにより選択されると、印刷/打刻領域設定処理を開始し、まず複数の打刻領域Sを設定する(S21)。次に、点字行領域hにおいて設定した複数の打刻領域Sを除いた複数の領域(点字列の前後の領域を含む)を印刷領域Pとして設定する(S22)。その後設定した印刷領域Pに基づき印刷レイアウトを作成して処理を終了する(S23)。
さらに、図8を参照して点字文字情報が「といれみぎ」、墨字文字情報が1行目に「トイレは右側」、2行目に「にございます」と入力された例を挙げ具体的に説明する。墨字印刷装置10は、最初に点字文字情報の「と」が打刻される打刻領域(点字マス領域)S1、同様に点字文字情報「い」が打刻される打刻領域(点字マス領域)S2,点字文字情報「れ」が打刻される打刻領域(点字マス領域)S3,点字文字情報「み」が打刻される打刻領域(点字マス領域)S4,点字文字情報「ぎ」が打刻される打刻領域(点字マス領域)S5をそれぞれ設定する(同図(a)参照)。なお、点字文字情報の「ぎ」は、9点点字で構成されるため、「ぎ」が打刻される打刻領域S5は、他の打刻領域S1〜S4に比べて領域が若干広く設定されている。また、点字Bの説明において示したように、点字Bの隣接マスの点までの(マス間)ピッチは略3.3mmとなっているので、打刻領域(点字マス領域)S1〜S5のそれぞれの間隔は予め設定されている。
打刻領域(点字マス領域)Sを設定すると、次に墨字印刷装置10は、点字行領域hにおいて打刻領域(点字マス領域)Sを除いた領域を印刷領域Pとして設定する。すなわち、打刻領域(点字マス領域)S1〜S5に隣接する領域をそれぞれ印刷領域(墨字領域)P1〜P6として設定する(同図(b)参照)。墨字印刷装置10は、印刷領域Pの設定を終了すると、次に設定した印刷領域Pに基づいて墨字文字情報の印刷レイアウトを作成する。すなわち、印刷領域(墨字領域)P1には、墨字文字情報1行目の「ト」と2行目の「に」とが配置され、同様に印刷領域(墨字領域)P2には、墨字文字情報1行目の「イ」と2行目の「ご」とが、印刷領域(墨字領域)P3には、墨字文字情報1行目の「レ」と2行目の「ざ」とが、印刷領域(墨字領域)P4には、墨字文字情報1行目の「は」と2行目の「い」とが、印刷領域(墨字領域)P5には、墨字文字情報1行目の「右」と2行目の「ま」とが、印刷領域P6には、墨字文字情報1行目の「側」と2行目の「す」とが、それぞれ配置される(同図(c)参照)。
このように、墨字印刷装置10は、「(b).墨字印刷および点字打刻の双方を行うモード」が選択された場合に、打刻領域Sを設定してから印刷領域Pを設定するので、墨字Aと点字Bとが重なって印刷/打刻されることがない。また、打刻領域S1〜S5に隣接する領域を印刷領域(墨字領域)Pとして設定するので、テープ幅方向上下に印刷領域Pを新たに設ける必要が無く、印刷領域Pを節約することができる。特に、本実施例のように印刷媒体が幅狭のテープである場合に有用である。
ところで、上記の説明ではテープ幅が12mmのテープTに対して墨字印刷および/又は点字打刻を行うことを前提として説明しているが、例えば、テープ幅が18mmや24mmのテープTに対して墨字印刷および/又は点字打刻を行う場合は、打刻領域Sのテープ幅方向の長さ、すなわち点字行領域hがテープTのテープ幅の長さに対して約1/2程度になる(図4参照)。この場合、打刻領域Sを除いたテープ幅方向上側の余り領域をさらに印刷領域Pとして設定してもよい。これにより、テープTの印刷/打刻面をさらに有効に活用することができる。
最後に、墨字文字情報および点字打刻情報の入力、及び墨字印刷および点字打刻の過程を、図9および図10の画面イメージを参照し、特にユーザが行う操作を中心に説明する。まず、通常の印刷を行うテキスト入力画面が表示(図9:画面T01:以下、「画面」を省略)されている時に、ファイルフォームキーを押し、次に表示される画面(同図:T02)において、カーソルキーを操作し、特殊フォームを選択して選択キーを押す(同図:T03)。さらに、特殊フォーム画面(同図:T04)では、横方向の見出しラベルを作成するための「見出し/横」がデフォルトで選択されているので、カーソルキーを操作し「点字入力」を選択して(同図:T05)選択キーを押すと、点字文字情報を入力するための点字文字情報入力画面(同図:T06)が表示される。
さらに、点字文字情報入力画面(同図:T06)において「といれみぎ」を入力する(同図:T07)。次に選択キーを押すと、墨字文字情報入力画面が表示される(図10:T08)。墨字文字情報入力画面において、1行目に「トイレは右側」を入力し、改行を促す選択キーを押した後、2行目に「にございます」を入力する(同図:T09)。なお墨字印刷装置10は、テープ識別センサ141により検出したテープ幅と、入力された点字文字情報に基づき、最大入力文字数および最大入力行数を設定する。これにより墨字文字情報入力画面(図10:T08)においてユーザが最大入力文字数または最大入力行数を超えた文字入力を行うと、墨字印刷装置10はディスプレイ13に入力不可を意味するエラーを表示する。
墨字文字情報の入力後、印刷/打刻キーを押すと点字印刷のモード選択画面(同図:T10)が表示される。上記したように、ユーザはこの画面において「(a).墨字印刷のみを行うモード」(画面T10では「墨字のみ」)と、「(b).墨字印刷および点字打刻の双方を行うモード」(画面T10では「墨字/点字」)と、「(c).点字打刻のみを行うモード」(画面T10では「点字のみ」)と、のいずれかを選択することができる。点字印刷のモード選択画面(同図:T10)では、デフォルトで「墨字/点字」が選択されているので、そのまま選択キーまたは印刷/打刻キーを押すと、テープTに墨字文字情報が印刷され切断された後、印刷領域P(図示省略)に、墨字文字情報すなわち「トイレは右側にございます」が印刷されたテープTが作成される(同図(a)参照)。
このテープTを、点字打刻装置30の打刻テープ挿入部33へ挿入すると、点字打刻装置30により墨字印刷済みテープTに対して点字打刻が行われる。その後テープTは打刻テープ排出部34から排出され、打刻領域S(図示省略)に、点字文字情報すなわち「といれみぎ」の点字打刻が行われたテープTが作成される(同図(b)参照)。
なお、本実施例では、墨字印刷部120を有する墨字印刷装置10と、点字打刻部150を有する点字打刻装置30とがインタフェース(コネクタ)を介して接続される構成としたが、図11に示すように、墨字印刷装置10と点字打刻装置30とが同一の装置により一体形成される構成でもよい。
図11(a)に示す例は、点字打刻部150が、装置ケース後部に組み込まれた例を示す。この場合、印刷テープ排出口21から排出されたテープを、再度打刻テープ挿入部30より挿入する(2パス方式)。そして、点字が打刻されたテープは、打刻テープ排出部31より排出される。
また、同図(b)に示すように、印刷テープ排出口21近傍に点字打刻部150を配置してもよい。この場合、印刷動作終了後、テープ送りが続行され、点字打刻部150の打刻ピン41と、打刻受け部材42との間にテープが配置した際に点字打刻が行われ、テープカッタ22により切断されたテープが印刷テープ排出口21より排出される。この構成によれば、テープを再度装置に挿入することなく、墨字印刷と点字打刻の双方の処理を行うことができる。
このように、墨字印刷装置10と点字打刻装置30とが同一の装置により一体形成されることにより、一台の装置で墨字印刷/点字打刻を行うことが出来るため、より簡易な構成で墨字印刷/点字打刻の双方の機能を提供できると共に、省スペース化にもつながる。さらに、装置の梱包や持ち運びにも便利である。
また、本実施例では、最前部の点字マス領域の前側近傍、および最後部の点字マス領域の後側近傍を含めて印刷領域Pを設定したが、これを除外し点字マス領域と点字マス領域との間である複数のマス間領域のみを印刷領域Pとして設定してもよい。これにより印刷された墨字の耐擦過性をより向上させることができる。
また、本実施例では、説明の便宜上ファイルフォームキーの押下操作で表示される特殊フォーム選択機能の1つとして点字文字情報および/または墨字文字情報入力機能を構成しているが、点字文字情報および/または墨字文字情報が入力可能であれば、これに限るものではない。例えば点字文字情報および/または墨字文字情報の入力を指示する専用のキーを設けてもよい。
また、本実施例では、墨字文字情報として「トイレは右側にございます」を入力する際に、ユーザが意図的に「右側」の後に選択キーを押すことで改行を実行したが、墨字印刷装置10が、最大入力文字数に基づいて自動的に改行を行う構成にしてもよい。
さらに、本実施例では、墨字文字情報入力と点字文字情報入力との2段階から文字情報入力処理を構成したが、点字文字情報の入力処理を省略し墨字文字情報に基づいて、点字用の翻訳を行った後(例えば「きょうはにちようび」から「きょうわにちよーび」に変換する)点字打刻データを生成する構成でもよい。もちろん、本実施例においても点字文字情報に基づき点字用の翻訳を行うことは可能である。
また、上記の例に示した、印刷/打刻複合装置1の各部(各機能)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
また、上述した実施例によらず、印刷/打刻複合装置1の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
1…印刷/打刻複合装置 10…墨字印刷装置 30…点字打刻装置 80…打刻ユニット 91…先端検出センサ 120…墨字印刷部 150…点字打刻部 200…制御部 210…CPU C…テープカートリッジ P…印刷領域 S…打刻領域 B…点字 A…墨字 T…テープ h・・・点字行領域