JP2005326943A - 投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム - Google Patents

投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム Download PDF

Info

Publication number
JP2005326943A
JP2005326943A JP2004142324A JP2004142324A JP2005326943A JP 2005326943 A JP2005326943 A JP 2005326943A JP 2004142324 A JP2004142324 A JP 2004142324A JP 2004142324 A JP2004142324 A JP 2004142324A JP 2005326943 A JP2005326943 A JP 2005326943A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood glucose
insulin
glucose level
change
preparation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004142324A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4273036B2 (ja
Inventor
Ataru Okumura
中 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2004142324A priority Critical patent/JP4273036B2/ja
Publication of JP2005326943A publication Critical patent/JP2005326943A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4273036B2 publication Critical patent/JP4273036B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Medical Treatment And Welfare Office Work (AREA)
  • Infusion, Injection, And Reservoir Apparatuses (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Abstract

【課題】 インスリン製剤投与において必要とされる情報を数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供する。
【解決手段】 個体の体内に1種類以上のインスリン製剤を投与する場合に、インスリン製剤の投与をコンピュータにより支援するための投薬支援プログラム。インスリン製剤に対する個体の感受性を表す感受性データと、インスリン製剤の種類を表す製剤種類データと、インスリン製剤の投与量を表す投与量データとに基づき、インスリン製剤による個体への製剤作用の結果としての血糖値をシミュレーションする。また、インスリン流入量及び血糖値を数値情報及び視覚情報により出力する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、医療行為における投薬業務を支援するための投薬支援プログラム、投薬支援装置、その投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システムに関し、特に、インスリン製剤等の投与製剤の変更前後における情報とそれによる患者の血糖値等の生体情報を入力することによって、新規の製剤(薬剤)を投与した場合の製剤の効果及び患者の生体情報をシミュレーションすることのできる投薬支援プログラム、投薬支援装置及びその投薬支援プログラムを記録した記録媒体並びにその投薬支援装置を使用した投薬支援システムに関するものである。
現在、日本には、約860万人の糖尿病患者がいるといわれている。ここで、糖尿病は、インスリン作用(インスリンが体内の組織にて、代謝調節能を発揮すること。)不足によりおこる代謝異常をきたす疾患であり、1型糖尿病及び2型糖尿病を主とし、その他の特定の機序・疾患による糖尿病及び妊娠糖尿病を含めて、一般に4種類に分類される。1型糖尿病は、ウイルスの感染などによりインスリンを合成・分泌する膵欄ゲルハンス島β細胞の破壊消滅がインスリン作用不足の主な原因であり、インスリンを全く分泌できなくなる疾患である。また、2型糖尿病は、日本人の糖尿病のほとんど(約90%)を占め、インスリン分泌低下をきたす素因を含む複数の遺伝的素因に、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの環境因子及び加齢が加わり発症する。
現在、糖尿病患者の治療は1型糖尿病患者、2型糖尿病患者ともインスリン(インスリン製剤)投与によって血中グルコース濃度(以下、「血糖値」という。)をコントロールするインスリン療法が広く用いられている。即ち、前記860万人の糖尿病患者のうち、約半数の患者が医療機関で受診する受診患者であると推定されるが、更に、そのうち、約75万人の患者がインスリン治療を必要とされると推定される。ここで、患者への頻回または複数種類のインスリン投与が行われる場合、それらのインスリン製剤の作用が重なり合うことになる。この場合、従来は、治療医が、経験等に基づき、頭の中で上記諸条件を勘案し、適切な製剤の種類や投与量を個別に判断している。しかし、インスリン製剤の種類毎に、作用発現時間、最大作用時間、作用持続時間等の特性が異なるため、糖尿病専門医であっても、特定時間における血中へのインスリン流入量の予測が困難であり、どの時間帯でどの製剤が効いているのかを容易に判別することができない。この場合において、不適切な製剤選択を行うと、患者に高血糖または低血糖が生じる可能性がある。したがって、複数種類のインスリン製剤を異なる時間帯に順次投与する場合において、時間単位で血糖値の変化をシミュレーションにより確認することができ、製剤投与の効果を容易かつ迅速に判断することができれば好都合である。
また、安定した血糖コントロールを得るためには、さらに内因性インスリン分泌量も含めた体内インスリン濃度を考慮することが必要であるが、これを連続測定することは実質的に不可能である。なお、投薬支援装置に関する文献としては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
特表2002−531884
特許文献1に記載の技術は、ユーザの自己治療を支援する方法に関するものである。前記自己治療は、複数の動作を含み、前記方法は、前記自己治療に関連するパラメータ値を表すデータを、一つまたはそれ以上のデータベースにおいて収集するステップと、二つまたはそれ以上の動作からの択一的選択肢及び前記二つまたはそれ以上の動作の各々について対応する値を示すために、前記一つまたはそれ以上のデータベースを処理するステップとを含む。また、特許文献1に記載の技術は、前記方法を実施するための手段を有するコンピュータシステム及びプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能媒体に関するものでもあり、前記プログラムは前記方法をコンピュータに実行させるものである。
しかし、特許文献1に記載の技術は、インスリン注射装置、血糖測定装置等の各種装置を患者自身が使用して自己の糖尿病を治療する際の自己治療支援を目的としており、全体の構成も複雑になり、高価なものとなる。即ち、特許文献1に記載の技術では、インスリン製剤の種類や投与量の変更による血糖値の変化を簡単に把握できる安価な構成の投薬支援システムを提供することは困難である。
また、1型糖尿病患者への投薬を支援するための投薬シミュレーションシステムも提案されているが、このシステムでは、個々の患者によって体内インスリン濃度を考慮しなければならない2型糖尿病患者への投薬支援は難しい。また、インスリンの吸収率は個人差が大きく、従来の投薬シミュレーションシステムでは、インスリン吸収モデルが複雑になり、実用化の障害となっている。したがって、2型糖尿病患者への投薬支援を実現することができると共に、簡易なモデルを使用して1型糖尿病患者への投薬支援をも併せて実現することができる投薬支援システムが提供できれば、非常に好都合である。
一方、近年、パソコンやインターネット等の普及に伴い、医療分野においても情報技術(IT)を活用した医療情報の収集や医療情報の活用による患者の生活支援が可能になりつつある。そして、糖尿病治療の中でも、とりわけインスリン療法は、患者自身によるインスリンの作用や製剤特性への理解が重要である。即ち、インスリン療法を受ける糖尿病患者に対し、糖尿病をよく理解してもらい、進んで目標を達成しようとする意欲を持ってもらうため、患者自身によるインスリンの作用及び製剤特性に対する理解や、患者に対するそれらの教育が重要となる。この場合、かかる教育における情報技術の活用が期待される。また、日常使用されているインスリン製剤やその投与量選択において、情報技術を利用して身近で簡便な指標を用意することができれば、インスリン治療はより安全かつ容易なものとなると予想される。更に、療養指導士等の教育・育成用の投薬シミュレーション装置の開発も望まれている。即ち、インスリン療法では、通常、1日に2〜4回インスリン注射を行うが、その場合、インスリン作用が患者の体内でどのように現れるかを、情報技術を利用したシミュレーションにより容易に知ることができれば、教育効果を飛躍的に高めることができる。更にまた、混合製剤についても、その効果をシミュレーションすることができれば好都合である。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、糖尿病患者に対するインスリン製剤投与等、所定の製剤投与において必要とされる情報を数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供すると共に、投与製剤の種類や投与量に応じた患者の体内における作用や効果のシミュレーションを可能にし、製剤の種類や投与量の選択における医師等の判断を支援したり、療法指導士等に対するインスリン療法等の教育を支援したりすることができ、インスリン療法による糖尿病治療等の所定の製剤による疾病の治療を安全かつ容易なものにすることができる投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システムの提供を課題とする。
請求項1に係る投薬支援プログラムは、個体(患者等)の体内に1種類以上の製剤を投与する場合に前記製剤の投与をコンピュータにより支援するための投薬支援プログラムであって、製剤に対する個体の感受性を表す感受性データと、前記製剤の種類を表す製剤種類データと、前記製剤の投与量を表す投与量データとに基づき、前記製剤による前記個体への製剤作用をシミュレーションする手順と、前記製剤作用を数値情報または視覚情報により出力する手順とをコンピュータに実行させる。
請求項2に係る投薬支援プログラムは、個体の体内に1種類以上の製剤を投与する場合に前記製剤の投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、A)製剤の投与時間、種類及び/または投与量に応じて、平均的個体の体内へ流入する前記製剤の単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、平均的個体用の製剤流入量時系列データ(実施の形態では、製剤変更前後の各製剤流入量時系列データ)を出力する、平均的個体用製剤流入量シミュレーション部(実施の形態では、予備シミュレーション部)による平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順と、B)特定の個体毎に決定され、前記製剤に対する前記特定の個体の感受性を表す数値データからなる感受性データ(実施の形態では、インスリン感受性データまたはデフォルトIRデータ)を出力する、感受性データ出力部(実施の形態では、サンプリング部またはデフォルトIR部)による感受性データ出力手順と、C)製剤の投与時間、種類及び投与量の少なくともいずれか一つの条件変更に対応して、前記感受性データに基づき、前記変更後の条件による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる製剤作用データを経時的にシミュレーションして、製剤作用予測値時系列データ(実施の形態では、血糖予測値データ)を出力する、製剤作用値予測部(実施の形態では、本シミュレーション部)による製剤作用値予測手順とをコンピュータに実行させる。
請求項3に係る投薬支援プログラムは、請求項2の構成において、A)前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順が、A1)1種類以上の製剤からなる変更前製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記変更前製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記変更前製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、変更前製剤流入量時系列データを出力する、変更前製剤流入量シミュレーション部による変更前製剤流入量シミュレーション手順と、A2)(前記変更前製剤と同一または異なる)1種類以上の製剤からなる変更後製剤を、(前記変更前製剤と同一または異なる)時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記変更後製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記変更後製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、変更後製剤流入量時系列データを出力する、変更後製剤流入量シミュレーション部による変更後製剤流入量シミュレーション手順とを含み、B)前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順は、B1)前記変更前製剤流入量時系列データと前記変更後製剤流入量時系列データとの差分を演算し、製剤流入量差分解析データを出力する、変更前後製剤流入量差分解析部による変更前後製剤流入量差分解析手順と、B2)前記変更前製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる変更前製剤作用データ(実施の形態では、投与条件変更前測定血糖値)と、前記変更後製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる変更後製剤作用データ(実施の形態では、投与条件変更後測定血糖値)との差分を演算し、製剤作用差分解析データを出力する、変更前後製剤作用データ差分解析部(実施の形態では、変更前後血糖値差分解析部)による変更前後製剤作用データ差分解析手順と、B3)前記製剤流入量差分解析データと前記製剤作用差分解析データとをサンプリングし、前記変更前製剤から前記変更後製剤への変更による前記単位時間当り流入量の変化量と、前記変更前製剤作用データから前記変更後製剤作用データへの変化量とを比例的に関連付けた値を前記感受性データとして出力する、サンプリング部によるサンプリング手順とを含み、C)前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、C1)1種類以上の製剤からなる新規製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記新規製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記新規製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、新規製剤流入量時系列データを出力する、新規製剤流入量シミュレーション部による新規製剤流入量シミュレーション手順と、C2)前記サンプリング部の前記感受性データの数値に基づき、前記特定の個体における前記変更前製剤作用データを、前記変更前製剤流入量時系列データから前記新規製剤流入量時系列データへの差分に比例して増減変更することにより経時的にシミュレーションし、前記新規製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる新規製剤作用予測値データ(実施の形態では、血糖予測値データ)を出力する、製剤作用予測値出力部(実施の形態では、血糖値予測部)による製剤作用予測値出力手順とを含む。
請求項4に係る投薬支援プログラムは、請求項2の構成において、A)前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順が、A1)1種類以上の製剤からなる変更前製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記変更前製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記変更前製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、変更前製剤流入量時系列データを出力する、変更前製剤流入量シミュレーション部による変更前製剤流入量シミュレーション手順と、A2)(前記変更前製剤と同一または異なる)1種類以上の製剤からなる変更後製剤を、(前記変更前製剤と同一または異なる)時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記変更後製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記変更後製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、変更後製剤流入量時系列データを出力する、変更後製剤流入量シミュレーション部による変更後製剤流入量シミュレーション手順とを含み、B)前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順は、B3)個体差に応じて決定され、製剤による前記特定の個体への製剤作用の度合を表す数値データからなる感受性データ(実施の形態では、デフォルトIRデータ)を出力する、感受性データ出力部(実施の形態では、デフォルトIR部)による感受性データ出力手順を含み、C)前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、C1)1種類以上の製剤からなる新規製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記新規製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記新規製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、新規製剤流入量時系列データを出力する、新規製剤流入量シミュレーション部による新規製剤流入量シミュレーション手順と、C2)前記感受性データ出力部の前記感受性データの数値に基づき、前記変更前製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる前記変更前製剤作用データを、前記変更前製剤流入量時系列データから前記新規製剤流入量時系列データへの差分に比例して増減変更することにより経時的にシミュレーションし、前記新規製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる新規製剤作用予測値データ(実施の形態では、血糖予測値データ)を出力する、製剤作用予測値出力部(実施の形態では、血糖値予測部)による製剤作用予測値出力手順とを含む。
請求項5に係る投薬支援プログラムは、製剤の血液中流入量と血液中の特定成分量との相関に基づき、前記個体に対して1以上の種類の製剤を投与すると共に、その投与を調節して、前記個体の血液中の特定成分量を制御する場合に使用されるコンピュータのための投薬支援プログラムであって、1以上の種類の製剤について、製剤の種類に応じた特性(例えば、組成、作用発現時間、最大作用時間、作用持続時間、吸収率等)、投与量、投与時刻のうちの少なくとも1以上の投与条件を変更したときに、前記投与条件変更前後における個体の血液中への前記製剤の流入量の変化を経時的にシミュレーションし、前記投与条件変更前後における前記製剤の流入量の差分データを経時的に出力する製剤流入量差分シミュレーション手段(実施の形態では、変更前後IN流入量シミュレーション部及び変更前後IN流入量差分解析部)と、前記投与条件変更前後における前記個体の血液中の特定成分量の変化をそれぞれ経時的にシミュレーションし、前記投与条件変更前後における前記個体の血液中の特定成分量の差分データを経時的に出力する特性成分量差分シミュレーション手段(実施の形態では、変更前後血糖値入力・演算部及び変更前後血糖値差分解析部)と、前記投与条件変更前後における前記製剤の流入量の差分データと、前記投与条件変更前後における前記個体の血液中の特定成分量の差分データとをサンプリングして、それらを互いに関連付けた値からなる感受性データを出力する感受性データ出力手段(実施の形態では、サンプリング部)と、前記感受性データに基づき、前記製剤の投与条件に応じて、前記個体の血液中の特定成分量の変化を予測する特定成分量予測手段(実施の形態では、血糖値予測部)としてコンピュータを機能させる。
請求項6に係る投薬支援プログラムは、製剤の血液中流入量と血液中の特定成分量との相関に基づき、前記個体に対して1以上の種類の製剤を投与すると共に、その投与を調節して、前記個体の血液中の特定成分量を制御する場合に使用されるコンピュータのための投薬支援プログラムであって、1以上の種類の製剤について、製剤の種類に応じた特性(例えば、組成、作用発現時間、作用最大時間、作用持続時間、吸収率等)、投与量、投与時刻の少なくとも1以上の投与条件を変更したときに、前記投与条件変更前後における個体の血液中への前記製剤の流入量の変化を経時的にシミュレーションし、前記投与条件変更前後における前記製剤の流入量の差分データを経時的に出力する製剤流入量差分シミュレーション手段(実施の形態では、IN流入量シミュレーション部及びIN流入量差分解析部)と、個体差に応じて決定され、前記製剤による前記特定の個体の感受性の度合いを表す数値データからなる感受性データ(実施の形態では、デフォルトIR)を出力する感受性データ出力手段(実施の形態では、デフォルトIR部)と、前記感受性データに基づき、前記製剤の投与条件に応じて、前記個体の血液中の特定成分量の変化を予測する特定成分量予測手段としてコンピュータを機能させる。
請求項7に係る投薬支援プログラムは、請求項1乃至6のいずれかの構成において、前記製剤が、インスリン製剤であり、前記個体の感受性は、前記個体のインスリン感受性またはインスリン抵抗性である。
請求項8に係る投薬支援プログラムは、請求項2乃至4のいずれかの構成において、前記製剤が、インスリン製剤であって、前記個体の血管中へ流入すると共に、前記個体の感受性は、前記個体のインスリン感受性またはインスリン抵抗性であり、前記個体への製剤作用は、前記個体の血糖値の調節作用であって、前記製剤作用データは、前記個体の血糖値であると共に、前記製剤作用予測値データは、前記変更後のインスリン製剤による前記特定の個体の血糖値の変化を経時的に表す血糖予測値データである。
請求項9に係る投薬支援プログラムは、請求項8の構成において、前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順が、前記血糖予測値データを出力する血糖値予測部による血糖値予測手順であり、前記製剤作用値予測手順は、更に、個体の経口摂取の種類(例えば、食事、間食等)及び量に基づき、前記経口摂取による前記個体の血液中の血糖値の変化量を表す経口摂取変換量を演算して出力する、経口摂取量変換手段による経口摂取量変換手順を有し、前記血糖予測値データを前記経口摂取変換量により補正して出力する。
請求項10に係る投薬支援プログラムは、請求項2の構成において、前記製剤が、インスリン製剤であって、前記個体の血管中へ流入すると共に、前記個体の感受性は、前記個体のインスリン感受性またはインスリン抵抗性であり、前記個体への製剤作用は、前記個体の血糖値の調節作用であって、前記製剤作用データは、前記個体の血糖値であると共に、前記製剤作用予測値データは、前記変更後のインスリン製剤による前記特定の個体の血糖値の変化を経時的に表す血糖予測値データであり、前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順は、1種類以上のインスリン製剤を、時間間隔を置いた所定の投与時刻に、前記平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記インスリン製剤の種類、投与量及び投与時刻のうちの少なくとも1以上の条件を変更したときに、前記インスリン製剤の種類に応じて決定される特性のうちの少なくとも作用発現時間、作用持続時間及び最大作用時間からなる特性データ、前記インスリン製剤の投与量データ並びに前記インスリン製剤の投与時刻データに基づき、前記条件変更前後において、それぞれ、前記平均的個体の血液中に流入する前記単位時間当り流入量としての単位時間当りインスリン流入量を経時的にシミュレーションし、前記条件変更前後のインスリン製剤に対応した前記平均的個体用のインスリン流入量時系列データとして、それぞれ、変更前インスリン流入量時系列データ及び変更後インスリン流入量時系列データを出力する、変更前後インスリン流入量シミュレーション部による変更前後インスリン流入量シミュレーション手順と、前記変更前インスリン流入量時系列データ及び前記変更後インスリン流入量時系列データに基づき、前記条件変更前後において前記平均的個体の皮下から血中に吸収されるインスリン流入量を、それぞれ、経時的なグラフとして描画する、インスリン流入量グラフ描画部によるインスリン流入量グラフ描画手順とを含む。
請求項11に係る投薬支援プログラムは、請求項10の構成において、前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順は、更に、前記前記インスリン製剤の種類、投与量及び投与時刻のうちの少なくとも1以上の条件を変更する場合において、その条件変更前後において、それぞれ、前記インスリン製剤の特性データ、前記投与量データ及び前記投与時刻データを前記変更前後製剤流入量シミュレーション部に入力する、変更前後条件入力手段(実施の形態では、変更前投与条件入力部及び変更後投与条件入力部)による変更前後条件入力手順を含み、前記変更前後製剤流入量シミュレーション部による前記変更前後製剤流入量シミュレーション手順は、前記変更前後条件入力手段からの前記インスリン製剤の特性データ、前記投与量データ及び前記投与時刻データに基づき、前記条件変更前後において、それぞれ、前記平均的個体の血中に流入するインスリン流入量を経時的にシミュレーションし、前記平均的個体用の製剤流入量時系列データとして、前記条件変更前後の前記平均的個体用の製剤流入量時系列データをそれぞれ表す変更前インスリン流入量時系列データ及び変更後インスリン流入量時系列データを出力する。
請求項12に係る投薬支援プログラムは、請求項11の構成において、前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順が、前記変更前インスリン流入量時系列データと前記変更後インスリン流入量時系列データとの差分を演算し、前記条件変更によるインスリン流入量の変化量を経時的に表すインスリン流入量差分解析データを出力する、変更前後インスリン流入量差分解析部による変更前後インスリン流入量差分解析手順と、前記条件変更前後における前記特定の個体の血糖値の差分を演算し、前記条件変更による血糖値の変化量を経時的に表す血糖値差分解析データを出力する、変更前後血糖値差分解析部による変更前後血糖値差分解析手順と、前記インスリン流入量差分解析データと前記血糖値差分解析データとをサンプリングし、前記条件変更前後における単位時間当たりの前記インスリン流入量の変化量とこれに対応する前記血糖値の変化量とをそれらの比により表した値を前記感受性データとして出力する、サンプリング部によるサンプリング手順と、前記条件変更前後における前記特定の個体の血糖値をそれぞれ経時的なグラフとして描画する、血糖値グラフ描画手段による血糖値グラフ描画手順とを含み、前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部で用いた前記インスリン製剤の条件と異なる条件で、1種類以上の新規インスリン製剤を、時間間隔を置いた所定の投与時刻に、前記平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記新規インスリン製剤の特性データ、投与時刻及び投与量に基づき、前記特定の個体の血液中に流入する前記単位時間当り流入量としての単位時間当り新規インスリン流入量を経時的にシミュレーションし、前記新規インスリン製剤に対応した前記特定の個体用の新規インスリン流入量時系列データを出力する、新規インスリン流入量シミュレーション部による新規インスリン流入量シミュレーション手順と、前記サンプリング部の前記感受性データの数値に基づき、前記特定の個体における前記条件変更前の前記血糖値を、前記変更前インスリン流入量時系列データと前記新規インスリン流入量時系列データとの差分に比例して増減変更することにより経時的にシミュレーションし、前記新規インスリン製剤による前記特定の個体の予測血糖値を表す血糖予測値データを出力する、血糖値予測部による血糖値予測手順と、前記新規インスリン流入量時系列データに基づき、前記平均的個体の皮下から血中に吸収される新規インスリン流入量を経時的なグラフとして描画する、新規インスリン流入量グラフ描画部による新規インスリン流入量グラフ描画手順と、前記血糖予測値データに基づき、前記新規インスリン製剤による前記特定の個体の血糖値の変化を経時的なグラフとして描画する、予測血糖値グラフ描画部による予測血糖値グラフ描画手順とを含む。
請求項13に係る投薬支援プログラムは、請求項11の構成において、前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順が、個体のインスリン抵抗性を表す指標であるHOMA−Rとして、HOMA−R=1、HOMA−R=3及びHOMA−R=5の3つの値を用意すると共に、これらの値にそれぞれ対応して、前記感受性データのデフォルト値としての3つのデフォルトIRデータを用意し、前記特定の個体の個体差に応じて決定されたいずれかのデフォルトIRデータを出力する、前記感受性データ出力部としてのデフォルトIR部によるデフォルトIR出力手順を含み、前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部で用いた前記インスリン製剤と異なる条件で、1種類以上の新規インスリン製剤を、時間間隔を置いた所定の投与時刻に、前記平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記新規インスリン製剤の特性データ、投与時刻及び投与量に基づき、前記特定の個体の血液中に流入する前記単位時間当り流入量としての単位時間当り新規インスリン流入量を経時的にシミュレーションし、前記新規インスリン製剤に対応した前記特定の個体用の新規インスリン流入量時系列データを出力する、新規インスリン流入量シミュレーション部による新規インスリン流入量シミュレーション手順と、前記デフォルトIR部の前記デフォルトIRデータの数値に基づき、前記特定の個体における前記条件変更前の前記血糖値を、前記変更前インスリン流入量時系列データから前記新規インスリン流入量時系列データへの差分に比例して増減変更することにより経時的にシミュレーションし、前記新規インスリン製剤による前記特定の個体の予測血糖値を表す血糖予測値データを出力する、血糖値予測部による血糖値予測手順と、前記新規インスリン流入量時系列データに基づき、前記平均的個体の皮下から血中に吸収される新規インスリン流入量を経時的なグラフとして描画する、新規インスリン流入量グラフ描画部による新規インスリン流入量グラフ描画手順と、前記血糖予測値データに基づき、前記新規インスリン製剤による前記特定の個体の血糖値の変化を経時的なグラフとして描画する、予測血糖値グラフ描画部による予測血糖値グラフ描画部とを含む。
請求項14に係る投薬支援プログラムは、請求項8乃至13のいずれかの構成において、更に、前記特定の個体が、複数日にわたって同一測定時刻に計測した実測血糖値に基づき、前記実測血糖値の前記複数日の翌日以降の予測血糖値をサンプリング用血糖値として予測演算する、サンプリング用血糖値演算手段によるサンプリング用血糖値演算手順と、前記特定の個体が糖毒性解除過程にあるか否かを判別する、糖毒性解除過程判別手段による糖毒性解除過程判別手順とをコンピュータに実行させ、前記サンプリング用血糖値予測演算手段による前記サンプリング用血糖値予測演算手順は、前記糖毒性解除過程判別手段からの入力に基づき、前記特定の個体が糖毒性解除過程にない場合は、前記複数日にわたって計測した前記複数の実測血糖値の平均値を取ることにより前記サンプリング用血糖値を演算し、前記特定の個体が糖毒性解除過程にある場合は、前記複数日にわたって計測した前記複数の実測血糖値の相関値を取ることにより前記サンプリング用血糖値を演算する。
請求項15に係る投薬支援プログラムは、請求項8乃至13のいずれかの構成において、更に、変数yとしての前記特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式y=ax+b(式中、0.016<=a<=0.048、1.4<=b<=3.4)により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順をコンピュータに実行させる。
請求項16に係る投薬支援プログラムは、請求項14の構成において、更に、変数yとしての前記特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式y=ax+b(式中、0.016<=a<=0.048、1.4<=b<=3.4)により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順をコンピュータに実行させ、前記サンプリング用血糖値予測演算手段による前記サンプリング用血糖値予測演算手順は、前記条件変更前の複数日及び前記条件変更後の複数日において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻と、就寝前の所定時刻とにおいてそれぞれ実測した朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき、前記それぞれの複数日の翌日以降における朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値として予測されるそれぞれの値を、条件変更前のサンプリング用血糖値及び条件変更後のサンプリング用血糖値として予測演算し、前記血糖値予測部から出力される血糖予測値データは、前記朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に対応する朝血糖予測値、昼血糖予測値、夕血糖予測値及び就寝前血糖予測値からなり、前記HbA1c演算手段による前記HbA1c演算手順は、前記条件変更前のサンプリング用血糖値の朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき、前記演算式により、前記条件変更前における前記特定の個体のHbA1cの値を演算すると共に、前記朝血糖予測値、昼血糖予測値、夕血糖予測値及び就寝前血糖予測値に基づき、前記演算式により、前記新規インスリン製剤に変更した場合の前記特定の個体のHbA1cの値を演算する。
請求項17に係る投薬支援プログラムは、請求項15または16の構成において、前記各回食事直前の血糖値の平均値xは、前記特定の個体において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻と、就寝前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき、演算式x=(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+就寝前血糖値*2)/6、または、演算式x=(朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値)/4のいずれかにより演算される。
請求項18に係る投薬支援プログラムは、請求項17の構成において、前記HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順は、前記就寝前血糖値として前記昼血糖値を代用し、前記各回食事直前の血糖値の平均値xを、前記特定の個体において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値及び夕血糖値に基づき、演算式x=(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+昼血糖値*2)/6、または、演算式x=(朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値)/4のいずれかにより演算する。
請求項19に係る投薬支援プログラムは、請求項14の構成において、前記サンプリング用血糖値予測演算手段による前記サンプリング用血糖値予測演算手順は、前記条件変更前の複数日において少なくとも午前中に実測した午前中血糖値(例えば、実施の形態の朝血糖値及び昼血糖値)について条件変更前サンプリング用血糖値を演算すると共に、前記条件変更後の複数日において少なくとも午前中に実測した午前中血糖値について条件変更後サンプリング用血糖値を演算し、前記変更前後インスリン流入量差分解析部による変更前後インスリン流入量差分解析手順は、少なくとも、前記午前中血糖値についての条件変更前サンプリング用血糖値と前記午前中血糖値についての条件変更後サンプリング用血糖値との差分を演算し、前記午前中血糖値について前記変更前後血糖値差分解析データを出力し、前記サンプリング部による前記サンプリング手順は、前記午前中血糖値についての前記変更前後血糖値差分解析データと、前記午前中血糖値の測定時間帯における前記インスリン流入量差分解析データとをサンプリングし、前記午前中血糖値の測定時間帯における前記インスリン流入量の変化量とこれに対応する前記午前中血糖値の変化量とをそれらの比により表した値を、前記午前中血糖値についての前記感受性データとして出力し、前記血糖値予測部による前記血糖値予測手順は、前記午前中血糖値についての前記感受性データの数値のみに基づき、前記新規インスリン製剤に対応する前記血糖予測値データを出力する。
請求項20に係る投薬支援プログラムは、請求項12の構成において、前記サンプリング用血糖値予測演算手段による前記サンプリング用血糖値予測演算手順が、前記条件変更前の複数日及び前記条件変更後の複数日において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻と、就寝前の所定時刻とにおいてそれぞれ実測した朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値について条件変更後サンプリング用血糖値を演算し、前記変更前後インスリン流入量差分解析部による変更前後インスリン流入量差分解析手順は、朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値の各々についての条件変更前サンプリング用血糖値と、朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値についての条件変更後サンプリング用血糖値との差分を演算して、前記変更前後血糖値差分解析データを出力し、前記サンプリング部による前記サンプリング手順は、前記朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値についてのそれぞれの血糖値差分解析データと、前記朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値の測定時間帯におけるそれぞれの前記インスリン流入量差分解析データとをサンプリングし、前記朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値の各測定時間帯における前記インスリン流入量の変化量とこれに対応する前記血糖値の変化量とをそれらの比により表した値を、それぞれ、朝血糖値の測定時間帯についての感受性データ、昼血糖値の測定時間帯についての感受性データ、夕血糖値の測定時間帯についての感受性データ及び就寝前血糖値の測定時間帯についての感受性データとして出力し、前記血糖値予測部による前記血糖値予測手順は、通常は、前記朝血糖値の測定時間帯についての前記感受性データの数値のみに基づき、前記新規インスリン製剤に対応する前記血糖予測値データを出力し、前記朝血糖値の測定時間帯についての感受性データ、昼血糖値の測定時間帯についての感受性データ、夕血糖値の測定時間帯についての感受性データ及び就寝前血糖値の測定時間帯についての感受性データが所定の範囲内にある場合(例えば、差分データに十分な変化量がある場合)のみ、前記朝血糖値の測定時間帯についての感受性データ、昼血糖値の測定時間帯についての感受性データ、夕血糖値の測定時間帯についての感受性データ及び就寝前血糖値の測定時間帯についての感受性データの数値に基づき、前記新規インスリン製剤に対応する前記血糖予測値データを出力する。
請求項21に係る投薬支援プログラムは、請求項10の構成において、更に、前記血糖予測値データが所定値以下となったか否かを判別する、低血糖判定手段による低血糖判定手順と、前記低血糖判定手段による前記低血糖判定手順において低血糖と判別された場合に警告を発する、低血糖警告手段による低血糖警告手順とをコンピュータに実行させる。
請求項22に係る投薬支援プログラムは、請求項12の構成において、更に、前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順における入出力データ、前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順における入出力データ、前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順における入出力データを他のコンピュータに転送する、相談・問合せ手段による相談・問合せ手順をコンピュータに実行させる。
請求項23に係る投薬支援プログラムは、個体の体内に1種類以上のインスリン製剤を投与する場合に前記インスリン製剤の投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、インスリン製剤の投与時刻種類、及び投与量からなる条件を変更した場合に、前記条件変更前のインスリン流入量及び前記条件変更後のインスリン流入量間の差分と、前記条件変更前のインスリン流入量に対応する特定の個体の血糖値及び前記条件変更後のインスリン流入量に対応する特定の個体の血糖値間の差分とを比により表した値を、前記特定の個体のインスリン感受性を表す感受性データとして出力するインスリン感受性データ演算手順をコンピュータに実行させる。
請求項24に係る投薬支援プログラムは、変数yとしての特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式y=ax+b(式中、0.016<=a<=0.048、1.4<=b<=3.4)により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順をコンピュータに実行させる。
請求項25に係る投薬支援プログラムは、変数yとしての特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式y=ax+b(式中、0.024<=a<=0.040、1.8<=b<=3.0)により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順をコンピュータに実行させる。
請求項26に係る投薬支援プログラムは、変数yとしての特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式y=ax+b(式中、0.028<=a<=0.036、2.2<=b<=2.6)により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順をコンピュータに実行させる。
請求項27に係る投薬支援プログラムは、請求項24乃至26のいずれかの構成において、前記各回食事直前の血糖値の平均値xが、前記特定の個体において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻と、就寝前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき、演算式x=(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+就寝前血糖値*2)/6、または、演算式x=(朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値)/4のいずれかにより演算される。
請求項28に係る投薬支援プログラムは、請求項27の構成において、前記HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順が、前記就寝前血糖値として前記昼血糖値を代用し、前記各回食事直前の血糖値の平均値xを、前記特定の個体において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値及び夕血糖値に基づき、演算式x=(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+昼血糖値*2)/6、または、演算式x=(朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値)/4のいずれかにより演算する。
請求項29に係る投薬支援プログラムは、個体の血中にバンコマイシンを投与する場合に前記バンコマイシンの投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、A)バンコマイシンの投与時間、種類及び/または投与量に応じて、平均的個体の体内(血中)へ流入する前記製剤の単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、平均的個体用の製剤流入量時系列データを出力する、平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順と、B)特定の個体毎に決定され、前記製剤に対する前記特定の個体の感受性を表す数値データからなる感受性データを出力する、感受性データ出力部による感受性データ出力手順と、C)バンコマイシンの投与時間、種類及び投与量の少なくともいずれか一つの条件変更に対応して、前記感受性データに基づき、前記変更後の条件による前記特定の個体へのバンコマイシン血中濃度を表す数値データからなるバンコマイシン血中濃度データを経時的にシミュレーションして、バンコマイシン血中濃度データを出力する、バンコマイシン血中濃度予測部によるバンコマイシン血中濃度予測手順とをコンピュータに実行させる。
請求項30に係る投薬支援プログラムは、個体の体内にインスリン製剤を投与する場合に前記インスリン製剤の投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、インスリン製剤についてその平均作用時間を取得する手順と、前記平均作用時間の開始時間帯に位置する始点血糖値と、終了時間帯に位置する終点血糖値と、それらの中間時間帯に位置する中央血糖値とを取得する手順と、前記中央血糖値が前記始点血糖値及び終点血糖値の平均血糖値より所定の増加変動値以上多い持続時間増加時には、個別作用時間が前記平均作用時間より所定の増加時間だけ長くなると判断する一方、前記中央血糖値が前記平均血糖値より所定の減少変動値以上少ない持続時間減少時には、前記個別作用時間が前記平均作用時間より所定の減少時間だけ短くなると判断し、前記持続時間増加時には、前記平均作用時間に前記増加時間を加算した値を特定の個体の前記個別作用時間として出力する一方、前記持続時間減少時には、前記平均作用時間から前記減少時間を減算した値を前記特定の個体の前記個別作用時間として出力する手順とをコンピュータに実行させる。
請求項31に係る投薬支援装置は、請求項1乃至30のいずれか1項記載の投薬支援プログラムを実行するコンピュータからなる。
請求項32に係るコンピュータ読取可能な記録媒体は、請求項1乃至30のいずれか1項記載の投薬支援プログラムを記録したものである。
請求項33に係る投薬支援装置は、糖尿病治療におけるインスリン製剤投与の決定を支援する投薬支援装置であって、インスリン製剤の製剤特性を含む製剤情報の登録・変更・削除を行うための機能を実現する製剤登録・変更・削除手段と、個体に対するインスリン製剤の投与条件を変更する場合に、変更前後のインスリン製剤の投与条件を入力するための機能を実現する変更前後投与条件入力手段と、前記インスリン製剤の投与条件の変更前後における血糖値を入力するための機能を実現する変更前後血糖値入力手段と、前記インスリン製剤の投与条件変更前の特定時間帯における個体の血中への単位時間当りインスリン流入量及び前記インスリン製剤の投与条件変更後の前記特定時間帯における個体の血中への単位時間当たりインスリン流入量の差分と、前記投与条件の変更前の前記特定時間帯における前記個体の血糖値及び前記投与条件変更後の前記特定時間帯における前記個体の前記血糖値の差分との比を求めることにより、前記インスリン製剤に対する前記個体の感受性を表す数値データからなる感受性データを演算するための機能を実現する感受性データ演算手段と、前記インスリン製剤の投与条件を更に変更した場合に、そのインスリン製剤により前記個体の血中に流入するインスリン流入量を時系列で表す新規インスリン流入量時系列データを出力すると共に、前記感受性データに基づき、前記新規インスリン流入量時系列データに対応する前記個体の血糖予測値を演算するための機能を実現する血糖予測値演算手段とを備える。
請求項34に係る投薬支援装置は、請求項33の構成において、前記製剤登録・変更・削除手段が、単発インスリン製剤の特性データ(例えば、単発製剤種類、吸収曲線、作用発現時間、最大作用時間、持続時間、混合有無)を新規登録するための機能を実現する単発製剤登録手段と、続インスリン製剤の特性データ(例えば、)持続製剤種類、吸収量)を新規登録するための機能を実現する持続製剤登録手段と、録済みインスリン製剤を選択し、前記インスリン製剤の特性データを変更するための機能を実現する製剤選択・特性データ変更手段と、登録済みインスリン製剤を選択し、前記インスリン製剤の特性データを削除するための機能を実現する製剤選択・特性データ削除手段と、前記インスリン製剤特性データを記憶させるための対応メモリとを備える。
請求項35に係る投薬支援装置は、請求項34構成において、更に、前記単発インスリン製剤の特性データを参照し、混合型インスリン製剤のインスリン流入曲線を演算し、混合インスリン製剤の特性データ(例えば、混合製剤種類、混合比率、吸収曲線等)を登録する混合製剤特性データ登録手段と、前記混合型インスリン製剤のインスリン流入曲線データを記憶させるための対応メモリとを備える。
請求項36に係る投薬支援装置は、請求項35の構成において、前記製剤変更前後投与条件入力手段が、インスリン製剤の投与時刻を選択・入力するための機能を実現する投与時刻選択手段と、単発インスリン製剤における製剤変更前の投与時刻毎のインスリン製剤の種類を選択・入力するための機能を実現する製剤変更前単発製剤選択手段と、単発インスリン製剤における製剤変更前のインスリン製剤毎の投与量を選択・入力するための機能を実現する製剤変更前単発製剤投与量選択手段と、持続インスリン製剤における製剤変更前のインスリン製剤の種類を選択・入力するための機能を実現する製剤変更前持続製剤選択手段と、持続インスリン製剤における製剤変更前の時刻毎の投与量を選択・入力するための機能を実現する製剤変更前持続製剤投与量選択手段と、単発インスリン製剤における製剤変更後の投与時刻毎のインスリン製剤の種類を選択・入力するための機能を実現する製剤変更後単発製剤選択手段と、単発インスリン製剤における製剤変更後のインスリン製剤毎の投与量を選択・入力するための機能を実現する製剤変更後単発製剤投与量選択手段と、持続インスリン製剤における製剤変更後のインスリン製剤の種類を選択・入力するための機能を実現する製剤変更後持続製剤選択手段と、持続インスリン製剤における製剤変更後の時刻毎の投与量を選択・入力するための機能を実現する製剤変更後持続製剤投与量選択手段と、前記製剤変更前後投与条件入力手段の各種データを記憶させるための対応メモリとを備える。
請求項37に係る投薬支援装置は、請求項33の構成において、更に、前記製剤変更前後投与条件入力手段から入力されたインスリン製剤の投与条件に応じて、前記個体の血中へのインスリン流入速度と時間との関係を演算するインスリン流入曲線演算手段と、前記インスリン流入曲線演算手段の演算結果をインスリン流入曲線としてグラフ描画してディスプレイに表示するグラフ描画手段と、前記グラフ描画された前記インスリン流入曲線をマウスドラッグにより変形させることにより、前記インスリン流入速度と時間との関係を変更して、新たなインスリン製剤の投与条件として演算する新規インスリン流入曲線演算手段とを備え、前記血糖予測値演算手段は、前記新規インスリン流入曲線演算手段の演算結果に対応して、前記血糖予測値演算手段による前記血糖予測値を変更する。
請求項38に係る投薬支援システムは、請求項31及び請求項33乃至請求項37のいずれか1項記載の投薬支援装置を複数使用した投薬支援システムであって、複数の投薬支援装置をネットワークを介して接続し、任意の投薬支援装置と専門医の投薬支援装置との間で各種データの授受を行うようにした。
請求項1及び請求項2に係る投薬支援プログラムは、糖尿病患者に対するインスリン製剤投与等、所定の製剤投与において必要とされる情報を数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供すると共に、投与製剤の種類や投与量に応じた患者の体内における作用や効果のシミュレーションを可能にし、製剤の種類や投与量の選択における医師等の判断を支援したり、療法指導士等に対するインスリン療法等の教育を支援したりすることができ、インスリン療法による糖尿病治療等の所定の製剤による疾病の治療を安全かつ容易なものにすることができる。請求項1及び請求項2に係る投薬支援プログラムは、例えば、糖尿病患者に対してインスリン療法を行う場合の投薬支援システムに具体化した場合、2型糖尿病患者への投薬支援を実現することができると共に、簡易なモデルを使用して1型糖尿病患者への投薬支援をも併せて実現することができる。
請求項3に係る投薬支援プログラムは、請求項2の効果に加え、条件変更前後の製剤流入量の差分演算により製剤流入量差分解析データを出力すると共に、条件変更前後の製剤作用データの差分演算により製剤作用差分解析データを出力し、これらの比を感受性データとして使用するため、簡易なアルゴリズムで感受性データを演算することができる。
請求項4に係る投薬支援プログラムは、請求項2の効果に加え、デフォルト値による感受性データを使用するため、個体の製剤作用データを入手できない場合でも、製剤作用のシミュレーションが可能になる。
請求項5及び請求項6に係る投薬支援プログラムは、糖尿病患者に対するインスリン製剤投与等、所定の製剤投与において必要とされる情報を数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供すると共に、投与製剤の種類や投与量に応じた患者の体内における作用や効果のシミュレーションを可能にし、製剤の種類や投与量の選択における医師等の判断を支援したり、療法指導士等に対するインスリン療法等の教育を支援したりすることができ、インスリン療法による糖尿病治療等の所定の製剤による疾病の治療を安全かつ容易なものにすることができる。
請求項7に係る投薬支援プログラムは、請求項1乃至6のいずれかの効果に加え、糖尿病患者に対するインスリン製剤投与において必要とされるインスリン流入量や血糖値等の情報を、数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供し、投与インスリン製剤の種類や投与量に応じた患者の血中におけるインスリン作用や効果のシミュレーションを可能にし、インスリン製剤の種類や投与量の選択における医師等の判断を支援したり、療法指導士等に対するインスリン療法の教育を支援したりすることができ、インスリン治療を安全かつ容易なものにすることができる。
請求項8に係る投薬支援プログラムは、請求項2乃至4のいずれかの効果に加え、糖尿病患者に対するインスリン製剤投与において必要とされるインスリン流入量や血糖値等の情報を、数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供し、投与インスリン製剤の種類や投与量に応じた患者の血中におけるインスリン作用や効果のシミュレーションを可能にし、インスリン製剤の種類や投与量の選択における医師等の判断を支援したり、療法指導士等に対するインスリン療法の教育を支援したりすることができ、インスリン治療を安全かつ容易なものにすることができる。
請求項9に係る投薬支援プログラムは、請求項8の効果に加え、経口摂取の情報をも勘案して、インスリン作用のシミュレーションを行うことができる。
請求項10に係る投薬支援プログラムは、請求項2の効果に加え、糖尿病患者に対するインスリン製剤投与において必要とされるインスリン流入量や血糖値等の情報を、数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供し、投与インスリン製剤の種類や投与量に応じた患者の血中におけるインスリン作用や効果のシミュレーションを可能にし、インスリン製剤の種類や投与量の選択における医師等の判断を支援したり、療法指導士等に対するインスリン療法の教育を支援したりすることができ、インスリン治療を安全かつ容易なものにすることができる。更に、インスリン流入量の推移をグラフ表示して目視により容易に確認することができる。
請求項11に係る投薬支援プログラムは、請求項10の効果に加え、変更前後条件入力手段により、インスリン製剤の特性データ、投与量データ及び投与時刻データを条件入力するだけで、変更前後製剤流入量シミュレーション部がインスリン作用のシミュレーション手順を実行する。
請求項12に係る投薬支援プログラムは、請求項11の効果に加え、サンプリング部が、条件変更前後のインスリン流入量の差分演算によりインスリン流入量差分解析データを出力すると共に、条件変更前後の血糖値データの差分演算により血糖値差分解析データを出力し、これらの比を感受性データとして使用するため、簡易なアルゴリズムでインスリン感受性データを演算することができる。
請求項13に係る投薬支援プログラムは、請求項11の効果に加え、デフォルト値によるインスリン感受性データとしてのデフォルトIRデータを使用するため、個体の血糖値データを入手できない場合でも、インスリン作用のシミュレーションが可能になる。
請求項14に係る投薬支援プログラムは、請求項8乃至13のいずれかの効果に加え、糖毒性解除過程判別手段による判断結果に応じて、平均値演算または相関演算のいずれかを実行するため、糖尿病患者が糖毒性過程にある場合にも、妥当なサンプリング用血糖値を得ることができる。
請求項15に係る投薬支援プログラムは、請求項8乃至13のいずれかの効果に加え、HbA1c演算手段によりHbA1cを演算することができ、糖尿病患者の過去2ヶ月程度の血糖値の履歴を容易に確認することができ、糖尿病治療の目安とすることができる。
請求項16に係る投薬支援プログラムは、請求項14の効果に加え、HbA1c演算手段により条件変更前と新規条件下でのHbA1cをそれぞれ演算することができ、条件変更前と新規条件下における糖尿病患者の過去2ヶ月程度の血糖値の履歴を容易に確認することができ、糖尿病治療の目安とすることができる。
請求項17に係る投薬支援プログラムは、請求項15または16の効果に加え、各回食事直前の血糖値の平均値xを、前記特定の個体における朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき簡単に演算することができる。
請求項18に係る投薬支援プログラムは、請求項17の効果に加え、HbA1c演算において就寝前血糖値を昼血糖値で代用するため、就寝前血糖値の測定または予測演算が不要となる。
請求項19に係る投薬支援プログラムは、請求項14の効果に加え、1日のうちで最もインスリン流入量と血糖値との関係を把握しやすいと考えられる午前中血糖値についてのインスリン感受性データにより血糖予測値データを演算するため、より正確な血糖予測値データを得ることができる。
請求項20に係る投薬支援プログラムは、請求項12の効果に加え、通常は、1日のうちで最もインスリン流入量と血糖値との関係を把握しやすいと考えられる午前中血糖値の測定時間帯についてのインスリン感受性データにより血糖予測値データを演算するため、より正確な血糖予測値データを得ることができる。また、1日中の血糖値の測定時間帯についてのインスリン感受性データが所定の範囲にある場合、例えば、それらがインスリン流入量と血糖値との関係を把握しやすい程度の変化量を有する場合は、1日中の血糖値の測定時間帯についてのインスリン感受性データにより血糖予測値データを演算するため、1日にわたってより正確な血糖予測値データを得ることができる。
請求項21に係る投薬支援プログラムは、請求項10の効果に加え、シミュレーション結果による血糖予測値が低血糖値となる場合に警告を発することができ、新規投与条件採用時における低血糖の発生を効果的に防止することができる。
請求項22に係る投薬支援プログラムは、請求項12の効果に加え、糖尿病専門医でない医師等が、自己の行ったシミュレーションの条件を他の糖尿病専門医に転送することができ、その専門医からより的確なアドバイスを入手することができる。
請求項23に係る投薬支援プログラムは、個体におけるインスリン感受性を演算することができ、その演算結果としてのインスリン感受性データを使用して、請求項7〜20の場合と同様の効果を期待することができる。
請求項24に係る投薬支援プログラムは、HbA1cを演算することができ、糖尿病患者の過去2ヶ月程度の血糖値の履歴を容易に確認することができ、糖尿病治療の目安とすることができる。
請求項25に係る投薬支援プログラムは、HbA1cをより正確に演算することができ、糖尿病患者の過去2ヶ月程度の血糖値の履歴を容易に確認することができ、糖尿病治療の目安とすることができる。
請求項26に係る投薬支援プログラムは、HbA1cをより一層正確に演算することができ、糖尿病患者の過去2ヶ月程度の血糖値の履歴を容易に確認することができ、糖尿病治療の目安とすることができる。
請求項27に係る投薬支援プログラムは、請求項24乃至26のいずれかの効果に加え、各回食事直前の血糖値の平均値xを、前記特定の個体における朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき簡単に演算することができる。
請求項28に係る投薬支援プログラムは、請求項27の効果に加え、HbA1c演算において就寝前血糖値を昼血糖値で代用するため、就寝前血糖値の測定または予測演算が不要となる。
請求項29に係る投薬支援プログラムは、糖尿病患者に対するバンコマイシン製剤投与において必要とされる血中濃度情報をシミュレーションして数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供ことを可能にし、バンコマイシン製剤の種類や投与量の選択における医師等の判断を支援したり、療法指導士等に対するバンコマイシン投与等の教育を支援したりすることができ、バンコマイシン使用による疾病の治療を安全かつ容易なものにすることができる。
請求項30に係る投薬支援プログラムは、インスリン製剤の作用持続時間を個体差に応じて個別に演算することができる。
請求項31に係る投薬支援装置は、請求項1〜30の効果を有する投薬支援装置となる。
請求項32に係るコンピュータ読取可能な記憶媒体は、コンピュータに実装された場合に、請求項1〜30の効果を発揮する。
請求項33〜37に係る投薬支援装置は、糖尿病患者に対するインスリン製剤投与において必要とされるインスリン流入量や血糖値等の情報を、数値情報や視覚情報等により簡便かつ迅速に提供し、投与インスリン製剤の種類や投与量に応じた患者の血中におけるインスリン作用や効果のシミュレーションを可能にし、インスリン製剤の種類や投与量の選択における医師等の判断を支援したり、療法指導士等に対するインスリン療法の教育を支援したりすることができ、インスリン治療を安全かつ容易なものにすることができる。
請求項38に係る投薬支援システムは、請求項31及び請求項33〜37のいずれかの投薬支援装置をネットワーク環境で使用することにより、糖尿病専門医でない医師等が、自己の行ったシミュレーションの条件を他の糖尿病専門医に転送することができ、その専門医からより的確なアドバイスを入手することができる。また、専門医が、自ら、新たにインスリン作用のシミュレーションを行い、最も妥当と思われる投与条件を問合せ元の医師等に転送することもできる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。
1.投薬支援装置
1−1.全体構成概略
本発明の投薬支援装置を具現化した一実施の形態に係る投薬支援装置の全体構成について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係るインスリン製剤用の投薬支援装置の全体的システム構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、実施の形態1に係る投薬支援装置10は、インスリン製剤用の投薬支援装置に具体化される。このインスリン製剤用の投薬支援装置は、製剤登録部100と、予備シミュレーション部200と、解析部300と、本シミュレーション部400と、補助部500とを備える。投薬支援装置10は、概説すると、個体(糖尿病患者患者)に対してインスリン療法を行う場合において、インスリン製剤の投与条件(種類、投与量、投与時刻等)を変更する場合に、その投与条件変更前後におけるインスリン作用(個体の血糖値変化)をシミュレーションするものである。投薬支援装置10は、CPU、ROM、RAM、バス、入出力装置等の公知のハードウェア構成を有するコンピュータ装置を使用して、以下の各機能を実現する。
製剤登録部100は、単発製剤情報登録部110と、持続製剤情報登録部120と、記憶手段130とを含む。単発製剤情報登録部110は、記憶手段130の単発製剤特性データ記憶領域に、単発製剤の特性データ(単発製剤種類、インスリン皮下吸収曲線(インスリン皮下吸収率)、作用発現時間、最大作用時間、作用持続時間、混合の有無、混合製剤種類、混合率等)を相互に関連付けて入力・記憶させるための入力・登録機能を実現する。なお、単発製剤としては、一般に、皮下注射型インスリン製剤、静脈注射型インスリン製剤等があり、開発中のものとして、吸入型インスリン製剤、点鼻型インスリン製剤、経口型インスリン製剤、点眼型インスリン製剤、座薬型インスリン製剤等がある。また、皮下注射型単発インスリン製剤としては、超速効型(S)、速効型(R)、中間型(N)、持続型(L)及び混合型の5つの型があり、それらの型に応じて、製剤投与後の効果が現れる時間(作用発現時間)、効果が最大となる時間(最大作用時間乃至ピーク時間)、作用が持続する時間(作用持続時間)が相違する(正確には、同型であっても、製剤メーカの製剤毎に上記作用時間が若干異なる)。また、持続製剤情報登録部120は、記憶手段130の持続製剤特性データ記憶領域に持続製剤の特性データ(持続製剤種類、時系列の吸収量(吸収速度)等)を相互に関連付けて入力・記憶させるための入力・登録機能を実現する。なお、持続製剤としては、持続皮下注入ポンプ型インスリン製剤、持続静脈注射型インスリン製剤等がある。また、前記持続皮下注入ポンプ型インスリン製剤とは、インスリンポンプを用いて、皮下に持続的にインスリン製剤(超速効型または速効型)を注入する持続皮下インスリン注入療法(CSII)によりインスリン療法を行うときに使用される。なお、前記製剤特性データのうち、インスリン皮下吸収曲線は、皮下注射型単発インスリン製剤の場合にのみ当てはまる特性である。また、皮下注射型単発インスリン製剤及び持続皮下注入ポンプ型インスリン製剤の皮下吸収率(皮下注射されたインスリンが最終的に血中に流入する割合)は、約30〜70%、平均的には約50%であり、その他のインスリンは最終的に皮下で分解され血中には流入しない。これに対し、静脈注射型インスリン製剤は、単発製剤及び持続製剤共に、100%のインスリンが血中に流入する。
1−2.予備シミュレーション部
図2は本発明の実施の形態1に係る投薬支援装置の予備シミュレーション部のシステム構成の詳細を示す機能ブロック図である。
予備シミュレーション部200は、変更前投与条件入力部210と、変更後投与条件入力部220と、変更前インスリン流入量シミュレーション部(SIM部)230と、変更後インスリン流入量SIM部240と、記憶手段250と、インスリン流入グラフ描画部260と、表示部270とを含む。詳細には、変更前投与条件入力部210は、図2に示すように、投与時刻設定手段211と、変更前単発製剤種類選択手段212と、変更前持続製剤種類選択手段213と、変更前単発製剤投与量選択手段214と、変更前持続製剤投与量選択手段215とを有する。また、変更後投与条件入力部220は、投与時刻設定手段221と、変更後単発製剤種類選択手段222と、変更後持続製剤種類選択手段223と、変更後単発製剤投与量選択手段224と、変更後持続製剤投与量選択手段225とを有する。一方、変更前インスリン流入量SIM部230は、製剤毎特性取得手段231と、製剤毎単位時間流入量演算手段232と、単位時間総インスリン(IN)流入量演算手段233とを有する。また、変更後インスリン流入量SIM部240は、製剤毎特性取得手段241と、製剤毎単位時間流入量演算手段242と、単位時間総製剤流入量演算手段243とを有する。更に、記憶手段250は、変更前インスリン流入量時系列データ記憶領域251と、変更後インスリン流入量時系列データ記憶領域252とを有する。また、インスリン流入グラフ描画部260は、インスリン(IN)流入量推移グラフ描画手段261と、表示日数切替え手段262とを有する。
変更前投与条件入力部210は、インスリン療法で現在使用されているインスリン製剤の投与条件を指定して入力する機能を実現する。即ち、変更前投与条件入力部210の投与時刻設定手段211は、インスリン製剤の投与条件変更前(現在のインスリン製剤の投与条件下)におけるインスリン製剤の投与時刻(例えば、朝食前の午前8時、昼食前の午後1時等)を直接入力する機能と、投与時刻入力を簡単に行えるよう1時間単位の時刻入力を可能にしたスピンボタン入力機能と、30分単位での投与時刻の入力を可能にするリストボックス入力機能とを選択的に実現する。また、変更前単発製剤種類選択手段212は、前記投与時刻設定手段211により設定した一または複数の投与時刻の各々において、投与条件変更前の単発インスリン製剤の種類(名称)を直接入力する機能と、リストボックスより選択・入力する機能とを選択的に実現する。更に、変更前持続製剤種類選択手段213は、投与条件変更前の持続インスリン製剤の種類(名称)を直接入力する機能と、リストボックス等より選択・入力する機能とを選択的に実現する。なお、前記投与時刻設定手段211により設定した一または複数の投与時刻の各々において、変更前単発製剤種類選択手段212により、変更前の単発製剤を指定可能である。例えば、この場合、変更前単発製剤種類選択手段212の単発製剤名称入力リストボックスのリスト表示内容としては、「Lispro」、「R」、「50R」、「40R」、「30R」、「20R」、「10R」、「N」、「Glargine」等がある。なお、「Lispro」は、超速効型インスリン製剤を示し、「R」は速効型インスリン製剤を示し、「N」は中間型インスリン製剤を示し、「Glargine」は持続型インスリン製剤を示す。また、混合型インスリン製剤は、一般に、速効型インスリン製剤と中間型インスリン製剤とを所定の混合比率(混合割合)で混合したものであり、混合型インスリン製剤についての「50R」、「40R」等の数字部分は、速効型インスリン製剤の混合比率を示す。例えば、「40R」は、40%の速効型インスリン製剤(R)と60%の中間型インスリン製剤(N)とからなる混合型インスリン製剤を表している。
変更前単発製剤投与量選択手段214は、前記投与時刻設定手段211により設定した一または複数の投与時刻の各々において、投与条件変更前の単発製剤投与量を直接入力する機能と、単発製剤投与量の入力を容易にするためにスピンボタンを用いた入力機能とを選択的に実現する。また、変更前持続製剤投与量選択手段215は、前記投与時刻設定手段211により設定した一または複数の投与時刻の各々において、投与条件変更前の持続製剤投与量を直接入力する機能と、持続製剤投与量の入力を容易にするためにスピンボタンを用いた入力機能とを選択的に実現する。
変更後投与条件入力部220は、インスリン療法で現在使用されているインスリン製剤の投与条件(変更前投与条件)と異なる、予備シミュレーション用の別の投与条件(変更後投与条件)を指定して入力する機能を実現するものであり、入力されるデータが投与条件変更前のものから投与条件変更後のものとなることを除いて、基本的に、前記変更前投与条件入力部210と同様の構成とすることができる。即ち、変更後投与条件入力部220の投与時刻設定手段221は、インスリン製剤の投与条件変更後(現在のインスリン製剤の投与条件と異なる投与条件下)におけるインスリン製剤の投与時刻(例えば、朝食前の午前8時、昼食前の午後1時等)を直接入力する機能と、投与時刻入力を簡単に行えるよう1時間単位の時刻入力を可能にしたスピンボタン入力機能と、30分単位での投与時刻の入力を可能にするリストボックス入力機能とを選択的に実現する。また、変更後単発製剤種類選択手段222は、前記投与時刻設定手段221により設定した一または複数の投与時刻の各々において、投与条件変更後の単発インスリン製剤の種類(名称)を直接入力する機能と、リストボックスより選択・入力する機能とを選択的に実現する。なお、変更前単発製剤種類選択手段212と同様、前記投与時刻設定手段221により設定した一または複数の投与時刻の各々において、変更後単発製剤種類選択手段222により、変更後の単発製剤を指定可能である。更に、変更前持続製剤種類選択手段223は、前記投与時刻設定手段221により設定した一または複数の投与時刻の各々において、投与条件変更後の持続インスリン製剤の種類(名称)を直接入力する機能と、リストボックスより選択・入力する機能とを選択的に実現する。例えば、この場合、変更後単発製剤種類選択手段222の単発製剤名称入力リストボックスのリスト表示内容としては、前記変更前単発製剤種類選択手段212と同様のものを使用することができる。
変更後単発製剤投与量選択手段224は、前記投与時刻設定手段211により設定した一または複数の投与時刻の各々において、投与条件変更後の単発製剤投与量を直接入力する機能と、単発製剤投与量の入力を容易にするためにスピンボタンを用いた入力機能とを選択的に実現する。また、変更前持続製剤投与量選択手段225は、前記投与時刻設定手段211により設定した一または複数の投与時刻の各々において、投与条件変更後の持続製剤投与量を直接入力する機能と、持続製剤投与量の入力を容易にするためにスピンボタンを用いた入力機能とを選択的に実現する。
前記変更前IN流入量SIM部230の製剤毎特性取得手段231は、前記変更前単発製剤種類選択手段211により選択された単発製剤の特性データを、前記製剤登録部100の記憶手段130の単発製剤特性データ記憶領域から取得する機能を実現する。また、製剤毎特性取得手段231は、変更前持続製剤種類選択手段212により選択された持続製剤の特性データを、前記記憶手段130の持続製剤特性データ記憶領域より取得する機能を実現する。更に、製剤毎単位時間流入量演算手段232は、まず、単発製剤について、投与条件変更前において、製剤毎特性取得手段231から取得した各単発インスリン製剤の製剤特性(通常は、各インスリン製剤の種類に応じた作用発現時間、最大作用時間及び作用持続時間、または、それらとインスリン皮下吸収率とにより決定されるインスリン皮下吸収曲線)と、製剤投与時刻設定手段211から取得した各単発インスリン製剤の投与時刻と、変更前単発製剤投与量選択手段213から取得した各単発インスリン製剤の投与量とに基づき、各単発インスリン製剤について、単位時間内に個体の血中へ流入する(皮下吸収される)インスリン量をシミュレーション演算する機能を実現する。同様に、製剤毎単位時間流入量演算手段232は、持続製剤が使用される場合、その持続製剤についても、投与条件変更前において、製剤毎特性取得手段231から取得した持続インスリン製剤の製剤特性(通常は、作用発現時間とインスリン皮下吸収率)と、製剤投与時刻設定手段211から取得した持続インスリン製剤の投与時刻と、変更前持続製剤投与量選択手段214から取得した持続インスリン製剤の投与時刻毎の投与量とに基づき、持続インスリン製剤について、単位時間内に個体の血中へ流入する(皮下吸収される)インスリン量をシミュレーション演算する機能を実現する。
一方、単位時間総IN流入量演算手段233は、投与条件変更前において、各単発インスリン製剤についての単位時間毎の血中インスリン流入量と、持続インスリン製剤についての単位時間毎の血中インスリン流入量とを製剤毎単位時間流入量演算手段232から取得し、各単位時間において個体の血中へ流入する単位時間当り総インスリン流入量(同一単位時間において重複する単発製剤及び/または持続製剤のインスリン流入量の総合計値)へと変換演算する機能を実現する。
前記変更後IN流入量SIM部240の製剤毎特性取得手段241は、製剤毎特性取得手段231と同様の機能を実現する。即ち、製剤毎特性取得手段241は、前記変更後単発製剤種類選択手段221と前記変更後持続製剤種類選択手段222により選択された製剤の特性データを、前述記憶手段130の単発製剤特性データ記憶領域と持続製剤特性データ記憶領域よりそれぞれ取得するための機能を実現する。また、製剤毎単位時間流入量演算手段242は、製剤毎単位時間流入量演算手段232と同様の機能を実現する。即ち、製剤毎単位時間流入量演算手段242は、投与条件変更後において、前述製剤毎特性取得手段241から取得した各製剤の前記製剤特性と、製剤投与時刻設定手段221から取得した投与時刻と、変更後単発製剤投与量選択手段224から取得した投与量および変更後持続製剤投与量選択手段225から取得した投与量とに基づき、単位時間内に個体の血中へ流入する(単発製剤及び持続製剤の)インスリン量をシミュレーション演算する機能を実現する。更に、単位時間総製剤流入量演算手段243は、単位時間総IN流入量演算手段233と同様の機能を実現する。即ち、単位時間総製剤流入量演算手段243は、投与条件変更後において、各単発インスリン製剤についての単位時間毎の血中インスリン流入量と、持続インスリン製剤についての単位時間毎の血中インスリン流入量とを製剤毎単位時間流入量演算手段242から取得し、各単位時間において個体の血中へ流入する単位時間当り総インスリン流入量(同一単位時間において重複する単発製剤及び/または持続製剤のインスリン流入量の総合計値)へと変換演算する機能を実現する。
記憶手段250の変更前インスリン流入量時系列データ記憶領域251は、単位時間総IN流入量演算手段233が出力した投与条件変更前の単位時間当りの総インスリン流入量の時系列(経時的)データを、変更前インスリン流入量時系列データとして格納する。また、記憶手段250の変更後インスリン流入量時系列データ記憶領域252は、単位時間総製IN流入量演算手段243が出力した投与条件変更後の単位時間当りの総インスリン流入量の時系列(経時的)データを、変更後インスリン流入量時系列データとして格納する。インスリン流入グラフ描画部260のIN流入量推移グラフ描画手段261は、時間軸をx軸とし、インスリン流入速度(U/hr)をy軸として、時間の経過に対する個体の血中へのインスリン流入量の推移を示すインスリン流入量推移グラフを、表示部(ディスプレイ)270に描画して視覚情報として出力するための機能を実現する。また、IN流入量推移グラフ描画手段261により描画したグラフ上の任意の点(ポイント)にカーソルを合わせるだけで、その点に対応する時刻におけるインスリン流入量(流入速度)を表す数字が、IN流入量推移グラフの近傍位置に表示されるようになっている。表示日数切替手段262は、前記IN流入量推移グラフ描画手段261を用いて表示部270に描画したIN流入量推移グラフの表示日数を変更する機能を実現する。そして、表示日数切替手段262によりIN流入量推移グラフの表示日数を、1日表示、2日表示、3日表示、4日表示等、適宜変更することで、中間型インスリン製剤や持続型(持効型)インスリン製剤等、長時間にわたってインスリン作用を発揮するインスリン製剤を投与した場合に、そのインスリン製剤の長時間にわたる効果乃至影響(インスリン流入曲線)を一覧で確認することができるようになっている。
1−3.解析部
図3は本発明の実施の形態1に係る投薬支援装置の解析部のシステム構成の詳細を示す機能ブロック図である。
解析部300は、変更前後インスリン(IN)流入量差分解析部310と、変更前後血糖値入力・演算部320と、血糖値差分解析部330と、記憶手段340と、サンプリング部350と、デフォルトIR部360と、記憶手段370と、血糖値グラフ描画部380と、表示部390とを含む。詳細には、図3に示すように、変更前後IN流入量差分解析部310は、変更前後IN流入量差分演算手段311を有する。また、血糖値入力・演算部320は、血糖値測定時刻入力手段321と、変更前測定血糖値入力手段322と、変更後測定血糖値入力手段323と、サンプリング用血糖値演算手段324と、糖毒性解除過程判別手段325と、HbA1c演算手段326とを有する。更に、血糖値差分解析部330は、変更前後血糖値差分解析手段331を有する。また、記憶手段340は、変更前後IN流入量差分解析データ記憶領域341と、変更前後血糖値差分解析データ記憶領域342と、サンプリング用血糖値データ記憶領域343とを有する。更に、サンプリング部350は、午前サンプリング手段351と、全日サンプリング手段352とを有する。また、デフォルトIR部360は、デフォルトIR設定手段361と、デフォルトIR選択手段362とを有する。更に、記憶手段370は、インスリン感受性データ記憶領域371と、デフォルトIRデータ記憶領域372とを有する。また、血糖値グラフ描画部380は、目標血糖値範囲設定手段381と、表示項目切替手段382と、血糖値推移グラフ描画手段383と、表示日数切替手段384とを有する。
変更前後IN流入量差分解析部310の変更前後IN流入量差分演算手段311は、前記予備シミュレーション部200の記憶手段250中の変更前IN流入量時系列データ記憶領域251から変更前IN流入量時系列データを取得すると共に、変更後IN流入量時系列データ記憶領域252から変更後IN流入量時系列データを取得し、単位時間毎に、変更前IN流入量時系列データと変更後IN流入量時系列データとの差分を演算し、前記投与条件の変更に対応するインスリン流入量差分解析データとして時系列で出力する機能を実現する。変更前後IN流入量差分演算手段311が出力したインスリン流入量差分解析データは、記憶手段340の変更前後IN流入量差分解析データ記憶領域341に格納される。
変更前後血糖値入力・演算部320の血糖値測定時刻入力手段321は、前記投与条件変更前または投与条件変更後における複数日にわたって、各日に複数回血糖値を測定した場合において、個体の血糖値(変更前血糖値及び変更後血糖値)のそれぞれの測定時刻(例えば、変更前及び変更後の各々について、朝食前の午前8時、昼食前の午後1時、夕食前の午後6時、就寝前の午後11時等)を直接入力する機能と、測定時刻入力を簡単に行えるよう1時間単位の時刻入力を可能にしたスピンボタン入力機能と、30分単位での測定時刻の入力を可能にするリストボックス入力機能とを選択的に実現する。また、変更前測定血糖値入力手段322は、投与条件変更前の個体の測定(実測)血糖値を直接入力する機能を実現する。なお、変更前測定血糖値入力手段322は、測定血糖値の入力を容易にするためにスピンボタンを用いた入力機能を実現するようにしてもよい。更に、変更後測定血糖値入力手段323は、投与条件変更後の測定(実測)血糖値を直接入力する機能を実現する。なお、変更後測定血糖値入力手段323は、変更前測定血糖値入力手段322と同様、血糖値入力にスピンボタンによる入力機能を使用し、入力の操作性を向上させてもよい。一方、血糖値測定時刻入力手段321から入力された投与条件変更前の実測血糖値及び投与条件変更後の実測血糖値は、それぞれ、記憶手段340のサンプリング用血糖値データ記憶領域343に、変更前血糖値データ及び変更後血糖値データとして格納される。
サンプリング用血糖値演算手段324は、投与条件変更前及び投与条件変更後の各々について、投与条件変更前及び投与条件変更後の各々の実測血糖値に基づき、実測日後の将来(例えば実測日の翌日)における予測血糖値(サンプリング用血糖値)を演算する機能を実現する。即ち、サンプリング用血糖値演算手段324は、まず、投与条件変更前の複数日にわたって個体の血糖値を測定した場合において、各測定日の各測定時刻を血糖値測定時刻入力手段321から入力すると共に、各測定日の各測定時刻に測定した実測血糖値を変更前測定血糖値入力手段322から入力し、それらのデータに基づき、最終測定日以降の将来(例えば翌日)における前記個体の予測血糖値を、投与条件変更前のサンプリング用血糖値として演算する。同様に、サンプリング用血糖値演算手段324は、投与条件変更後の複数日にわたって個体の血糖値を測定した場合において、各測定日の各測定時刻を血糖値測定時刻入力手段321から入力すると共に、各測定日の各測定時刻に測定した実測血糖値を変更後測定血糖値入力手段323から入力し、それらのデータに基づき、最終測定日以降の将来(例えば翌日)における前記個体の予測血糖値を、投与条件変更後のサンプリング用血糖値として演算する。
糖毒性解除過程判別手段325は、変更前測定血糖値入力手段322により或いは製剤変更後測定血糖値入力手段323により血糖値が3日間以上にわたって入力されている場合において、その3日間以上にわたる測定血糖値の変化に基づき、個体の症状が糖毒性解除過程にあるか否かを判断する機能を実現する。なお、糖毒性解除過程とは、インスリン療法により血糖値を下げる過程において、インスリン製剤の使用量が減少した場合でも血糖値のコントロールを行えるようになった場合の過程(段階)をいい、インスリン感受性が向上して糖毒性が解除された場合の過程をいう。ここで、前記サンプリング用血糖値演算手段324は、前記変更前測定血糖値入力手段322または変更後測定血糖値入力手段323から、個体の実測血糖値が2日間にわたって入力された場合は、第1日目と第2日目の同一測定時刻における血糖値の平均値を、将来の同一時刻における予測血糖値(サンプリング用血糖値)として演算する(平均値演算)。また、前記サンプリング用血糖値演算手段324は、前記変更前測定血糖値入力手段322または変更後測定血糖値入力手段323から、個体の実測血糖値が3日間以上のn日間にわたって入力された場合は、前記糖毒性解除過程判別手段325の判断結果に応じて、前記平均値演算とPearson演算等の相関演算とを選択的に実行する。即ち、糖毒性解除過程判別手段325により個体の症状が糖毒性解除過程にはないと判断された場合、サンプリング用血糖値演算手段324は、上記と同様の平均値演算により、第1日目〜第n日目の同一測定時刻における血糖値の平均値を、将来の同一時刻における予測血糖値(サンプリング用血糖値)として演算する。一方、糖毒性解除過程判別手段325により個体の症状が糖毒性解除過程にあると判断された場合、サンプリング用血糖値演算手段324は、Pearson線形分析法等の相関関数を使用した相関演算により、第1日目〜第n日目の同一測定時刻における血糖値の相関値を、将来の同一時刻における予測血糖値(サンプリング用血糖値)として演算する。
HbA1c演算手段326は、朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値からなる患者の血糖値データに基づき、HbA1c(ヘモグロビンA1c)を予測演算する機能を実現する。この血糖値データとしては、投与条件変更前の実測血糖値、投与条件変更後の実測血糖値、サンプリング用血糖値演算手段324により演算した変更前投与条件によるサンプリング用血糖値、サンプリング用血糖値演算手段324により演算した変更後投与条件によるサンプリング用血糖値、または、前記本シミュレーション部400の新規血糖予測値を利用することができる。しかし、本実施の形態では、HbA1c演算手段326は、投与条件変更前のサンプリング用血糖値に基づき、投与条件変更前のHbA1cを演算すると共に、本シミュレーション部400の新規血糖予測値に基づき、新規投与条件下でのHbA1cを演算する。ここで、HbA1cは、個体の血糖値測定(採血)時より1〜2ヶ月前までの平均血糖値を示す指標であり、血糖コントロールの指標の一つとして広範に使用される。例えば、健常者(耐糖能正常者)のHbA1cは、4.3〜5.8%であり、HbA1cが6.5%以上であればほぼ糖尿病と判断される。
前記血糖値差分解析部330の変更前後血糖値差分解析手段331は、記憶手段340のサンプリング用血糖値データ記憶領域343から、投与条件変更前後における各血糖値測定時刻に対応する投与条件変更前のサンプリング用血糖値データと、投与条件変更後のサンプリング用血糖値データとをそれぞれ取得し、各血糖値測定時刻における投与条件変更前のサンプリング用血糖値と投与条件変更後のサンプリング用血糖値との差分を演算して、前記投与条件の変更に対応する血糖値差分解析データとして出力する機能を実現する。変更前後血糖値差分解析手段331が出力した血糖値差分解析データは、変更前後血糖値差分解析データとして、記憶手段340の変更前後血糖値差分解析データ記憶領域342に格納される。
前記サンプリング部350は、記憶手段340の変更前後IN流入量差分解析データ記憶領域341からインスリン流入量差分解析データを取得すると共に、変更前後血糖値差分解析データ記憶領域342から血糖値差分解析データを取得し、午前サンプリング手段351及び全日サンプリング手段352を選択的に使用して、投与条件変更前後におけるインスリン流入量の変化と血糖値の変化とを関連付けた数値データとしてのインスリン感受性データを出力する機能(サンプリング機能)を実現する。即ち、サンプリング部350は、例えば、実測血糖値の測定期間(例えば、2日または3日)にわたって、インスリン流入量差分解析データと血糖値差分解析データとを関連付けた値を演算し、その値をインスリン感受性データとして出力する。サンプリング部350は、例えば、インスリン流入量差分解析データ(特定時間帯におけるインスリン流入量の変化分(単位=U))と血糖値差分解析データ(特定時間帯の開始時から終了時までにおける血糖値の変化分(単位=mg/dl))との比を演算し、この値(単位=mg/dl/U)をインスリン感受性データとして出力する。即ち、感受性データは、血糖値差分解析データをインスリン流入量差分解析データで除算した数値データからなる。例えば、特定の単位時間または特定時間帯内において、インスリン流入量の変化分が+2単位(+2U)のときに、血糖値の変化分が−50mg/dlとなった場合、インスリン感受性データは、−50/+2=−25(mg/dl/U)となる。また、インスリン流入量の変化分が+1単位(+1U)のときに、血糖値の変化分が−50mg/dlとなった場合、インスリン感受性データは、−50/+1=−50(mg/dl/U)となる。
ここで、一般に、糖尿病患者の血糖値は、午前中に大きく変化しやすいため、個体のインスリン流入量の変化と血糖値の変化との相関を見た場合、午前中における個体のインスリン流入量の変化と血糖値の変化との間に、前記インスリン感受性データとして最も相応しい相関が見られる。よって、サンプリング部350は、通常は、午前サンプリング手段351を使用して、午前中の特定時間帯(例えば、朝8時から12時までの間)においてインスリン流入量差分解析データと血糖値差分解析データとを関連付けたインスリン感受性データを演算し、出力する。一方、糖尿病患者の血糖値が全日にわたって大きく変化するような場合等、全日(午前〜就寝前まで)における個体のインスリン流入量の変化と血糖値の変化との間に妥当な相関が見られる場合、サンプリング部350は、全日サンプリング手段352を使用して、全日の複数の特定時間帯(例えば、朝8時から12時までの間、12時から午後5時までの間、午後5時から午後11時までの間、及び、午後11時から翌朝8時までの間)のそれぞれにおいてインスリン流入量差分解析データと血糖値差分解析データとを関連付けたインスリン感受性データを演算し、出力する。そして、サンプリング部350が出力したインスリン感受性データは、記憶手段370のインスリン感受性データ記憶領域371に格納される。
デフォルトIR部360のデフォルトIR設定手段361は、前記インスリン感受性データのデフォルト値として、数値データからなる複数(例えば3つ)のデフォルトIRデータを設定し、その設定デフォルトIRデータを格納する機能を実現する。デフォルトIR設定手段361は、例えば、デフォルトIRデータとして、インスリン抵抗性の指標の一つである下記HOMO−Rの値を使用する。
HOMA−R=IRI(μU/ml)×空腹時血糖値(mg/dl)/405
なお、式中、「IRI」はブドウ糖負荷試験後の血中インスリン量(血中インスリン濃度)(単位=マイクロユニット/ミリリットル)を示す。
即ち、デフォルトIR設定手段361は、デフォルト値として、HOMA−R=1程度のインスリン抵抗性を有している個体のインスリン感受性に該当するデフォルトIRデータとしての「IR1」と、HOMA−R=3程度のインスリン抵抗性を有している個体のインスリン感受性に該当するデフォルトIRデータとしての「IR3」と、HOMA−R=5程度のインスリン抵抗性を有している個体のインスリン感受性に該当するデフォルトIRデータとしての「IR5」とを格納する。ここで、健常者は、例えば、血糖値が約90〜100mg/dlで血中インスリン量が約4〜5μU/ml程度であり、HOMA−R=1程度となる。また、インスリン抵抗性を有する糖尿病患者は、これよりも高い値を示す。例えば、境界型の人(糖負荷試験で、糖尿病にも正常型にも属さない血糖値を示す人)は、血糖値が約120mg/dlで血中インスリン量が約12μU/ml程度であり、HOMA−R=3程度となる。更に、重症の糖尿病患者は、インスリン抵抗性がHOMA−R=5程度となる。したがって、本実施の形態では、デオフォルト値としてのIR1は、HOMA−R=1程度のインスリン抵抗性を有している個体の場合のインスリン感受性データに該当し、IR3は、HOMA−R=3程度のインスリン抵抗性を有している個体の場合のインスリン感受性データに該当し、IR5は、HOMA−R=5程度のインスリン抵抗性を有している個体の場合のインスリン感受性データに該当する。即ち、IR1からIR5へと行くにしたがって、インスリン抵抗性が大きくなり、インスリン感受性が低くなる。
デフォルトIR設定手段361は、デフォルト値として、例えば、前記インスリン感受性データに対応して、第1のパターン(IR1=−92前後、IR3=−46前後、IR5=−23前後)、或いは、第2のパターン(IR1=−34前後、IR3=−17前後、IR5=−13前後)の値を用意する。ここで、前記第1のパターンのデフォルトIRは、食間の特定時間における血糖値を予測する場合のインスリン感受性データとして使用する。例えば、朝食時から午前10時までにどの程度血糖値が増減するか、或いは、昼食時から午後3時までに血糖値がどの程度増減するかを予測したい場合に、第1のパターンを使用する。一方、前記第2のパターンのデフォルトIRは、食前の血糖値を予測する場合のインスリン感受性データとして使用する。例えば、朝食時から昼食時までにどの程度血糖値が増減するか、或いは、昼食時から夕食時までに血糖値がどの程度増減するかを予測したい場合に、第1のパターンを使用する。
デフォルトIR部360のデフォルトIR選択手段362は、デフォルトIR設定手段が設定したデフォルトIRデータのうち、個体差に応じて適当と思われるデフォルトIRデータを、医師等の本投薬支援装置の使用者(ユーザ)が選択するための機能を実現する。通常は、糖尿病治療の専門知識を有する医師が、診察所見により、患者の個体差を考慮して、適当と思われるデフォルトIRを選択する。即ち、個体の実測血糖値が利用できない場合、例えば、投与条件変更前の実測血糖値は存在するものの、投与条件変更後の実測血糖値が存在しない場合は、サンプリング部350からインスリン感受性データを出力することができない。よって、この場合、デフォルトIR部360により、デフォルトIRデータを出力し、サンプリング部350からのインスリン感受性データの代わりに使用するようになっている。デフォルトIR部360が出力したデフォルトIRデータは、記憶手段370のデフォルトIRデータ記憶領域372に格納される。
前記血糖値グラフ描画部380の血糖値推移グラフ描画手段383は、時間軸をx軸とし、血糖値(mg/dl)をy軸として、時間の経過に対する個体の血糖値の推移を示す血糖値推移グラフを、表示部(ディスプレイ)390に描画して視覚情報として出力するための機能を実現する。また、血糖値推移グラフ描画手段383により描画した血糖値推移グラフ上の任意の点(ポイント)にカーソルを合わせるだけで、その点に対応する時刻における血糖値を表す数字が、血糖値推移グラフの近傍位置に表示されるようになっている。表示日数切替手段384は、前記血糖値推移グラフ描画手段383を用いて表示部390に描画した血糖値推移グラフの表示日数を変更する機能を実現する。そして、表示日数切替手段384により血糖値推移グラフの表示日数を、1日表示、2日表示、3日表示、4日表示等、適宜変更することで、前記インスリン流入量グラフ描画部260によるインスリン流入量推移グラフの表示日数に合わせて血糖値推移グラフの表示日数を変更し、インスリン作用により生じる個体の血糖値の長時間にわたる変化を一覧で(一見して)確認することができるようになっている。これにより、持続型インスリン製剤、中間型インスリン製剤等のインスリン製剤を投与した場合に、その長期間に渡る影響(インスリン作用)を一覧で確認することができるようになっている。
なお、血糖値グラフ描画部380の目標血糖値範囲設定手段381は、前記血糖値推移グラフに、インスリン療法による目標血糖値範囲を設定して血糖値推移グラフ描画手段383に出力する機能を実現する。そして、目標血糖値範囲設定手段381から入力された血糖値目標範囲に従い、血糖値推移グラフ描画手段383が描画する血糖値推移グラフに対応して、前記血糖目標範囲が、例えば破線や一点鎖線等により範囲表示される。表示項目切替手段382は、血糖値推移グラフ描画手段383による描画項目を切替える機能を実現する。即ち、本投薬支援装置の使用者は、表示項目切替手段382により、投与条件変更前の個体の血糖値、投与条件変更後の個体の血糖値及び前記本シミュレーション部400による新規投与条件採用後の新規血糖予測値(本シミュレーション値)のいずれか1以上を、血糖値推移グラフの表示項目として選択自在である。そして、表示項目切替手段382により選択された1以上の表示項目が、血糖値推移グラフ描画手段383により描画され、表示部390に表示される。
1−4.本シミュレーション部
図4は本発明の実施の形態1に係る投薬支援装置の本シミュレーション部のシステム構成の詳細を示す機能ブロック図である。
本シミュレーション部400は、新規製剤投与条件入力部410と、経口摂取量入力部420と、新規インスリン(IN)流入量シミュレーション(SIM)部430と、経口摂取量変換部440と、記憶手段450と、血糖値予測部460と、血糖予測値データ記憶手段470と、グラフ描画部480と、表示部490とを含む。詳細には、図4に示すように、新規製剤投与条件入力部410は、新規単発製剤投与条件入力手段411と、新規持続製剤投与条件入力手段412とを有する。また、経口摂取量入力部420は、各回食事・間食時間入力手段421と、各回食事量入力手段422と、各回間食種類・カロリー入力手段423とを有する。更に、新規IN流入量SIM部430は、新規製剤毎単位時間流入量演算手段431と、単位時間総インスリン(IN)流入量演算手段432とを有する。また、経口摂取量変換部440は、各回食事・間食反映血糖値演算手段としての経口摂取変換演算手段442を有する。更に、記憶手段450は、新規インスリン(IN)流入量時系列データ記憶領域451と、食事・血糖値変換テーブル452と、経口摂取量変換データ記憶領域453とを有する。また、血糖値予測部460は、新規血糖値予測演算手段461を有する。更に、グラフ描画部480は、目標血糖値範囲設定手段481と、表示項目切替手段482と、推移グラフ描画手段483と、表示日数切替手段484とを有する。
新規単発製剤投与条件入力部410は、インスリン療法で現在使用されているインスリン製剤の投与条件(変更前投与条件)と異なる、本シミュレーション用の別の投与条件(新規投与条件)を指定して入力する機能を実現するものであり、入力されるデータが投与条件変更前のものから新規投与条件用のものとなることを除いて、基本的に、前記変更前投与条件入力部210と同様の構成とすることができる。具体的には、新規単発製剤投与条件入力部410の新規単発製剤投与条件入力手段411は、図示はしないが、前記変更前投与条件入力部210の投与時刻設定手段211と同様の投与時刻設定手段、変更前単発製剤種類選択手段212と同様の新規単発製剤種類選択手段、変更前単発製剤投与量選択手段214と同様の新規単発製剤投与量選択手段とを有する。そして、新規単発製剤投与条件入力手段411は、新規投与条件下における単発インスリン製剤の投与時刻並びに投与時刻毎の種類及び投与量を、直接入力等により入力する機能を実現する。一方、新規持続製剤投与条件入力手段412は、図示はしないが、前記変更前投与条件入力部210の投与時刻設定手段211と同様の投与時刻設定手段、変更前持続製剤種類選択手段213と同様の新規持続製剤種類選択手段、変更前持続製剤投与量選択手段215と同様の新規持続製剤投与量選択手段とを有する。そして、新規持続製剤投与条件入力手段412は、新規投与条件下における持続インスリン製剤の投与時刻並びに投与時刻毎の種類及び投与量を、直接入力等により入力する機能を実現する。
新規IN流入量SIM部430の新規製剤毎単位時間流入量演算手段431は、前記変更前IN流入量SIM部230の製剤毎単位時間流入量演算手段232と同様にして、新規投与条件下において単位時間内に個体の血中へ流入するインスリン量をシミュレーション演算する機能を実現する。即ち、新規製剤毎単位時間流入量演算手段431は、図示はしないが、前記変更前IN流入量SIM部230の製剤毎特性取得手段231と同様の特性取得手段と、製剤毎単位時間流入量演算手段232と同様の製剤毎単位時間流入量演算手段とを有する。そして、新規製剤毎単位時間流入量演算手段431は、まず、単発製剤について、新規投与条件下における各単発インスリン製剤の製剤特性、投与時刻及び投与量に基づき、各単発インスリン製剤について、単位時間内に個体の血中へ流入するインスリン量をシミュレーション演算する。同様に、新規製剤毎単位時間流入量演算手段431は、持続製剤についても、新規投与条件下における持続インスリン製剤の製剤特性、投与時刻及び投与量に基づき、持続インスリン製剤について、単位時間内に個体の血中へ流入するインスリン量をシミュレーション演算する。更に、単位時間総IN流入量演算手段432は、前記単位時間総IN流入量演算手段233と同様にして、新規投与条件下における単位時間総IN流入量を演算する機能を実現する。即ち、単位時間総IN流入量演算手段432は、各単発インスリン製剤についての単位時間毎の血中インスリン流入量と、持続インスリン製剤についての単位時間毎の血中インスリン流入量とを新規製剤毎単位時間流入量演算手段431から取得し、各単位時間において個体の血中へ流入する単位時間当り総インスリン流入量へと変換演算する。
経口摂取量入力部420の各回食事・間食時間入力手段421は、個体(患者)の毎回の食事時間(朝食、昼食、夕食、夜食の時間)や間食時間を入力する機能を実現する。本投薬支援装置のユーザは、各回食事・間食時間入力手段421により、前記時間データを、例えば、直接入力機能と、1時間単位の時刻入力を可能にしたスピンボタン入力機能と、30分単位での食事・間食時間の入力を可能にするリストボックス入力機能とを選択的に使用して入力自在である。また、各回食事量入力手段422は、各回の食事量を、例えば、直接入力機能とリストボックス入力機能とを選択的に使用して入力する機能を実現する。各回食事量入力手段422のリスト表示内容としては、例えば、食事療法における指示エネルギー量(kcal)に対する実際の摂取エネルギー量の割合を、「0%」、「10−30%」、「40−60%」、「70−100%」、「110−130%」等として表示するようにしてもよい。各回間食種類・カロリー入力手段423は、各回の間食の種類およびカロリー(エネルギー量)を、例えば、直接入力機能とリストボックス入力機能とを選択的に使用して入力する機能を実現する。各回間食種類・カロリー入力手段423のリスト表示内容としては、例えば、「パン40Kcal」、「ミルク40Kcal」、「クッキー80Kcal」、「ジュース80Kcal」等、間食の種類とそのカロリーとを合せて表示するようにしてもよい。
経口摂取量変換部440の経口摂取量変換演算手段442は、各回食事・間食時間入力手段421から食事・間食時間データを、各回食事量入力手段422から食事量(エネルギー量)データを、各回間食種類・カロリー入力手段423から間食カロリー(エネルギー量)データを取得し、経口摂取量の変化分(各回の食事や間食によるエネルギー量の変化分)に対応して増加する個体の血糖値の変化分乃至上昇分(反映血糖値)を演算する機能を実現する。このとき、経口摂取量変換演算手段442は、記憶手段450の食事・血糖値変換テーブル452を参照して、入力された食事量(エネルギー量)や間食量(エネルギー量)に対応する血糖値の変化量を取得することにより、前記反映血糖値への変換演算を行う。そして、経口摂取量変換演算手段442は、その反映血糖値を、食事・間食時間と関連付けて経口摂取量変換データを作成し、その経口摂取量変換データを記憶手段450の経口摂取量変換データ記憶領域453に出力して格納する。
なお、経口摂取量入力部420及び経口摂取量変換部430は以下のように変更することもできる。即ち、経口摂取量入力部420において、各回食事量入力手段421の代わりに、各回の食事の種類及び量(ご飯1杯、味噌汁1杯等)を入力する各回食事種類・量入力手段を設けると共に、各回間食種類・カロリー入力手段の代わりに、各回の間食の種類及び量(クッキー1枚、牛乳1杯等)を入力する各回間食種類・量入力手段を設ける。また、経口摂取量変換部440においては、更に、各回食事・間食カロリー演算手段441を設ける。また、経口摂取量入力部420の各回食事種類・量入力手段や各回間食種類・量入力手段から入力した食事や間食の種類及び量に基づき、各回食事・間食カロリー演算手段441が、各回の食事や間食のエネルギー量を演算するようにする。こうすれば、食事や間食の種類及び量を入力するだけで、各回食事・間食カロリー演算手段441を用いて、食事や間食の摂取量(エネルギー量)の演算を簡単に行うことができる。なお、各回食事・間食カロリー演算手段441で演算したエネルギー量は、上記と同様、経口摂取量変換演算手段442に入力され、食事・血糖値変換テーブル452に基づいて、前記参考血糖値が演算される。
血糖値予測部460の新規血糖値予測演算手段461は、前記新規IN流入量時系列データと、前記経口摂取量変換データと、前記インスリン感受性データとに基づき、新規投与条件下における予測血糖値を予測演算する機能を実現する。即ち、新規血糖値予測演算手段461は、まず、解析部300の記憶手段370からインスリン感受性データを取得すると共に、記憶手段450から新規IN流入量時系列データを取得し、新規投与条件下のインスリン流入量の変化分による血糖値の変化分を、前記インスリン感受性データを反映するよう演算し、一次血糖予測値データ(インスリン反映血糖予測値)を得る。具体的には、前記インスリン感受性データが、血糖値差分解析データ(単位時間における血糖値の変化分)をインスリン流入量差分解析データ(同一単位時間内におけるインスリン流入量の変化分)で除算した数値データからなるため、新規血糖値予測演算手段461は、特定の単位時間内の新規IN流入量差分解析データ(特定の単位時間内におけるIN流入量の変化分)に、その特定単位時間内で使用されるインスリン感受性データを乗算して、一次血糖予測値データを算出する。例えば、特定の単位時間内における新規インスリン流入量差分解析データ(インスリン流入量の変化分)が+2(U/hr)であり、その単位時間に対応するインスリン感受性データが−25(mg/dl/U)である場合、新規血糖値予測演算手段461は、一次血糖予測値データとして、+2×−25=−50(mg/dl)を出力する。この場合、新規投与条件を採用することにより、前記特定時間内において2単位(u)のインスリンが個体の血中に流入し、これにより、前記特定時間内において血糖値が50(mg/dl)低下することを意味する。
更に、新規血糖値予測演算手段461は、記憶手段450から経口摂取量変換データ(反映血糖値データ)を取得し、その値を前記一次血糖予測値データに反映して、二次血糖予測値データ(経口摂取反映血糖予測値データ)を演算する。即ち、新規血糖値予測演算手段461は、特定の時間帯に対応して算出した前記一次血糖予測値データ(mg/dl)に、同一の特定時間帯に対応する経口摂取量変換データ(mg/dl)を積算し、二次血糖予測値データを算出する。例えば、一次血糖予測値データが−50(mg/dl)であり、経口摂取量変換データが+20mg/dlの場合、二次血糖予測値データ=−50+20=−30(mg/dl)となる。そして、新規血糖値予測演算手段461が出力した最終的に血糖予測値データとしての二次血糖予測値データは、血糖予測値データ記憶手段470に格納される。
前記グラフ描画部480は、前記インスリン流入グラフ描画部260の機能と、血糖値グラフ描画部380の機能とを合わせて実現するものである。即ち、グラフ描画部480は、インスリン流入グラフ描画部260と同様にして、新規投与条件下におけるインスリン流入量推移グラフを描画すると共に、血糖値グラフ描画部380と同様にして、新規投与条件下における血糖値推移グラフを描画し、表示部490がそのインスリン流入量推移グラフ及び血糖値推移グラフを表示する。このとき、グラフ描画部480は、血糖値グラフ描画部380と同様、目標血糖値範囲設定手段481により目標血糖値範囲を設定して、血糖値推移グラフに合わせて表示したり、表示項目切替手段482により表示項目を切替えたりすることができる。更に、グラフ描画部480は、インスリン流入グラフ描画部260または血糖値グラフ描画部380と同様、表示日数切替手段484によりインスリン流入量推移グラフや血糖値推移グラフの表示日数を切替えることができる。
1−5.補助部
図5は本発明の実施の形態1に係る投薬支援装置の補助部のシステム構成の詳細を示す機能ブロック図である。
補助部500は、投薬支援データ記録手段510と、投薬支援データ記憶手段511と、設定値繰上手段512と、設定値繰下手段513と、相談・問合せ手段514と、通信手段515と、糖尿病型選択手段520と、警告手段521と、画面拡大縮小手段522と、低血糖判定手段523と、低血糖警告手段524と、表示部525とを含む。
投薬支援データ記録手段510は、本投薬支援装置の使用者が入力した投薬支援データ(インスリン製剤の投与条件、測定血糖値、インスリン感受性データの種別(午前サンプリングデータ、全日サンプリングデータ、デフォルトIRデータのいずれか等))を記録する機能を実現し、その投薬支援データを投薬支援データ記憶手段511に格納する。また、設定値繰上手段512及び設定値繰下手段513は、それぞれ、本投薬支援装置の使用時に、投与条件変更前の設定値入力欄(変更前投与条件入力部210の製剤種類、投与時刻、投与量の各入力欄、血糖値入力・演算部320の変更前血糖値、測定時刻の各入力欄等)に入力した設定値(投与条件の各入力データ及び血糖値データ等)を、投与条件変更後の対応する設定値入力欄(変更後投与条件入力部220の製剤種類、投与時刻、投与量の各入力欄、血糖値入力・演算部320の変更後血糖値、測定時刻の各入力欄等)に自動的に入力したり(繰上処理)、その繰上処理した設定値を再度投与条件変更前の設定値入力欄に自動的に入力したり(繰下処理)する機能を実現する。即ち、設定値繰上手段512及び設定値繰下手段513は、それぞれ、投薬支援データ記憶手段511に記憶されている投薬支援データを用いて、前記設定値の入力欄への入力を簡単に行えるようにする。更に、相談・問合せ手段514は、通信手段515からインターネット等のネットワークを介して、専門医のコンピュータ516に相談や問合せをする機能を実現する。即ち、相談・問合せ手段514は、投薬支援データ記憶手段511から投薬支援データを取得し、その投薬支援データを専門医のコンピュータ516に格納した本実施の形態の投薬支援装置に転送する。すると、専門医のコンピュータ516に格納した本実施の形態の投薬支援装置が、転送された投薬支援データを使用した血糖予測値のシミュレーションを行う。これにより、専門医でない医師等が、自身が行ったインスリン製剤の投与条件による血糖予測値のシミュレーションが妥当か否かについて、専門医の判断を仰ぐことができる。また、専門医が、自身のコンピュータ516の投薬支援装置により新たな投与条件を設定し、その投与条件の投薬支援データを相談した側の使用者に転送することもできる。このように、相談・問合せ手段514によれば、近い将来予想されるインターネット経由での病院連携や、遠隔地の患者への相談を容易に実現することができる。
糖尿病型選択手段520は、本投薬支援装置の使用者の糖尿病の型(1型、2型等)を選択する機能を実現する。使用者が、糖尿病型選択手段520により、例えば、糖尿病の型として1型を選択した場合、糖尿病型選択手段520からの入力により、警告手段521が所定の警告メッセージを表示部525に表示する機能を実現する。例えば、1型糖尿病は、個体のインスリンの基礎分泌が完全に枯渇したものであるため、コンピュータを使用した投薬支援には相当の注意を要する。よって、このような場合に、本投薬支援装置では、警告手段521により、シミュレーションに相当の注意を要する旨の警告メッセージを表示して、使用者の注意を促すことができる。また、画面拡大縮小手段522は、表示部525の画面表示を拡大・縮小する機能を実現する。なお、画面拡大縮小手段522のこの機能は、合併症などにより視力の低下した糖尿病患者等、使用者への視覚情報の視認性を高めるためのものである。更に、低血糖判定手段523は、血糖予測値データ記憶手段470の血糖予測値データを参照し、血糖予測値が低血糖状態となったか否か、例えば、70mg/dl以下となったか否かを判断する機能を実現する。低血糖判定手段523により血糖予測値が低血糖値であると判定された場合、低血糖判定手段523からの入力により、低血糖警告手段524が所定の警告メッセージを表示部525に表示する機能を実現する。例えば、低血糖警告手段524は、低血糖の恐れがある場合、インスリン投与について改善を促す経口メッセージを表示部525に表示する。
2.ユーザインタフェイス
2−1.全体画面構成
次に、本実施の形態の投薬支援装置のユーザインタフェイス(操作画面)について図6図10に従って説明する。図6は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイス例の全体画面構成を示す説明図である。図7は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイスの製剤登録部及び投与条件入力部等を示す説明図である。図8は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイスの血糖値情報入力部及び経口摂取情報入力部等を示す説明図である。図9は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイスのグラフ表示部を示す説明図である。図10は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイスの入力データ表示部を示す説明図である。
本実施の形態の投薬支援装置は、例えば、図6〜図9に示すユーザインタフェイス(UI)を作成してディスプレイに表示するためのUI作成手段を備える。図6に示すように、本実施の形態の投薬支援装置のユーザインタフェイスは、製剤情報入力部(図7)と、血糖値情報入力部(図8)と、グラフ表示部(図9)とを備える。なお、本実施の形態の投薬支援装置は、前記ユーザインタフェイスの近傍位置に入力データ表示部(図10)を表示するようにしてもよい。
2−2.製剤情報入力部詳細
図7に詳細に示すように、製剤情報入力部は、製剤登録部、投与条件入力部等を含む。製剤登録部は、前記予備シミュレーション部100の製剤登録部110の単発製剤情報登録部110に対応して設けられるものであり、単発製剤登録部1110からなる。単発製剤登録部1110は、超速効型単発IN製剤(Short)、速効型単発IN製剤(Regular)、中間型単発IN製剤(NPH)及び持続型単発IN製剤(Long)の4種類の単発インスリン製剤について、その特性を登録するようになっている。本実施の形態では、単発製剤登録部1110により各種類の単発IN製剤の作用持続時間を直接テキスト入力、スピンボタン、リストボックス等により入力すると、前記単発製剤登録部110が、設定された製剤種類及び作用持続時間の各データに基づき、対応する各種類の単発IN製剤のその他の特性を図示しない特性テーブルから取得して、各種類の単発IN製剤の全ての製剤特性データを記憶手段130に登録するようになっている。このとき、最大作用時間については、作用持続時間から自動的に概略値を演算すると共に、吸収曲線については、簡単なモデル式を利用して描画する。なお、単発製剤登録部1110により各種類の単発IN製剤の作用持続時間を直接入力する場合において、その型の単発インスリン製剤により特定される作用持続時間の範囲外の作用時間を入力すると、製剤登録部110がエラーメッセージを表示し、正しい入力を求めるようになっている。なお、本実施の形態では、持続製剤(CSII)用の製剤登録部は設けていないが、単発製剤の場合と同様にして、予備シミュレーション部100の製剤登録部110の持続製剤情報登録部120に対応して設けてもよい。
投与条件入力部は、変更前投与条件入力部1210と、変更後投与条件入力部1220とを含む。変更前投与条件入力部1210は、投与時刻設定部1211と、変更前単発製剤種類選択部1212と、変更前単発製剤投与量選択部1214と、変更前持続製剤投与量選択部1215とを有する。また、変更後投与条件入力部1220は、投与時刻設定部1221と、変更後単発製剤種類選択部1222と、変更後単発製剤投与量選択部1224と、変更後持続製剤投与量選択部1225とを有する。ここで、変更前投与条件入力部1210は、前記予備シミュレーション部200の変更前投与条件入力部210に対応して設けられるものである。即ち、投与時刻設定部1211は、1日5回までのインスリン製剤投与に対応できるよう、5つの時刻設定部を有し(図7では「7(時)」、「12(時)」、「18(時)」、「20(時)」、「1(時)」を表示)、使用者が投与時刻設定部1211の各時刻設定部に所望の時刻を選択入力することにより、前記投与時刻設定手段211が各時刻設定部に対応して投与時刻を設定する。また、変更前単発製剤種類選択部1212は、投与時刻設定部1211の各時刻設定部に対応して設けた5つの種類選択部を有し、使用者が変更前単発製剤種類選択部1212の各種類選択部に所望の製剤種類を選択入力することにより、前記変更前単発製剤種類選択手段212が各投与時刻に対応して製剤種類を設定する。更に、変更前単発製剤投与量選択部1214は、変更前単発製剤種類選択部1212の各種類選択部に対応して設けた5つの投与量選択部を有し、使用者が変更前単発製剤投与量選択部1214の各投与量選択部に所望の投与量(U/hr)を選択入力することにより、前記変更前単発製剤投与量選択手段214が各投与時刻における投与単発製剤の投与量を設定する。また、変更前持続製剤投与量選択部1215は、投与時刻設定部1211の各時刻設定部に対応して設けた5つの投与量選択部を有し、使用者が変更前持続製剤投与量選択部1215の各投与量選択部に所望の投与量(例えば、0.1U/hr)を選択入力することにより、前記変更前持続製剤投与量選択手段215が各投与時刻における投与持続製剤の投与量を設定する。
一方、変更後投与条件入力部1220は、前記予備シミュレーション部200の変更後投与条件入力部220に対応して設けられるものであり、変更前投与条件入力部1210と同様の構成である。即ち、投与時刻設定部1221は、投与時刻設定部1211と同様、5つの時刻設定部を有し、使用者が各時刻設定部に所望の時刻を選択入力することにより、前記投与時刻設定手段221が各時刻設定部に対応して投与時刻を設定する。また、変更後単発製剤種類選択部1222は、変更前単発製剤種類選択部1212と同様、5つの種類選択部を有し、使用者が各種類選択部に所望の製剤種類を選択入力することにより、前記変更後単発製剤種類選択手段222が各投与時刻に対応して製剤種類を設定する。更に、変更後単発製剤投与量選択部1224は、変更前単発製剤投与量選択部1214と同様、5つの投与量選択部を有し、使用者が各投与量選択部に所望の投与量(U/hr)を選択入力することにより、前記変更後単発製剤投与量選択手段224が各投与時刻における投与単発製剤の投与量を設定する。また、変更後持続製剤投与量選択部1225は、変更前持続製剤投与量選択部1215と同様、5つの投与量選択部を有し、使用者が各投与量選択部に所望の投与量(例えば、0.1U/hr)を選択入力することにより、前記変更後持続製剤投与量選択手段225が各投与時刻における投与持続製剤の投与量を設定する。なお、図6及び図7のユーザインタフェイスでは、単一の種類の持続製剤のみを使用する前提であるため、前記変更前持続製剤種類選択手段213及び変更後持続製剤種類選択手段223に対応する選択部は設けていない。
ここで、変更前単発製剤種類選択部1212及び変更後単発製剤種類選択部1222は、それぞれ、名称入力リストボックスのリスト表示内容として、「Lispro」、「R」、「50R」、「40R」、「30R」、「20R」、「10R」、「N」、「Glargine」等の製剤名称を有している。単発インスリン製剤は、作用時間(作用発現時間、最大作用時間、作用持続時間)の違いによって、上記のように、超速効型、速効型、中間型、混合型、持続型の5種類があり、「Lispro」は超速効型インスリン製剤、「R」は速効型インスリン製剤、「N」は中間型インスリン製剤、「Glargine」は持続型インスリン製剤の名称である。また、「50R」、「40R」等は、混合型インスリン製剤を表し、例えば「40R」は、40%が速効型インスリン製剤(R)で60%が中間型インスリン製剤(N)である混合型インスリン製剤を表している。なお、変更前投与条件入力部1210及び変更後投与条件入力部1220の各時刻設定部1211,1221は、投与時刻入力を簡単に行えるよう1時間単位での入力を可能にするスピンボタンと、投与時刻を直接入力できるテキストボックスと、30分単位で投与時刻の入力を可能にする選択・入力リストボックスとを有している。また、変更前単発製剤種類選択部1212及び変更後単発製剤種類選択部1222は、それぞれ、単発製剤名称を直接入力できるテキストボックスと、単発製剤名称の入力を選択・入力可能にするリストボックスとを有している。更に、変更前単発製剤投与量選択部1214及び変更後単発製剤投与量選択部1224は、それぞれ、単発製剤投与量を直接入力できるテキストボックスと、単発製剤投与量の入力を簡単にするスピンボタンとを有している。また、変更前持続製剤投与量選択部1215及び変更後持続製剤投与量選択部1225は、それぞれ、持続製剤投与量を直接入力できるテキストボックスと、持続製剤投与量の入力を簡単にするスピンボタンとを有している。
更に、午前サンプリング開始部1351は、(前記サンプリング部351の午前サンプリング手段351に対応して設けられる(処理開始用の)ボタンである。そして、午前サンプリング開始部1351をクリックする等して選択実行することにより、午前サンプリング手段351がそのサンプリング機能を開始する。また、全日サンプリング開始部1352は、前記サンプリング部351の全日サンプリング手段352に対応して設けられる(処理開始用の)ボタンである。そして、全日サンプリング開始部1352をクリックする等して選択実行することにより、全日サンプリング手段352がそのサンプリング機能を開始する。更に、デフォルトIR選択部1362は、前記デフォルトIR部360のデフォルトIR選択手段361に対応して設けられる。デフォルトIR選択部1362は、「IR1」、「IR3」及び「IR5」の3種類の(処理開始用の)ボタンを有している。そして、デフォルトIR選択部1362のいずれかのボタンをクリックする等して選択実行することにより、デフォルトIR選択手段361が対応するデフォルトIRデータを出力する。
設定値繰上開始部1512は、前記補助部500の設定値繰上手段512に対応して設けられる(処理開始用の)ボタンである。そして、設定値繰上開始部1512をクリックする等して選択実行することにより、設定値繰上手段512がその設定値繰上機能を開始する。また、設定値繰下部1513は、前記補助部500の設定値繰下手段513に対応して設けられる(処理開始用の)ボタンである。そして、設定値繰下開始部1513をクリックする等して選択実行することにより、設定値繰下手段513がその設定値繰下機能を開始する。更に、相談・問合せ開始部1514は、前記補助部500の相談・問合せ手段514に対応して設けられる(処理開始用の)ボタンである。そして、相談・問合せ開始部1514をクリックする等して選択実行することにより、相談・問合せ手段514がその相談・問合せ機能を開始する。また、糖尿病型選択部1520は、前記補助部500の糖尿病型選択手段520に対応して設けられる(処理開始用の)ボタンである。そして、糖尿病型選択部1520のチェックボックスをチェックした状態で、糖尿病型選択部1520をクリックする等して選択実行することにより、糖尿病型選択手段520が糖尿病型が1型である旨のデータ出力を前記警告手段521に出力する。更に、低血糖判定開始部1523は、前記補助部の低血糖判定手段523に対応して設けられる(処理開始用の)ボタンである。そして、をクリックする等して選択実行することにより、低血糖判定手段523がその低血糖判定機能を開始する。
2−3.血糖値情報入力部詳細
図8に示すように、血糖値情報入力部は、血糖値測定時刻設定部1321と、変更前測定血糖値入力部1322と、変更後測定血糖値入力部1323と、サンプリング用血糖値表示部1324と、HbA1c表示部1326と、目標血糖値範囲設定部1381とを含む。血糖値測定時刻設定部1321は、前記血糖値入力・演算部320の血糖値測定時刻入力手段321に対応して設けられ、使用者が、直接入力、1時間単位の時間入力を可能にするスピンボタン入力、血糖値測定時刻を30分単位で入力できるリストボックス入力等により、任意の時刻を設定自在となっている。図8では、血糖値測定時刻設定部1321は、1日8回までの時刻設定を行えるよう、8つの時刻設定部を有している(図8では「7(時)」、「10(時)」、「13(時)」、「15(時)」、「18(時)」、「22(時)」、「24(時)」、「3(時)」を表示)。そして、使用者が血糖値測定時刻設定部1211の各時刻設定部に所望の時刻を選択入力することにより、前記血糖値測定時刻入力手段321が各時刻設定部に対応して投与時刻を設定する。変更前測定血糖値入力部1322は、前記血糖値入力・演算部320の変更前測定血糖値入力手段322に対応して設けられている。変更前測定血糖値入力部1322は、3日間(1日目(Day1)、2日目(Day2)及び3日目(Day3))の測定血糖値入力欄を有している。そして、使用者が、直接入力等により、変更前測定血糖値入力部1322の各日付の各測定血糖値入力欄における各測定時刻部分に任意の数値を入力することにより、前記変更前測定血糖入力手段322が、各測定日の各測定時刻に対応して、その入力数値を出力するようになっている。また、変更後測定血糖値入力部1323は、変更前測定血糖値入力部1322と同様、血糖値入力・演算部320の変更後測定血糖値入力手段323に対応して設けられ、3日間(4日目(Day4)、5日目(Day5)及び6日目(Day6))の測定血糖値入力欄を有している。そして、使用者が、直接入力等により、変更後測定血糖値入力部1323各日付の各測定血糖値入力欄における各測定時刻部分に任意の数値を入力することにより、前記変更後測定血糖入力手段323が、各測定日の各測定時刻に対応して、その入力数値を出力するようになっている。即ち、本実施の形態では、製剤の投与条件変更前において、変更前測定血糖値入力部1322を使用して最高3日間(1日目〜3日目)の実測血糖値を入力すると共に、製剤の投与条件変更後において、変更後測定血糖値入力部1323を使用して最高3日間(4日目〜6日目)の実測血糖値を入力する。
サンプリング用血糖値表示部1324は、血糖値入力・演算部320のサンプリング用血糖値演算手段324に対応して設けられる。サンプリング用血糖値表示部1324は、前記サンプリング用血糖値演算手段324の演算結果、即ち、変更前測定血糖値入力部1322の入力値に対応するサンプリング用血糖値と、変更後測定血糖値入力部1323の入力値に対応するサンプリング用血糖値とを、それぞれ、前記測定血糖値が入力された測定時刻の最下欄に表示するようになっている。また、HbA1c表示部1326は、血糖値入力・演算部320のHbA1c演算手段326に対応して設けられる。HbA1c表示部1326は、HbA1c演算手段326の演算結果、即ち、変更前測定血糖値入力部1322の入力値に対応するHbA1cの値(図8では9.2)と、前記血糖予測値データ記憶手段470の血糖予測値に対応するHbA1cの値(図8では7.7)とを、それぞれ表示するようになっている。更に、目標血糖値範囲設定部1381は、血糖値グラフ描画部380の目標血糖値範囲設定手段381に対応して設けられる。目標血糖値範囲設定部1381は、目標血糖値の中心値(図8では「150(mg/dl)」)と、その中心血糖値から上下に設定される目標範囲(図8では「±50(mg/dl)」とを、それぞれ、直接入力、スピンボタン入力等により入力自在となっている。そして、目標血糖値範囲設定部1381により設定された目標範囲が、目標血糖値範囲設定手段381により血糖値推移グラフに表示される。
血糖値情報入力部は、更に、各回食事量入力部1422と、各回間食種類・カロリー入力部1423と、血糖予測値表示部1460とを含む。各回食事量入力部1422は、前記経口摂取量入力部420の各回食事量入力手段422に対応して設けられる。各回食事量入力部1422は、前記血糖値測定時刻設定部321における朝食、昼食、夕食及び夜食の各設定時刻に対応する位置に、それぞれ設けられている。また、各回食事量入力部1422は、食事療法において指示された各回の食事量に対する実際の経口摂取量の比を表す値を、リストボックス入力等により入力自在となっている(例えば、Breakfast(朝食)40〜60%)。そして、各回食事量入力手段422が各回食事量入力部1422による入力値を出力する。本実施の形態では、各回食事量入力部1422は、「0%」、「10−30%」、「40−60%」、「70−100%」、「110−130%」等のリスト表示等により毎回の食事量の入力を行うようになっている。
一方、各回間食種類・カロリー入力部1423は、前記経口摂取量入力部420の各回間食種類・カロリー入力手段423に対応して設けられる。各回間食種類・カロリー入力部1423は、前記血糖値測定時刻設定部321における朝昼食間、昼夕食間及び夕夜食間、及び夜食後の各設定時刻に対応する位置に、それぞれ設けられている。また、各回間食種類・カロリー入力部1423は、間食として考えられる食品の種類と、その間食の予想カロリーとを、リストボックス入力等により入力自在となっている(例えば、cookie 80kcal)。そして、各回間食種類・カロリー入力手段423が各回間食・カロリー入力部1423による入力値を出力する。本実施の形態では、各回間食種類・カロリー入力部1423は、間食種類・カロリーのリスト表示内容として、「milk 40Kcal」、「bread 40Kcal」、「juice 80Kcal」「cookie 80Kcal」等を有している。血糖予測値表示部1460は、血糖値予測部460に対応して設けられる。血糖予測値表示部1460は、血糖値予測部460の新規血糖値予測演算手段461の演算結果、即ち、血糖予測値データを、投与条件変更前後の測定血糖値が入力された測定時刻の最下欄に対応して表示するようになっている。
図9に示すように、グラフ表示部は、インスリン推移グラフ表示部1270と、血糖推移グラフ表示部1390と、感受性データ種類表示部1365とを含む。前記インスリン推移グラフ表示部270は、前記予備シミュレーション部200の表示部270と本シミュレーション部400の表示部490とを兼用する。即ち、インスリン推移グラフ表示部1270は、予備シミュレーション部200のIN流入量推移グラフ描画手段261の出力データに基づき、インスリン製剤の投与により個体の体内に流入する(吸収される)インスリンの推移を、投与条件変更前後のそれぞれにおいて、時系列で(経時的に)グラフ表示する。また、インスリン推移グラフ表示部1270は、本シミュレーション部400の推移グラフ描画手段483のインスリン用出力データに基づき、新規投与条件下におけるインスリン製剤の投与により個体の体内に流入するインスリンの推移を、時系列でグラフ表示する。図9では、インスリン推移グラフ表示部1270は、横軸(X軸)に時間(時)を、縦軸(Y軸)に単位時間当たりインスリン流入量(インスリン流入速度(U/hr))を表示している。インスリン推移グラフ表示部1270のグラフ表示部分の外方(例えば外周部)には、表示日数切替部1262が配置されている。表示日数切替部1262は、IN流入グラフ描画部260の表示日数切替手段262及びグラフ描画部480の表示日数切替手段484に対応して設けられている。表示日数切替部1262は、スピンボタン等により、インスリン推移グラフ表示部1270の表示日数を、例えば、1日、2日、3日、4日等、複数の日数表示の間で切替え自在である。なお、インスリン推移グラフ表示部1270において、□印を連続して作成した線は、予備シミュレーション時にシミュレーションした投与条件変更前のインスリン流入量を示し、○印を連続して作成した線は、本シミュレーション時にシミュレーションした新規投与条件下のインスリン流入量を示す。
一方、血糖推移グラフ表示部1390は、前記解析部300の表示部390と本シミュレーション部400の表示部490とを兼用する。即ち、血糖推移グラフ表示部1390は、前記血糖値グラフ描画部380の血糖値推移グラフ描画手段381の出力データに基づき、インスリン製剤の投与により変化する個体の血糖値の推移を、投与条件変更前後のそれぞれにおいて、前記表示部270と同一の時間間隔の時系列でグラフ表示する。また、血糖推移グラフ表示部1390は、グラフ描画部480の推移グラフ描画手段483の血糖値用出力データに基づき、新規投与条件下においてインスリン製剤の投与により変化する個体の血糖値の推移を、前記表示部270と同一の時間間隔の時系列でグラフ表示する。図9では、血糖推移グラフ表示部1390は、横軸(X軸)に時間(時)を、縦軸(Y軸)に所定測定時間(測定時刻)における血糖値(mg/dl)を表示している。血糖推移グラフ表示部1390のグラフ表示部分の外方(例えば上方)には、糖毒性解除過程選択部1325と、表示項目切替部1382と、画面拡大縮小部1522とが配置されている。糖毒性解除過程選択部1325は、前記血糖値入力・予測部320の糖毒性解除過程判別手段325に対応して設けられている。そして、糖毒性解除過程選択部1325のチェックボックスにチェックを入れることにより、糖毒性解除過程判別手段325が、シミュレーション対象の個体が糖毒性解除過程にあると判断する。これにより、サンプリング用血糖値演算手段324が、糖毒性解除過程判別手段325からの入力に従い、前記相関演算を使用してサンプリング用血糖値を演算する。
表示項目切替部1382は、前記血糖値グラフ描画部380の表示項目切替手段382に対応して設けられる。表示項目切替部1382は、図9では、投与条件変更前の実測血糖値の表示を行うための「Present」と、投与条件変更後の実測血糖値の表示を行うための「Alteration」と、新規投与条件下での血糖予測値の表示を行うための「Simulation」とからなる3つのチェックボックスを有している。そして、各チェックボックスにチェックを入れることにより、対応する時点における血糖値推移グラフが、前記血糖値推移グラフ描画手段383により描画される。また、画面拡大縮小部1522は、前記補助部500の画面拡大縮小手段522に対応して設けられ、拡大ボタン(図9中の左側の「((Zoom))」ボタン)と縮小ボタン(図9中の右側の「Zoom()ボタン」とからなる。画面拡大縮小部1522のいずれかのZoomボタンをクリック等して選択実行すると、画面拡大縮小手段522が、インスリン推移グラフ表示部1270及び/または血糖値推移グラフ表示部1390を拡大または縮小表示する。
感受性データ種類表示部1355は、前記インスリン感受性データの種類として、午前サンプリング手段351から出力したIN感受性データ、全日サンプリング手段352から出力したIN感受性データ及びデフォルトIR部から出力したデフォルトIRデータのいずれを使用しているかを表示するものである。例えば、感受性データ種類表示部1355は、インスリン感受性データの種類として、午前サンプリング手段351から出力したIN感受性データを使用する場合、表示欄の上段に、「Forenoon sampling」の文字を、全日サンプリング手段352から出力したIN感受性データを使用する場合、「Wholeday sampling」の文字を表示する。また、感受性データ種類表示部1355は、インスリン感受性データの種類として、デフォルトIR部から出力したデフォルトIRデータを使用する場合、表示欄の上段に、選択したデフォルト値に応じて、「IR1」、「IR3」または「IR5」の文字を表示する。更に、感受性データ種類表示部1355は、表示欄の下段において、インスリン推移グラフ表示部1270及び血糖推移グラフ表示部1390の時刻に対応する位置に、使用するIN感受性データの数値を表示する(図9では「20(時)」等の時刻に対応して「−32(mg/dl/U)」を例示)。
2−4.入力データ表示部詳細
図10に示すように、入力データ表示部1510は、前記補助部500の投薬支援データ記録手段510に対応して設けられる。入力データ表示部1510は、前記投与条件入力部(図7)の入力データと、血糖値情報入力部(図8)の入力データとを、それらの表示態様に準じた態様で表示する。即ち、入力データ表示部1510は、インスリン製剤の変更前投与条件に関する入力データをテキスト表示する表示部1511と、インスリン製剤の新規投与条件に関する入力データをテキスト表示する表示部1512と、投与条件変更前の血糖値情報をテキスト表示する表示部1513と、新規投与条件における血糖値情報をテキスト表示する表示部1514とを有している。そして、前記入力データ表示部1510の記録データに基づき、図7に示す設定値繰上部(「Tommorrow」ボタン)1512または設定値繰下部(「Back」ボタン)1513を介して、設定値繰上手段512または設定値繰下手段513が機能を実現する。なお、設定値繰上手段512または設定値繰下手段513の各機能では、所定の記憶領域に設定情報を仮記憶し、その借り記憶した設定情報を、繰上げまたは繰下げする際に抽出するようにしてもよい。
3.投薬支援処理
次に、本実施の形態の投薬支援装置の投薬支援プログラム処理の流れについて説明する。本投薬支援プログラムは、コンピュータ装置の補助記憶装置(HDD)等に格納される。そして、コンピュータ装置が、本投薬支援プログラムをRAM等の記憶装置に適宜読み込み、CPUの制御下、その処理を実行する。
3−1.全体処理
図11は一般的な各型のインスリン製剤のインスリン分泌パターン(インスリン流入曲線)を、健常者のインスリン分泌パターン及び血糖値パターンと共に示すグラフである。図12はインスリン製剤によるインスリン流入曲線の重なりを模式的に示すグラフである。図13は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置の投薬支援プログラムの全体処理を示すフローチャートである。
本投薬支援プログラムについて説明する前に、投薬支援の前提としてのインスリン分泌と血糖値との関係、並びに、一般的な各型のインスリン製剤のインスリン吸収特性について説明する。まず、健常者のインスリン分泌は、図11中に破線で示すような略一定量の基礎分泌と、実線で示すような追加分泌とからなる。また、健常者の血糖値は、各食後において上昇するカーブを描く。そして、これに対応して、健常者のすい臓からインスリンが追加分泌され、血糖値が一定の正常範囲に減少する。また、前記単発インスリン製剤は、各型に応じて、図11に示すようなインスリン流入曲線を描く。例えば、超速効型インスリン製剤は、前記追加分泌に相当するようなインスリン吸収特性を有する。また、混合型インスリン製剤は、速効型インスリン製剤のインスリン吸収特性と中間型インスリン製剤のインスリン吸収特性とを、その混合割合に応じて積算したようなインスリン吸収特性を有する。そして、インスリン療法においては、糖尿病患者に対して、前記健常者のインスリン分泌と近似したインスリン分泌となるよう、各食前等の所定時間に、所定の型のインスリン製剤を所定量投与する。したがって、各型のインスリン製剤の組み合わせに応じて、それらのインスリン流入曲線を時系列で積算した形のインスリン流入曲線が得られる。
例えば、速効型インスリン製剤を、朝、昼、夕の3回皮下注射する場合、それらのインスリン流入曲線は、それぞれ、図12(a)、図12(b)及び図12(c)に示すようになる。また、これら3回のインスリン注射により得られる総インスリン流入曲線は、図12(a)のインスリン流入曲線A、図12(b)のインスリン流入曲線B及び図12(c)のインスリン流入曲線Cを積算した形状となり、図12(d)に示すようになる。このとき、特定の単位時間における総インスリン流入量は、例えば、図12(a)のインスリン流入曲線Aの単位時間当りIN流入量An−xと、図12(b)のインスリン流入曲線Bの単位時間当りIN流入量Bn−xの重なり部分を積算した値、即ち、An−x+Bn−xとなる。ここで、総インスリン流入曲線は、インスリン製剤の投与条件により種々相違するため、総インスリン流入曲線を予め想定することは、糖尿病専門医であっても容易ではない。かかる課題を解決するため、本投薬支援プログラムは、コンピュータを使用して、以下の処理(手順)を上記投薬支援装置に実行させることにより、総インスリン流入曲線をシミュレーションによりグラフ表示すると共に、その結果として得られる血糖値パターンをシミュレーションによりグラフ表示する。
図13に示すように、投薬支援プログラムの全体処理では、使用者が投薬支援装置の投薬支援プログラムを起動すると、STEP100で起動処理が実行される。次に、STEP510で、前記表示部270,390,490により、コンピュータに接続したディスプレイ(表示装置)に、製剤情報や血糖値情報等を入力するための各種入力画面が表示される(例えば図6の画面)。次に、STEP600で、使用者が、前記入力画面を使用して、変更前及び変更後のインスリン製剤の各投与条件を予備シミュレーション用に入力すると、その入力に対応して、STEP920で、投与条件の変更前後におけるインスリン流入量推移グラフが、それぞれ、前記インスリン推移グラフ表示部1270に表示される。次に、STEP1000で、使用者が、前記入力画面を使用して、投与条件の変更前後における血糖値情報を入力すると、その入力に対応して、STEP1260で、投与条件の変更前後における血糖値推移グラフが、それぞれ、血糖値推移グラフ表示部1390に表示される。更に、STEP1300で、前記各入力に基づき、インスリン感受性情報(インスリン感受性データ)の演算処理が実行される。次に、STEP1400で、使用者が、前記入力画面を使用して、本シミュレーション用の製剤投与条件(新規投与条件)を入力し、更に、STEP1500で、経口摂取情報を入力すると、STEP1600で、新規血糖値の予測演算が実行される。そして、STEP1400の入力に基づき、STEP1660で、新規インスリン流入量推移グラフがインスリン推移グラフ表示部1270に表示される。また、STEP1600の演算結果に基づき、STEP1670で、血糖予測値の血糖値推移グラフが、血糖値推移グラフ表示部1390に表示される。次に、STEP1680で、履歴データがコンピュータのRAM等のメモリに格納され、全体の処理が終了する。
3−2.起動処理
図14は図13の起動処理の詳細を示すフローチャートである。
図14に示すように、起動処理STEP100では、まず、自動的に使用者の認証画面がディスプレイに表示する。即ち、まず、STEP110で、投薬支援プログラムの使用者が、使用権限を有する使用者であるか否か、例えば、特定の医師のみに使用権限を付与した場合、医師であるか否かが判断される(使用者の認証)。例えば、ディスプレイには、使用者を識別するための文字列(以下、「ID」という。)を入力するための入力テキストボックスと、パスワード入力用のテキストボックスとが表示される。そして、STEP110で、ID及びパスワード等により使用権限が認証されると、STEP120で、本投薬支援プログラムによる投薬シミュレーション処理を実行するか、或いは、製剤登録・変更・削除処理を行うかの確認メッセージが画面表示される、使用者の判断を促す。STEP120で、使用者が、投薬シミュレーション処理を実行することを選択した場合、STEP130で、前回の投薬シミュレーションを終了する直前の状態に復帰させるか否かの確認メッセージが画面表示され、使用者の判断を促す。STEP130で、使用者が、前回の投薬シミュレーションのデータを引き続き利用したい場合等、前回の終了直前の状態に復帰することを選択した場合、STEP140で、履歴データの取得処理が実行される。続いて、STEP500で、投薬シミュレーションの開始画面(前記入力画面)の準備処理が実行され、上記のように、STEP510で、入力画面がディスプレイに表示される。
3−3.製剤登録・変更・削除処理
図15は図14の製剤登録・変更・削除処理の詳細を示すフローチャートである。
前記STEP120で、使用者が、製剤登録・変更・削除処理の実行を選択した場合、STEP200で、図15に示すような製剤登録・変更・削除処理が実行される。製剤登録・変更・削除処理では、まず、STEP210で、製剤登録・変更・削除用の操作画面がディスプレイに表示される。この操作画面を使用して、使用者は、STEP220の製剤新規登録処理、STEP290の製剤選択・特性データ変更処理及びSTEP300の製剤選択・データ削除処理を選択的に実行することができる。まず、使用者が、STEP220の製剤新規登録処理を選択すると、STEP230で、新規登録しようとするインスリン製剤が単発インスリン製剤であるか否かを確認するメッセージが画面表示される。使用者が、STEP230でYESを選択した場合、STEP240で、新規登録するインスリン製剤が混合型インスリン製剤であるか否かを確認するメッセージが画面表示される。使用者が、STEP240でYESを選択した場合、STEP250で、混合型単発インスリン製剤の選択処理が実行されると共に、その混合型インスリン製剤における製剤の混合比(例えば、速効型製剤と中間型との混合比)の登録処理が実行される。このとき、使用者が、混合型インスリン製剤における製剤の混合比を、所定の入力欄に入力すると、その混合型インスリン製剤に関連付けてその混合比が記憶及び登録される。なお、STEP230及びSTEP240では、確認メッセージを表示することなく、単発製剤、混合製剤及び持続製剤(CSII)のそれぞれのデータ登録部乃至データ入力部を入力画面に設け、使用者が、単発製剤、混合製剤及び持続製剤(CSII)のそれぞれのデータ登録部乃至データ入力部に直接データ入力をするようにしてもよい。
次に、STEP250の入力データ(登録データ)に基づき、STEP260で、前記混合型インスリン製剤の特性データが自動的に作成される。例えば、速効型インスリン製剤のインスリン流入曲線と中間型インスリン製剤のインスリン流入曲線とを、その混合比に応じて積算して得た新たなインスリン流入曲線が、当該混合型インスリン製剤のインスリン流入曲線として演算され、登録される。また、STEP230がNOの場合、使用者は、STEP270で、持続インスリン製剤(CSII)について、特性データの登録処理を行う。また、STEP240がNOの場合、使用者は、STEP280で、混合型以外の単発インスリン製剤(超速効型、速効型、中間型、持続型等)について、それぞれ、特性データの登録処理を行う。上記のように、使用者は、各単発インスリン製剤について、その特性データ(単発製剤種類、吸収率、作用発現時間、最大作用時間、作用持続時間、混合有無、混合比等)の新規登録を実行すると共に、持続インスリン製剤(CSII)について、その特性データ(持続製剤種類、吸収率等)の新規登録を実行する。STEP260、STEP270及びSTEP280で登録されたデータは、STEP310で、メモリに格納される。
一方、使用者は、STEP290の製剤選択・特性データ変更処理を使用して、STEP220〜STEP260で登録したインスリン製剤に関し、特性データの内容の変更乃至修正処理を行うことができる。この場合、使用者は、前記操作画面を使用して製剤選択・特性データ変更処理を呼び出し、特性データの内容を変更したいインスリン製剤を選択し、選択したインスリン製剤の特性データを適宜修正する。また、使用者は、STEP300の製剤選択・データ削除処理を使用して、STEP220〜STEP260で登録したインスリン製剤に関し、データ削除処理を行うことができる。この場合、使用者は、前記操作画面を使用して製剤選択・特性データ削除処理を呼び出し、削除したいインスリン製剤を選択し、選択したインスリン製剤の特性データを削除する。なお、使用者は、前記単発製剤情報登録部110及び持続製剤情報登録部120を使用して、以上の製剤登録・変更・削除処理を行うことができ、登録・変更・削除内容は、それぞれ、前記記憶手段130の単発製剤特性データ記憶領域及び持続製剤特性データ記憶領域の内容に反映される。
3−4.患者情報初期化処理
図16は図14の患者情報初期化処理の詳細を示すフローチャートである。
前記起動処理のSTEP130がNOの場合、STEP400で、図15に示すような患者情報初期化処理が実行される。この場合、まず、STEP410で、本投薬支援プログラムは、患者情報(氏名、住所、年齢、性別、通院歴、病歴、投薬歴等)に関する履歴データの記憶領域を検索し、患者情報に関する履歴データの有無を判断する。STEP410で履歴データがないと判断された場合、例えば、本投薬支援プログラムを使用して初めて投薬シミュレーションを行う患者の場合、STEP420で、使用者は、患者情報初期化処理用の操作画面を使用して、患者情報作成用のデータ(患者データ)、即ち、患者の氏名等を入力する。次に、STEP430で、入力した患者データの有効性が判断される。入力データが有効な場合、STEP440で、入力した患者データに基づき、履歴データが作成される。一方、STEP430で、入力データが有効でないと判断された場合、STEP470で、エラーメッセージが表示され、使用者に注意及び患者データの再入力を促す。一方、STEP410で、患者情報の履歴データがあると判断された場合、STEP450で、使用者は、以前の患者情報の履歴データの中から、初期表示として表示させたい患者データを選択する。すると、STEP460で、使用者が選択した患者データを参照して、履歴データの記憶領域から履歴データが取得される。最後に、STEP440またはSTEP460のいずれか一方の処理終了後、STEP480で、デフォルトデータが準備され、患者情報初期化処理が終了する。
3−5.製剤変更前後インスリン情報登録処理
図17は図13の変更前・変更後各製剤投与条件入力処理の詳細を示すフローチャートである。
STEP600の変更前・変更後各製剤投与条件入力処理は、例えば、図7の入力画面を使用して実行することができる。図17に示すように、STEP600の変更前・変更後各製剤投与条件入力処理では、まず、STEP610で、前記記憶手段130(図1)の単発製剤特性データ記憶領域に登録された各単発インスリン製剤の作用時間を変更するか否かについて、確認メッセージが画面表示される。そして、使用者は、単発インスリン製剤の作用時間を変更する必要があるか否か判断する。即ち、前記STEP200の製剤登録・変更・削除処理で登録した各単発インスリン製剤の作用時間は、個体差を考慮しない一般的なケースにおける作用時間である一方、患者の身体的特徴(体格、身長、体重等)や年齢等の個体差に応じて、単発インスリン製剤の実際の作用時間や効き具合は異なる。よって、医師等の使用者は、患者の個体差を考慮して、その患者に対する単発インスリン製剤の作用時間(効き具合)を調整する必要があるか否か判断する。STEP610がYESの場合、STEP620で、使用者は、単発インスリン製剤の作用時間の入力または変更処理を実行する。ここで、上記のように、単発インスリン製剤については、製剤登録部110(図7)において、超速効型等の各型に応じたそれぞれの作用持続時間が予め設定され、記憶手段130の単発製剤特性データ記憶領域に記憶されている。例えば、デフォルトの作用持続時間として、超速効型(Short)は3時間、速効型(Regular)は5時間、中間型(NPH)は14時間、持続型(Long)は26時間というように設定されている。よって、使用者は、製剤登録部110(図7)のスピンボタン等を使用して、患者の個体差に応じて、必要な単発インスリン製剤の作用持続時間を増減変更する。
すると、STEP630で、本投薬支援プログラムは、単発インスリン製剤について、製剤吸収特性(インスリン流入曲線)の演算・登録処理を実行する。具体的には、本投薬支援プログラムに設けた図示しないインスリン流入曲線演算手段が、例えば、以下のようにして、各単発インスリン製剤について、インスリン流入曲線の演算処理を実行する。図18は本発明の一実施の形態に係る投薬支援プログラムで使用されるインスリン流入曲線の演算処理の一例を説明するためのグラフである。図19は図18のインスリン流入曲線をX軸方向に所定量ずらした状態を示すグラフである。
まず、各型の単発インスリン製剤の投与により、患者の皮下から血中へと流入するインスリン流入量の演算処理(シミュレーション法)について説明する。図18に示すように、時間軸を横軸(t軸)に、血中への外来性インスリン(インスリン製剤投与によるインスリン)の流入速度を縦軸(y軸)に表わす場合、一例として、二つの非対称性放物線からなる近似曲線を、皮下から血中へのインスリン流入速度のシミュレーショングラフとして用いることができる。
まず、時間をt、最大作用時間をp、作用持続時間を(p+q)、未知の係数をAとBとすると、皮下からのインスリン流入速度(y)は、
(−p<=t<=0) y=A(t−p)(t+p) ―――(1)
(0<=t<=q) y=B(t−q)(t+q) ―――(2)
と表わすことができる(図17)。
この二つの非対称性放物線は共通する変曲点を有しており、これを(0,H)とすると、上記の(1)、(2)に(0,H)を代入して、
H=−Ap―――(3)
H=−Bq―――(4)
が得られる。
吸収されたインスリン量(s)は、y>0部分の面積の総和に相当するので、
s=−2(Ap+Bq)/3 ―――(5)
と表わすことができる。
未知数A、B、Hは連立方程式(3)〜(5)の解として得られる。
A=−3s/〔2p(p+q)〕
B=−3s/〔2q(p+q)〕
H=3s/〔(p+q)〕
即ち、投与インスリン量sと最大作用時間p並びに作用持続時間(p+q)によって、インスリン流入曲線yを表わすことができる。
ここで、作用発現時間がiへずれると、インスリン流入速度I(t)は、次式のように表される(図19)。
(i<=t<=i+p) I(t)=A(t−i)〔t−(i+2p)〕
(i+p<=t<=i+p+q) I(t)=B〔t-(i+p−q)〕〔t−(i+p+q)〕
前記インスリン流入曲線演算手段は、上記のようにして演算した各単発インスリン製剤のインスリン流入曲線を、前記記憶手段130の単発製剤特性データ記憶領域に格納する。一方、STEP200の製剤登録・変更・削除処理で新規登録した各単発インスリン製剤についても、インスリン流入曲線演算手段により、上記と同様にして、そのインスリン流入曲線が演算され、記憶手段130の単発製剤特性データ記憶領域に格納されている。また、混合型単発インスリン製剤については、上記のように、混合する2種類の単発インスリン製剤のインスリン流入曲線を重ねた形状のインスリン流入曲線が、インスリン流入曲線演算手段により演算され、記憶手段130の単発製剤特性データ記憶領域に格納されている。なお、持続製剤(CSII)については、インスリン流入速度は、設定した一定量となり、単発インスリン製剤のように曲線を描くことはない。即ち、持続製剤の場合、単位時間当たり一定量の外来性インスリンが患者の血中に流入するため、STEP610〜STEP630の処理は特に必要ない。なお、前記インスリン流入曲線を上記のように描画すると、簡易な描画アルゴリズムで実際のインスリン流入曲線に近似した流入曲線を描画することができ、プログラム全体の構成を簡易化できるという効果が得られる。しかし、本発明は、インスリン流入曲線をその他の描画アルゴリズムにしたがって描画し、より正確な形状の流入曲線を描画するようにしてもよい。
次に、STEP640で、使用者は、投与条件変更前及び投与条件変更後のそれぞれについて、投与時刻設定部1211,1221(図7)を使用して、製剤投与時刻を入力する。すると、製剤投与時刻設定手段211,221(図2)が、その設定時刻データを、それぞれ、製剤毎単位時間流入量演算手段232,242に出力する。続いて、STEP650で、使用者は、各投与時刻について、変更前単発製剤種類選択部1212を使用して、投与条件変更前の単発IN製剤の種類を入力する。すると、前記変更前単発製剤種類選択手段212が、入力データを前記製剤毎特性取得手段231に出力し、製剤毎特性取得手段231が、入力された各種類の単発IN製剤について、記憶手段130から単発製剤特性データを取得する。なお、持続製剤(CSII)の種類が複数ある場合、持続製剤についても、変更前持続製剤種類選択手段213により、同様に種類を入力する。なお、ある投与時刻において、インスリン製剤を投与しない場合、種類の入力は不要である。続いて、STEP660で、使用者は、各投与時刻について、変更前単発製剤投与量選択部1214を使用して、投与条件変更前の単発IN製剤の投与量を入力すると共に、変更前持続製剤投与量選択部1215を使用して、投与条件変更前の持続IN製剤の投与量を入力する。すると、変更前単発製剤投与量選択手段214が、各投与時刻について、単発製剤毎の投与量データを製剤毎単位時間流入量演算手段232に出力すると共に、変更前持続製剤投与量選択手段215が、各投与時刻について、持続製剤の投与量データを製剤毎単位時間流入量演算手段232に出力する。なお、ある投与時刻において、インスリン製剤を投与しない場合、投与量は「0」に設定する。
続いて、STEP670で、使用者は、各投与時刻について、変更後単発製剤種類選択部1222を使用して、投与条件変更後の単発IN製剤の種類を入力する。すると、前記変更後単発製剤種類選択手段222が、入力データを前記製剤毎特性取得手段241に出力し、製剤毎特性取得手段241が、入力された各種類の単発IN製剤について、記憶手段130から単発製剤特性データを取得する。なお、持続製剤(CSII)の種類が複数ある場合、持続製剤についても、変更後持続製剤種類選択手段223により、同様に種類を入力する。なお、ある投与時刻において、インスリン製剤を投与しない場合、種類の入力は不要である。続いて、STEP680で、使用者は、各投与時刻について、変更後単発製剤投与量選択部1224を使用して、投与条件変更後の単発IN製剤の投与量を入力すると共に、変更後持続製剤投与量選択部1225を使用して、投与条件変更後の持続IN製剤の投与量を入力する。すると、変更後単発製剤投与量選択手段224が、各投与時刻について、単発製剤毎の投与量データを製剤毎単位時間流入量演算手段242に出力すると共に、変更後持続製剤投与量選択手段225が、各投与時刻について、持続製剤の投与量データを製剤毎単位時間流入量演算手段242に出力する。なお、ある投与時刻において、インスリン製剤を投与しない場合、投与量は「0」に設定する。
次に、STEP640〜STEP680で入力したデータの有効性を、STEP690で判断する。入力データが有効な場合、STEP700で、入力データを対応メモリに格納する。一方、入力データが無効である場合(例えば、投与量が通常設定値より異常に高い場合等)、STEP710で、エラーメッセージを画面表示し、使用者の再入力を促す。次に、STEP800で、本投薬支援プログラムにより、投与条件変更前後のインスリン流入量・差分演算処理が実行される。次に、STEP900で、使用者は、必要に応じ、ユーザインタフェイスの表示画面(インスリン推移グラフ表示部1270)に表示するインスリン流入量推移グラフの表示日数を切替える。なお、このとき、表示日数を変更するか否かの確認メッセージを画面表示してもよい。STEP900でYESの場合、使用者は、表示日数切替部1262を使用して、インスリン推移グラフ表示部1270の表示日数を任意の任数に設定することができる。すると、STEP910で、表示日数切替手段262により、インスリン推移グラフ表示部1270の表示日数が設定日数へと変更される。そして、STEP920で、インスリン推移グラフの描画準備処理が実行される。
3−6.製剤変更前後インスリン流入量・差分演算処理
図20は図17の投与条件変更前後インスリン流入量・差分演算処理の詳細を示すフローチャートである。
図20に示すように、STEP800の投与条件変更前後インスリン流入量・差分演算処理では、STEP810〜STEP830の処理とSTEP840〜STEP860の処理とが平行処理される。まず、STEP810では、前記製剤毎単位時間流入量演算手段232が、STEP640で取得したインスリン製剤毎の投与時刻データとSTEP650で取得したインスリン製剤毎の特性データ(インスリン流入曲線等)とSTEP660で取得したインスリン製剤毎の投与量データとに基づき、投与条件変更前のインスリン製剤投与により単位時間当りに個体の血中へ流入するインスリン流入量(単位時間IN流入量)を、投与したインスリン製剤毎に演算する。続いて、前記単位時間総IN流入量演算手段233が、製剤毎に演算した単位時間IN流入量(製剤毎単位時間IN流入量)に基づき、STEP820で、投与条件変更前において一定単位時間内に個体の血中へ流入する総インスリン流入量(単位時間総IN流入量)を演算する。更に、前記単位時間総IN流入量演算手段233は、STEP830で、前記単位時間毎に演算した単位時間総IN流入量に基づき、投与条件変更前における総インスリン流入量の時系列データ(変更前IN流入量時系列データ)を作成する。一方、STEP840では、前記製剤毎単位時間流入量演算手段242が、STEP640で取得した製剤毎の投与時刻データとSTEP670で取得した製剤毎の特性データ(インスリン流入曲線等)とSTEP680で取得した製剤毎の投与量データとに基づき、投与条件変更後のインスリン製剤投与により単位時間当りに個体の血中へ流入するインスリン流入量(単位時間IN流入量)を、投与したインスリン製剤毎に演算する。続いて、前記単位時間総IN流入量演算手段243が、製剤毎に演算した単位時間IN流入量(製剤毎単位時間IN流入量)に基づき、STEP850で、投与条件変更後において一定単位時間内に個体の血中へ流入する総インスリン流入量(単位時間総IN流入量)を演算する。更に、前記単位時間総IN流入量演算手段243は、STEP860で、前記単位時間毎に演算した単位時間総IN流入量に基づき、投与条件変更後における総インスリン流入量の時系列データ(変更後IN流入量時系列データ)を作成する。
こうして得た変更前IN流入量時系列データ及び変更後IN流入量時系列データに基づき、前記インスリン流入量推移グラフ描画手段261が、インスリン推移グラフ表示部1270に、投与条件変更前及び投与条件変更後におけるインスリン流入量推移グラフをそれぞれ描画して表示する。更に、STEP870で、前記変更前後IN流入量差分演算手段311が、変更前IN流入量時系列データ及び変更後IN流入量時系列データの差分を時系列で演算し、投与条件変更前と投与条件変更後における単位時間毎の総インスリン流入量の差分を出力する。そして、STEP880で、変更前IN流入量時系列データ及び変更後IN流入量時系列データの差分データが、変更前後IN流入量差分解析データとして、対応メモリとしての記憶手段340の変更前後IN流入量差分解析データ格納領域に格納される。
3−7.条件変更前後血糖値情報入力処理
図21は図13の条件変更前後血糖値情報入力処理の詳細を示すフローチャートである。
図21に示すように、STEP1000の条件変更前後血糖値情報入力処理では、まず、STEP1010で、使用者は、前記血糖値測定時刻入力部1321を使用して血糖値測定時刻を入力する。すると、血糖値測定時刻入力手段321が、その測定時刻データを前記記憶手段340のサンプリング用血糖値データ記憶領域343に出力して格納する。続いて、STEP1020で、使用者は、前記変更前測定血糖値入力部1322を使用して、投与条件変更前の実測血糖値を入力する。次に、STEP1030で、投与条件変更後の実測血糖値がある場合、使用者は、STEP1040で、変更後測定血糖値入力部1323を使用して、投与条件変更後の実測血糖値を入力する。次に、STEP1050で、本投薬支援プログラムにより、STEP1030及びSTEP1040の各入力データの有効性が判断される。入力データが有効な場合、前記変更前測定血糖値入力手段322が、その実測血糖値データを記憶手段340のサンプリング用血糖値データ記憶領域343に出力して格納すると共に、前記変更後測定血糖値入力手段323が、その実測血糖値データを記憶手段340のサンプリング用血糖値データ記憶領域343に出力して格納する。入力データが有効でない場合(例えば、入力血糖値が異常に高い場合等)、STEP1070でエラーメッセージが画面表示され、使用者の再入力を促す。
STEP1030で、投与条件変更後の実測血糖値データがない場合、使用者は、STEP1060で、前記デフォルトIR選択部1362を使用し、患者の個体差を考慮して最適なデフォルトIRを選択する。すると、前記デフォルトIR選択手段362が、選択されたデフォルトIRデータを記憶手段370のデフォルトIRデータ記憶領域に出力して格納すると共に、前記新規血糖値予測演算手段461が、そのデフォルトIRデータを取得して、STEP1600の新規血糖値予測演算処理を実行する。一方、STEP1050でデータの有効性が確認されると、STEP1100で、サンプリング用血糖値演算処理が実行され、続いて、STEP1200で、HbA1c演算処理が実行される。
3−8.サンプリング用血糖値演算処理
図22は図21のサンプリング用血糖値演算処理の詳細を示すフローチャートである。
図22に示すように、STEP1100のサンプリング用血糖値演算処理では、STEP1110で、前記サンプリング用血糖値演算手段324が、まず、投与条件変更前の実測血糖値データが2日間以上入力されているか否か判断する。実測血糖値データが2日間以上入力されていない場合、STEP1150で、エラーメッセージが画面表示され、使用者に入力を促す。即ち、サンプリング用血糖値演算処理では、少なくとも、実測血糖値データが2日間以上入力されていることが必須条件となる。STEP1110で、実測血糖値データが2日間以上入力されていると判断した場合、更に、サンプリング用血糖値演算手段324は、STEP1120で、投与条件変更前の実測血糖値データが3日間以上入力されているか否か判断する。実測血糖値データが3日間以上入力されていると判断した場合、STEP1130で、糖毒性解除過程判別手段325により、シミュレーション対象の患者が、現在、糖毒性解除過程にあるか否かが判断される。例えば、糖毒性解除過程判別手段325は、図9の糖毒性解除過程選択部1325にチェックが入れてある場合、シミュレーション対象の患者が、現在、糖毒性解除過程にあると判断し、チェックが入れてない場合、シミュレーション対象の患者が、現在、糖毒性解除過程にないと判断する。そして、糖毒性解除過程判別手段325は、その判断結果をサンプリング用血糖値演算手段1324に出力する。すると、サンプリング用血糖値演算手段1324は、患者が糖毒性解除過程にある場合、STEP1140で、投与条件変更前の各測定時刻におけるサンプリング用血糖値を、Pearson線形分析法等の相関演算を用いて演算する。即ち、サンプリング用血糖値演算手段1324は、STEP1120で入力された3日間以上(n日間)の血糖値データに基づき、第1日目〜第n日目の各同一測定時刻における血糖値の相関値を、将来の同一時刻における予測血糖値(サンプリング用血糖値)として演算する。一方、サンプリング用血糖値演算手段1324は、患者が糖毒性解除過程にない場合、STEP1160で、投与条件変更前の各測定時刻における平均値を、サンプリング用血糖値として演算する。即ち、サンプリング用血糖値演算手段1324は、STEP1120で入力された3日間以上の血糖値データに基づき、第1日目〜第n日目の各同一測定時刻における血糖値の平均値を、将来の同一時刻における予測血糖値(サンプリング用血糖値)として演算する。なお、STEP1130で実測血糖値が3日間以上入力されていない場合、即ち、2日間のみ入力されている場合も、STEP1160へと進み、各測定時刻における血糖値の平均値がサンプリング用血糖値として演算される。
以上のSTEP1100〜STEP1160は、投与条件変更後の実測血糖値に対しても同様に実行、各測定時刻におけるサンプリング用血糖値が演算される。また、STEP1140またはSTEP1160で演算されたサンプリング用血糖値データは、STEP1170で、対応メモリに格納されると共に、サンプリング用血糖値演算手段324から前記血糖値推移グラフ描画手段383に出力される。そして、STEP1180で、血糖値推移グラフ描画手段383が、入力されたサンプリング用血糖値データに基づき、各測定時刻における投与条件変更前または投与条件変更後のサンプリング用血糖値を、表示部390を構成するサンプリング用血糖値表示部1324(図8)に表示する。
3−9.HbA1c演算処理
図23は図21のHbA1c演算処理の詳細を示すフローチャートである。
図23に示すように、STEP1200のHbA1c演算処理では、まず、STEP1210で、前記HbA1c演算手段326が、前記STEP1140またはSTEP1160で演算した投与条件変更前のサンプリング用血糖値データ(朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値、就寝前血糖値)を取得し、STEP1220で、新規投与条件下の各測定時刻における血糖予測値データ(朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値、就寝前血糖値)を前記血糖予測値記憶手段470から取得する。次に、STEP1230で、HbA1c演算手段326は、取得した血糖値データが十分か否かを判断し、十分な場合には、STEP1240で、以下の式を用いてHbA1c演算処理を実行する。
HbA1c=((朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+就寝前血糖値*2)*4/6+300)/125
即ち、図8に示すように、投与条件変更前のサンプリング用血糖値が、朝血糖値=153、昼血糖値=250、夕血糖値=214、就寝前血糖値=199の場合、
HbA1c=((153+250*2+214+199*2)*4/6+300)/125≒9.2となり、
新規投与条件下の血糖予測値が、朝血糖値=153、昼血糖値=195、夕血糖値=154、就寝前血糖値=149の場合、
HbA1c=((153+195*2+154+149*2)*4/6+300)/125≒7.7となる。
ここで、血糖値を測定する患者の便宜を考え、就寝前血糖値として昼血糖値を代用して、前記HbA1cを演算することができる。即ち、就寝前血糖値は、経験則から、通常は昼血糖値と同等の値となることが多いため、STEP1200のHbA1c演算処理では、HbA1c演算手段326が、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値及び夕血糖値に基づき、以下の演算式を用いてHbA1c演算処理を実行する。
HbA1c=((朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+昼血糖値*2)*4/6+300)/125
この演算式は以下のように表すこともできる。
HbA1c=((朝血糖値+昼血糖値*4+夕血糖値)*4/6+300)/125
この場合、HbA1c演算において就寝前血糖値を昼血糖値で代用するため、就寝前血糖値の測定または予測演算が不要となる。
なお、上記演算式は、各回の血糖値に重み付け、即ち、昼血糖値及び就寝前血糖値を朝血糖値及び夕血糖値の2倍に重み付けし、合計6回の食事を摂取したことにして、それらの血糖値の合計値を食事数の「6」で除算することにより、各回の食事前の血糖値の平均値(各回食事の平均血糖値)を算出し、その各回食事の平均血糖値に定数(4/125)を乗算すると共に、定数(300/125)を加算した演算式となっている。即ち、上記演算式は以下のように表すことができる。
Y=ax+b
ここで、YはHbA1c、aは定数(4/125=0.032)、xは各回食事の平均血糖値(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+就寝前血糖値(または昼血糖値)*2)/6)、bは定数(300/125=2.4)。
このように、HbA1cは各回食事の平均血糖値と一次相関を有すると定義することができる。
また、HbA1c演算手段326は、STEP1240で、x(各回食事の平均血糖値)として、上記演算式の代わりに以下の演算式を用いてもよい。
各回食事の平均血糖値=朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値(または昼血糖値)/4
この場合、各回の血糖値に重み付けすることなく、各回の血糖値を単純に等分して平均血糖値を算出することになる。
ところで、本発明に係るHbA1c演算手段によるHbA1c演算手順は、前記定数a及び前記定数bの値として、上記特定の値以外にも、以下の範囲内の値を採用することができ、かかる範囲内で実施すれば実効的なHbA1cの値を演算することができる。
定数a:
2/125(0.016)<=a<=6/125(0.048)
なお、好ましくは、定数aの値は、以下の範囲とする。
3/125(0.024)<=a<=5/125(0.040)
更に好ましくは、定数aの値は、以下の範囲とする。
7/250(0.028)<=a<=9/250(0.036)
定数b:
175/125(1.4)<=b<=425/125(3.4)
なお、好ましくは、定数bの値は、以下の範囲とする。
225/125(1.8)<=b<=375/125(3.0)
更に好ましくは、定数bの値は、以下の範囲とする。
275/125(2.2)<=b<=325/125(2.6)
そして、これらのHbA1cデータは、前記HbA1c表示部1326に表示される。
なお、STEP1230でデータが十分でないと判断された場合、STEP1250で、エラーメッセージが画面表示され、使用者にデータの再入力を促したり、或いは、そのまま処理を終了したりする。
3−10.インスリン感受性情報演算処理
図24は図12のインスリン感受性情報演算処理の詳細を示すフローチャートである。
図24に示すように、STEP1300のインスリン感受性情報演算処理では、まず、STEP1310で、前記変更前後血糖値差分解析手段331が、記憶手段340のサンプリング用血糖値データ記憶領域341から、投与条件変更前のサンプリング用血糖値データを取得し、続けて、STEP1320で投与条件変更後のサンプリング用血糖値データを取得する。次に、変更前後血糖値差分解析手段331は、STEP1330で、投与条件変更前のサンプリング用血糖値データと投与条件変更後のサンプリング用血糖値データとの差分を演算し、STEP1340で、その変更前後差分解析データを対応メモリとしての記憶手段340の変更前後血糖値差分解析データ記憶領域342に出力して格納する。次に、STEP1350で、前記サンプリング部350が、午前サンプリング手段351または全日サンプリング手段352により、記憶手段340から変更前後IN流入量差分解析データを取得し、STEP1360で、その変更前後IN流入量差分解析データと前記変更前後血糖値差分解析データとに基づき、投与条件変更前後のインスリン感受性データを演算する。サンプリング部350は、STEP1370で、演算結果であるインスリン感受性データを、対応メモリとしての記憶手段370のインスリン感受性データ記憶領域371に出力して格納する。
例えば、使用者が、図7の午前サンプリング開始部1351を選択実行すると、午前サンプリング手段351が、STEP1310〜STEP1370の処理を実行し、午前中の特定時間帯(例えば、朝8時から12時までの間)においてインスリン流入量差分解析データと血糖値差分解析データとを関連付けたインスリン感受性データを演算し、出力する。また、使用者が、図7の全日ンプリング開始部1352を選択実行すると、全日サンプリング手段352が、STEP1310〜STEP1370の処理を実行し、午前及び午後の複数の特定時間帯(例えば、朝8時から12時までの間)においてインスリン流入量差分解析データと血糖値差分解析データとを関連付けたインスリン感受性データを演算し、出力する。
3−11.新規製剤投与条件入力処理
図25は図13の新規製剤投与条件入力処理の詳細を示すフローチャートである。
図25に示すように、STEP1400の新規製剤投与条件入力処理では、まず、STEP1410で、使用者が、例えば、前記変更後投与条件入力部1220を使用して、新規製剤投与条件を入力する。この場合、変更後投与条件入力部1220は、新規投与条件入力部として兼用される。このSTEP1410は、前記新規単発製剤投与条件入力手段411及び新規持続製剤投与条件入力手段412により、前記STEP600の変更前・変更後各製剤投与条件入力処理のSTEP640〜STEP680と同様にして実行される。すると、新規単発製剤投与条件入力手段411及び新規持続製剤投与条件入力手段412が、それぞれの投与条件データ(投与時刻、製剤種類、投与量等)を互いに関連付けて新規製剤毎単位時間流入量演算手段431に出力する。即ち、新規投与条件下、各投与時刻について、単発製剤毎の投与量データと持続製剤の投与量データとが、新規製剤毎単位時間流入量演算手段431に出力される。次に、STEP1410で入力したデータの有効性を、STEP1420で判断する。入力データが有効な場合、STEP1430で、入力データを対応メモリに格納する。一方、入力データが無効である場合(例えば、投与量が通常設定値より異常に高い場合等)、STEP1490で、エラーメッセージを画面表示し、使用者の再入力を促す。
次に、STEP1440で、新規製剤毎単位時間流入量演算手段431が、STEP1410で取得した製剤毎の投与時刻データと特性データ(インスリン流入曲線等)と投与量データとに基づき、新規投与条件下でのインスリン製剤投与により単位時間当りに個体の血中へ流入するインスリン流入量(単位時間IN流入量)を、投与したインスリン製剤毎に演算する。続いて、前記単位時間総IN流入量演算手段432が、製剤毎に演算した単位時間IN流入量(製剤毎単位時間IN流入量)に基づき、STEP1450で、新規投与条件下において一定単位時間内に個体の血中へ流入する総インスリン流入量(単位時間総IN流入量)を演算する。更に、前記単位時間総IN流入量演算手段432は、STEP1460で、前記単位時間毎に演算した単位時間総IN流入量に基づき、新規投与条件下における総インスリン流入量の時系列データ(変更後IN流入量時系列データ)を作成する。次に、STEP1470で、使用者は、必要に応じ、ユーザインタフェイスの表示画面(インスリン推移グラフ表示部1270)に表示するインスリン流入量推移グラフの表示日数を切替える。STEP1470でYESの場合、使用者は、表示日数切替部1262を使用して、インスリン推移グラフ表示部1270の表示日数を任意の任数に設定することができる。すると、STEP1480で、表示日数切替手段262により、インスリン推移グラフ表示部1270の表示日数が設定日数へと変更される。そして、STEP1490で、インスリン推移グラフの描画準備処理が実行される。
3−12.経口摂取情報入力処理
図26は図13の経口摂取情報入力処理の詳細を示すフローチャートである。
図26に示すように、STEP1500の経口摂取情報入力処理では、まず、STEP1510で、食事や間食の時間(時刻)が入力される。なお、図8に示すように、食事及び間食の時間は、前記血糖値測定時刻入力部1321を使用して設定した血糖値測定時刻と兼用されるが、別個の食事・間食時間入力部を設けて、別個に入力するようにしても良い。次に、使用者が、STEP1520で、前記各回食事量入力部1422を使用して各回の食事量を入力し、STEP1530で、前記各回間食種類・カロリー入力部1423を使用して各回の間食の種類・カロリーを入力すると、STEP1540で、入力データの有効性が判断される。入力データが有効な場合、STEP1550で、その入力データが対応メモリに格納される一方、入力データが無効な場合、STEP1580でエラーメッセージが表示され、使用者に再入力等を促す。次に、STEP1560では、前記経口摂取量変換手段442が、前記入力データを取得し、前記食事・血糖値変換テーブル452を参照して、経口摂取量変換演算処理を実行し、STEP1570で、経口摂取量変換データを作成する。この経口摂取量変換データは、前記記憶手段450の経口摂取量変換データ記憶領域453に格納される。
3−13.新規血糖値予測演算処理
図27は図13の新規血糖値予測演算処理の詳細を示すフローチャートである。
図27に示すように、STEP1600の新規血糖値予測演算処理では、まず、STEP1610で、前記新規血糖値予測演算手段461が、記憶手段370からインスリン感受性データを取得する。ここで、STEP1000の条件変更前後血糖値情報入力処理で述べたように、実測血糖値がない等の理由により、使用者が、STEP1060で、デフォルトIR選択部1362を使用し、患者の個体差を考慮して最適なデフォルトIRを選択した場合、新規血糖値予測演算手段461は、そのデフォルトIRデータを記憶手段370から取得する。次に、STEP1620で、新規血糖値予測演算手段461は、記憶手段450から新規インスリン流入量時系列データを取得する。次に、STEP1630で、新規血糖値予測演算手段461は、記憶手段450から経口摂取量変更データを取得する。そして、新規血糖値予測演算手段461は、STEP1640で、新規IN流入量時系列データと、経口摂取量変換データと、インスリン感受性データとに基づき、新規投与条件下における予測血糖値(新規血糖値)を予測演算する。その後、新規血糖値予測演算手段461は、演算結果の血糖予測値データを、対応メモリとしての前記血糖予測値データ記憶手段470に出力して格納する。
3−14.まとめ
ここで、インスリン製剤を必要とする2型糖尿病患者の場合、内因性インスリン分泌の分泌量は推測が困難である。更に、個体の血中インスリン濃度を実測したとしても、インスリン濃度とインスリン効果(血糖値低下)とが正比例するわけではない。一方、内因性インスリン分泌の分泌量には日差変動が少ないことが知られている。また、インスリン製剤投与による外来性インスリンの血中流入量は、本投薬支援プログラムを使用して上記のようにシミュレーション可能である。これらの点に着目して、本実施の形態では、インスリン製剤の投与条件変更前後で、個体の血中に流入するインスリン量の差分解析(サブトラクション)を行う。すると、内因性インスリン分泌は相殺されて、インスリン投与量(外来性インスリン流入量)の差分のみが血糖値の差分に反映したとみなすことができる。本実施の形態では、この差分結果から、インスリン感受性(血糖値・インスリン比)を求め、その後のインスリン製剤の投与条件変更によって生じる血糖値の変動を予測することが可能となる。まず、差分解析では、投与条件変更前後における内因性インスリン量をAとし、投与条件変更前におけるインスリン製剤投与による外来性インスリン量をB1とすると共に、投与条件変更後におけるインスリン製剤投与による外来性インスリン量をB2とすると、投与条件変更前後におけるインスリン量の差分解析は、次式のようになり、内因性インスリン量は差分演算により相殺されて、外来性インスリン量のみが、血糖値低下に反映したとみなすことができる。
(1) A+B1
(2) A+B2
(1)−(2)=B1−B2
図28は本発明の一実施の形態に係る投薬支援プログラムの差分解析処理を具体的に説明するためのグラフである。
図28に基づき、上記投薬支援プログラムの各処理についてより具体的に説明する。通常、インスリン療法において、インスリン製剤は1日2〜4回皮下注射されるが、例えば、1日7回のインスリン製剤を皮下注射する場合を想定する。また、インスリン製剤として、投与条件変更前は、A,B,C,D,E,F,Gという7つのインスリン製剤を使用すると共に、投与条件変更後は、H,I,J,K,L,M,Nという7つのインスリン製剤を使用し、かつ、特定の時間帯をt1〜tnの数の単位時間に区分した場合において、前記インスリン製剤A〜G,H〜Nによる外来性インスリンが、前記特定時間帯の多数の単位時間(t1〜tn)の各々において個体の血中に流入すると想定する。
この場合、まず、インスリン流入量の差分解析について説明すると、変更前IN流入量SIM部230において、製剤毎単位時間流入量演算手段232が、各インスリン製剤(A,B,・・・,G)の作用持続時間、最大作用時間、作用発現に要する時間、投与量、投与時刻、吸収率に基づき、各インスリン製剤について、各単位時間(t1〜tn)内に個体の血中へ流入するインスリン量(A1〜An,B1〜Bn,・・・,G1〜Gn)、即ち、投与条件変更前の製剤毎単位時間IN流入量を算出する。ここで、例えば、前記インスリン量データA1は、特定時間帯t1〜tnのうちの単位時間t1(第1番目の単位時間)内において、インスリン製剤Aの投与により血中に流入する外来性インスリン量(単位時間t1についてのインスリン製剤Aの単位時間IN流入量)を示す。このようにして、製剤毎単位時間流入量演算手段232は、t1〜tnの各々の単位時間について、インスリン製剤Aの投与により血中に流入する外来性インスリン量(単位時間IN流入量)を演算する。その他のインスリン製剤B〜Gについても同様である。次に、単位時間総IN流入量演算手段233が、製剤毎単位時間IN流入量を、単位時間(t1〜tn)毎の総インスリン流入量(Σ(A1,B1,・・・,G1),Σ(A2,B2,・・・,G2),・・・,Σ(An,Bn,・・・,Gn))、即ち、投与条件変更前の単位時間総IN流入量へと変換して、変更前インスリン流入量時系列データとして記憶手段250に格納する。ここで、例えば、前記Σ(A1,B1,・・・,G1)は、単位時間t1内において、7つのインスリン製剤A〜Gにより血中に流入する外来性インスリンの総量(変更前投与条件下での単位時間t1についての単位時間総IN流入量)を示す。このようにして、単位時間総IN流入量演算手段233は、単位時間t1について、7つのインスリン製剤A〜Gの投与により血中に流入する単位時間総IN流入量を演算する。その他の単位時間t2〜tnについても同様である。
同様に、変更後IN流入量SIM部240において、製剤毎単位時間流入量演算手段242が、各インスリン製剤(H,I,・・・,N)の作用持続時間、最大作用時間、作用発現に要する時間、投与量、投与時刻、吸収率に基づき、各インスリン製剤について、各単位時間(t1〜tn)内に個体の血中へ流入するインスリン量(H1〜Hn,I1〜In,・・・,N1〜Nn)、即ち、投与条件変更後の製剤毎単位時間IN流入量を算出する。ここで、例えば、前記インスリン量データH1は、特定時間帯t1〜tnのうちの単位時間t1内において、インスリン製剤Hの投与により血中に流入する外来性インスリン量(単位時間t1についてのインスリン製剤Hの単位時間IN流入量)を示す。このようにして、製剤毎単位時間流入量演算手段242は、t1〜tnの各々の単位時間について、インスリン製剤Hの投与により血中に流入する外来性インスリン量(単位時間IN流入量)を演算する。その他のインスリン製剤I〜Nについても同様である。次に、単位時間層IN流入量演算手段243が、製剤毎単位時間IN流入量を、単位時間(t1〜tn)毎の総インスリン流入量(Σ(H1,I1,・・・,N1),Σ(H2,I2,・・・,N2),・・・,Σ(Hn,In,・・・,Nn))、即ち、投与条件変更後の単位時間総IN流入量へと変換して、変更後インスリン流入量時系列データとして記憶手段250に格納する。ここで、例えば、前記Σ(H1,I1,・・・,N1)は、単位時間t1内において、7つのインスリン製剤H〜Nにより血中に流入する外来性インスリンの総量(変更後投与条件下での単位時間t1についての単位時間総IN流入量)を示す。このようにして、単位時間総IN流入量演算手段243は、単位時間t1について、7つのインスリン製剤H〜Nの投与により血中に流入する単位時間総IN流入量を演算する。その他の単位時間t2〜tnについても同様である。
次に、変更前後IN流入量差分演算手段311が、変更前インスリン流入量時系列データと変更後インスリン流入量時系列データとに基づき、各単位時間について、単位時間当りの総インスリン流入量の差分(〔Σ(H1,I1,・・・,N1)−Σ(A1,B1,・・・,G1)〕,〔Σ(H2,I2,・・・,N2)−Σ(A2,B2,・・・,G2)〕,・・・,〔Σ(Hn,In,・・・,Nn)−Σ(An,Bn,・・・,Gn)〕)を演算し、変更前後IN流入量差分解析データとして記憶手段340に格納する。なお、図28(a)において、破線で示すインスリン流入曲線A〜Gは、変更前投与条件下でのインスリン製剤A〜G投与による外来性インスリンの流入総量を時系列で示し、実線で示すインスリン流入曲線H〜Nは、変更後投与条件下でのインスリン製剤H〜N投与による外来性インスリンの流入総量を時系列で示す。ここで、投与条件変更前後における特定時間帯t1〜tn内での外来性インスリン流入総量(総IN流入量)の差分(変更前後IN流入量差分解析データ)は、図28(a)中のハッチングで示す領域の面積により表される。また、図28(a)中の黒丸●は、前記特定時間帯の開始時(t1)における変更前投与条件下及び変更後投与条件下でのインスリン流入速度(U/hr)を示し、四角□は、前記特定時間帯の終了時(tn)における変更前投与条件下でのインスリン流入速度(U/hr)を示し、白丸○は、前記特定時間帯の終了時(tn)における変更後投与条件下でのインスリン流入速度(U/hr)を示す。
次に、血糖値の差分解析について説明すると、投与条件変更前後において、それぞれ、1日8回(例えば、図8に示すように、7時、10時、13時、15時、18時、22時、24時、翌日の3時)の測定頻度で血糖値を測定する場合、まず、変更前測定血糖値入力手段322から入力された投与条件変更前の複数日にわたる測定血糖値に基づき、サンプリング用血糖値演算手段324が、測定時刻毎の平均値演算またはPearson線形分析法等による相関演算により得た予測値(BS1,BS2,BS3,BS4,BS5,BS6,BS7,BS8)を、投変更前与条件下でのサンプリング用血糖値データとして記憶手段340に格納する。ここで、BS1は、投変更前与条件下における第1回目(7時)の測定血糖値、BS8は、投変更前与条件下第8回目(翌日の3時)の測定血糖値を示す。同様に、変更後測定血糖値入力手段323から入力された投与条件変更後の複数日にわたる測定血糖値に基づき、サンプリング用血糖値演算手段324が、測定時刻毎の平均値演算またはPearson線形分析法等による相関演算により得た予測値(BS9,BS10,BS11,BS12,BS13,BS14,BS15,BS16)を、変更後投与条件下でのサンプリング用血糖値データとして記憶手段340に格納する。ここで、BS9は、投変更前与条件下における第1回目(7時)の測定血糖値、BS16は、投変更前与条件下第8回目(翌日の3時)の測定血糖値を示す。
次に、変更前後血糖値差分解析手段331が、各測定時刻における投与条件変更前のサンプリング用血糖値データと投与条件変更後のサンプリング用血糖値データとの差分データ(〔(BS10−BS9)−(BS2−BS1)〕,〔(BS11−BS10)−(BS3−BS2)〕,・・・,〔(BS16−BS15)−(BS8−BS7)〕を算出し、変更前後血糖値差分解析データとして記憶手段340に格納する。ここで、前記血糖値差分データ〔(BS10−BS9)−(BS2−BS1)〕は、前記特定時間帯t1〜tnにおける変更前後血糖値差分解析データを示す。なお、図28(b)において、黒丸●は、前記特定時間帯の開始時(t1)における変更前投与条件下及び変更後投与条件下での血糖値BS1,BS9(mg/dl)を示し、四角□は、前記特定時間帯の終了時(tn)における変更前投与条件下での血糖値BS2(mg/dl)を示し、白丸○は、前記特定時間帯の終了時(tn)における変更後投与条件下での血糖値BS10(mg/dl)を示す。
次に、サンプリング部350が、前記変更前後インスリン流入量差分解析データと変更前後血糖値差分解析データとに基づき、特定時間帯t1〜tnにおけるインスリン流入量の変化(〔Σ(H1,I1,・・・,N1)−Σ(A1,B1,・・・,G1)〕+〔Σ(H2,I2,・・・,N2)−Σ(A2,B2,・・・,G2)〕+・・・+〔Σ(Hn,In,・・・,Nn)−Σ(An,Bn,・・・,Gn)〕)がもたらした血糖値の変化〔(BS10−BS9)−(BS2−BS1)〕を、それらの比であるインスリン感受性値(例えば、〔(BS9−BS8)−(BS2−BS1)〕/(〔Σ(H1,I1,・・・,N1)−Σ(A1,B1,・・・,F1)〕+〔Σ(H2,I2,・・・,N2)−Σ(A2,B2,・・・,F2)〕+・・・+〔Σ(Hn,In,・・・,Nn)−Σ(An,Bn,・・・,Gn)〕)として演算し、インスリン感受性データとして記憶手段370に格納する。例えば、図9では、インスリン推移グラフ表示部1270の一点鎖線で囲む枠内に示すように、朝血糖値(7時)と昼血糖値(12時)との間の特定時間帯(午前血糖値の測定時間帯)である午前中において、インスリン流入量の大きな変化が見られ、これに伴って、血糖値推移グラフ表示部1390の一点鎖線で囲む枠内に示すような血糖値の変化が見られる。よって、サンプリング部350が、このインスリン流入量の変化分と血糖値の変化分とを関連付け、インスリンに対する感受性の一つの指標としてサンプリングして、インスリン感受性データを演算する。そして、以後は、このインスリン感受性データを用いて、インスリン製剤の投与条件変更、即ち、新規投与条件の採用に伴う血糖値の変化を、例えば、以下のようにして、数値で示すことができる。
次に、新規投与条件下で、O,P,Q,R,S,T,Uという7つのインスリン製剤を使用し、かつ、前記インスリン製剤O〜Uによる外来性インスリンが、前記特定時間帯(t1〜tn)の各単位時間において個体の血中に流入すると想定する。この場合、新規IN流入量SIM部430において、新規製剤毎単位時間流入量演算手段431が、各インスリン製剤(O,P,・・・,U)の作用持続時間、最大作用時間、作用発現に要する時間、投与量、投与時刻、吸収率に基づき、各インスリン製剤について、各単位時間(t1〜tn)内に個体の血中へ流入するインスリン量(O1〜On,P1〜Pn,・・・,U1〜Un)、即ち、新規投与条件下での製剤毎単位時間IN流入量を算出する。ここで、例えば、前記インスリン量データO1は、特定時間帯t1〜tnのうちの単位時間t1内において、インスリン製剤Oの投与により血中に流入する外来性インスリン量(単位時間t1についてのインスリン製剤Oの単位時間IN流入量)を示す。このようにして、製剤毎単位時間流入量演算手段431は、t1〜tnの各々の単位時間について、インスリン製剤Oの投与により血中に流入する外来性インスリン量(単位時間IN流入量)を演算する。その他のインスリン製P〜Uについても同様である。次に、単位時間層IN流入量演算手段432が、製剤毎単位時間IN流入量を、単位時間(t1〜tn)毎の総インスリン流入量(Σ(O1,P1,・・・,U1),Σ(O2,P2,・・・,U2),・・・,Σ(On,Pn,・・・,Un))、即ち、新規投与条件下での単位時間総IN流入量へと変換して、新規インスリン流入量時系列データとして記憶手段450に格納する。ここで、例えば、前記Σ(O1,P1,・・・,U1)は、単位時間t1内において、7つのインスリン製剤O〜Uにより血中に流入する外来性インスリンの総量(新規投与条件下での単位時間t1についての単位時間総IN流入量)を示す。このようにして、単位時間総IN流入量演算手段432は、単位時間t1について、7つのインスリン製剤O〜Uの投与により血中に流入する単位時間総IN流入量を演算する。その他の単位時間t2〜tnについても同様である。
次に、経口摂取量変換手段442が、経口摂取入力部420から入力した経口摂取の変化量を、食事・血糖値変換テーブル452を参照して、血糖値の変化量(経口摂取量変換データ)へと変換し、記憶手段450に格納する。
次に、新規血糖値予測演算手段461が、前記インスリン感受性データと前記新規インスリン流入量時系列データとに基づき、各測定時刻における血糖値の予測変動値(新規投与条件下での血糖予測値)を演算する。このとき、例えば、図28の説明例の場合、投与条件変更前後において、特定時間帯の開始時t1から終了時tnまでに、インスリン流入量が、四角(□)の位置から白丸(○)の位置まで第1の量X1(図28中の破線A〜Gと実線H〜Nとの間の面積に相当する量)だけ上昇すると、それに対応して、血糖値が、四角(□)の位置の値から白丸(○)の位置の値まで第1の量Y1だけ低下する。そして、上記のように、これらの比(Y1/X1)が、特定時間帯t1〜tnにおける感受性データとして演算される。よって、変更前投与条件を前記変更後投与条件から更に新規投与条件へと変更した場合において、特定時間帯の開始時t1から終了時tnまでに、インスリン流入量が、四角(□)の位置から三角(△)の位置まで第2の量X2(図28中の破線A〜Gと一点鎖線O〜Uとの間の面積に相当する量)だけ上昇した場合、新規血糖値予測演算手段461は、前記感受性データ(Y1/X1)に基づき、血糖予測値を演算する。即ち、変更前投与条件と変更後投与条件間でのインスリン流入量の差分と血糖値の差分との比である感受性データ(Y1/X1)は、変更前投与条件と新規投与条件間でのインスリン流入量の差分と血糖値の差分との比である感受性データ(Y2/X2)と同一値となる。よって、新規血糖値予測演算手段461は、Y2/X2=Y1/X1からY2の値を求め(Y2=X2*Y1/X2)、変更前投与条件下での血糖値からY2を減算して、新規投与条件下での血糖予測値を求める。この血糖値予測演算によれば、図28(b)中、血糖値が、四角(□)の位置の値から三角(△)の位置の値まで第2の量Y2だけ低下することになる。
新規血糖値予測演算手段461は、上記のようにして得た新規投与条件下における血糖予測値に、前記経口摂取量変換データの血糖値上昇分を積算し、最終的な血糖予測値を得る。
4.特有の効果
本実施の形態に係る投薬支援装置及び投薬支援プログラムによれば、インスリン作用をコンピュータ画面上でシミュレーションすることができる。ここで、上記のように、インスリン作用持続時間は個人差が大きく、その作用の途絶や重なりを予測することは、専門医にとって重要な仕事の一つであるが、時としてそれは困難な作業となる。本実施の形態に係る投薬支援装置及び投薬支援プログラムは、インスリン作用の予測を簡易に行うことができ、特にインスリン強化療法が推奨され、作用時間の異なる新規のインスリン製剤が登場しつつある昨今の状況から見ても非常に有用なものとなる。即ち、本実施の形態に係る投薬支援装置及び投薬支援プログラムによれば、コンピュータ画面上でインスリン作用の重なりをシミュレーションすることができ、インスリン製剤の変更に伴うインスリン流入量の変化と血糖値の変化とを関連付けた値を、インスリン感受性の指標としてサンプリングすることにより、その後のインスリン製剤変更に伴う血糖値の変化を簡単に予測することができる。こうすることにより、より適切なインスリン製剤や投与量の選択を容易に行うことができる。
また、本実施の形態に係る投薬支援装置及び投薬支援プログラムによれば、実測血糖値がなく、感受性データを演算できない場合でも、デフォルトIRデータを使用して、簡易に血糖値の予測演算を行うことができる。また、インスリン製剤の作用持続時間、最大作用時間、効果発現時間については、デフォルト値として一般的な値が入力してある一方、製剤登録部100または変更前・変更後覚せい剤投与条件入力処理STEP600により、個体差による設定の変更を行うことができる。更に、インスリン投与量の増加に伴って作用持続時間が長くなることも考慮して、製剤登録部100または変更前・変更後覚せい剤投与条件入力処理STEP600により、設定の変更を行うこともできる。加えて、インスリンの皮下吸収率も、個体による差が大きいことを考慮し、製剤登録部100または変更前・変更後覚せい剤投与条件入力処理STEP600により、任意に設定することができる。また、グラフ描画部270,480により、インスリン推移グラフでは、血流中へのインスリン流入量は、U/hrで表示される一方、投与条件変更前のインスリン流入量は第1の色(例えばブルー)のグラフで、投与条件変更後の流入量は第1の色と異なる第2の色(例えばオレンジ)のグラフで示することもできる。更に、持続製剤(CSII)を使用する場合の投与条件変更設定も可能である。
また、本実施の形態の投薬支援装置及び投薬支援プログラムによれば、変更前投与条件下と新規投与条件下の各々につき、予測HbA1c値を表示することができるため、治療変更がどの程度の血糖コントロール改善につながるかを、患者自身が容易に想定(イメージ)することができる。これにより、患者の治療に対する動機付けを行い、患者の生活行動を改善させることが期待できる。更に、糖尿病の治療が順調か否かは、血糖値測定等の検査によって判定されるため、患者は、「自分の健康は自分で守る」という主体性を持ち、定期的に検査を受けるようになることも期待できる。即ち、HbA1cを表示することにより、患者に治療における目標を持たせ、インスリン投与や食事等、患者の自己治療の動機付けができるとともに、自己管理による精神的な負担を減らすという効果が期待できる。
5.その他の実施の形態
ところで、本発明は、上記実施の形態に係るインスリン製剤の投薬支援装置及び投薬支援プログラムとして具体化する以外に、インスリン製剤以外の製剤の投薬支援装置及び投薬支援プログラムとして具体化することもできる。また、上記実施の形態の投薬支援プログラムは、現存のインスリン製剤以外のインスリン製剤についても対応することができる。例えば、超速効型インスリン製剤と中間型インスリン製剤とを所定の混合率(例えば、3対7の割合)で混合した混合型インスリン製剤が現在開発中であるが、この場合も、インスリン吸収特性(インスリン流入曲線)は、上記と同様、各インスリン製剤の吸収特性を加算したものとなるため、上記実施の形態の投薬支援プログラムにより上記と同様にしてシミュレーションを行うことができる。なお、この場合も、糖尿病治療の専門知識を有する医師が、診察所見により、患者の個体差を考慮して、適当と思われるデフォルト値(作用持続時間等)を選択入力することができる。更に、本発明は、以下のように実施することもできる。
5−1.モジュール
本発明は、上記投薬支援プログラムの一部の処理(モジュール)について具体化することもできる。例えば、前記STEP1300のインスリン感受性情報演算処理や、STEP1200のHbA1c演算処理等に具体化することもできる。更に、上記実施の形態では、変更前投与条件入力部210と、変更後投与条件入力部220と、新規投与条件入力部410とを別個に設けているが、これらを単一の投与条件入力部により兼用してもよい。この場合、単一の投与条件入力部に、異なる入力パラメータ(投与時刻、製剤種類等)、即ち、投与条件変更前のパラメータ、投与条件変更後のパラメータまたは新規投与条件下のパラメータを入力することになる。同様に、上記実施の形態では、変更前IN流入量SIM部230と、変更後IN流入量SIM部240と、新規IN流入量SIM部430とを別個に設けているが、これらを単一のIN流入量SIM部により兼用してもよい。この場合、単一のIN流入量SIM部が、異なる入力パラメータ(投与時刻、製剤種類等)、即ち、投与条件変更前のパラメータ、投与条件変更後のパラメータまたは新規投与条件下のパラメータに基づき、変更前IN流入量時系列データ、変更後IN流入量時系列データまたは新規IN流入量時系列データを出力することになる。
5−2.IN流入曲線と新規IN流入量時系列データとの対応付け
更にまた、本発明は、インスリン流入量推移グラフの任意の位置をカーソルによりドラッグして、インスリン流入曲線を変形させることにより、その変更を前記新規IN流入量時系列データに反映するように構成することもできる。この場合、前記新規血糖値予測演算手段461が、自動的に、その変更インスリン量を反映して血糖予測値を演算し、新たな血糖値推移グラフを描画するように構成することもできる。この場合、新規投与条件下における新規血糖値の予測を一層簡単に行うことができる。一方、血糖値推移グラフの任意の位置をカーソルによりドラッグして、インスリン流入曲線を変形させることにより、その変更を前記サンプリング用血糖値データに反映するように構成することもできる。この場合、前記新規IN流入量SIM部430が、自動的に、その変更血糖値を反映して、その血糖値変更のために必要な新規IN流入量時系列データを演算し、新たなインスリン流入推移グラフを描画するように構成することもできる。同時に、そのようなインスリン流入推移グラフ(インスリン流入曲線)を得るために必要な新規投与条件を演算し、その新規投与条件に対応するよう、インスリン製剤の投与時刻、種類、投与量を表示するよう構成することもできる。この場合、望ましい血糖値とするために、新規投与条件をどのように刷ればよいか、即ち、どの時刻にどの種類のインスリン製剤をどれだけの投与量だけ投与すればよいかを、一層容易に把握することができる。
5−3.食事療法
また、インスリン治療中の患者では、治療効果を高めるため、適切な時間に食事・捕食をすることが必要であるため、前記経口摂取量入力部420に、食事療法の遵守の程度を定期的にチェックするための構成を追加することもできる。更に、食事時間を変更したり、食事量を変更したりした場合等の影響を予測をするための構成を追加することもできる。即ち、経口摂取量入力部420の入力結果より、1日の指示単位を増減する等の「食事指示」が必要な場合には、メッセージ表示等で患者に指示を促すよう構成することもできる。加えて、食品をカロリー換算する場合の患者の負担や、統合医療(西洋医学を含めて、伝統医療、代替医療等の様々な医療体系や医療手技を、患者の価値観や精神的・社会的要因に十分配慮して個々の最適な形で組み合わせて提供する医療)の観点から、治療における医師と患者の協力のため、食事等の自己管理も患者自身が簡単に行えることが望ましい。そこで、前記各回食事・間食カロリー演算手段441のような手段により、食事・間食のメニューを入力するだけで自動的にカロリー換算する機能を持つよう構成することが好ましい。
5−4.バンコマイシン投薬支援プログラム
更に、本発明に係る投薬支援プログラムは、上記インスリン療法用の投薬支援プログラム以外にも、製剤に対する個体の感受性データを抽出でき、かつ、その感受性データと製剤種類データ及び投与量データと製剤作用との間に相関関係が存在するような任意の製剤の投薬支援支援プログラムに具体化することができる。例えば、本発明は、メチリシン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療に用いられる抗生物質製剤であるバンコマイシン(VCM)の投薬支援プログラムに具体化することができる。この場合、バンコマイシンは、通常2〜3週間にわたって投与され、治療効果に優れる一方、レッドネック(red neck)症候群や腎障害等の副作用が報告されており、肝機能にも影響を与えるとの報告もある。このことから、バンコマイシンの使用に再指定は、血中濃度モニタリング(TDM)を実施し、バンコマイシンの血中濃度が一定範囲となるよう、バンコマイシンを投与することが望ましいとされている。このとき、血中濃度モニタリングの目安としては、例えば、バンコマイシンの点滴(静脈注射)終了後1〜2時間後の採血による血中濃度ピーク値が25〜40μg/mlの範囲となり、採血による血中濃度トラフ値(次回製剤投与前の最低血中濃度)が10μg/ml未満となるよう、単位時間当たり投与量を調節乃至制御している。
本発明の投薬支援システムをバンコマイシンの投薬支援プログラムに適用する場合、まず、上記実施の形態における血糖値の代わりに、このVCM血中濃度を所定時刻に測定(例えば、ピーク値とトラフ値とを測定)する。次に、VCM投与時刻(通常1〜4回/日)、VCM種類(溶解液との関係等で相違)及び/またはVCM投与量の各条件を変更し、条件変更前後における投与VCMの各血中流入量に基づき、条件変更前後におけるVCM血中流入量の差分を演算する。次に、条件変更前後における測定VCM血中濃度の差分を演算する。そして、前記VCM血中流入量の差分と前記VCM血中濃度の差分との関係を、上記実施の形態のように比例関係で表して関連付け、その関連付けした値を感受性データとして使用する。そして、この感受性データを使用して、VCM投与量等の投与条件を変更した場合のVCM血中流入量に基づき、新たなVCM血中濃度をシミュレーション演算(予測演算)する。ここで、インスリン製剤やバンコマイシン等の各種製剤は、通常、血中変化(代謝)して分解し、別の化学組成となることがあり、分解後もその化学組成により所定の効能を発揮する場合もあり、或いは、副作用(毒性等)が生じる場合もある。よって、本発明のように、製剤の血中流入量や血中濃度等の差分を取ることにより、より正確なシミュレーションを行うことができる。
なお、本発明をバンコマイシン投薬支援プログラムに具体化した場合の製剤作用は、前記VCM血中濃度になり、VCM血中濃度が相対的に高いとMRSAの殺菌作用が大きくなり、VCM血中濃度が相対的に低いとMRSAの殺菌作用が小さくなる。即ち、本発明に係るバンコマイシン投薬支援プログラムは、個体の体内に1種類以上の製剤(バンコマイシン等)を投与する場合に前記製剤の投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、A)製剤の投与時間、種類及び/または投与量に応じて、平均的個体の体内(血中)へ流入する前記製剤の単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、平均的個体用の製剤流入量時系列データを出力する、平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順と、B)特定の個体毎に決定され、前記製剤に対する前記特定の個体の感受性を表す数値データからなる感受性データを出力する、感受性データ出力部による感受性データ出力手順と、C)製剤の投与時間、種類及び投与量の少なくともいずれか一つの変更に対応して、前記感受性データに基づき、前記変更後の製剤による前記特定の個体への製剤作用または製剤血中濃度を表す数値データからなる製剤作用データまたは製剤血中濃度データを経時的にシミュレーションして、製剤作用予測値時系列データまたは製剤血中濃度データを出力する、製剤作用値予測部または製剤血中濃度予測部による製剤作用値予測手順または製剤血中濃度予測手順とをコンピュータに実行させるものとして具体化することができる。
5−5.糖尿病の型
また、上記実施の形態は、主に、2型糖尿病について説明したきたが、本発明は、1型糖尿病や、その他の特定の機序・疾患による糖尿病及び妊娠糖尿病にも適用することができる。なお、本発明をインスリンの基礎分泌が枯渇する1型糖尿病に適用する場合、インスリン分泌がゼロとなることを確実に防止するため、血糖値を24時間連続測定する連続モニタリング装置を使用したり、CSIIにより基礎分泌を確実に補完したりする等の手当てを講じる必要がある。
5−6.インスリン投薬支援プログラムにおける作用持続時間予測演算手段
更に、本発明をインスリン製剤の投薬支援に適用する場合、以下のように、インスリン製剤が個別の個体に対して発揮するインスリン作用時間(個別作用時間)を予測する機能を実現するインスリン作用時間予測手段を設けてもよい。即ち、インスリン製剤は、上記のように、平均的個体に対する作用時間(作用発現時間、最大作用時間、作用持続時間)を有しているが、インスリン作用時間は、個人差が大きいため、これを個体差に応じて調節することが好ましい。こうすれば、個体毎に、より正確な血糖予測値のシミュレーションを行うことができる。この場合、まず、個別作用時間を、その個体の血糖値パターンから予測する。詳細には、特定のインスリン製剤の各個人に対する実際の作用持続時間は、そのインスン製剤の平均的個体に対する作用持続時間(平均作用時間)と、個体毎に異なるインスリン感受性(またはインスリン抵抗性)とにより左右される。例えば、平均作用時間が12時間であるインスリン製剤(中間型単発製剤等)の場合、朝食前(例えば午前8時)にこのインスリン製剤を投与した場合、ある個体(個体A)に対しては8時間しか作用が持続しない(作用持続時間が4時間少なくなる)一方、別の個体(個体B)に対して16時間作用が持続する(作用持続時間が4時間多くなる)ことがある。この場合、個体A及び個体Bの血糖値パターンを見ると、経験則から、個体Aの場合、昼血糖値から朝血糖値と夕血糖値との平均血糖値((朝血糖値+夕血糖値)/2)を減算した値(持続時間減少時の変動値)が、前記平均血糖値より約10%以上少ない血糖値となり、個体Bの場合、昼血糖値から朝血糖値と夕血糖値との平均血糖値を減算した値(持続時間増加時の変動値)が、前記平均血糖値より約20%以上多い血糖値となることを、発明者は知得した。よって、IN作用時間予測手段は、平均作用時間Taが12時間のインスリン製剤について、個別作用時間としてのTiを、特定の個体の朝血糖値、昼血糖値及び夕血糖値に基づき、以下の演算式により演算するようにした。
(昼血糖値−平均血糖値)/平均血糖値<(平均血糖値*0.1) ⇒ Ti=8(時間)
(昼血糖値−平均血糖値)/平均血糖値>(平均血糖値*0.2) ⇒ Ti=16(時間)
なお、IN作用時間予測手段は、平均作用時間が12時間のインスリン製剤(中間型製剤)以外のインスリン製剤についても、上記と同様のロジック(アルゴリズム)により、個別作用時間を演算することができる。以下、そのロジックについてより詳細に説明する。即ち、IN作用時間予測手段は、まず、平均作用時間がTaのインスリン製剤について、その平均作用時間を前記記憶手段130の特性データから取得する。次に、IN作用時間予測手段は、前記記憶手段340の実測血糖値データから、特定の個体の実測血糖値のうち、前記平均作用時間の開始時間帯に位置する血糖値(始点血糖値BSi)と、終了時間帯に位置する血糖値(終点血糖値BSe)と、それらの中間時間帯に位置する血糖値(中央血糖値BSm)とを取得する。次に、IN作用時間予測手段は、前記中央血糖値BSmを、前記始点血糖値BSi及び終点血糖値BSeの平均血糖値BSa((始点血糖値+終点血糖値)/2)と比較する。次に、IN作用時間予測手段は、中央血糖値BSmが前記平均血糖値BSaより所定の増加変動値V1以上多い場合(持続時間増加時)には、個別作用時間Tiが平均作用時間Taより所定の増加時間T1だけ長くなると判断する。一方、IN作用時間予測手段は、中央血糖値BSmが前記平均血糖値BSaより所定の減少変動値V2以上少ない場合(持続時間減少時)には、個別作用時間Tiが平均作用時間Taより所定の減少時間T2だけ短くなると判断する。そして、IN作用時間予測手段は、前記持続時間増加時には、平均作用時間Taに前記増加時間T1を加算した値(Ti=Ta+T1)を特定の個体の個別作用時間Tiとして出力する。一方、IN作用時間予測手段は、前記持続時間減少時には、平均作用時間Taから前記減少時間T2を減算した値(Ti=Ta−T2)を特定の個体の個別作用時間Tiとして出力する。これにより、前記予備シミュレーション部200や本シミュレーション部400が、個体差に応じて、一層正確なインスリン流入曲線を演算及び描画することができ、より正確な血糖予測値のシミュレーションが可能となる。
例えば、上記平均作用時間が12時間のインスリン製剤を朝食前に投与した場合、IN作用時間予測手段は、前記実測血糖値データから、特定の個体の実測血糖値のうち、前記平均作用時間の開始時間帯に位置する血糖値(朝血糖値)と、終了時間帯に位置する血糖値(夕血糖値)と、それらの中間時間帯に位置する血糖値(昼血糖値)とを取得する。次に、IN作用時間予測手段は、前記昼血糖値を、前記朝血糖値及び夕血糖値の平均血糖値((朝血糖値+夕血糖値)/2)と比較する。そして、IN作用時間予測手段は、昼血糖値が前記平均血糖値より所定の増加変動値(昼血糖値*0.2)以上多い持続時間増加時には、個別作用時間が平均作用時間より所定の増加時間(4時間)長くなると判断する。一方、IN作用時間予測手段は、昼血糖値が前記平均血糖値より所定の減少変動値(昼血糖値*−0.1)以上少ない持続時間減少時には、個別作用時間が平均作用時間より所定の減少時間(4時間)短くなると判断する。そして、IN作用時間予測手段は、前記持続時間増加時には、平均作用時間(12時間)に前記増加時間(4時間)を加算した値(12+4=16時間)を特定の個体の個別作用時間Tiとして出力する。一方、IN作用時間予測手段は、前記持続時間減少時には、平均作用時間(12時間)から前記減少時間(4時間)を減算した値(12−4=8時間)を特定の個体の個別作用時間Tiとして出力する。
なお、上記IN作用時間予測手段は、中間型インスリン製剤以外にも、速効型インスリン製剤、混合型インスリン製剤、持続型(持効型)インスリン製剤等、各種のインスリン製剤に対応することができる。即ち、各種のインスリン製剤間では、血糖値パターンに相関性がある(相似または近似する)ため、上記のように、例えば中間型インスリン製剤についての血糖値パターンが決定すると、他のインスリン製剤の血糖値パターンを予測(推定)して決定することができる。そして、上記演算式により、各インスリン製剤の平均作用時間と、その平均作用時間に対応する始点血糖値Ti、中央血糖値Tm、終点血糖値Teに基づき、各インスリン製剤について個別作用時間Tiの予測を行うことができる。2種類のインスリン製剤を同時に投与した場合、例えば、超速効型インスリン製剤と中間型インスリン製剤とを同時投与した場合も、そのインスリン流入曲線を決定することができるため、同様にして個別作用時間Tiの予測を行うことができる。
次に、IN作用時間予測手段は、インスリン製剤の作用持続時間を、そのインスリン製剤投与時の中央血糖値Tmの平均血糖値BSaからの変動値(V1,V2)と相関させた演算式により、そのインスリン製剤の個別作用時間を演算することもできる。図29は本発明の一実施の形態に係る投薬支援プログラムのインスリン作用時間予測時間による、インスリン製剤の作用持続時間とそのインスリン製剤投与時の中央血糖値の平均血糖値からの変動値との相関関係を示すグラフである。
図29において、x軸は平均作用時間が12時間のインスリン製剤投与時における中央血糖値の平均血糖値からの変動値を示し、y軸はインスリン製剤の個別作用時間を示す。この場合、IN作用時間予測手段は、個別作用時間が平均作用時間(12時間)以上であるか未満であるかにより、以下の2種類の演算式を使用して、インスリン製剤の個別作用時間yをそれぞれ演算する。
y>=12(時間) ⇒ y=√ax+b
y<12(時間) ⇒ y=√−2ax+b
ここで、a=80、x=(中央血糖値−平均血糖値)/平均血糖値、b=12
即ち、yが12(時間)以上のときは、axの平方根に定数bを加算してyを算出する。一方、yが12(時間)未満のときは、−2axの平方根に定数bを加算してyを算出する。そして、上記式を満足する放物線により、インスリン製剤の作用持続時間とそのインスリン製剤投与時の中央血糖値の平均血糖値からの変動値との相関関係を近似的に表し、インスリン製剤投与時の中央血糖値の平均血糖値からの変動値から、そのインスリン製剤の作用持続時間の予測値を算出することができる。
なお、上記演算式において、a及びbを以下の範囲としても、同様に、インスリン製剤の個別作用時間yを演算することができる。
60<=a<=100、8<=b<=16
更に、IN作用時間予測手段は、平均作用時間が12時間以外のインスリン製剤についても、以下のようにして、インスリン製剤の作用持続時間を、そのインスリン製剤投与時の中央血糖値Tmの平均血糖値BSaからの変動値(V1,V2)と相関させた演算式により、そのインスリン製剤の個別作用時間を演算することができる。
例えば、平均作用時間がTa(例えば6時間)の速効型インスリン製剤や超速効型インスリン製剤の場合、IN作用時間予測手段は、始点血糖値として朝血糖値(例えば午前7時の血糖値)を取得し、終点血糖値として昼血糖値(例えば午後1時の血糖値)を取得し、中央血糖値として前記始点血糖値と終点血糖値との間の略中央時間帯における血糖値(例えば、午前10時の血糖値)を取得し、それらに基づいて変動値を演算すると共に、個別作用時間yを演算するようにする。
y>=Ta ⇒ y=√ax+b
y<Ta ⇒ y=√−2ax+b
ここで、100<=a<=180、x=(中央血糖値−平均血糖値)/平均血糖値、4<=b<=8
即ち、yがTa(時間)以上のときは、axの平方根に定数bを加算してyを算出する。一方、yがTa(時間)未満のときは、−2axの平方根に定数bを加算してyを算出する。
図1は本発明の実施の形態1に係るインスリン製剤用の投薬支援装置の全体的システム構成を示す機能ブロック図である。 図2は本発明の実施の形態1に係る投薬支援装置の予備シミュレーション部のシステム構成の詳細を示す機能ブロック図である。 図3は本発明の実施の形態1に係る投薬支援装置の解析部のシステム構成の詳細を示す機能ブロック図である。 図4は本発明の実施の形態1に係る投薬支援装置の本シミュレーション部のシステム構成の詳細を示す機能ブロック図である。 図5は本発明の実施の形態1に係る投薬支援装置の補助部のシステム構成の詳細を示す機能ブロック図である。 図6は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイス例の全体画面構成を示す説明図である。 図7は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイスの製剤登録部及び投与条件入力部等を示す説明図である。 図8は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイスの血糖値情報入力部及び経口摂取情報入力部等を示す説明図である。 図9は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイスのグラフ表示部を示す説明図である。 図10は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置のユーザインタフェイスの入力データ表示部を示す説明図である。 図11は一般的な各型のインスリン製剤のインスリン分泌パターン(インスリン流入曲線)を、健常者のインスリン分泌パターン及び血糖値パターンと共に示すグラフである。 図12はインスリン製剤によるインスリン流入曲線の重なりを模式的に示すグラフである。 図13は本発明の一実施の形態に係る投薬支援装置の投薬支援プログラムの全体処理を示すフローチャートである。 図14は図13の起動処理の詳細を示すフローチャートである。 図15は図14の製剤登録・変更・削除処理の詳細を示すフローチャートである。 図16は図14の患者情報初期化処理の詳細を示すフローチャートである。 図17は図13の変更前・変更後各製剤投与条件入力処理の詳細を示すフローチャートである。 図18は本発明の一実施の形態に係る投薬支援プログラムで使用されるインスリン流入曲線の演算処理の一例を説明するためのグラフである。 図19は図18のインスリン流入曲線をX軸方向に所定量ずらした状態を示すグラフである。 図20は図17の投与条件変更前後インスリン流入量・差分演算処理の詳細を示すフローチャートである。 図21は図13の条件変更前後血糖値情報入力処理の詳細を示すフローチャートである。 図22は図21のサンプリング用血糖値演算処理の詳細を示すフローチャートである。 図23は図21のHbA1c演算処理の詳細を示すフローチャートである。 図24は図12のインスリン感受性情報演算処理の詳細を示すフローチャートである。 図25は図13の新規製剤投与条件入力処理の詳細を示すフローチャートである。 図26は図13の経口摂取情報入力処理の詳細を示すフローチャートである。 図27は図13の新規血糖値予測演算処理の詳細を示すフローチャートである。 図28は本発明の一実施の形態に係る投薬支援プログラムの差分解析処理を具体的に説明するためのグラフである。 図29は本発明の一実施の形態に係る投薬支援プログラムのインスリン作用時間予測時間による、インスリン製剤の作用持続時間とそのインスリン製剤投与時の中央血糖値の平均血糖値からの変動値との相関関係を示すグラフである。
符号の説明
10:インスリン製剤投薬支援装置
100:製剤登録部
200:予備シミュレーション部
300:解析部
400:本シミュレーション部
500:補助部

Claims (38)

  1. 個体の体内に1種類以上の製剤を投与する場合に前記製剤の投与をコンピュータにより支援するための投薬支援プログラムであって、
    製剤に対する個体の感受性を表す感受性データと、前記製剤の種類を表す製剤種類データと、前記製剤の投与量を表す投与量データとに基づき、前記製剤による前記個体への製剤作用をシミュレーションする手順と、前記製剤作用を数値情報または視覚情報により出力する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする投薬支援プログラム。
  2. 個体の体内に1種類以上の製剤を投与する場合に前記製剤の投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、
    製剤の投与時間、種類及び/または投与量に応じて、平均的個体の体内へ流入する前記製剤の単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、平均的個体用の製剤流入量時系列データを出力する、平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順と、
    特定の個体毎に決定され、前記製剤に対する前記特定の個体の感受性を表す数値データからなる感受性データを出力する、感受性データ出力部による感受性データ出力手順と、
    製剤の投与時間、種類及び投与量の少なくともいずれか一つの条件変更に対応して、前記感受性データに基づき、前記変更後の条件による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる製剤作用データを経時的にシミュレーションして、製剤作用予測値時系列データを出力する、製剤作用値予測部による製剤作用値予測手順と
    をコンピュータに実行させることを特徴とする投薬支援プログラム。
  3. 前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順は、
    1種類以上の製剤からなる変更前製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記変更前製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記変更前製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、変更前製剤流入量時系列データを出力する、変更前製剤流入量シミュレーション部による変更前製剤流入量シミュレーション手順と、
    1種類以上の製剤からなる変更後製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記変更後製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記変更後製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、変更後製剤流入量時系列データを出力する、変更後製剤流入量シミュレーション部による変更後製剤流入量シミュレーション手順とを含み、
    前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順は、
    前記変更前製剤流入量時系列データと前記変更後製剤流入量時系列データとの差分を演算し、製剤流入量差分解析データを出力する、変更前後製剤流入量差分解析部による変更前後製剤流入量差分解析手順と、
    前記変更前製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる変更前製剤作用データと、前記変更後製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる変更後製剤作用データとの差分を演算し、製剤作用差分解析データを出力する、変更前後製剤作用データ差分解析部による変更前後製剤作用データ差分解析手順と、
    前記製剤流入量差分解析データと前記製剤作用差分解析データとをサンプリングし、前記変更前製剤から前記変更後製剤への変更による前記単位時間当り流入量の変化量と、前記変更前製剤作用データから前記変更後製剤作用データへの変化量とを比例的に関連付けた値を前記感受性データとして出力する、サンプリング部によるサンプリング手順とを含み、
    前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、
    1種類以上の製剤からなる新規製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記新規製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記新規製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、新規製剤流入量時系列データを出力する、新規製剤流入量シミュレーション部による新規製剤流入量シミュレーション手順と、
    前記サンプリング部の前記感受性データの数値に基づき、前記特定の個体における前記変更前製剤作用データを、前記変更前製剤流入量時系列データから前記新規製剤流入量時系列データへの差分に比例して増減変更することにより経時的にシミュレーションし、前記新規製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる新規製剤作用予測値データを出力する、製剤作用予測値出力部による製剤作用予測値出力手順とを含む
    ことを特徴とする請求項2記載の投薬支援プログラム。
  4. 前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順は、
    1種類以上の製剤からなる変更前製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記変更前製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記変更前製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、変更前製剤流入量時系列データを出力する、変更前製剤流入量シミュレーション部による変更前製剤流入量シミュレーション手順と、
    1種類以上の製剤からなる変更後製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記変更後製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記変更後製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、変更後製剤流入量時系列データを出力する、変更後製剤流入量シミュレーション部による変更後製剤流入量シミュレーション手順とを含み、
    前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順は、
    個体差に応じて決定され、製剤による前記特定の個体への製剤作用の度合を表す数値データからなる感受性データを出力する、感受性データ出力部による感受性データ出力手順を含み、
    前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、
    1種類以上の製剤からなる新規製剤を、時間間隔を置いて所定の投与時刻に、平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記新規製剤の投与時刻、種類及び投与量に応じて、前記新規製剤について前記単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、新規製剤流入量時系列データを出力する、新規製剤流入量シミュレーション部による新規製剤流入量シミュレーション手順と、
    前記感受性データ出力部の前記感受性データの数値に基づき、前記変更前製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる前記変更前製剤作用データを、前記変更前製剤流入量時系列データから前記新規製剤流入量時系列データへの差分に比例して増減変更することにより経時的にシミュレーションし、前記新規製剤による前記特定の個体への製剤作用を表す数値データからなる新規製剤作用予測値データを出力する、製剤作用予測値出力部による製剤作用予測値出力手順とを含む
    ことを特徴とする請求項2記載の投薬支援プログラム。
  5. 製剤の血液中流入量と血液中の特定成分量との相関に基づき、前記個体に対して1以上の種類の製剤を投与すると共に、その投与を調節して、前記個体の血液中の特定成分量を制御する場合に使用されるコンピュータのための投薬支援プログラムであって、
    1以上の種類の製剤について、製剤の種類に応じた特性、投与量、投与時刻のうちの少なくとも1以上の投与条件を変更したときに、前記投与条件変更前後における個体の血液中への前記製剤の流入量の変化を経時的にシミュレーションし、前記投与条件変更前後における前記製剤の流入量の差分データを経時的に出力する製剤流入量差分シミュレーション手段と、
    前記投与条件変更前後における前記個体の血液中の特定成分量の変化をそれぞれ経時的にシミュレーションし、前記投与条件変更前後における前記個体の血液中の特定成分量の差分データを経時的に出力する特性成分量差分シミュレーション手段と、
    前記投与条件変更前後における前記製剤の流入量の差分データと、前記投与条件変更前後における前記個体の血液中の特定成分量の差分データとをサンプリングして、それらを互いに関連付けた値からなる感受性データを出力する感受性データ出力手段と、
    前記感受性データに基づき、前記製剤の投与条件に応じて、前記個体の血液中の特定成分量の変化を予測する特定成分量予測手段と
    してコンピュータを機能させることを特徴とする投薬支援プログラム。
  6. 製剤の血液中流入量と血液中の特定成分量との相関に基づき、前記個体に対して1以上の種類の製剤を投与すると共に、その投与を調節して、前記個体の血液中の特定成分量を制御する場合に使用されるコンピュータのための投薬支援プログラムであって、
    1以上の種類の製剤について、製剤の種類に応じた特性、投与量、投与時刻の少なくとも1以上の投与条件を変更したときに、前記投与条件変更前後における個体の血液中への前記製剤の流入量の変化を経時的にシミュレーションし、前記投与条件変更前後における前記製剤の流入量の差分データを経時的に出力する製剤流入量差分シミュレーション手段と、
    個体差に応じて決定され、前記製剤による前記特定の個体の感受性の度合を表す数値データからなる感受性データを出力する感受性データ出力手段と、
    前記感受性データに基づき、前記製剤の投与条件に応じて、前記個体の血液中の特定成分量の変化を予測する特定成分量予測手段と
    してコンピュータを機能させることを特徴とする投薬支援プログラム。
  7. 前記製剤は、インスリン製剤であり、前記個体の感受性は、前記個体のインスリン感受性またはインスリン抵抗性であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の投薬支援プログラム。
  8. 前記製剤は、インスリン製剤であって、前記個体の血管中へ流入すると共に、前記個体の感受性は、前記個体のインスリン感受性またはインスリン抵抗性であり、
    前記個体への製剤作用は、前記個体の血糖値の調節作用であって、前記製剤作用データは、前記個体の血糖値であると共に、前記製剤作用予測値データは、前記変更後のインスリン製剤による前記特定の個体の血糖値の変化を経時的に表す血糖予測値データである
    ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の投薬支援プログラム。
  9. 前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、前記血糖予測値データを出力する血糖値予測部による血糖値予測手順であり、
    前記製剤作用値予測手順は、更に、個体の経口摂取の種類及び量に基づき、前記経口摂取による前記個体の血液中の血糖値の変化量を表す経口摂取変換量を演算して出力する、経口摂取量変換手段による経口摂取量変換手順を有し、前記血糖予測値データを前記経口摂取変換量により補正して出力する
    ことを特徴とする請求項8記載の投薬支援プログラム。
  10. 前記製剤は、インスリン製剤であって、前記個体の血管中へ流入すると共に、前記個体の感受性は、前記個体のインスリン感受性またはインスリン抵抗性であり、
    前記個体への製剤作用は、前記個体の血糖値の調節作用であって、前記製剤作用データは、前記個体の血糖値であると共に、前記製剤作用予測値データは、前記変更後のインスリン製剤による前記特定の個体の血糖値の変化を経時的に表す血糖予測値データであり、
    前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順は、
    1種類以上のインスリン製剤を、時間間隔を置いた所定の投与時刻に、前記平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記インスリン製剤の種類、投与量及び投与時刻のうちの少なくとも1以上の条件を変更したときに、前記インスリン製剤の種類に応じて決定される特性のうちの少なくとも作用発現時間、作用持続時間及び最大作用時間からなる特性データ、前記インスリン製剤の投与量データ並びに前記インスリン製剤の投与時刻データに基づき、前記条件変更前後において、それぞれ、前記平均的個体の血液中に流入する前記単位時間当り流入量としての単位時間当りインスリン流入量を経時的にシミュレーションし、前記条件変更前後のインスリン製剤に対応した前記平均的個体用のインスリン流入量時系列データとして、それぞれ、変更前インスリン流入量時系列データ及び変更後インスリン流入量時系列データを出力する、変更前後インスリン流入量シミュレーション部による変更前後インスリン流入量シミュレーション手順と、
    前記変更前インスリン流入量時系列データ及び前記変更後インスリン流入量時系列データに基づき、前記条件変更前後において前記平均的個体の皮下から血中に吸収されるインスリン流入量を、それぞれ、経時的なグラフとして描画する、インスリン流入量グラフ描画部によるインスリン流入量グラフ描画手順とを含む
    ことを特徴とする請求項2記載の投薬支援プログラム。
  11. 前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順は、更に、前記前記インスリン製剤の種類、投与量及び投与時刻のうちの少なくとも1以上の条件を変更する場合において、その条件変更前後において、それぞれ、前記インスリン製剤の特性データ、前記投与量データ及び前記投与時刻データを前記変更前後製剤流入量シミュレーション部に入力する、変更前後条件入力手段による変更前後条件入力手順を含み、
    前記変更前後製剤流入量シミュレーション部による前記変更前後製剤流入量シミュレーション手順は、前記変更前後条件入力手段からの前記インスリン製剤の特性データ、前記投与量データ及び前記投与時刻データに基づき、前記条件変更前後において、それぞれ、前記平均的個体の血中に流入するインスリン流入量を経時的にシミュレーションし、前記平均的個体用の製剤流入量時系列データとして、前記条件変更前後の前記平均的個体用の製剤流入量時系列データをそれぞれ表す変更前インスリン流入量時系列データ及び変更後インスリン流入量時系列データを出力する
    ことを特徴とする請求項10記載の投薬支援プログラム。
  12. 前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順は、
    前記変更前インスリン流入量時系列データと前記変更後インスリン流入量時系列データとの差分を演算し、前記条件変更によるインスリン流入量の変化量を経時的に表すインスリン流入量差分解析データを出力する、変更前後インスリン流入量差分解析部による変更前後インスリン流入量差分解析手順と、
    前記条件変更前後における前記特定の個体の血糖値の差分を演算し、前記条件変更による血糖値の変化量を経時的に表す血糖値差分解析データを出力する、変更前後血糖値差分解析部による変更前後血糖値差分解析手順と、
    前記インスリン流入量差分解析データと前記血糖値差分解析データとをサンプリングし、前記条件変更前後における単位時間当たりの前記インスリン流入量の変化量とこれに対応する前記血糖値の変化量とをそれらの比により表した値を前記感受性データとして出力する、サンプリング部によるサンプリング手順と、
    前記条件変更前後における前記特定の個体の血糖値をそれぞれ経時的なグラフとして描画する、血糖値グラフ描画手段による血糖値グラフ描画手順とを含み、
    前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、
    前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部で用いた前記インスリン製剤の条件と異なる条件で、1種類以上の新規インスリン製剤を、時間間隔を置いた所定の投与時刻に、前記平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記新規インスリン製剤の特性データ、投与時刻及び投与量に基づき、前記特定の個体の血液中に流入する前記単位時間当り流入量としての単位時間当り新規インスリン流入量を経時的にシミュレーションし、前記新規インスリン製剤に対応した前記特定の個体用の新規インスリン流入量時系列データを出力する、新規インスリン流入量シミュレーション部による新規インスリン流入量シミュレーション手順と、
    前記サンプリング部の前記感受性データの数値に基づき、前記特定の個体における前記条件変更前の前記血糖値を、前記変更前インスリン流入量時系列データと前記新規インスリン流入量時系列データとの差分に比例して増減変更することにより経時的にシミュレーションし、前記新規インスリン製剤による前記特定の個体の予測血糖値を表す血糖予測値データを出力する、血糖値予測部による血糖値予測手順と、
    前記新規インスリン流入量時系列データに基づき、前記平均的個体の皮下から血中に吸収される新規インスリン流入量を経時的なグラフとして描画する、新規インスリン流入量グラフ描画部による新規インスリン流入量グラフ描画手順と、
    前記血糖予測値データに基づき、前記新規インスリン製剤による前記特定の個体の血糖値の変化を経時的なグラフとして描画する、予測血糖値グラフ描画部による予測血糖値グラフ描画手順とを含む
    ことを特徴とする請求項11記載の投薬支援プログラム。
  13. 前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順は、
    個体のインスリン抵抗性を表す指標であるHOMA−Rとして、HOMA−R=1、HOMA−R=3及びHOMA−R=5の3つの値を用意すると共に、これらの値にそれぞれ対応して、前記感受性データのデフォルト値としての3つのデフォルトIRデータを用意し、前記特定の個体の個体差に応じて決定されたいずれかのデフォルトIRデータを出力する、前記感受性データ出力部としてのデフォルトIR部によるデフォルトIR出力手順を含み、
    前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順は、
    前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部で用いた前記インスリン製剤と異なる条件で、1種類以上の新規インスリン製剤を、時間間隔を置いた所定の投与時刻に、前記平均的個体の体内に単発的に所定の投与量でそれぞれ投与する場合において、前記新規インスリン製剤の特性データ、投与時刻及び投与量に基づき、前記特定の個体の血液中に流入する前記単位時間当り流入量としての単位時間当り新規インスリン流入量を経時的にシミュレーションし、前記新規インスリン製剤に対応した前記特定の個体用の新規インスリン流入量時系列データを出力する、新規インスリン流入量シミュレーション部による新規インスリン流入量シミュレーション手順と、
    前記デフォルトIR部の前記デフォルトIRデータの数値に基づき、前記特定の個体における前記条件変更前の前記血糖値を、前記変更前インスリン流入量時系列データから前記新規インスリン流入量時系列データへの差分に比例して増減変更することにより経時的にシミュレーションし、前記新規インスリン製剤による前記特定の個体の予測血糖値を表す血糖予測値データを出力する、血糖値予測部による血糖値予測手順と、
    前記新規インスリン流入量時系列データに基づき、前記平均的個体の皮下から血中に吸収される新規インスリン流入量を経時的なグラフとして描画する、新規インスリン流入量グラフ描画部による新規インスリン流入量グラフ描画手順と、
    前記血糖予測値データに基づき、前記新規インスリン製剤による前記特定の個体の血糖値の変化を経時的なグラフとして描画する、予測血糖値グラフ描画部による予測血糖値グラフ描画部とを含む
    ことを特徴とする請求項11記載の投薬支援プログラム。
  14. 更に、
    前記特定の個体が、複数日にわたって同一測定時刻に計測した実測血糖値に基づき、前記実測血糖値の前記複数日の翌日以降の予測血糖値をサンプリング用血糖値として予測演算する、サンプリング用血糖値演算手段によるサンプリング用血糖値演算手順と、
    前記特定の個体が糖毒性解除過程にあるか否かを判別する、糖毒性解除過程判別手段による糖毒性解除過程判別手順とをコンピュータに実行させ、
    前記サンプリング用血糖値予測演算手段による前記サンプリング用血糖値予測演算手順は、前記糖毒性解除過程判別手段からの入力に基づき、前記特定の個体が糖毒性解除過程にない場合は、前記複数日にわたって計測した前記複数の実測血糖値の平均値を取ることにより前記サンプリング用血糖値を演算し、前記特定の個体が糖毒性解除過程にある場合は、前記複数日にわたって計測した前記複数の実測血糖値の相関値を取ることにより前記サンプリング用血糖値を演算する
    ことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項記載の投薬支援プログラム。
  15. 更に、
    変数yとしての前記特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式
    y=ax+b
    (式中、0.016<=a<=0.048、1.4<=b<=3.4)
    により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順を
    コンピュータに実行させることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項記載の投薬支援プログラム。
  16. 更に、
    変数yとしての前記特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式
    y=ax+b
    (式中、0.016<=a<=0.048、1.4<=b<=3.4)
    により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順をコンピュータに実行させ、
    前記サンプリング用血糖値予測演算手段による前記サンプリング用血糖値予測演算手順は、前記条件変更前の複数日及び前記条件変更後の複数日において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻と、就寝前の所定時刻とにおいてそれぞれ実測した朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき、前記それぞれの複数日の翌日以降における朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値として予測されるそれぞれの値を、条件変更前のサンプリング用血糖値及び条件変更後のサンプリング用血糖値として予測演算し、
    前記血糖値予測部から出力される血糖予測値データは、前記朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に対応する朝血糖予測値、昼血糖予測値、夕血糖予測値及び就寝前血糖予測値からなり、
    前記HbA1c演算手段による前記HbA1c演算手順は、前記条件変更前のサンプリング用血糖値の朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき、前記演算式により、前記条件変更前における前記特定の個体のHbA1cの値を演算すると共に、前記朝血糖予測値、昼血糖予測値、夕血糖予測値及び就寝前血糖予測値に基づき、前記演算式により、前記新規インスリン製剤に変更した場合の前記特定の個体のHbA1cの値を演算する
    ことを特徴とする請求項14記載の投薬支援プログラム。
  17. 前記各回食事直前の血糖値の平均値xは、前記特定の個体において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻と、就寝前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき、演算式
    x=(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+就寝前血糖値*2)/6
    または、演算式
    x=(朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値)/4
    のいずれかにより演算されることを特徴とする請求項15または16項記載の投薬支援プログラム。
  18. 前記HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順は、前記就寝前血糖値として前記昼血糖値を代用し、前記各回食事直前の血糖値の平均値xを、前記特定の個体において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値及び夕血糖値に基づき、演算式
    x=(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+昼血糖値*2)/6
    または、演算式
    x=(朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値)/4
    のいずれかにより演算する
    ことを特徴とする請求項17記載の投薬支援プログラム。
  19. 前記サンプリング用血糖値予測演算手段による前記サンプリング用血糖値予測演算手順は、前記条件変更前の複数日において少なくとも午前中に実測した午前中血糖値について条件変更前サンプリング用血糖値を演算すると共に、前記条件変更後の複数日において少なくとも午前中に実測した午前中血糖値について条件変更後サンプリング用血糖値を演算し、
    前記変更前後インスリン流入量差分解析部による変更前後インスリン流入量差分解析手順は、少なくとも、前記午前中血糖値についての条件変更前サンプリング用血糖値と前記午前中血糖値についての条件変更後サンプリング用血糖値との差分を演算し、前記午前中血糖値について前記変更前後血糖値差分解析データを出力し、
    前記サンプリング部による前記サンプリング手順は、前記午前中血糖値についての前記変更前後血糖値差分解析データと、前記午前中血糖値の測定時間帯における前記インスリン流入量差分解析データとをサンプリングし、前記午前中血糖値の測定時間帯における前記インスリン流入量の変化量とこれに対応する前記午前中血糖値の変化量とをそれらの比により表した値を、前記午前中血糖値についての前記感受性データとして出力し、
    前記血糖値予測部による前記血糖値予測手順は、前記午前中血糖値についての前記感受性データの数値のみに基づき、前記新規インスリン製剤に対応する前記血糖予測値データを出力する
    ことを特徴とする請求項14記載の投薬支援プログラム。
  20. 前記サンプリング用血糖値予測演算手段による前記サンプリング用血糖値予測演算手順は、前記条件変更前の複数日及び前記条件変更後の複数日において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻と、就寝前の所定時刻とにおいてそれぞれ実測した朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値について条件変更後サンプリング用血糖値を演算し、
    前記変更前後インスリン流入量差分解析部による変更前後インスリン流入量差分解析手順は、朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値の各々についての条件変更前サンプリング用血糖値と、朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値についての条件変更後サンプリング用血糖値との差分を演算して、前記変更前後血糖値差分解析データを出力し、
    前記サンプリング部による前記サンプリング手順は、前記朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値についてのそれぞれの血糖値差分解析データと、前記朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値の測定時間帯におけるそれぞれの前記インスリン流入量差分解析データとをサンプリングし、前記朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値の各測定時間帯における前記インスリン流入量の変化量とこれに対応する前記血糖値の変化量とをそれらの比により表した値を、それぞれ、朝血糖値の測定時間帯についての感受性データ、昼血糖値の測定時間帯についての感受性データ、夕血糖値の測定時間帯についての感受性データ及び就寝前血糖値の測定時間帯についての感受性データとして出力し、
    前記血糖値予測部による前記血糖値予測手順は、
    通常は、前記朝血糖値の測定時間帯についての前記感受性データの数値のみに基づき、前記新規インスリン製剤に対応する前記血糖予測値データを出力し、
    前記朝血糖値の測定時間帯についての感受性データ、昼血糖値の測定時間帯についての感受性データ、夕血糖値の測定時間帯についての感受性データ及び就寝前血糖値の測定時間帯についての感受性データが所定の範囲内にある場合のみ、前記朝血糖値の測定時間帯についての感受性データ、昼血糖値の測定時間帯についての感受性データ、夕血糖値の測定時間帯についての感受性データ及び就寝前血糖値の測定時間帯についての感受性データの数値に基づき、前記新規インスリン製剤に対応する前記血糖予測値データを出力する
    ことを特徴とする請求項12記載の投薬支援プログラム。
  21. 更に、
    前記血糖予測値データが所定値以下となったか否かを判別する、低血糖判定手段による低血糖判定手順と、
    前記低血糖判定手段による前記低血糖判定手順において低血糖と判別された場合に警告を発する、低血糖警告手段による低血糖警告手順と
    をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項10記載の投薬支援プログラム。
  22. 更に、
    前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による前記平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順における入出力データ、前記感受性データ出力部による前記感受性データ出力手順における入出力データ、前記製剤作用値予測部による前記製剤作用値予測手順における入出力データを他のコンピュータに転送する、相談・問合せ手段による相談・問合せ手順をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項12記載の投薬支援プログラム。
  23. 個体の体内に1種類以上のインスリン製剤を投与する場合に前記インスリン製剤の投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、
    インスリン製剤の投与時刻種類、及び投与量からなる条件を変更した場合に、前記条件変更前のインスリン流入量及び前記条件変更後のインスリン流入量間の差分と、前記条件変更前のインスリン流入量に対応する特定の個体の血糖値及び前記条件変更後のインスリン流入量に対応する特定の個体の血糖値間の差分とを比により表した値を、前記特定の個体のインスリン感受性を表す感受性データとして出力するインスリン感受性データ演算手順をコンピュータに実行させることを特徴とする投薬支援プログラム。
  24. 変数yとしての特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式
    y=ax+b
    (式中、0.016<=a<=0.048、1.4<=b<=3.4)
    により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順を
    コンピュータに実行させることを特徴とする投薬支援プログラム。
  25. 変数yとしての特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式
    y=ax+b
    (式中、0.024<=a<=0.040、1.8<=b<=3.0)
    により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順を
    コンピュータに実行させることを特徴とする投薬支援プログラム。
  26. 変数yとしての特定の個体のHbA1cの値を、前記特定の個体における各回の食事直前の血糖値の平均値xに基づき、演算式
    y=ax+b
    (式中、0.028<=a<=0.036、2.2<=b<=2.6)
    により演算する、HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順を
    コンピュータに実行させることを特徴とする投薬支援プログラム。
  27. 前記各回食事直前の血糖値の平均値xは、前記特定の個体において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻と、就寝前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値、夕血糖値及び就寝前血糖値に基づき、演算式
    x=(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+就寝前血糖値*2)/6
    または、演算式
    x=(朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値)/4
    のいずれかにより演算されることを特徴とする請求項24乃至26のいずれか1項記載の投薬支援プログラム。
  28. 前記HbA1c演算手段によるHbA1c演算手順は、前記就寝前血糖値として前記昼血糖値を代用し、前記各回食事直前の血糖値の平均値xを、前記特定の個体において、朝食前の所定時刻と、昼食前の所定時刻と、夕食前の所定時刻とにおける朝血糖値、昼血糖値及び夕血糖値に基づき、演算式
    x=(朝血糖値+昼血糖値*2+夕血糖値+昼血糖値*2)/6
    または、演算式
    x=(朝血糖値+昼血糖値+夕血糖値+就寝前血糖値)/4
    のいずれかにより演算する
    ことを特徴とする請求項27記載の投薬支援プログラム。
  29. 個体の血中にバンコマイシンを投与する場合に前記バンコマイシンの投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、
    バンコマイシンの投与時間、種類及び/または投与量に応じて、平均的個体の体内(血中)へ流入する前記製剤の単位時間当り流入量を経時的にシミュレーションし、平均的個体用の製剤流入量時系列データを出力する、平均的個体用製剤流入量シミュレーション部による平均的個体用製剤流入量シミュレーション手順と、
    特定の個体毎に決定され、前記製剤に対する前記特定の個体の感受性を表す数値データからなる感受性データを出力する、感受性データ出力部による感受性データ出力手順と、
    バンコマイシンの投与時間、種類及び投与量の少なくともいずれか一つの条件変更に対応して、前記感受性データに基づき、前記変更後の条件による前記特定の個体へのバンコマイシン血中濃度を表す数値データからなるバンコマイシン血中濃度データを経時的にシミュレーションして、バンコマイシン血中濃度データを出力する、バンコマイシン血中濃度予測部によるバンコマイシン血中濃度予測手順とをコンピュータに実行させる
    ことを特徴とする投薬支援プログラム。
  30. 個体の体内にインスリン製剤を投与する場合に前記インスリン製剤の投与をコンピュータにより支援する投薬支援プログラムであって、
    インスリン製剤についてその平均作用時間を取得する手順と、
    前記平均作用時間の開始時間帯に位置する始点血糖値と、終了時間帯に位置する終点血糖値と、それらの中間時間帯に位置する中央血糖値とを取得する手順と、
    前記中央血糖値が前記始点血糖値及び終点血糖値の平均血糖値より所定の増加変動値以上多い持続時間増加時には、個別作用時間が前記平均作用時間より所定の増加時間だけ長くなると判断する一方、前記中央血糖値が前記平均血糖値より所定の減少変動値以上少ない持続時間減少時には、前記個別作用時間が前記平均作用時間より所定の減少時間だけ短くなると判断し、前記持続時間増加時には、前記平均作用時間に前記増加時間を加算した値を特定の個体の前記個別作用時間として出力する一方、前記持続時間減少時には、前記平均作用時間から前記減少時間を減算した値を前記特定の個体の前記個別作用時間として出力する手順と
    をコンピュータに実行させることを特徴とする投薬支援装置。
  31. 請求項1乃至30のいずれか1項記載の投薬支援プログラムを実行するコンピュータからなることを特徴とする投薬支援装置。
  32. 請求項1乃至30のいずれか1項記載の投薬支援プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
  33. 糖尿病治療におけるインスリン製剤投与の決定を支援する投薬支援装置であって、
    インスリン製剤の製剤特性を含む製剤情報の登録・変更・削除を行うための機能を実現する製剤登録・変更・削除手段と、
    個体に対するインスリン製剤の投与条件を変更する場合に、変更前後のインスリン製剤の投与条件を入力するための機能を実現する変更前後投与条件入力手段と、
    前記インスリン製剤の投与条件の変更前後における血糖値を入力するための機能を実現する変更前後血糖値入力手段と、
    前記インスリン製剤の投与条件変更前の特定時間帯における個体の血中への単位時間当りインスリン流入量及び前記インスリン製剤の投与条件変更後の前記特定時間帯における個体の血中への単位時間当たりインスリン流入量の差分と、前記投与条件の変更前の前記特定時間帯における前記個体の血糖値及び前記投与条件変更後の前記特定時間帯における前記個体の前記血糖値の差分との比を求めることにより、前記インスリン製剤に対する前記個体の感受性を表す数値データからなる感受性データを演算するための機能を実現する感受性データ演算手段と、
    前記インスリン製剤の投与条件を更に変更した場合に、そのインスリン製剤により前記個体の血中に流入するインスリン流入量を時系列で表す新規インスリン流入量時系列データを出力すると共に、前記感受性データに基づき、前記新規インスリン流入量時系列データに対応する前記個体の血糖予測値を演算するための機能を実現する血糖予測値演算手段と
    を備えることを特徴とする投薬支援装置。
  34. 前記製剤登録・変更・削除手段は、
    単発インスリン製剤の特性データを新規登録するための機能を実現する単発製剤登録手段と、
    持続インスリン製剤の特性データを新規登録するための機能を実現する持続製剤登録手段と、
    登録済みインスリン製剤を選択し、前記インスリン製剤の特性データを変更するための機能を実現する製剤選択・特性データ変更手段と、
    登録済みインスリン製剤を選択し、前記インスリン製剤の特性データを削除するための機能を実現する製剤選択・特性データ削除手段と、
    前記インスリン製剤特性データを記憶させるための対応メモリと
    を備えることを特徴とする請求項33に記載の投薬支援装置。
  35. 更に、
    前記単発インスリン製剤の特性データを参照し、混合型インスリン製剤のインスリン流入曲線を演算し、混合インスリン製剤の特性データを登録する混合製剤特性データ登録手段と、
    前記混合型インスリン製剤のインスリン流入曲線データを記憶させるための対応メモリと
    を備えることを特徴とする請求項34に記載の投薬支援装置。
  36. 前記製剤変更前後投与条件入力手段は、
    インスリン製剤の投与時刻を選択・入力するための機能を実現する投与時刻選択手段と、
    単発インスリン製剤における製剤変更前の投与時刻毎のインスリン製剤の種類を選択・入力するための機能を実現する製剤変更前単発製剤選択手段と、
    単発インスリン製剤における製剤変更前のインスリン製剤毎の投与量を選択・入力するための機能を実現する製剤変更前単発製剤投与量選択手段と、
    持続インスリン製剤における製剤変更前のインスリン製剤の種類を選択・入力するための機能を実現する製剤変更前持続製剤選択手段と、
    持続インスリン製剤における製剤変更前の時刻毎の投与量を選択・入力するための機能を実現する製剤変更前持続製剤投与量選択手段と、
    単発インスリン製剤における製剤変更後の投与時刻毎のインスリン製剤の種類を選択・入力するための機能を実現する製剤変更後単発製剤選択手段と、
    単発インスリン製剤における製剤変更後のインスリン製剤毎の投与量を選択・入力するための機能を実現する製剤変更後単発製剤投与量選択手段と、
    持続インスリン製剤における製剤変更後のインスリン製剤の種類を選択・入力するための機能を実現する製剤変更後持続製剤選択手段と、
    持続インスリン製剤における製剤変更後の時刻毎の投与量を選択・入力するための機能を実現する製剤変更後持続製剤投与量選択手段と、
    前記製剤変更前後投与条件入力手段の各種データを記憶させるための対応メモリと
    を備えることを特徴とする請求項33記載の投薬支援装置。
  37. 更に、
    前記製剤変更前後投与条件入力手段から入力されたインスリン製剤の投与条件に応じて、前記個体の血中へのインスリン流入速度と時間との関係を演算するインスリン流入曲線演算手段と、
    前記インスリン流入曲線演算手段の演算結果をインスリン流入曲線としてグラフ描画してディスプレイに表示するグラフ描画手段と、
    前記グラフ描画された前記インスリン流入曲線をマウスドラッグにより変形させることにより、前記インスリン流入速度と時間との関係を変更して、新たなインスリン製剤の投与条件として演算する新規インスリン流入曲線演算手段とを備え、
    前記血糖予測値演算手段は、前記新規インスリン流入曲線演算手段の演算結果に対応して、前記血糖予測値演算手段による前記血糖予測値を変更する
    ことを特徴とする請求項33記載の投薬支援装置。
  38. 請求項31及び請求項33乃至請求項37のいずれか1項記載の投薬支援装置を複数使用した投薬支援システムであって、
    複数の投薬支援装置をネットワークを介して接続し、任意の投薬支援装置と専門医の投薬支援装置との間で各種データの授受を行うようにした
    ことを特徴とする投薬支援システム。
JP2004142324A 2004-05-12 2004-05-12 投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム Expired - Fee Related JP4273036B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004142324A JP4273036B2 (ja) 2004-05-12 2004-05-12 投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004142324A JP4273036B2 (ja) 2004-05-12 2004-05-12 投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005326943A true JP2005326943A (ja) 2005-11-24
JP4273036B2 JP4273036B2 (ja) 2009-06-03

Family

ID=35473273

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004142324A Expired - Fee Related JP4273036B2 (ja) 2004-05-12 2004-05-12 投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4273036B2 (ja)

Cited By (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006129375A1 (ja) * 2005-06-03 2006-12-07 Ataru Okumura 投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム
JP2007200093A (ja) * 2006-01-27 2007-08-09 Sysmex Corp 医療用シミュレーションシステム及びそのコンピュータプログラム
JP2008525767A (ja) * 2004-12-23 2008-07-17 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー インスリンのボーラス量を決定するシステム及び方法
JP2008200502A (ja) * 2005-04-06 2008-09-04 Mallinckrodt Inc 医療流体及びその容器に関する情報を管理するシステム及び方法
JP2008545489A (ja) * 2005-06-03 2008-12-18 メドトロニック・ミニメッド・インコーポレーテッド 糖尿病患者を教育し、治療するためのバーチャルペイシェント(仮想患者)ソフトウェアシステム
JP2010279399A (ja) * 2009-06-02 2010-12-16 Nikkiso Co Ltd 患者データ管理装置
JP2011065539A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Sysmex Corp 食後血糖推定装置、食後血糖推定方法及びコンピュータプログラム
JP2011104138A (ja) * 2009-11-18 2011-06-02 Seiko Epson Corp 予測血糖値算出装置、予測血糖値算出方法およびプログラム
JP2012161620A (ja) * 2012-03-29 2012-08-30 Seiko Epson Corp 予測血糖値算出装置、予測血糖値算出方法およびプログラム
WO2012097129A3 (en) * 2011-01-12 2012-11-01 The Regents Of The University Of California System and method for closed-loop patient-adaptive hemodynamic management
JP2013176579A (ja) * 2006-11-17 2013-09-09 Medtronic Minimed Inc 消費者電子デバイスを使用する糖尿病管理のためのコネクタ、システムおよび方法
WO2013136585A1 (ja) * 2012-03-12 2013-09-19 オムロンヘルスケア株式会社 糖尿病治療支援装置、糖尿病治療支援方法、糖尿病治療支援プログラム
JP2014160517A (ja) * 2007-10-12 2014-09-04 Patientslikeme Inc 病状の個人管理および監視
JP2016511038A (ja) * 2013-02-21 2016-04-14 ユニバーシティ・オブ・ヴァージニア・パテント・ファウンデーション 糖尿病患者における平均血糖の変化追跡
WO2018003750A1 (ja) * 2016-06-28 2018-01-04 コニカミノルタ株式会社 看介護項目入力装置、看介護項目入力方法及び看介護項目管理システム
JP2018164466A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 テルモ株式会社 送液ポンプ及び送液システム
JP2020501236A (ja) * 2016-11-15 2020-01-16 インスレット コーポレイション 基礎インスリン管理
CN110741438A (zh) * 2017-06-15 2020-01-31 诺和诺德股份有限公司 具有适应性靶葡萄糖水平的基础滴定
US10770185B2 (en) 2011-05-11 2020-09-08 Sony Corporation Information processing apparatus and information processing method
JP2021072959A (ja) * 2012-12-21 2021-05-13 デカ・プロダクツ・リミテッド・パートナーシップ 電子的な患者看護のためのコンピュータにより実施される方法、システム、および装置
JP2022043110A (ja) * 2016-07-08 2022-03-15 ノボ・ノルデイスク・エー/エス インスリン感受性を判断するためのシステムおよび方法
USD977502S1 (en) 2020-06-09 2023-02-07 Insulet Corporation Display screen with graphical user interface
US11676221B2 (en) 2009-04-30 2023-06-13 Patientslikeme, Inc. Systems and methods for encouragement of data submission in online communities
EP4207210A1 (en) * 2021-12-29 2023-07-05 Diabeloop Computerized method to assess confidence in a main predictive output determined by a predictive model
US11857763B2 (en) 2016-01-14 2024-01-02 Insulet Corporation Adjusting insulin delivery rates
US11865299B2 (en) 2008-08-20 2024-01-09 Insulet Corporation Infusion pump systems and methods
US11894139B1 (en) 2018-12-03 2024-02-06 Patientslikeme Llc Disease spectrum classification
US11929158B2 (en) 2016-01-13 2024-03-12 Insulet Corporation User interface for diabetes management system
USD1020794S1 (en) 2018-04-02 2024-04-02 Bigfoot Biomedical, Inc. Medication delivery device with icons
USD1024090S1 (en) 2019-01-09 2024-04-23 Bigfoot Biomedical, Inc. Display screen or portion thereof with graphical user interface associated with insulin delivery
US11969579B2 (en) 2017-01-13 2024-04-30 Insulet Corporation Insulin delivery methods, systems and devices

Cited By (50)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008525767A (ja) * 2004-12-23 2008-07-17 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー インスリンのボーラス量を決定するシステム及び方法
JP2008200502A (ja) * 2005-04-06 2008-09-04 Mallinckrodt Inc 医療流体及びその容器に関する情報を管理するシステム及び方法
JP2008545489A (ja) * 2005-06-03 2008-12-18 メドトロニック・ミニメッド・インコーポレーテッド 糖尿病患者を教育し、治療するためのバーチャルペイシェント(仮想患者)ソフトウェアシステム
WO2006129375A1 (ja) * 2005-06-03 2006-12-07 Ataru Okumura 投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム
JP2007200093A (ja) * 2006-01-27 2007-08-09 Sysmex Corp 医療用シミュレーションシステム及びそのコンピュータプログラム
JP2013176579A (ja) * 2006-11-17 2013-09-09 Medtronic Minimed Inc 消費者電子デバイスを使用する糖尿病管理のためのコネクタ、システムおよび方法
JP2014160517A (ja) * 2007-10-12 2014-09-04 Patientslikeme Inc 病状の個人管理および監視
JP2018028952A (ja) * 2007-10-12 2018-02-22 ペイシェンツライクミー, インコーポレイテッド 病状の個人管理および監視
JP2016053997A (ja) * 2007-10-12 2016-04-14 ペイシェンツライクミー, インコーポレイテッド 病状の個人管理および監視
US11865299B2 (en) 2008-08-20 2024-01-09 Insulet Corporation Infusion pump systems and methods
US11676221B2 (en) 2009-04-30 2023-06-13 Patientslikeme, Inc. Systems and methods for encouragement of data submission in online communities
JP2010279399A (ja) * 2009-06-02 2010-12-16 Nikkiso Co Ltd 患者データ管理装置
JP2011065539A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Sysmex Corp 食後血糖推定装置、食後血糖推定方法及びコンピュータプログラム
JP2011104138A (ja) * 2009-11-18 2011-06-02 Seiko Epson Corp 予測血糖値算出装置、予測血糖値算出方法およびプログラム
US10434255B2 (en) 2011-01-12 2019-10-08 The Regents Of The University Of California System and method for closed-loop patient-adaptive hemodynamic management
US11517672B2 (en) 2011-01-12 2022-12-06 The Regents Of The University Of California System and method for closed-loop patient-adaptive hemodynamic management
WO2012097129A3 (en) * 2011-01-12 2012-11-01 The Regents Of The University Of California System and method for closed-loop patient-adaptive hemodynamic management
US9022974B2 (en) 2011-01-12 2015-05-05 The Regents Of The University Of California System and method for closed-loop patient-adaptive hemodynamic management
US11684717B2 (en) 2011-01-12 2023-06-27 The Regents Of The University Of California System and method for closed-loop patient-adaptive hemodynamic management
US10910111B2 (en) 2011-05-11 2021-02-02 Sony Corporation Information processing apparatus and information processing method
US10770185B2 (en) 2011-05-11 2020-09-08 Sony Corporation Information processing apparatus and information processing method
US9131903B2 (en) 2012-03-12 2015-09-15 Omron Healthcare Co., Ltd. Diabetes treatment support apparatus, diabetes treatment support method, diabetes treatment support program
WO2013136585A1 (ja) * 2012-03-12 2013-09-19 オムロンヘルスケア株式会社 糖尿病治療支援装置、糖尿病治療支援方法、糖尿病治療支援プログラム
JP2013188240A (ja) * 2012-03-12 2013-09-26 Omron Healthcare Co Ltd 糖尿病治療支援装置、糖尿病治療支援方法、糖尿病治療支援プログラム
JP2012161620A (ja) * 2012-03-29 2012-08-30 Seiko Epson Corp 予測血糖値算出装置、予測血糖値算出方法およびプログラム
JP7030222B2 (ja) 2012-12-21 2022-03-04 デカ・プロダクツ・リミテッド・パートナーシップ 電子的な患者看護のためのコンピュータにより実施される方法、システム、および装置
JP2021072959A (ja) * 2012-12-21 2021-05-13 デカ・プロダクツ・リミテッド・パートナーシップ 電子的な患者看護のためのコンピュータにより実施される方法、システム、および装置
JP2016511038A (ja) * 2013-02-21 2016-04-14 ユニバーシティ・オブ・ヴァージニア・パテント・ファウンデーション 糖尿病患者における平均血糖の変化追跡
US11929158B2 (en) 2016-01-13 2024-03-12 Insulet Corporation User interface for diabetes management system
US11857763B2 (en) 2016-01-14 2024-01-02 Insulet Corporation Adjusting insulin delivery rates
JP7021635B2 (ja) 2016-06-28 2022-02-17 コニカミノルタ株式会社 看介護項目入力装置、看介護項目入力方法及び看介護項目管理システム
JPWO2018003750A1 (ja) * 2016-06-28 2019-04-18 コニカミノルタ株式会社 看介護項目入力装置、看介護項目入力方法及び看介護項目管理システム
WO2018003750A1 (ja) * 2016-06-28 2018-01-04 コニカミノルタ株式会社 看介護項目入力装置、看介護項目入力方法及び看介護項目管理システム
JP2022043110A (ja) * 2016-07-08 2022-03-15 ノボ・ノルデイスク・エー/エス インスリン感受性を判断するためのシステムおよび方法
JP2022043112A (ja) * 2016-07-08 2022-03-15 ノボ・ノルデイスク・エー/エス インスリン感受性を判断するためのシステムおよび方法
JP7201590B2 (ja) 2016-11-15 2023-01-10 インスレット コーポレイション 基礎インスリン管理
JP2020501236A (ja) * 2016-11-15 2020-01-16 インスレット コーポレイション 基礎インスリン管理
US11969579B2 (en) 2017-01-13 2024-04-30 Insulet Corporation Insulin delivery methods, systems and devices
JP2018164466A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 テルモ株式会社 送液ポンプ及び送液システム
CN110741438B (zh) * 2017-06-15 2023-12-29 诺和诺德股份有限公司 具有适应性靶葡萄糖水平的基础滴定
JP7389834B2 (ja) 2017-06-15 2023-11-30 ノボ・ノルデイスク・エー/エス 適合可能な標的グルコースレベルを用いる基礎タイトレーション
JP7178370B2 (ja) 2017-06-15 2022-11-25 ノボ・ノルデイスク・エー/エス 適合可能な標的グルコースレベルを用いる基礎タイトレーション
CN110741438A (zh) * 2017-06-15 2020-01-31 诺和诺德股份有限公司 具有适应性靶葡萄糖水平的基础滴定
JP2020524844A (ja) * 2017-06-15 2020-08-20 ノボ・ノルデイスク・エー/エス 適合可能な標的グルコースレベルを用いる基礎タイトレーション
JP2022095682A (ja) * 2017-06-15 2022-06-28 ノボ・ノルデイスク・エー/エス 適合可能な標的グルコースレベルを用いる基礎タイトレーション
USD1020794S1 (en) 2018-04-02 2024-04-02 Bigfoot Biomedical, Inc. Medication delivery device with icons
US11894139B1 (en) 2018-12-03 2024-02-06 Patientslikeme Llc Disease spectrum classification
USD1024090S1 (en) 2019-01-09 2024-04-23 Bigfoot Biomedical, Inc. Display screen or portion thereof with graphical user interface associated with insulin delivery
USD977502S1 (en) 2020-06-09 2023-02-07 Insulet Corporation Display screen with graphical user interface
EP4207210A1 (en) * 2021-12-29 2023-07-05 Diabeloop Computerized method to assess confidence in a main predictive output determined by a predictive model

Also Published As

Publication number Publication date
JP4273036B2 (ja) 2009-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4273036B2 (ja) 投薬支援プログラム、投薬支援装置、投薬支援プログラムを記録した記録媒体及び投薬支援システム
JP4330650B2 (ja) 投薬支援プログラム
American Diabetes Association Standards of care in diabetes—2023 abridged for primary care providers
JP6440808B2 (ja) 病状の個人管理および監視
JP5460051B2 (ja) 糖尿病患者を教育し、治療するためのバーチャルペイシェント(仮想患者)ソフトウェアシステム
Balas et al. Computerized knowledge management in diabetes care
EP2582286B1 (en) Structured tailoring
US10290070B2 (en) System and method for integrating data with guidelines to generate displays containing the guidelines and data
Plougmann et al. DiasNet—a diabetes advisory system for communication and education via the internet
JP7384362B2 (ja) 情報処理方法及び情報処理装置
Zisser et al. Clinical performance of three bolus calculators in subjects with type 1 diabetes mellitus: a head-to-head-to-head comparison
Nardacci et al. Individualizing care for the many
Gorman et al. DEMS—a second generation diabetes electronic management system
Rodbard The ambulatory glucose profile: opportunities for enhancement
Albisser A graphical user interface for diabetes management that integrates glucose prediction and decision support
Bode et al. What's ahead in glucose monitoring? New techniques hold promise for improved ease and accuracy
Lange et al. Optimizing insulin pump therapy: the potential advantages of using a structured diabetes management program
Miele et al. Clinical outcomes associated with referral-based continuous glucose monitoring using a central standardized interpretation strategy
US11990238B2 (en) Decision support and treatment administration systems
Volkov et al. DiaMeter: a Mobile Application and Web Service for Monitoring Diabetes Mellitus
Dakin et al. Economic evaluation of factorial trials: cost-utility analysis of the atorvastatin in factorial with omega EE90 risk reduction in diabetes 2× 2× 2 factorial trial of atorvastatin, omega-3 fish oil, and action planning
Mellor et al. A review of the current nutritional guidelines for diabetes
Couto Automatic calculation of insulin dose for proteins and lipids
Hindmarsh et al. Insulin pump therapy
Laosa et al. Clinical trials in older people

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070511

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20080905

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20080926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081022

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090202

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090302

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20180306

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees