JP2005325268A - ポリエステル樹脂粒子及びその製造方法、静電荷現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法。 - Google Patents

ポリエステル樹脂粒子及びその製造方法、静電荷現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリエステル樹脂粒子の製造における環境負荷の低減が可能であり、特に、有機溶剤の使用を抑えることのできるポリエステル樹脂粒子の製造方法及びその方法で得られたポリエステル樹脂粒子を提供すること並びに保存性及び定着画像保存性に優れ、定着時の異臭の発生を抑制できる静電荷現像用トナー、その製造方法、静電荷像現像剤及び画像形成方法の提供。
【解決手段】 ポリエステル樹脂と、ラクトンと、前記ラクトンを重合させる重合触媒と、を含有するポリエステル樹脂組成物を乳化して前記ポリエステル樹脂組成物の液滴を形成する乳化工程と、前記液滴中のラクトンを重合させてポリエステル樹脂粒子を形成する重合工程と、を少なくとも有するポリエステル樹脂粒子の製造方法及びそれにより得られたポリエステル樹脂粒子並びにそのポリエステル樹脂粒子を用いた静電荷現像用トナー、その製造方法、静電荷像現像剤及び画像形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂粒子及びその製造方法、静電荷現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法に関する。
電子写真法等のように、静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で広く利用されている。前記電子写真法においては、帯電工程、露光工程等を経て感光体上に静電荷像を形成し、トナー粒子を含有する現像剤を用いて前記静電荷像を現像し、転写工程、定着工程等を経て前記静電荷像が可視化される。
ところで、前記現像剤には、トナー粒子及びキャリア粒子を含有してなる二成分系現像剤と、磁性トナー粒子又は非磁性トナー粒子を含有してなる一成分系現像剤とが知られている。前記現像剤におけるトナー粒子は、通常、混練粉砕法により製造される。
この混練粉砕法は、熱可塑性樹脂等を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤等と共に溶融混練し、冷却後にこの溶融混練物を微粉砕し、これを分級して所望のトナー粒子を製造する方法である。なお、前記混練粉砕法により製造されたトナー粒子には、流動性やクリーニング性等を改善する目的で、必要に応じてその表面にさらに無機及び/又は有機の微粒子が添加されたりする。
前記混練粉砕法により製造されるトナー粒子の場合、通常、その形状は不定型であり、その表面組成は均一でない。使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により、トナー粒子の形状や表面組成は微妙に変化するものの、意図的にこれらを所望の程度に制御することは困難である。また、特に粉砕性の高い材料を用いて前記混練粉砕法により製造されたトナー粒子の場合、現像機内での種々の剪断力等の機械力等により、さらに微粉化されたり、その形状が変化したりすることがしばしば起こる。
その結果、前記二成分系現像剤においては、微粉化されたトナー粒子がキャリア表面へ固着して前記現像剤の帯電劣化が加速されたり、前記1成分系現像剤においては、粒度分布が拡大し、微粉化されたトナー粒子が飛散したり、トナー形状の変化に伴い現像性が低下し、画質の劣化が生じたりするという問題が生ずる。
トナー粒子の形状が不定型である場合、流動性助剤を添加しても流動性が十分でなく、使用中に剪断力等の機械力により、前記流動性助剤の微粒子がトナー粒子における凹部へ移動してその内部へ埋没し、経時的に流動性が低下したり、現像性、転写性、クリーニング性等が悪化したりするという問題がある。
また、このようなトナーをクリーニング処理により回収して再び現像機に戻して再利用すると、画質の劣化が生じ易いという問題がある。これらの問題を防ぐため、さらに流動性助剤の量を増加することも考えられるが、この場合、感光体上への黒点の発生や流動性助剤の粒子飛散を招くという問題が生ずる。
一方、ワックスなどの離型剤を内添してなるトナーの場合、熱可塑性樹脂との組み合せによっては、トナー粒子の表面に前記離型剤が露出することがある。特に高分子量成分により弾性が付与されたやや粉砕されにくい樹脂と、ポリエチレンのような脆いワックスとを組み合せてなるトナーの場合、トナー粒子の表面にポリエチレンの露出が多く見られる。このようなトナーは、定着時の離型性や感光体上からの未転写トナーのクリーニングには有利であるものの、トナー粒子の表面のポリエチレンが、現像機内での剪断力等の機械力により、トナー粒子から脱離し容易に現像ロールや感光体やキャリア等に移行するため、これらの汚染が生じ易くなり、現像剤としての信頼性が低下するという問題がある。
このような事情の下、近年、粒子の形状及び表面組成を制御したトナーを製造する手段として、懸濁重合法が提案されている(例えば、特許文献1又は2参照。)。前記懸濁重合法は、重合性モノマーを着色剤や離型剤等と共に水系媒体中に分散し懸濁させた後、重合させることによりトナー粒子を得る方法である。この懸濁重合法によると、例えば、離型剤であるワックスをバインダー樹脂で被覆した多層構造のトナー粒子を得ることができる。
しかし、この懸濁重合法の場合、懸濁状態において粒子を適当な大きさに調整する必要がある。このためには、分散液を強度かつ高速に撹拌する必要があるが、一般的に前記重合性モノマーと前記ワックス等とは、粘度差が大きく、かつ相溶性に乏しく、これらを均一に分散させることは極めて困難であるため、該ワックスが遊離し、ワックス含量が著しく少ない、あるいはワックスが全く含まれていないトナー粒子が多量に発生してしまう。その結果、トナー粒子間の組成偏在が大きくなり、トナーに要求される、定着性、帯電性等の各種特性を十分に満足することができないという問題がある。現在のところ、懸濁重合法において、前記ワックス等の離型剤の遊離を効果的に抑制する技術は確立されていない。
近年、高画質化への要求が高まり、特にカラー画像形成では、高精細な画像を実現するため、トナーの小径化かつ粒径均一化の傾向が顕著である。このためには、分散液を更に強度かつ高速に撹拌を行わなければならない。しかし、この場合、前記トナー粒子間の組成偏在が更に助長されるだけではなく、トナーの粒度分布までもが拡大してしまい、トナーの粒径均一化が困難となるという問題がある。粒度分布が広いトナーを用いて画像形成を行うと、該粒度分布における微粉側のトナーにより、現像ロール、帯電ロール、帯電ブレード、感光体、キャリア等の汚染やトナー飛散の問題が著しくなり、高画質と高信頼性とを同時に実現することが困難になる。
また、かかる粒度分布の広いトナーは、クリーニング機能やトナーリサイクル機能等を有するシステムにおいても信頼性に劣るという問題がある。高画質と高信頼性とを同時に実現するためには、トナーの粒度分布をシャープ化し、小径化かつ粒径均一化することが必要になる。
また、前記高画質化への要求を満足するには、トナーの定着性が重要な要素となる。十分なトナーの定着性を得るためには、定着温度領域を拡大させることが必要であるが、従来においては、分子量が異なる複数の樹脂やゲル成分を結着樹脂に用いることにより、高温側のオフセットを防止することが一般的に行われており、トナーにおける重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布が、通常10以上であることが必要とされていた。
しかし、特にカラー画像においては、分子量が異なる複数の樹脂やゲル成分によって、定着画像の混色性、画像表面の平滑性、更には画像の透明性等が損なわれ、著しく劣った画質になり、特にフィルム上へ画像を定着した場合、この影響は極めて大きいものとなる。逆に、樹脂を1種にし分子量を一定にし、あるいはゲル成分を含有しない樹脂を用いると、前記定着画像の混色性、画像表面の平滑性、画像の透明性等は問題ないものの、特に離型剤を大量に添加した場合には、トナーの粘性が低下してしまい、高温側のオフセットはより発生し易くなる。
特にカラー画像形成においては、トナーを紙面乃至フィルム上に定着する場合、トナー定着画像の平滑性を向上させて画像の発色性及び透明性を確保する必要がある。このため、従来においては、シリコーンオイル等の離型性の高いオイルを定着ロールに供給することにより、該定着ロールに、トナーに対する離型性、平滑性を持たせることが一般的に行われていた。
しかしながら、この場合、定着時にオイルが紙面乃至フィルムへ移行し、画像のベタつき感が生じてしまう等の問題があった。また、紙面の場合、前記オイルにより該紙面の表面エネルギーが低下するため、定着画像が形成された紙面へのペン等による書き込みが困難になる等の問題があった。更に、フィルムの場合、該フィルムに残留する前記オイルにより、定着画像の透明性が悪化してしまう等の問題があった。
一方、近年、環境負荷の観点より、トナー製造エネルギー、及び、プリンター、又は、複写機の使用エネルギーの低減化の要求が、市場より、求められている。
トナー製造法に関しては、従来の熱溶融混練、粉砕、分級法によるプロセスから、懸濁重合法、乳化重合凝集法(EA法)が展開されており、製造エネルギーの観点からは、低減化の方向に進んできている。
然るに、トナー用樹脂製造に掛かるエネルギーは、未だ十分に低減化されていない。
特に、定着エネルギーを低くできるポリエステル樹脂においては、ビニル重合樹脂と比較すると多大なエネルギーを消費しているのが現状であり、樹脂製造エネルギー及び、トナー製法、定着エネルギーのトータルで消費されるエネルギーは、未だ十分なものであるとはいえない。
この観点から、ビニル単量体を、着色剤及びラクトンの開環重合体の存在下に、懸濁重合してなることを特徴とする静電荷現像用トナーが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この方法では、ラクトンの開環重合体を作成した後、ビニル単量体を添加させ、溶解を実施しているために、ポリエステル構造において、3次元の架橋構造を導入させることは、困難である。
また、ラクトンとポリエステル樹脂とを開環重合触媒の存在下に反応させることを特徴とするラクトン系共重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
従来、ラクトンの開環重合において、カチオン、アニオン、又は配位アニオン開環重合によりポリエステルを合成していた。
しかし、この方法は、樹脂の製法であり、トナー製法で使用する場合、この樹脂を更に微小粒子にする必要があり、このためには、多大なエネルギー、又は、有機溶媒を大量に使用するため、環境負荷への影響が多大である。
一方、トナー製法として、EA法を用いる際には、1μm以下の樹脂粒子であることが必要であることから、従来のポリエステル樹脂を使用する場合、又は、特許文献4提案の樹脂を使用する場合、高温下/高圧力下で、粉砕する必要がり、多大な粉砕エネルギーを必要としていた。また、ポリエステル樹脂構造に架橋構造を取り入れるのが困難であった。このため、トナーの定着特性、並びに、保存性において、満足のいくものが出来ない状況であった。
特開平8−44111号公報 特開平8−286416号公報 特開平9−269610号公報 特開平7−149878号公報
本発明は、トナーを製造する際に用いられるポリエステル樹脂粒子の製造における環境負荷の低減が可能であり、特に、有機溶剤の使用を抑えることのできるポリエステル樹脂粒子の製造方法及びその方法で得られたポリエステル樹脂粒子を提供することを目的とする。
さらに本発明は、保存性及び定着画像保存性に優れ、定着時の異臭の発生を抑制できる静電荷現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
<1> ポリエステル樹脂と、ラクトンと、前記ラクトンを重合させる重合触媒と、を含有するポリエステル樹脂組成物を乳化して前記ポリエステル樹脂組成物の液滴を形成する乳化工程と、前記液滴中のラクトンを重合させてポリエステル樹脂粒子を形成する重合工程と、を少なくとも有するポリエステル樹脂粒子の製造方法である。
<2> 前記重合触媒は、希土類元素を構成元素とするルイス酸触媒である<1>に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法である。
<3> 前記希土類元素を構成元素とするルイス酸触媒は、下記式で表される希土類金属トリフラートである<2>に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法である。
X(OSO2CF33
(式中、Xは、希土類元素を表す。)
<4> 前記希土類元素は、Sc,Y,ランタノイド、又はアクチノイドである<2>又は<3>に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法である。
<5> 前記重合触媒は、酵素触媒である<1>に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法である。
<6> 前記ラクトンの重合は、100℃以下で行なわれる<1>に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法である。
<7> 前記液滴の平均粒径は、1μm以下である<1>に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法である。
<8> <1>乃至<7>のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法により製造されたポリエステル樹脂粒子である。
<9> 平均粒径が、1μm以下である<8>に記載のポリエステル樹脂粒子である。
<10> <8>又は<9>に記載のポリエステル樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、着色剤を分散させてなる着色剤分散液と、離型剤を分散させてなる離型剤分散液とを混合して、ポリエステル樹脂粒子と着色剤と離型剤とを含む凝集粒子を形成して凝集粒子分散液を得る凝集工程と、前記凝集粒子を加熱して融合させる融合工程と、を少なくとも有する静電荷現像用トナーの製造方法である。
<11> <10>に記載の静電荷現像用トナーの製造方法により製造された静電荷現像用トナーである。
<12> 少なくとも、<11>に記載の静電荷現像用トナーを含む静電荷像現像剤である。
<13> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記現像剤は、<12>に記載の静電荷像現像剤である画像形成方法である。
<14> 前記転写工程の後に前記潜像保持体表面の残留トナーを回収するクリーニング工程と、前記クリーニング工程において回収された残留トナーを前記現像剤担持体に搬送するリサイクル工程と、をさらに含む<13>に記載の画像形成方法である。
本発明のポリエステル樹脂粒子の製造方法によれば、製造時の有機溶剤の使用を抑えることができる。そのため、本発明のポリエステル樹脂粒子中の有機溶剤含有量を抑えることができる。
さらに、本発明によれば保存性及び定着画像保存性に優れ、定着時の異臭の発生を抑制できる静電荷現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明のポリエステル樹脂粒子及びその製造方法、静電荷現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤並びに画像形成方法について詳細に説明する。
<ポリエステル樹脂粒子及びその製造方法>
本発明のポリエステル樹脂粒子の製造方法は、ポリエステル樹脂と、ラクトンと、前記ラクトンを重合させる重合触媒と、を含有するポリエステル樹脂組成物を乳化して前記ポリエステル樹脂組成物の液滴を形成する乳化工程と、前記液滴中のラクトンを重合させてポリエステル樹脂粒子を形成する重合工程と、を少なくとも有する。
前記ポリエステル樹脂組成物において、前記ラクトンは、前記ポリエステル樹脂の溶剤として機能するが、前記重合工程において前記ラクトンは重合してポリエステル樹脂を形成する。そのため、本発明のポリエステル樹脂粒子の製造方法によって製造されるポリエステル樹脂粒子中には、有機溶剤が残留することがない。なお、以下本発明においてラクトンの重合由来のポリエステル樹脂を重合由来ポリエステル樹脂と、それ以外のものを単にポリエステル樹脂と称する。
また、溶剤として用いられるラクトンが重合を起こして重合由来ポリエステル樹脂となれば、ラクトンの揮発による大気汚染及び作業環境の悪化を引き起こすことがない。
前記ポリエステル樹脂組成物は、それを水中に投入して高速攪拌することにより乳化される。水中でラクトンが重合を起こして重合由来ポリエステル樹脂となるため、水中のラクトンの含有量を最小限にとどめることができる。その結果として、ポリエステル樹脂粒子の製造で生ずる排水の処理が容易になる。
前記ポリエステル樹脂は、ジオール及びジカルボン酸を主成分とする脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル樹脂をあげることができ、ラクトンと相溶する種類のものであればいずれも使用が可能である。さらに、前記ポリエステル樹脂は、線上構造又は相溶を妨げない範囲での架橋構造をもっていてもよい。
前記ポリエステル樹脂のGPC法による重量平均分子量は、2000〜50000が好ましく、5000〜30000がさらに好ましい。前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量が2、000〜50、000であれば、加熱応答性が速く、150℃以下の加熱温度で、トナーを溶融させることができる。
また、前記ポリエステル樹脂の融点又は軟化点は、150℃以下であることが好ましく、120以下であることがさらに好ましい。前記ポリエステル樹脂の融点又は軟化点が150℃以下であれば、トナー定着時の消費電力を低減させることが、可能である。
本発明においてラクトンとは、分子中にエステル基をもつ環状化合物をいう。前記ラクトンは、80℃において液体のものが用いられる。
前記ラクトンの環員数は、4〜20が好ましく、5〜15がさらに好ましい。
前記ラクトンとして、具体的には、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、11−ウンデカノリド、12−ドデカノリド、15−ペンタデカノリド等が挙げられる。この中でもε−カプロラクトン、11−ウンデカノリド、12−ドデカノリド、15−ペンタデカノリドが好ましい。
前記ポリエステル樹脂組成物中のラクトンとポリエステル樹脂との合計量に対するラクトンの含有量は、10〜90質量%が好ましく、さらに好ましくは30〜80質量%である。
ラクトンの含有量が10質量%未満では、ポリエステル樹脂と混合攪拌したときのポリエステル樹脂組成物の粘度が高く、後工程での樹脂の微粒子化が困難になることがある。また、90質量%を超えるとトナーの定着特性、帯電特性に悪影響を及ぼすことがある。
前記ポリエステル樹脂組成物中には、本発明の特徴を妨げない範囲でラクトンと重合反応して重合由来ポリエステル樹脂を形成可能なモノマーを含有させてもよい。
前記モノマーとしては、例えば、アルコール並びにカルボン酸及びその無水物又はそのエステル等が挙げられる。
アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族系アルコール類を必要に応じて使用することが出来る。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等を挙げることが出来る。また、それらのエステルとしては、上記ジカルボン酸の低分子アルコールエステル、例えば、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル等をあげることが出来る。
また、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、それらの無水物、及びエステルとして、例えば、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸,n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸,n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、それらの無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
本発明で使用可能な3価以上の多価カルボン酸、その酸無水物、又は、その低級アルキルエステルとしては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、及び、これらの酸無水物または、その低級アルキルエステル化合物などが挙げられ、特にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、または、それらの酸無水物、メチルエステル化合物、エチルエステル化合物が好ましい。
本発明で使用可能な3価以上のアルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリストール、ジペンタエリストール、トリペンタエリストール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ぺンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1、3,5−ヒドロキシメチルベンゼンなどがある。
本発明で使用可能なジアルコール成分として、ポリオキシアルキレンビスフェノール型ジオール、その中で好ましくは、ポリオキシエチレンビスフェノール型ジオール、又はポリオキシプロピレンビスフェノール型ジオールなどが挙げられる。これらは、単独でも併用しても良い。
その他、ジラクタイド、グリコライド等のラクタイド類、トリサリチリド、ヘキササリチリド、フタライド、クマリン等のカーボラクトン類を挙げることができる。
前記重合触媒としては、前記ラクトン及び必要に応じて用いられる各種モノマーを重合させることのできるものであれば特に限定はされず、金属酸化物、有機金属化合物などを用いることができるが、希土類元素を構成元素とするルイス酸触媒又は酵素触媒を用いることが好ましい。これらの触媒を使用することにより、ラクトンの重合を低温(100℃以下)で行うことができる。また、他のアルコール及びカルボン酸との重縮合も低温で実施することが可能となる。
また、酵素触媒を使用することにより、低温(100℃以下)でラクトンの重合を行うことが可能となる。
100℃以下で重合が可能であれば、常圧で重合反応を実施できるため、ポリエステル樹脂粒子の生産性を向上させることができる。
前記希土類元素を構成元素とするルイス酸触媒は、下記式で表される希土類金属トリフラートであることが好ましい。
X(OSO2CF33
(式中、Xは、希土類元素を表す。)
前記希土類金属トリフラートとしては、ランタノイドトリフラートが好ましい。ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳しい。具体的には、該ランタノイド元素としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)が挙げられる。
これらの中でも、前記希土類金属トリフラートとしては、X(OSO2CF33(Xは、スカンジウム(Sc),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),サマリウム(Sm))が好ましい。
前記酵素触媒としては例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。これらの中で、リパーゼの例としては、シュート゛モナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)由来のもの、シュート゛モナス セハ゜シア(Pseudomonas cepasia)由来のもの、ホ゜ルシンハ゜ンクレアス(Porcine pancreas)由来のもの、キャンテ゛ィタ゛ルコ゛ーサ゛(Candida rugosa)由来のもの、アスヘ゜ルキ゛ルス ニカ゛ー(Aspergillus niger)由来のもの、リソ゛ーフ゜ス テ゛レマー(Rhizopus delemer)由来のもの、リソ゛ーフ゜ス シ゛ャホ゜ニクス(Rhizopus japonicus)由来のもの等を挙げることができる。
前記重合触媒は、単独で使用が可能であるが、必要に応じて、複数の触媒を併用することが可能である。前記ポリエステル樹脂組成物中の重合触媒の含有量としては、金属トリフラートを触媒として用いた場合には、0.1〜10000ppmが好ましく、0.1〜7000ppmがさらに好ましい。酵素触媒を用いた場合には、100〜100000ppmが好ましく、1000〜50000ppmがさらに好ましい。
前記ポリエステル樹脂組成物の乳化は、水中に前記前記ポリエステル樹脂組成物を投入して、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどを用いて行なうことができる。これにより、前記ポリエステル樹脂組成物の液滴を形成することができる。
前記液滴の平均粒径は、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmがさらに好ましい。前記液滴の平均粒径を1μm以下にすることにより、平均粒径が1μm以下のポリエステル樹脂粒子を形成することができる。
前記液滴を100℃以下に加熱することにより前記液滴に含まれるラクトンが重合反応を起こし、ポリエステル樹脂粒子が形成される。前記液滴の加熱は、不活性雰囲気下で行なうことが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂粒子の平均粒径としては、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmであるのがさらに好ましい。平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、平均粒径は、例えばコールターカウンターなどを用いて測定することができる。
本発明のポリエステル樹脂粒子の製造方法においては、ポリエステル樹脂を溶解させるための溶剤としてラクトンを用いる。ラクトンは加熱により重合由来ポリエステル樹脂を形成する。そのため、本発明のポリエステル樹脂粒子は、残留溶媒を含まない。
<静電荷現像用トナー及びその製造方法>
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、本発明のポリエステル樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、着色剤を分散させてなる着色剤分散液と、離型剤を分散させてなる離型剤分散液とを混合して、ポリエステル樹脂粒子と着色剤と離型剤とを含む凝集粒子を形成して凝集粒子分散液を得る凝集工程と、前記凝集粒子を加熱して融合させる融合工程と、を少なくとも有する。
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、更に、必要に応じて適宜その他の工程を含むことができる。例えば、前記凝集工程の後であって前記融合工程の前に、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(以下「付着工程」と称することがある)を好適に含むことができる。
以下、本発明において静電荷現像用トナーを単にトナー又はトナー粒子と称することがある。
前記凝集工程は、前記樹脂粒子分散液と、前記着色剤分散液と、前記離型剤分散液とを混合してなる分散液中でポリエステル樹脂粒子、着色剤及び離型剤を凝集させて凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程である。
前記凝集工程においては、互いに混合された前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記離型剤分散液中に分散するポリエステル樹脂粒子、着色剤及び離型剤が凝集して凝集粒子が形成される。
前記凝集粒子は、ヘテロ凝集等により形成され、例えば、添加される分散液と添加する分散液とに含まれるイオン性界面活性剤の極性・量のバランスを予めズラしておき、前記バランスのズレを補填するような極性・量のイオン性界面活性剤を添加することにより形成される。
前記付着工程においては、前記凝集粒子を母粒子として、その表面に、前記凝集粒子が分散する凝集粒子分散液中に添加混合した微粒子分散液中の微粒子が均一に付着し、付着粒子が形成される。前記付着粒子は、ヘテロ凝集等により形成され、例えば、添加される分散液と添加する分散液とに含まれるイオン性界面活性剤の極性・量のバランスを予めズラしておき、前記バランスのズレを補填するような極性・量のイオン性界面活性剤を添加することにより形成される。
前記融合工程においては、前記凝集粒子中の樹脂が溶融し、前記ポリエステル樹脂粒子、着色剤及び離型剤が融合し、静電荷現像用トナー粒子が形成される。また、前記付着工程が行われる場合、前記融合工程においては、前記付着粒子中の樹脂が溶融し、融合し、静電荷現像用トナーが形成される。
前記着色剤分散液は、少なくとも着色剤を分散させてなる。
前記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料;などが挙げられる。これらの着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の平均粒径としては、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がさらに好ましく、0.01〜0.5μmが特に好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
更に、前記平均粒径が0.5μm以下であると、得られるトナー粒子が、発色性、色再現性、OHP透過性等に優れる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
前記離型剤分散液は、少なくとも離型剤を分散させてなる。本発明においては、前記離型剤が、炭素数が12〜30の高級アルコール及び炭素数12〜30の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルを少なくとも1種含む。前記のようなエステルは、適度な極性を有し、該エステル以外の例えばポリオレフィン等と比較して前記樹脂粒子の樹脂との相溶性に富むため、該エステルを少なくとも1種含むものを離型剤として用いた場合、凝集工程乃至後述の融合工程において、遊離する離型剤の発生を効果的に抑制することができる。
離型剤は、一般には、トナー粒子の結着樹脂との相溶性に乏しい離型剤が好ましい。相溶性に富む離型剤を用いると、該離型剤により該樹脂が可塑化し、高温定着時におけるトナーの粘度が低下してしまい、オフセットが生じ易くなるからである。該離型効果は、トナー粒子内に含まれる離型剤の分散単位と相関があり、一般に該分散単位が大きいものほど大きい。
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法の場合、通常の混練工程とは異なり、凝集工程乃至融合工程によりトナー粒子を得るため、通常の混練工程において離型剤に与える機械的ストレスよりも、該凝集工程乃至融合工程において離型剤に与える機械的ストレスの方が遙に小さくなる。このため、本発明の静電荷現像用トナーの製造方法においては、該離型剤と前記樹脂との相溶性に関係なく、トナー粒子内に含まれる離型剤の分散単位を制御することができる。その結果、本発明の静電荷現像用トナーの製造方法により得られるトナーにおいて、その中に含まれる離型剤は、前記樹脂粒子の樹脂との相溶性に富むものであっても、十分な離型効果を示す。
前記離型剤は、炭素数が12〜30の高級アルコール及び/又は炭素数12〜30の高級脂肪酸からなるエステルを少なくとも1種含むが、仮に酸成分が前記炭素数12〜30の高級脂肪酸である場合には、アルコール成分としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のモノアルコールの外、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類及びその多量体、グリセリン等のトリオール類及びその多量体、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ソルビタン、コレステロール等が好適である。これらのアルコール成分が多価アルコールである場合の前記高級脂肪酸は、モノ置換体であってもよいし、多価置換体であってもよい。
前記離型剤の具体例としては、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸ステアリル等の炭素数12〜30の高級アルコールと炭素数12〜30の高級脂肪酸とからなるエステル類;ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル、オレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数12〜30の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類;モンタン酸モノエチレングリコールエステル、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリド、モノベヘン酸グリセリド、トリパルミチン酸グリセリド、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジリノレート、ペンタエリスリトールトリオレエート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等の炭素数12〜30の高級脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル類;ジエチレングリコールモノベヘネート、ジエチレングリコールジベヘネート、ジプロピレングリコールモノステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド、ヘキサベヘン酸テトラグリセリド、デカステアリン酸デカグリセリド等の炭素数12〜30の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステル類;グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンモノアセトモノリノレート、ジグリセリンモノアセトジステアレート等の炭素数12〜30の高級脂肪酸と多価アルコールの単量体又は多量体(短鎖の官能基が含有されていてもよい)とからなるエステル;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;コレステリルステアレート、コレステリルオレエート、コレステリルリノレート等のコレステロール高級脂肪酸エステル類などが好適に挙げられる。
本発明においては、これらの離型剤の中でも後述の実施例において用いたものは特に好ましい。これらの離型剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記離型剤の融点としては、トナーの保存性の観点からは、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。前記離型剤として用いる、炭素数が12〜30の高級アルコール及び/又は炭素数12〜30の高級脂肪酸からなるエステルにおけるアルコール成分及び/又は酸成分の炭素数は、上記融点を考慮して適宜決定することができるが、該アルコール成分及び/又は酸成分の炭素数が、12未満であると離型剤の融点が前記好ましい数値範囲から外れることがあり、30を越えると離型剤の極性が小さくなり過ぎるため、凝集工程乃至融合工程において遊離する離型剤が増加することがあり、いずれの場合も好ましくない。
前記離型剤は、凝集工程乃至融合工程における温度条件下で水中への溶解度が小さいことが必要であり、このため、HLB(親水基/疎水基バランス)が7以下であるのが好ましく、5以下であるのがより好ましく、3以下であるのが特に好ましい。前記HLBが7を越えると、凝集工程乃至融合工程において、該離型剤が水中へ溶解し易くなるため、トナーにおける離型剤の含有量が減少し、必要とされるトナー特性が得られない、トナー製造後に生じた廃水中に該離型剤が残留し易くなり廃水処理が煩雑になる、等の問題が生じ易くなる。
前記離型剤のトナーにおける含有量としては、0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、離型性が十分でなく、高温定着時に該トナーが定着ロールに付着してしまう、いわゆるオフセットが生じ易くなり、50質量%を越えると、トナーが脆くなり、現像機内での撹拌によってトナー粒子が粉砕され易くなり、いずれの場合も好ましくない。
前記離型剤の平均粒径としては、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
前記樹脂粒子の樹脂と、前記着色剤と、前記離型剤との組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜自由に選択することができる。
本発明においては目的に応じて、前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記離型剤分散液の少なくともいずれかに、離型成分(上述した離型剤以外のもの)、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、有機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分(粒子)を分散させることができる。その場合、前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記離型剤分散液の少なくともいずれか中にその他の成分(粒子)を分散させてもよいし、前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記離型剤分散液を混合してなる混合液中に、その他の成分(粒子)を分散させてなる分散液を混合してもよい。
前記離型成分としては、上述した離型剤以外のものを挙げることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。
これらの離型成分のトナーにおける含有量としては、上述した離型剤の含有量に対して、通常100質量%以下であり、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。前記含有量が100質量%を越えると、遊離する離型成分の量が多くなり過ぎ、前記離型剤の凝集が妨害され易くなったり、添加量に見合う効果が得られない上、トナーから遊離する離型成分を分離除去するのが困難になる一方、廃水中に遊離する離型成分が増加して廃水処理が煩雑になる等の点で好ましくない。
なお、これらのワックス類は、水等の水系媒体中にイオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の微粒子に調製される。
前記内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体などが挙げられる。
前記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集時や融合時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
前記無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。前記有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用することができる。
前記滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げられる。
前記研磨材としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
前記その他の成分の平均粒径としては、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmであるのがさらに好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記離型剤分散液における分散媒としては、例えば水系媒体などが挙げられる。前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。前記界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネートなどのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩類、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類;などが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;などが挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類;などが挙げられる。
前記樹脂粒子分散液と前記着色剤分散液と前記離型剤分散液とを混合した場合における、前記着色剤の含有量としては、50質量%以下であればよく、2〜40質量%程度であるのが好ましい。また、前記離型剤の含有量としては、50質量%以下であればよく、2〜40質量%程度であるのが好ましい。さらに、前記その他の成分の含有量としては、本発明の目的を阻害しない程度であればよく、一般的には極く少量であり、具体的には0.01〜5質量%程度であり、0.5〜2質量%程度が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂粒子と併用できるビニル系樹脂粒子の製造方法としては、その調製方法について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した方法を採用することができるが、例えば以下のようにして調製することができる。前記樹脂粒子における樹脂が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製することができる。
前記樹脂粒子における樹脂が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解し、この溶解物を、前記イオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に添加し、ホモジナイザー等の分散機を用いて微粒子分散させた後、加熱乃至減圧することにより前記油性溶剤を蒸散させることにより調製することができる。
前記着色剤分散液は、例えば、該着色剤を前記界面活性剤等の水系媒体に分散させることにより調製することができる。前記離型剤分散液は、例えば、該離型剤を、イオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基等の高分子電解質と共に水中に分散させる。これを、融点以上に加熱しながら、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断をかけて該離型剤を微粒子化させることにより調製することができる。前記その他の成分(粒子)を分散させてなる分散液は、上述したその他の成分を前記界面活性剤等の水系媒体に分散させることにより調製することができる。
また、前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液、及び前記離型剤分散液に、それぞれ分散されているポリエステル樹脂粒子、着色剤、離型剤が、それぞれポリエステル樹脂粒子以外の成分、着色剤以外の成分、離型剤以外の成分を含む複合粒子である場合、これらの複合粒子を分散させてなる分散液は、例えば、以下のようにして調製することができる。例えば、該複合粒子の各成分を、溶剤中に溶解分散した後、前述のように適当な分散剤と共に水中に分散し、加熱乃至減圧することにより該溶剤を除去して得る方法や、乳化重合やシード重合により作成されたラテックス表面に機械的剪断又は電気的吸着を行い、固定化することにより調製することができる。これらの方法は、前記着色剤等の遊離を抑制したり、静電荷現像用トナーの帯電性の着色剤依存性を改善することに有効である。
前記分散の手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
前記凝集粒子は、例えば、以下のようにして調製される。前記イオン性界面活性剤を添加混合した水系媒体を含む第1分散液(樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液の少なくとも1種)に、前記イオン性界面活性剤と反対極性のイオン性界面活性剤(1)、又は、それを添加混合した水系媒体(2)若しくは該水系媒体を含む第2分散液(樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液の少なくとも1種)(3)を混合する。この混合液を攪拌手段を用いて攪拌すると、イオン性界面活性剤の作用により、分散液中で前記樹脂粒子等が凝集し、樹脂粒子等による凝集粒子が形成され、凝集粒子分散液が調製される。
なお、前記攪拌手段としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の攪拌装置等の中から適宜選択することができる。前記混合は、混合液に含まれるポリエステル樹脂のガラス転移点以下の温度で行うのが好ましい。この温度条件下で前記混合を行うと、凝集を安定した状態で行うことができる。
前記(1)又は(2)の場合は、前記第1分散液に分散されているポリエステル樹脂粒子、着色剤及び離型剤の少なくとも1種が凝集してなる凝集粒子が形成される。前記(3)の場合は、前記第2分散液中に分散されているポリエステル樹脂粒子、着色剤及び離型剤の少なくとも1種と、第1分散液中に分散されているポリエステル樹脂粒子、着色剤及び離型剤の少なくとも1種とが凝集してなる凝集粒子が形成される。
前記凝集粒子を形成させる場合には、添加される側の分散液に含まれるイオン性界面活性剤と、添加する側に含まれるイオン性界面活性剤とを反対の極性にしておき、その極性のバランスを予めズラしておき、このバランスのズレを補填するようにするのが好ましい。即ち、このバランスのズレを補填するように、添加される側の液に含まれるイオン性界面活性剤に対し、添加する側の液に含まれるイオン性界面活性剤を添加するのが好ましい。
一般に、前記樹脂粒子の樹脂、着色剤、離型剤等の種類乃至その極性等によっては、凝集し難い場合があり、凝集時に特定の材料粒子が遊離してしまい、所望のトナー組成が得られないこともある。具体的には、通常トナーに使用されるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の離型剤は、極性が小さく、しかも樹脂粒子の樹脂との相溶性に極めて乏しいため、凝集時において遊離する傾向が顕著である。遊離した離型剤の量が多くなると、トナー本来の諸特性が損なわれる上、該遊離した離型剤が現像時に現像機から溢れて該現像機内を汚染したり、該遊離した離型剤が現像機内での機械的ストレスにより破壊乃至合着して現像スリーブにフィルミングしてしまう等の問題が生じ得る。
しかし、上述のようにして凝集粒子を形成させると、かかる問題を招くことがなく、例えば、前記樹脂粒子における樹脂と前記着色剤との極性が同じであっても、反対極性の界面活性剤を加えることにより、容易に該樹脂粒子と該着色剤とによる均一な凝集粒子を形成することができる点で有利である。
この凝集工程において形成される凝集粒子の平均粒径としては、特に制限はないが、通常、得ようとする静電荷現像用トナーの平均粒径と同じ程度になるように制御される。前記制御は、例えば、温度と前記混合・攪拌の条件とを適宜設定・変更すること等により容易に行うことができる。以上の凝集工程により、静電荷現像用トナーの平均粒径とほぼ同じ平均粒径を有する凝集粒子が形成され、該凝集粒子を分散させてなる凝集粒子分散液が調製される。該凝集粒子分散液中の凝集粒子の含有量としては、通常40質量%以下である。なお、本発明において、前記凝集粒子は「母粒子」と称されることがある。
前記付着工程は、必要に応じて行うことができ、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程である。
前記微粒子としては、例えば、上述した、前記樹脂粒子による樹脂微粒子、前記着色剤による着色剤微粒子、前記離型剤による離型剤微粒子、前記その他の成分(粒子)による微粒子などが挙げられ、前記微粒子分散液としては、上述した、樹脂粒子を分散させてなる分散液、着色剤を分散させてなる着色剤分散液、離型剤を分散させてなる離型剤分散液、その他の成分(粒子)を分散させてなる分散液などが挙げられる。これらの微粒子分散液は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子等の微粒子を、前記凝集粒子の表面に均一に付着させて付着粒子を形成し、該付着粒子を後述の融合工程において加熱融合すると、前記凝集粒子が着色剤や離型剤等を含有する場合には、これらの表面が前記微粒子による素材で被覆され(シェルが形成され)るので、これらの離型剤等のトナー粒子からの露出等を効果的に防止することができる。
この付着工程において、例えば多色の静電荷現像用トナーを製造する場合に、前記樹脂微粒子を使用すると、前記凝集粒子の表面に、該樹脂微粒子の層が被覆形成されるので、前記凝集粒子に含まれる着色剤による帯電挙動への影響を最少化でき、着色剤の種類による帯電特性の差が生じにくくすることができる。また、前記樹脂微粒子における樹脂として、ガラス転移点の高い樹脂を選択すれば、熱保存性と定着性とを両立し、かつ帯電性に優れた静電荷現像用トナーを製造することができる。
また、この付着工程において、前記微粒子としてワックス等の離型剤を分散させてなる離型剤微粒子分散液を添加混合し、その後、前記微粒子として硬度の高い樹脂や無機粒体を分散させてなる微粒子分散液を添加混合すると、トナー粒子の最表面に硬度の高い樹脂や無機粒体によるシェルを形成することができる。この場合、ワックスの露出を抑制しながら、ワックスが定着時には有効に離型剤として働くようにすることができる。以上により、例えば、トナー粒子の表面を、樹脂で被覆したり、帯電制御剤で被覆したりすること等ができ、着色剤や離型剤をトナー粒子の表面近傍に存在させることができる。
前記微粒子の平均粒径としては、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmであるのがさらに好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、微粒子による層構造を形成する点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
前記微粒子の体積としては、得られる静電荷現像用トナーの体積分率に依存し、得られる静電荷現像用トナーの体積の50%以下であるのが好ましい。前記微粒子の体積が得られる静電荷現像用トナーの体積の50%を越えると、前記微粒子が前記凝集粒子に付着・凝集せず、前記微粒子による新たな凝集粒子が形成されてしまい、得られる静電荷現像用トナーの組成分布や粒度分布の変動が著しくなり、所望の性能が得られなくなることがある。
前記微粒子分散液においては、これらの微粒子を1種単独で分散させて微粒子分散液を調製してもよいし、2種以上の微粒子を併用して分散させて微粒子分散液を調製してもよい。後者の場合、併用する微粒子の組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記微粒子分散液における分散媒としては、例えば上述の水系媒体などが挙げられる。本発明においては、前記水系媒体に上述の界面活性剤の少なくとも1種を添加混合しておくのが好ましい。
前記微粒子分散液における前記微粒子の含有量としては、通常5〜60質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。前記含有量が前記範囲外であると、静電荷現像用トナーの内部から表面にかけての構造及び組成の制御が十分でないことがある。
前記微粒子分散液は、例えば、イオン性界面活性剤等を添加混合した水系媒体に、前記微粒子の少なくとも1種を分散させることにより調製される。また、乳化重合やシード重合により作成されたラテックス表面に機械的剪断又は電気的に吸着、固定化することにより調製することができる。
この付着工程においては、凝集工程において調製された凝集粒子分散液中に、前記微粒子分散液を添加混合することにより、前記凝集粒子の表面に前記微粒子が付着し、付着粒子が形成される。前記微粒子は、前記凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、本発明においては「追加粒子」と称されることがある。
前記添加混合の方法としては、特に制限はなく、例えば、徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、前記微粒子(追加粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られる静電荷現像用トナーの粒度分布をシャープにすることができる。また、得られる静電荷現像用トナーの表面から内部にかけての組成や物性を段階的に変化させることができ、静電荷現像用トナーの構造を容易に制御することができる。
以上において、トナーの外部に存在する樹脂のガラス転移点が、トナー内部に存在する樹脂のガラス転移点に比較して高くなるように、前記樹脂粒子及び前記微粒子における樹脂を選択すると、トナーの保存性や流動性と、最低定着温度とを両立することが可能になる。また、高分子側の樹脂の分子量を大きくし、溶融状態の弾性を高めると、高温におけるヒートロールへのオフセットを防ぐことができる。この効果は、特にオイル塗布を行わない場合には極めて有効な手段となる。
さらに、トナーの外部に存在する樹脂(即ち、微粒子中の樹脂)の分子量を、トナーの内部に存在する樹脂(即ち、凝集粒子中の樹脂)の分子量よりも小さくなるように選択すると、得られるトナー粒子の表面の平滑性が高まるため、流動性、転写性能が向上し易くなる。ただし、前記凝集粒子が、1種類の樹脂微粒子で形成されていない場合、即ち2種以上の樹脂粒子が凝集してなる場合には、前記トナーの内部に存在する樹脂(即ち、凝集粒子中の樹脂)の分子量は、該凝集粒子に含まれる全樹脂の分子量の平均値を意味する。
トナーの外部に存在する樹脂の分子量と、トナーの内部に存在する樹脂の分子量とが極端に異なる場合には、得られるトナー粒子において、芯部と被覆層の部分との接着力が低くなることがあり、該トナー粒子に対し、現像機内で攪拌乃至キャリアとの混合などの機械的ストレスを付加すると、該トナー粒子が破壊され得る。そこで、凝集粒子に微粒子を付着させる際、トナーの内部に存在する樹脂とトナーの内部に存在する樹脂との中間程度の分子量及び/又はガラス転移点を有する樹脂微粒子を最初に用いてこれを前記凝集粒子に付着させ、次に選択した樹脂微粒子を付着させることができる。
なお、複数回に分割して段階的に添加混合を行うと、前記凝集粒子の表面に段階的に前記微粒子による層が積層され、静電荷現像用トナーの粒子の内部から外部にかけて構造変化や組成勾配をもたせることができ、物性を変化させることができ、粒子の表面硬度を向上させることができ、しかも、融合工程における融合時において、粒度分布を維持し、その変動を抑制することができると共に、融合時の安定性を高めるための界面活性剤や塩基又は酸等の安定剤の添加を不要にしたり、それらの添加量を最少限度に抑制することができ、コストの削減や品質の改善が可能となる点で有利である。
前記凝集粒子に前記微粒子を付着させる条件は、以下の通りである。即ち、温度としては、凝集工程における樹脂粒子中の樹脂のガラス転移点以下の温度であり、室温程度であるのが好ましい。ガラス転移点以下の温度で加熱すると、前記凝集粒子と前記微粒子とが付着し易くなり、その結果、形成される付着粒子が安定し易くなる。処理時間としては、前記温度に依存するので一概に規定することはできないが、通常5分〜2時間程度である。なお、前記付着の際、前記凝集粒子と前記微粒子とを含有する分散液は、静置されていてもよいし、ミキサー等により穏やかに攪拌されていてもよい。後者の場合の方が、均一な付着粒子が形成され易い点で有利である。
本発明において、この付着工程が行われる回数としては、1回であってもよいし、複数回であってもよい。前者の場合、前記凝集粒子の表面に前記微粒子(追加粒子)による層が1層のみ形成されるのに対し、後者の場合、前記微粒子分散液として2種以上用意しておけば、前記凝集粒子の表面にこれらの微粒子分散液に含まれる微粒子(追加粒子)による層が積層形成される。後者の場合、複雑かつ精密な階層構造を有する静電荷現像用トナーを得ることができ、静電荷現像用トナーに所望の機能を付与し得る点で有利である。
付着工程が複数回行われる場合、前記凝集粒子(母粒子)に対し、最初に付着させる微粒子(追加粒子)と、次以降に付着させる微粒子(追加粒子)とは、いかなる組み合わせであってもよく、静電荷現像用トナーの用途等に応じて適宜選択することができる。
付着工程が複数回行われる場合、前記微粒子を添加混合する毎に、前記微粒子と前記凝集粒子とを含有する分散液を、凝集工程における樹脂粒子中の樹脂のガラス転移点以下の温度で加熱する態様が好ましく、この加熱の温度が段階的に上昇される態様がより好ましい。このようにすると、付着粒子を安定化させることができ、遊離粒子の発生を抑制することができる点で有利である。
以上の付着工程により、前記凝集工程で調製された凝集粒子に前記微粒子を付着させてなる付着粒子が形成される。付着工程を複数回行った場合には、前記凝集工程で調製された凝集粒子に、前記微粒子が複数回付着させてなる付着粒子が形成される。したがって、付着工程において、前記凝集粒子に、適宜選択した微粒子を付着させることにより、所望の特性を有する静電荷現像用トナーを自由に設計し、製造することができる。なお、この付着粒子中における前記着色剤の分布が、最終的にトナー粒子における着色剤の分布となるため、該付着粒子における着色剤の分散が細かくかつ均一である程、得られる静電荷現像用トナーの発色性が向上する。
前記融合工程は、前記凝集粒子を、前記付着工程を行った場合には前記付着粒子を、加熱し融合してトナー粒子を形成する工程である。
前記加熱の温度としては、前記凝集粒子に含まれる樹脂の、前記付着工程を行った場合には前記付着粒子に含まれる樹脂の、ガラス転移点温度〜該樹脂の分解温度であればよい。したがって、前記加熱の温度は、前記樹脂粒子(及び前記微粒子)の樹脂の種類に応じて異なり、一概に規定することはできないが、一般的には凝集粒子に含まれる樹脂の、前記付着工程を行った場合には前記付着粒子に含まれる樹脂の、ガラス転移点温度〜180℃である。前記加熱の温度を適切に選択することにより、得られるトナー粒子の形状を不定形から球形まで任意に制御することができる。前記加熱は、それ自体公知の加熱装置・器具を用いて行うことができる。
前記融合の時間としては、前記加熱の温度が高ければ短い時間で足り、前記加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、前記融合の時間は、前記加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には30分〜10時間である。本発明においては、融合工程の終了後に得られた静電荷現像用トナーを、適宜の条件で洗浄、乾燥等を行うことができる。なお、得られた静電荷現像用トナーの表面に、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機粒体や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子を、乾燥状態で剪断力を印加して添加してもよい。これらの無機粒体や樹脂粒子は、流動性助剤やクリーニング助剤等の外添剤として機能する。
本発明においては、この融合工程において前記融合後に融合粒子を後述の割合で冷却するのが好ましい。その理由は、以下の通りである。即ち、前記炭素数12〜30の高級アルコール及び/又は炭素数12〜30の高級脂肪酸からなるエステルを少なくとも1種含む離型剤には、多形現象があることが知られている。
例えば、J. Am. Oil Chem. Soc.,27,276(1950)におけるE.S.Luttonによると、数種の多形があり、それらはそれぞれに融点が異なることが報告されている。
通常、これら複数の多形の融点を制御するために最も一般的に行われれるのは、熱処理である。この熱処理の条件を検討した結果、融合後のトナー粒子を、1〜50℃/分で冷却することによって、同一の離型剤であっても、高融点を示すこと可能になることが見い出された。この冷却によると、同じ離型剤を用いても離型剤の融点が上昇するため、トナーの保存性が良好となるからである。本発明において、前記冷却の割合としては、1〜50℃/分が好ましく、5〜50℃/分がより好ましく、10〜50℃/分が特に好ましい。なお、50℃/分を越えても同様の効果は見られるが、冷却のための設備が大型化する必要がある点で不利であり、一方、1℃/分未満であると離型剤の融点を上げることが困難となる点で不利である。
以上の融合工程により、前記凝集粒子(母粒子)が融合され、前記付着工程を行った場合には、前記凝集粒子の表面に前記微粒子(追加粒子)が付着したままの状態で、該付着工程で調製された付着粒子が融合され、静電荷現像用トナーが製造される。
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法の場合、トナー粒子の製造中に微粉の発生を招かないため、混練粉砕法における粉砕時や懸濁重合法における材料分散時において発生する微粉の除去が不要であり、工程の簡素化が可能である点で有利である。また、少なくともポリエステル樹脂粒子、着色剤及び離型剤が均一に分散した状態で凝集している凝集体を融合してトナー粒子を形成するため、静電荷現像用トナーの組成を均一に制御することが可能である。また、付着工程を経ることにより分子量の異なる少なくとも2種の樹脂粒子を用いれば、静電荷現像用トナーの分子量分布を容易に制御することが可能である。また、離型剤のように疎水性の高い材料をトナー粒子の内部に選択的に存在させることが可能であるため、トナー粒子の表面における離型剤量を減少させることが可能である。
上述した本発明の静電荷現像用トナーの製造方法により得られる本発明の静電荷現像用トナーは、前記付着工程を行った場合には、前記凝集粒子を母粒子とし、該母粒子の表面に前記微粒子(追加粒子)による被覆層が形成されてなる構造を有する。前記微粒子(追加粒子)の層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよく、一般に該層数は、前記本発明の静電荷現像用トナーの製造方法における前記付着工程を行った回数と同じである。
本発明の静電荷現像用トナーにおける、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布は、4〜30が好ましく、4〜20がより好ましくは、5〜15が特に好ましい。前記比(Mw/Mn)で表される分子量分布が、30を越えると定着画像の透明性、平滑性、混色性が十分でなく、特にフィルム上に静電荷現像用トナーを現像乃至定着させた場合において、光の透過により映し出される画像は、不鮮明で暗い画像になるか、不透過で発色しない投影画像となり、4未満であると高温定着時におけるトナーの粘度低下が顕著になり、オフセットが発生し易くなる。一方、前記比(Mw/Mn)で表される分子量分布が、前記数値範囲内にあると、定着画像の透明性、平滑性、混色性が十分である上、高温定着時における静電荷現像用トナーの粘度低下を防止し、オフセットの発生を効果的に抑制することができる。
本発明の静電荷現像用トナーは、帯電性、現像性、転写性、定着性、クリーニング性等の諸特性、特に画像における平滑性、透明性、混色性、発色性に優れる。また、環境条件に影響を受けず前記諸性能を安定に発揮・維持するので、信頼性が高い。
本発明の静電荷現像用トナーは、本発明の静電荷現像用トナーの製造方法により製造されるので、混練粉砕法等により製造される場合と異なり、その平均粒径が小さく、しかもその粒度分布がシャープである。
本発明の静電荷現像用トナーの粒度分布は、上述の通りである。前記静電荷現像用トナーの平均粒径としては、2〜9μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。前記平均粒径が、2μm未満であると、帯電性が不十分になり易く、現像性が低下する場合があり、9μmを越えると、画像の解像性が低下する場合がある。
本発明の静電荷現像用トナーは、本発明のポリエステル樹脂粒子を用いて製造されるため、該トナー中に残留溶媒が含まれない。その結果として、本発明の静電荷現像用トナーは、トナー保存性及び定着画像安定性を向上させることができさらにトナー定着時の残留溶媒由来の異臭の発生を抑えることができる。
本発明の静電荷現像用トナーの帯電量としては、10〜40μC/gが好ましく、15〜35μC/gがより好ましい。前記帯電量が、10μC/g未満であると、背景部汚れが発生し易くなり、40μC/gを越えると、画像濃度の低下が発生し易くなる。この静電荷現像用トナーの夏場における帯電量と冬場における帯電量との比率としては、0.5〜1.5が好ましく、0.7〜1.3が好ましい。前記比率が、前記好ましい範囲外であると、トナーの環境依存性が強く、帯電性の安定性に欠け、実用上好ましくないことがある。
<静電荷像現像剤>
本発明の静電荷像現像剤は、少なくとも、本発明の静電荷現像用トナーを含む。本発明の静電荷像現像剤は、本発明の静電荷現像用トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。本発明の静電荷像現像剤は、本発明の静電荷現像用トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。
前記キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。即ち、該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その平均粒径は30〜200μm程度である。前記核体粒子の被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のポリオレフィン類、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、フッ化ビニリデン。テトラフルオロエチレンヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマーの共重合体、ビスフェノール、グリコール等を含むポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、などが挙げられる。
これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。該被覆樹脂の量としては、キャリアに対して0.1〜10質量部程度であり、0.5〜3.0質量部が好ましい。前記キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
本発明の静電荷像現像剤における、本発明の静電荷現像用トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を熱定着する定着工程と、を含み、前記現像剤として本発明の静電荷像現像剤が用いられる。
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記潜像形成工程は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する工程である。前記現像工程は、現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本発明の静電荷現像用トナーを含有する本発明の静電荷像現像剤を含んでいれば特に制限はない。前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。さらに、被転写体表面に転写されたトナー画像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー画像が形成される(定着工程)。尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
本発明の画像形成方法においては、前記転写工程の後に前記潜像保持体表面の残留トナーを回収するクリーニング工程と、前記クリーニング工程において回収された残留トナーを前記現像剤担持体に搬送するリサイクル工程と、をさらに含むことが好ましい。前記クリーニング工程は、潜像保持体表面に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した残留トナーを前記現像剤担持体の現像剤層に移す工程である。
このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
以下、本発明を、実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」は質量部を意味する。
静電荷現像用トナーの平均粒径は、コールターカウンター(コールター社製、TA2型)を用いて測定した。樹脂粒子、着色剤、及び離型剤の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場制作所製、LA−700)を用いて測定した。
ポリエステル樹脂粒子及び静電荷現像用トナーにおける樹脂の分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、HLC−8120GPC)を用いて測定した。
ポリエステル樹脂粒子及び静電荷現像用トナーにおける樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(島津制作所社製、DSC−50)を用い、昇温速度3℃/分の条件下で測定した。
さらに、静電荷像現像剤の評価については、富士ゼロックス社製Docu Centre Color500CP改造機を用いて画像形成を行い、初期画質、並びに、5万枚目に得られた画像の背景部汚れを目視することによって行った。評価基準は以下の通りである。
○:目視において、トナー付着が判別つかない。
△:目視において、トナー汚れがわずかに目立ち、用紙の色に対し、違和感が少ない。
×:目視において、トナー汚れが目立ち、用紙の色に対し、違和感がある。
また、静電荷像現像剤の総合評価を行なった。その評価基準は、以下の通りである。
○:ポリエステル樹脂粒子を低温で合成でき、、画像背景部の汚れが、ないまたは、目立たない。
×:ポリエステル樹脂粒子を低温で合成できない。
富士ゼロックス社製Docu Centre Color500CP改造機は、本発明の画像形成方法を実施可能な装置である。
実施例及び比較例において得られた評価は、表1にまとめて示した。
[実施例1]
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
−ポリエステル樹脂(1)の製造−
セバシン酸 789.0部
エチレングリコール 310.5部
イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム 199.7部
フマル酸 40.7部
ジブチルスズ 2.0部
上記成分(いずれも和光純薬(株)製)をフラスコ内で混合し、減圧雰囲気下で240℃に加熱して6時間脱水縮合しポリエステル樹脂(1)を得た。
−ポリエステル樹脂粒子(1)の製造−
ポリエステル樹脂(1) 60部
γ−Decanolactone 40部
スカンジウムトリフラート 2部
以上(ポリエステル樹脂(1)以外は和光純薬(株)製)を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール85)4部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)5部をイオン交換水250部に溶解したものに、ウルトラタラックス(IKAジャパン製)を使用し、フラスコ中で強制乳化分散し、その後、ナノマイザー(吉田機械興業製)にて、平均粒子径が1μm以下になるように、乳化調整し、反応温度50℃でラクトン開環重合を15時間い、ポリエステル樹脂粒子(1)の分散された樹脂粒子分散液(1)を得た。
[実施例2]
<樹脂粒子分散液(2)の調製>
−ポリエステル樹脂粒子(2)の製造−
ポリエステル樹脂(1) 50部
Cyclopentadecanolide 50部
リパーゼ(シュードモナス属の微生物由来) 20部
以上を混合し、実施例1におけるポリエステル樹脂粒子(1)の製造と同様にして、ポリエステル樹脂粒子(2)の分散された樹脂粒子分散液(2)を得た。
[実施例3]
<樹脂粒子分散液(3)の調製>
−ポリエステル樹脂粒子(3)の製造−
ポリエステル樹脂(1) 50部
トリメリット酸 1部
Cyclopentadecanolide 50部
スカンジウムトリフラート 2部
以上(ポリエステル樹脂(1)以外は和光純薬(株)製)を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール85)4部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)5部をイオン交換水250部に溶解したものに、ウルトラタラックス(IKAジャパン製)を使用し、フラスコ中で強制乳化分散し、その後、ナノマイザー(吉田機械興業製)にて、平均粒子径が1μm以下になるように、乳化調整し、反応温度60℃でラクトン開環重合を12時間行い、ポリエステル樹脂粒子(3)の分散された樹脂粒子分散液(3)を得た。
[比較例1]
<比較樹脂粒子分散液(1)の調製>
−比較ポリエステル樹脂粒子(1)の製造−
ポリエステル樹脂(1) 50部
Cyclopentadecanolide 50部
有機スズ触媒 0.5部
以上をフラスコ内にいれ、混合攪拌しながら、反応温度160℃ 3時間反応させ、冷却し、樹脂を合成した。
次に、この樹脂を機械式粉砕機にて、平均粒子径20μmに微粉砕を行った。1μm以下には、微粉砕が困難であった。このため、次に、これを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール85)2部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)1部をイオン交換水200部に溶解したものに分散し、ナノマイーザー加熱システムを使用により、加熱(160℃)条件、加圧130MPa、平均粒子径が1μm以下になるようにして、比較ポリエステル樹脂粒子(1)の分散された比較樹脂粒子分散液(1)を得た。
[実施例4]
<静電荷現像用トナー(1)の製造>
−着色剤分散液(1)の調製−
フタロシアニン顔料 60部
(大日精化(株)製:PV FAST BLUE)
アニオン性界面活性剤 2部
(三洋化成(株)製:イオネットD−2)
イオン交換水 300部
以上を混合し、溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散し、平均粒径が160nmである着色剤(フタロシアニン顔料)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
−離型剤分散液(1)の調製−
ペンタエリスリトールのベヘン酸エステル 100部
(理研ビタミン社製、リケスターEW−861、HLB=3.2)
アニオン性界面活性剤 6部
(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)
イオン交換水 1000部
以上を90℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が330nmである離型剤(ペンタエリスリトールのベヘン酸エステル)を分散させてなる離型剤分散液(1)を調製した。
−凝集粒子の調製(凝集工程)−
樹脂粒子分散液(1) 240部
着色剤分散液(1) 40部
離型剤分散液(1) 100部
カチオン性界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50) 2部
イオン交換水 300部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で47℃まで加熱した。47℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約5.1μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
−付着粒子の調製(付着工程)−
この凝集粒子分散液中に、樹脂微粒子分散液としての樹脂粒子分散液(1)を緩やかに50部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて48℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.5μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
−付着粒子の融合(融合工程)−
ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)6部を追加した後、攪拌を継続しながら94℃まで加熱し、5時間保持した。その後、10℃/分の割合で冷却した後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより静電荷現像用トナー(1)を得た。
得られた静電荷現像用トナー(1)の平均粒径は、5.7μmであった。得られた静電荷現像用トナー(1)100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、外添静電荷現像用トナー(1)を得た。
<静電荷像現像剤(1)の作製>
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径50μm)100部とメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、分子量95000)1部とを、トルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温し、トルエンを留去した後、冷却し、105μmの篩を用いて分粒することにより、フェライトキャリア(樹脂被覆キャリア)を作製した。このフェライトキャリアと、外添静電荷現像用トナー(1)とを混合し、トナー濃度が7質量%である二成分系の静電荷像現像剤(1)を作製した。静電荷像現像剤(1)を用いて上述の通り画像形成を行い、画質の評価を行った。
[実施例5]
<静電荷現像用トナー(2)の製造>
−凝集粒子の調製(凝集工程)−
樹脂粒子分散液(2) 250部
着色剤分散液(1) 40部
離型剤分散液(1) 130部
カチオン性界面活性剤(花王(株)製:コターミン24P) 5部
イオン交換水 300部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で48℃まで加熱した。48℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
−付着粒子の調製(付着工程)−
この凝集粒子分散液中に、樹脂微粒子分散液としての樹脂粒子分散液(2)を緩やかに50部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて51℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.3μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
−付着粒子の融合(融合工程)−
ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)7部を追加した後、攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、5時間保持した。その後、40℃/分の割合で室温まで冷却した後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより静電荷現像用トナー(2)を得た。
得られた静電荷現像用トナー(2)の平均粒径は、5.6μmであった。得られた静電荷現像用トナー(2)100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、外添静電荷現像用トナー(2)を得た。
外添静電荷現像用トナー(2)を用い、実施例4と同様にして静電荷像現像剤(2)を作製した。静電荷像現像剤(2)を用いて上述の通り画像形成を行い、画質の評価を行った。
[実施例6]
<静電荷現像用トナー(3)の製造>
−凝集粒子の調製(凝集工程)−
樹脂粒子分散液(3) 250部
着色剤分散液(1) 40部
離型剤分散液(1) 130部
カチオン性界面活性剤(花王(株)製:コターミン24P) 5部
イオン交換水 300部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で48℃まで加熱した。48℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
−付着粒子の調製(付着工程)−
この凝集粒子分散液中に、樹脂微粒子分散液としての樹脂粒子分散液(2)を緩やかに50部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて51℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.3μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
−付着粒子の融合(融合工程)−
ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)7部を追加した後、攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、5時間保持した。その後、40℃/分の割合で室温まで冷却した後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより静電荷現像用トナー(3)を得た。
得られた静電荷現像用トナー(3)の平均粒径は、5.3μmであった。得られた静電荷現像用トナー(3)100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、外添静電荷現像用トナー(3)を得た。
外添静電荷現像用トナー(3)を用い、実施例4と同様にして静電荷像現像剤(3)を作製した。静電荷像現像剤(3)を用いて上述の通り画像形成を行い、画質の評価を行った。
[比較例2]
<比較静電荷現像用トナー(1)の製造>
−凝集粒子の調製(凝集工程)−
比較樹脂粒子分散液(1) 250部
着色剤分散液(1) 40部
離型剤分散液(1) 40部
カチオン性界面活性剤(花王社製:サニゾールB50) 5部
イオン交換水 300部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で49℃まで加熱した。49℃で20分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
−付着粒子の調製(付着工程)−
この凝集粒子分散液中に、樹脂微粒子分散液としての比較樹脂粒子分散液(1)を緩やかに70部追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて50℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.4μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
−付着粒子の融合(融合工程)−
ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)7部を追加した後、攪拌を継続しながら97℃まで加熱し、5時間保持した。その後、20℃/分の割合で室温まで冷却した後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて40℃で10時間乾燥させることにより比較静電荷現像用トナー(1)を得た。
得られた比較静電荷現像用トナー(1)の平均粒径は、5.7μmであった。得られた比較静電荷現像用トナー(1)100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を外添し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、比較外添静電荷現像用トナー(1)を得た。
比較外添静電荷現像用トナー(1)を用い、実施例4と同様にして比較静電荷像現像剤(1)を作製した。比較静電荷像現像剤(1)を用いて上述の通り画像形成を行い、画質の評価を行った。
Figure 2005325268
*1:エネルギー消費は酸化スズ触媒を使用した場合の、ポリエステル樹脂粒子の合成温度(150℃〜200℃)と比較した。70%未満の場合を○、70%以上の場合を×とした。
*2:樹脂の加熱微粒条件により、粒子表面が熱により変性されたことによる帯電性の悪化と考えられる。
表1に示す結果から以下のことが明らかである。即ち、静電荷像現像剤(1)〜(3)は、比較静電荷像現像剤(1)に比べて、粒子製造プロセスが少なく、また、樹脂合成に必要な加熱温度も低い。画質において均一性に優れ、地被りが生じ難い。また、画質安定性においても良好である。

Claims (14)

  1. ポリエステル樹脂と、ラクトンと、前記ラクトンを重合させる重合触媒と、を含有するポリエステル樹脂組成物を乳化して前記ポリエステル樹脂組成物の液滴を形成する乳化工程と、
    前記液滴中のラクトンを重合させてポリエステル樹脂粒子を形成する重合工程と、
    を少なくとも有するポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記重合触媒は、希土類元素を構成元素とするルイス酸触媒である請求項1に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  3. 前記希土類元素を構成元素とするルイス酸触媒は、下記式で表される希土類金属トリフラートである請求項2に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法。
    X(OSO2CF33
    (式中、Xは、希土類元素を表す。)
  4. 前記希土類元素は、Sc,Y,ランタノイド、又はアクチノイドである請求項2又は3に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記重合触媒は、酵素触媒である請求項1に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記ラクトンの重合は、100℃以下で行なわれる請求項1に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  7. 前記液滴の平均粒径は、1μm以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂粒子の製造方法により製造されたポリエステル樹脂粒子。
  9. 平均粒径が、1μm以下である請求項8に記載のポリエステル樹脂粒子。
  10. 請求項8又は9に記載のポリエステル樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、着色剤を分散させてなる着色剤分散液と、離型剤を分散させてなる離型剤分散液とを混合して、ポリエステル樹脂粒子と着色剤と離型剤とを含む凝集粒子を形成して凝集粒子分散液を得る凝集工程と、
    前記凝集粒子を加熱して融合させる融合工程と、
    を少なくとも有する静電荷現像用トナーの製造方法。
  11. 請求項10に記載の静電荷現像用トナーの製造方法により製造された静電荷現像用トナー。
  12. 少なくとも、請求項11に記載の静電荷現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  13. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤担持体に担持された現像剤を用い、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー画像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー画像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法であって、
    前記現像剤は、請求項12に記載の静電荷像現像剤である画像形成方法。
  14. 前記転写工程の後に前記潜像保持体表面の残留トナーを回収するクリーニング工程と、前記クリーニング工程において回収された残留トナーを前記現像剤担持体に搬送するリサイクル工程と、をさらに含む請求項13に記載の画像形成方法。
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