JP2005325341A - 導電性樹脂組成物及び半導体関連部品搬送容器 - Google Patents

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Abstract

【構成】 本発明は、繊維外径が80〜500nmの気相成長炭素繊維(A1)と樹脂(B)を含む導電性樹脂組成物において、(1)気相成長炭素繊維(A1)が、面間隔d002、0.345nm以下かつアスペクト比が40〜1000、(2)気相成長炭素繊維(A1)と樹脂(B)の体積比[A1/B]が0.5/99.5〜12/88、(3)導電性樹脂組成物の体積固有抵抗値が105Ωcm以下、(4)80℃で30分間加熱したときの総発生ガス量が5ppm以下である導電性樹脂組成物及びそれを用いた樹脂成形体に関する。
【効果】 本発明の導電性樹脂組成物によれば、樹脂材料から発生する分子状汚染物質の付着が抑えられるため、それを成形したエレクトロニクス関連部品搬送容器での移動中の製品の品質低下が防止され製品の歩留まりが向上し、また部品入りのキャリアごと洗浄及び加熱乾燥が可能である。
【選択図】なし

Description

本発明は、気相成長炭素繊維及びガス発生量の少ない樹脂を含む導電性樹脂組成物に関する。さらに詳しく言えば、吸水性を少なくし、エレクトロニクスに使用されるICチップやウェハ、ハードディスクを搬送するキャリアやケース、包装材料等の樹脂材料から発生する有機物汚染ガスや水分の発生を抑え、製品の歩留まり、貯蔵、移動中における品質の低下を防止し、信頼性を向上させることができる導電性樹脂組成物及びそれを用いて製造されたエレクトロニクス関連部品搬送容器、包装材料に関する。
従来から集積回路(IC)やICを用いた電子部品の包装形態としてインジェクショントレー、真空成形トレー、マガジン、エンボスキャリアテープなどが使用されてきた。半導体などのエレクトロニクス部品は、微細化、高性能化にともない、製造環境、貯蔵、移動中に発生、接触する汚染物質も製品の歩留まり、品質、信頼性に大きな影響を及ぼすようになった。
これら輸送、貯蔵などに使用する樹脂部材には、静電気によるエレクトロニクス部品の破壊を防止するために(1)包装容器の表面に帯電防止剤を塗布する方法、(2)導電性塗料を塗布する方法、(3)帯電防止剤若しくは導電性フィラーを分散させる方法等が施されている。
しかしながら、(1)の方法は、塗布直後は十分な帯電防止効果を示すが、長時間の使用により、水分による流出、摩耗による帯電防止剤の脱離が生じ易く、安定した性能が得られない。また、表面固有抵抗値も109〜1012Ω程度であり、厳しい帯電防止効果を要求されるエレクトロニクス部品の包装には不適当である。(2)の方法は、製造時において塗布が不均一となり易くまた摩耗による剥がれ落ち易いため帯電防止効果を失いエレクトロニクス部品を破壊すると共にエレクトロニクス部品のリード部を汚染するという問題点がある。(3)の方法において帯電防止剤は、添加量が多量に必要のため樹脂の物性を低下させ、また表面固有抵抗値が湿度により大きく影響され安定した性能が得られないという問題点がある。
導電性フィラーとしては金属微粉末、カーボンファイバー、カーボンブラックなどが用いられている(例えば、特開平8-283584号公報;特許文献1参照)。これらのうちで金属微粉末及びカーボンファイバーは少量の添加で十分な導電性が得られるが成形性が著しく低下し、また均一に分散させることが難しくかつ成形品の表面に樹脂成分のみのスキン層が出来易く安定した表面固有抵抗値が得られにくい。
これらに対しカーボンブラックは、混練条件等の検討により均一に分散させることが可能であり、安定した表面固有抵抗値が得られ易いことから一般的に使用されているが、カーボンブラックを多量に添加する必要が有るため流動性や成形性が低下する現象がある。また近年、分子状の汚染物質がデバイス特性や製造上のトラブルに大きな影響を及ぼすことがわかってきた。この分子状汚染物質には、外気中の有機成分、例えば、自動車や工場から排出される炭化水素化合物、農薬などに含まれる各種有機成分やクリーンルーム内の床、壁、フィルター、塗装、接着剤などから発生する有機ガス、工程内の装置で使用される洗浄剤、エッチング液、リソグラフィーなどの薬液の蒸散、作業者の呼気、汗などが挙げられる。
これらのうち、ミクロンオーダーのパーティクルは、クリーンルームの高性能化によって改善されてきたが、影響を及ぼす汚染粒子のサイズもナノメートル以下の微小サイズになってきた。
これら分子状汚染物質の発生、それら汚染物質との接触そのものを低減させるために、クリーンルームと外部の間や有機薬剤を使用する工程とそうでない工程間をケミカルフィルター等を介して空気中の有機成分を除去する方法が検討されている。
クリーンルーム内においても、製造装置には多種多様なポリマーが使用されており、ウェハキャリヤやケースはポリマーにより構成されているため、それらから発生されるガスは深刻なデバイス汚染源である。これらの問題を解決するためにガスや微粒子を発生しない包装材等の使用が検討されている。
近年ではこれらの課題を解決する導電性フィラーとして、繊維径の細いカーボンナノチューブを配合した導電性樹脂組成物が多数提案されている(例えば特開2000-113429号公報;特許文献2、特表平8-508534号公報;特許文献3参照)。
カーボンナノチューブの製造方法には、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学的気相成長法などがある。例えば、アーク放電法では、触媒金属を練り込んだ電極間に放電を発生させ、3000℃以上の高温によりカーボンおよび触媒が蒸発し、それらが冷却過程において触媒金属粒子表面からカーボンナノチューブが生成するというものである。生成物は、通常大量のカーボンナノチューブが絡まりあって、シート状あるいは塊状の堆積物として回収される。
この堆積物は容易に樹脂等に分散させることが困難であり、通常は、前処理としてボールミルやビーズミル(特開2003-308734号公報;特許文献4参照)などによる粉砕を行った後、樹脂に混ぜたり、最近では樹脂と堆積物を混練する際、トライボロジー的粉砕(固相剪断)により堆積物を破壊しながら樹脂へ分散する手法(特開2002-347020号公報;特許文献5参照)が提案されている。樹脂に導電性フィラーを添加した場合、アスペクト比の大きな粒子を入れた方がより少量で導電性が得られると報告されているが、これらの前処理方法はカーボンナノチューブの繊維を切断して、分散性の改善を図るものであり、せっかくのカーボンナノチューブの長所・利点を半減させるものである。
さらに、繊維径の細いカーボンナノチューブの製造収率は低く、原料炭素に対してせいぜい10質量%程度であり、そのうえ、上記方法で製造されたカーボンナノチューブには、繊維以外のすす(炭素微粒子)や触媒金属などの不純物が大量に含まれている。これら不純物は通常、酸や酸化剤で処理して除去した後、フィルターろ過・洗浄・乾燥を行ったり、2000℃以上の高温で触媒金属を気化して除去することが必要とされている。このため、カーボンナノチューブの価格は気相成長炭素繊維に比べ2桁以上も高価であり、生産性、経済性の面からもカーボンナノチューブの導電性プラスチックなどへの実用化は進んでいない。
またこれらの樹脂組成物がキャリアとして使用される際に、例えば、ハードディスクのヘッドの組立工程において、多くの場合、ヘッドはキャリアごと洗浄及び加熱乾燥される。このため、キャリアにはこの洗浄、加熱乾燥時にヘッドを汚染、損傷させることがないことが要求される。特に、この乾燥に当っては、120℃を超える乾燥温度にさらされるため、キャリアにはこの乾燥温度に十分耐え得る耐熱性が要求される。
特開平8−283584号公報 特開2000−113429号公報 特表平8−508534号公報 特開2003−308734号公報 特開2002−347020号公報
本発明は、気相成長炭素繊維及びガス発生量の少ない樹脂を含む導電性樹脂組成物を開発することにより、樹脂材料から発生する有機物汚染ガスや水分の発生及び包装材料体デバイス表面への分子状汚染物質の付着を抑え、製品の歩留まり、貯蔵、移動中における品質の低下を防止し、製品の信頼性を向上させることができ部品入りのキャリアごと洗浄及び加熱乾燥が可能であり、体積固有抵抗値が105Ωcm以下の安定した抵抗値を有する導電性樹脂組成物及びそれを用いて製造されたICチップやウェハ、ハードディスクを搬送するキャリアやケース、包装材料等のエレクトロニクス関連部品搬送容器、半導体関連部品搬送容器を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
1. 繊維外径が80〜500nmの気相成長炭素繊維(A1)と樹脂(B)を含む導電性樹脂組成物において、
(1)気相成長炭素繊維(A1)が、面間隔d002、0.345nm以下、かつアスペクト比が40〜1000、
(2)気相成長炭素繊維(A1)と樹脂(B)の体積比[A1/B]が0.5/99.5〜12/88、
(3)導電性樹脂組成物の体積固有抵抗値が105Ωcm以下、
(4)80℃で30分間加熱したときの総発生ガス量が5ppm以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物、
2. 繊維外径が80〜500nmの気相成長炭素繊維(A1)と炭素微粒子(A2)からなる導電性フィラーと樹脂(B)を含む導電性樹脂組成物において、
(1)導電性フィラーが、面間隔d002、0.345nm以下かつアスペクト比が40〜1000の気相成長炭素繊維(A1)と、短径が1〜500nm、アスペクト比が5以下の炭素微粒子(A2)から構成され、
(2)導電性フィラーと樹脂(B)の体積比[(A1)+(A2)]/(B)が0.5/99.5〜12/88、
(3)導電性樹脂組成物の体積固有抵抗値が105Ωcm以下、
(4)80℃で30分間加熱したときの総発生ガス量が5ppm以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物、
3. 気相成長炭素繊維(A1)と炭素微粒子(A2)の質量比(A1)/(A2)が、5/95〜95/5である前記2に記載の導電性樹脂組成物、
4. 繊維外径が80〜500nmの気相成長炭素繊維(A1)と炭素微粒子(A2)からなる導電性フィラーと、樹脂(B)と粒径100μm以下の無機フィラー(C)を含む導電性樹脂組成物において、
(1)導電性フィラーが、面間隔d002、0.345nm以下かつアスペクト比が40〜1000の気相成長炭素繊維(A1)と、短径が1〜500nm、アスペクト比が5以下の炭素微粒子(A2)から構成され、
(2)導電性フィラーと、樹脂(B)と無機フィラー(C)との体積比[(A1)+(A2)]/[(B)+(C)]が0.5/99.5〜12/88であり、
(3)導電性樹脂組成物の体積固有抵抗値が105Ωcm以下であり、
(4)80℃で30分間加熱したときの総発生ガス量が5ppm以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物、
5. 樹脂(B)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、脂環族ポリオレフィン、芳香族ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、液晶性ポリエステルの少なくとも1種を含むものである前記1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物、
6. 樹脂(B)が、ポリプロピレン、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテルの少なくとも1種を含むものである前記5に記載の導電性樹脂組成物、
7. 気相成長炭素繊維(A1)が、BET比表面積4〜30m2/gである前記1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物、
8. 23℃の蒸留水中に24時間浸漬したときの吸水率が、0.2%以下である前記1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物、
9. 前記1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いた樹脂成形体、
10. エレクトロニクス用容器または包装用である前記9に記載の樹脂成形体、
11. 半導体部品搬送容器またはハードディスク搬送容器である前記9に記載の樹脂成形体、
12. ハードディスク搬送用容器が、ハードディスクヘッドに使用される搬送用容器である前記11記載の樹脂成形体に関する。
本発明の気相成長炭素繊維及びガス発生量の少ない樹脂を含む導電性樹脂組成物を用いた包装容器を用いることにより、エレクトロニクスに使用されるICチップやウェハ、ハードディスクを貯蔵、搬送する際にキャリアからの水分、有機物ガスの発生が抑制され、デバイス表面へのガス付着を抑え、製品の歩留まり、品質の低下防止、製品の信頼性を向上させることができるエレクトロニクス関連部品搬送容器、半導体関連部品搬送容器、包装材料が提供される。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用する気相成長炭素繊維は、外径が80〜500nm、好ましくは90〜250nm、より好ましくは100〜200nmの気相成長炭素繊維(A1)は、(a)アスペクト比が40〜1000、好ましくは50〜500、より好ましくは60〜300であり、(b)X線回折法の面間隔d002が0.345nm以下、好ましくは0.343nm以下、より好ましくは0.340nm以下、(c)BET比表面積が4〜30m2/g、好ましくは、8〜25m2/g、より好ましくは10〜20m2/gである。
繊維外径が80nmより細くなると表面エネルギーが指数関数的に大きくなり、繊維同士の凝集力が急激に増大する。樹脂と凝集した微細炭素繊維とを単純に混練した場合、十分な分散が得られず、樹脂マトリックス中に凝集物が点在し、導電性ネットワークを形成することができない。さらに、凝集物中に存在する気孔がクラック破壊源となり、強度の低下を招くことにもなる。このような凝集物の混在量を減らし、十分な分散性を得るために、樹脂との溶融混練時に大きな剪断力を加える方法がある。この方法では凝集物が破壊され、マトリックス中に繊維を拡散させることはできるが、微細炭素繊維の凝集物が破壊するときに繊維自体も破断が進行してしまうため、予測値よりも過剰な炭素繊維を入れなければ所望の導電特性を得ることができなくなる。一方、繊維外径が500nmよりも大きくなると、成形体表面の平滑性が低下し、ウェハ等を傷つけてしまう危険が増大する。
気相成長炭素繊維のアスペクト比が40より小さい場合、樹脂成形物中に気相成長炭素繊維の導電性ネットワークを形成するためには多量の炭素繊維を添加しなければならない。
一方、気相成長炭素繊維のアスペクト比が大きい場合、理想的には少量の添加により導電性ネットワークを形成することができるので好ましい。しかし、実際はアスペクト比が大きくなる、言い換えれば、気相成長炭素繊維の繊維長が長くなりすぎると繊維同士の相互作用が大きくなり、毛玉上の凝集物を形成してしまい、樹脂中への均一な分散を得ることが困難になる。従って本発明の気相成長炭素繊維の場合においてはそのアスペクト比の上限は、一般に言われているものより低い約1000未満の数値に抑える必要がある。
高い導電性を得るためには、d002で示される気相成長炭素繊維の結晶性が高い方が繊維自体の導電性が高くなり好適に使用できる。なおd002は黒鉛の理論値0.3354nm未満となることはない。このためにはd002は0.345nm以下を確保することが必要となる。ただしd002を繊維外径が小さ過ぎるとき、d002を0.345nm以下に確保しても、繊維の曲率の影響により面間隔が小さくならない場合がある。
BET比表面積は、通常繊維外径にほぼ相関があり、繊維外径が小さいときには大きくなる。従って繊維外径が小さくなるとBET比表面積は大きくなり、表面エネルギーも大きくなり、分散が困難になるだけでなく、樹脂が十分に繊維を被覆することができなくなる。この場合には導電性樹脂組成物(複合体)を作製した場合、電気伝導性、及び機械的強度が低下するので好ましくない。
以上のように、気相成長炭素繊維の凝集性、分散性、導電性のバランスから繊維外径、アスペクト比、BET比表面積、X線回折法のd002[結晶性]が定められる。
半導体関連部品搬送容器を作製するためには、[気相成長炭素繊維/樹脂](体積比)が[0.5/99.5]〜[12/88]の範囲、好ましくは[1/99〜10/90]の範囲がよく、より好ましくは[2/98〜8/92]の範囲が好ましい。
気相成長炭素繊維と樹脂との体積比が[0.5/99.5]の範囲より小さくなると、気相成長炭素繊維による導電性ネットワークが形成し難くなると同時に、僅かな成形条件の違いによりマトリックス中の繊維分布状況が変化してしまう問題がある。例えば、射出成形によりキャリアを成形する際の圧力分布、温度分布により成形体中の繊維分布が変化し、表面抵抗に不均一が生じてしまう。一方、気相成長炭素繊維と樹脂との体積比が[12/88]より大きくなると、樹脂組成物の流動性が低下し、キャリア表面の粗さが大きくなる。また、キャリア表面から繊維が露出し易くなり、飛び出した繊維によるひっかき等の問題を生じる。
気相成長炭素繊維は、製造したそのもの、またはさらに熱処理を施したものの形で使用してもよいし、必要に応じて、酸化処理、ホウ素処理、シラン系あるいはチタネート系、アルミニウム系、リン酸エステル系のカップリング剤等により表面処理を施したものであってもよい。
気相成長炭素繊維は、繊維軸に沿って中空を有していてもよく、また、分岐状の気相成長炭素繊維であってもよい。
本発明で使用する炭素微粒子(A2)は、(a)短径が1〜500nm、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmであり、(b)アスペクト比が5以下、好ましくは3以下、より好ましくは1〜1.5がよい。また(c)嵩密度として0.001g/cm3以上、好ましくは0.005g/cm3〜0.1g/cm3、より好ましくは0.01g/cm3〜0.05g/cm3の炭素微粒子がよい。
炭素微粒子(A2)も粒径が小さくなり過ぎると、表面エネルギーが指数関数的に大きくなり、粒子同士の凝集力が急激に増大する。樹脂とこの凝集した炭素微粒子と気相成長炭素繊維を単純に混練した場合、十分な分散が得られず、樹脂マトリックス中に炭素微粒子凝集体が偏在して導電性ネットワークを十分に形成することができなくなる。
炭素微粒子のアスペクト比が5より大きくなり粒子径分布が広くなると、粒子同士がつくる空隙に粒子が配置しやすくなり、パッキングが進行する。このように高充填した炭素微粒子は低アスペクト比炭素微粒子が構成する凝集体よりも充填密度が高く解れ難くなる。
炭素微粒子の嵩密度が0.001g/cm3より小さくなると、樹脂組成物作製時の粉体混練操作がより困難になる。例えば、粉体が嵩高くなり、ふかふかしているため樹脂に混練しにくくなり、投入量のコントロールが難しくなり、また粒子間の空隙に存在する気孔を混練時において除去することがより困難になる等の問題がある。
気相成長炭素繊維またはこれと炭素微粒子(本発明においてはこの両者を導電性フィラーと呼ぶ。)の添加量は、好ましくは体積固有抵抗値が101〜105Ωcm、さらに好ましくは102〜104Ωcmとすることのできる添加量であり、[導電性フィラー/樹脂]の体積比が[0.5/99.5]〜[12/88]の範囲、好ましくは[1/99〜10/90]の範囲、より好ましくは[2/98〜8/92]の範囲が好ましい。
炭素微粒子は未処理の形で用いてもよいし、必要に応じて、熱処理、表面の酸化処理、ホウ素処理、シラン系あるいはチタネート系、アルミニウム系、リン酸エステル系のカップリング剤等により表面処理を施したものであってもよい。
導電性フィラーを構成する[気相成長炭素繊維/炭素微粒子]の質量比は、[5/95〜95/5]の範囲、好ましくは[10/90〜90/10]の範囲、より好ましくは[20/80〜80/20]の範囲である。
気相成長炭素繊維と樹脂の組成物に対し、炭素微粒子を添加することにより気相成長炭素繊維同士がつくる空隙を炭素微粒子が埋め、表面抵抗の安定性を改善することができる。
ただし、気相成長炭素繊維と炭素微粒子の質量比が5/95よりも小さくなると、表面抵抗の面内分布を改善することが十分にできなくなり、炭素微粒子の割合が全体に対して体積として6%よりも大きくなり、このため樹脂組成物の流動性が低下し、成形体の表面粗さが大きくなり、表面からの粒子脱離性が大きくなり、パーティクルによる汚染性が大きくなる。
本発明で使用する樹脂(B)は、基本的には80℃で30分間加熱したときの総発生ガス量5ppm以下、好ましくは3ppm以下であり、さらに吸水率が0.2%以下、好ましくは0.15%以下のものであればよい。
かかる樹脂(B)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等の脂肪族ポリオレフィンや芳香族ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、液晶性ポリエステル等の非オレフィン系樹脂などを用いることができる。特に洗浄、加熱乾燥等に対応する必要がある時は、好ましくは物性的には変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、経済性の観点からはポリプロピレンなどが挙げられる。
本発明で使用する無機フィラー(C)としては、例えばタルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、クレー、ハイドロタルサイト、スメクタイト、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化鉄、亜鉛末、鉄粉等を挙げることができ、これらを単独で、或いは2種以上を混合して用いる。この無機フィラーの平均粒径は100μm以下、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは1〜15μmの粒子状のものが用いられる。
これらの無機フィラー(C)は、そのまま未処理の形で用いてもよいし、必要に応じてシラン系あるいはチタネート系、アルミニウム系、リン酸エステル系のカップリング剤等で表面処理を施したものでもよい。
導電性フィラーと、樹脂(B)と無機フィラー(C)の合計との体積比[(A1)+(A2)]/[(B)+(C)]が0.5/99.5〜12/88、好ましくは[1/99〜10/90]の範囲がよく、より好ましくは[2/98〜8/92]の範囲であり、かつ(B)/(C)は、30/70以上、好ましくは50/50以上、より好ましくは75/25以上である。上記の各成分を混練して得られる本発明の導電性樹脂組成物は、0.05J/mよりも大きいIZODノッチ付衝撃強さを有していることが好ましい。
導電性樹脂組成物を製造する方法としては、一般的な押出し機やニーダーなどで各成分を溶融混練する方法を用いることができる。この場合、樹脂成分を溶融混練し、サイドフィード法やコンパクターを用いて炭素微粒子や無機フィラーを添加してもよいし、全成分を一括投入する方法によってもよい。
各種の熱可塑性樹脂成形法により、この樹脂組成物を所定形状に成形してトレーを得ることができる。この成形法としては、具体的には、プレス成形、押し出し成形、真空成形、ブロー成形、射出成形などを挙げることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明に用いた気相成長炭素繊維と樹脂組成物の評価方法は以下の通りである。
[原材料]
気相成長炭素繊維A:
実施例に用いた気相成長炭素繊維Aの調製方法とその特徴について述べる。ベンゼンとフェロセンと硫黄を質量比91:7:2の割合で混合し、原料液を調製した。この原料液をキャリア水素ガスにより1200℃に加熱した反応炉(内径100mm、高さ2500mm)に噴霧した。このときの原料供給量は10g/min、水素流量は60リットル/minである。上記方法で得られた反応生成物150gを黒鉛製坩堝(内径100mm、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成した後、アルゴン雰囲気中2800℃で1時間黒鉛化し、気相成長炭素繊維Aを得た。
気相成長炭素繊維の平均直径は走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡により30視野分観察し、画像解析装置((株)ニレコ製 LUZEX-AP)により300本の繊維径を計測して求めた。平均繊維長も同様に走査型顕電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡により10×10視野分観察し、画像解析装置により300本の繊維長を計測して求めた。アスペクト比は平均繊維長/平均直径により求めた。繊維の分岐度は、一本の繊維からの分岐数/一本の繊維の長さにより求めた。BET比表面積は、窒素ガス吸着法(ユアサアイオニクス(株)製 NOVA1000装置を使用)により測定した。d002はSiを内部標準とし粉末X線回折((株)理学電機製 Geigerflex装置を使用)により計測した。
気相成長炭素繊維Aは、平均繊維径150nm、平均繊維長9μm、分岐度0.2個/μm、アスペクト比が60、BET比表面積13m2/g、d002が0.339nmであった。
気相成長炭素繊維B:
実施例に用いた気相成長炭素繊維Bの調製方法とその特徴について述べる。ベンゼンとフェロセンと硫黄を質量比97:2:1の割合で混合し、原料液を調製した。この原料液をキャリア水素ガスにより1200℃に加熱した反応炉(内径100mm、高さ2500mm)に噴霧した。このときの原料供給量は5g/min、水素流量は90リットル/minである。
上記方法で得られた反応生成物150gを黒鉛製坩堝(内径100mm、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成した後、アルゴン雰囲気中2800℃で1時間黒鉛化し、気相成長炭素繊維Bを得た。
気相成長炭素繊維Bは、平均繊維径80nm、平均繊維長12μm、アスペクト比が150、BET比表面積25m2/g、d002が0.340nmであった。
気相成長炭素繊維C:
比較例に用いた気相成長炭素繊維Cの調製方法とその特徴について述べる。ベンゼンとフェロセンとチオフェンを質量比97:2:1の割合で混合し、原料液を調製した。この原料液をキャリア水素ガスにより1150℃に加熱した反応炉(内径100mm、高さ2500mm)に噴霧した。このときの原料供給量は2g/min、水素流量は180リットル/minである。
上記方法で得られた反応生成物50gを黒鉛製坩堝(内径100mm、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成した後、アルゴン雰囲気中2800℃で1時間黒鉛化し、気相成長炭素繊維Cを得た。
気相成長炭素繊維Cは、平均繊維径10nm、平均繊維長12μm、アスペクト比が1200、BET比表面積200m2/g、d002が0.343nmであった。
気相成長炭素繊維D:
比較例に用いた気相成長炭素繊維Dの調製方法とその特徴について述べる。ベンゼンとフェロセンと硫黄を質量比88:10:2の割合で混合し、原料液を調製した。この原料液をキャリア水素ガスにより1150℃に加熱した反応炉(内径100mm、高さ2500mm)に噴霧した。このときの原料供給量は15g/min、水素流量は60リットル/minである。
上記方法で得られた反応生成物150gを黒鉛製坩堝(内径100mm、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成した後、アルゴン雰囲気中2800℃で1時間黒鉛化し、気相成長炭素繊維Dを得た。
気相成長炭素繊維Dは、平均繊維径200nm、平均繊維長4μm、アスペクト比が20、BET比表面積11m2/g、d002が0.338nmであった。
気相成長炭素繊維E:
比較例に用いた気相成長炭素繊維Eの調製方法とその特徴について述べる。反応条件は気相成長炭素繊維Aと同様に、ベンゼンとフェロセンと硫黄を質量比91:7:2の割合で混合し、原料液を調製した後、この原料液をキャリア水素ガスにより1200℃に加熱した反応炉(内径100mm、高さ2500mm)に噴霧した。このときの原料供給量は10g/min、水素流量は60リットル/minである。
上記方法で得られた反応生成物150gを黒鉛製坩堝(内径100mm、高さ150mm)に充填し、アルゴン雰囲気中1000℃で1時間焼成し、その後の黒鉛化処理を行わないで気相成長炭素繊維Eを得た。
気相成長炭素繊維Eは、平均繊維径150nm、平均繊維長9μm、分岐度0.2個/μm、アスペクト比が60、BET比表面積14m2/g、d002が0.348nmであった。
上記により得られた気相成長炭素繊維の諸測定値を表1に示す。
Figure 2005325341
樹脂組成物の諸物性値は下記の方法により測定した。
a)体積固有抵抗:四探針法(三菱化学(株)製 Loresta HP MCP-T410装置を使用)にて行った。
b)熱変形温度:ASTMD648に準拠して、小荷重(0.45MPa)で測定した。
c)樹脂組成物の吸水率:23℃の蒸留水中に試験片を24時間浸漬し、その試験片の増加した質量の浸水前の質量に対する百分率として示す。
d)発生ガス量の評価:樹脂組成物1gを窒素ガス気流中で80℃の雰囲気中に30分間おき、熱脱離した有機物を吸着剤(シグマアルドリッチジャパン(株)製 N5020)を充填したカラムで一度捕集した後、捕集した有機物を、冷却トラップを備えた注入装置を用い吸着剤から再度、熱脱離と濃縮を行いガスクロマト−質量分析器GC−MS((株)島津製作所製 GCMS-QP 1000EX(カラム:(株)島津製作所製 DB-1, 0.53mm×30m、膜厚0.1μm))に注入する。
熱脱離した種々の有機物はGC−MSにて分離・化学構造を解析し熱脱離有機物の定量を行った。検出された成分はトルエン質量換算して、熱脱離有機物の総和を総発生ガス量とした。
e)パーティクルコンタミネーションの評価:純水500mLにサンプル1枚を浸漬し、超音波(40KHz、0.5W/cm2)を60秒間印加した。その後、抽出した純水を液中パーティクルカウンターにて吸引し、パーティクルサイズと数量を測定した。粒径1μm以上のパーティクルの数が1000pcs/cm2未満を○、1000pcs/cm2以上5000pcs/cm2未満を△、5000pcs/cm2以上を×と評価した。
実施例1:
変性PPE(三菱エンジニアリングプラスティック(株)製 AV80)85質量%と気相成長炭素繊維A 15質量%(8.1体積%)をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて240℃、80回転、10分溶融混練した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて250℃、200kgf/cm2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形した。
実施例2:
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製 ユーピロンH4000)90質量%と気相成長炭素繊維B10質量%(5.3体積%)をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて240℃、80回転、10分溶融混練した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて250℃、200kgf/cm2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形した。
実施例3:
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製 ユーピロンH4000)87質量%と気相成長炭素繊維A 10質量%(5.3体積%)と粒径30nm、アスペクト比1のケッチェンブラック(ライオンアクゾ(株)製 EC600JD)3質量%(1.7体積%)をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて240℃、80回転、10分溶融混練した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて250℃、200kgf/cm2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形した。
実施例4:
ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製 PW201N:MI=0.5g/10min)50質量%と気相成長炭素繊維A 10質量%(6.5体積%)とアミノシラン処理した粒径20μmのガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ(株)製 EGB-731)40質量%をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて240℃、40回転、10分溶融混練した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて180℃、200kgf/cm2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形した。
比較例1:
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製 ユーピロンH4000)90質量%と気相成長炭素繊維C 10質量%(5.3体積%)をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて240℃、80回転、10分溶融混練した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて250℃、200kgf/cm2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形した。
繊維径10nm、アスペクト比1200のように、細く長い炭素繊維を使用した場合、繊維自体が凝集し易く、樹脂中に炭素繊維を十分均一に分散することが困難であるため、凝集体となった繊維は分散して導電性ネットワークを形成することが困難となるため、少量の炭素繊維の添加では所望の抵抗値が得られなかった。
比較例2:
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製 ユーピロンH4000)85質量%と気相成長炭素繊維D 15質量%(8.1体積%)をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて240℃、80回転、10分溶融混練した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて250℃、200kgf/cm2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形した。
アスペクト比20の炭素繊維では、均一な分散はできるが、繊維が短いために有効な導電性ネットワークが形成できず、所望の抵抗値(105Ωcm以下)を得るためには25質量%(14.3体積%)以上の炭素繊維を添加しなければならなかった。このように大量の炭素繊維を配合すると樹脂の成形性を損なうだけでなく、成形体の機械的特性、特に引張強度や伸びの低下が顕著になる。
比較例3:
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製 ユーピロンH4000)80質量%と気相成長炭素繊維E 20質量%(11.1体積%)をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて240℃、80回転、10分溶融混練した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて250℃、200kgf/cm2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形した。
002が0.348nmの様な結晶性の低い炭素繊維を用いた場合、炭素繊維の接触による電子の移動あるいは、トンネル効果による電子の移動における活性化エネルギーが大きくなるため、容易に電子が移動することができなくなり、体積固有抵抗が大きくなり、導電性樹脂としての性能を達成困難となる。
比較例4:
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製 ユーピロンH4000)90質量%とエポキシ樹脂にて収束されたポリアクリロニトリル系炭素繊維(東邦テナックス(株)製 HTA C6SRS;一本の繊維の形状は外径7μm、長さ6mm)10質量%(5.8体積%)をラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて240℃、80回転、10分溶融混練した後、50トン熱成形機(ニッポーエンジニアリング社製)にて250℃、200kgf/cm2、30秒の条件で10mm×10mm×2mmtの平板を成形した。
エポキシ樹脂のような結合剤を使用した炭素繊維を添加した場合、結合剤が有機物汚染ガス源となるので好ましくない。
Figure 2005325341
本発明の導電性樹脂組成物は、導電性に優れ、かつ揮発性物質や脱パーティクルによる汚染性も極めて小さく、静電気防止、導電性材料の用途、特にエレクトロニクス部品包装、搬送用材料(IC部品ボックス、回路収納ボックス、ICトレー、ICキャリアテープ、ハードディスク、シリコンウエハケース)に適している。本発明のハードディスクヘッド用包装用容器は、ハードディスクヘッドの表面に対する汚染性が極めて小さく、汚れによる支障が生じ難く、さらに、導電性、帯電防止性、機械的強度、耐熱性にも優れており、その工業的有用性は非常に大きい。

Claims (12)

  1. 繊維外径が80〜500nmの気相成長炭素繊維(A1)と樹脂(B)を含む導電性樹脂組成物において、
    (1)気相成長炭素繊維(A1)が、面間隔d002、0.345nm以下、かつアスペクト比が40〜1000、
    (2)気相成長炭素繊維(A1)と樹脂(B)の体積比[A1/B]が0.5/99.5〜12/88、
    (3)導電性樹脂組成物の体積固有抵抗値が105Ωcm以下、
    (4)80℃で30分間加熱したときの総発生ガス量が5ppm以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
  2. 繊維外径が80〜500nmの気相成長炭素繊維(A1)と炭素微粒子(A2)からなる導電性フィラーと樹脂(B)を含む導電性樹脂組成物において、
    (1)導電性フィラーが、面間隔d002、0.345nm以下かつアスペクト比が40〜1000の気相成長炭素繊維(A1)と、短径が1〜500nm、アスペクト比が5以下の炭素微粒子(A2)から構成され、
    (2)導電性フィラーと樹脂(B)の体積比[(A1)+(A2)]/(B)が0.5/99.5〜12/88、
    (3)導電性樹脂組成物の体積固有抵抗値が105Ωcm以下、
    (4)80℃で30分間加熱したときの総発生ガス量が5ppm以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
  3. 気相成長炭素繊維(A1)と炭素微粒子(A2)の質量比(A1)/(A2)が、5/95〜95/5である請求項2に記載の導電性樹脂組成物。
  4. 繊維外径が80〜500nmの気相成長炭素繊維(A1)と炭素微粒子(A2)からなる導電性フィラーと、樹脂(B)と粒径100μm以下の無機フィラー(C)を含む導電性樹脂組成物において、
    (1)導電性フィラーが、面間隔d002、0.345nm以下かつアスペクト比が40〜1000の気相成長炭素繊維(A1)と、短径が1〜500nm、アスペクト比が5以下の炭素微粒子(A2)から構成され、
    (2)導電性フィラーと、樹脂(B)と無機フィラー(C)との体積比[(A1)+(A2)]/[(B)+(C)]が0.5/99.5〜12/88であり、
    (3)導電性樹脂組成物の体積固有抵抗値が105Ωcm以下であり、
    (4)80℃で30分間加熱したときの総発生ガス量が5ppm以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
  5. 樹脂(B)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、脂環族ポリオレフィン、芳香族ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、液晶性ポリエステルの少なくとも1種を含むものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  6. 樹脂(B)が、ポリプロピレン、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテルの少なくとも1種を含むものである請求項5に記載の導電性樹脂組成物。
  7. 気相成長炭素繊維(A1)が、BET比表面積4〜30m2/gである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  8. 23℃の蒸留水中に24時間浸漬したときの吸水率が、0.2%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を用いた樹脂成形体。
  10. エレクトロニクス用容器または包装用である請求項9に記載の樹脂成形体。
  11. 半導体部品搬送容器またはハードディスク搬送容器である請求項9に記載の樹脂成形体。
  12. ハードディスク搬送用容器が、ハードディスクヘッドに使用される搬送用容器である請求項11記載の樹脂成形体。
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