JP2005324842A - 包装用部材及びその包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱融着可能である基材の一方の面に、感熱発色部、該感熱発色部上に形成された表面被覆部、及び該基材と該表面被覆部とから剥離可能であり、厚さ0.1〜10.0μmの剥離可能部を設けた包装用部材とする。
【選択図】 なし
Description
ところで、近年、食品の安全性に対する関心が高まっており、それに伴って、従来、商品に表示していた商品の価格、内容量、賞味期限等の情報に加えて、商品の生産地、生産者、使用している添加物等、商品に関するより多くの情報を商品に表示することが求められている。また、商品の販売促進のために、いわゆるPOP広告を商品に付して、消費者の購買意欲を高めることも必要となってきている。
そこで、より多くの商品や梱包物に関する情報を表示するためには、複数のラベルを貼付したり、ラベルを大型化することが必要となるが、その結果、商品や梱包物の見栄えが悪くなったり、内容物を視認しづらくなるといった問題が生じる。
請求項2に係る本発明の包装用部材は、基材の一方の表面に、離型部、感熱発色部、該感熱発色部上に形成された表面被覆部、及び該基材と該表面被覆部とから剥離可能であり、厚さ0.1〜10.0μmの剥離可能部を設けてなると共に、該基材の他方の表面に粘着部を設けてなることを特徴とする包装用部材である。また、本発明の包装体は、上記の包装用部材を用いて包装してなる包装体である。
また、本発明の包装用部材は、ラベルを貼付しても容易に剥がすことが可能で、しかも、一旦剥がすと再び該ラベルは貼付することができないため、前記したような商品ラベルに関する悪戯を完全に防止することができ、包装フィルム等とラベルの分別回収における煩雑な作業も解消される。
図1に本発明の包装用部材の1例を示す。図1(a)は、本発明の包装用部材の1例を示した平面図であり、(b)は、図1(a)のA−A'線断面図である。
図1に例示した包装用部材は、基材10の一方の表面に、平面視矩形状の感熱発色部11を2箇所、及びその感熱発色部上に表面被覆部12を設け、さらに、離型部13を基材10の両端に帯状に2箇所、及び剥離可能部14を離型部13と互いに重ならないようにして設けると共に、基材10の他方の表面(裏面)に粘着部15を、離型部13の背面に位置する部分に設けたものである。
また、基材は、透明・半透明にすると、内容物の視認性が良好となり好ましいが、所望する風合やデザインを基材に付与するため、不透明・着色としてもよい。
上記基材の厚さは、一般には10〜300μmの範囲とするのが、強度、印刷性、包装作業性等の点から好ましい。
熱可塑性樹脂からなるフィルム・シートは、インクの密着性、耐水性等を改善させるため、コロナ放電処理等の表面処理を施すことが好ましい。
この熱融着性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂が利用できる。
基材の熱融着温度は、基材の溶融温度、包装スピード等の包装作業性、剥ぎ取り作業性等を考慮して、適宜設定、調整することができる。
また、感熱発色部は、感熱発色部の表面上に、加工年月日、値段、販売者等に関する印刷表示を印刷することにより、従来のラベルシートの役割をもたせることも可能である。
感熱発色部の厚さは1〜7μmが好ましく、より好ましくは1〜5μmである。1μm未満では発色の濃度が低く、印字の濃淡がはっきりしなくなる場合がある。一方、7μmを超えると印字の滲みや汚れが生じやすくなる。
感熱発色剤の発色温度は80℃以上であることが印刷乾燥工程等での発色を防止するためには必要であるが、一般的なサーマルプリンターの印字設定条件内で適宜選択することが可能となるように設定する。
表面被膜部の構成材料としては、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種が利用できる。これらの中では、感熱印字時における耐熱性及び印字ヘッドの滑り性、耐水、耐油性の点で、アクリル系樹脂が好適である。
表面被膜部の厚さは1〜10μmであり、好ましくは2〜5μmである。この厚さが1μm未満では、上記の防止効果が得られず、一方10μmを超えると、感熱発色部への伝熱が低下し、発色しにくくなってしまう。
また、表面被膜部の構成材料を印刷インクとして使用する場合、感熱発色部の発色防止のため、印刷インクの溶剤は、エステル類、ケトン類、エーテル類、及びアルコール類を含有しないことが必要である。さらに、上記構成材料の樹脂耐熱性を確保するために、2液硬化型の材料を用いてもよい。
この剥離可能部に貼付されたラベルを剥がすと、剥離可能部を構成する樹脂が容易に剥離して、ラベルの粘着剤塗布面に転写される。その結果、該ラベルは粘着性が失われ、再貼付できなくなる。これによって、剥がしたラベルを別の商品に貼付したり、ラベルを改竄して再貼付するといった、ラベルを剥がすことに由来する悪戯を完全に防止することができ、また、剥がしたラベルが別の場所に付着するといった、分別作業に伴う不都合を回避することができる。さらに、例えば、剥離可能部を透明にすると、包装用部材にはラベルを剥がした痕跡が全く残らず、商品の価値を損なうことが全く無い。
硝化綿は、その硝化度(窒素分)が9〜13%のものが用いられ、好ましくは10〜12%である。硝化度が9%未満では、剥離可能部の破断伸びが大きくなり、ラベル剥離後の破断面がきれいでなく、剥離された部分と基材残留部分との境界面がはっきりしないため、包装体の外観を損ねる。一方、硝化度が14%を超えると、破断強度が強くなりすぎて、剥離時の塗膜切れが起こりにくくなり、剥離可能部としての機能を発揮しない。
スチレン系樹脂とは、スチレン−共役ジエン共重合体系樹脂であり、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等及びこれらの水添物があり、これらの中では1,3−ブタジエン、イソプレンが好適であり、共役ジエン含有量は5〜80質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50質量%である。また、この共重合体系樹脂は、ランダム又はブロック共重合体のいずれかでよい。
剥離可能部の厚さは0.1〜10.0μmであり、好ましくは1.0〜5.0μmである。この厚さが0.1μm未満では、塗膜の強度及び伸びが不十分で、ラベル等の粘着剤面を完全に覆うことが出来ずに、粘着性が残ることがある。厚さが10.0μm以上では、逆に塗膜強度及び伸びが大きすぎて、塗膜切れが悪くなり、剥離された後の剥離痕が基材面に残ることにより、外観を損ねる場合がある。
また、粘着部を基材の表面の一部に複数形成する場合、粘着部の形状を、例えば、点状、円形状、楕円状、不定形状又はこれらの組み合わせとすることができる。
さらに、本発明の包装用部材を用いて、被包装物を包装する際に、各種容器等の天面で、該包装用部材を仮固定することができるように、容器天面の仮固定位置に相当する部分にも粘着部を設けることが好ましい。このことは、該包装用部材の位置決め作業を容易にし、作業時間を短縮する上で極めて有効である。
該ゴム系粘着剤には、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルゴム、アクリルゴム等のゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、スチレン−イソプレンブロック共重合樹脂、スチレン−エチレン−プロピレン共重合樹脂、スチレン−イソプレン−エチレン−プロピレン共重合樹脂等のスチレン系ブロック共重合体、及びこれらの水添物のいずれか又は混合物が挙げられる。
粘着部の厚さは、通常5〜50μm、好ましくは10〜30μmであり、粘着剤の粘着力、被包装物の形状・表面凹凸度等に応じて、適宜選択する。
粘着部のタックは、傾斜式ボールタック法(JIS C−2107)による測定値が3〜40であることが好ましい。該測定値が3より小さいと、粘着力が不十分で、収納容器等への粘着固定が不十分となる。一方、該測定値が40より大きいと、離型部と粘着部を容易に剥離することができなくなり、また、ベタツキが強すぎて、ラベルプリンター等で感熱発色部を発色させて印字する際に、包装用部材の搬送が不安定になり、包装作業性等が大幅に低下すると共に、収納容器等から包装用部材を分離することが困難となる。
また、離型部は、剥離可能部の機能を発揮させるために、剥離可能部とは重ならないようにして設けるが、感熱発色部に対しては、そのような制限はなく、例えば、感熱発色部の全面の上に重ねて設けてもよい。
離型部を形成する離型剤としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル樹脂、長鎖アルキルウレタン樹脂等が使用される。
該シリコーン系樹脂としては、ポリジメチルシロキサンを主剤とし、ポリメチルハイドロジェンシロキサンを架橋剤に用いて、縮合型・付加型架橋した水系・溶剤系のシリコーン系樹脂が例示される。
また、前記長鎖アルキル樹脂としては、ステアリルアクリレートとアクリル酸又はアクリロニトリルからなる長鎖アルキルアクリレートコポリマー、ポリビニルカルバメート等のアルキル化ポリマー、長鎖アルキルビニルエーテルコポリマー等の長鎖オレフィンコポリマー、ポリエチレン、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂等のポリマーが例示される。これらの中では、ポリビニルカルバメート(水系又は溶剤系)が、後記する特定範囲の剥離強度を維持するために好適に使用される。
前記した感熱発色部、表面被覆部、離型部、剥離可能部、粘着部及び感熱発色部上の図柄等は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、コンマコーティング等の方法を用いて、基材表面に形成することができる。その形成は、感熱発色部の変色防止、保護の点から、図柄等、感熱発色部、表面被覆部、剥離可能部、離型部、粘着部の順序で行うのが好ましい。
本発明の包装用部材は、被包装物の底面・側面等に粘着部を介して粘着固定することにより、被包装物を包装する。また、基材が熱融着可能である場合は、基材の両端部を重ねて、その重ね合わせ部分に外から熱を加えて、基材を溶融・接合(ヒートシール)し、封緘することにより、被包装物を一層確実に包装することができる。本発明の包装用部材を用いて包装する場合、被包装物の全体を被包してもよいし、被包装物の周囲を巻くようにして包装するなど、包装の仕方は任意である。
基材の一方の表面に、図柄を印刷し、その上に矩形状の感熱発色部を2箇所、感熱発色部の上に表面被覆部を設け、離型部を基材の両端に帯状に2箇所、及び剥離可能部を離型部及び表面被覆部と重ならないようにして設けると共に、さらに、該基材の他方の表面に、粘着部を離型部の背面に当る部分に設けた包装用部材を、以下に示した材料を用いて作製した。
実施例1〜12及び比較例1〜6に係る各包装用部材の感熱発色部、剥離可能部、表面被覆部の厚さは、表1に示したとおりである。なお、これらの厚さは、ダイヤルゲージを用いて計測した。
感熱発色部、表面被覆部、離型部、図柄は、それぞれ感熱インク、トップコートインク、離型剤、図柄印刷インクを用いて、グラビア印刷により基材に印刷して形成した。また、剥離可能部、粘着部は、それぞれ剥離可能部用インク、粘着剤を用いて、グラビア印刷により基材に印刷して形成した。各部の形成は、図柄等、感熱発色部、表面被覆部、剥離可能部、離型部、粘着部の順序で行った。なお、剥離可能部の印刷厚は、グラビア版の溝深さ、インク固形分の量により調整した。
以下、包装用部材の作製に使用した材料を示す。
なお、感熱インク、剥離可能部の使用した材料は、表1に示すとおりである。また、図柄印刷インクにおいて、4−1は実施例で使用したもの、4−2は比較例で使用したものである。他の使用材料は、実施例、比較例で共通する。
1)基材
両面にコロナ放電処理を施したOPPフィルム、厚さ30μmを使用した。
2)感熱インク
2−1:溶剤分散型;黒発色、溶剤:トルエン
2−2:水分散型;赤発色
3)表面被覆部インク
アクリル系2液硬化型樹脂の水系エマルジョン溶液を使用した。
4)図柄印刷インク
4−1:ビヒクル;スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物、 溶剤;メチルシクロヘキサン
4−2:ビヒクル;スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物、 溶剤;トルエン(80%)/MEK(20%)の混合溶剤
5)剥離可能部用インク
5−1:硝化度11.5%の硝化綿(溶剤:酢酸エチル)
5−2:石油系高軟化点樹脂:スチレン系樹脂=1:0.5の混合物(溶剤:メチルシクロヘキサン)
なお、上記石油系高軟化点樹脂は、C5脂肪族系樹脂(軟化点145℃)、上記スチレン系樹脂は、ブタジエン含有量20wt%のスチレン−ブタジエンランダム共重合体である。
6)粘着剤
合成ゴムを使用し、塗布厚20μmとした。
7)離型剤
ポリビニルカルバメートを使用し、塗布厚0.5μmとした。
実施例1〜12及び比較例1〜6の包装用部材について、表1に示した各項目の試験を以下の要領で行い、結果を表1に示した。
1.印字状態
2機種のプリンターA、Bをそれぞれ用いて、以下の印字条件で、感熱発色部上に印字し、その印字状態を目視観察した。印字の抜けや滲み、印字部分のサーマルヘッドとの擦れによる感熱発色部の脱落がない状態を良好とし、それ以外の状態を不良とした。
・プリンターA:IL−EMZ・SA(イシダ社製、商品名、印字条件:印字濃度5〜7%、印字速度100〜120mm/秒)
・プリンターB:GP−4000(寺岡精工社製、商品名、印字ソフト:ラベル博士、印字条件:印字濃度60〜75%、印字速度120〜150mm/秒)
2.剥離可能部評価
(剥離状態)
市販ラベルを剥離可能部に貼付した後、該ラベルを剥離した場合に、剥離可能部が該ラベルの輪郭に沿って剥離されたものを○、該ラベルの輪郭よりも広い範囲が剥離されたものを×とした。
(テープ粘着性残り)
市販ラベルを剥離可能部に貼付した後、該ラベルを剥離した場合に、剥離可能部が転写したラベル粘着面に粘着性が残らず、再貼付不能な状態のものを○、再貼付可能な状態のものを×とした。
表1に示したように、本発明の包装用部材は、印字の抜けや滲み、印字部分のサーマルヘッドとの擦れによる感熱発色部の脱落が認められず、印字状態は良好であり、また、剥離可能部が該ラベルの輪郭に沿って剥離され、ラベルの再貼付も不能であった。
11…感熱発色部
12…表面被覆部
13…離型部
14…剥離可能部
15…粘着部
20…段ボールケース
21、22…包装用部材
23、24…感熱発色表示
Claims (7)
- 熱融着可能である基材の一方の面に、感熱発色部、該感熱発色部上に形成された表面被覆部、及び該基材と該表面被覆部とから剥離可能であり、厚さ0.1〜10.0μmの剥離可能部を設けてなることを特徴とする包装用部材。
- 基材の一方の表面に、離型部、感熱発色部、該感熱発色部上に形成された表面被覆部、及び該基材と該表面被覆部とから剥離可能であり、厚さ0.1〜10.0μmの剥離可能部を設けてなると共に、該基材の他方の表面に粘着部を設けてなることを特徴とする包装用部材。
- 基材が、透明もしくは半透明である請求項1又は2に記載の包装用部材。
- 感熱発色部の構成材料が、エステル類、ケトン類、エーテル類、及びアルコール類を溶剤中に含有しない印刷インクである請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装用部材。
- 表面被覆部の構成材料が、アクリル樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、表面被覆部の厚さが1〜10μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装用部材。
- 剥離可能部の構成材料が、硝化度9〜13%の硝化綿、又は長鎖アルキルウレタン、石油系高軟化点樹脂、及びスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、透明もしくは半透明である請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装用部材。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装用部材を用いて包装してなる包装体。
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JP2008168912A (ja) * | 2007-01-09 | 2008-07-24 | Rengo Co Ltd | くじ付き包装方法 |
JP2010241471A (ja) * | 2009-04-07 | 2010-10-28 | Dainippon Printing Co Ltd | 包装材 |
JP2020093447A (ja) * | 2018-12-12 | 2020-06-18 | 大阪シーリング印刷株式会社 | ヒートシール用フィルム |
WO2023170875A1 (ja) * | 2022-03-10 | 2023-09-14 | 大阪シーリング印刷株式会社 | ヒートシール可能な感熱フィルムおよびその製造方法 |
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