JP2005328770A - 標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法、該方法を用いた標的核酸近傍の核酸配列の解析方法を提供すること。
【解決手段】 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを用いることを特徴とする標的核酸近傍の核酸の増幅方法。該増幅方法によって得られた核酸の配列を解析することを含んでなる標的核酸近傍の核酸配列の解析方法。該解析方法を行うための試薬またはキットまたはシステム。
【選択図】 なし
【解決手段】 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを用いることを特徴とする標的核酸近傍の核酸の増幅方法。該増幅方法によって得られた核酸の配列を解析することを含んでなる標的核酸近傍の核酸配列の解析方法。該解析方法を行うための試薬またはキットまたはシステム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法および該方法を行うための試薬またはキット、該増幅方法を用いた標的核酸近傍の核酸配列の解析方法および該方法を行うための試薬またはキットまたはシステムに関する。また、本発明は染色体上に挿入された外来遺伝子近傍の核酸配列の解析方法および挿入位置の解析方法として用いることができる。
近年、多数のヒト疾病についてその機構が解明され、また組換えDNA技術および細胞への遺伝子導入技術が急速に進歩したことより、特に既存の薬物療法あるいは外科的療法に抵抗性があり生命予後が不良な難治性疾患に対する新しい治療法として遺伝子治療のプロトコールの開発が進められている。また最近では、遺伝病のみならずAIDSのようなウイルス感染症やガンの治療にも遺伝子治療を適用しようという試みがなされている。
これまでに米国食品医薬品局(FDA)が承認したヒトでの遺伝子導入試験の大部分は組換えレトロウイルスベクターを用いて細胞への遺伝子導入を行うものである。レトロウイルスベクターは、開発されて以来、遺伝子治療において欠かせないものとなっているベクターであるが、その理由として、遺伝子を細胞内に導入した後の細胞毒性が極めて低い点が挙げられる。また該ベクターが細胞内に導入されると、導入遺伝子が染色体DNAに1コピー組み込まれるため該遺伝子が安定に維持され、細胞分裂後も該遺伝子が希釈されず長期に渡って安定した遺伝子の発現が期待される。したがって、上記方法は特に長期間の遺伝子発現が望まれる遺伝子治療にとって好ましい遺伝子導入手段である。
しかし、レトロウイルスは染色体上にランダムに挿入されるため、例えば細胞がレトロウイルスの挿入変異によって癌化するなど、該手段よって細胞に悪影響を及ぼす可能性がある。一方、アデノ随伴ウイルスはヒト第19番染色体長腕上の特定の領域に組み込まれる特徴を有するため挿入変異の可能性が低いと考えられているが、導入可能な遺伝子のサイズが小さい、組換えウイルスの調製が煩雑、効率が良くないなどの欠点を有する(例えば、非特許文献1参照)。
上述のように、遺伝子治療においてレトロウイルスベクターを用いる場合には、該治療において細胞内に導入された遺伝子(外来遺伝子)がどのような遺伝子領域に挿入されたか、あるいは挿入時に染色体の異常(例えば部分的な欠失など)を伴っていないか、などを確認することが該治療を円滑に行うためにも重要となる。また同様の理由により、遺伝子治療にアデノ随伴ウイルスを用いる場合においても、予想される領域に外来遺伝子が挿入され、かつ挿入時に染色体の異常(例えば部分的な欠失など)を伴っていないことを確認することが望ましい。
染色体のどのような領域に外来遺伝子が挿入されたかを知るための最も一般的な方法は、該遺伝子近傍の核酸配列を解析することである。具体的な方法の1つとして、遺伝子を導入した細胞より染色体(核酸)を抽出し、得られた核酸について外来遺伝子に特異的なプライマーを用いたシークエンス解析を行えばよい。核酸抽出およびシークエンス解析は従来公知の方法(例えば、特許文献1および非特許文献2参照)で行うことができ、市販の様々な試薬またはキットを使用することができる。しかし、染色体を直接標的とするシークエンス解析では大量の抽出核酸が必要となる(例えば、非特許文献3参照)ため、大量の細胞試料を得ることが困難な遺伝子治療での上記解析方法の使用は事実上困難である。
特許2965131号公報
遺伝子医療 (名古屋大学出版会、2000)ページ
Sanger F. et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA、74、5463−5467、1977)
ABI PRISMプロトコール (PEバイオシステムズ、1999)
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法、該方法を用いた標的核酸近傍の核酸配列の解析方法を提供することである。また、本発明は染色体上に挿入された外来遺伝子近傍の核酸配列の解析方法および挿入位置の解析方法として用いることができる。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々鋭意検討したところ、少量の細胞試料より標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法および該方法を用いた標的核酸近傍の核酸配列の解析方法を見出した。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1) 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを用いることを特徴とする標的核酸近傍の核酸の増幅方法。
(2) 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを使用し、一方の核酸の伸長生成物が、その相補体から分離された場合に、他方の核酸の鋳型となることを特徴とする標的核酸近傍の核酸の増幅方法。
(3) 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを使用し、核酸Bの伸長生成物が、その相補体から分離された場合に、核酸Aの鋳型となることを特徴とする標的核酸近傍の核酸の増幅方法。
(4) 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを使用する標的核酸近傍の核酸の増幅方法であって、下記工程
(a)核酸Bをプライマーとし、染色体および/または染色体外核酸上の不特定の領域を鋳型とする伸長反応により核酸Cが生成し、
(b)該鋳型から核酸Cが解離し、
(c)核酸Aをプライマーとし、核酸Cを鋳型とする伸長反応により核酸Dが生成し、
(d)核酸Cから核酸Dが解離し、
(e)以後、核酸Aをプライマーとし、核酸Cまたは核酸Dを鋳型とした伸長反応による生成物が、その相補体から分離された場合に、再び核酸Aの鋳型となる反応を繰り返すことからなる増幅方法。
(a)核酸Bをプライマーとし、染色体および/または染色体外核酸上の不特定の領域を鋳型とする伸長反応により核酸Cが生成し、
(b)該鋳型から核酸Cが解離し、
(c)核酸Aをプライマーとし、核酸Cを鋳型とする伸長反応により核酸Dが生成し、
(d)核酸Cから核酸Dが解離し、
(e)以後、核酸Aをプライマーとし、核酸Cまたは核酸Dを鋳型とした伸長反応による生成物が、その相補体から分離された場合に、再び核酸Aの鋳型となる反応を繰り返すことからなる増幅方法。
(5) 伸長反応が酵素のDNAポリメラーゼ活性および/またはRNAポリメラーゼ活性によって行われることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の増幅方法。
(6) 伸長反応が熱安定性または熱活性DNAポリメラーゼによって行われることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の増幅方法。
(7) 標的核酸が染色体および/または染色体外核酸に挿入された核酸であることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の増幅方法。
(8) 標的核酸が染色体に挿入された外来遺伝子であることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の増幅方法。
(9) (1)から(8)のいずれかに記載の増幅方法を行うための試薬またはキット。
(10) (1)から(8)のいずれかに記載の増幅方法によって得られた核酸の配列を解析することを含んでなる標的核酸近傍の核酸配列の解析方法。
(11) (1)から(8)のいずれかに記載の増幅方法によって得られた核酸の配列を解析することを含んでなる標的核酸の挿入位置の解析方法。
(12) (10)または(11)に記載の解析方法であって、標的核酸において核酸Aより末端側の核酸配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸をプライマーとして使用することからなる解析方法。
(13) (10)から(12)のいずれかに記載の解析方法であって、標的核酸において核酸Aより末端側の核酸配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸をプライマーとして使用することによって得られた核酸配列データを、核酸配列データベースと照合することによって該標的核酸の挿入位置を同定することからなる解析方法。
(14)標的核酸近傍の核酸配列を解析する方法において、
(イ) 少なくとも標的核酸近傍に既知配列を有する核酸を導入する工程、
(ロ) 既知配列を有する核酸もしくは既知配列を有する核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマー、および、標的核酸もしくは標的核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマーを用いて増幅反応を行う工程、
を含むことを特徴とする染色体中の外来遺伝子近傍の核酸配列を解析する方法。
(イ) 少なくとも標的核酸近傍に既知配列を有する核酸を導入する工程、
(ロ) 既知配列を有する核酸もしくは既知配列を有する核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマー、および、標的核酸もしくは標的核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマーを用いて増幅反応を行う工程、
を含むことを特徴とする染色体中の外来遺伝子近傍の核酸配列を解析する方法。
(15) 標的核酸の挿入位置を解析する方法において、
(イ) 少なくとも標的核酸近傍に既知配列を有する核酸を導入する工程、
(ロ) 既知配列を有する核酸もしくは既知配列を有する核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマー、および、標的核酸もしくは標的核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマーを用いて増幅反応を行う工程、
を含むことを特徴とする標的核酸の挿入位置を解析する方法。
(イ) 少なくとも標的核酸近傍に既知配列を有する核酸を導入する工程、
(ロ) 既知配列を有する核酸もしくは既知配列を有する核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマー、および、標的核酸もしくは標的核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマーを用いて増幅反応を行う工程、
を含むことを特徴とする標的核酸の挿入位置を解析する方法。
(15) (10)から(14)のいずれかに記載の解析方法を行うための試薬またはキットまたはシステム。
本発明により、従来の技術では困難であった、少量の細胞試料より標的核酸近傍の核酸配列を増幅することができる。また本発明により、簡便に標的核酸の挿入位置を解析することができるため、遺伝子治療においては遺伝子が導入された領域の確認による治療効果の向上が期待でき、また研究においては特定の遺伝子の分布状況を迅速に同定できるなど、種々の応用が可能なツールを提供することができる。
以下、本実施形態について図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法のうち、該標的核酸の下流側近傍の核酸配列を増幅する方法について好ましい一例を簡略化して示す図である。ただし、この図面は、本発明の内容を何ら限定するものではない。なお、標的核酸とは、存在の有無を調べたい核酸であって、例としては外来遺伝子の特徴的配列を有する核酸であることが好ましい。
本発明の標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法における最初の工程は、核酸Bをプライマーとし、染色体および/または染色体外核酸上の不特定の領域を鋳型とする伸長反応である(図1の工程1を参照)。該反応の前に、例えば鋳型となる核酸が2本鎖の場合などは、必要に応じて該鋳型を熱変性などによって1本鎖に変換することが好ましい。
核酸Bは、既知配列を有する核酸の3’末端側にランダムな配列を設けたものである。
既知配列を有する核酸はその配列が明かであるものであれば、特にその配列に限定はないが、後の増幅行程でのプライマーが1種類で済む、エキストラバンドが出にくく正確性が高い、等の点で、核酸Aであることが好ましい。なお、核酸Aとランダム配列の間および核酸Aの5’末端側には以下の増幅反応を阻害しない範囲で他の配列が結合されていても良い。
また、既知配列を有する核酸は核酸Aとは、増幅反応を阻害しない範囲で1〜数カ所(5箇所程度)の範囲で配列に違いがあっても良い。
既知配列を有する核酸はその配列が明かであるものであれば、特にその配列に限定はないが、後の増幅行程でのプライマーが1種類で済む、エキストラバンドが出にくく正確性が高い、等の点で、核酸Aであることが好ましい。なお、核酸Aとランダム配列の間および核酸Aの5’末端側には以下の増幅反応を阻害しない範囲で他の配列が結合されていても良い。
また、既知配列を有する核酸は核酸Aとは、増幅反応を阻害しない範囲で1〜数カ所(5箇所程度)の範囲で配列に違いがあっても良い。
上記伸長反応において、核酸Bによる鋳型の認識には核酸Bの3’末端側にあるランダムな核酸配列の部分が関与するため、該工程にて生成する核酸Cには、図1に示すように核酸Aに相補的な核酸配列が含まれる場合と、核酸Aに相補的な核酸配列が含まれない場合があり得る。
核酸Cに核酸Aに相補的な核酸配列が含まれない場合とは、例えば核酸Bが鋳型となる染色体および/または染色体外核酸上の核酸Aとは十分に離れた領域を認識した場合などであり、このとき核酸Aが存在する領域まで該伸長反応が継続しないために起こる。上記のランダムな核酸配列は、核酸Bを合成する際に混合塩基を用いる核酸合成方法によって作製することができるが、該方法は当業者にとって容易に達成し得る。
上述したような本発明の標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法における最初の工程において、該工程を達成可能な試薬組成の好ましい一例としては、(a)DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、(b)核酸B、(c)dNTP、(d)反応バッファー、(e)試料などから成る。
(a)DNAポリメラーゼ活性を有する酵素としては、T4またはT7ファージ、大腸菌、サーモコッカス(Thermococcus)属、サーマス(Thermus)属、パイロコッカス(Pyrococcus)属、バシラス(Bacillus)属など種々の起源のDNAポリメラーゼおよびその改良変異体を特に限定されることなく使用できるが、KOD DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼなど熱安定性の酵素を使用することが好ましい。中でもKOD DNAポリメラーゼまたは該酵素を改良したDNAポリメラーゼは増幅量および反応速度の観点から最も好ましい。具体的には、KOD Dash DNAポリメラーゼの場合は1〜200単位/ml程度の使用が好ましく、10〜100単位/ml程度の使用がより好ましい。
(b)核酸Bは1〜1000nM程度を含むが、増幅量および特異性を高めるために100〜600nM程度がより好ましい。
(c)dNTPは50〜1000μM程度を含むが、100〜700μM程度がより好ましく、200〜400μM程度がさらに好ましい。
(d)反応バッファーについては、本発明の標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法において該増幅を効率よく行う目的で、緩衝液や金属塩の濃度、溶液のpHなどが適宜選択され得る。また、酵素の安定性を高める目的で、該試薬にウシ血清アルブミンなどの添加剤を適宜混合しても良い。
(e)試料としては、細胞を含有する試料または該細胞から抽出した核酸を含有する試料など特に限定されないが、上記反応を効率よく進めるためにも、核酸以外の成分の混入量が該反応を阻害しない程度であることが好ましい。
本発明の標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法において前記第1工程に続く第2の工程は、前記第1工程で生成した核酸C、および該反応で鋳型となった染色体および/または染色体外核酸からなる2本鎖を熱変性などによって1本鎖に変換した後で、核酸Aおよび既知配列を有する核酸をプライマーとし、核酸Cを鋳型とする伸長反応である(図1の工程2を参照)。該工程を達成可能な試薬組成としては、プライマーとして核酸Aおよび既知配列を有する核酸を用いることを除いて前記第1工程と同様である。また前記第1工程を実施した後で、精製などを行って反応溶液より核酸Bを除去してから本第2工程へ移行してもよいが、前記第1工程を実施した後の反応溶液に直接、本第2工程に必要な試薬類を添加して上記反応を進めることもできる。
なお、既知配列を有する核酸が核酸Aと同じである場合は、核酸Aのみをプライマーとすることができる。
また、プライマーとしては、必ずしも核酸Aや既知配列を有する核酸と完全に一致する必要はなく、増幅反応が起こる程度にハイブリダイゼーションすれば良い。即ち、プライマーとしては核酸核酸Aおよび既知配列を有する核酸を一部に含むものであったり、核酸核酸Aおよび既知配列を有する核酸の少なくとも一部を含むものであったり、核酸核酸Aおよび既知配列を有する核酸の一部に相違があっても良い。
なお、既知配列を有する核酸が核酸Aと同じである場合は、核酸Aのみをプライマーとすることができる。
また、プライマーとしては、必ずしも核酸Aや既知配列を有する核酸と完全に一致する必要はなく、増幅反応が起こる程度にハイブリダイゼーションすれば良い。即ち、プライマーとしては核酸核酸Aおよび既知配列を有する核酸を一部に含むものであったり、核酸核酸Aおよび既知配列を有する核酸の少なくとも一部を含むものであったり、核酸核酸Aおよび既知配列を有する核酸の一部に相違があっても良い。
上記工程に続く第3の工程は、上記第2工程で生成した核酸D、および該反応で鋳型となった核酸Cからなる2本鎖を熱変性などによって1本鎖に変換した後で、核酸核酸Aおよび既知配列を有する核酸をプライマーとし、核酸Cまたは核酸Dを鋳型とする伸長反応である(図1の工程3を参照)。以後、本第3工程および該工程で生成した2本鎖核酸を熱変性などによって1本鎖に変換する工程を適宜繰り返すことにより、標的核酸近傍の核酸配列を増幅することが可能である。
第3の工程のプライマーとしては、第2の工程のプライマーと同じものを用いることができる。
第3の工程のプライマーとしては、第2の工程のプライマーと同じものを用いることができる。
該工程の繰り返し回数は上記方法によって増幅した核酸の解析手段の感度などに合わせて適宜設定できるが、該解析手段として、上記増幅方法によって得られた核酸配列の解析(シークエンシング)を行う場合は20〜50回程度の回数に設定することが好ましい。
以上、図1を例にして本発明を説明したが、本発明の技術的上位概念は以下の通りである。
従来は挿入遺伝子が、染色体上のどの位置に挿入されたかが不明であるため、解析のために挿入遺伝子近傍を増幅したい場合であっても、染色体上のどの位置に挿入されたかが不明であるがために、被挿入側にハイブリダイゼーションさせるプライマーを決めることができなかった。本発明は、まず染色体を構成する核酸に既知配列を有する核酸をランダムに導入し、その中から標的核酸の近傍に既知配列が導入されたもののみを、標的核酸および既知配列を認識するプライマーを用いて増幅させるものである。
既知配列を有する核酸をランダムに導入する方法としては、図1の説明では既知配列を有する核酸の3’末端側にランダムな配列を有する核酸を用いたが、特にこの方法に限定されるものではない。
従来は挿入遺伝子が、染色体上のどの位置に挿入されたかが不明であるため、解析のために挿入遺伝子近傍を増幅したい場合であっても、染色体上のどの位置に挿入されたかが不明であるがために、被挿入側にハイブリダイゼーションさせるプライマーを決めることができなかった。本発明は、まず染色体を構成する核酸に既知配列を有する核酸をランダムに導入し、その中から標的核酸の近傍に既知配列が導入されたもののみを、標的核酸および既知配列を認識するプライマーを用いて増幅させるものである。
既知配列を有する核酸をランダムに導入する方法としては、図1の説明では既知配列を有する核酸の3’末端側にランダムな配列を有する核酸を用いたが、特にこの方法に限定されるものではない。
以上のような方法によって増幅した標的核酸近傍の核酸配列は、例えば核酸配列の解析(シークエンシング)、PFGE、RFLPなど従来公知の種々の技術を用いて解析することができるが、標的核酸の挿入領域を直接的に決定できるという観点からは、核酸配列の解析(シークエンシング)が好ましい。
シークエンシングに使用するプライマーとしては、該標的核酸において核酸Aより末端側の核酸配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸を使用することが好ましい。また、上記解析によって得られた標的核酸近傍の核酸配列データを核酸配列データベースと照合することによって、該標的核酸の挿入位置を同定することができる。さらに、このような解析を標的核酸の上流側近傍および下流側近傍の両方について行うことは、該標的核酸の挿入位置をより正確に同定できるため一層好ましい。
以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、これらの事例は、本発明の内容を何ら限定するものではない。
実施例1
(1)大腸菌O157:H7へのトランスポゾンの組み込み
トランスポゾンを用いた遺伝子への外来遺伝子挿入技術(例えば、 Yu B.−J. et al. (Nat. Biotechnol.、20、1018−1023、2002))を用いて、大腸菌O157:H7(RIMD0509952株)のゲノムに、標的核酸としてテトラサイクリン耐性遺伝子を挿入した変異株ライブラリを作製した。
(1)大腸菌O157:H7へのトランスポゾンの組み込み
トランスポゾンを用いた遺伝子への外来遺伝子挿入技術(例えば、 Yu B.−J. et al. (Nat. Biotechnol.、20、1018−1023、2002))を用いて、大腸菌O157:H7(RIMD0509952株)のゲノムに、標的核酸としてテトラサイクリン耐性遺伝子を挿入した変異株ライブラリを作製した。
(2)標的核酸近傍の核酸配列の増幅
前記ライブラリの各変異株について、テトラサイクリン耐性遺伝子の上流側近傍および下流側近傍の両方についてそれぞれ増幅反応を行った。反応液組成は、熱安定性DNAポリメラーゼKOD Dash(東洋紡績製)50単位/ml、プライマー核酸Aまたは核酸B(表1を参照)各400nM、dATPおよびdGTPおよびdCTPおよびdTTPを各0.2mM、および1倍濃度の増幅用緩衝液(東洋紡績製)である。実際の使用にあたっては、プライマーとして核酸Bを含み核酸Aを含まない反応液を用いて(a)1サイクルの伸長反応を行い、核酸Aを添加して、(b)35サイクルの増幅反応を行った。反応液量は100μlであり、反応条件は以下の通りである:
前記ライブラリの各変異株について、テトラサイクリン耐性遺伝子の上流側近傍および下流側近傍の両方についてそれぞれ増幅反応を行った。反応液組成は、熱安定性DNAポリメラーゼKOD Dash(東洋紡績製)50単位/ml、プライマー核酸Aまたは核酸B(表1を参照)各400nM、dATPおよびdGTPおよびdCTPおよびdTTPを各0.2mM、および1倍濃度の増幅用緩衝液(東洋紡績製)である。実際の使用にあたっては、プライマーとして核酸Bを含み核酸Aを含まない反応液を用いて(a)1サイクルの伸長反応を行い、核酸Aを添加して、(b)35サイクルの増幅反応を行った。反応液量は100μlであり、反応条件は以下の通りである:
(a)伸長反応 熱変性: 94℃、5分
アニーリング: 30℃、5秒
伸長反応: 74℃、30秒
(b)増幅反応 熱変性: 94℃、20秒
アニーリング: 65℃、5秒
伸長反応: 74℃、30秒
これらの操作はパーキンエルマー社のDNAサーマルサイクラー(GeneAmp9700)を用いて行った。
アニーリング: 30℃、5秒
伸長反応: 74℃、30秒
(b)増幅反応 熱変性: 94℃、20秒
アニーリング: 65℃、5秒
伸長反応: 74℃、30秒
これらの操作はパーキンエルマー社のDNAサーマルサイクラー(GeneAmp9700)を用いて行った。
(3)標的核酸の挿入位置の同定
増幅した核酸断片について、ABI社製DNAシークエンサー(モデル3700)を使用し、該機器のプロトコールに従って、テトラサイクリン耐性遺伝子の上流側近傍および下流側近傍の核酸配列を解析した。該解析に使用したプライマーの配列を表2に示す。結果として、該遺伝子の大腸菌O157:H7(RIMD0509952株)ゲノムへの挿入位置を表3にまとめた。
増幅した核酸断片について、ABI社製DNAシークエンサー(モデル3700)を使用し、該機器のプロトコールに従って、テトラサイクリン耐性遺伝子の上流側近傍および下流側近傍の核酸配列を解析した。該解析に使用したプライマーの配列を表2に示す。結果として、該遺伝子の大腸菌O157:H7(RIMD0509952株)ゲノムへの挿入位置を表3にまとめた。
表3において、pO157およびpOSAK1は本実施例で使用した大腸菌O157:H7(RIMD0509952株)が保有しているプラスミドであり、該菌株の染色体と同様に核酸配列が公開されている。表3から明らかなように、本発明の方法により、すべての変異株について標的核酸の挿入位置を同定することができた。
本発明により、従来の技術では困難であった、少量の細胞試料より標的核酸近傍の核酸配列を増幅することができる。また本発明により、簡便に標的核酸の挿入位置を解析することができるため、遺伝子治療においては遺伝子が導入された領域の確認による治療効果の向上が期待でき、また研究においては特定の遺伝子の分布状況を迅速に同定できるなど、種々の応用が可能なツールを提供することができる。
Claims (16)
- 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを用いることを特徴とする標的核酸近傍の核酸の増幅方法。
- 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを使用し、一方の核酸の伸長生成物が、その相補体から分離された場合に、他方の核酸の鋳型となることを特徴とする標的核酸近傍の核酸の増幅方法。
- 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを使用し、核酸Bの伸長生成物が、その相補体から分離された場合に、核酸Aの鋳型となることを特徴とする標的核酸近傍の核酸の増幅方法。
- 標的核酸の配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸A、および既知配列を有する核酸の3’末端にランダムな配列を有する核酸を付加した核酸Bを使用する標的核酸近傍の核酸の増幅方法であって、下記工程
(a)核酸Bをプライマーとし、染色体および/または染色体外核酸上の不特定の領域を鋳型とする伸長反応により核酸Cが生成し、
(b)該鋳型から核酸Cが解離し、
(c)核酸Aをプライマーとし、核酸Cを鋳型とする伸長反応により核酸Dが生成し、
(d)核酸Cから核酸Dが解離し、
(e)以後、核酸Aをプライマーとし、核酸Cまたは核酸Dを鋳型とした伸長反応による生成物が、その相補体から分離された場合に、再び核酸Aの鋳型となる反応を繰り返すことからなる増幅方法。 - 伸長反応が酵素のDNAポリメラーゼ活性および/またはRNAポリメラーゼ活性によって行われることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の増幅方法。
- 伸長反応が熱安定性または熱活性DNAポリメラーゼによって行われることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の増幅方法。
- 標的核酸が染色体および/または染色体外核酸に挿入された核酸であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の増幅方法。
- 標的核酸が染色体に挿入された外来遺伝子であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の増幅方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載の増幅方法を行うための試薬またはキット。
- 請求項1から8のいずれかに記載の増幅方法によって得られた核酸の配列を解析することを含んでなる標的核酸近傍の核酸配列の解析方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載の増幅方法によって得られた核酸の配列を解析することを含んでなる標的核酸の挿入位置の解析方法。
- 請求項10または11に記載の解析方法であって、標的核酸において核酸Aより末端側の核酸配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸をプライマーとして使用することからなる解析方法。
- 請求項10から12のいずれかに記載の解析方法であって、標的核酸において核酸Aより末端側の核酸配列または該配列に相補的な核酸配列の少なくとも一部を含有する核酸をプライマーとして使用することによって得られた核酸配列データを、核酸配列データベースと照合することによって該標的核酸の挿入位置を同定することからなる解析方法。
- 標的核酸近傍の核酸配列を解析する方法において、
(イ) 少なくとも標的核酸近傍に既知配列を有する核酸を導入する工程、
(ロ) 既知配列を有する核酸もしくは既知配列を有する核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマー、および、標的核酸もしくは標的核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマーを用いて増幅反応を行う工程、
を含むことを特徴とする染色体中の外来遺伝子近傍の核酸配列を解析する方法。 - 標的核酸の挿入位置を解析する方法において、
(イ) 少なくとも標的核酸近傍に既知配列を有する核酸を導入する工程、
(ロ) 既知配列を有する核酸もしくは既知配列を有する核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマー、および、標的核酸もしくは標的核酸と相補的な配列を有する核酸にハイブリダイズするプライマーを用いて増幅反応を行う工程、
を含むことを特徴とする標的核酸の挿入位置を解析する方法。 - 請求項10から15のいずれかに記載の解析方法を行うための試薬またはキットまたはシステム。
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JP2004150647A JP2005328770A (ja) | 2004-05-20 | 2004-05-20 | 標的核酸近傍の核酸配列を増幅する方法 |
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