JP2005328386A - ホワイトバランス補正回路の設定システム及び方法、該システムに使用するlsi回路、及び液晶テレビ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】色彩理論を応用して液晶ディスプレイに表示するRGB値と表示XYZの関係式を計算式(モデル)としてコンピュータ上に形成して、この式と、表示したRGB値に対応して実際に測定したXYZを利用して、ニュートン法に基づき、表示された色に対応するRGB値R1、G1、B1と補正すべき量ΔR、ΔG、ΔBを求め、これをベースにループを形成して誤差を最小化するように追い込む。
【選択図】図1
Description
ここでモデルとは、コンピュータ等の装置上に形成した液晶ディスプレイの発色予測式のことを言う。もちろんソフトウエアでコンピュータの上に構成したものだけでなく、ハードウエア回路で構成したものや、テーブルで構成したものなど、発色予測式の概念を用いる実現方法を包括的にすべて含む。
これは、たとえばテレビでは、R=G=Bは白と定義して放送されているにもかかわらず、表示時にR=G=Bの値に応じて白の色が変動したのでは、放送で意図したのとは異なる画像が表示されてしまう問題があるからである。このことは、非特許文献2にも液晶テレビの画質上の課題として指摘されている。
この課題について独自の解釈のもとに報告したものとして、非特許文献3がある。非特許文献3では、この課題を、上記、カラーマネージメントモジュールの要求に違反するディスプレイでカラーマネージメントの精度(どの程度の正確さで表示したい色を表示することができるか)をどの程度確保できるかという側面から捕らえ、図12のようにRGB各チャンネルに各々独立に挿入されたガンマテーブル12,13,14を調整することで、もともとの液晶ディスプレイ15の白色色度が信号値に応じて変化したとしても、パソコン用モニタとして必要なカラーマネージメントの性能は達成できると報告されている。
田村徹,"液晶ディスプレイの色再現特性―階調による色度変化―",田村徹,映像情報メディア学会誌,Vol.52, No.10,pp.1527-1529, Oct. 1998 "日経マイクロデバイス",2004年5月号 Yukio.Okano: "Color Reproductions Varying the Input Level on a Liquid Crystal Display" Proc. Color Imaging Conf. 7, pp.233-237 (Oct. 1999)
本発明の構成を図1に示す。図1において、1は動作補償ユニット、2は補正ユニット、3はガンマテーブル、4はフィードバックユニット、5は液晶ディスプレイである。これらのうち、動作補償ユニット1、ガンマテーブル3は液晶テレビ用LSIに含まれる回路である。この構成図に従って、まず概略動作を説明する。
一連の手順は、初期設定後、フィードバックユニット4から得られた液晶ディスプレイ5の発色値を指標として、これが目標とする色度点、あるいはその色度点を中心としてあらかじめ設定した誤差範囲に収まるまで、繰り返し、表示、測定、計算のループを繰り返す、一種のフィードバックループをなす。
初期設定では、
1)計算に必要な各種係数の決定、
2)ガンマテーブルの設定、
を行う。
Cnの実際の値は、たとえば、ある液晶ディスプレイでは、
次に、設定すべき白色色度をx0、y0とし、r0、g0、b0を求める(S2)。
C0 = 1023^2.2 (式5)
これらの初期設定の後、フィードバック動作に入る。フィードバック動作では、次のループを行う。
R=G=Bを表示してXYZを得(S5)、XYZから得られる色度が目標とする色度点、あるいはその色度点を中心としてあらかじめ設定した誤差範囲に収まっているかどうかを比較し(S6)、収まっている場合は終了とし(S7)、収まっていない場合は次の式(6)による演算を行って(S8)、この値を再度表示して(S9)、XYZを得(S10)、これが目標と合致しているか再度比較を行う(S6)。このループを繰り返し目標に合致するまで続ける。
ここに、
本発明は、モデルにマッチする発色性能を有する液晶ディスプレイのホワイトバランスの調整を、コンピュータ等の装置上に形成した液晶ディスプレイの発色予測式を用いて短時間で行うことができるようアルゴリズムを構成したことが特徴である。つまりそのポイントは、発色モデルをコンピュータ上にどのように形成するか、またそのモデルを用いてどのようにしてホワイトバランスを追い込んでいくか、となる。
そして、式(2)などに述べる発色モデルにもとづく計算式を利用して、ホワイトバランスのループを行う。ループは、テイラー近似を用いたニュートン法にしたがって進められる。
式(1)、(2)は、先に述べたようにディスプレイの発色のモデルであり、加法性が成り立つディスプレイではよく成立する。つまり、下記のごとくである。
1.ディスプレイでは、各原色の色度がRGB値に依存せず不変であるので、比例則(三原色それぞれについて測定した三刺激値が、各原色の任意の値に対して比例関係にあること)が成り立つ。よって、たとえば赤について、任意のR(CVr)(ただし、(R:G:B=CVr:0:0)) を入力して測色計で測定した赤原色の三刺激値を(XYZ)R(CVr)とするとき、次の係数(kXkYkZ):
式(10)と式(2)を比較すると、行列演算が左右逆の関係にあるものの、結果は同様である。つまり、ディスプレイで比例則、加法則が成り立つとして求めた発色式(10)が、先の式(2)であるといえ、そのマトリクスは理論的には式(11)で求められ、実際には式(1)で示した方法で求めることができるものである。本発明では、このモデルを基本のモデルとして用いている。
式(7)は、ニュートン法を用いて目標とする白色色度と実際に表示された色度の差を最小化する最適演算を行うために、ガンマ関数をテイラー近似した式である。
関数f(x)のテイラー近似は、良く知られているように、
f(x)=f(a)+(x−a)*f’(a) 式(12)
つまり、式(7)は、目標とする白色と表示された白色のx、yそれぞれの色度誤差を、式(2)を用いて一旦RGBの差に変換し、x、yの誤差を最小化する補正量をニュートン法によって求める式であるといえる。
式(7)のr0/g0は、ディスプレイのRGB表色系における目標の白色色度であるから、すべてのRGB値に対して一定で、
式(15)の括弧の中は、第2項は、値RGBを表示したときに測定したXYZから、式(2)を利用して求めたR1である。また第1項は、表示値RGBに対応して、ディスプレイのRGB表色系において目標の白色色度を得るための計算で、緑チャンネルの値G1の最大振幅Gfに対する信号振幅比G1/GfをもとにRfを分割して求めた値で、いわば緑チャンネルの輝度を変化させないようにこれを基準として求めたRのあるべき数値であるといえる。
さらに、括弧の外で係数倍して、補正すべきΔRを求めている。この係数の意味について説明する。
分母の2.2*R^1.2は、テレビのγを2.2であると仮定して、R^2.2を微分して求めたもので、式(13)のf’(a)に相当する。
これらの係数は、いずれもテレビのγが2.2であることに基づいており、
液晶ディスプレイの実際のガンマが2.2と異なるときは、1902408や1.2といった数値を変化させる必要がある。また、8ビットの場合には、C0は196965となる。
ガンマが単純なべき乗関数として記述できない場合は式(7)右辺第1項分母はR^1.2と記述できない。この場合は分母全体をあらかじめ計算して求め、ルックアップテーブルなどで実現するなどの対応をとる。
また、この説明ではRチャンネルを例に説明したが、BチャンネルやGチャンネルについても同様である。チャンネル毎にガンマが異なる場合はチャンネル毎に実際の状況にあわせた関数を用いることが望ましい。これらにより校正の高速化が期待できる。
これまでの説明では、ループの演算は、0−1023すべてのR=G=B値について設定を行うように述べたが、もちろん、数点の代表値についてループ演算を行い、それ以外の点については何らかの内挿によってガンマテーブルの最終値を求めるようにすることも可能であることは言うまでもない。この場合、すべてを測定する場合に比較してよりはるかに高速化が図れる。
また上記手順(S9)の表示の操作は、演算等の目的で用いているコンピュータから信号を実際に液晶ディスプレイに転送して表示させることになるが、一般に用いられるディジタルインターフェースは8ビットであることが多く、10ビット以上の回路でこの設定を行う場合には困難を伴うことが予想される。そこでここでは、これを解決する方法を3つ示す。いずれも実際の回路を想定した内容であり、10ビットのガンマテーブルを搭載したLSIなどに採用して好適な解決方法である。
LSIにテストモードを持ち、テストモード時には、図4のように、他の使用しないピンを含めて10ビット×3チャンネルのデジタル入力端子に割り当てることで10ビットの信号転送を可能にする。この場合、8ビット×3の端子は通常備えているから、同図のように6本の信号を新たに入力できるようにさえできればよい。たとえば子画面用に備えている信号端子や、他の目的に用いている制御端子などをこの用途に割り当てることで実現可能である。
LSI内部に信号発生器をもつ方法。図5のように、LSI内部に信号発生器6を持つことが考えられる。この信号発生器6は、たとえば外部CPUからアクセス可能なレジスタを持ち、レジスタ7の設定に応じてON/OFFされるほか、発生する信号レベル自体もレジスタ7から指定するようにする。このようにすれば、図2の手順(S8)でもとめた表示すべき値をレジスタ7を通してLSIに伝達すれば、LSI自体で手順(S9)の表示を行うことが可能になる。
フィードバックユニットによる液晶ディスプレイの測定は1画素を単位として行われるわけではなく、通常大面積で行われるため、表示を、面積や時間に応じて平均的に高階調状態にすることで、8ビットインターフェースでも10ビット相当の信号を表示することが可能になる。
表示を平均的に高階調化する技術としては、ディザリングやブルーノイズ法、誤差拡散法などの面積階調技術(参照書籍:”Digital Color Halftoning” ,Henry R.Kang著,IEEE Press(IEEE ISBN 0-7803-4741-2))を用いる方法の他、FRC技術(参照特許文献:“疑似階調回路”,特開昭63-128483,シャープ)を用いる時間階調化処理技術などが知られている。
この場合の構成を図6に示す。高階調化処理部8を追加する。
また、最終的なテーブルは、上記の手順(S10)でデータを転送して完成するようにしているが、0−1023の各々のデータを得る毎に都度転送しても構わない。
ガンマテーブルを設定する際の測定環境が明るい環境であると、周囲光が液晶ディスプレイの表面で反射して、この光と液晶ディスプレイから放射される光の合成光を測定してしまうため、液晶ディスプレイからの放射強度が相対的に低い暗い部位を測定する際には、液晶ディスプレイ単独でのホワイトバランス精度を高めることができない可能性がある。これに対し暗室で設定すると、周囲環境光の影響を受けないため、暗い部位でも十分な精度でホワイトバランスを設定することが可能となる。たとえば測定環境の影響を無視できるようにするためには、測定環境光の液晶表面の反射光強度が、ホワイトバランスを保証する最低輝度時の光強度に比較して十分低い必要がある。一般的には、液晶表面の照度が数ルクス程度以下である必要があるといえる。
Claims (15)
- ディスプレイの発色モデルに合致した補正信号を発生する補正ユニットと、前記ディスプレイの発色を計測して前記補正ユニットにフィードバックするフィードバックユニットとを有することを特徴としたホワイトバランス補正回路の設定システム。
- 発色モデルに合致する発色性能を有するようにディスプレイの発色性能を補償する回路を有することを特徴とした請求項1記載のシステムに使用するLSI回路。
- テストモードを持ち、該テストモード時にはRGB一チャンネル当たり各10ビットの信号入力ピンが得られるようにしたことを特徴とする請求項1記載のシステムに使用するLSI回路。
- レジスタからデータを与えることで8ビットより多階調の信号を発生することができる信号発生器をもつことを特徴とした請求項1記載のシステムに使用するLSI回路。
- 8ビット回路でありながら10ビット相当の階調性を生む階調性拡大回路を持つことを特徴とした請求項1記載のシステムに使用するLSI回路。
- 面積階調技術を用いて8ビットより多階調の補正信号を生成することを特徴とした請求項1記載のシステム。
- 前記フィードバックユニットを用いたループ演算による校正時間を短縮するために、フィードバックを行うための初期設定値に対する最終設定値の誤差の極大値、及び極小値に測定点を選ぶことを特徴とした請求項1記載のシステム。
- 前記フィードバックユニットを用いたループ演算による校正時間を短縮するために、フィードバックを行う値を求める関数演算のうち液晶テレビのガンマを近似する部分をルックアップテーブルを用いることを特徴とする請求項1記載のシステム。
- 前記フィードバックユニットを用いたループ演算による校正時間を短縮するために、フィードバックを行う値を求める関数演算のうち液晶テレビのガンマを近似する部分を、液晶テレビのR、G、B各チャンネルのガンマ特性にあわせるように、各チャンネル毎に別々の関数を用いることを特徴とした請求項1記載のシステム。
- 前記フィードバックユニットを用いたループ演算による校正を安定して行うために、算出した設定信号を1以下の係数倍することを特徴とした請求項1記載のシステム。
- ディスプレイの表面反射が最低輝度に比較して無視できるような暗室環境に設置したことを特徴とする請求項1記載のシステム。
- ディスプレイに表示するRGB値と表示XYZの関係式を計算式(モデル)としてコンピュータ上に形成して、表示したRGB値に対応して測定機から得られたXYZをモデル上でRGB値に変換し、実際にディスプレイに印加したRGB値と比較して補正すべきΔR、ΔG、ΔBを求め、もともと表示したRGBにこれを加算してホワイトバランステーブルのRGBアドレス上の値とすることを特徴とする、ホワイトバランス補正回路の設定方法。
- 請求項12記載のホワイトバランス補正回路の設定方法であって、測定したXYZから得たxy色度が目標とする色度を中心にして設定した誤差許容範囲になるかどうかを判断し、該誤差許容範囲内にない場合には、先にテーブルに設定した値を出発値として再度請求項12記載の処理を行い、誤差許容範囲内に入るまでこの処理を継続するようにしたことを特徴とするホワイトバランス補正回路の設定方法。
- 視聴環境に応じてガンマテーブルを切り替えるようにしたことを特徴とする液晶テレビ。
- 外光センサを有し、照明の種類や明るさに応じて自動的にガンマテーブルを切り替えるようにしたことを特徴とする請求項14記載の液晶テレビ。
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