JP2005325686A - Lpg用レギュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 液体LPGを電気加熱気化手段で加熱気化するエンジンの低温始動時に、気化されなかった液体LPGが気化ガスに混入してエンジンに供給され、混合気過濃による始動不能や運転不調を生じることをなくす。
【解決手段】 LPGの気化ガスを所定圧力で保有させる調圧室22の入口側に具えさせた電気加熱気化手段10について、その加熱室11に設けた電気ヒータ12の下流側に多孔板部材19を設置し、電気ヒータ12で加熱気化した気化ガスに混入している液体LPGを多孔板部材19で捕捉分離して気化ガスのみを調圧室22に送入するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は液体のLPGを加熱気化するとともに所定圧力に調整して吸気管路に送出するLPG用レギュレータに関する。
液体のLPGをレギュレータ(ベーパライザ)で大気圧程度の圧力に調整した気化ガスとしてミキサより吸気管路に送出させ、またはレギュレータで所定の正圧に調整した気化ガスとして燃料噴射弁より吸気管路に送出させることによりエンジンに供給するシステムにおいて、低温時のエンジン始動性を良好にするため、エンジン冷却水の熱を利用する温水加熱気化手段に加えて電気抵抗熱を利用する電気加熱気化手段をレギュレータに付設することは、例えば特開平5−223014号公報、特開平11−324813号公報、特開2002−188518号公報に記載されているように広く知られている。
電気加熱気化手段の電気ヒータは一般にPTCヒータを用いており、通電開始後の温度の立上がりが急速であることから、エンジン冷却水では加熱気化が充分に行えない低温時におけるLPG気化に有効である。 しかし、例えば−20℃程度の極低温であってLPGの蒸気圧が著しく低い温度域では、PTCヒータで液体LPGを加熱しても完全に気化することが困難であり、液体LPGを混入した気化ガスがエンジンに供給されると混合気過濃による始動不能や運転不調を招くこととなる。
その対策として、PTCヒータを大形にしたり複数個使用することにより加熱面積を大きくすることが考えられるが、例えばブタンの比率が大きい組成のLPGの場合には極低温時での完全気化が困難であって、液体LPG混じりの気化ガスがエンジンに供給される心配をなくすことができない。
特開平5−223014号公報 特開平11−324813号公報 特開2002−188518号公報
本発明は電気加熱気化手段をレギュレータに付設して低温時における液体LPGの加熱気化を図った前記従来の技術では、殊に極低温時での完全気化が困難で液体LPG混じりの気化ガスがエンジンに供給される心配がある、という上記の問題点を解決しようとするものであって、完全に気化されなくても液体LPGが吸気管路に送出されることのないLPG用レギュレータを提供することを目的とする。
本発明はLPGの気化ガスを所定圧力で保有させる調圧室の入口側に液体LPGを加熱気化する温水加熱気化手段と電気加熱気化手段とを具えているLPG用レギュレータがもっている前記課題を解決するために、電気加熱気化手段の電気ヒータ下流部分に多孔板部材を設置し、この多孔板部材は電気ヒータによって加熱気化した気化ガスに混入している液体LPGを分離して気化ガスのみを調圧室に送入させるものとした。
調圧室はLPGを二段階で減圧して大気圧程度の気化ガスに調整するレギュレータにおいては一段目、即ち一次減圧室であり、LPGを一回の減圧で所定正圧の気化ガスに調整するレギュレータにおいては単一の減圧室である。
エンジン始動性に外気が低温であり、またLPGの組成によって蒸気圧が低いときは電気ヒータに通電し液体LPGを加熱気化して調圧室に送入する。このとき、気化が不完全で気化ガスに液体LPGが混入していても、電気ヒータを通過し調圧室に向かって流れる際に多孔板部材が液体LPGを捕捉して気化ガスのみを通過させる。 このことにより、液体LPG混じりの気化ガスを吸気管路に送出して混合気を過濃にすることがなくなり、エンジンの低温始動性を良好なものとすることができる。
また、本発明は前記同様に調圧室の入口側に温水加熱気化手段と電気加熱気化手段とを具えているLPG用レギュレータがもっている前記課題を解決するために、温水加熱気化手段の下流側に電気加熱気化手段を配置するとともに電気加熱気化手段の電気ヒータ下流部分に多孔板部材を設置し、この多孔板部材は温水または電気ヒータによって加熱気化した気化ガスに混入している液体LPGを分離して気化ガスのみを調圧室に送入させるものとした。
多孔板部材は電気加熱気化手段で生成した気化ガスに混入している液体LPGはもとより、温水加熱気化手段で生成した気化ガスに混入している液体LPGも捕捉して気化ガスのみを調圧室に送入させる。 従って、加熱気化方式を電気から温水に切り換えた直後に、エンジン冷却水の気化能力を超える高負荷運転を行った場合でも、温水加熱気化手段で気化できなかった液体LPGがエンジンに供給され出力低下を招く、という不都合を回避することができる。 また、二つの加熱気化手段をこのような配列とすることにより、電気加熱気化手段で生成した気化ガスが低温の温水加熱気化手段を通過する間に再び液化する、という心配がなくなる。
ここで、電気加熱気化手段について、電気ヒータにPTCヒータを用いてその複数を所定間隔で平行に配置して加熱室に縦に収装するとともに、加熱室のPTCヒータ上方部分に多孔板部材を設置し、液体LPGが加熱室に下方から流入してPTCヒータの間を上方に向かって流れる間に気化し、そして生成した気化ガスが多孔板部材を通過して調圧室に送入されるものとすることが本発明を実施するうえで好適である。
即ち、加熱面積が大きくなって加熱気化能力が高いものとなり、また下方から流入した液体LPGが気化して上昇する間に更に加熱されて混入している液体LPGを気化し、多孔板部材に到達する液体LPGを大幅に減少させることができ、また大流量の液体LPGを充分に気化することができるものとなる。
本発明によると、電気加熱気化手段で液体LPGを完全気化することが困難な極低温時においても液体LPG混じりの気化ガスがエンジンに供給されることが防止され、エンジンの低温始動を良好なものとすることができる。 また、このことに加えて温水加熱気化手段で気化しなかった液体LPGを混入した気化ガスがエンジンに供給されることも防止され、エンジン運転を良好なものとすることができる。
図面を参照して本発明の実施の形態を説明すると、ハウジング1の調圧室22の側方下部に温水加熱気化手段2の加熱室3が設けられているとともに、その上方に電気加熱気化手段10の加熱室11が設けられている。
温水加熱気化手段2の加熱室3の一側端部に図示しないボンベから送られてくる液体LPGの流入口4が開口しており、これより流入した液体LPGはバッフルプレート5によって蛇行しながら反対側の端部に設けた流出口6に向かって流れ、その間に加熱室3に隣接して設けた温水ジャケット7を通過するエンジン冷却水の熱により加熱されて気化ガスとなる。
電気加熱気化手段10の電気ヒータ12は長方形平板状のPTCヒータであり、その両表面に電極兼加熱板13,14を重ねて固定してなる電熱ユニット15の複数が所定間隔で互いに平行に配置されて加熱室11に縦に収装されている。電熱ユニット15の互いの間隙、および両端の電熱ユニット15と加熱室11の壁との隙間はLPG流路16を形成している。 電極兼加熱板13,14の一方は電力供給側の電極棒17に結合され、もう一方は接地側の電極棒18に結合されている。また、加熱室11の電気ヒータ12上方部分には多孔板部材19が加熱室11の全横断面に亘って配置されており、気化ガスの全部がこの多孔板部材19を通過するようになっている。
エンジン冷却水が液体LPGを気化することができないか、または充分に気化できない温度のときにエンジンを始動させる場合、電気ヒータ12に通電して発熱させる。 本実施の形態では電気ヒータ12にPTCヒータを使用しているので、通電開始後の温度の立ち上がりが急速であり、温水加熱気化手段2の加熱室3を通って加熱室11に下方から流入した液体LPGは直ちに加熱されるようになる。また、本実施の形態では複数の電熱ユニット15によって狭い隙間のLPG流路16の複数を形成したので、加熱気化能力が高く大流量の液体LPGも気化が可能であり、且つ下方から流入したLPGが流路16を上昇する間に更に加熱されて混入している液体LPGを気化して上方に抜け出す。
電気ヒータ12の上方に達した気化ガスに液体LPGが混入していると、この液体LPGは多孔板部材19の目を通過することなく捕捉され、気化ガスのみがその上方へと通過する。 気化ガスに混入して上方に連行される液体LPGは液滴状であり、多孔板部材19の目の大きさは液体LPGを通過させることがなく、且つその数はエンジン最大要求流量の気化ガスを通過させることができるようにする。 好適な目の大きさは図3に示すように、通過気化ガス量がエンジン最大要求流量よりも多く、しかも液体LPGを通過させない範囲W内で適宣に設定される。尚、多孔板部材19は打抜き金属板または金網によって作られる。
エンジン冷却水が液体LPGを気化できる温度に上昇したとき、電気ヒータ12への通電を停止して温水加熱気化手段2による加熱気化が行われる。このとき、例えば切り換え直後にエンジンが高負荷運転を行って要求流量がエンジン冷却水の気化能力を超えた場合に、電気加熱気化手段10の加熱室11に入った気化ガスに液体LPGが混入するが、この液体LPGも多孔板部材19で捕捉される。
また、本実施の形態では温水加熱気化手段2の下流側に電気加熱気化手段10を配置しているので、低温時に電気加熱気化手段10で生成した気化ガスが低温の温水加熱気化手段2を通過する間に冷却されて再び液化する、という心配がなくなり、常に気化ガスのみをエンジンに供給することができる。
加熱室11の多孔板部材19よりも上方の領域は弁通路23によって調圧室22に接続され、調圧室22を覆って調圧ばね24を作用させたダイヤフラム25の中心に取り付けたフック26に基端を係合させた弁レバー27の先端に取り付けられた弁体29が弁通路23に設けた弁座30に着座・離間することにより、加熱室11と調圧室22とを遮断・連通する。 即ち、調圧室22が設定圧力よりも低い圧力になるとダイヤフラム25が調圧室22の方へ変位して弁レバー27をピン28を支点として弁体29が弁座30から離間する方向に回動させることによって、加熱室11の気化ガスを弁体29の当り面と弁座30の弁座面との隙間を通過する間に減圧して調圧室22に導入する。 調圧室22が設定圧力以上の圧力になるとダイヤフラム25が反対側へ変位して弁体29を弁座30に着座させる。 以上の動作により調圧室22にほぼ一定正圧の気化ガスが保有され、この気化ガスは供給管路31を通って図示しない燃料噴射弁に送られる。
本発明の実施の形態を示す縦断面図。 図1のA−A線に沿う断面図。 多孔板部材の目の大きさを設定する説明図。
符号の説明
1 ハウジング、 2 温水加熱気化手段、 10 電気加熱気化手段、11 加熱室、12 電気ヒータ、 15 電熱ユニット、 16 LPG流路、19 多孔板部材、 22 調圧室

Claims (3)

  1. LPGの気化ガスを所定圧力で保有させる調圧室の入口側に液体LPGを加熱気化する温水加熱気化手段と電気加熱気化手段とを具えているLPG用レギュレータにおいて、
    前記電気加熱気化手段の電気ヒータ下流部分に多孔板部材が設置され、前記多孔板部材は前記電気ヒータによって加熱気化した気化ガスに混入している液体LPGを分離して気化ガスのみを前記調圧室に送入させるものである、
    ことを特徴とするLPG用レギュレータ。
  2. LPGの気化ガスを所定圧力で保有させる調圧室の入口側に液体LPGを加熱気化する温水加熱気化手段と電気加熱気化手段とを具えているLPG用レギュレータにおいて、
    前記電気加熱気化手段が前記温水加熱気化手段の下流側に配置されているとともにその電気ヒータ下流部分に多孔板部材が設置され、前記多孔板部材は温水または電気ヒータによって加熱気化した気化ガスに混入している液体LPGを分離して気化ガスのみを前記調圧室に送入させるものである、
    ことを特徴とするLPG用レギュレータ。
  3. 前記電気ヒータがPTCヒータであってその複数が所定間隔で平行に配置されて加熱室に縦に収装されているとともに、前記加熱室の前記PTCヒータ上方部分に前記多孔板部材が設置されており、液体LPGが前記加熱室に下方から流入して前記PTCヒータの間を上方に向かって流れる間に気化し、そして生成した気化ガスが前記多孔板部材を通過して前記調圧室に送入されるものとした、
    請求項1または2に記載したLPG用レギュレータ。

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