JP2005325089A - ω−ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物の製造方法 - Google Patents

ω−ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物の製造方法 Download PDF

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Akihira Sugiyama
明平 杉山
Kazuyoshi Ichihara
一義 市原
Noriyuki Shinoki
紀之 篠木
Akiya Mantani
聡哉 萬谷
Masahiro Kondo
昌宏 近藤
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Abstract

【課題】ω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物を、比較的簡単な工程によって、収率良く製造できる方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1):
CF2=CF−(CF2p−X−RgT (1)
(式中、XはO、S又はNHであり、Rgは置換基としてフッ素原子を有することのある二価の炭化水素基であり、TはBr又はIであり、pは0〜4の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物とCF2=CF2とを、触媒の存在下又は加熱下に反応させることを特徴とする下記一般式(2):
CF2=CF−(CF2p−X−Rg(CF2CF2nT (2)
(式中、X、Rg、T及びpは上記に同じであり、nは1〜10の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ω−ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物の製造方法に関する。
一般式:CF2=CF−(CF2p−X−Rg(CF2CF2nT(式中、XはO、S又はNHであり、Rgは置換基としてフッ素原子を有することのある二価の炭化水素基であり、TはBr又はIである。pは、0〜4の整数であり、nは1〜10の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物は、末端に存在するヨウ素原子又は臭素原子が各種の官能基に変換可能であり、医農薬中間体、樹脂、ゴムなどの各種の原料として有用な化合物である。
上記一般式で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物の合成方法としては、例えば、下記反応工程に従った方法が知られている(特許文献1参照)。
Figure 2005325089
この方法では、中間生成物であるI(CF2CF2)nO[CF(CF3)CF2O]mCF(CF3)COFは、n数が大きくなると高沸点化合物となり、I(CF2CF2)nO[CF(CF3)CF2O]mCF=CF2を合成する際に、反応器内において長時間加熱下に置かれることになる。こにため、-CF2I基の分解量が多くなり、収率良くI(CF2CF2)nO[CF(CF3)CF2O]mCF=CF2を製造することができない。
また、下記反応工程による製造方法も知られている(下記特許文献2参照)。
Figure 2005325089
この方法では、I(CF2CF2)2IからICF2CF2CF2COFを合成する際に、FOCCF2CF2COF、パーフルオロテトラハイドロフラン、パーフルオロ-γ-ブチルラクトン等の不純物が生成して収率が低下するために、最終目的物であるI(CF2CF2)2OCF=CF2の収率は20%程度に過ぎない。
米国特許第3,311,685号 特開昭61−30552号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、上記一般式で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物を、比較的簡単な工程によって、収率良く製造できる方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、末端にヨウ素原子又は臭素原子を有する特定のビニル化合物を原料として用い、これを触媒の存在下又は加熱下においてテトラフルオロエチレンと反応させる場合には、重合反応がほとんど生じることなく、テロメリ反応が優先的に進行して、ω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物を高収率で製造することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物の製造方法を提供するものである。
1. 下記一般式(1):
CF2=CF−(CF2p−X−RgT (1)
(式中、XはO、S又はNHであり、Rgは置換基としてフッ素原子を有することのある二価の炭化水素基であり、TはBr又はIであり、pは0〜4の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物とCF2=CF2とを、触媒の存在下又は加熱下に反応させることを特徴とする下記一般式(2):
CF2=CF−(CF2p−X−Rg(CF2CF2nT (2)
(式中、X、Rg、T及びpは上記に同じであり、nは1〜10の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物の製造方法。
2. 一般式(1)で表される化合物が、下記式:
CF2=CF−O−[CF2CF(CF3)O]CF2CF2−T
(式中、Tは上記に同じであり、qは0〜3の整数である。)で表される化合物である上記項1に記載の製造方法。
3. 過酸化物、周期律表の3族〜16族の第4周期〜第7周期のいずれかに属する金属、及び該金属を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種からなる触媒の存在下に反応を行う上記項1又は2に記載の方法。
4. 触媒の非存在下において、80℃〜300℃の温度範囲で反応を行う上記項1又は2に記載の方法。

本発明では、出発原料として、一般式(1)
CF2=CF−(CF2p−X−RgT (1)
(式中、XはO、S又はNHであり、Rgは置換基としてフッ素原子を有することのある二価の炭化水素基であり、TはBr又はIであり、pは0〜4の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物を用いる。この化合物は、公知の化合物又は公知の方法によって容易に入手し得る化合物である。
Rgで表される二価の炭化水素基の具体例としては、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基、アリーレン基又はこれらが結合した基などの二価の炭化水素基を挙げることができる。該炭化水素基には、更に、酸素、イオウ及び窒素から選ばれた少なくとも一種の元素が含まれていてもよい。アルキレン基としては、炭素数1~8程度の基を例示できる。アリーレン基としては、フェニレン基等を例示できる。これらの二価の炭化水素基は、フッ素原子によって一部又は全ての水素原子が置換されていてもよく、或いは未置換であっても良い。
上記一般式(1)で表される出発原料の具体例としては、下記式:
CF2=CF−O−[CF2CF(CF3)O]CF2CF2−T
で表される化合物を挙げることができる。上記式において、Tは上記に同じであり、qは0〜3の整数である。
本発明方法では、上記した出発原料を、触媒の存在下又は加熱下においてCF2=CF2と反応させる。
この反応は、無溶媒又は溶媒中で行うことができる。分離精製の容易さからは、無溶媒で反応を行うことが好ましい。
溶媒としては、反応に関与しない溶媒であれば特に限定はなく使用でき、極性溶媒及び無極性溶媒のいずれを用いても良い。溶媒の具体例としては、CH3CN、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジグライム、パーフロヘキサン、パーフロシクロブタン等を挙げることができる。
溶媒を用いる場合には、その使用量は特に限定的ではないが、通常、一般式(1)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物に対して、0.01〜100容量倍程度とすることが好ましく、0.1〜10容量倍程度とすることがより好ましい。
CF2=CF2の使用量は、一般式(1)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物に対して、0.01〜20倍モル程度とすればよく、0.1〜10倍モル程度とすることが好ましい。
原料の仕込み方法については特に限定はないが、通常、ω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物を仕込んだ反応容器中に、CF2=CF2を添加すればよい。CF2=CF2は、単独で仕込んでもよく、或いは、窒素、He、Ar、CF4等の不活性ガスと混合して仕込んでも良い。CF2=CF2の圧力については限定的ではなく、通常、減圧下〜5MPa程度の広い範囲の圧力とすることができる。特に、大気圧〜2MPa程度の範囲が好ましい。
本発明方法は、触媒の存在下又は加熱下に行う。
触媒としては、例えば、過酸化物、周期律表の3族〜16族の第4周期〜第7周期のいずれかに属する金属、該金属を含む化合物等を用いることができる。触媒は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイド等の触媒として汎用されている各種過酸化物を用いることができる。これらの過酸化物は溶媒によって希釈されていても良い。
周期律表の3族〜16族の第4周期〜第7周期のいずれかに属する金属の具体例としては、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Sb、Ce、Sm、Eu、Yb、Ta、Pt、Os、Ir、Au、Hg、Pb、Bi、Zn等を挙げることができ、入手容易な点でCu、Fe、Ni、Pt、Pd等が好ましい。これらの金属は、単独で用いても良く、或いは、ゼオライト、活性炭等の担体に担時された状態で用いても良い。
周期律表の3族〜16族の第4周期〜第7周期のいずれかに属する金属を含む化合物としては、各種金属の塩化物、硝酸塩、シアン化物、水酸化物、炭酸塩などを用いることができ、取り扱いが容易な点で塩化物、硝酸塩等が好ましい。更に、トリフェニルホスフィン(PPh3)、β-ジケトン類等の一般的な配位子を含む化合物であっても良い。この様な金属化合物に含まれる金属の具体例としては、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Sb、Ce、Sm、Eu、Yb、Ta、Pt、Os、Ir、Au、Hg、Pb、Bi、Zn等を挙げることができ、入手容易な点でCu、Fe、Ni、Co、Pd、Ti、Pb、等が好ましい。該金属化合物に含まれる金属が二種類以上の価数となりうる元素である場合には、該金属が低価数の状態で含まれる化合物が好ましい。
触媒の使用量については限定的ではないが、一般式(1)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物に対して0.01〜10モル倍程度とすればよく、0.1〜5モル倍程度とすることが好ましい。
反応温度については、触媒の存在下に反応を行う場合には、通常−50℃〜300℃程度の広い範囲とすることができ、−20℃〜200℃程度とすることが好ましい。
触媒を使用しない場合には、加熱下に反応を行うことが必要であり、80℃〜300℃程度の反応温度とすることが好ましく、120℃〜220℃程度の反応温度とすることがより好ましい。
反応時間は、通常0.01〜48時間程度とすればく、好ましくは0.5〜24時間程度程度とすればよい。
上記した方法によれば、一般式(1)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物とCF2=CF2との反応によって、下記一般式(2)
CF2=CF−(CF2p−X−Rg(CF2CF2nT (2)
(式中、X、Rg、T及びpは上記の同じであり、nは1〜10の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物を高収率で得ることができる。
得られた粗生成物は、必要に応じて、分液、濾過、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法によって精製することにより、目的とするω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物とすることができる。
この様にして得られるω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物は、例えば、医農薬中間体、樹脂、ゴムなどの各種の原料として有用な化合物である。
本発明方法によれば、比較的簡単な工程によって、目的とするω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物を高収率で製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
20mlのオートクレーブにCF2=CFOCF2CF2I:5.0g(15.4mmol)と塩酸洗浄を行なったCu:0.5g(7.87mmol)を仕込み、真空・窒素置換を3回行なった。その後、室温でCF2=CF2:3.05g(30.5mmol)を仕込んだ。このときの圧力は0.5MPaであった。
反応温度を120℃まで昇温し、3時間反応を行なった。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、内圧を大気圧に戻した。オートクレーブ内の液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、CF2=CFOCF2CF2Iの転化率は72.0%、CF2=CFO(CF2CF2)2I:CF2=CFO(CF2CF2)3I:CF2=CFO(CF2CF2)4Iのそれぞれの選択率は86.0%:12.5%:1.5%であった。
実施例2
Cuを用いることなく、反応温度を200℃とすること以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。
反応終了後、オートクレーブ内の液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、CF2=CFOCF2CF2Iの転化率は49.0%、CF2=CFO(CF2CF2)2I:CF2=CFO(CF2CF2)3I:CF2=CFO(CF2CF2)4Iのそれぞれの選択率は91.5%:7.2%:1.3%であった。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1):
    CF2=CF−(CF2p−X−RgT (1)
    (式中、XはO、S又はNHであり、Rgは置換基としてフッ素原子を有することのある二価の炭化水素基であり、TはBr又はIであり、pは0〜4の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和化合物とCF2=CF2とを、触媒の存在下又は加熱下に反応させることを特徴とする下記一般式(2):
    CF2=CF−(CF2p−X−Rg(CF2CF2nT (2)
    (式中、X、Rg、T及びpは上記に同じであり、nは1〜10の整数である。)で表されるω-ハロゲン化含フッ素不飽和テロメリ化合物の製造方法。
  2. 一般式(1)で表される化合物が、下記式:
    CF2=CF−O−[CF2CF(CF3)O]CF2CF2−T
    (式中、Tは上記に同じであり、qは0〜3の整数である。)で表される化合物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 過酸化物、周期律表の3族〜16族の第4周期〜第7周期のいずれかに属する金属、及び該金属を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種からなる触媒の存在下に反応を行う請求項1又は2に記載の方法。
  4. 触媒の非存在下において、80℃〜300℃の温度範囲で反応を行う請求項1又は2に記載の方法。

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