JP2005328345A - コンデンサマイクロホン - Google Patents

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Abstract

【課題】 真空管をインピーダンス変換器として用いその真空管信号を出力トランスを介して出力するファントム電源で動作するコンデンサマイクロホンにおいて、出力トランスの大型化を招くことなくトランスコアの直流磁化を防止する。
【解決手段】 コンデンサマイクロホンカプセルMCおよびそのインピーダンス変換器として用いられる真空管V01と、一次側巻線Fが真空管V01のプレートとスクリーングリッドとに接続され二次側巻線Sが出力コネクタを介してファントム電源に接続される出力トランスTRSとを備えているコンデンサマイクロホンにおいて、一次側巻線FにセンタータップCFを設けるとともに、二次側巻線Sの両端をそれぞれ定電流ダイオードD04,D05を介してセンタータップCFに接続する。
【選択図】 図1

Description

本発明はファントム(phantom)電源で動作するコンデンサマイクロホンに関し、さらに詳しく言えば、インピーダンス変換器に真空管を用いるコンデンサマイクロホンに関するものである。
コンデンサマイクロホンには、インピーダンス変換器としてFET(電界効果トランジスタ)や真空管が用いられる。これは、対向的に配置される振動板と固定極とを含むコンデンサマイクロホンカプセルのインピーダンスがきわめて高いことによる。
コンデンサマイクロホンのインピーダンス変換器に真空管を用いる場合、通常では専用電源を用意する必要がある。そして、真空管を動作させるには、真空管のヒータを加熱するためのA電源と、真空管のプレートに電流を流すためのB電源とが必要とされる。
一般的に、インピーダンス変換器に用いられる真空管ではA電源に6.3V,0.35A、B電源に120V,10mA程度の電源が必要とされている。このため、通常の直流48Vのファントム電源では、この電力をまかなうことができないことから専用電源が用いられる。
ところで、真空管でも電池で動作する消費電力の少ない真空管が存在する(例えば、米国RAYTHEON社製の直熱型5極管で型番6418)。この省電力化の真空管はもっぱら補聴器用として開発されたものでA電源が1.25V,10mA,B電源が30V,0.24mAで動作する。
真空管がこの程度の動作電圧であれば直流48Vのファントム電源で十分に動作させることができる。しかしながら、このA電源(1.25V,10mA)をそのままツェナーダイオードなどで安定化すると、真空管のヒータには10mAの電流が流れてしまうため、ファントム電源から供給される電圧が低下してしまう。
例えば、真空管のヒータに10mAの電流が流れるとすると、ファントム電源からマイクロホンに供給される電圧は34V(5mA×6.8kΩ)減少して14Vになってしまう。この状態では、真空管のプレートに供給するB電源が不十分であり真空管の動作に支障をきたすことになる。
そこで、本出願人はインピーダンス変換器として真空管を用いるマイクロホンをファントム電源で動作可能とするため、雑音などがほとんど発生せずしかも入手が容易なダウンコンバータを用いてファントム電源から真空管のヒータを加熱するためのA電源を得る発明を特願2003−6621として先に出願している。
この先願発明によるコンデンサマイクロホンの構成を図2の回路図により概略的に説明する。このマイクロホンはコンデンサマイクロホンカプセルMCのインピーダンス変換器として真空管V01を備えている。真空管V01には例えば米国RAYTHEON社製の直熱型5極管で型番6418が用いられる。
この真空管V01はA電源が1.25V,10mA、B電源が30V,0.24mAで動作する。なお、R01は真空管V01のコントロールグリッドのバイアス用抵抗で、C01は真空管V01のプレートからコントロールグリッドへの帰還コンデンサである。
真空管V01のプレートは出力トランスTRSの一次側巻線の一端に接続され、真空管V01のスクリーングリッドは分圧抵抗R02,R03を含む分圧回路を介して出力トランスTRSの一次側巻線の他端に接続される。出力トランスTRSの二次側巻線は出力コネクタCNに接続される。
出力コネクタCNは例えばEIAJ RC5236に規定されている3ピンタイプの出力コネクタで、図示しないファントム電源のホット側と接続される端子H,コールド側と接続される端子Cおよびグランド側と接続される端子Gを含み、出力トランスTRSの二次側巻線は端子Hと端子Cとに接続される。端子GにはマイクカプセルMCのグランド側や真空管V01のヒータのグランド側の極などが接続される。
上記先願発明は、ファントム電源から真空管V01に対するA電源を得るためのA電源生成回路10を備えている。このA電源生成回路10は、少なくともひとつのスイッチト・キャパシタ型電圧コンバータICを含み真空管V01のヒータに接続される。図2の例では3つのコンバータIC01,IC02,IC03を3段に直列的に接続しており、その各々に米国NATIONAL SEMICONDUCTOR社製のLM2665を用いている。
このLM2665なるコンバータICは6つのピンを有し、その1番ピンから正電圧を入力する場合には5番ピンからその2倍の電圧が出力される2倍昇圧型として動作し、これとは逆に5番ピンから正電圧を入力する場合には1番ピンからその1/2倍の電圧が出力される1/2倍降圧型として動作する。
上記先願発明では1/2倍降圧型として用いるため、各コンバータIC01〜IC03ともに5番ピンから正電圧を入力し、1番ピンからその1/2倍の出力電圧を得るようにしている。なお、2番ピンはグランドピン,4番ピンはシャットダウン制御ピンで3番ピンと6番ピンとの間にチャージポンプコンデンサC06,C08,C10がそれぞれ接続される。また、出力側の1番ピンの各々には平滑兼交流接地用のコンデンサC05,C07,C09が接続される。
このA電源生成回路10には電流制限抵抗R04とツェナーダイオードD01の直列回路よりなる入力回路10aと、ファントム電源から端子H,Cを介して供給される所定の電流を上記入力回路10aを介して取り込むための定電流ダイオードD02,D03とが設けられている。
一例として、定電流ダイオードD02,D03より入力回路10aに対して30V,1.5mAが供給され、入力回路10aではツェナーダイオードD01によりA電源生成回路10に対する入力電圧を10Vとし、電流制限抵抗R04によりA電源生成回路10に対する入力電流を1.25mAに制限している。
これにより、第1段目のコンバータIC03,第2段目のコンバータIC02および第3段目のコンバータIC01において、電圧は5V→2.5V→1.25Vに順次変換されるとともに、電流は2.5mA→5.0mA→10mAへと順次変換され、最終的に第3段目のコンバータIC01から真空管V01のヒータに1.25V,10mAなるA電源が供給される。なお、図2においてC02,C03,C04,C11は平滑コンデンサである。
このように、ファントム電源からA電源生成回路10に取り込まれる電流は1.25mA程度でよいことからヒータを加熱するために生ずる電圧降下は約4.25Vで済み、真空管V01のプレートに電流を流すためのB電源を十分に確保することができる。
このように、上記先願発明によれば、インピーダンス変換器に真空管を用いるコンデンサマイクロホンをファントム電源により動作させることができるが、電源電圧が低いことからB電源側は真空管V01のプレートに出力トランスTRSの一次側を接続した増幅器型の回路構成となる。
したがって、出力トランスTRSの一次側には真空管V01のプレートに供給する直流電流が流れるためトランスのコアが直流磁化されてしまう。この直流磁化の程度が大きくなるとコアが磁気飽和しトランスとしての性能が著しく低下するため、最悪の場合一次側から二次側に音声信号が伝達されない事態が生ずる。
トランスコアの直流磁化を防止する方法として、コアのサイズを大きくする方法,コアの材料に透磁率の低いものを使用する方法,コアの接続部に磁気的漏洩が生ずるようにコア間に積極的に隙間をもたせる方法などが知られているが、いずれの場合においてもトランスの寸法が大きくなってしまい電流を流さないように設計されたトランスに比較して性能が劣ることは否めない。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、真空管をインピーダンス変換器として用いその真空管信号を出力トランスを介して出力するファントム電源で動作するコンデンサマイクロホンにおいて、出力トランスの大型化を招くことなくトランスコアの直流磁化を防止することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、コンデンサマイクロホンカプセルおよびそのインピーダンス変換器として用いられる真空管と、一次側巻線が上記真空管のプレートとスクリーングリッドとに接続され二次側巻線が出力コネクタを介してファントム電源に接続される出力トランスとを含み、上記ファントム電源で動作するコンデンサマイクロホンにおいて、上記一次側巻線にセンタータップが設けられるとともに、上記二次側巻線の両端がそれぞれ定電流ダイオードを介して上記センタータップに接続されていることを特徴としている。
本発明において、上記スクリーングリッドには同スクリーングリッドに所定の電圧を印加するための分圧抵抗が接続されており、上記一次側巻線の一端側から上記プレートに供給される電流と、上記一次側巻線の他端側から上記分圧抵抗に流される電流との差が相対的に5%以内であることが好ましい。
本発明によれば、外部電源であるファントム電源から供給される電流の一部が出力トランスの二次側巻線の両端からそれぞれ定電流ダイオードを介して一次側巻線のセンタータップに供給され、センタータップから真空管のプレート側とスクリーングリット側に流れるためトランスコアの直流磁化が打ち消されることになる。
この場合、プレート側に流れる電流とスクリーングリット側に流れる電流の差を相対的に5%以内に抑えることによりトランスコアが磁気飽和を起こすことはない。また、センタータップと二次側巻線との間には定電流ダイオードが接続されているため真空管から出力される音声信号が出力トランスをバイパスして出力されることもない。
次に、図1に示すマイクロホンの回路図により本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。この実施形態の説明において、先の図2で説明した先願発明と特に変更を要しない構成要素については同じ参照符号を用いる。
また、本発明のコンデンサマイクロホンはファントム電源で動作するが、ファントム電源自体はバランス伝送のホットとコールドとの間に直列に接続された6.8kΩからなる2つの抵抗と、それらの抵抗の接続点とグランドとの間に接続された直流48Vの電源とを有する公知のものであるためその図示は省略している。
図1に示すように、本発明によるコンデンサマイクロホンは基本的な構成として、コンデンサマイクロホンカプセルMCと、そのインピーダンス変換器である真空管V01と、出力トランスTRSと、出力コネクタCNと、ファントム電源から真空管V01に対するA電源(ヒータ加熱電源)を得るためのA電源生成回路10とを備えている。
このうち、本発明の要部は出力トランスTRSの部分であり、コンデンサマイクロホンカプセルMC,出力コネクタCNおよびA電源生成回路10については先に説明した先願発明と同じであってよいためここでの説明は省略する。ただし、図1の回路において定電流ダイオードD02,D03から平滑コンデンサC03に至る配線は無くされている。
なお、本発明において、A電源生成回路は必ずしもスイッチト・キャパシタ型電圧コンバータICより構成される必要はなく、例えば米国Maxim Integrated Products社製のLow−Voltage,Step−Down DC−DC Converter MAX1733のようなパルス幅変調方式によるダウンコンバータが用いられてもよい。
出力トランスTRSの一次側巻線Fの一端側は真空管V01のプレートに接続され、一次側巻線Fの他端側は真空管V01のスクリーングリッド(第2グリッド)に電圧を印加する分圧抵抗R02,R03を含む分圧回路RAに接続される。また、出力トランスTRSの二次側巻線Sの一端側は出力コネクタCNの端子Hに接続され、その他端側は出力コネクタCNの端子Cに接続される。
本発明によると、出力トランスTRSの一次側巻線FからセンタータップCFが引き出される。センタータップCFは定電流ダイオードD04を介して二次側巻線Sの一端側と接続される。また、センタータップCFは定電流ダイオードD05を介して二次側巻線Sの他端側とも接続される。
定電流ダイオードD04,D05はセンタータップCF側から見て逆方向接続で、二次側巻線S側から見て順方向接続である。また、定電流ダイオードD04,D05は同一仕様で、この例において定格電流はともに0.5mAである。したがって、二次側巻欄Sの端子H側および端子C側からセンタータップCFに向けてそれぞれ0.5mAの電流が供給される。
これにより、センタータップCFには二次側巻欄S側から1.0mAの電流が供給されるが、この電流は2分されてその一方の電流Ip(0.5mA)はセンタータップCFから一次側巻線Fの一端側に向けて流れ真空管V01のプレートに供給される。他方の電流Is(0.5mA)はセンタータップCFから一次側巻線Fの他端側に向けて流れ分圧回路RAに供給される。
このように、一次側巻線FにはセンタータップCFから電流Ipと電流Isとが反対方向に向けて流れるためコアの直流磁化が打ち消されることになる。また、センタータップCFと二次側巻線Sとの間には逆方向接続の定電流ダイオードD04,D05が存在するため、真空管V01から出力される音声信号は出力トランスTRSをバイパスすることなく出力トランスTRSの巻線比で増幅されて出力される。
なお、コアの直流磁化を打ち消すためには電流Ipと電流Isの各電流値は等しいことが理想であるが、電流Ipと電流Isの各電流値の差が相対的に5%以内であれば実質的にコアの直流磁化を防止することができる。
以上説明したように、本発明によれば、コアの直流磁化を防止するための大型で特殊なトランスを用いる必要がなく、一次側にセンタータップを有する通常の信号用小型トランスをそのまま使用することができる。ちなみに、直流磁化防止対策を施した特殊トランスである例えばEI−35型(寸法35×30×27mm;重量93.8g)に比べて体積で1/7,重量で1/8程度小さなトランスを使用できる。
本発明によるコンデンサマイクロホンの一例を示す回路図。 従来(先願発明)のコンデンサマイクロホンを示す回路図。
符号の説明
MC マイクカプセル
V01 真空管
TRS 出力トランス
F 一次側巻線
S 二次側巻線
CF センタータップ
CN 出力コネクタ
D02〜D05 定電流ダイオード
R02,R03 分圧抵抗
10 A電源生成回路

Claims (2)

  1. コンデンサマイクロホンカプセルおよびそのインピーダンス変換器として用いられる真空管と、一次側巻線が上記真空管のプレートとスクリーングリッドとに接続され二次側巻線が出力コネクタを介してファントム電源に接続される出力トランスとを含み、上記ファントム電源で動作するコンデンサマイクロホンにおいて、
    上記一次側巻線にセンタータップが設けられるとともに、上記二次側巻線の両端がそれぞれ定電流ダイオードを介して上記センタータップに接続されていることを特徴とするコンデンサマイクロホン。
  2. 上記スクリーングリッドには同スクリーングリッドに所定の電圧を印加するための分圧抵抗が接続されており、上記一次側巻線の一端側から上記プレートに供給される電流と、上記一次側巻線の他端側から上記分圧抵抗に流される電流との差が相対的に5%以内である請求項1に記載のコンデンサマイクロホン。
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