JP2005323851A - お盆 - Google Patents
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Abstract
【課題】 お椀やコップ等の食器類を運搬する時に使用されるお盆において、お盆を傾けた際の食器類への滑り防止性が付与され、さらに、食品からの色の付着性も低減されるお盆を提供する。
【解決手段】 お盆の表面に、二液型アルキドウレタン塗料を塗装することにより、お盆を傾けた際の滑り防止性を付与でき、さらに、シリコーンを混合してなる二液型アルキドウレタン塗料を塗装することにより、食品からの色付着性を低減することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 お盆の表面に、二液型アルキドウレタン塗料を塗装することにより、お盆を傾けた際の滑り防止性を付与でき、さらに、シリコーンを混合してなる二液型アルキドウレタン塗料を塗装することにより、食品からの色付着性を低減することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、お椀やコップ等の食器類を乗せて運搬することを目的として使用されるお盆に関する。
食堂、レストラン等を始めとして、食品を入れたお椀や飲み物を入れたコップ等の食器類を食卓まで運ぶ際にお盆が一般的に使用されている。従来、お盆としては、金属または熱硬化性樹脂性FRP材料を用いSMCにより生産されてものが多く使用されている。しかしながら、生産性や廃棄処理性の問題から、ポリプロピレンやポリカーボネートのような熱可塑性樹脂を使用したお盆が使用されるようになってきた。
一方で、食器類を運搬する時にお盆を傾けた際に、食器等がすべるとお椀やコップ等の食器から内容物がこぼれたり、或いは落下し、破損してしまうことがあった。そのため、滑りにくいお盆への要求が常にある。
その対策として、種々の方法が考案、開示されている。方法1として、トレイ表面に突起物を設け、水の膜の発生を防止したり、食器を引っ掛けることにより滑り止めを行う方法(例えば、特許文献1)が開示されている。また、方法2として、トレイ表面に摩擦抵抗の大きいポリオレフィン系ゴム等の滑り止めシートを貼り付けることにより滑り止めを行う方法(例えば、特許文献2)が開示されている。さらには、二液型アクリルウレタンまたは二液型ウレタンを最際表面層に塗布することにより滑り止めを行う方法(特許文献3)が開示されている。
実開平7−39653号公報
特開2002−19761号公報
実開平7−2215号公報
しかしながら、方法1においては、細かい突起を設ける場合は、食器類とお盆との接触面積が低下しすることにより摩擦抵抗が減少し、滑り易くなる課題があった。他方、粗い突起を設ける場合は、突起により食器類を引っ掛け、滑りを防止できるものの、突起を設ける位置により食器の置き位置が限定され、置き場所によっては食器類が突起の上に乗り不安定になる課題があった。
方法2においては、お盆の表面にポリオレフィン系滑り止めシート等を接着剤により貼り付けることにより、食材がこぼれて付着しても洗浄にて容易に取り除くことができ、付着跡が残らないようにすることができるものの、シート端部には隙間や段差ができ、汚れが溜まりやすくなるなどの課題があった。
方法3においては、お盆の表面での隙間や段差をなくし、滑り止め性能を向上することができるものの、滑り止めシートの軟質化または粘着化が行われる為、滑り止め性を向上すると、食品からの色が付着しやすくなる課題があった。
本発明者は、耐熱性が比較的高く、硬化時の摩擦抵抗の大きいアルキドウレタン塗料のお盆表面への塗布が滑り止め性に効果を有し、さらに該塗料にシリコーンを配合することにより食品からの色付着性の低減も図られることを見出し、本件発明に至った。
本件の発明は、
表面に2液型アルキドウレタン塗料を塗布してなる合成樹脂製お盆(請求項1)および
2液型アルキドウレタン塗料がシリコーンを混合してなる請求項1の合成樹脂製お盆(請求項2)に関する。
表面に2液型アルキドウレタン塗料を塗布してなる合成樹脂製お盆(請求項1)および
2液型アルキドウレタン塗料がシリコーンを混合してなる請求項1の合成樹脂製お盆(請求項2)に関する。
お盆の底板表面に、耐熱性が比較的高く、硬化時の摩擦抵抗の大きい二液型アルキドウレタン塗料を塗布することにより、お盆に対して滑り止め性を付与することができる。さらに、二液型アルキドウレタン塗料にシリコーンを混合してなる塗料を表面に塗布することにより、お盆に対して食品からの着色性を低減し、滑り止め性を付与することができる。
以下に、実施形態を説明するが、制限するものではない。
本発明のお盆は、合成樹脂を原料として成形されたお盆の底板表面に、二液型アルキドウレタン塗料を塗布後、焼付け乾燥することを特徴としたお盆である。
本発明において、お盆の底板表面に二液型アルキドウレタン塗料を塗布することにより、二液型アクリルウレタン塗料またはウレタン塗料に比べて、必要な表面の硬さ、たわみ性および滑り止め性を得ることができる。
本発明で使用される二液型アルキドウレタン塗料は、油脂分45%以上のアルキド樹脂と主材としたもので、塗布の直前にウレタン樹脂と混合して、お盆の表面に塗布される。アルキド樹脂としては、具体的には、中油型アルキド樹、長油型アルキド樹脂があげられる。また、ウレタン樹脂としては、具体的には、ニ液型ポリウレタン、油変性ポリウレタン等があげられる。
本発明における二液アルキドウレタン塗料の塗布方法は、はけ塗り、手動ローラー塗りのような刷り付ける方法、エアースプレー法、エアレススプレー法、機械的なローラ塗り、カーテンフロー塗りなどの公知の方法を適用することができ、特に限定されないが、 均一な塗膜が形成しやすく、能率的である点からエアースプレー法が好ましい。
本発明においては、二液型アルキドウレタン塗料をお盆表面に塗布後、80〜90℃の温度にて焼付けを行い、反応・固化させる。
本発明の二液型アルキドウレタン塗料においては、シリコーンを配合することにより、食材からの色の付着性をさらに低減することができる。
本発明におけるシリコーンは、オルガノシロキサンに代表されるシリコーンを使用しすることができる。さらには、反応性を有するシリコーンオイル(例えば、水酸基、アミノ基、ビニル基、グリシジル基、チオール基などの反応基を有するシリコーンオイル)を用いることができる。
本発明におけるシリコーン含有量は、摩擦抵抗の低下を抑え、食品の着色防止性を向上させうることから、その下限量は、0.01重量%が好ましく、0.05重量%がより好ましく、0.1重量%がさらに好ましい。また、上限量は、5.0重量%が好ましく、3.0重量%がより好ましく、1.0重量%がさらに好ましい。シリコーン含有量が0.01重量%未満では、食品の着色が濃くなる傾向があり、5.0重量%を超えると、滑り易くなる傾向がある。
本発明のお盆では、合成樹脂を原料として成形されたお盆の底板表面に二液型アルキドウレタン塗料を塗布する際、該塗料層の接着性を確保する目的で、下塗り塗料を塗布しても良い。下塗り塗料としては、一般的なポリエチレンテレフタレート樹脂用プライマー また、付着性を高めた短油型アルキド塗料、アルキドウレタン塗料、アクリルウレタン塗料、特殊変性ポリオレフィン樹脂を用いた塗料などを使用しても良い。
本発明におけるお盆の成形に用いられる原料樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等に代表されるポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン、シクロオレフィンポリマー等に代表されるポリオレフィン樹脂、等の熱可塑性樹脂を単独、またはそれら複数種以上をアロイ化してなる熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、およびガラス繊維等を含有したによるファイバー・レインフォースド・プラスチック等の合成樹脂があげられる。これらのうち、その成形性、リサイクル性および廃品処理性の点で、熱可塑性樹脂が好ましい。
本発明におけるお盆の成形方法は、特に限定されず、射出成形法、射出圧縮成形方法、、SMC(シートモールディングコンパウンド)等を用いることができる。これらのうち成形性の点から、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
(製造例)
原料樹脂としてポリエチレンテレフタレートを75部とポリブチレンテレフタレート25部に無機フィラーを33重量%を混合してなる樹脂組成物を用い、射出成形法により、金型温度130℃にてお盆(投影面の大きさが概ね440×330mm)の成形を行った。お盆の表面に、下塗り塗料(短油型アルキド樹脂塗料)を厚み約15〜20μmとなるよう塗布・乾燥後、表面層として上塗り塗料を厚み約25〜30μmとなるよう塗布し、90℃にて焼き付き乾燥を行った。
原料樹脂としてポリエチレンテレフタレートを75部とポリブチレンテレフタレート25部に無機フィラーを33重量%を混合してなる樹脂組成物を用い、射出成形法により、金型温度130℃にてお盆(投影面の大きさが概ね440×330mm)の成形を行った。お盆の表面に、下塗り塗料(短油型アルキド樹脂塗料)を厚み約15〜20μmとなるよう塗布・乾燥後、表面層として上塗り塗料を厚み約25〜30μmとなるよう塗布し、90℃にて焼き付き乾燥を行った。
得られたお盆に対する評価は、以下のとおりであり、その評価結果は表1にまとめた。
(滑り防止性の評価)
お盆の中央部にドンブリ(国際化工(株)製mellina121;メラミン製、重量120g)を乗せ、お盆を傾けた時にドンブリが滑り出す際のお盆の傾き角度を、滑り出し角度として求めた。
お盆の中央部にドンブリ(国際化工(株)製mellina121;メラミン製、重量120g)を乗せ、お盆を傾けた時にドンブリが滑り出す際のお盆の傾き角度を、滑り出し角度として求めた。
(食品の着色性)
着色し易い食品の一つであるカラシをお盆の塗装面に塗り、ラップにより覆い、90℃の環境下にて2分放置後、中性洗剤にて拭き取り、染み付き状態を以下の基準により目視観察および色差計(日本電色工業製、VGS−300A)を用いたカラシ付着前後での色差(ΔE)にて評価した。
◎: ほとんど染み付が見られない。ΔE=5未満。
○: 薄い染み付きが見られる。ΔE=5以上、20未満。
△: 染み付が見られる。ΔE=20以上、35未満。
×: 濃い染み付きが見られる。ΔE=35以上。
着色し易い食品の一つであるカラシをお盆の塗装面に塗り、ラップにより覆い、90℃の環境下にて2分放置後、中性洗剤にて拭き取り、染み付き状態を以下の基準により目視観察および色差計(日本電色工業製、VGS−300A)を用いたカラシ付着前後での色差(ΔE)にて評価した。
◎: ほとんど染み付が見られない。ΔE=5未満。
○: 薄い染み付きが見られる。ΔE=5以上、20未満。
△: 染み付が見られる。ΔE=20以上、35未満。
×: 濃い染み付きが見られる。ΔE=35以上。
(実施例1)
製造例において、上塗り塗料として、二液型アルキドウレタン塗料(中油型アルキド樹脂を用いたアルキドウレタン塗料)をエアースプレー法にて塗布後、90℃雰囲気下にて60分間乾燥を行った。
その結果、滑り出し角度は35〜45度であり、着色による色目の変化ΔEは30であった。
(実施例2)
製造例において、上塗り塗料として、シリコーン(オルガノシロキサン)を0.2重量%を混合した二液アルキドウレタン塗料をエアースプレー法にて塗布後、90℃雰囲気下にて60分間乾燥を行った。その結果、滑り出し角度は21〜22度であり、着色による色目の変化ΔEは15であった。
製造例において、上塗り塗料として、二液型アルキドウレタン塗料(中油型アルキド樹脂を用いたアルキドウレタン塗料)をエアースプレー法にて塗布後、90℃雰囲気下にて60分間乾燥を行った。
その結果、滑り出し角度は35〜45度であり、着色による色目の変化ΔEは30であった。
(実施例2)
製造例において、上塗り塗料として、シリコーン(オルガノシロキサン)を0.2重量%を混合した二液アルキドウレタン塗料をエアースプレー法にて塗布後、90℃雰囲気下にて60分間乾燥を行った。その結果、滑り出し角度は21〜22度であり、着色による色目の変化ΔEは15であった。
(実施例3)
製造例において、上塗り塗料として、シリコーンの混合量を実施例2の2/3にした以外は、実施例2と同様にして上塗り塗装を行った。その結果、滑り出し角度は28〜37度であり、着色による色目の変化ΔEは17であった。
製造例において、上塗り塗料として、シリコーンの混合量を実施例2の2/3にした以外は、実施例2と同様にして上塗り塗装を行った。その結果、滑り出し角度は28〜37度であり、着色による色目の変化ΔEは17であった。
(比較例1)
製造例において、塗装を施さない場合、滑り出し角度は11〜15度であり、着色による色目の変化ΔEは1であった。
製造例において、塗装を施さない場合、滑り出し角度は11〜15度であり、着色による色目の変化ΔEは1であった。
食物や飲料水を入れたお椀やコップなどの食器類を運搬するお盆において、運搬時やお盆を机上に置く場合に、少々お盆が傾いても食器類が滑り難く、また食器の内容物がこぼれて、衣服等の汚すことを防止できる。さらに、お盆上に食品がこぼれても着色しにくく、汚れ難いお盆を提供できる。
1 母材
2 下塗り塗料
3 上塗り塗料
2 下塗り塗料
3 上塗り塗料
Claims (2)
- 表面に2液型アルキドウレタン塗料を塗布してなる、合成樹脂製お盆。
- 2液型アルキドウレタン塗料がシリコーンを混合してなる、請求項1の合成樹脂製お盆。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004145230A JP2005323851A (ja) | 2004-05-14 | 2004-05-14 | お盆 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004145230A JP2005323851A (ja) | 2004-05-14 | 2004-05-14 | お盆 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005323851A true JP2005323851A (ja) | 2005-11-24 |
Family
ID=35470661
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004145230A Pending JP2005323851A (ja) | 2004-05-14 | 2004-05-14 | お盆 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005323851A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH072215U (ja) * | 1993-06-15 | 1995-01-13 | 株式会社三好製作所 | トレイ |
JPH0987547A (ja) * | 1995-09-20 | 1997-03-31 | Sumitomo Forestry Co Ltd | 滑り止め塗料組成物 |
JPH11343462A (ja) * | 1998-04-01 | 1999-12-14 | Kansai Paint Co Ltd | 水性塗料組成物 |
-
2004
- 2004-05-14 JP JP2004145230A patent/JP2005323851A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH072215U (ja) * | 1993-06-15 | 1995-01-13 | 株式会社三好製作所 | トレイ |
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