JP2005327822A - 外部共振器型レーザ装置およびそれを用いた第2高調波発生装置 - Google Patents

外部共振器型レーザ装置およびそれを用いた第2高調波発生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】温度にかかわらず非線形光学結晶の変換効率がほぼ最大になる波長に発振波長をロックすることが可能な歩留まりが高く、安価な外部共振器型半導体レーザ装置で、出力がほとんど変動しない、低消費電力化や小型化に適した第2高調波発生装置を提供する。
【解決手段】第1の反射素子103、所定の波長の第1の光を発生する発光素子101、第1の光とその第2高調波である第2の光が擬似位相整合するよう設計された周期分極反転領域115と光導波路117を有する非線形光学結晶113、第2の反射素子121がこの順に配置された外部共振器型レーザ装置である。第2の反射素子121は、第1の光には低反射、第2の光には高反射の反射率を有し、非線形光学結晶113と第2の反射素子121で外部共振器の一方のミラーが構成される。第1の反射素子103は第1の光に対して高反射の反射率を有し、第1の反射素子103で外部共振器の他方のミラーが構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザ(Laser Diode:LD)などの発光素子からの光を基本光として第2高調波を発生させる光波長変換装置などに適した外部共振器型レーザ装置、およびその装置を用いた第2高調波発生装置に関するものである。特には、レーザディスプレイや光記録、光計測用の光源などとして利用でき出力の安定なレーザ光を出射する第2高調波発生装置に関するものである。
非線形光学結晶を利用してLD光を別の波長に変換する試みが様々行われている。この技術によれば、LDとしては実用化に至っていない波長域、例えば緑色域や紫外域のレーザ光を発生させることが可能となり、レーザディスプレイや光記録用の光源としての応用が期待できる。特に、非線形光学結晶中に周期的分極反転領域を形成することで、任意の波長に対して位相整合させることが可能になり、波長に対する自由度が向上する。
しかし、例えば、分極反転領域を設けたLiNbO結晶を用いた第2高調波発生(Second Harmonic Generation:SHG)の場合、波長および温度に対して敏感であり、半導体レーザからの基本光の波長が1nm変化しても変換効率はほとんど0になってしまい、また、約1度の温度変化で変換効率は半減してしまう。そのため、変換効率を安定化させる工夫が必要となる。例えば、特許文献1には外部共振器構造による波長安定化技術について開示されている。この例を図12に示す。半導体レーザ7からのレーザ光は、コリメートレンズ9、偏光板11、集光レンズ10を通過して非線形光学結晶からなる基板1に入射される。基板1には、光導波部4、分極反転部3、回折格子5が集積化されている。半導体レーザ7の後ろ側の反射膜8および回折格子5を共振器ミラーとする外部共振器が構成されており、発振波長は回折格子5のブラッグ波長で決定され、そのスペクトル幅は0.1nm以下にできる。また、基板温度が変化した場合、分極反転部3での位相整合波長の波長シフトと回折格子5のブラッグ波長の波長シフトが生じるが、その温度係数は同符号である。よって、位相整合波長がシフトする方向に発振波長もシフトするため、外部共振器を用いない場合と比べて、温度変化による効率の変動を小さくできる。
特開平05−257184号公報
しかしながら、上記のような外部共振器型半導体レーザにおいては、分極反転部の位相整合波長と回折格子のブラッグ波長を予め精度よく一致させておく必要があり、歩留まり低下、コスト高の要因となる。また、位相整合波長とブラッグ波長それぞれの温度に対する波長シフトの傾きは完全には一致していないため、温度が大きく変動した場合には、その波長差は無視できないものとなって第2高調波の出力低下の要因となる。したがって、出力を一定にするためには何らかの温度調節機構が必要となり、消費電力の増大、装置の大型化の要因となる。
上記課題を解決するために、本発明の外部共振器型レーザは、第1の反射素子(本明細書において反射素子という場合、これには、単なるへき開端面の如きものも含まれる)、所定の波長の第1の光を発生する発光素子、第1の光とその第2高調波である第2の光とが擬似位相整合するよう設計された周期分極反転領域および光導波路を有する非線形光学結晶、第2の反射素子(これは、典型的には、第1の光に対しては10から20%、第2の光に対しては90%以上となる反射率を有している)がこの順に配置されており、前記第2の反射素子は第1の光に対しては低反射、第2の光に対しては高反射となる反射率を有しており、前記非線形光学結晶と前記第2の反射素子とで外部共振器の一方のミラーが構成され、前記第1の反射素子は第1の光に対して高反射となる反射率を有しており、前記第1の反射素子で外部共振器の他方のミラーが構成されており、前記第2の反射素子によって反射された第1の光と第2の光の位相差が結晶端面において所定の値になるように周期分極反転領域の構成、第2の反射素子の位置が設定されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の第2高調波発生装置は、上記の外部共振器型レーザ装置を基本波光源として用いたことを特徴とする。この用い方としては、前記外部共振器型レーザ装置からのレーザ光を別の非線形光学結晶に入射して第2高調波を発生させる方法、前記発光素子ないし半導体レーザと前記非線形光学結晶との間に第1の光と第2の光を分離するダイクロイックミラーを挿入して第2の光を取り出す方法、前記非線形光学結晶中の光導波路の一部に溝を設け、この溝の中に、第1の光に対しては低反射、第2の光に対しては高反射となる反射率を有した反射素子を挿入し、前記非線形光学結晶の発光素子ないし半導体レーザとは反対側の端面から第2の光を取り出す方法などがある。
本発明によると、温度にかかわらず非線形光学結晶の変換効率がほぼ最大になる波長に発振波長をロックすることが可能な外部共振器型半導体レーザ装置などの外部共振器型レーザ装置を実現できる。さらには、それを第2高調波発生用光源として用いることで、温度が変化しても第2高調波の出力がほとんど変動しない、低消費電力化や小型化に適した構成を持つ第2高調波発生装置を実現できる。
本発明による外部共振器型レーザ装置の代表的な形態の構成図を図1に示す。
図中、101は波長λの近傍に利得ピークを持つ半導体レーザ、103は波長λの光に対して高反射となる反射膜(第1の反射素子)、105は波長λの光に対して概略無反射となる無反射膜(第4の反射膜)、107はコリメートレンズ、109は波長板、111は集光レンズ、113は非線形光学結晶、115は非線形光学結晶113中に設けられた周期分極反転領域、117は非線形光学結晶113中に設けられた光導波路、119は波長λおよびその半分の波長λ(λ=λ/2)の光の両方に対して概略無反射となる無反射膜(第3の反射膜)、121は波長λの光に対して低反射(10から20%程度)、波長λの光に対して高反射となる反射膜(第2の反射素子)である。
SHG変換が最適に生じるように非線形光学結晶113に入射する基本波の偏光状態は偏光板109によって調節されている。また、分極反転領域115の周期は、波長λの光と波長λの光とが擬似位相整合するように設計されている。図中、周期分極反転領域115の周期をΛ、周期分極反転領域115の終端と反射膜121側の端面との距離をδとしている。
上記構成において、光導波路117を基本波が図中左から右に伝搬する間に第2高調波が発生する。基本波および第2高調波は、所定の反射率を有する反射膜121で反射される。このとき、反射端面での2つの波の位相の関係を最適にすると、右から左に伝搬する間に、第2高調波から基本波への変換が生じる。この変換は擬似位相整合条件を満たす波長において強く、それから離れた波長の光ではほとんど変換されない。その結果、非線形光学結晶113の左側の端面から出射された基本波は、波長λをピークとする強度分布を有している。この技術については、例えば、K. A. Stankov: Appl. Phys. B 45, 191-195 (1988) に開示されている。この出射光を半導体レーザ101に戻すことで、半導体レーザを波長λで発振させることが可能となる。
これを図2の概念図を用いて説明する。図2(a)は半導体レーザ101の活性層の利得のスペクトルを示し、図2(b)は非線形光学結晶113を往復して再び結晶から出射される基本波の割合を非線形反射率と定義したときの非線形反射率の波長依存を示す。このように非線形反射率はλにピークを有しているため、この波長においてレーザの発振しきい値が最も小さくなり、この外部共振器型半導体レーザ装置はこの波長で発振する(図2(c))。
ここで、周期分極反転領域115の終端から反射端面までの距離δが変化すると反射端面での2つの波の位相が変化し、その結果、非線形反射率は変化する。その様子を図3に示す。この図は、基本波波長λ=1064nm、第2高調波波長λ=532mとし、非線形光学結晶113としてLiNbOを用い、分極反転領域周期Λ=6.5μm、光導波路断面積を25μm、入射基本波強度を100mW、光導波路損失を0.5dB/cm、反射膜121の反射率を基本波に対して10%、第2高調波に対して100%とした場合において、δ=0Λ、1/8Λ、1/4Λ、3/8Λ、1/2Λに対して非線形反射率を計算した結果を示す。δ=0Λ、1/2Λの場合、設計波長1064nmに非線形反射率のピークが存在し、この波長でレーザ発振させることができる。δ=1/4Λの場合、設計波長の両側に2つの反射率のピークが存在するため、レーザ発振が不安定になる可能性がある。δ=1/8Λ、3/8Λの場合、設計波長から若干ずれた位置に非線形反射率のピークが存在するものの、ピークは単一であり、波長ずれは0.05nm程度であるので、この値はSHG変換効率の波長許容幅(半値半幅で約0.1nm)と比べて小さく、実用上問題ない。したがって、周期分極反転領域115の終端から端面までの距離は1/2Λの整数倍、あるいは、その値からのずれが1/8Λ以下になるようにすることが望ましい。この結果は、上記の具体的な場合に限られず、一般化できるものである。
次いで、反射膜121の基本波の反射率Rを変えた場合の非線形反射率の計算結果を図4に、そのときの非線形光学結晶113を往復して結晶から出射される第2高調波の強度の波長依存を図5に示す。Rが大きいほど非線形反射率のピークは増加する。これは外部共振器型レーザの発振しきい値を低下させることが可能となることを意味する。一方、Rを大きくすると設定波長1064nmの光に対して得られる第2高調波は低下する。したがって、この構成で第2高調波発生装置として用いる場合は反射膜121の基本波の反射率Rは10から20%の範囲で設定することが望ましい。この結果も、上記の具体的な場合に限られず、一般化できるものである。
次に、非線形光学結晶113の結晶温度が変化した場合に発振波長がシフトする様子を図6の概念図を用いて説明する。図6(a)は半導体レーザ101の活性層の利得、図6(b)は非線形反射率の波長依存、図6(c)は発振スペクトルを示す。或る温度において波長λで発振している場合を点線で示してある。この状態から温度が上昇すると、実線で示すように、活性層の利得カーブ、非線形反射率のピーク波長はともに長波長側にシフトするが、前者の方が3倍程度温度係数が大きい。非線形反射率は、或る結晶温度における擬似位相整合条件を満たす波長において最大となり、この波長λ’で発振する。したがって、本発明による外部共振器型レーザ装置では、温度が変化しても常に擬似位相整合条件を満たすように発振波長がシフトすることになる。この外部共振器型レーザ装置を第2高調波発生装置の基本波光源に用いた場合、第2高調波の出力を温度によらず一定にできる(後記の実施例参照)。
非線形光学材料としてはLiNbO(LN)だけでなく、KTiOPO(KTP)、LiTaO(LT)、KNbO(KN)などの強誘電体結晶や、その他の有機非線形結晶などを用いることができる。また、反射膜121を結晶端面に形成する代わりに、非線形光学結晶の外側に所定の反射率を有する反射ミラー(第2の反射素子)を設けることもできる。この場合は、ミラーの位置を光軸方向に対して微調することで基本波と第2高調波の位相の関係を調整すればよい。
また、上記構成における半導体レーザは、電流、光などによるエネルギー注入により所定の波長の第1の光を発生する半導体材料や有機材料などからなる発光素子と、外部共振器の他方のミラーを構成する反射素子を含めばよいので、これらに置き換えることもできる。さらに、無反射膜119は基本波および第2高調波の両方に対して概略無反射となるよう設計されているが、その代わりに、端面を斜め研磨して反射光の光路をずらすことで実質的に無反射とすることも可能である。また、半導体レーザなどの発光素子と非線形光学結晶の光導波路間の光結合については、レンズを用いる場合の他に、隣接して配置することによる、いわゆるbutt-coupling方式であってもよい。集光光学系としては、単レンズであっても複数のレンズからなるレンズ群であってもよく、凹面鏡や凸面鏡を含んでいてもよい。
本発明のより具体的な実施例を以下に説明する。
(実施例1)
本発明の第1の実施例について図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施例における外部共振器型レーザ装置の模式的な構成図である。
図1において、101は、波長1064nmの近傍に利得ピークを持つInGaAs系の活性層を有する半導体レーザであり、半導体レーザ101の後ろ側の端面には波長1064nm近傍の光を95%以上反射する反射膜103が成膜されている。半導体レーザ101の前側端面には波長1064nm近傍の光に対して概略無反射(反射率が1%以下)である無反射膜105が成膜されている。113は、素子長10mm、厚さ1mmのZカットLiNbOからなる非線形光学結晶であり、非線形光学結晶113中には周期分極反転領域115および光導波路117が設けられている。また、非線形光学結晶113の半導体レーザ側端面には、波長1064nmおよび波長532nmの光の両方に対して概略無反射となる無反射膜119が成膜され、その反対側の端面には、波長1064nmの光に対して10%、波長532nmの光に対して95%の反射率を有する反射膜121が成膜されている。
ここでの周期分極反転領域115は電界印加法を用いて形成されており、その周期Λは波長1064nmの光と波長532nmの光とが擬似位相整合するように設計されていて、約6.5μmである。また、光導波路117は、安息香酸中でプロトン交換しその後アニールすることで形成されている。導波モードパターンから推定される光導波路断面積は28μmである。また、周期分極反転領域115の終端から第2の反射素子121で規定される端面までの距離δが19.5μm(=3Λ)となるように、非線形光学結晶113の端面が形成されている。さらに、半導体レーザ101から出射された基本波はコリメートレンズ107、波長板109、集光レンズ111を介して光導波路117へと導かれる。基本波は、光導波路117中をTMモードで伝搬するように、偏光板109によって偏光状態が調節されている。
このように構成された構造において、基本波が光導波路117を図中左から右に伝搬する間に第2高調波が発生する。そして、基本波の一部(10%)および第2高調波のほとんどが反射膜121で反射される。本実施例では、周期分極反転領域115の終端から端面までの距離を上記の如き所定の値としているため、光導波路117を右から左に伝搬する間に第2高調波から基本波への変換が生じる。この変換は擬似位相整合条件を満たす波長において強く、それから離れた波長の光ではほとんど変換されない。その結果、非線形光学結晶113の左側の端面から出射される基本波は波長1064nmをピークとする強度分布を有している。この出射光は、集光レンズ111、波長板109、コリメートレンズ107を介して半導体レーザ101に戻るので、半導体レーザを波長1064nmで発振させることが可能となる。
本実施例による外部共振器型半導体レーザ装置を駆動したところ、しきい値電流は52mA、注入電流300mAの場合に反射膜121を通過したレーザ光パワーは80mW、発振波長は結晶温度25℃の場合で1063.8nmであった。また、結晶温度を変化させたところそれに追随して発振波長を変えることができ、その温度係数は0.075nm/℃であった。この値は擬似位相整合波長の温度係数と一致していた。よって、結晶温度が変動しても常に発振波長を擬似位相整合波長に合わせることが可能となった。こうして、温度制御が不要な、あるいは非常にラフな温度制御でよい半導体レーザ装置を実現することが可能となり、小型化、低消費電力化が可能となる。
本実施例においても、周期分極反転領域115の終端から端面までの距離が設計値からずれても、そのずれが1/8Λ以下であれば単一縦モード発振が可能であり、設計波長ずれは0.05nm程度で、SHG変換効率の波長許容幅(半値半幅で約0.1nm)と比べて小さく実用上問題ない。ここでも、無反射膜119の代わりに、端面を斜め研磨することで実質的に無反射にする構成としてもよい。
(実施例2)
次に、本発明の第2の実施例について図面を用いて説明する。図7は、本発明の第2の実施例における外部共振器型レーザ装置の模式的な構成図である。第1の実施例との違いは、反射膜121の代わりに結晶の外部に別の反射素子を設けていることである。その他の構成は第1の実施例とほとんど同様であり、詳細の説明は省略する。同一構成部材には同一番号を付する。
図7において、非線形光学結晶113の半導体レーザと反対側の端面には波長1064nmおよび波長532nmの光の両方に対して概略無反射となる無反射膜221が成膜されている。また、223はコリメートレンズ、225は波長1064nmの光に対して10%、波長532nmの光に対して95%の反射率を有する平面ミラーである。この構成において、光導波路117を伝搬した基本波および第2高調波は無反射膜221を通過し、平面ミラー225によって基本波の一部(10%)および第2高調波のほとんどが反射される。非線形反射率を所望の形状にするためには基本波および第2高調波が再び結晶に入射する際の位相を調整する必要があるが、それは平面ミラー225の位置を光軸方向に微調することで実現できる。この点、第1の実施例では、周期分極反転領域の終端から端面までの距離を厳密に制御する必要があったが、本実施例では、周期分極反転領域215の終端の位置は適当でよいので非線形光学素子の生産性が向上するという利点がある。
本実施例において、コリメートレンズ223と平面ミラー225を用いる代わりに、所望の反射特性を持った凹面鏡構造としてもよい。また、無反射膜221は基本波および第2高調波の両方に対して概略無反射となるよう設計したが、その代わりに、端面を斜め研磨することで実質的に無反射とすることも可能である。さらに、無反射膜221の代わりに、第2高調波に対してほぼ全反射、基本波に対してほぼ無反射となるような反射膜を配置し、平面ミラー225を基本波に対して低反射(例えば10%)となるように設計したものを用いてもよい。この場合、上記の第2の反射素子は、この反射膜とコリメートレンズ223、平面ミラー225で構成されることになる。
(実施例3)
次に、本発明の第3の実施例について図面を用いて説明する。図8は、本発明の第3の実施例における外部共振器型レーザ装置の模式的な構成図である。第1の実施例との違いは、半導体レーザ101と非線形光学結晶113の光結合にレンズを用いず、端面を直接隣接させて結合を行う、いわゆるbutt-coupling方式を用いていることである。その他の構成は第1の実施例とほとんど同様であり、詳細の説明は省略する。同一構成部材には同一番号を付する。
本実施例において、光導波路117を基本波がTEモードで伝搬する場合、ほとんどSHG変換が起きないので、非線形反射率には波長ピークが存在しない。一方、TMモードで伝搬する場合はSHG変換が起きるため、波長ピークを有する非線形反射率となる。すなわち、TMモードの特定波長が強く半導体レーザに戻ることになる。よって、本実施例の外部共振器型レーザ装置はTMモードで発振し、第1の実施例で用いた波長板は不要となる。
本実施例では、第1の実施例に比べ小型軽量化を図ることができる。また、半導体レーザ基板と非線形光学結晶基板の各面が直交するように実装すれば、TEモードで発振したレーザ光が光導波路117にTMモードで結合するようにもできる。また、非線形光学結晶113にZカットLiNbOの代わりにXカットLiNbOを用いることで、TEモードで伝搬させたときに非線形光学定数が最大になるような構成としてもよい。
(実施例4)
以下の実施例では、上で述べた外部共振器型レーザ装置を第2高調波発生装置に応用した例を示す。その例として、まず、本発明の第4の実施例について図面を用いて説明する。図9は、本発明の第4の実施例における第2高調波発生装置の模式的な構成図である。外部共振器型レーザ装置は第1の実施例と同様であり、詳細な説明は省略する。同一構成部材には同一番号を付する。本実施例では、第1の実施例による外部共振器型レーザ装置に第2の非線形光学結晶313を付加している。
図9中、301は、反射膜121から出射されたレーザ光を第2の結晶に集光する集光レンズである。313は、素子長10mm、厚さ1mmのZカットLiNbOからなる第2の非線形光学結晶であり、第2の非線形光学結晶313中には周期分極反転領域315および光導波路317が設けられている。また、第2の非線形光学結晶313の両端面には、波長1064nmおよび波長532nmの光の両方に対して概略無反射となる無反射膜319、321が成膜されている。323は、基本波である波長1064nmの赤外光を吸収する波長フィルタである。
非線形光学結晶113と第2の非線形光学結晶313には、反射膜を除いて同一プロセスが施されており、周期分極反転領域115、315の構造、および、光導波路117、317の構造はほとんど同一であり、温度依存や波長依存のパラメータもほぼ等しい。また、2つの結晶は比較的近い位置に配置されているので温度差も非常に小さい。よって、第1の実施例による外部共振器型レーザの発振波長は結晶温度によらずに第2の非線形光学結晶313の擬似位相整合波長と等しくなる。その結果、結晶温度によらず第2の非線形光学結晶313からの第2高調波の出力をほぼ一定にできる。
本実施例による第2高調波発生装置を駆動したところ、しきい値電流は52mA、注入電流300mAの場合に反射膜121を通過したレーザ光パワーは80mW、発振波長は結晶温度25℃の場合で1063.8nmであり、波長フィルタ323を通過した第2高調波のパワーは18mWであった。また、結晶温度を変化させたところそれに追随して発振波長、第2高調波波長もシフトしたが、第2高調波のパワーはほぼ一定であり、±20℃の変化でも第2高調波のパワー変動は1mW以下であった。よって、温度制御が不要な、あるいは非常にラフな温度制御で、出力の安定な第2高調波発生装置を実現することが可能となった。
(実施例5)
次に、本発明の第5の実施例について図面を用いて説明する。図10は、本発明の第5の実施例における第2高調波発生装置の模式的な構成図である。外部共振器型レーザ装置は第1の実施例と同様であり、詳細な説明は省略する。同一構成部材には同一番号を付する。本実施例では、第1の実施例による外部共振器型レーザ装置に第2高調波を取り出すためのダイクロイックミラーを付加した例である。
図10中、401は波長1064nmの光を透過し、波長532nmの光を反射するダイクロイックミラーである。本実施例の動作原理は第1の実施例と同様である。本実施例では、結晶を往復して無反射膜119より出射された第2高調波をダイクロイックミラー401によって共振器の外に取り出すことが可能となる。この第2高調波は実施例4あるいは実施例6の第2高調波発生装置では利用されていない光である。
本実施例による第2高調波発生装置を駆動したところ、しきい値電流は54mA、注入電流300mAの場合に反射膜121を通過したレーザ光パワーは78mW、発振波長は結晶温度25℃の場合で1063.8nmであり、ダイクロイックミラー401によって取り出された第2高調波のパワーは17mWあった。また、結晶温度を変化させたところそれに追随して発振波長、第2高調波波長もシフトしたが、第2高調波のパワーはほぼ一定であり、±20℃の変化でも第2高調波のパワー変動は1mW以下であった。よって、温度制御が不要な、あるいは非常にラフな温度制御で、出力の安定な第2高調波発生装置を実現することが可能となった。本実施例では、第4に実施例に比べ、構成部材が少なくてよく、より小型軽量化を図ることができる。
(実施例6)
次に、本発明の第6の実施例について図面を用いて説明する。図11は、本発明の第4の実施例における第2高調波発生装置の模式的な構成図である。外部共振器型レーザ装置は第1の実施例と同様であり、詳細な説明は省略する。同一構成部材には同一番号を付する。本実施例は、第1の実施例による外部共振器型レーザ装置の非線形光学結晶の一部に切り込み溝を設け、その溝に反射素子を挿入して第2高調波を取り出すことを可能にした例である。
図11中、513は素子長15mm、厚さ1mmのZカットLiNbOからなる非線形光学結晶であり、非線形光学結晶513中には周期分極反転領域515および光導波路517が設けられている。さらに、非線形光学結晶513の中央付近に切り込み溝501が形成されており、その溝501に、波長1064nmの光に対して10%、波長532nmの光に対して95%の反射率を有する平面ミラー(反射素子)521が挿入されている。また、非線形光学結晶513の両端面には波長1064nmおよび波長532nmの光の両方に対して概略無反射となる無反射膜519、523が成膜されている。
また、525は赤外光を吸収する波長フィルタである。切り込み溝501に分断された周期分極反転領域および光導波路には、それぞれ517’、515’の番号を付する。切り込み溝501の位置は周期分極反転領域の周期に合わせて正確に位置決めされている。この精度はフォトリソグラフィーのパターニング精度に依存し、0.5μm以下である。図11において非線形光学結晶513を立体的に描いているが、これは切り込み溝501を分かり易くするためである。
本実施例において、光導波路517を基本波が図中左から右に伝搬する間に第2高調波が発生する。基本波の一部(10%)および第2高調波のほとんどが平面ミラー521で反射され、光導波路517を右から左に伝搬する間に第2高調波から基本波への変換が生じる。この変換は擬似位相整合条件を満たす波長において強く、それから離れた波長の光ではほとんど変換されない。その結果、結晶の左側の端面から出射された基本波は波長1064nmをピークとする強度分布を有している。この出射光は集光レンズ111、波長板109、コリメートレンズ107を介して半導体レーザ101に戻るので半導体レーザを波長1064nmで発振させることが可能となる。さらに、平面ミラー521を通過した基本波は光導波路517’を伝搬し、第2高調波が発生する。発生した第2高調波は、波長フィルタ525を通過して外部に取り出される。
本実施例においては、周期分極反転領域515、515’の構造、および、光導波路517、517’の構造はほとんど同一であり、温度依存や波長依存のパラメータもほぼ等しい。また、同一結晶上に形成されているので温度差もほとんどない。よって、外部共振器型レーザの発振波長は結晶温度によらずに非線形光学結晶513の擬似位相整合波長と等しくなる。その結果、結晶温度によらず第2高調波の出力をほぼ一定にできる。
本実施例では、第4に実施例に比べ、構成部材が少なくて、よく小型軽量化を図ることができる。さらに、同一の結晶を2つに分けて一方を非線形反射率形成のために用い、他方を第2高調波発生に用いているので、2つの別個の結晶を用いている場合と比べ、結晶温度による第2高調波のパワー変動をより小さくすることができる。
(その他の実施例)
上記した複数の実施例では、光導波路形成について、プロトン交換によるものだけでなく、物理的あるいは化学的エッチングによるリッジ加工によるものであってもよい。
また、基本波として波長1064nmの赤外光、第2高調波として波長532nmの緑色光を用いた例を示したが、これに限るものではなく、紫外域、可視域、赤外域など様々な波長域を選択することができる。
本発明の第1の実施例の外部共振器型レーザ装置の模式的な構成図である。 発振波長を説明する図である。 周期分極反転領域の終端位置と非線形反射率の関係を示す図である。 反射膜の反射率と非線形反射率の関係を示す図である。 反射膜の反射率と第2高調波強度の関係を示す図である。 結晶温度が変化した場合の発振波長シフトを説明する図である。 本発明の第2の実施例の外部共振器型レーザ装置の模式的な構成図である。 本発明の第3の実施例の外部共振器型レーザ装置の模式的な構成図である。 本発明の第4の実施例の第2高調波発生装置の模式的な構成図である。 本発明の第5の実施例の第2高調波発生装置の模式的な構成図である。 本発明の第6の実施例の第2高調波発生装置の模式的な構成図である。 従来の光波長変換装置の模式的な構成図である。
符号の説明
101 半導体レーザ
103 反射膜(第1の反射素子)
105 無反射膜(第4の反射膜)
113、313、513 非線形光学結晶
115、215、315、515、515’ 周期分極反転領域
117、317、517、517’ 光導波路
119 無反射膜(第3の反射膜)
121,223,225 反射膜(第2の反射素子)
221,319,321,519,523 無反射膜

Claims (13)

  1. 第1の反射素子、所定の波長の第1の光を発生する発光素子、第1の光とその第2高調波である第2の光とが擬似位相整合するよう設計された周期分極反転領域および光導波路を有する非線形光学結晶、第2の反射素子がこの順に配置されており、前記第2の反射素子は第1の光に対しては低反射、第2の光に対しては高反射となる反射率を有しており、前記非線形光学結晶と前記第2の反射素子とで外部共振器の一方のミラーが構成され、前記第1の反射素子は第1の光に対して高反射となる反射率を有しており、前記第1の反射素子で外部共振器の他方のミラーが構成されており、前記第2の反射素子によって反射された第1の光と第2の光の位相差が結晶端面において所定の値になるように周期分極反転領域の構成、第2の反射素子の位置が設定されていることを特徴とする外部共振器型レーザ装置。
  2. 前記第1の反射素子と発光素子は半導体レーザで構成されることを特徴とする請求項1に記載の外部共振器型レーザ装置。
  3. 前記第2の反射素子は前記非線形光学結晶の端面に形成された第2の反射膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の外部共振器型レーザ装置。
  4. 前記周期分極反転領域の終端と第2の反射膜側の端面との距離がその周期の半分の値の整数倍であるか、もしくはその値からのずれが1/8周期以下であることを特徴とする請求項3に記載の外部共振器型レーザ装置。
  5. 前記第2の反射素子は第1の光に対しては10から20%、第2の光に対しては90%以上となる反射率を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の外部共振器型レーザ装置。
  6. 前記非線形光学結晶の発光素子ないし半導体レーザ側の端面は、第1、第2の光の両方に対して概略無反射となる第3の反射膜が形成されている、あるいは実質無反射となるように斜め研磨されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の外部共振器型レーザ装置。
  7. 前記発光素子ないし半導体レーザの非線形光学結晶側の端面には第1の光に対して概略無反射となる第4の反射膜が形成されており、反対側の端面には第1の光に対して高反射率となる第1の反射素子である第1の反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の外部共振器型レーザ装置。
  8. 前記発光素子ないし半導体レーザと前記非線形光学結晶が直接光結合するように近接配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の外部共振器型レーザ装置。
  9. 請求項1乃至8に記載の外部共振器型レーザ装置を基本波光源として用いたことを特徴とする第2高調波発生装置。
  10. 前記外部共振器型レーザ装置からのレーザ光を別の非線形光学結晶に入射して第2高調波を発生させることを特徴とする請求項9に記載の第2高調波発生装置。
  11. 前記非線形光学結晶および前記別の非線形光学結晶中に同形状の周期分極反転領域と光導波路が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の第2高調波発生装置。
  12. 前記発光素子ないし半導体レーザと前記非線形光学結晶との間に第1の光と第2の光を分離するダイクロイックミラーが挿入されて第2の光を取り出すことが可能な構成を有していることを特徴とする請求項9に記載の第2高調波発生装置。
  13. 前記非線形光学結晶中の光導波路の一部に溝が設けられており、前記溝の中に、第1の光に対しては低反射、第2の光に対しては高反射となる反射率を有した反射素子が挿入されており、前記非線形光学結晶の発光素子ないし半導体レーザとは反対側の端面から第2の光を取り出すことが可能な構成を有していることを特徴とする請求項9に記載の第2高調波発生装置。
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