JP2005326400A - 試料検査装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 反応場の微細化、高密度化を図る場合であっても十分な分析精度を確保することができ、小型化が容易で、繰り返し使用の可能な試料検査装置及びその製造方法の提供。
【解決手段】 試料検査装置100は、分析すべき測定対象物を含む2以上の液滴を独立に収容するための2以上の凹部3が設けられた試料載置面F1を有する基板1を少なくとも備える。面F1は、疎水性の単分子膜2により被覆される第1の領域F11と、内部が単分子膜2に被覆されておらずかつ親水性を有する2以上の第2の領域F12とに少なくとも区分されている。各凹部3の底面はF12により形成され、各凹部3の全内側面を含む全外周部分はF11を被覆する単分子膜2により形成されている。膜2は、有機分子を用いて形成されておりかつ面F1に共有結合により固定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特定遺伝子や特定タンパク質等の分析すべき測定対象物を含む液滴中で起こる発光反応を検出することより分析を行う試料検査装置及びその製造方法に関する。
近年、病気の診断や予防、創薬等を目的とした遺伝子解析の新たなツールとして、DNAチップやDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」という)が広く実用化されている。DNAチップとしては、一般に、ガラス基板上に既知遺伝子配列のDNAプローブを含むDNA溶液の液滴を試料の液滴を固定するための面(以下、必要に応じて「試料載置面」という)上にスポットして、多種のDNAプローブを高密度に固定化したものや、ガラス基板上(ガラス基板の試料載置面上)でDNAを合成することによってDNAプローブを固定化したもの等がある。
このようなDNAチップは、多項目(多種類、異なる組成)かつ多数の試料についての同時分析、同一項目(同一種類、同一組成)かつ多数の試料についての同時分析を実現し、分析効率を向上させ、分析コストを低減し、更には、分析装置の小型化を図ることが望まれている。そのために、試料載置面上の反応場(試料溶液の液滴)の微細化、高密度化を更に進めるための様々な検討が行われている。
DNAチップは、例えば、検査対象から採取したmRNAから逆転写した相補的DNA(cDNA)を、DNAプローブを固定化した分析部にアプライし、cDNAと基板上のDNAプローブとのハイブリッド形成を検出することによって、目的遺伝子の発現の有無を検出できる。また、このようなDNAチップによれば、例えば、少量の試料でも有効に分析が可能である。更に、このようなDNAチップによれば、多種のDNAプローブを一つの基板に固定化できるため、一つのDNAチップにおいて同一検体につき、多項目の分析を行うことができる。
前述のようなハイブリッド形成等を検出する際には、一般に蛍光標識等が利用されている。例えば、検出対象の遺伝子を、PCR(polymerase chain reaction)法により増幅する際に、蛍光物質で増幅産物が標識されるようにする。これによって、標識化された増幅産物と固定化されたDNAプローブとのハイブリッド形成を、蛍光によって検出できる。
上記の発光(又は発色)を検出するための検出手段としては、DNAチップにおける発光状態(又は発色状態)を2次元的なマップとして認識し、一度に多くの情報を得ることを意図して、CCD(チャージカップルドデバイス:電荷結合素子)が一般に使用されている。CCDを発光検出手段として備える従来の検出装置は、暗室である装置内部にCCDが配置されており、使用時には、検出対象遺伝子と固定化プローブとのハイブリッド形成を行ったDNAマイクロチップを装置内部に配置し、その発光を検出する構成を有する(例えば、非特許文献1参照)。
また、検出感度の向上を意図して、発光検出手段としてフォトダイオードを使用し、このフォトダイオードの上に蛍光反応の反応場となる蛍光反応槽を形成した構成の蛍光検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
更に、基板上(基板の試料載置面上)に、金属やプラスチックポリマー製のマトリクスパターンを形成することにより、試料等の液溶媒に対して非親和性を示す凸部を設け、隣りあう反応場同士を隔離する構成を有する反応場アレーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この反応場アレーは、上記凸部を形成することにより、基板上の反応場(試料溶液の液滴)を微細化しかつ基板上に多数集積化して配置する場合に、基板上での試料溶液の液滴の拡散による、隣接する反応場同士の混合(コンタミネーション)の発生を防止することを意図したものである。
また、遺伝子検査を安価、簡便に行うための装置として、生体試料が収納される複数の反応槽が1次元又は2次元に配列される試料プレートと、光センサが形成される複数のピクセルが1次元又は2次元に配列される光センサアレイ及び信号を読み出す上記ピクセルを選択するピクセル選択回路が形成される光センサアレイ基板と、上記反応槽と上記ピクセルとが1対1で垂直方向で対応するように、試料プレートと上記光センサアレイ基板とを固定する部材とを有し、選択された上記ピクセルに対応する上記反応槽内で、上記生体試料と試薬との反応により生成する光を、選択された上記ピクセルの上記光センサにより受光して、選択された上記ピクセルから信号を読み出す構成を有する生体試料検査装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この装置は、遺伝子検査を安価、簡便に行うために、小型化、高感度化、低コスト化を目指した構成を意図したものである。
松永是(監修)、ゲノム工学研究会「DNAチップ応用技術」、株式会社シーエムシー、2000年7月31日、p.45〜p.49 特開2002−350346号公報 特開平11−99000号公報 特開2003−329681号公報
しかしながら、上述の技術をはじめとする従来技術では、DNAチップの試料載置面上に滴下する液滴の体積を更に微量化し、かつ、その数を更に増加させることにより、反応場の微細化、高密度化を更に進め、分析効率の更なる向上、分析コストの更なる低減、分析装置の更に小型化を同時に図る場合には、分析精度の低下が起こり易くなり、その実現が極めて困難となっていた。
より具体的には、分析試料の液滴の体積(反応場)を1000pL以下としかつ試料の液滴の配置される分析試料の液滴の体積(反応場)の密度(試料載置面の単位面積当たりに配置される液滴の数)を1万個/cm2以上とする場合、液滴同士のコンタミネーションの発生が発生し易くなり、分析精度の低下が起こり易くなっていた。
特に、液滴の体積を好ましくは35pL以下(より好ましくは1.2pL以下)とし、かつ、反応場の密度を好ましくは10万個/cm2以上(より好ましくは100万個/cm2以上)とし、従来では実現することが極めて困難であった高いレベルで試料載置面上の反応場の微細化、高密度化を試みる場合、一度に多種、多数かつ極微量の分析試料を、正確かつ迅速に、然も小さな分析スペースで分析することが極めて困難であった。
例えば、非特許文献1に記載のDNAチップ及び検出装置は、DNAチップにおける、試料載置面は親水性の材料(例えば、ガラス等)からなる。そのため、試料載置面に滴下された液滴の面上での拡がりの進行を十分に防止することには限界があり、そのため、上述の極めて高いレベルを目指して試料載置面上の反応場の微細化、高密度化を試みる場合には、試料載置面に滴下された液滴のうちの隣接するもの同士が混ざり合う、いわゆるコンタミネーションの発生を十分に防止することが極めて困難であり、十分な分析精度を確保することが極めて困難となっていた。
また、非特許文献1に記載のDNAチップ及び検出装置では、DNAチップの試料載置面の上方に配置されるCCDを精度よく位置決めすることが困難なため、分析精度の更なる向上を図るには限界があった。より詳しくは、試料載置面に滴下された全ての液滴に対してCCDの距離を正確に一定とすることが極めて困難であり、試料載置面上の液滴の滴下位置(固定位置)の違いによる各液滴とCCDとの距離のバラつきを無くすことが極めて困難であった。
更に、このDNAチップ及び検出装置の場合、発光や発色の信号が微弱な場合、信号をCCDで受けることが困難になり、分析感度が低下するという問題があった。また、DNAチップの大きさと比較した場合、装置の暗室は極めて大きく設計することが必要であるため、装置の小型化を試みる場合にも限界があった。
また、特許文献1に記載の検出装置は、透明基板上に立設した透明材料からなる容器を蛍光反応槽とする構成、又は、表面透明基板の表面を加工して形成した凹部を蛍光反応槽とする構成を有しており、上述のようなレベルで反応場(液滴)の微細化、高密度化を更に進め、分析効率の更なる向上、分析コストの更なる低減、分析装置の更なる小型化を同時に図る場合には限界があった。すなわち、1000pL以下(好ましくは35pL以下、より好ましくは1.2pL以下)の体積の液滴を収容可能な微小なスケールの凹部を透明基板表面に高密度で形成することは容易ではなく、その際に、各凹部の容積のバラつきを十分に低減することも容易ではなかった。各凹部の容積のバラつきを十分に低減できない場合には、十分な分析精度を確保することが困難となる。
また、特許文献2に記載の反応場アレーにおいて、試料の液滴が水系の場合には、基板表面に形成する凸状マトリクスパターン(第2の領域)は疎水性である必要があり、具体的には感光性樹脂等の樹脂材料から形成されている(例えば、特許文献2中、段落番号0029、段落番号0035〜0038を参照)。基板上に形成される感光性樹脂等の樹脂材料からなる凸状マトリクスパターンは、基板から剥離しやすく、十分な信頼性を得ることが困難であった。特に、基板からの凸状マトリクスパターンの全て又は部分的な剥離を十分に防止することが困難であり、長期にわたり繰り返し使用する場合、又は、長期にわたり保存する場合に、十分な信頼性を得ることが困難であった。この凸状マトリクスパターンが基板から剥離しやすいことについての理由については明確に解明されていないが、凸状マトリクスパターンは、物理吸着、分子間力、又は水素結合などの弱い結合で基板表面に固定されていることが要因の一つとなっていると本発明者らは考えている。
更に、特許文献2に記載の反応場アレーにおいては、基板表面に形成する凸状マトリクスパターンを、蒸着法を用いた成膜技術により形成される金属製の凸状マトリクスパターンとする場合にも、上述の剥離を十分に防止することが困難であり、長期にわたり繰り返し使用する場合、又は、長期にわたり保存する場合に、十分な信頼性を得ることが困難であった。また、金属製の凸状マトリクスパターンとする場合、この凸状マトリクスパターン表面は、金属酸化物からなる親水性の膜が形成され易く、水系の試料の液滴を使用すると、コンタミネーションが発生し易くなる。
更に、特許文献2に記載の反応場アレーにおいて、感光性樹脂等の樹脂材料からなる凸状マトリクスパターンを基板上に形成する場合、樹脂材料からなる膜の膜厚の寸法設定や、膜厚の均一化の実現が極めて困難であった。例えば、基板上に樹脂材料からなる膜を形成し、その一部をエッチング等の技術により除去してパターニングして凸状マトリクスパターンを形成する場合、膜の一部を除去する際に、膜厚ムラが顕著に生じ易くなる。膜厚ムラが顕著になると、反応場の体積にバラつきが生じ、十分な分析精度が得にくくなる。
更に、特許文献2に記載の反応場アレーの場合、凸状マトリクスパターンの高さが大きく、反応場の密度を1万個/cm2以上とすることは極めて困難であった。例えば、特許文献2に記載の反応場アレーの場合、凸状マトリクスパターンの高さを1μm以上とする構成を採用することにより、コンタミネーションの発生を防止することができる旨の記載(例えば、特許文献2の請求項24、特許文献2の段落番号0044の記載内容参照)があるが、この場合、反応場の体積を1000pL以下とすること(例えば800pLとすること)ができても、反応場の密度を1万個/cm2以上とすることは極めて困難であると考えられる。
また、特許文献3に記載の生体試料検査装置は、反応槽の容積が大きい(例えば、反応槽の大きさが直径2mm,深さ2mm、特許文献3中の段落番号0016参照)。これに対して、遺伝子や固定化DNAなどの分析対象は、ナノメートルオーダーである。このように、分析対象の遺伝子や固定化DNAの大きさに対して、反応場が極めて大きいため、1つの反応槽に対して大量の試料溶液が必要となっていた。また、試料が不足すると、ハイブリッド形成が効率よくできず検出精度が低下するおそれがあった。
また、上述の課題は何れもDNAチップを用いる分析に関する技術分野にのみ生じるものではなく、液相中に含まれる物質の定性又は定量分析を行う技術分野、並びに、液相を反応場とする化学反応及び生化学反応に関する反応開発やその反応解析を行う技術分野においても、上述のような高いレベルでの試料載置面上の反応場の微細化、高密度化を試みる場合には、同様に生じるものである。
本発明は以上の問題を鑑みてなされたものであり、反応場の微細化、高密度化を図る場合(特に、反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とすること)であっても十分な分析精度を確保することができ、小型化が容易で、繰り返し使用の可能な試料検査装置、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、分析対象となる分析すべき測定対象物を含む液滴が水又は水溶性の溶媒のうちの少なくとも1種の溶媒を含む液滴の場合、当該分析すべき測定対象物を含む液滴が滴下される基板の面(試料載置面)に、有機分子を原料とする疎水性の単分子膜を用いて複数の凹部を形成し、当該凹部に上記液滴を収容させる構成とすることが上述の目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、分析すべき測定対象物を含む2以上の液滴をそれぞれ独立に収容するための2以上の凹部が設けられた試料載置面を有する基板を少なくとも備えており、
試料載置面は、疎水性の単分子膜により被覆される第1の領域と、内部が単分子膜に被覆されておらずかつ親水性を有する2以上の第2の領域と、に少なくとも区分されており、
凹部の底面は第2の領域により形成されており、凹部の全内側面を含む全外周部分は第1の領域を被覆する単分子膜により形成されており、
基板の内部には、2以上の凹部のそれぞれに収容された2以上の液滴のそれぞれから放出される光をそれぞれ独立に光電変換可能な2以上の光電変換部が、2以上の凹部のそれぞれに対して1対1で対応するように設けられており、
単分子膜は、有機分子を用いて形成されており、かつ、試料載置面に共有結合により固定されていること、
を特徴とする試料分析装置を提供する。
ここで、本発明において「液滴」とは、被検体となる物質と、水及び水溶性の溶媒のうちの少なくとも1種の溶媒と、を含む液滴をいう。この液滴には、上記の特性を保持可能な範囲であれば、分析の目的等により必要に応じて他の溶質、溶媒を含有させてもよい。
また、本発明において「2以上の光電変換部が、2以上の凹部のそれぞれに対して1対1で対応するように設けられている」状態とは、以下の状態をいう。すなわち、試料載置面上に形成されたα個の凹部{凹部1,凹部2,…,凹部i,…,凹部α}(ここで、i=1,2,…,α;1≦α,ここでのiは凹部の番号を示す。)に対し、同数のα個の光電変換部{光電変換部1,光電変換部2,…,光電変換部i,…,光電変換部α}(ここで、i=1,2,…,α;1≦α,ここでのiは2以上の光電変換部のそれぞれの番号を示し、光電変換部iは凹部iと同じ番号のものを示す。)が基板中に設けられており、1つの凹部(凹部i)に対し、当該凹部(凹部i)に固定された液滴の分析のみを専用に行うための光電変換部(光電変換部i)が1つ配置されている状態を示す。
また、基板中における光電変換部の形成位置(凹部iに対応する光電変換部iの形成位置)は対応する凹部(凹部i)に固定された液滴から発せられる光を検出できれば、特に限定されないが、凹部から光電変換部まで(凹部iから光電変換部iまで)の実効光路を十分に短くして分析感度を十分に確保する観点及び装置の小型化を図る観点から、光電変換部は、これに対応する凹部のほぼ直下に配置されていることが好ましい。
更に、本発明においては、1つの光電変換部が1つの光電変換素子(例えば、フォトダイオード)から構成されていてもよく、1つの光電変換部が2以上の光電変換素子から構成されていてもよい。試料検査装置の小型化を十分に図る観点からは1つの光電変換部が1つの光電変換素子から構成されていることが好ましく、装置の分析感度を容易かつ十分に確保する観点からは1つの光電変換部が2以上の光電変換素子から構成されていることが好ましい。
また、本発明において「単分子膜」とは、有機分子を原料として用いて形成されており、試料載置面に共有結合により固定されている膜をいう。また、単分子膜は、上記凹部の容積と、上記凹部の密度を同時に達成することが可能であれば、単一の膜(1層)から構成されているものであってもよく、単一の膜が複数積層された積層体からなる膜であってもよい。なお、1層目の単分子膜を形成した後2層目の単分子膜を形成しようとする際に、当該単分子膜の表面に第1特性基が結合していない場合があるが、この場合には、表面処理により第1の特性基を結合させればよい。更に、単分子膜は、上記凹部の容積と、上記凹部の密度を同時に達成することが可能であれば、上記の単一の膜からなる部分と上記の積層体からなる部分とが混在する膜であってもよい。このような膜は、試料載置面上の複数の凹部を2以上のグループに分けて、各グループの凹部の容積に差異を設ける必要がある場合などに使用可能である。
上述した本発明の試料検査装置において、試料載置面上に形成される単分子膜は、有機分子を用いて形成されるため、極めて薄い膜厚を有している。そのため、試料載置面上に形成される凹部の容積を極めて小さくすることができ、1000pL以下の体積の微小な液滴を容易に収容可能となる。なお、「収容」された状態とは、凹部中に液滴の全てが入っている状態の他に、凹部に液滴が固定されていれば凹部の開口部から液滴の一部がはみ出している状態も含まれる。
また、試料載置面上に形成される疎水性の単分子膜は、原料の有機分子の末端が試料載置面に共有結合された状態で固定されているため、試料載置面上に極めて強固に固定される。そのため、試料載置面上において隣り合う凹部間の距離(単分子膜で被覆された第1の領域の面積)を非常に小さくしても、隣り合う凹部間を隔てる単分子膜は試料載置面上に強固に結合しており、その剥離が十分に防止される。しかも、各凹部の底面(第2の領域)は親水性を有しているため、凹部内に収容された液滴は当該凹部の底面に水素結合により確実に固定され、一旦収容された凹部からその外部の領域へ拡散してしまうことが十分に防止される。
故に、本発明においては、隣り合う凹部間の距離を非常に小さくし、反応場(凹部に収容される液滴)の密度を1万個/cm2以上とする場合であっても、凹部内に収容された液滴同士の混合が十分に防止される(コンタミネーションの発生が確実に防止される)。そのため、本発明の試料検査装置は十分な分析精度を確保することもできる。
更に、試料載置面上に形成される疎水性の単分子膜は、均一な厚さで容易に形成し易いため、各凹部の容積のバラつきを十分に低減し、各反応場(各凹部に収容される液滴)の体積を容易に一定にすることができる。そのため、この観点からも本発明の試料検査装置は十分な分析精度を確保することができる。
また、本発明においては、基板内部に設けられる光電変換部の微細な2次元配置パターンに応じて、試料載置面の第1の領域及び第2の領域の区分を適切に行い、第1の領域にのみ選択的に単分子膜を形成することが容易にできる。そのため、極めて微細なパターンで凹部を試料載置面上に2次元的に形成することが容易に可能である。このため、各凹部に収容された液滴で起こる発光反応を効率よく光電変換部で検出することが可能となる。
従って、本発明の試料検査装置によれば、試料載置面上に、容積が極めて小さな凹部が、極めて高密度で形成されため、反応場の微細化、高密度化(特に、反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とすること)を容易かつ確実に図ることができる。また、本発明の試料検査装置によれば、十分な分析精度を確保することもできる。更に、本発明の試料検査装置によれば、極めて少量の試料で分析を行うことが可能となり、分析コストを低減することもできる。また、凹部を高密度に形成できるため、本発明の試料検査装置は、多数の試料、多項目の分析、同一項目の複数分析等を一度に効率よく行うことも可能となる。
更に、本発明の試料検査装置は、上述のように反応場の微細化、高密度化を容易かつ確実に図ることができる構成を有するため、小型化を容易に図ることができる。
また、上述のように、本発明の試料検査装置において、単分子膜は、試料載置面の第1の領域に共有結合により固定されている。そのため、試料検査装置を長期にわたり繰り返し使用する場合、又は、長期にわたり保存する場合であっても、単分子膜の剥離が十分に防止されるので、本発明の試料検査装置は十分な信頼性を得ることができる。
また、凹部の構成を、親水性を有する底面(第2の領域)と、疎水性の単分子膜で形成される全内側面とからなる構成(第1の領域を単分子膜で被覆する構成)とすることにより、凹部の底面上に滴下される液滴は、略半球状又は先端部が略半球状の略柱状の形状を呈した状態で固定されることになる。そのため、凹部の幾何学的容積に比較して、実際に凹部に収容される液滴(凹部の底面上に固定される液滴)の体積を非常に大きくすることができる。従って、幾何学的容積の小さな凹部を形成しても、十分な分析感度を得られるだけの量の液滴を使用することができる。しかも、凹部の底面上に滴下される液滴は、略半球状又は先端部が略半球状の略柱状の形状を呈した状態で固定されることになる。そのため、凹部の底面上に固定された液滴は、集光に有利な形状を呈していることになり、この観点からも本発明の試料分析装置は十分な分析感度を容易に得ることが可能となる。
例えば、凹部の底面(第2の領域)を円形近似した場合、凹部の底面上には、その半径rにほぼ匹敵する高さ(凹部の底面から液滴の頂点までの距離)の大きさの液滴を保持できる。例えば、単分子の膜厚の1000倍以上の高さの液滴を凹部[凹部の底面(第2の領域)]に固定できることを本発明者らは確認した。例えば、後述の実施例においては約1万倍の高さの液滴を凹部[凹部の底面(第2の領域)]に固定できることを本発明者らは確認した。このように、極めて小さな領域に上記のように十分な量の液滴を固定することは、先に述べた従来技術の構成では実現することが極めて困難である。
例えば、先に述べた特許文献2には、凸状マトリクスパターンの高さを1μm以上とすることでコンタミネーションの発生を抑えることができる旨の記載(例えば、特許文献2の請求項24、特許文献2の段落番号0044の記載内容参照)があるが、本発明では、上記凸状マトリクスパターンの高さに相当する単分子膜の厚さを50nm以下としても十分にコンタミネーションが防止可能であることを発明者らは確認した。
本発明の試料検査装置は、例えば、医療や創薬、分析等の各種分野において、DNAチップ、DNAマイクロアレイ等の分析装置やその製造方法として、極めて有用である。
また、本発明において、単分子膜は、その分子構造、構成元素などの様々な分析手法によりその存在を確認することが可能である。例えば、後述する実施例において説明するように、赤外分光分析装置、核磁気共鳴装置、有機質量分析装置、二次イオン質量分析装置、X線光電子分光装置、X線反射率測定装置、及び透過型電子顕微鏡のうちの少なくとも1つの分析装置を用いて分析することによりその存在を確認することが可能である。
ここで、本発明の試料検査装置においては、反応場(凹部に収容される液滴)の微細化、高密度化を図る観点、好ましくは反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とする観点から、凹部に収容される液滴の体積は、0.01pL〜1000pLであることが好ましく、0.01pL〜35pLであることがより好ましく、0.01pL〜1.2pLであることが更に好ましい。なお、凹部に収容される液滴の体積が0.01pL未満となると、十分な分析感度を得ることが困難となる傾向が大きくなる。
また、凹部に収容される液滴の体積が1000pLを超えると、反応場の微細化、高密度化を図ることが困難となる傾向が大きくなる。更に、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜35pLとすると、反応場の密度を容易に10万個/cm2以上とすることができる。また、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1.2pLとすると、反応場の密度を容易に100万個/cm2以上とすることができる。
先にも述べたように本発明の試料検査装置においては、凹部に収容される液滴の体積に比べて凹部の容積(幾何学的容積)を十分に小さくすることができる。そのため、本発明においては、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1000pLとする場合、凹部の容積はこれよりも十分に小さくすることができる。具体的には、この場合、凹部の容積は2×10-6pL〜1pLであることが好ましい。
上記と同様の観点から、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜35pLとする場合、凹部の容積は2×10-6pL〜1×10-1pLであることが好ましい。更に、上記と同様の観点から、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1.2pLとする場合、凹部の容積は2×10-6pL〜2×10-3pLであることが好ましく、2×10-6pL〜7×10-4pLであることがより好ましい。
また、本発明の試料検査装置においては、反応場(凹部に収容される液滴)の微細化、高密度化を図る観点、好ましくは反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とする観点から、試料載置面の単位面積当たりに形成される凹部の数が1万個/cm2以上であることが好ましい。
ここで、本発明において、「試料載置面の単位面積当たりに形成される凹部の数」を決定する場合の「試料載置面の単位面積」とは、試料載置面中の第1の領域の面積及び第2の領域面積の総和から算出される値を意味する。従って、試料載置面に第1の領域及び第2の領域以外に他の領域が含まれる場合にも、「試料載置面の単位面積」は、当該他の領域を除外した試料載置面中の第1の領域の面積及び第2の領域面積の総和から算出される。なお、本明細書においては、「試料載置面の単位面積当たりに形成される凹部の数」を必要に応じて「試料載置面の凹部の密度」ともいう。
また、本発明においては、反応場の密度を10万個/cm2以上とする観点からは、試料載置面の単位面積当たりに形成される凹部の数が10万個/cm2以上であることがより好ましい。更に反応場の密度を100万個/cm2以上とする観点からは、試料載置面の単位面積当たりに形成される凹部の数が100万個/cm2〜800万個/cm2であることが更に好ましい。
ここで、試料載置面の単位面積当たりに形成される凹部の数が800万個/cm2を超えると、各凹部に対応する光電変換部の大きさが小さくなり、光電変換部の分析感度が低下する傾向が大きくなる。また、このように光電変換部が小さくなると、光電変換部に発生する暗電流の割合が多くなる傾向が大きくなる。また、この場合、凹部に収容される液滴の体積も小さくなる傾向にあり、蛍光の発光量も少なくなって分析感度が低下し、この低下分を補うために、受光時間(分析時間)を長くする、サンプリング回数を多くするなどの対処が必要になる傾向にある。
本発明において、単分子膜の厚さは、反応場の微細化、高密度化が可能となる厚さ、特に試料載置面の凹部の容積を0.01pL〜1pLの範囲とし、かつ、試料載置面上に形成される凹部の密度を、1万個/cm2以上とすることが可能となる厚さであれば特に限定されない。例えば、試料載置面に共有結合した後の有機分子1つ(単分子)の大きさ(長さ)と等しくてもよく、1つの有機分子の大きさを超える厚さを有していてよい。ただし、本発明の効果をより確実に得る観点からは、単分子膜の厚さは、0.5nm〜50nmであることが好ましく、0.5nm〜10nmであることがより好ましく、0.5nm〜5nmであることが更に好ましい。
より具体的には、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1000pLとし、かつ、試料載置面上に形成される凹部の密度を1万個/cm2以上とする場合には、凹部の容積を2×10-6pL〜1pLとすることが好ましく、凹部の底面(第2の領域)の面積を4μm2〜17500μm2とすることが好ましく、単分子膜の厚さは、上記凹部の容積の大きさと面積の大きさを実現するように調節することが好ましい。
また、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜35pLとし、かつ、試料載置面上に形成される凹部の密度を10万個/cm2以上とする場合には、凹部の容積を2×10-6pL〜1×10-1pLとすることが好ましく、凹部の底面(第2の領域)の面積を4μm2〜1600μm2とすることが好ましく、単分子膜の厚さを0.5nm〜50nmとすることが好ましい。
更に、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1.2pLとし、かつ、試料載置面上に形成される凹部の密度を100万個/cm2以上とする場合には、凹部の容積を2×10-6pL〜2×10-3pLとすることが好ましく、凹部の底面(第2の領域)の面積を4μm2〜155μm2とすることが好ましく、単分子膜の厚さを0.5nm〜10nmとすることが好ましい。また、この場合、凹部の容積を更に小さくし、2×10-6pL〜7×10-4pLとすることも好ましく、凹部の底面(第2の領域)の面積を上記と同一の範囲として単分子膜の厚さは0.5nm〜5nmとすることが好ましい。
また、本発明においては、上述の凹部に収容される液滴の体積、試料載置面上に形成される凹部の密度、凹部の容積、凹部の底面の面積及び単分子膜の厚さの各条件を満たす試料検査装置を容易かつ確実に形成し、本発明の効果をより確実に得る観点から、単分子膜は、基板として、有機分子と結合する末端部分に、−OH、−NH2、=N−H、及び、−SHからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有する親水性の第1特性基を試料載置面に有する基板を使用し、有機分子として、第1特性基と縮合反応可能な第2特性基を分子鎖の一端に有し、かつ、疎水性の第3特性基を分子鎖の他端に有する有機分子を使用し、有機分子を試料載置面に接触させ、第1特性基と第2特性基との縮合反応を進行させる、単分子膜形成工程を経て形成されていることが好ましい。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上述の構成を有する基板と、上述の構成を有する有機分子を用いることが、極めて薄くかつ均一な厚さを有する単分子膜を容易かつ確実に形成するために有効であることを見出した。この単分子膜形成工程を経て単分子膜を形成することにより、先に述べたように、極めて微小の反応場を高密度で試料載置面に形成することが容易かつ確実にできる。ここで、基板は、試料載置面に第1特性基を結合可能な構成を有しているものであれば試料載置面に予め第1特性基を有しているものでなくてもよく、単分子膜形成工程において、表面修飾処理により試料載置面に第1特性基を結合させた基板であってもよい。
更に、単分子膜形成工程には、容器中において、有機分子を非プロトン性溶媒中に添加して得られる有機分子含有液と、基板の試料載置面とを接触させて縮合反応を進行させる第1工程が含まれており、第1工程において、有機分子含有液に接触している気相中の水分量を、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合、該相対湿度値が35%以下となるように調節することが好ましい。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上記の第1工程の条件のもとで単分子膜と形成することにより上述の第1特性基を有する試料載置面と縮合反応する有機分子であって、反応性が非常に高くて重合し易い有機分子を使用する場合であっても、極めて薄くかつ均一な厚さを有する単分子膜を容易かつ確実に形成することができることを見出した。ここで、第1工程で有機分子含有液に使用する「非プロトン性溶媒」とは、非プロトン性溶媒のうち、有機分子を溶解可能又は分散可能な溶媒をいう。ただし、厚さが均一な単分子膜を容易かつ正確に得る観点からは、第1工程で使用する非プロトン性溶媒は、有機分子を溶解可能な溶媒であることが好ましい。
また、第1工程において、有機分子含有液に接触している気相中の水分量が22℃における相対湿度値に換算して表現した場合に35%を超えると、製造中において、試料載置面と有機分子との縮合反応よりも有機分子同士の重合反応が進行し易くなり、有機分子を原料とする重合体からなる塊がミクロンオーダーまで容易に成長し、極めて薄くかつ均一な厚さを有する単分子膜を得ることが困難となる傾向が大きくなる。極めて薄くかつ均一な厚さを有する単分子膜を更に確実に得る観点から気相中の水分量は、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合に25%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。
更に、第1工程で使用する容器としてはグローブボックスが好ましい。第1工程で、水分量を上記の範囲に調節した気相を構成する構成成分ガスとしては、希ガス及び窒素ガスからなる群より選択される少なくとも1種のガスであることが好ましい。ただし、第1工程で、有機分子又は非プロトン性溶媒の酸化反応の進行、単分子膜の酸化による劣化の進行を十分に抑制することが可能な条件の下であれば、空気を使用してもよい。例えば、第1工程を行う際の気相の温度、有機分子含有液の温度、有機分子の濃度、有機分子と試料載置面の接触時間等を調整することにより空気を使用することもできる。
本発明における単分子膜の原料となる有機分子についての詳細な説明は後述する。
また、本発明は、2以上の光電変換部が2次元的に配列された状態で内蔵されており、かつ、対向する2つの主面のうちの少なくとも一方の面に−OH、−NH2、=N−H、及び、−SHからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有する親水性の第1特性基が結合された基板を形成する基板形成工程と、
基板の第1特性基が結合された側の主面を、分析すべき測定対象物を含む2以上の液滴をそれぞれ独立に固定するための試料載置面とし、該試料載置面を、疎水性の単分子膜により被覆される第1の領域と、内部が単分子膜に被覆されておらず全外周部分が第1の領域により囲まれる2以上の第2の領域と、に少なくとも区分する領域区分工程と、
第1の領域のみに選択的に単分子膜を形成することにより、2以上の液滴をそれぞれ独立に収容するための2以上の凹部を、2以上の光電変換部のそれぞれに対して1対1で対応するように設ける単分子膜形成工程と、
を少なくとも含んでおり、
単分子膜形成工程において、
第1特性基と縮合反応可能な第2特性基を分子鎖の一端に有し、かつ、疎水性の第3特性基を分子鎖の他端に有する有機分子を単分子膜の原料として使用し、
得られる凹部の底面が第2の領域により形成され、凹部の全内側面を含む外周部分が第1の領域を被覆する単分子膜により形成されるように、有機分子を試料載置面に接触させ、第1特性基と第2特性基との縮合反応を進行させ、単分子膜を試料載置面に共有結合により固定された状態で形成すること、
を特徴とする試料検査装置の製造方法を提供する。
本発明の試料検査装置の製造方法によれば、先に述べた本発明の試料検査装置を容易かつ確実に得ることができる。
本発明の試料検査装置によれば、試料載置面上に、容積が極めて小さな凹部が、極めて高密度で形成されている。そのため、反応場の微細化、高密度化(特に、反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とすること)を容易かつ確実に図ることができる。
また、本発明の試料検査装置は、凹部の全内側面を含む外周部分(第1の領域)が単分子膜により被覆された構成を有しているので、隣り合う凹部間の距離を非常に小さくしても、凹部内に収容された液滴同士の混合が確実に防止される。その際、凹部の底面(第2の領域)は親水性を有しているので、凹部内に収容された液滴は当該凹部の底面に水素結合により確実に固定される。即ち、本発明の試料検査装置は、隣り合う凹部間の距離を非常に小さくしても、コンタミネーションの発生が確実に防止される。その結果、本発明の試料検査装置では、上記のように反応場の微細化、高密度化を図る場合であっても十分な分析精度を確保することができる。
更に、本発明の試料検査装置は、上述のように反応場の微細化、高密度化を容易かつ確実に図ることができる構成を有するため、小型化を容易に図ることができる。また、本発明の試料検査装置において、単分子膜は、試料載置面の第1の領域に共有結合により固定されている。そのため、基板からの単分子膜の全て又は部分的な剥離を十分に防止することが可能である。故に、本発明の試料検査装置は、長期にわたり繰り返し使用する場合、又は、長期にわたり保存する場合であっても十分な信頼性を得ることができる。
また、本発明の試料検査装置の製造方法によれば、上記本発明の試料検査装置を容易かつ確実に製造することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の試料検査装置の第一実施形態を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す試料検査装置の基本構成を概略的に示す部分断面図である。図1及び図2に示すように、試料検査装置100は、分析すべき測定対象物を含む2以上の液滴をそれぞれ独立に収容するための2以上の凹部3が設けられた試料載置面F1を有する板状の基板1(半導体集積回路基板)と、基板1の側面に一体的に設けられた、CPU4、メモリー部5及びデータ入出力部6と、を少なくとも備えた構成を有している。
図2に示すように、試料載置面F1は、疎水性の単分子膜2により被覆される第1の領域F11と、内部が単分子膜2に被覆されておらずかつ親水性を有する2以上の第2の領域F12とに少なくとも区分されている。そして、各凹部3の底面は上記第2の領域F12により形成されており、各凹部3の全内側面を含む全外周部分は上記第1の領域F11を被覆する単分子膜2により形成されている。更に、この試料検査装置100の場合には、試料載置面F1のうちの第2の領域F12以外の領域は全て第1の領域F11となっており、当該第1の領域F11は全て単分子膜2により被覆された構成を有している。更に、上記の単分子膜2は、有機分子を用いて形成されており、かつ、試料載置面F1に共有結合により固定されている。
また、基板1の内部には、各凹部3のそれぞれに収容された液滴から放出される光を独立に光電変換可能な光電変換部70が、2以上の凹部3のそれぞれに対して1対1で対応するように設けられている。更に、この試料検査装置100の場合、1つの光電変換部70が1つのフォトダイオード(光電変換素子)からなる構成を有している。
更に、この試料検査装置100の場合、基板1は、試料載置面F1を有し、液滴から放出される光に対する光透過性を有する保護層12(最上部の層)と、保護層12の下方に配置されており、上記光電変換部70を含む半導体層7と、を少なくとも有する積層体からなる。
より詳しく説明すると、図2に示すように、この試料検査装置100の場合、基板1は、保護層12と半導体層7との間に、半導体層7の側から保護層12の側に向けて見た場合に、主として、無機酸化物層8、層間絶縁膜9、絶縁膜10が順次積層された構成を有している。また、絶縁膜10と保護層12との間であって、各凹部3の直下の領域(光電変換部の直上の領域)にはカラーフィルタ11が更に配置されている。また、層間絶縁膜9と絶縁膜10との間であって、各凹部3の直下の領域以外の領域(光電変換部の直上の領域以外の領域)には、遮光膜15が更に配置されている。また、無機酸化物層8中には第1電極13が埋設されており、無機酸化物層8と層間絶縁膜9との間であって第1電極13の近傍の領域には第2電極14が配置されている。
無機酸化物層8は、第1の電極13及び第2の電極14を形成するために設けられる層である。この無機酸化物層8は半導体層7の上面に一体化された状態で配置される層であり、凹部3に収容される液滴から発せられる光に対する光透過性を有している。なお、この無機酸化物層8の第1の電極13の下部領域に窒化シリコンからなる領域を形成する場合もある。無機酸化物層8を構成する無機酸化物としては、凹部3に収容される液滴から発せられる光に対する光透過性を有していればよく特に限定されない。例えば、SiO2が挙げられる。
層間絶縁膜9は遮光膜15と第2の電極14との電気的接触を防止するために設けられる層である。層間絶縁膜9を構成する絶縁体材料としては、凹部3に収容される液滴から発せられる光に対する光透過性を有していればよく特に限定されない。例えば、SiO2が挙げられる。
絶縁膜10は、カラーフィルタ11と遮光膜15とが接触しないように分離するための層である。絶縁膜10を構成する絶縁体材料としては、凹部3に収容される液滴から発せられる光に対する光透過性を有していればよく特に限定されない。
保護層12(最上部の層)は、試料載置面F1を有しており凹部3が形成される層である。また、この保護層12は、上記カラーフィルタ11を設ける場合に、そのスペースを確保し、カラーフィルタ11を保護するために設けられる層である。この保護層12を構成する構成材料としては、凹部3に収容される液滴から発せられる光に対する光透過性を有していればよく特に限定されない。例えば、SiO2が挙げられる。
遮光膜15は、光電変換部70のpn接合面以外の半導体層7の領域に凹部3に収容される液滴から発せられる光が入射することを防止するために設けられる膜である。この保護層12を構成する構成材料としては、凹部3に収容される液滴から発せられる光を遮蔽可能な光不透過性を有していればよく特に限定されない。例えば、金属製薄膜(アルミニウムやクロムなどの金属製薄膜)が挙げられる。
カラーフィルタ11は、凹部3に収容される液滴から発せられる光のうちの特定の波長を有する光のみを選択的に光電変換部70に入射させるために使用するフィルタである。カラーフィルタ11は、凹部3に収容される液滴から発せられる光のうち、検出すべき特定の波長を有する光に対する光透過性を有していればよく、その構成材料も、上記の特定の波長を有する光に応じて適宜選択される。
第1電極13は光電変換部70に1対1で対応するように設けられる電極である。また、第1電極13は、光電変換部70のpn接合面の電位を独立に制御するために使用される。更に、光電変換部70のpn接合面の電位を独立に制御するために、第1電極13には、レジスター(図示せず)が電気的に接続されている。なお、レジスターは基板1中に埋設されている。そして、レジスターにより制御された第1電極13により、フォトダイオードのpn接合面の電位が変化し、フォトダイオードで生成する電子はp-分離領域76に移動し、更に垂直転送部n型領域78に移動することができるようになる。
また、第2電極14も光電変換部70に1対1で対応するように設けられる電極である。第2電極14は、垂直転送部n型領域78の電荷を移動させるための電極である。なお、この第2電極14は、必須の構成要素ではなく、例えば、第1電極13が第2電極の機能を兼ねてもよい。
半導体層7は、n型シリコン基板71と、n型シリコン基板71上に配置される第1のpウェル72とを含む構成を有している。更に、第1のpウェル72の上面のうちの凹部3のほぼ直下にあたる領域には、n型半導体領域74が設けられている。このn型半導体領域74と第1のpウェル72とからなるフォトダイオード(光電変換素子)がpn接合面を有する光電変換部70として機能する。
また、第1のpウェル72の上面のうちの光電変換部70に隣接する領域上には、p-分離領域76が設けられている。また、第1のpウェル72の上面のうちのp-分離領域76に隣接する領域の上方には垂直転送部n型領域78が設けられている。更に、第1のpウェル72と垂直転送部n型領域78との間には第2のpウェル77が設けられている。また、第1のpウェル72の上面の領域のうちの、光電変換部70、p-分離領域76垂直転送部n型領域78、及び、第2のpウェル77からなるユニット間の領域には、当該ユニット間を隔てるp+分離領域73が設けられている。
第1のpウェル72及び第2のpウェル77における導入不純物の濃度は、例えば、第1のpウェル72を相対的に低濃度、第2のpウェル77を相対的に高濃度とする。この第2のpウェル77は、通常、n型半導体領域74の小型化に伴う、電荷転送の効率低下を補助するために設けられるものである。また、p+分離領域73及びp-分離領域76は、通常、フォトダイオードと垂直転送部n型領域78とを分離するための領域である。p-分離領域76は、更に第1電極13による電位の読み出しの際に、光電変換部から垂直転送部n型領域78への電荷移動を行うためのものである。n型半導体領域74上のp+型領域75は、紫外線の入射が起こる場合であって、紫外線の入射が不都合な場合に、光電変換部への紫外線入射を防止するために設けられるものである。
垂直転送部n型領域78は、β行×γ列で2次元配列される光電変換部70(図1の試料検査装置100においては5行×7列の2次元配列)の列方向に平行に配置されている柱状の領域であって、1つの列ごとに1個設けられている。なお、「β行×γ列で2次元配列された状態」とは、平面上の行方向にγ個の光電変換部70が等間隔で直線状に配列され、かつ、上記平面と同一平面の列方向(行方向に略直交する方向)にβ個の光電変換部70が等間隔で直線状に配列されている状態を示す。第1の電極13及び第2の電極14によるpn接合面の電位の制御により、光電変換部70で発生した電荷は混合又は分散されることなく、この垂直転送部n型領域78中を垂直方向(列方向)に移動させられる。なお、試料載置面F1には、光電変換部70に対応する凹部3がβ行×γ列で2次元配列されている。
また、この基板1の場合、半導体層7のγ個の垂直転送部n型領域78と同一平面の外縁部に、当該γ個の垂直転送部n型領域78と直交するように配置される柱状の水平転送部n型領域(図示せず)が1つ設けられている。垂直転送部n型領域78中を垂直方向に移動してくる電荷はこの水平転送部n型領域に移動することにより水平方向(行方向)に移動させられる。
更に、γ個の垂直転送部n型領域78のそれぞれには、垂直転送部操作信号入力端子(図示せず)が接続されている。この垂直転送部操作信号入力端子の他端は、先に述べたレジスター(図示せず)に電気的に接続されている。そして、垂直転送部操作信号入力端子を用いて第1の電極13に電圧を印加することにより垂直転送部n型領域78に光電変換部70のpn接合面で発生した電荷を移動させ、ついで第2の電極14に電圧を印加することにより、当該電荷を垂直転送部n型領域78中で垂直方向に移動させることができる。このような電圧の印加を第1の電極、第2の電極に順次行うことにより、光電変換部70のpn接合面で発生した電荷を垂直転送部n型領域78中で垂直方向に移動させることができる。
また、水平転送部n型領域には、水平転送部操作信号入力端子(図示せず)が接続されている。この水平転送部操作信号入力端子の他端は、先に述べたレジスター(図示せず)に電気的に接続されている。そして、この水平転送部操作信号入力端子を用いて第1の電極13、第2の電極14に電圧の印加を順次行うことにより、光電変換部70のpn接合面で発生した電荷を水平転送部n型領域中で水平方向に移動させることができる。
更に、この基板1の場合、受光情報を増幅して出力するための出力アンプ(図示せず)と、信号出力端子(図示せず)とが更に設けられている。
また、試料検査装置100には、フォトダイオードで光電変換された電荷信号を増幅するための増幅トランジスタ、電荷信号を読み出した後にフォトダイオードの電荷をリセットするリセットトランジスタ、及び、それらに付属する金属配線、電源線(何れも図示せず)が設けられている。
メモリー部5は、光電変換部70から得られる分析情報{発光反応により得られる光の情報(波長又は色、強度、光量等)}の情報が順次蓄積される構成を有する。また、メモリー部5には、光電変換部70から得られる分析情報に基づき、凹部中に存在する分析すべき測定対象物の同定又は定量等の分析を行うための基準となる基準データが格納されている。例えば、プローブ遺伝子を用いて遺伝子解析を行う場合、試料載置面F1上の複数の凹部3のうちのどの位置の凹部3にどの種類のプローブ遺伝子を予め配置しておくのか等の情報である。また、例えば、どの凹部3で発光が検出されたか等の各凹部3の位置を特定するためのデータも格納されている。更に、カラーフィルタ11を使用する場合には、波長又は色を特定するための基準データも格納されている。更に、メモリー部5には、凹部3に液滴を滴下するための液滴吐出手段(例えば、後述の第2実施形態の試料検査装置101に備えられる液滴供給部40)の凹部3に対する位置決めを正確に行うための基準データが格納されていてもよい。例えば、凹部3間の距離、凹部3の底面の面積等の液滴吐出手段を基板1に対して相対的に移動させるための基準データである。更に、メモリー部5には、上記の基準データに基づいてCPU4が演算処理(分析の演算処理や位置決めのための演算処理)を行うためのプログラムが格納されていてもよい。更に、メモリー部5には、CPU4で行われた結果を格納する機能が備えられていてもよい。更に、メモリー部5には外部とのデータ、情報のやり取りを行うために必要なプログラム、データが格納されていてもよい。
また、CPU4は、メモリー部5及びデータ入出力部6に接続されており、光電変換部70から得られる分析情報と、メモリー部5に格納されている基準データとを比較して、これらの演算処理を行うためのプログラムに基づき演算処理する。そして、分析すべき測定対象物の同定又は定量等の分析に関する分析結果を求める。また、CPU4は、演算処理結果に基づき、その妥当性、各凹部3の分析結果を統計的に処理し、測定対象物の成分組成の推定等の判断を行わせる構成を備えていてもよい。更に、CPU4は、メモリー部5に格納されている位置決めのための基準データに基づき凹部3に液滴を滴下するための液滴吐出手段を制御し、凹部3に対する位置決めを正確に行う構成を有していてもよい。更に、CPU4は光電変換部70から得られるデータを補正する構成を備えていてもよい。更に、CPU4は分析結果、統計的手段等による解析結果、また、これら結果から得られる推定や判断を人に認識させる演算機能が備えられていてもよい。また、CPU4は計測、分析等に関係する異常を感知し、適切な回避を行うための機能、それを外部に警告する機能が備えられていてもよい。
データ入出力部6は、モニタ等の情報出力機器、コンピュータ等の情報出入力機器に電気的に接続され、分析データの出力、分析を行うためのメモリー部5への基準データの入力等のデータのやり取りを行う。また、データ入出力部6は、必要に応じて電力を供給する役割を兼ねていてもよい。
基板1中における光電変換部70の形成位置は、対応する凹部3に固定された液滴から発せられる光を検出できれば、特に限定されないが、凹部3から光電変換部70までの実効光路を十分に短くして分析感度を十分に確保する観点及び試料検査装置100の小型化を図る観点から、図2に示すように、光電変換部70は、これに対応する凹部3のほぼ直下に配置されていることが好ましい。
試料載置面F1上に形成される各凹部3は、液滴を収容するためのものである。先にも述べたように、凹部3は、極めて薄い膜厚を有する単分子膜2を用いて形成されているため、1000pL以下の体積の微小な液滴を容易に収容可能な極めて小さな容積とすることができる。
各凹部3の底面(第2の領域F12)には、後述する親水性の第1特性基が結合されている。これにより、凹部3内に収容された液滴は当該凹部3の底面に水素結合により確実に固定され、一旦収容された凹部3からその外部へ拡散してしまうことが十分に防止される。また、単分子膜2を形成する以前の試料載置面F1の第1の領域F11にも上記の親水性の第1特性基が結合されており、第1の領域F11上に単分子膜2を形成する際に、原料の有機分子と親水性の第1特性基との縮合反応が進行し、得られる単分子膜2は試料載置面F1に共有結合された状態で固定されることになる。
試料載置面F1に結合している親水性の第1特性基は、有機分子と縮合反応可能な活性水素を有していることが好ましい。有機分子と縮合反応可能な活性水素を有する第1特性基としては、上記の縮合反応により有機分子と結合する側の末端部分に、−OH、−NH2、=N−H、及び、−SHからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有するものであることがより好ましい。上記以外の第1特性基で、有機分子と縮合反応可能な活性水素を有する第1特性基としては、−SO3H、−SO2H、−PO3H、−PO32、及び−CO2Hからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有していることがより好ましい。
なお、有機分子と縮合反応可能な活性水素を有する第1特性基は、全体が試料載置面F1から露出した状態だけでなく、活性水素のみ又は活性水素を含む−OH、−SH、=N−H、−NH2の部分のみ試料載置面F1から露出した状態であり活性水素以外の部分が基板1の内部に含まれている状態であってもよい。例えば、活性水素以外の部分が基板1の内部に含まれている場合、活性水素以外の部分が基板1の構成元素と結合していてもよい。より具体的には、例えば、基板1の試料載置面F1近傍が光透過性を有する金属酸化物を構成材料として構成されている場合であって、第1特性基が−PO3Hの場合、−PO3H全体が試料載置面F1から露出していてもよく、−PO3Hのうちの−OHのみ露出しており、−PO2−の部分が基板内部に含まれていてもよい。基板内部に含まれる−PO2−の部分は−PO2−の状態のままでもよく、Pに結合した酸素が金属酸化物バルク中の金属原子(金属イオン)Mと結合して、例えば、−P−O−M−のような構造を有した状態となっていてもよい。
上記第1特性基と後述する有機分子の第2特性基との縮合反応により、基板1の第1の領域F11と単分子膜2との間で形成される共有結合は、試料載置面F1に結合している親水性の第1特性基の構造と、単分子膜の原料となる有機分子の種類によるが、製造の容易さの観点から、−Si−O−、−Si−N−、及び、−Si−S−からなる群より選択される少なくとも1種の構造が含まれている結合であることが好ましい。
このように単分子膜2は、試料載置面F1上に極めて強固に固定されている。そのため、試料載置面F1上において隣り合う凹部3間の距離(単分子膜で被覆された第1の領域の面積)を非常に小さくしても、隣り合う凹部間を隔てる単分子膜2は試料載置面F1上に強固に結合しており、その剥離が十分に防止される。
故に、隣り合う凹部3間の距離を非常に小さくし、反応場(凹部に収容される液滴)の密度を1万個/cm2以上とする場合であっても、凹部3内に収容された液滴同士の混合が十分に防止される(コンタミネーションの発生が確実に防止される)。そのため、試料検査装置100は十分な分析精度を確保することもできる。
なお、各凹部3の大きさ(容積)、形状、配置位置、及び、配置間隔は、単分子膜2のパターニングの仕方によって容易に調節することができ、本発明の効果をより確実に得る観点から以下のように設定することができる。
即ち、試料検査装置100においては、反応場(凹部に収容される液滴)の微細化、高密度化を図る観点、好ましくは反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とする観点から、凹部3に収容される液滴の体積は、0.01pL〜1000pLであることが好ましく、0.01pL〜35pLであることがより好ましく、0.01pL〜1.2pLであることが更に好ましい。
また、先にも述べたように、凹部3の構成を上述の構成とすることにより、凹部の底面上に滴下される液滴は、略半球状又は先端部が略半球状の略柱状の形状を呈した状態で固定されることになる。そのため、凹部3の幾何学的容積に比較して、実際に凹部3に収容される液滴(凹部3の底面上に固定される液滴)の体積を非常に大きくすることができる。従って、容積の小さな凹部3を形成しても、十分な分析感度を得られるだけの量の液滴を使用することができる。しかも、凹部3の底面上に滴下される液滴は、略半球状又は先端部が略半球状の略柱状の形状を呈した状態で固定されることになる。そのため、凹部3の底面上に固定された液滴は、集光に有利な形状を呈していることになり、この観点からも試料分析装置100は十分な分析感度を容易に得ることが可能となる。
そのため、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1000pLとする場合、凹部3の容積はこれよりも十分に小さくすることができる。具体的には、この場合、凹部3の容積は2×10-6pL〜1pLであることが好ましい。
上記と同様の観点から、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜35pLとする場合、凹部の容積は2×10-6pL〜1×10-1pLであることが好ましい。更に、上記と同様の観点から、凹部に収容される液滴の体積を0.01pL〜1.2pLとする場合、凹部の容積は2×10-6pL〜2×10-3pLであることが好ましく、2×10-6pL〜7×10-4pLであることがより好ましい。
反応場(凹部に収容される液滴)の微細化、高密度化を図る観点、好ましくは反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とする観点から、試料載置面F1の単位面積当たりに形成される凹部3の数が1万個/cm2以上であることが好ましい。また、反応場の密度を10万個/cm2以上とする観点からは、試料載置面F1の単位面積当たりに形成される凹部3の数が10万個/cm2以上であることがより好ましい。更に、反応場の密度を100万個/cm2以上とする観点からは、試料載置面F1の単位面積当たりに形成される凹部の数が100万個/cm2〜800万個/cm2であることが更に好ましい。
コンタミネーションの発生を十分に防止するために、単分子膜2は十分な疎水性を有していることが好ましい。そのため、この観点から単分子膜2は以下の特性を有していることが好ましい。すなわち、20℃で、5.3μLの水滴を単分子膜2の表面に滴下した際、当該表面に対する水滴の接触角が、80〜180°であることが好ましく、90〜180°であることがより好ましく、100〜160°であることが更に好ましい。また、単分子膜の臨界表面エネルギーは、20℃において、72mN/m以下であり、好ましくは8〜72mN/mの範囲であり、より好ましくは8〜25mN/mの範囲である。なお、接触角は、例えば、JIS R3257:1999に規定の測定方法により測定することができる。
単分子膜2の厚さは、反応場の微細化、高密度化が可能となる厚さ、特に試料載置面の凹部の容積を0.01pL〜1pLの範囲とし、かつ、試料載置面F1上に形成される凹部の密度を、1万個/cm2以上とすることが可能となる厚さであれば特に限定されない。例えば、試料載置面F1に共有結合した後の有機分子1つ(単分子)の大きさ(長さ)と等しくてもよく、1つの有機分子の大きさを超える厚さを有していてもよい。ただし、本発明の効果をより確実に得る観点からは、単分子膜2の厚さは、0.5nm〜50nmであることが好ましく、0.5nm〜10nmであることがより好ましく、0.5nm〜5nmであることが更に好ましい。
より具体的には、凹部3に収容される液滴の体積を0.01pL〜1000pLとし、かつ、凹部3の密度を1万個/cm2以上とする場合には、凹部3の容積を2×10-6pL〜1pLとすることが好ましく、凹部の底面(第2の領域F12)の面積を4μm2〜17500μm2とすることが好ましく、単分子膜3の厚さは、上記凹部3の容積の大きさと面積の大きさを実現するように調節することが好ましい。
また、凹部3に収容される液滴の体積を0.01pL〜35pLとし、かつ、試料載置面F1上に形成される凹部の密度を10万個/cm2以上とする場合には、凹部3の容積を2×10-6pL〜1×10-1pLとすることが好ましく、凹部3の底面(第2の領域F12)の面積を4μm2〜1600μm2とすることが好ましく、単分子膜2の厚さを0.5nm〜50nmとすることが好ましい。
更に、凹部3に収容される液滴の体積を0.01pL〜1.2pLとし、かつ、試料載置面F1上に形成される凹部の密度を100万個/cm2以上とする場合には、凹部3の容積を2×10-6pL〜2×10-3pLとすることが好ましく、凹部3の底面(第2の領域F12)の面積を4μm2〜155μm2とすることが好ましく、単分子膜2の厚さを0.5nm〜10nmとすることが好ましい。また、この場合、凹部3の容積を更に小さくし、2×10-6pL〜7×10-4pLとすることも好ましく、凹部3の底面(第2の領域)の面積を上記と同一の範囲として単分子膜2の厚さは0.5nm〜5nmとすることが好ましい。
また、コンタミネーションをより確実に防止する観点から、隣り合う凹部3の間に形成される単分子膜2の幅は、0.1μm以上であることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。このような単分子膜2の幅とする場合でも、凹部3の容積を0.01pL〜1pLの範囲とし、かつ、凹部3の密度を1万個/cm2以上とすることが容易にできる。隣り合う凹部3同士を隔てる部材が単分子膜2のみの場合には、隣り合う凹部3同士の間隔は上記単分子膜2の幅と等しくなるので、隣り合う凹部3同士の間隔は0.1μm以上であることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。
有機分子としては、試料載置面F1に結合している第1特性基と縮合反応可能な第2特性基を分子鎖の一端に有し、かつ、疎水性の第3特性基を分子鎖の他端に有するものであることが好ましい。この第2特性基と試料載置面F1に結合している第1特性基との縮合反応が進行することにより、単分子膜2が共有結合により試料載置面F1に強固に固定されることになる。
0.5〜50nmの厚さの単分子膜をより確実に得る観点から、有機分子は、以下の(i)〜(iii)のうちの何れかの構造を有するものであることが好ましい。
すなわち、(i)有機分子は、第2特性基として、第1特性基と縮合反応可能な下記一般式(1)で表される特性基を有しており、第3特性基として、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、及び、シアノ基からなる群より選択される特性基を有しており、かつ、第2特性基と第3特性基との間に、下記一般式(2)で表される2価の有機基が結合した構造を有していることが好ましい。
−Cb2b− …(2)
ここで、式(1)中、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示す。Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示す。aは1〜3の整数を示す。式(2)中、Eは、H及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示す。bは2〜22の整数を示す。
また、(ii)有機分子は、上記一般式(2)で表される2価の有機基の炭素骨格を構成する炭素間に、下記一般式(3)で表される特性基、−O−、−COO−、及び、−C64−からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基が更に結合された構造を有していることが好ましい。ここで、下記一般式(3)中、g及びhはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。
更に、(iii)有機分子は、第2特性基として、第1特性基と縮合反応可能な下記一般式(1)で表される特性基を有しており、第3特性基として、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、及び、シアノ基からなる群より選択される1価の基を2つ有しており、かつ、第2特性基と第3特性基との間に、下記一般式(4)で表される3価の有機基が結合した構造を有していることが好ましい。
ここで、式(1)中、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示す。Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示す。aは1〜3の整数を示す。また、式(4)中、Cj2jは第2特性基に結合する特性基である。Cm2m及びCn2nは第3特性基に結合する特性基である。G、J及びLはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、H及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示す。jは1〜18の整数を示す。m及びnはそれぞれ独立に0〜7の整数を示す。
(i)〜(iii)のうちの何れかの構造を有する有機分子において、(1)で表現される第2特性基としては、例えば、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネートシリル基等の各種置換シリル基があげられる。特にa=3のものが好ましく、トリハロゲン化シリル基、トリアルコキシシリル基、トリイソシアネートシリル基があげられる。
上記トリハロゲンシリル基中に含まれるハロゲンとしては、F、Cl、Br、Iがあげられる。トリハロゲンシリル基の中でもクロロシリル基が好ましい。また、上記トリアルコキシシリル基におけるアルコキシ基は、その炭素数が、特に1〜3のものが好ましい。具体的には、メトキシシリル基、エトキシシリル基、ブトキシシリル基があげられる。
このような各種置換シリル基を末端に有する有機分子であれば、前述のように基板表面と共有結合を形成でき、共有結合によって、形成された単分子膜2は第1の領域F11に強固に結合することとなる。このため、単分子膜2は、耐久性に優れたものといえる。具体的には、ハロゲン化シリル基を有する有機分子であれば、第1の領域F11の第1の特性基に含まれる活性水素との間で脱ハロゲン化水素反応が生じ、アルコキシシリル基を有する有機分子であれば、第1の特性基に含まれる活性水素との間で脱アルコール反応が生じ、イソシアネートシリル基であれば、第1の特性基に含まれる活性水素との間で脱イソシアネート反応が生じ、それぞれ有機分子と基板との間がシロキサン結合(−Si−O−)により共有結合する。
なお、有機分子と基板との共有結合は、第1特性基の種類によって異なり、例えば、第1特性基が−NHの場合には、共有結合として−Si−N−結合が形成され、−SHの場合には、共有結合として−Si−S−結合が形成される。
(i)〜(iii)のうちの何れかの構造を有する有機分子における第3特性基としてあげたもののうち、ハロゲン置換メチル基としては、十分な疎水性を有する単分子膜2をより確実に得る観点から、CF3−、CH2Br−、CH2Cl−が好ましく、CF3−がより好ましい。第3特性基がCF3−である有機分子は配向性が高く、単分子膜2の形成時において試料載置面F1上に配列される際の有機分子の分子密度が高くなる傾向にある。そのため、疎水性を有する単分子膜2をより確実に得ることができる。
また、(i)〜(iii)のうちの何れかの構造を有する有機分子における第3特性基としてあげたもののうち、炭素数が2〜4の環状エーテル基としてはC23O−が好ましい。第3特性基がC23O−である場合には、そのエポキシ基の開環(付加)反応を利用して、単分子膜2の厚さを増大させることが容易にできる。その際、膜厚の均一性も十分に確保することが容易にできる。
例えば、第3特性基がC23O−である場合、一端形成した単分子膜2に対してアルコールを更に接触させることによりエポキシ基の開環(付加)反応を進行させ、第3特性基の先端にアルコールの−OH以外の部位(炭化水素基)を結合させ、単分子膜2の厚さを増大させることができる。膜厚の比較的大きな単分子膜2を形成する場合、その膜厚とほぼ同等の大きさの有機分子を使用すると膜厚の均一性を十分に確保することが困難となる傾向にある。そのため、上記の方法は、比較的小さな有機分子(第3特性基がC23O−である有機分子)を用いて膜厚が比較的大きくかつ膜厚の均一性が高い単分子膜2を容易に形成することができる点で有用である。
更に、(i)〜(iii)のうちの何れかの構造を有する有機分子における第3特性基としてあげたもののうち、十分な疎水性を有する単分子膜2をより確実に得る観点から、ハロゲン置換フェニル基としてはC65−が好ましい。第3特性基がC65−である有機分子は配向性が高く、単分子膜2の形成時において試料載置面F1上に配列される際の有機分子の分子密度が高くなる傾向にある。そのため、疎水性を有する単分子膜2をより確実に得ることができる。
(i)の構造を有する有機分子は、下記一般式(20)〜(29)のうちの何れかで表される構造を有していることが好ましい。
ここで、 式(20)〜(29)中、Zは式(1)中のZと同義であり、aは式(1)中のaと同義であり、qは2〜22の整数を示す。m及びnはそれぞれ下記式(I)〜(III)で表される条件;0≦m≦14…(I)、0≦n≦15…(II)、2≦(m+n)≦22…(III)を同時に満たす整数を示す。
(ii)の構造を有する有機分子は、下記一般式(30)〜(39)のうちの何れかで表される構造を有していることが好ましい。
ここで、式(30)〜(39)中、Zは式(1)中のZと同義であり、aは式(1)中のaと同義であり、Aは一般式(3)で表される特性基、−O−、−COO−、及び、−C64−からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基を示す。tは1〜10の整数を示す。pは1〜18の整数を示す。r及びsはそれぞれ下記式(IV)〜(VI)で表される条件;0≦r≦14…(IV)、0≦s≦15…(V)、2≦(r+s)≦22…(VI)を同時に満たす整数を示す。
(iii)の構造を有する有機分子は、下記一般式(40)〜(49)のうちの何れかで表される構造を有していることが好ましい。
ここで、式(40)〜(49)中、Zは式(1)中のZと同義であり、aは式(1)中のaと同義であり、tは1〜10の整数を示す。pは1〜18の整数を示す。r及びsはそれぞれ下記式(IV)〜(VI)で表される条件;0≦r≦14…(IV)、0≦s≦15…(V)、2≦(r+s)≦22…(VI)を同時に満たす整数を示す。
一般式(20)〜(29)で表される有機分子の中では、単分子膜2の均一性を十分に確保する観点及び単分子膜2を形成する際に試料載置面F1上に配列される有機分子の分子密度を十分に確保する観点から、一般式(20)及び一般式(21)で表される有機分子が好ましい。
ここで、一般式(20)で表される有機分子の中では、上記と同様の観点から、下記一般式(201)で表される有機分子が好ましい。
CF3(CF27(CH22SiCl3 ・・・(201)
また、一般式(21)で表される有機分子の中では、上記と同様の観点から、下記一般式(202)で表される有機分子が好ましい。
CH3(CH27(CH22SiCl3 ・・・(202)
上記の一般式(201)及び一般式(202)で表される有機分子の中では、十分な疎水性を得る観点から、一般式(201)で表される有機分子が好ましい。
更に、一般式(30)〜(39)で表される有機分子の中では、単分子膜2の均一性を十分に確保する観点及び単分子膜2を形成する際に試料載置面F1上に配列される有機分子の分子密度を十分に確保する観点から、一般式(30)及び一般式(31)で表される有機分子が好ましい。
ここで、一般式(30)で表される有機分子の中では、上記と同様の観点から、下記一般式(301)〜(306)で表される有機分子が好ましい。
CF3(CF23(CH22O(CH215SiCl3 ・・・(301)
CF3COO(CH215SiCl3・・・(302)
CF3(CF23(CH22Si(CH32(CH29SiCl3・・・(303)
CF3(CF27Si(CH32(CH29SiCl3 ・・・(304)
CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3・・・(305)
CF3CH2O(CH215SiCl3・・・(306)
また、一般式(31)で表される有機分子の中では、上記と同様の観点から、下記一般式(307)〜(312)で表される有機分子が好ましい。
CH3(CH25O(CH215SiCl3 ・・・(307)
CH3COO(CH215SiCl3 ・・・(308)
CH3(CH25Si(CH32(CH29SiCl3 ・・・(309)
CH3(CH27Si(CH32(CH29SiCl3 ・・・(310)
CH3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3 ・・・(311)
CH3CH2O(CH215SiCl3 ・・・(312)
なお、上述の一般式(201)、(202)及び(301)〜(312)で表される有機分子の中では、単分子膜2の均一性を十分に確保する観点、単分子膜2を形成する際に試料載置面F1上に配列される有機分子の分子密度を十分に確保する観点及び十分な疎水性を得る観点から、一般式(201)で表される有機分子が最も好ましい。
上述の好ましい有機分子を用いて、上述の好ましい第1特性基の結合した試料載置面F1上に形成される単分子膜2は、均一な厚さでより容易に形成し易いため、各凹部3の容積のバラつきを十分に低減し、各反応場(各凹部に収容される液滴)の体積を容易に一定にすることができる。そのため、この観点からも試料検査装置100は十分な分析精度を確保することができる。
上述した有機分子の他の有機分子としては、本発明の効果を得ることが可能な範囲で、特開平4−132637号公報、特開平4−256466号公報、特開平10−180179号公報、及び、特開平4−359031号公報に記載の有機分子を使用することができる。
なお、板状の基板1の大きさは、例えば、凹部3の数、光電変換部70(又は高電磁変換素子)の数、一度に分析したい分析サンプル(液滴)の数、分析項目の数等の条件に応じて適宜決定できるが、試料検査装置100の小型化を十分に図る観点から、試料載置面F1を含む主面の面積は0.05〜8×10-6mm2であることが好ましい。また、試料検査装置100の小型化を十分に図る観点から、基板1の厚さは、0.05〜1.5mmであることが好ましく、0.1〜1.0mmであることがより好ましい。
また、先にも述べたように各凹部3の大きさ(容積)、形状、配置位置、及び、配置間隔は、単分子膜2のパターニングの仕方によって調節することができる。これにより基板1の内部に設けられる光電変換部70の微細な2次元配置パターンに応じて、試料載置面F1の第1の領域F11及び第2の領域F12の区分を適切に行い、第1の領域F11にのみ選択的に単分子膜2を形成することが容易にできる。そのため、極めて微細なパターンで凹部3を試料載置面F1上に2次元的に形成することが容易に可能である。このため、各凹部3に収容された液滴で起こる発光反応を効率よく光電変換部70で検出することが可能となる。
従って、試料検査装置100は、試料載置面F1上に、容積が極めて小さな凹部3が、極めて高密度で形成されるため、反応場の微細化、高密度化(特に、反応場の体積を1000pL以下とし、かつ、反応場の密度を1万個/cm2以上とすること)を容易かつ確実に図ることができる。また、試料検査装置100は、十分な分析精度を確保することもできる。更に、試料検査装置100によれば、極めて少量の試料で分析を行うことが可能となり、分析コストを低減することもできる。また、凹部3を高密度に形成できるため、試料検査装置100は、多数の試料、多項目の分析、同一項目の複数分析等を一度に効率よく行うことも可能となる。
更に、試料検査装置100は、上述のように反応場の微細化、高密度化を容易かつ確実に図ることができる構成を有するため、小型化を容易に図ることができる。また、試料検査装置100において、単分子膜2は、試料載置面F1の第1の領域F11に共有結合により固定されているため、試料検査装置100を長期にわたり繰り返し使用する場合、又は、長期にわたり保存する場合であっても、単分子膜2の剥離が十分に防止される。そのため、試料検査装置100は十分な信頼性を得ることができる。
また、試料検査装置100によれば、液滴に含まれる測定対象物の有無やその含有量を分析できる。生物学的分析を行う場合、液滴中に、分析すべき測定対象物と反応するプローブが更に含まれていてもよい。更には、凹部3に上記プローブが予め固定されていてもよい。このプローブと測定対象物との反応を、光電変換部70により検知することができる。なお、凹部3の周囲には、疎水性の単分子膜2が形成されていることから、凹部3にプローブを固定化する場合にも、プローブを含む溶液が拡散することを防止できる。
ここで、本発明において、「プローブ」とは、JIS K 3600 2392に規定されるプローブを示す。即ち、組換えDNA実験で目的遺伝子を探り出すために用いる核酸断片を示す。例えば、目的遺伝子のmRNAから作成したcDNAやタンパク質のアミノ酸配列をもとにしてデザインされ、合成されたものを示す。
上記プローブは、測定対象物とハイブリッドを形成するものが好ましい。このようなプローブとしては、例えば、オリゴヌクレオチドやポリヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、1本鎖DNA、RNA、これらを標識化したもの、抗原、抗体、オリゴペプチド、ポリペプチドがあげられる。
その中でも、プローブが、ポリヌクレオチド及び標識化ポリヌクレオチドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ポリヌクレオチド及び標識化ポリヌクレオチドからなる群より選択される少なくとも1種のプローブとしては、純化学的手法により合成された高分子であってもよく、生化学的手法により合成された高分子であってもよい。より具体的には、ポリヌクレオチド及び標識化ポリヌクレオチドからなる群より選択される少なくとも1種のプローブとしては、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなる群より選択される少なくとも1種を原料として合成された重合体であることが好ましい。すなわち、デオキシリボヌクレオチドに基づく繰り返し単位及びリボヌクレオチドに基づく繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む構造の重合体であることが好ましい。
上記の他のプローブとしては、例えば、検査対象項目が酵素である場合には、それに対する基質であってもよいし、検査対象項目が基質である場合には、それを基質とする酵素であってもよい。なお、測定対象物の種類としては、特に制限されず、例えば、DNAやRNA等の核酸、タンパク質、脂質等があげられ、また、分析すべき測定対象物としては、例えば、血液や細胞等の生体検体、核酸やタンパク質等の合成検体等があげられる。
次に、試料検査装置100において、光の検出回路は、例えば、次のように作動する。まず、各光電変換部70のフォトダイオードに入射した光の光量に応じてpn接合面での光電変換によって生じた電荷(電子)がn型領域74に蓄積される。各光電変換部70のフォトダイオードで所定の時間に受光を行う。次に、第1の電極13に電圧を印加して、p-分離領域76に空乏層(図示せず)を形成して、n型領域74に蓄積された電荷を垂直転送部n型領域78に移す。なお、図2では垂直転送部n型領域78の上方の領域にのみ第1の電極13が図示されているが、第1の電極13はp-分離領域76上にも一部形成されており、上記操作はこの領域において実施される。この操作は各光電変換部70のフォトダイオードにおいて同時に行われる。第1の電極13および第2の電極14にはレジスターを通じて電圧が印加されるように設計されている。レジスターは第1の電極13および第2の電極14に一定の時間間隔を持たせて電圧印加するように設計されている。
また、第1の電極13および第2の電極14は垂直転送部n型領域78に沿って交互に並ぶように設計されており、図2に示すように第1の電極13および第2の電極14の一部はお互いに重なって設計されている場合が多い。第1の電極13に電圧を印加することにより垂直転送部n型領域78の第1の電極13の下部の領域にフォトダイオードで発生した電荷が蓄積される。次に、第2の電極14に電圧を印加し、第1の電極13に印加していた電圧を解除することにより、垂直転送部n型領域78の第1の電極13の領域にあった電荷は第2の電極14の下部の垂直転送部n型領域78の領域に移される。次に第1の電極13に電圧を印加し、第2の電極14に印加していた電圧を解除することにより、垂直転送部n型領域78の第2の電極14の領域にあった電荷は先程の第1の電極13の下部にあった垂直転送部n型領域78の領域ではなく、つぎの第1の電極13の下部にある垂直転送部n型領域78の領域に輸送される。なお、このとき先ほどの第1の電極13の下部の垂直転送部n型領域78の領域に電荷が戻らないために、垂直転送部n型領域78の領域の第1の電極13及び第2の電極14のそれぞれの下部の一部に不純物濃度を変えておく手法を採ることが多い。
以上の操作を順次繰り返して垂直転送部n型領域78の領域に移った電荷を順次、垂直方向に転送することができる。垂直転送部n型領域78の端にまで到達した電荷は次に水平転送部(図示せず)に移される。操作は先の垂直転送部n型領域78の領域の操作で説明した方法と同じであり、フォトダイオードの列から移された電荷が水平転送部で一フォトダイオード単位分ごとに輸送される。出力アンプを経て電荷情報が外部に提供される。なお、垂直転送を行うレジスターの速度に比して水平転送を行うレジスターの速度が早いことは明白である。
また、電荷転送操作中にフォトダイオードには次の受光操作が行われても構わない。なお、図2では第1の電極13及び第2の電極14の二つある場合を図示したが、電荷の輸送の取り扱いに応じて一つから三つ、四つと増やす場合もある。増やすことによってよりスムーズに電荷の輸送を行うことが可能となる。三つ、四つと数を増やすことにより、先ほど示した第1の電極13及び第2の電極14の下部の垂直転送部n型領域78の一部領域に不純物濃度が異なる領域をなくすことも可能となる。また、発光量が少ない場合は受光時間を増やすことによって適切な電荷を得ることができる。
また、分析結果に対する、各凹部3に発生する暗電流の影響を除去するために、測定対象物を含む液滴を各凹部3に収容させる前に上記の駆動を行うブランクテストを行い、このブランクテストの結果を、得られる分析結果に反映させてもよい。このブランクテストは、試料載置面F1上の少なくとも1つの凹部3を全ての凹部3の代表として選択し、選択した凹部3についてのみ行ってもよい。また、分析精度をよりいっそう向上させる観点から、このブランクテストは全ての凹部3について個別に行ってもよい。
以上の操作はチャージカップルドデバイス(CCD)方式における操作であり、メタルオンシリコン(MOS)方式の受光デバイスでは操作方法が異なることはもちろんである。しかし、MOS方式では駆動方法は上記とは異なるが、各フォトダイオードでの受光情報を読み取れるところには変わりなく、本願の必要な要件を満たすことには変わりない。
次に、試料検査装置100の製造方法の好適な一例(本発明の試料検査装置の製造方法の好適な実施形態)について説明する。
先ず、基板形成工程において基板1を形成する。先に述べたように、基板1は2以上の光電変換部が2次元的に配列された状態で内蔵されており、かつ、対向する2つの主面のうちの少なくとも一方の面に−OH、−NH、=N−H、及び、−SHからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有する親水性の第1特性基が結合された基板である。
基板1は半導体集積回路基板であり、その製造方法は特に限定されず、公知の薄膜製造技術を用いて製造することができる。例えば、基板1は、例えば、シリコン基板からIC(集積回路)を製造するMOS(金属-酸化膜-半導体)プロセスに採用されている製造技術を用いて製造することができる。
ただし、最上部の層となる層(この基板1の場合には保護層12)については、第1特性基がその表面(試料載置面となる面)に予め結合された層を最上部の層(この基板1の場合には保護層12)として予め形成してもよく、第1特性基を含まない最上部の層を含む基板を形成した後、その表面(試料載置面となる面)を表面処理することにより、先に述べた第2特性基との縮合反応に対する活性水素を有する構造を有する第1特性基を結合させてもよい。
以下、上記表面処理を行い、最上部の層となる層の表面(試料載置面となる面)に、第2特性基との縮合反応に対する活性水素を有する構造を有する第1特性基を結合させる場合について説明する。
第1特性基を試料載置面F1に設ける方法については、公知の表面処理技術を用いることができる。例えば、最上部の層の表面を、化学的に酸化処理する方法、酸素存在下においてプラズマ処理する方法、オゾン処理する方法があげられる。また、最上部の層の表面(試料載置面となる面)を、例えば、SiCl4、HSiCl3、SiCl3O−(SiCl2−O)η−SiCl3(但し、ηは0〜6の整数)、Si(OH)4、HSi(OH)3、Si(OH)3O−(Si(OH)2−O)η−Si(OH)3(但し、ηは0〜6の整数)等によって親水化処理する方法もあげられる。
最上部の層の表面の酸化処理についてより具体的に説明する。例えば、最上部の層の表面の酸化処理は、酸素及び水素原子供給物質の存在下で最上部の層の表面に紫外線照射することにより行うことができる。紫外線照射により気相中の酸素が分解されてオゾンが生成し、このオゾンが水素原子供給物質と反応して、活性水素を有する活性種が生成する。また、最上部の層の表面に紫外線が照射されると、最上部の層の表面近傍を構成する材料の原子間の共有結合が切断され、未結合手が形成される。この未結合手に活性水素を含む活性種が作用することにより、第1特性基が結合した最上部の層の表面が得られることになる。
水素原子供給物質としては、例えば、入手容易性、取り扱い容易性の観点から、水、アンモニアなどを好ましく使用することができる。例えば、水素原子供給物質として水を用いた場合、最上部の層の表面において、第1特性基を−OHで表される構造を少なくとも含む特性基として存在させることができる。また、アンモニアを用いた場合は、第1特性基を−NHで表される構造を少なくとも含む特性基として存在させることができる。なお、紫外線照射処理に代えて、コロナ処理、プラズマ処理等を採用することもできる。
基板1のような半導体集積回路基板を採用する場合、以下の観点から最上部の層(ここでは保護層12)の構成材料としてシリコン材料が使用されることが好ましい。シリコン材料を含む層は、酸化され易いというシリコンの性質に起因してその表面に水酸基やシラノール基が予め結合した構造を有する。すなわち、シリコン材料を含む層は、上述の活性水素を含む第1特性基に富む層となる。そのため、最上部の層をシリコン材料を含む層とすることは、有機分子の第2特性基との縮合反応に有利となるため好ましい。また、基板1のような半導体集積回路基板を採用する場合、以下の観点から最上部の層(ここでは保護層12)として、無機酸化物からなる無機酸化物層を形成することが好ましい。無機酸化物層は、その表面に水酸基等を有し、活性水素を含む第1特性基に富む層となる。そのため、最上部の層を無機酸化物層とすることは、有機分子の第2特性基との縮合反応に有利となるため好ましい。無機酸化物層としては、SiO2があげられる。
基板1の製造方法としては、以上説明したように基板1の最上部の層(ここでは保護層12)に単分子膜2を形成する方法だけでなく、最上部の層となる基板を別途用意し、この基板の表面に単分子膜2を予め形成しておき、この基板と、光電変換部70等を形成した基板と貼り合せる方法を採用することができる。この場合、予め単分子膜を形成するための基板(最上部の層となる基板)としては、第1特性基を予め有しているか又は表面処理により第1特性基を結合可能な表面を有しており、単分子形成工程における処理に耐えうる物理的耐久性及び化学的耐久性を有しており、かつ、凹部に収容される液滴から発せられる光に対する光透過性を有しているものであれば特に制限されない。
例えば、ガラス基板、石英基板、合成石英基板、シリコン基板、アクリル製基板、ポリカーボネート製基板、ポリスチレン製基板、塩化ビニル製基板、エポキシ樹脂製基板、シリコーン樹脂(ポリジメチルシリコーン)製基板、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)製基板等の各種ポリマー製基板、セラミック製基板、金属製基板等、従来公知の基板が使用できる。中でも、ガラス基板や石英基板は、その表面に水酸基を多く有する構造を有しているため好ましい。なお、これらの基板を最上部の層として使用する場合にも、表面処理により基板表面に第1の特性基を結合させてもよい。また、第1の特性基を設けることが出来、且つ透明であれば、シート状の基板であってもよい。
次に、単分子膜形成工程において、基板1の試料載置面F1上に単分子膜2を形成する。即ち、試料載置面F1上に凹部3を形成する。
単分子膜形成工程は、基板1の第1特性基が結合された側の主面を、試料載置面F1とし、該試料載置面F1を、第1の領域F11と2以上の第2の領域F12とに少なくとも区分し、第1の領域F11のみに選択的に単分子膜2を形成することにより、2以上の液滴をそれぞれ独立に収容するための2以上の凹部3を、2以上の光電変換部のそれぞれに対して1対1で対応するように設ける工程である。
更に、単分子膜形成工程においては、試料載置面F1の第1特性基と縮合反応可能な第2特性基を分子鎖の一端に有し、かつ、疎水性の第3特性基を分子鎖の他端に有する有機分子を単分子膜の原料として使用する。そして、得られる凹部2の底面が第2の領域F12により形成され、凹部3の全内側面を含む外周部分が第1の領域F11を被覆する単分子膜2により形成されるように、有機分子を試料載置面F1に接触させ、第1特性基と第2特性基との縮合反応を進行させ、単分子膜を試料載置面に共有結合により固定された状態で形成する。
ここで、単分子膜2の膜厚の均一性の観点と製造作業の容易性の観点とから、単分子膜形成工程には、容器中において、有機分子を非プロトン性溶媒中に添加して得られる有機分子含有液と、基板の試料載置面とを接触させて縮合反応を進行させる第1工程が含まれていることが好ましい。そして、先に述べたように、この第1工程においては、有機分子含有液に接触している気相中の水分量を、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合、該相対湿度値が35%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは5%以下となるように調節する。
この第1工程において採用可能な好適な方法の一例(本発明の試料検査装置の製造方法の第1実施形態)について説明する。
先ず、試料載置面F1の第2の領域F12となるべき領域を被覆するためのレジストパターンを形成し、試料載置面のレジストパターンの形成されていない領域を第1の領域とする。このレジストパターン形成は、半導体薄膜製造技術により容易に行うことができる。次に、レジストパターンを形成した後の試料載置面F1に有機分子を接触させることにより、第1の領域F11にのみ単分子膜を選択的に被覆し、次いで、レジストパターンを除去することにより、2以上の凹部3を形成する。ここで、レジストパターンは、ポジ型のレジストパターンであってもよく、ネガ型のレジストパターンであってもよい。
また、上記第1工程において試料載置面F1に有機分子を接触させる方法としては、以下の方法が好ましい。即ち、先ず、有機分子を非プロトン性溶媒中に添加し有機分子含有液を調製する。次に、有機分子含有液とレジストパターンを形成した後の基板とを、グローブボックスなどの内部の気相中の水分量を先に述べた範囲に容易に制御することのできる容器中に入れ、先に述べた縮合反応を進行させる。
ここで、有機分子含有液の調製に使用する非プロトン性溶媒は、レジストパターンを溶解させない溶媒であれば有機分子の種類に応じて適宜決定できるが、膜厚が薄く(0.5nm〜50nm)かつ膜厚の均性に優れた単分子膜2を容易かつ確実に得る観点から、フッ素系溶剤であることが好ましい。フッ素系溶剤としては、住友スリーエム社製のパーフルオロカーボン性液体、ハイドロフルオロエーテル性液体が好ましく、具体的には、第1工程を実施する温度条件に見合う沸点を有している等の諸物性の観点から、住友スリーエム株式会社製の、商品名:「HFE−7200」、商品名:「PF−5080」、及び、「FC−77」が好ましい。なお、有機分子含有液における有機分子の濃度は、特に制限されないが、例えば、3×10-2〜1×10-1M程度である。試料載置面F1と有機分子含有液との接触時間は、特に制限されないが、例えば、数秒〜10時間、好ましくは1分〜1時間であり、また、有機分子含有液の温度は、例えば、10〜80℃であり、好ましくは20〜30℃の範囲である。
水分量を上記の範囲に調節した気相を構成する構成成分ガスとしては、希ガス及び窒素ガスからなる群より選択される少なくとも1種のガスであることが好ましい。ただし、第1工程で、有機分子又は非プロトン性溶媒の酸化反応の進行、単分子膜の酸化による劣化の進行を十分に抑制することが可能な条件の下であれば、空気を使用してもよい。
次に、単分子膜を形成した後のレジストパターンの除去は、例えば、アセトンを使用することにより行うことができる。これにより2以上の凹部3を形成することができる。
上記の方法(本発明の試料検査装置の製造方法の第1実施形態)において、レジストパターンを形成した後における試料載置面F1に単分子膜を形成する方法は、上述の方法に特に限定されず、例えば、印刷法、転写法、スクリーン法、吐液法、インクジェット法、スタンプ法等の方法を採用することができる。
次に、第1工程において採用可能な他の好適な方法の一例(本発明の試料検査装置の製造方法の第2実施形態)について説明する。
先ず、試料載置面F1に単分子膜を形成する。この際の単分子膜の形成方法は、試料載置面F1の全面に単分子膜を形成すること以外の条件は、上述の第1工程と同一の条件で行うことが好ましい。即ち、グローブボックスなどの容器中において、有機分子を非プロトン性溶媒中に添加して得られる有機分子含有液と、基板の試料載置面とを接触させて縮合反応を進行させる第1工程が含まれていることが好ましい。そして、先に述べたように、有機分子含有液に接触している気相中の水分量を、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合、該相対湿度値が35%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは5%以下となるように調節することが好ましい。
ここで、この製造方法においてはレジストパターンを用いないため、有機分子含有液の調製に使用する非プロトン性溶媒は、有機分子の種類に応じて適宜決定できるが、膜厚が薄く(0.5nm〜50nm)かつ膜厚の均性に優れた単分子膜2を容易かつ確実に得る観点から、当該有機分子を十分に溶解できる溶媒であることが好ましい。例えば、ヘキサデカン、クロロホルム、四塩化炭素、シリコーンオイル、ヘキサン、トルエン等の有機溶剤が使用できる。これらの溶剤は、いずれか一種類を使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
この中でも、ヘキサデカン、クロロホルム及び四塩化炭素を含む混合溶剤が非プロトン性溶媒として好ましい。このように有機溶剤を使用すれば、例えば、水分が介在することによる有機分子の重合(ポリマー化)を十分に防止できる。そのため、有機分子の第2特性基と、試料載置面F1の第1特性基との縮合反応を効率よく行うことができる。これにより、試料載置面F1に有機分子が共有結合{例えば、シロキサン結合(−Si−O−)}により結合され、単分子膜2が形成される。なお、有機分子含有液における有機分子の濃度は、特に制限されないが、例えば、3×10-2〜1×10-1M程度である。試料載置面F1と有機分子含有液との接触時間は、特に制限されないが、例えば、数秒〜10時間、好ましくは1分〜1時間であり、また、有機分子含有液の温度は、例えば、10〜80℃であり、好ましくは20〜30℃の範囲である。
次に、試料載置面F1の第1の領域F11となるべき領域を被覆している単分子膜2を紫外線(紫外線の照射)から選択的に保護するためのフォトマスクを準備する。このフォトマスクは、紫外線の光源と、単分子膜を形成した試料載置面F1との間に配置された際に、試料載置面の第2の領域となるべき領域を被覆している単分子膜のみに選択的に紫外線が照射される構成を有している。次に、このフォトマスクを使用し、このフォトマスクを介して単分子膜2を形成した後の試料載置面F1に紫外線を照射し、試料載置面F1の第2の領域F12となるべき領域を被覆している単分子膜のみを選択的に除去する。これにより、2以上の凹部を形成する。
なお、紫外線照射の手段として、例えば、エキシマレーザー等のレーザーを用いる場合は、フォトマスクを使用せずに、単分子膜の特定領域に紫外線をスポット照射する方法を採用することもできる。更に、紫外線照射を行うかわりに、電子線照射処理、コロナ処理、プラズマ処理などにより試料載置面F1の第2の領域F12となるべき領域を被覆している単分子膜のみを選択的に除去する方法を採用してもよい。また、これらの処理は、酸素の存在下で実施することが好ましい。これにより、試料載置面F1の第2の領域F12となるべき領域を被覆している単分子膜を酸化により除去できる。
次に、単分子膜2が除去された後の試料載置面F1の第2の領域F12に第1特性基が結合している場合には、基板1が完成する。また、第2の領域F12に第1特性基が結合していない場合には、例えば、先に述べた表面処理を第2の領域F12にのみ選択的に施すことにより、第2の領域F12に第1特性基を結合させる。
この方法(本発明の試料検査装置の製造方法の第2実施形態)において、試料載置面F1の全面に単分子膜を形成する方法は、上述の方法に特に限定されず、例えば、印刷法、転写法、スクリーン法、吐液法、インクジェット法、スタンプ法等の方法を採用することができる。
また、単分子膜2を単一の膜が複数積層された積層体からなる膜として形成する場合には、例えば、前述のようにして試料載置面F1上に1層目の単分子膜を形成した後2層目の単分子膜を形成しようとする際に、当該単分子膜の表面に第1特性基が結合していない場合があるが、この場合には、上述の表面処理により第1の特性基を結合させればよい。
より具体的に説明すると、試料載置面F1に形成した1層目の単分子膜の表面にビニル基等の不飽和結合を有する基を含む特性基が結合されている場合には、水分が存在する雰囲気中で、電子線やX線などのエネルギー線を当該単分子膜の表面に照射することにより、不飽和結合を有する基の部分を変化させ、−OHの構造を少なくとも有する第1特性基を導入することができる。また、ビニル基等の不飽和結合を有する基を含む特性基が結合されている場合、例えば、過マンガン酸カリウム水溶液に浸漬することにより、不飽和結合を有する基の部分を変化させ−COOHの構造を少なくとも有する第1特性基を導入することができる。
単分子膜2の厚さは、有機分子の種類(長さ)の選択、上述の積層体とすることなどで適宜設定できるが、例えば、単分子膜を構成する有機分子の第3特性基の先端に、更に非親和性を示す分子を結合させる方法によっても調整できる。具体例を以下に示す。
また、単分子膜を構成する有機分子が、式(22)で示したように、第3特性基の先端に2重結合又は3重結合を有する場合、単分子膜を形成した後、例えば、単分子膜にグリニャール試薬(RMgX)を更に接触させればよい。この接触によって第3特性基とRMgXとの付加反応を進行させ、第3特性基の先端にRMgXの炭化水素基(R−)を結合させることができる。なお、RMgXは、Rが、炭素数1〜23のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、ハロゲン化アルケニル基のいずれでもよく、Xは、ハロゲン(F、Cl、Br、又はI)である。
また、単分子膜を構成する有機分子が、式(26)に示すように、第3特性基にエポキシ基を有する場合、単分子膜2を形成した後、単分子膜2にアルコール(ROH)を更に接触させればよい。この接触によってエポキシ基の開環(付加)反応が進行し、第3特性基にアルコール(ROH)の「R基」を結合させることができる。なお、ROHは、Rが、炭素数1〜23のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、ハロゲン化アルケニル基のいずれでもよく、Xは、ハロゲン(F、Cl、Br、又はI)である。
また、単分子膜形成工程においては、保護層12などの基板1の最上部の層となる層の表面を、CMP(化学機械研磨技術)等の表面研磨処理により予め平坦化しておくことが好ましい。
次に、試料検査装置100を使用して、各凹部3の底面に、検出対象遺伝子と相補的配列の1本鎖DNA(プローブ)を予め固定し、検査を行う方法の一例を以下に示す。
先ず、1本鎖DNAを各凹部3の底面(第2の領域F12)に固定する。この固定方法は、特に制限されず、DNA分析で使用される公知の技術が適用できる。例えば、凹部3の底面に直接DNA(オリゴヌクレオチド)を合成する方法(例えば、Affimetrix法)、底面に予めリンカーを結合しておき、このリンカーに一本鎖DNAを結合させる方法、一本鎖DNAの末端に表面に固定化するための官能基を結合しておき、この固定化するための官能基を表面に結合する方法等が挙げられる。リンカーとしては、特に制限されないが、アミノ基、カルボキシル基等があげられる。なお、リンカーや固定化官能基は従来公知の方法によって、プローブや表面に結合させることができる。
次に、凹部3に分析すべき測定対象物を含む液滴を入れる。この場合、液滴に含まれるターゲットDNA自身をCy3等で蛍光標識しておいてもよいし、SYBR−Green等の蛍光インターカーレータを、液滴又は凹部3に添加しておいてもよい。そして、励起光を凹部3中に照射する。このとき、凹部3の底面に固定された一本鎖DNAとターゲットDNAがハイブリダイズして2本鎖が形成されている場合には、この中に入り込んだ蛍光インターカーレータ又はターゲットDNAの蛍光標識によって蛍光が発生する。
例えば、SYBR−Greenを使用する場合は、波長473nmのSHGレーザーを照射すればよい。発生した蛍光が光電変換部70(この試料検査装置100の場合にはフォトダイオード)で検出される。なお、試料検査装置100において、各光電変換部70のそれぞれに対応する凹部に異なる一本鎖DNAを固定化すれば、一回の蛍光検出で複数項目の検査が可能になる。また、各光電変換部70のそれぞれに同じ一本鎖DNAを固定化すれば、測定精度の高い(信頼性の高い)データを得ることができる。先に述べたように、試料検査装置100は、凹部3を極めて高密度で形成できるため、従来の試料検査装置と同じ大きさであっても、試料載置面F1で1度に分析できるサンプル数を格段に向上させることができる。
凹部3に固定化するプローブとして、検出対象遺伝子と相補的配列の1本鎖核酸を例示したが、これらには制限されず、先に述べたものがあげられる。例えば、抗原抗体反応により蛍光を発する機能を付与した抗原(又は抗体)をプローブとすれば、サンプル試料中の抗体(又は抗原)との反応をセンシングすることができる。この他にも、オリゴヌクレオチドやポリヌクレオチド、RNA、DNA、これらを標識化したもの、抗原、抗体、オリゴペプチド、アミノ酸配列、ポリペプチド、タンパク質、酵素、プロテイン核酸(PNA)、および上記名称の物質を含まれる物質等があげられる。
試料検査装置101の凹部3に、分析すべき測定対象物を含む液滴を供給する方法としては、微量の液滴の供給の容易さ、液滴の供給量の精度及び液滴の供給スピードの観点から、インクジェットを用いた方法(たとえば、圧電素子を使用する方法、または加熱による気体の膨張を利用する方法)が好ましい。例えば、インクジェットを用いた方法であっても、DNA遺伝子解析やタンパク質解析に使用するような高価で希少な測定対象物を取り扱う分析の場合、測定対象物を含む液の使用量を十分に低減する必要がある場合がある。この場合、インクジェットに液貯めを設けずに、分析を行うごとに測定対象物を含む液中にインクジェットのノズルの先端を挿入し、測定対象物を含む液の必要量のみをノズルの先端部分に吸引させて、ノズルから凹部3に液滴を滴下する方法も採用可能である。この他に、マイクロディスペンサーやマイクロピペットを用いた方法も採用可能である。
[第二実施形態]
次に、本発明の試料検査装置の第二実施形態について説明する。この第二実施形態の試料検査装置101は、図1及び図2に示した第一実施形態の試料検査装置100に、分析すべき測定対象物を含む液滴を凹部3に向けて吐出するためのノズルを有する液滴供給部40(インクジェットヘッド)を更に備えた構成を有するものであり、液滴供給部40以外の構成は第一実施形態の試料検査装置100と同様である。なお、このCPU4が、液滴供給部40のノズルを移動させることにより、凹部3に対するノズルの位置を調節する制御部となっている。すなわち、液滴供給部40にはCPU4の制御により試料載置面F1に対する相対的な位置を任意に変化させるための駆動機構が備えられている。
以下、液滴供給部40について説明する。図3は本発明の試料検査装置の第二実施形態を示す斜視図である。
図3に示すように、試料検査装置101の液滴供給部40は、試料載置面F1にβ行×γ列(この液滴供給部40の場合、具体的には、5行×7列)で2次元配列された凹部3のうちの、同一の列に属する凹部3に対して同時に液滴を滴下可能な構成を有している。即ち、液滴供給部40には5つのノズルが凹部3の列に平行になるように直線状に配置されている。5つのノズルの中心軸の間隔は、同一の列に属する5つの凹部3の底面の中心の間隔と同一となるように調節されている。これにより、5つのノズルのそれぞれの吐出孔(図示せず)から吐出される液滴は、凹部3の底面の中央に滴下されることになる。
また、CPU4は、液滴供給部40に電気的に接続されており、メモリー部5に格納されている位置決めのための基準データに基づき、凹部3に対する液滴供給部40のノズルの位置を調節する。また、制御部は、各ノズルから吐出される液滴の液量を調節する。具体的には、制御部は、液滴を滴下すべき列の1つに液滴供給部40の位置(各ノズルの位置)を合わせ、次いで、各ノズルの吐出孔から、対応する列の各凹部3に向かって(図3中に示した矢印A方向に向けて)、液滴を吐出させる。次に、制御部は、液滴を滴下すべき別の列に液滴供給部40の位置(各ノズルの位置)を移動させて(例えば、図3中に示した矢印B方向移動させて)、対応する列の凹部3に液滴を吐出させる。
更に、図3に示す試料検査装置101の場合、液滴供給部40の各ノズルから滴下される液滴の滴下位置の精度を十分に確保するために、図4から図6を用いて説明する以下の構成が備えられている。
図4(a)は、図3に示した試料検査装置101の液滴供給部40に備えられるノズルの基本構成を概略的に示す斜視図である。また、図4(b)及び図4(c)は、試料検査装置101における凹部3に対する図4(a)に示した液滴供給部40の位置合せの方法を説明するための説明図である。
図4(a)に示すように、液滴供給部40に備えられるノズル50は、円筒状の形状を呈している。また、ノズル50の先端部分は略円形状の平滑な面を有している。このノズル50の先端の中心部分には、液滴を吐出すための吐出孔501が設けられている。更にノズル50の先端には、位置合せ用の発光部502(例えば、発光ダイオード)が設けられている。この発光部502は、断面(ノズル50の先端に露出した表面)がリング状の形状を呈するものである。そして、この断面リング状の発光部502の中心(同心円の中心)に吐出孔501が配置されている。なお、この発光部の断面形状は上記リング状の形状に限定されるものではない。
図4(b)に示すように、基板1の試料載置面F1の端部には、ノズル50の先端の発光部502から発せられる光を受光するための受光部51が設けられている。この受光部51は、基板1の内部に設けられた光電変換素子(例えば、フォトダイオード)を備えている。
次に、CPU4により制御された液滴供給部40の動作の一例について説明する。
液滴の滴下を開始する際、図4(b)に示すように、CPU4は、メモリー部5に格納されている位置決めのための基準データ{例えば、予め設定されている、液滴を滴下させる直前の試料載置面F1に対する液滴供給部40の相対的位置の情報(試料載置面F1とノズル50の先端との距離、試料載置面F1に平行な面におけるノズル50の先端の座標位置等)}に基づき、先ず、複数のノズル50のうちの1つの先端が、基板1の受光部51の直上にくるように液滴供給部40を移動させる。
このとき、図4(c)に示すように、発光部502における発光を受光部51で検知した場合にCPU4が液滴供給部40の駆動機構に停止の指令を出す構成としておき、液滴供給部40の停止位置を決定してもよい。この場合、受光部51が発光部502からの発光を受光した時点で、液滴供給部40が停止し、液滴滴下前の液滴供給部40の位置合せが終了したことになる。
そして、液滴供給部40に、受光部51から液滴の供給を開始する凹部3までの距離のデータ、各凹部3間の距離データを格納しておき、これらのデータに基づいて、液滴供給部40を移動させその位置を制御することにより、液滴の滴下を開始することができる。これにより、液滴供給部40の位置決めを高い精度で行うことができる。更に、このとき、各凹部3の上方において、ノズル50の発光部502からの発光を凹部3の光電変換部70で検知した場合に、CPU4が各ノズル50に液滴の吐出の指令を出す構成としておき、液滴吐出の位置を決定してもよい。このようにすれば、各ノズル50の位置を、各凹部3に対して確実に決定することが可能となる。
なお、1つのノズル50の発光部502から発せられる光を検知する凹部3の数を予め設定しておくこと(凹部3の光電変換部70で光を検知したか、検知していないかの判断基準となる光の強度の閾値を設定しておくこと)により、液滴を滴下する際に、試料載置面F1と液滴供給部40のノズル50の先端との距離をより正確に調節することも可能である。例えば、図5(a)に示すように、液滴供給部40を試料載置面F1に対して、垂直方向及び平行方向に移動させる際に、発光部502からの発光を検知できる凹部3の数によって、液滴供給部40のノズル50先端の高さが決定できる。すなわち、ノズル50の先端が試料載置面F1から十分に離れている場合、発光を検知する凹部3は多くなる{図5(a)において、受光している凹部3を斜線で示す}。そして、ノズル50の先端を試料載置面F1に近づけて行いくと、徐々に発光を検知する凹部3の数が減少し、最終的には、図5(b)に示すように、1つの受光部のみで光を受けることになる。この時点で高さを決定することができる。なお、表面とノズル50先端との距離は、1つの受光部のみで光を受けた場合には限られず、1つのノズル50からの発光を検知する凹部3の数を予め設定し、そのデータをメモリー部5に格納することによって任意に決定できる。
また、ノズル50の発光部502から発せられる光の強度の違いを凹部3の光電変換部70で検知可能な構成としておけば、各凹部3が検知した発光の強度によっても高さを決定することができる。例えば、ノズル50の先端が適切な位置にある場合に凹部3が検知する発光の強度を設定しておき、その設定強度よりも弱ければ、ノズル50の先端を試料載置面F1に近づけ、設定強度よりも強ければ、ノズル50先端を試料載置面F1から離すように制御設定をおこなってもよい。そして、設定強度と同等となった場合に、液滴供給部40の位置を固定できる。
また、液滴供給部40の他の構成の例を図6(a)に示す。図6(a)に示すように、液滴供給部40のノズル50Aは、吐出孔701を有し、その先端表面に、位置合せ用の発光部702、及び、発光部702からの発光を受光する受光部703を備えている。また、図6(b)の斜視図に示すように、基板1は、試料載置面F1の少なくとも一箇所に、発光部702からの発光を反射可能な、アルミ板等の反射板71を備えている。
次に、この液滴供給部40の動作の例について説明する。ノズル50Aの先端が反射板71に対応する位置に来ると、発光部702からの発光は反射板71で反射される。そして、その反射光をノズル50Aの先端の受光部703が検知する。このようにして、液滴の供給開始前における液滴供給部40の位置合せを行うことができる。そして、反射板71から、液滴の供給を開始する凹部3までの距離及び凹部3間の距離を予め特定しておけば、これらのデータに基づいて、液滴供給部40を移動させその位置を制御することができる。これにより、液滴を滴下する凹部3に対する液滴供給部40の位置決めを高い精度で行うことができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態に記載の試料検査装置100、101及び102の場合には、1つの光電変換部70が1つの光電変換素子(フォトダイオード)から構成されている場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明においては、1つの光電変換部が1つの光電変換素子から構成されていてもよく、1つの光電変換部が2以上の光電変換素子から構成されていてもよい。
また、上述の実施形態に記載の試料検査装置試料検査装置100、101及び102の場合には、光電変換部70に備えられる光電変換素子としてフォトダイオードを採用する場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明においては、光電変換部を構成する光電変換素子は、凹部に固定された液滴から発せられる光を受光し、当該光を光電変換して電子を発生させる構成を有するもの(例えば、pn接合、pin接合を有するもの)であれば特に限定されない。例えば、光電変換素子は、フォトダイオードの他に、フォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード、CdSセル、フォトICであってもよい。また、光電変換素子は、太陽電池(色素増感型太陽電池も含む)であってもよい。
更に、先に述べた1つの光電変換部を2以上の光電変換素子から構成する場合の例としては、上述の光電変換素子を複数個2次元的に配列させる構成が挙げられる。この構成を有するものとしてはイメージセンサが挙げられる。より具体的には、イメージセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)センサ、MOS(Metal Oxide Semiconductor)センサが挙げられる。これらは読み出し方法の違いにより分類されるものである。
更に詳しくは、IT−CCD(Inter Transfer−Charge Coupled Device)センサ、FT−CCD(Flame Transfer −Charge Coupled Device)センサ、FIT−CCD(Flame Inter Transfer−Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary−Charge Coupled Device)センサ、NMOS(N−Channel−Charge Coupled Device)センサ、PMOS(P−Channel−Charge Coupled Device)センサが挙げられる。更に、1つの光電変換部を複数のイメージセンサから構成してもよい。更に、暗電流の発生防止の観点、微小な発光をより確実に検出する観点から上述のセンサを冷却する構成を採用してもよい。
また、本発明の試料検査装置は、図7に示す試料検査装置102のように、図1に示した試料検査装置100に搭載されているCPU4、メモリー部5及びデータ入出力部6を基板1に一体的に設けられていない構成を有していてもよい。また、CPU4、メモリー部5及びデータ入出力部6のうちの少なくとも1つの要素を基板1に一体的に設けた構成を有していてもよい。
更に、図2に示した基板1の各構成要素において、p型半導体に属する構成要素の全てがn型半導体に属する構成要素となり、n型半導体に属する構成要素の全てがp型半導体に属する構成要素となった形態であってもよい。
また、本発明において、試料載置面を有する基板の構成は、試料載置面を有し、この試料載置面に単分子膜により形成された2以上の凹部が形成されており、各凹部に1対1で対応するように設けられた光電変換部を有し、光電変換部に設けられた光電変換素子で生成する電荷に基づく電気信号を分析情報として出力するための機構を有する構成であれば特に限定されず、上述の実施形態に記載の試料検査装置100、101及び102に採用した半導体集積回路基板1の構成に限定されない。
例えば、試料検査装置100、101及び102に採用した半導体集積回路基板1では、光電変換素子で生成する電荷に基づく電気信号を分析情報として出力するための機構を有する構成として、フォトダイオードでの光の光電変換により生成する電子(電荷)を電圧の情報に変換する信号検出トランジスタ回路を有する構成を採用した場合について説明したが、本発明において、基板の構成は、このようなフォトダイオード、MOSセンサ等に好適な信号検出トランジスタ回路を有する構成に限定されるものではない。
更に、本発明の試料検査装置は、図2に示した基板1の各構成要素において、基板1中の遮光膜15、層間絶縁膜9及びカラーフィルタ11のうちの少なくとも1つの要素が設けられていない構成を有していてもよい。また、カラーフィルタ11を設けない場合、保護層12も設けない構成としてもよく、この場合、最上部の層は保護層12ではなく、基板1の最上部に配置された層となる(例えば、絶縁膜10、層間絶縁膜9、又は、無機酸化物層8となる。)
また、本発明の試料検査装置においては、凹部の底面が、光に対する光透過性を有する材料からなる第2の膜により更に被膜されている構成を有していてもよい。そして、この場合、第2の膜の表面には、液滴に含まれる溶媒と少なくとも水素結合可能な親水性の第4特性基が結合されている。液滴は、第4特性基と水素結合することにより、第2の単分子膜の表面に選択的に保持されるので、この場合であっても本発明の効果を得ることができる。ただし、この場合、第2の膜の厚さは、第1の領域を覆う単分子膜の厚さ以下である。
第2の膜を構成する材料としては、凹部3に収容される液滴から発せられる光に対する光透過性を有しており、液滴に対して水素結合可能な第4特性基を有しており、かつ、基板1の試料載置面F1の第1特性基と縮合反応により共有結合を形成可能な特性を有しているものであれば特に限定されない。
本発明の効果をより確実に得る観点から上記第4特性基としては、−OH、−NH2、=N−H、−SH、−SO3H、−SO2H、−PO3H、−PO32、−CHO、及び、−CO2Hからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有しているものであることが好ましい。
第4特性基は、上記の構造以外にも、金属原子(金属イオン)Mが酸素で架橋した構造(M−O−M)、メタルオキソの構造(M=O)、メタルヒドロキソの構造(M−O−H)を有しているものであってもよい。更に、この第2の膜の表面には、先に述べたプローブが固定されていてもよい。
第2の膜を構成する材料としては、上述の第4特性基を分子鎖の一端に有し、先に述べた第2特性基(第1特性基と縮合反応可能な特性基)を分子鎖の他端に有し、かつ、第4特性基と第2特性基との間に、先に述べた式(2)で表される2価の有機基が結合した構造を有する有機分子であることが好ましい。
また、第2の膜を構成する材料としては、上記の第4特性基と第2特性基との間に、先に述べた式(2)で表される2価の有機基が結合した構造において、式(2)で表される2価の有機基の炭素骨格を構成する炭素間に、先に述べた式(3)で表される特性基、−O−、−COO−、及び、−C64−からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基が更に結合された構造を有する有機分子であることが好ましい。
更に、第2の膜を構成する材料としては、上記第2特性基として、第1特性基と縮合反応可能な一般式(1)で表される特性基を有しており、第4特性基として、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、及び、シアノ基からなる群より選択される1価の基を2つ有しており、かつ、2つの第2特性基と第4特性基との間に、先に述べた式(4)で表される3価の有機基が結合した構造を有している有機分子であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
(単分子膜確認の予備実験)
実施例1で使用した有機分子と同じCF3(CF27(CH22SiCl3(信越化学工業製)を用い、基板上に形成された単分子膜の確認実験を行った。赤外分光分析用試料にはガラス基板をアルミ蒸着により被覆した基板が、それ以外の分析用試料にはガラス基板が用いられた。
CF3(CF27(CH22SiCl3をハイドロフルオロエーテル(住友スリーエム社製:商品名「HFE−7200」)に溶解し、2質量%の有機分子含有液を調製した。そして、各基板をこの溶液中に15分間浸漬させた。浸漬後、溶液から取り出した基板を直ちにハイドロフルオロエーテルを用いて洗浄し、基板表面に余分に付着したCF3(CF27(CH22SiCl3等を除去した。次に、基板を自然乾燥させて、基板表面に付着した洗浄用ハイドロフルオロエーテルを除去した。なお、有機分子含有液の調製から基板の乾燥までの操作は、乾燥窒素ガスを導入して乾燥雰囲気としたグローブボックス内で行った。グローブボックス内の気相(窒素ガス雰囲気)の水分量は、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合、該相対湿度値が5%以下となるように調節した。
以上の操作により、有機分子含有液中で、各基板の主面の水酸基やシラノール基と、CF3(CF27(CH22SiCl3(有機分子)の末端にあるトリクロロシリル基(−SiCl3)との縮合反応(脱塩化水素反応)を進行させた。
形成した単分子膜は赤外分光分析装置、核磁気共鳴装置、有機質量分析装置、二次イオン質量分析装置、X線光電子分光装置、X線反射率測定装置、及び透過型電子顕微鏡により分析した。
[赤外分光分析]
赤外分光分析はフーリエ赤外分析装置(サーモエレクトロン社製,Magna550)を用い、高感度反射測定法により測定を行った。図12に示すように、波数2930cm-1にメチレン基の逆対象伸縮振動を観測した。また、波数2888cm-1にメチレン基の対象伸縮振動を観測した。これにより単分子膜のCH2基の存在が確認された。
H−核磁気共鳴分析]
核磁気共鳴分析はナノプローブによる微量分析が可能な核磁気共鳴装置(バリアン社製,UNITY INOVA600)を用いて、H核の測定により行った。測定試料は単分子膜が形成された上記基板を酸化アルミニウムの研磨剤で研磨し、削り取った粉体に重水素化メタノールと水酸化ナトリウムを加え、溶液を加熱して単分子膜成分を基板から外すことによって調製した。図13に示すように、0.72ppmと2.35ppmに積分強度が各2Hの信号を観測した。これらはそれぞれSiの隣のCH2、CF2基の隣のCH2であると帰属された。これにより単分子膜の−CH2CH2−の存在が確認された。
19F−核磁気共鳴分析]
上記と同様にナノプローブによる微量分析が可能な核磁気共鳴装置(バリアン社製,UNITY INOVA600)を用いて、19F核の測定を行った。試料は1H−核の測定と同様にして調製したものを用いた。図14に示すように、−126.5ppmに積分強度が2Fの信号、−123.5ppm、−123.0ppm及び−121.9ppmにそれぞれ積分強度が2Fずつの信号と−122.2ppmに積分強度が4Fの信号、−116.2ppmに積分強度が2Fの信号、−81.6ppmに積分強度が3Fの信号を観測した。これらはそれぞれCF3基の隣のCF2、CF2CF2CF2CF2CF2、CH2の隣のCF2、CF3であると帰属された。これにより単分子膜のCF3(CF27CH2−の存在が確認された。
[有機質量分析]
有機質量分析は飛行時間型二次イオン質量分析装置(PHI-CEA社製 TRIFT-II型飛行時間型二次イオン質量分析装置)を用い、単分子膜が形成された基板表面を分析した。その結果、図15に示すように正イオンの分析で、質量数31、69、119、169を観測した。これら各質量数はそれぞれCF、CF3 、C25 、C37 であると帰属された。また、図16に示すように負イオンの分析で、質量数19、38、69、119、169を観測した。これら各質量数はそれぞれF、F2 、CF3 、C25 、C37 であると帰属された。これにより単分子膜のCF3CF2CF2−が確認された。
[X線光電子分光分析]
また、X線光電子分光装置(SSI社製 SSX-100型)を用いて、単分子膜のC1s結合エネルギーを観測した。図17に示すように、285.8eV、287.3eV、289.2eV、291.1eV、292.5eV、294.9eVを観測した。各エネルギー値はそれぞれCHx(+SiCHx)、CF2CH2、CF、CF2CH2、CF2CF2、CF3に対応することが判った。これらは有機分子、CF3(CF27(CH22SiCl3の各断片であることが判った。
[膜厚分析]
X線反射率測定装置(理学電機社製)を用いて、基板上に形成された単分子膜の膜厚を測定した。その結果、膜厚は2.26nmであった。
また、透過型電子顕微鏡(日立製作所社製H-9000UHR)を用いて、単分子膜を形成した基板上にエポキシ樹脂を被覆し、断面の観察を行った。図18に示すように、得られた画像から基板上に形成された単分子膜の膜厚を測定した。その結果、膜厚は2〜2.5nmであった。
これら各分析結果から、基板上に形成された膜は相補的におよそ一分子長で基板に対して並んだ単分子膜様の形状をしていることが確認された。
(実施例1)
以下、図8〜図10を用いて説明する手順により図7に示した試料検査装置102と同様の構成を有する試料検査装置を作製した。
半導体薄膜製造技術により得られる図2に示した基板1と同様の構成を有する基板81(半導体集積回路基板、主面の大きさ:15mm×25mm,厚さ:0.8mm,等間隔で2次元配列されたフォトダイオードの数:120,000個,等間隔で2次元配列されたフォトダイオードの密度:37000/cm2)を準備した。
次に、本発明に係る単分子膜形成工程に基づき以下の手順で基板81の主面(試料載置面となる側の面)に単分子膜83を形成した。
先ず、基板81の主面を超純水で洗浄し、温風により表面に付着した超純水の液滴を除去した。次に、洗浄後の基板81の主面に、スピンナーを用いてポジレジスト(東京応化社製,商品名「OFPR5000」)を塗布し、この塗布面上にマスクパターン(基板81中のフォトダイオードの配置条件に対応するパターンを有する)を配置した。
次に、塗布面に対して、ステッパー(投影露光装置)を用いて紫外線露光、続いて現像及び洗浄を行うことにより、図8(a)及び図8(b)に示す基板81の主面にマスクパターンに基づくレジストパターンを形成した。図8(a)は、上記レジストパターンを模式的に示す断面図であり、図8(b)は図8(a)に示したレジストパターンを基板81の主面の法線方向から観察した場合の顕微鏡写真を示す図である。
図8(b)において、複数の長方形パターンが、レジストパターン82であり、その大きさは長さ60μm×幅20μmであった。なお、基板81の主面のうちのレジストパターン82が形成されていない領域は第1の領域(単分子膜が形成される領域)となる領域であり、レジストパターン82が形成された領域は第2の領域(凹部の底面)となる領域である。
一方、有機分子としてCF3(CF27(CH22SiCl3(信越化学工業社製)をハイドロフルオロエーテル(住友スリーエム社製:商品名「HFE−7200」)に溶解し、2質量%の有機分子含有液を調製した。そして、レジストパターン82を形成した基板81をこの溶液中に15分間浸漬させた。浸漬後、溶液から取り出した基板81を直ちにハイドロフルオロエーテルを用いて洗浄し、基板81表面に余分に付着したCF3(CF27(CH22SiCl3等を除去した。次に、基板81を自然乾燥させて、基板81表面に付着した洗浄用ハイドロフルオロエーテルを除去した。なお、有機分子含有液の調製から基板の乾燥までの操作は、乾燥窒素ガスを導入して乾燥雰囲気としたグローブボックス内で行った。その際、有機分子含有液に接触するグローブボックス内の気相(窒素ガス雰囲気)の水分量は、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合、該相対湿度値が5%以下となるように調節した。
以上の操作により、有機分子含有液中で、基板81の主面の水酸基やシラノール基と、CF3(CF27(CH22SiCl3(有機分子)の末端にあるトリクロロシリル基(−SiCl3)との縮合反応(脱塩化水素反応)を進行させた。その結果、図9(a)に示すように、基板81の主面のレジストパターン82が形成されていない領域にシロキサン結合(−Si−O−)によって強固に固定された単分子膜83を形成した。
次に、グローブボックスから、単分子膜83が形成された基板81を取り出し、基板81の主面の顕微鏡観察を行った。図9(b)の顕微鏡写真に示すように、レジストパターン82が形成されていない領域に単分子膜83が形成されたことが確認された。更に、この顕微鏡観察から、レジストパターン82は、剥離、部分的な欠如、膨潤等が起こることなく、形成直後と同じ状態を保っていることが確認された。
更に、基板81をアセトン(関東化学社製)に浸漬し、基板81の主面のレジストパターン82を完全に溶解させて除去した(図10参照)。次に、基板81を超純水により洗浄し、その後乾燥させた。次に、乾燥後の基板81の主面を顕微鏡で観察した。顕微鏡観察の結果、基板81の表面からレジストパターン82が完全に除去されたことが確認された。すなわち、レジストパターン82が形成されていた領域は表面が露出し、その他の領域には表面上に単分子膜83が形成された基板81を得ることができたことが確認された。
また、顕微鏡観察の結果、基板81の主面に形成された各凹部の底面の大きさは約20μm×約60μmであり、合計120,000個形成することができたことが確認された。すなわち、基板81の主面の単位面積(1cm2)当たり37,000個の凹部(容積:1.2×10-3pL)を形成できたことが確認された。
次に、このようにして作製した基板81に液体を滴下し、各凹部に収容された液滴同士のコンタミネーションの発生が十分に防止可能か否かを確認した。
先ず、単分子膜83が形成された基板81の主面全体に、2質量%の塩化ナトリウム水溶液を塗布し、各凹部に塩化ナトリウム水溶液84からなる液滴(9pL,高さ:約10μm)を塗布した(図11(a)参照)。次に、この基板81を乾燥させた後、基板81の主面の顕微鏡観察を行った。その顕微鏡写真の結果を図11(b)に示す。図11(b)に示した結果から明らかなように、基板81の凹部のみに柱状の塩化ナトリウム結晶85(底面の大きさ:約20μm×約60μm)が選択的に形成されていることが確認された。なお、すべての塩化ナトリウム結晶85が凹部の位置にのみ選択的に形成されていることが確認された。
更に、塩化ナトリウム水溶液に代えて、SYBR−Greenを含有するDNA水溶液を用いて同様の確認試験を行った。DNA水溶液として、DNAプローブ(長さ:40bp)の水溶液を使用した。その結果、当該DNA水溶液からなる微小な液滴を、コンタミネーションさせることなく、基板1の露出部分のみに規則的に配置できることを確認した。なお、DNAプローブは37,000個/cm2の密度で設けることができた。
上記実施例では有機分子としてCF3(CF27(CH22SiCl3が用いられたが、本明細書に列挙した他の有機分子でも同様に基板上に疎水性の単分子膜を形成することができる。
本発明の試料検査装置は、反応条件、成分組成条件等の条件を変えた膨大な数のサンプルの分析を一度に行うことが要求される技術分野、例えば、医薬品開発におけるドラックスクリーニング、遺伝子解析、タンパク質解析、1塩基多型検出等を行う技術分野における分析装置として有用である。
本発明の試料検査装置の第一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す試料検査装置の基本構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の試料検査装置の第二実施形態を示す斜視図である。 (a)は、図3に示した試料検査装置101の液滴供給部40に備えられるノズルの基本構成を概略的に示す斜視図であり、(b)及び(c)は、試料検査装置101における凹部3に対する液滴供給部40の位置合せの方法を説明するための説明図である。 (a)及び(b)は、試料検査装置101における凹部3に対する液滴供給部40の位置合せの別の方法を説明するための説明図である。 (a)は、図3に示した試料検査装置101の液滴供給部40に備えられるノズルの別の基本構成を概略的に示す斜視図であり、(b)は、試料検査装置101における凹部3に対する液滴供給部40の位置合せの更に別の方法を説明するための説明図である。 本発明の試料検査装置の他の実施形態を示す斜視図である。 (a)は実施例1の試料分析装置を製造する際の単分子膜形成工程において、基板の主面(試料載置面となる面)上に形成したレジストパターンの一例を模式的に示す断面図であり、(b)は(a)に示したレジストパターンを基板の主面の法線方向から観察した場合の顕微鏡写真を示す図である。 (a)は実施例1の試料分析装置を製造する際の単分子膜形成工程において、基板上に形成したレジストパターン及び単分子膜の一例を模式的に示す断面図であり、(b)は(a)に示したレジストパターンを基板の主面の法線方向から観察した場合の顕微鏡写真を示す図である。 実施例1の試料分析装置を製造する際の単分子膜形成工程において、基板上に形成した単分子膜の一例を模式的に示す断面図である。 (a)は、実施例1の試料分析装置の基板上に形成した凹部に塩化ナトリウム水溶液の液滴を収容させた状態を模式的に示す断面図であり、(b)は、(a)に示した基板表面を、当該基板の主面の法線方向から観察した場合の顕微鏡写真を示す図である。 赤外分光分析で単分子膜を分析したスペクトル図である。 1H−核磁気共鳴分析で単分子膜を分析したスペクトル図である。 19F−核磁気共鳴分析で単分子膜を分析したスペクトル図である。 有機質量分析(正イオン分析)で単分子膜を分析したスペクトル図である。 有機質量分析(負イオン分析)で単分子膜を分析したスペクトル図である。 X線光電子分光分析により単分子膜を分析したスペクトル図である。 透過型電子顕微鏡による断面写真である。
符号の説明
1・・・基板(半導体集積回路基板)、2・・・単分子膜、3・・・凹部、4・・・CPU、5・・・メモリー部、6・・・データ出入力部、7・・・半導体層、8・・・無機酸化物層、9・・・層間絶縁膜、10・・・絶縁膜、11・・・カラーフィルタ、12・・・保護層、40・・・液滴供給部、50,50A・・・ノズル、70・・・光電変換部、72・・・pウェル、74・・・n型領域、100,101,102・・・試料検査装置、F1・・・試料載置面、F11・・・第1の領域、F12・・・第2の領域。

Claims (29)

  1. 分析すべき測定対象物を含む2以上の液滴をそれぞれ独立に収容するための2以上の凹部が設けられた試料載置面を有する基板を少なくとも備えており、
    前記試料載置面は、疎水性の単分子膜により被覆される第1の領域と、内部が前記単分子膜に被覆されておらず全外周部分が前記第1の領域により囲まれる2以上の第2の領域と、に少なくとも区分されており、
    前記凹部の底面は前記第2の領域により形成されており、前記凹部の全内側面を含む外周部分は前記第1の領域を被覆する前記単分子膜により形成されており、
    前記基板の内部には、前記2以上の凹部のそれぞれに収容された前記2以上の液滴のそれぞれから放出される光をそれぞれ独立に光電変換可能な2以上の光電変換部が、前記2以上の凹部のそれぞれに対して1対1で対応するように設けられており、
    前記単分子膜は、有機分子を用いて形成されており、かつ、前記試料載置面に共有結合により固定されていること、
    を特徴とする試料検査装置。
  2. 前記凹部の容積が2×10-6pL〜1pLである請求項1に記載の試料検査装置。
  3. 前記試料載置面の単位面積当たりに形成される前記凹部の数が1万個/cm2以上である請求項1又は2に記載の試料検査装置。
  4. 前記単分子膜の厚さが0.5〜50nmである請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  5. 前記単分子膜は、
    前記基板として、前記有機分子と結合する末端部分に、−OH、−NH2、=N−H、及び、−SHからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有する親水性の第1特性基を前記試料載置面に有する基板を使用し、
    前記有機分子として、前記第1特性基と縮合反応可能な第2特性基を分子鎖の一端に有し、かつ、疎水性の第3特性基を前記分子鎖の他端に有する有機分子を使用し、
    前記有機分子を前記試料載置面に接触させ、前記第1特性基と前記第2特性基との縮合反応を進行させる、単分子膜形成工程を経て形成されている請求項1〜4のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  6. 前記単分子膜形成工程には、容器中において、前記有機分子を非プロトン性溶媒中に添加して得られる有機分子含有液と、前記基板の試料載置面とを接触させて前記縮合反応を進行させる第1工程が含まれており、
    前記第1工程において、前記有機分子含有液に接触している気相中の水分量を、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合、該相対湿度値が35%以下となるように調節する請求項5に記載の試料検査装置。
  7. 前記有機分子は、
    前記第2特性基として、前記第1特性基と縮合反応可能な下記一般式(1)で表される特性基を有しており、
    前記第3特性基として、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、及び、シアノ基からなる群より選択される特性基を有しており、かつ、
    前記第2特性基と前記第3特性基との間に、下記一般式(2)で表される2価の有機基が結合した構造を有している請求項1〜6のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
    −Cb2b− …(2)
    [式(1)中、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示し、
    式(2)中、Eは、H及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示し、bは2〜22の整数を示す。]
  8. 前記有機分子は、前記一般式(2)で表される2価の有機基の炭素骨格を構成する炭素間に、下記一般式(3)で表される特性基、−O−、−COO−、及び、−C64−からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基が更に結合された構造を有している請求項7に記載の試料検査装置。
    [式(3)中、g及びhはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。]
  9. 前記有機分子は、
    前記第2特性基として、前記第1特性基と縮合反応可能な下記一般式(1)で表される特性基を有しており、
    前記第3特性基として、メチル基、ハロゲン置換メチル基、ビニル基、炭素数が2〜4の環状エーテル基、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、及び、シアノ基からなる群より選択される1価の基を2つ有しており、かつ、
    前記第2特性基と前記第3特性基との間に、下記一般式(4)で表される3価の有機基が結合した構造を有している請求項1〜6のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
    [式(1)中、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示し、
    式(4)中、Cj2jは前記第2特性基に結合する特性基であり、Cm2m及びCn2nは前記第3特性基に結合する特性基であり、G、J及びLはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、H及びFからなる群より選択される少なくとも1種の原子を示し、jは1〜18の整数を示し、m及びnはそれぞれ独立に0〜7の整数を示す。]
  10. 前記有機分子が、下記一般式(20)〜(29)のうちの何れかで表される構造を有している請求項7に記載の試料検査装置。
    [式(20)〜(29)中、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示し、qは2〜22の整数を示し、m及びnはそれぞれ下記式(I)〜(III)で表される条件;
    0≦m≦14…(I)
    0≦n≦15…(II)
    2≦(m+n)≦22…(III)
    を同時に満たす整数を示す。]
  11. 前記有機分子が、下記一般式(30)〜(39)のうちの何れかで表される構造を有している請求項8に記載の試料検査装置。
    [式(30)〜(39)中、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示し、Aは前記一般式(3)で表される特性基、−O−、−COO−、及び、−C64−からなる群より選択される少なくとも1種の2価の特性基を示し、tは1〜10の整数を示し、pは1〜18の整数を示し、r及びsはそれぞれ下記式(IV)〜(VI)で表される条件;
    0≦r≦14…(IV)
    0≦s≦15…(V)
    2≦(r+s)≦22…(VI)
    を同時に満たす整数を示す。]
  12. 前記有機分子が、下記一般式(40)〜(49)のうちの何れかで表される構造を有している請求項9に記載の試料検査装置。
    [式(40)〜(49)中、Z1はF、Cl、Br、I、−OH、−SCN、−NCO、及び、炭素数が1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、Z2は、H、及び、炭素数が1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の原子又は原子団を示し、aは1〜3の整数を示し、tは1〜10の整数を示し、pは1〜18の整数を示し、r及びsはそれぞれ下記式(IV)〜(VI)で表される条件;
    0≦r≦14…(IV)
    0≦s≦15…(V)
    2≦(r+s)≦22…(VI)
    を同時に満たす整数を示す。]
  13. 前記共有結合中に、−Si−O−、−Si−N−、及び、−Si−S−からなる群より選択される少なくとも1種の構造が含まれている請求項1〜12のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  14. 前記第1特性基が、−SO3H、−SO2H、−PO3H、−PO32、−CO2H及び−SHからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有している請求項5〜13のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  15. 前記液滴中に、前記分析すべき測定対象物と反応するプローブが更に含まれている請求項1〜14のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  16. 前記プローブが、ポリヌクレオチド及び標識化ポリヌクレオチドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項15に記載の試料検査装置。
  17. 前記凹部の底面が、前記光に対する光透過性を有する材料からなる第2の膜により更に被膜されており、
    前記第2の膜の表面には、前記液滴に含まれる溶媒と少なくとも水素結合可能な親水性の第4特性基が結合されている請求項1〜15のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  18. 前記第4特性基が、−OH、−NH2、=N−H、−SH、−SO3H、−SO2H、−PO3H、−PO32、−CHO、及び、−CO2Hからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有している請求項17のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  19. 前記第2の膜の表面に、分析すべき測定対象物と反応するプローブが固定されている請求項17又は18に記載の試料検査装置。
  20. 前記プローブが、ポリヌクレオチド及び標識化ポリヌクレオチドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項19に記載の試料検査装置。
  21. 前記基板が、
    前記試料載置面を有し、前記液滴から放出される前記光に対する光透過性を有する最上部の層と、
    前記最上部の層の裏面に接合された状態で配置されており、前記2以上の光電変換部を含む半導体層と、
    を少なくとも有する積層体からなり、
    前記2以上の光電変換部のそれぞれに、光電変換素子が備えられている請求項1〜20のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  22. 前記試料載置面の上方に配置されており、前記分析すべき測定対象物を含む液滴を前記凹部に向けて吐出するノズルを有する液滴供給部と、
    前記ノズルを移動させることにより、前記凹部に対する前記ノズルの位置を調節する制御部と、
    を更に備えている請求項1〜21のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  23. 前記光電変換素子がpn接合面を有している請求項1〜22のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  24. 前記単分子膜形成工程において、
    前記試料載置面の前記第2の領域となるべき領域を被覆するためのレジストパターンを形成し、前記試料載置面の前記レジストパターンの形成されていない領域を前記第1の領域とし、
    前記レジストパターンを形成した後の前記試料載置面に前記有機分子を接触させることにより、前記第1の領域にのみ前記単分子膜を選択的に被覆し、次いで、前記レジストパターンを除去することにより、前記2以上の凹部を形成する請求項5〜23のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  25. 前記単分子膜形成工程において、
    前記試料載置面に前記単分子膜を形成し、
    前記試料載置面の前記第1の領域となるべき領域を被覆している単分子膜を紫外線から選択的に保護するためのフォトマスクを使用し、
    前記フォトマスクを介して前記単分子膜を形成した後の前記試料載置面に前記紫外線を照射し、前記試料載置面の前記第2の領域となるべき領域を被覆している単分子膜のみを選択的に除去することにより、前記2以上の凹部を形成する請求項5〜23のうちの何れか一項に記載の試料検査装置。
  26. 2以上の光電変換部が2次元的に配列された状態で内蔵されており、かつ、対向する2つの主面のうちの少なくとも一方の面に−OH、−NH2、=N−H、及び、−SHからなる群より選択される少なくとも1種の構造を少なくとも有する親水性の第1特性基が結合された基板を形成する基板形成工程と、
    前記基板の第1特性基が結合された側の主面を、分析すべき測定対象物を含む2以上の液滴をそれぞれ独立に固定するための試料載置面とし、該試料載置面を、疎水性の単分子膜により被覆される第1の領域と、内部が前記単分子膜に被覆されておらず全外周部分が前記第1の領域により囲まれる2以上の第2の領域と、に少なくとも区分し、前記第1の領域のみに選択的に前記単分子膜を形成することにより、前記2以上の液滴をそれぞれ独立に収容するための2以上の凹部を、前記2以上の光電変換部のそれぞれに対して1対1で対応するように設ける単分子膜形成工程と、
    を少なくとも含んでおり、
    前記単分子膜形成工程において、
    前記第1特性基と縮合反応可能な第2特性基を分子鎖の一端に有し、かつ、疎水性の第3特性基を前記分子鎖の他端に有する有機分子を前記単分子膜の原料として使用し、
    得られる前記凹部の底面が前記第2の領域により形成され、前記凹部の全内側面を含む外周部分が前記第1の領域を被覆する前記単分子膜により形成されるように、前記有機分子を前記試料載置面に接触させ、前記第1特性基と前記第2特性基との縮合反応を進行させ、前記単分子膜を前記試料載置面に共有結合により固定された状態で形成すること、
    を特徴とする試料検査装置の製造方法。
  27. 前記単分子膜形成工程には、容器中において、前記有機分子を非プロトン性溶媒中に添加して得られる有機分子含有液と、前記基板の試料載置面とを接触させて前記縮合反応を進行させる第1工程が含まれており、
    前記第1工程において、前記有機分子含有液に接触している気相中の水分量を、22℃における相対湿度値に換算して表現した場合、該相対湿度値が35%以下となるように調節する請求項26に記載の試料検査装置の製造方法。
  28. 前記単分子膜形成工程において、
    前記試料載置面の前記第2の領域となるべき領域を被覆するためのレジストパターンを形成し、前記試料載置面の前記レジストパターンの形成されていない領域を前記第1の領域とし、
    前記レジストパターンを形成した後の前記試料載置面に前記有機分子を接触させることにより、前記第1の領域にのみ前記単分子膜を選択的に被覆し、次いで、前記レジストパターンを除去することにより、前記2以上の凹部を形成する請求項26又は27に記載の試料検査装置の製造方法。
  29. 前記単分子膜形成工程において、
    前記試料載置面に前記単分子膜を形成し、
    前記試料載置面の前記第1の領域となるべき領域を被覆している単分子膜を紫外線から選択的に保護するためのフォトマスクを使用し、
    前記フォトマスクを介して前記単分子膜を形成した後の前記試料載置面に前記紫外線を照射し、前記試料載置面の前記第2の領域となるべき領域を被覆している単分子膜のみを選択的に除去することにより、前記2以上の凹部を形成する請求項26又は27に記載の試料検査装置の製造方法。
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