JP2005323543A - スピニングリールのロータ制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スピニングリールのロータ制動装置において、制動部材の破損を防止する。
【解決手段】 制動部材65は、側部外周に形成された環状溝65eに装着されたばね部材66により、円形状の装着溝2fに圧接されている。制動部材65は、装着溝2fに装着される環状の本体部65gと、装着溝2fに回転可能に摩擦係合する摩擦部65cと、移動部材が係合する複数の係合部65dとを有している。係合部65dは、本体部65gの外周の環状溝65eより前側に形成された複数の第1係合溝65mと、環状溝65eより後側に形成された複数の第2係合溝65nとを有している。第2係合溝65nの幅長Bは、第1係合溝65mの幅長Aより小さくなるように形成されている。
【選択図】 図10

Description

本発明は、ロータ制動装置、特に、前端部外周に装着溝を有するリール本体に回転自在に装着されたロータを、糸巻き取り姿勢と糸開放姿勢とに揺動するベールアームの揺動に応じて制動するスピニングリールのロータ制動装置に関する。
一般に、スピニングリールのロータには、釣り糸をスプールに案内するためのベールアームが設けられている。ベールアームは、釣り糸を巻き取る際に釣り糸をスプール外周に導く糸巻き取り姿勢と、スプールから釣り糸を繰り出す際に邪魔にならないように糸巻き取り姿勢から倒された糸開放姿勢とを取り得る。ベールアームを糸巻き取り姿勢と糸開放姿勢とに維持するとともに、ロータの糸巻き取り方向の回転に連動して糸開放姿勢から糸巻き取り姿勢に戻すために、ロータにはベール反転装置が設けられている(たとえば、特許文献1参照)。
このベール反転装置は、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、ロータに装着されたトグルばねと、ベールアームの揺動中心の近傍に先端が係止され、基端がリール本体に向けて前後移動する棒状の移動部材と、移動部材に接触するようにリール本体に設けられた切換突起とを有している。トグルばねは、ベールアームを2つの姿勢に振り分けて付勢し、ベールアームを2つの姿勢で保持する。移動部材は、糸開放姿勢にベールアームが揺動すると、切換突起に接触する位置に後退する。そして、ロータが糸巻き取り方向に回転すると、切換突起に接触して前進する、この前進によりトグルばねが収縮し、トグルばねによってベールアームが糸巻き取り姿勢に戻る。
回転伝達効率を高めたスピニングリールでは糸巻き取り方向に簡単に回転しやすい。ロータが回転すると、キャスティングやサミングのそれぞれに適した回転位相にロータを回転させても回転位相が容易にずれることがある。
前記従来の構成では、糸開放姿勢でのロータの回転を防止するために、リール本体に接触してロータを制動する制動部材が移動部材に装着されている。制動部材は、移動部材が接触位置に移動すると、リール本体の前面に接触して圧縮されロータを制動する。このようにベール反転時にロータを弾性的に制動すると、ロータの回転を防止できるとともに、必要に応じてロータの糸巻き取り方向へ回転させることができる。
このような構成では、移動部材に装着された制動部材がリール本体に接触して圧縮されることによりロータを制動している。このため、製作誤差や取付誤差等により移動部材の接触位置が前後に変動すると、制動部材の圧縮量が変動する。圧縮量が変動すると、ロータの制動力が変動し、ロータを安定して制動できなくなる。そこで、弾性樹脂製の環状の制動部材をリール本体に装着するとともに、移動部材を制動部材の押圧方向と交差する方向に制動部材の端部から外側面に向けて移動させて制動部材に接触させることが考えられる。
しかし、このような構成にすると、移動部材が制動部材に接触する一部分でのみ制動することになるので、制動力にばらつきが生じ、制動力が不安定になるおそれがある。このように制動力が不安定になると、常に所定の制動力が発揮されず、操作性の低下を招くおそれが生じる。
そこで、リール本体に対して相対回転可能に摩擦係合する弾性樹脂製の環状の摩擦部と、移動部材の突出部分が係合する複数の係合部とを有する制動部材を設け、移動部材の突出部分が係合部に係合したとき摩擦部をリール本体に対して摩擦摺動させることがさらに考えられる。このような構成にすることにより、摩擦部の全体部分によって均等に制動するので、制動力を安定させることができる。
特開平10−4839号公報
前記従来の構成の制動部材は、たとえば略半円形状の2つの部材により構成された弾性樹脂製の環状部材であって、摩擦部がリール本体に対して摩擦摺動するように、たとえばリール本体の前端部外周に形成された装着溝に摩擦部の全内周面が接触するように側部外周に形成された環状溝に装着されたばね部材により圧接されている。また、係合部は、移動部材の突出部分が係合する係合溝であって、制動部材の外周に間隔をあけて配置された複数の突起部によって溝が形成されている。制動部材の突起部は、ばね部材装着用の環状溝によって前後方向に分割されている。このため、移動部材の突出部分は、環状溝の端部に入り込み、制動部材の突起部の前側及び後側の端部に接触してしまうことがある。
このように移動部材の突出部分が制動部材の突起部の前側及び後側の端部に接触していると、ベール反転機構によりベールが反転するとき、制動部材の突出部分が制動部材の突起部の前側の端部に接触した状態で制動部材が移動する。すると、制動部材の移動にともなって、制動部材の突起部の前側部分が前方に引っ張られてしまうので、制動部材の突起部の前側部分が折れ曲がったり、破損してしまうおそれが生じる。
本発明の課題は、スピニングリールのロータ制動装置において、制動部材の破損を防止することにある。
発明1に係るスピニングリールのロータ制動装置は、前端部外周に装着溝を有するリール本体に回転自在に装着されたロータを、糸巻き取り姿勢と糸開放姿勢とに揺動するベールアームの揺動に応じて制動するスピニングリールのロータ制動装置であって、ベールアームに連動して糸巻き取り姿勢に対応する第1位置と糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在にロータに設けられた移動部材と、本体部と摩擦部と係合部と環状溝とを有し移動部材が係合部に係合したとき摩擦部をリール本体に対して摩擦摺動させる制動部材と、環状溝に装着され制動部材をリール本体に圧接するばね部材とを備えている。本体部は、複数の部材から構成され、装着溝に装着される環状の部材である。摩擦部は、本体部の内周側に形成され、装着溝に対して相対回転可能に摩擦係合する。係合部は、本体部の外周側に形成され、第2位置に移動した移動部材が係合する。環状溝は、本体部の外周側に形成されている。係合部は、本体部の外周側の環状溝の前側に移動部材の移動方向に沿って形成された複数の第1係合溝と、本体部の外周側の環状溝の後側に第1係合溝と連通し第1係合溝より幅狭に形成された複数の第2係合溝とを有している。
このロータ制動装置では、係合部は、本体部の外周側の環状溝の前側に形成された複数の第1係合溝と、本体部の外周側の環状溝の後側に第1係合溝より幅狭に形成された複数の第2係合溝とを有している。ここでは、第2係合溝の幅が第1係合溝の幅より狭くなるように形成されているので、移動部材が第2位置に移動したとき、移動部材が第1係合溝から離反し、移動部材が第2係合溝と接触するようになっている。したがって、ベール反転機構によりベールが反転するとき、移動部材が第1係合溝から離反し接触しないようになっているので、第1係合溝を生成する制動部材の突起部の前側部分が前方に引っ張られることがなくなり、このため制動部材の破損を防止できる。
発明2に係るロータ制動装置は、発明1のロータ制動装置において、制動部材は略半円形状の2つの部材により構成されている。この場合、略半円形状の2つの部材をリール本体に圧接することにより、制動力を容易に得ることができる。
発明3に係るロータ制動装置は、発明1又は2のロータ制動装置において、移動部材は金属により形成され、制動部材は合成樹脂により形成されている。この場合、たとえばステンレス合金等の金属からなる移動部材を、ポリアミド系合成樹脂やポリアセタール(POM)等の合成樹脂からなる制動部材に係合しても、制動部材が破損しにくくなるといった効果が顕著になる。
発明4に係るロータ制動装置は、発明1から3のいずれかのロータ制動装置において、移動部材は、第2位置にあるとき、リール本体に向けて一部が突出し、制動部材の係合部に係合する突出部を有している。この場合、移動部材を突出させることにより、係合部との係合が簡単になる。
発明5に係るロータ制動装置は、発明1から4のいずれかのロータ制動装置において、移動部材は、先端がベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲してベールアームに回動自在に係止され、後端がロータの回転軸芯に向けて屈曲してロータに前後移動自在に係止され、その間がロータの回転軸芯に沿って配置された棒状部材である。この場合、ベールアームの揺動運動を移動部材の突出部分の前後直線運動に簡素な構成で簡単に変換できる。
発明6に係るロータ制動装置は、発明1から5のいずれかのロータ制動装置において、第1係合溝は、移動部材を第2係合溝に誘導する面取り部を有している。この場合、第2係合溝と移動部材とのガタを小さくしても、面取り部によって移動部材が第2係合溝にスムーズに誘導されるので、制動力が効き始めるまでのタイムラグを小さくできる。
本発明によれば、スピニングリールのロータ制動装置において、第2係合溝の幅が第1係合溝の幅より狭くなるように形成することにより、制動部材の破損を防止できる。
本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、図1及び図2に示すように、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。なお、図1ではハンドル1がリール本体2の左側に、図2では右側に装着している。このように、ハンドル1はリール本体2の左右いずれにも装着可能である。
リール本体2は、内部に空間を有するリールボディ2aと、リールボディ2aの空間を塞ぐためにリールボディ2aに着脱自在に装着される蓋部材2bとを有している。
リールボディ2aは、たとえばアルミニウム合金製であり、上部に前後に延びるT字形の竿取付脚2cが一体形成されている。図2に示すように、リールボディ2aの空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2a及び蓋部材2bの前端には、円形のフランジ部2dと、フランジ部2dより小径で先端が開口する円筒部2eとが形成されている。円筒部2eには、図5に示すように、断面が円形状に切り欠かれた装着溝2fが形成されている。
蓋部材2bは、たとえばアルミニウム合金製の部材であり、たとえば3箇所でリールボディ2aにビス止めされている。フランジ部2dにおいて、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、図5及び図6に示すように、後述する切換部材52が着脱自在に装着されている。
ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、ナット13によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受14a、14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。
オシレーティング機構6は、スプール4の中心部にドラグ機構71を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。
ロータ3は、図2に示すように、ロータ本体16と、ロータ本体16の先端に糸開放姿勢と糸巻取姿勢とに揺動自在に装着されたベールアーム17と、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻すためにロータ本体16に装着されたベール反転機構18とを有している。
ロータ本体16は、リールボディ2aにスプール軸15回りに回転自在に装着された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1及び第2ロータアーム31、32とを有している。円筒部30と両ロータアーム31、32とは、たとえばアルミニウム合金製であり一体成形されている。
円筒部30の前部には前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボス部33aが形成されている。ボス部33aの中心部には貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニオンギアの前部12a及びスプール軸15が貫通している。
前壁33の前部にロータ3の固定用のナット13が配置されている。円筒部30の後面は第3カバー部材30aにより覆われている。
第1及び第2ロータアーム31、32は、図2から図4に示すように、円筒部30の後部外周面にそれぞれ配置された第1及び第2接続部31a、32aと、第1及び第2接続部31a、32aからそれぞれ外方に凸に湾曲しつつ前方に延びる第1及び第2アーム部31b、32bと、両接続部31a、31bと両アーム部31b、32bとの両外方部分をそれぞれ覆う第1及び第2カバー部材31c、32cとを有している。第1及び第2接続部31a、32aは、円筒部30と周方向に滑らかにそれぞれ連続して形成されている。
第1及び第2アーム部31b、32bは、第1及び第2接続部31a、32aと滑らかに連続して形成され円筒部30と間隔をあけて前方に延びている。第1及び第2アーム部31b、32bは、先端部から円筒部30との接続部分に向けて滑らかに湾曲している。両接続部31a、31bと両アーム部31b、32bとの両外方部分には、開口31d、32dがそれぞれ形成されており、第1及び第2カバー部材31c、32cは、開口31d、32dをそれぞれ外周側から塞いでいる。この第1カバー部材31cと第1接続部31a及び第1アーム部31bとの間には、収納空間48が形成されている。
第1アーム部31bの先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第1アーム部31bには、図3及び図4に示すように、ベール反転機構18の後述する移動部材51を前後に案内するための細長いガイド溝36と、ベールアーム17に抵抗を付与するための規制機構75(図8参照)が装着される装着穴37と、第1ベール支持部材40を揺動自在に装着するためのねじ孔付きのボス部38とが形成されている。第2アーム部32bの先端内周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。
第1ベール支持部材40は、第1アーム部31bのボス部38にねじ込まれた取付ピン39により第1ロータアーム31に取り付けられる。この取付ピン39は引っ掛かりが少ない六角孔付きボルトからなり、その頭部に釣り糸が引っ掛かりにくくなっている。
第1ベール支持部材40の先端には、図3に示すように、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41と、ラインローラ41を挟んで第1ベール支持部材40に固定された固定軸カバー47とが装着されている。ラインローラ41は、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されている。固定軸カバー47は、先端がとがった変形円錐形状である。固定軸カバー47の先端部と第2ベール支持部材42との間には線材を略U字状に湾曲させた形状のベール43が固定されている。これらの第1及び第2ベール支持部材40、42、ラインローラ41、ベール43及び固定軸カバー47により、釣り糸をスプール4に案内するベールアーム17が構成される。ベールアーム17は、図3(a)に示す糸巻取姿勢と、図3(b)に示す糸巻取姿勢から反転した糸開放姿勢との間で揺動自在である。
ベール反転機構18は、第1ロータアーム31の収納空間48内に配置されている。ベール反転機構18は、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻取姿勢にロータ3の回転に連動して復帰させるとともに、両姿勢でその状態を保持するために設けられている。
ベール反転機構18は、図3から図6に示すように、収納空間48内で第1アーム部31bに揺動自在に装着されたトグルばね機構50と、収納空間48内に略前後移動自在に装着された移動部材51と、移動部材51に接触可能にフランジ部2dに着脱自在に装着された切換部材52と、ロータ3を制動するための制動部材65を有するロータ制動機構54と、糸開放姿勢にあるベールアーム17の糸巻取姿勢への復帰を規制する規制機構75を有している。
トグルばね機構50は、図3に示すように、ベールアーム17が糸巻取姿勢となる第1位置と糸開放姿勢となる第2位置とを取り得るように第1ロータアーム31内に配置され、ベールアーム17を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに保持するための機構である。トグルばね機構50は、一端が第1ベール支持部材40に係止され、他端が第1アーム部31bに沿って延びるロッド55と、ロッド55を進出側に付勢するコイルばね57とを有している。
ロッド55は、図4に示すように、先端に第1ベール支持部材40の係合穴40aに係止されるように第1ベール支持部材40に向けて折れ曲がった係止部55aを有している。また、ロッド55は、中間部にコイルばね57の先端部を係止するための係止突起55bを有し、後端部に僅かに湾曲した湾曲部55cを有している。係止突起55bには、コイルばね57の先端が当接するワッシャ56が装着されており、これにより、コイルばね57の先端部からロッド55に力が均一に伝達される。
コイルばね57は、アーム部31bに装着された、たとえばポリアミド系合成樹脂などの合成樹脂製の案内シート34に接触して案内される。案内シート34は、コイルばね57の一側面を案内するとともに基端部を係止するように折れ曲がった壁面部34aを有している。壁面部34aは、コイルばね57の側部及び基端部に接触し得る高さを有している。これにより、コイルばね57が伸縮しやすくなるとともに、コイルばね57が伸縮する際にアーム部31bが傷つかなくなる。
コイルばね57のワッシャ56に係止される先端部は他の部分より巻径が小さくなっている。これにより先端部以外でコイルばね57とロッド55との間で大きな隙間が生じ、コイルばね57の内部でロッド55が姿勢を変えてもコイルばね57が変形しにくくなる。なお、コイルばね57の基端部内周面に接触するボス部や基端部外周面を覆うカバー部等を設けてコイルばね57の基端部を係止するようにしてもよい。また、これらのボス部やカバー部を第1ベール支持部材40の揺動軸と平行な軸回りに揺動するようにアーム部31bに装着してもよい。たとえば、ボス部の基端面に円弧凸部を形成するとともにアーム部31b内に円弧凸部に係合する円弧凹部を形成し、これによりボス部を揺動自在に構成することが考えられる。
このような構成のトグルばね機構50は、揺動軸の軸芯であるコイルばね57と基端の中心位置と第1ベール支持部材40の揺動軸芯O(取付ピン39の軸芯)とを結ぶ線分に対して、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とでロッド55の第1ベール支持部材40に対する係止位置が異なる方向に位置するように配置されている。この線分に重なる位置がトグルばね機構50の死点(コイルばね57が最も圧縮する位置)である。これにより、トグルばね機構50は、ベールアーム17を死点を挟んで両姿勢に振り分けて付勢しかつ両姿勢で保持できる。このトグルばね機構50の死点は、糸開放姿勢側に偏倚している。
移動部材51は、たとえば、ステンレス合金などの金属製の線材の両端を90度異なる方向に折り曲げて形成された部材である。移動部材51は、図3(a)に示す第1位置(離反位置)と図3(b)に示す第2位置(接触位置)とに、第1アーム部31bに略前後移動自在に装着されている。移動部材51は、図3から図6に示すように、その先端部51aが外周側に折り曲げられ、第1ベール支持部材40に形成された略扇形の係合凹溝40bに係止されている。中間部51bは、ロッド55より径方向内側で第1アーム部31bに沿って延びている。
後端部51cは、ガイド溝36を貫通し、ロータ制動機構54を構成する制動部材65に僅かに重なり合う位置まで内方に突出している。ガイド溝36の幅は、移動部材51の直径とほぼ同じ寸法である。このため、移動部材51の中間部51bの径方向内側は、ベールアーム17の揺動に連動してガイド溝36に沿って前後に案内される。中間部51bと後端部51cとの屈曲部分の外周側は、案内部材67により前後方向及び径方向に案内されている。案内部材67は第1カバー部材31cに固定されており、後端部51cがはまりこむように湾曲した凹溝67aが内部に形成されている。
案内部材67には、コイルばねからなる押圧ばね68を装着可能なたとえば円柱状の装着穴67bが凹溝67aに開口して形成されている。押圧ばね68は、圧縮状態で凹溝67aに装着されており、移動部材51の中間部51bを押圧することで後端部51cを制動部材65に向けて付勢している。押圧ばね68の先端には、移動部材51の中間部51bの外周面に係合するように半円弧状の凹部69aが形成された押圧部材69が装着されている。押圧部材69は、移動部材51の中間部51bを前後移動自在にし、かつ押圧ばね68の付勢力を中間部51bに効率よく伝達するために設けられている。
移動部材51の係合凹溝40bでの係止端は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、後端部51cとベールアーム17の揺動中心とを結ぶ線分より糸巻取姿勢側に位置している。つまり、移動部材51は、接触位置(図3(b))にあるときの後端部51cの軸芯と第1ベール支持部材40の揺動軸芯とを結ぶ線分から同じ方向に第1位置(離反位置)と第2位置(接触位置)とで第1ベール支持部材40への係止位置が存在するように配置されている。これにより、移動部材51の後端部51cが切換部材52により押圧されたとき、第1ベール支持部材40を糸巻取姿勢側に復帰させることができる。この第2位置(接触位置)にあるとき、後端部51cの端面は、制動部材65の前端面より奥側で外周面よりやや内方に食い込んでいる。このため、移動部材51の移動量が僅かに変動しても常に同じ制動力が得られる。
切換部材52は、たとえばポリアミド系合成樹脂やポリアセタール等の合成樹脂製の部材であり、図5及び図6に示すように、リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分でフランジ部2dに着脱自在に装着されている。リールボディ2aと蓋部材2bとの分割部分には、矩形の切り欠き53が形成されている。切換部材52は、2つの傾斜面60a、60bを有する山形のカム部60と、カム部60と一体形成されたくびれ部61と、鍔部62とを有している。傾斜面60aは、図6に矢印で示すロータ3の糸巻取回転方向の下流側が上流側によりロータ3に向けて前方に突出する傾斜面である。傾斜面60bは、傾斜面60aの突出部分から糸巻取回転方向下流側に向けて突出量が減少する傾斜面である。傾斜面60a、60bの最も突出した突出端60cの突出量は、傾斜面60aに後端部51cが接触した移動部材51がベールアーム17を糸巻取姿勢に向けて押圧したときにトグルばね機構50の死点を超えるように設定されている。
くびれ部61は、切り欠き53に嵌め込まれる大きさを有しており、フランジ部2dの肉厚と略同じ寸法の隙間をカム部60と鍔部62との間に形成している。鍔部62は、くびれ部61より大きな断面を有しており、フランジ部2dの裏面に接触する。この傾斜面60bを設けると、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、無理に逆転(糸繰り出し方向の回転)が加わって移動部材51が切換部材52に接触しても、ベール反転機構18の移動部材51が傾斜面60bで切換部材52に滑らかに案内される。
ロータ制動機構54は、糸開放姿勢にベールアーム17が揺動したときロータ3を制動するものであり、移動部材51と、円筒部2eの基端部側に形成された装着溝2fに装着された制動部材65とを有している。すなわち、移動部材51は、ベール反転機構18を構成するとともに、ロータ制動機構54も構成する。
制動部材65は、ベールアーム17が糸開放姿勢にあるとき、ロータ3の回転を制動するために設けられている。制動部材65は、たとえばポリアミド系合成樹脂やポリアセタール等の合成樹脂製からなる弾性体製の略半円形状の第1制動部材65a及び第2制動部材65bの2つの部材により構成されている。第1制動部材65a及び第2制動部材65bは、側部外周に形成された環状溝65eに装着されたばね部材66により、円形状の装着溝2fに圧接されている。制動部材65は、装着溝2fに回転可能に摩擦係合する摩擦部65cと、移動部材51の後端部51cが係合する複数の係合部65dとを有している。係合部65dは、制動部材65の外周に間隔をあけて配置され、後端部51cが係合する係合溝である。また、制動部材65には、係合部65dに向けて傾斜するテーパ部65fが複数箇所に山型に形成されている。テーパ部65fは、後端部51cを係合部65dに案内するために形成された傾斜面である。
制動部材65は、図10に拡大して示すように、装着溝2fに装着される環状の本体部65gをさらに備えている。本体部65gの内周側には摩擦部65cが形成されている。本体部65gは、図10に示すように、前側に形成された第1環状部65hと、後側に第1環状部65hより大径に形成された第2環状部65iとを有している。第1環状部65hの内周側には、摩擦部65cの前部分を有しており、第2環状部65iの内周側には、摩擦部65cの後部分を有している。第2環状部65iの外周側には複数の係合部65dが形成され、摩擦部65cの外方に位置する第2環状部65iの外周側には環状溝65eが形成されている。さらに、第2環状部65iは、装着溝装着溝より後方に突出した突出部65jが形成されている。突出部65jは円筒部2e後端側に延びており、その先端部はフランジ部2dに接触しないように配置されている。
制動部材65は、図11に拡大して示すように、本体部65gの外周の環状溝65eより前側(図11上側)に突出して形成された複数の第1突出部65kと、本体部65gの外周の環状溝65eより後側(図11下側)に突出して形成された複数の第2突出部65lとを有している。第1突出部65k及び第2突出部65lは周方向に間隔をあけて複数箇所に配置され、第1突出部65k及び第2突出部65lの隙間が移動部材51の後端部51cが係合する複数の係合部65dを生成している。第1突出部65kには、断面が山形のテーパ部65fが形成され、第2突出部65lは、断面が矩形になるように形成されている。また、係合部65dは、第1突出部65kの間に形成された複数の第1係合溝65mと、第1係合溝65mと連通し第2突出部65lの間に形成された複数の第2係合溝65nとを有している。第1係合溝65mは、テーパ部65fの間に形成され、移動部材51の後端部51cを第2係合溝65nに誘導する複数の面取り部65oを有している。
第1突出部65k及び第2突出部65lは、図11に示すように、第1突出部65kの中心線と第2突出部65lの中心線とが一致するように、中心線に対して左右対称になるように形成されている。このため、第1係合溝65m及び第2係合溝65nは、第1係合溝65mの中心線と第2係合溝65nの中心線とが一致するように、中心線に対して左右対称になるように形成されている。また、第2突出部65lの左右長さ(移動部材51の移動方向長さ)は、第1突出部65kの左右長さより大きくなるように形成されており、このため、第2係合溝65nの幅長Bは、第1係合溝65mの幅長Aより小さくなるように形成されている。ここでは、第2係合溝65nは、第1係合溝65mより幅狭に形成されているので、移動部材51が第2位置(接触位置)に移動したとき、移動部材51の後端部51cが第1係合溝65mから離反し、移動部材51の後端部51cが第2係合溝65nと接触するようになっている。
ばね部材66は、制動部材65の第2環状部65i側部外周に形成された環状溝65eに装着される円弧状の針金状部材であり、内側方向に付勢する弾性力を有している。ばね部材66は、制動部材65に装着するために両端部の間が開口しており、環状溝65eから抜け止めするために一方の端部が径方向に折れ曲がって係止されている。
規制機構75は、ベールアーム17とロータ3の第1アーム部31bとの間の対向部分に設けられ、ベールアーム17が糸開放姿勢に配置されているとき、ベールアーム17が糸巻取姿勢に戻るのを規制するとともに、ベールアーム17が糸巻取姿勢に揺動するとき、移動部材51の後端部51cが傾斜面60aの突出端60cに到達するまでに規制を解除する機構である。規制機構75は、図7及び図8に示すように、第1アーム部31bの装着穴37に装着された規制ピン76と、規制ピン76をベールアーム17側に付勢するコイルばね77と、第1ベール支持部材40に設けられた押圧部78とを有している。
規制ピン76は、大径の当接部76aと小径のばね装着部76bとを有する金属製のピンである。この当接部76aとばね装着部76bとの段差部分にコイルばね77の先端が接触している。コイルばね77は、ばね装着部76bの外周側に配置されており、規制ピン76を第1ベール支持部材40に向けて付勢する。押圧部78は、2つの傾斜面78a、78bを有し、第1アーム部31bに向けて突出して形成されている。押圧部78は、糸開放姿勢から糸巻取姿勢に揺動するとき、移動部材51の後端部51cが傾斜面60aの突出端60cに到達するまでに規制ピン76を通過して規制を解除できる位置に配置されている。具体的には、図9(a)に示すように、押圧部78は、糸開放姿勢のとき規制ピン76より矢印で示す糸巻取姿勢への揺動方向の上流側に位置し、図9(b)に示すように、糸巻取姿勢への揺動中にトグルばね機構50が死点に至るまでに規制ピン76を通過するような位置に配置されている。
このような構成のベール反転機構18では、トグルばね機構50は、図3(a)に示すような第1位置と、図3(b)に示すような第2位置とを取ることが可能である。第1位置は、ベールアーム17の糸巻取姿勢に対応し、第2位置はベールアーム17の糸開放姿勢に対応している。また、移動部材51は、図3(a)に示す第1位置(離反位置)と、図3(b)に示す第2位置(接触位置)とに後端部51cがガイド溝36に案内されて前後移動することができる。この第1位置(離反位置)が糸巻取姿勢に対応し、第2位置(接触位置)が糸巻取姿勢に対応する。第2位置(接触位置)では、移動部材51の後端部51cが制動部材65の係合部65dに係合する。このとき、ロータ制動装置54では、ロータ3とともに制動部材65が回転すると、摩擦部65cは装着溝2fと摩擦係合しているので、ロータ3が制動される。
また、第2位置(接触位置)でハンドル1の操作によりロータ3が糸巻取方向に回転すると、移動部材51の後端部51cが切換部材52の傾斜面60aに衝突して回転し、移動部材51は第1位置(離反位置)に向けて前方に押圧され、トグルばね機構50の死点を超えた時点でベールアーム17は、糸巻取姿勢に復帰する。このとき、規制機構75の規制ピン76による規制はトグルばね機構50の死点を超えるまでに解除されている。
ロータ3の円筒部30の内部には、図2に示すように、ロータ3の逆転を禁止、解除するための逆転防止機構70が配置されている。逆転防止機構70をローラ型のワンウェイクラッチを有しており、ワンウェイクラッチを作用状態と非作用状態とに切り換えることにより、ロータ3の逆転を禁止、解除する。
スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機構71を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に一体で形成されたフランジ部4cとを有している。
次に、リールの操作及び動作について詳細に説明する。
キャスティング時には逆転防止機構70によりロータ3を逆転禁止状態にして手でベールアームを持ってベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17を糸開放姿勢に反転させると、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42は後方側に倒れ、ベール反転機構18は、図3(b)に示すような第2位置に配置される。このとき、規制機構75では、トグルばね機構50の死点を超えると押圧部78が規制ピン76を通過する。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。
この糸巻取姿勢から糸開放姿勢への揺動において、トグルばね機構50では、第1ベール支持部材40の回転によってロッド55が図3(a)において徐々に退入しつつ反時計方向に揺動し、図3(b)に示す第2位置にいたる。このとき、死点を超えるまでは退入する。死点を超えると、ロッド55がコイルばね57の付勢力により進出してベールアーム17を糸開放姿勢側に切り換えるとともにその姿勢で保持する。この死点を超えると、規制機構75の押圧部78が規制ピン76を乗り越えてベールアーム17の糸巻取姿勢への揺動を規制するとともに、押圧部78が規制ピン76を通過した時点で規制ピン76が急激に第1ベール支持部材40に衝突して発音する。
ベールアーム17が糸開放姿勢に揺動すると、この揺動にともなって移動部材51の後端部51cは制動部材65の係合部65dに係合する。そして、ロータ3とともに制動部材65が回転すると、摩擦部65cは装着溝2fと摩擦係合しているので、ロータ3が制動される。
この状態で釣竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っ掛けながら釣竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。このとき、前述したようにベールアーム17は、規制機構75により規制され、糸開放姿勢から糸巻取姿勢に戻りにくくなっている。
キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1を糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻取方向に回転する。ロータ3が糸巻取方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構18により糸巻取姿勢に復帰する。
このようなロータ制動装置54では、ベールアーム17が糸巻取姿勢から糸開放姿勢に揺動すると、ロータ3に設けられた移動部材51の後端部51cが制動部材65の係合部65dに係合し、ロータ3とともに制動部材65が回転すると、摩擦部65cは装着溝2fと摩擦係合しているので、ロータ3が制動される。ここでは、摩擦部65cは装着溝2fと回転可能に摩擦係合しているので、従来のように一部分でのみ制動するのではなく、全体部分によって均等に制動するので、制動力を安定させることができる。
さらに、このロータ制動装置54では、第2係合溝65nの幅長Bは、第1係合溝65mの幅長Aより小さくなるように形成されている。このため、移動部材51が第2位置(接触位置)に移動したとき、移動部材51の後端部51cが第1係合溝65mから離反し、本体部65gの外周の環状溝65eより前側の第1突出部65kに接触しないようになっているので、第1突出部65kの前側部分が前方に引っ張られることがなくなり、このため制動部材65の破損を防止することができる。
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、フロントドラグ式のスピニングリールを例に説明したが、本発明は揺動するベールアームを糸巻取姿勢に復帰させる、リアドラグ式のスピニングリールやレバーブレーキ式のスピニングリールなどの全ての形式のスピニングリールのベール反転装置に適用できる。
(b) 前記実施形態では、制動部材65は、第1制動部材65a及び第2制動部材65bの2つの部材により構成されていたが、たとえば3つ以上の複数の部材により構成してもよい。また、本体部65gの内周側及び装着溝2fの外周側に設けられ、制動部材65が装着溝2fの後端部に接触しないように制動部材65の前後移動を規制する規制手段をさらに備えていてもよい。このような規制手段は、いずれも図示しないが、制動部材65の内周側に形成された係止溝または係止突起と、装着溝2fの外周側に形成され係止溝に係止可能な係止突起または係止溝とを有する構成にしてもよい。
(c) 前記実施形態では、制動部材65は、ポリアミド系合成樹脂やポリアセタール等の合成樹脂からなる弾性体部材により形成されていたが、制動部材65の材質はこれに限定されるものではない。
(d) 前記実施形態では、制動部材65の第1突出部65k及び第2突出部65lは、中心線に対して左右対称になるように形成され、第1係合溝65m及び第2係合溝65nは、中心線に対して左右対称になるように形成されていたが、図12に示すように、中心線に対して左右非対称になるように形成してもよい。
本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの左側面図。 前記スピニングリールの左側面断面図。 第1ロータアームの平面図。 前記第1ロータアームの断面拡大図。 ベール反転機構を示すリールボディの正面図。 前記ベール反転機構を示す前記リールボディの底面部分図。 第1ベール支持部材の部品図。 図7のVIII−VIII断面図。 ベールアームの揺動時の規制状態の変化を示す模式図。 制動部材周辺の側面断面拡大図。 前記制動部材周辺の正面断面拡大図。 他の実施形態の図11に相当する図。
符号の説明
2 リール本体
2a リールボディ
2b 蓋部材
2c 竿取付脚
2d フランジ部
2e 円筒部
2f 装着溝
2g 第1隙間
2h 第2隙間
2i 前側壁面
2j 後側壁面
3 ロータ
17 ベールアーム
50 トグルばね機構
51 移動部材
54 ロータ制動装置
65 制動部材
65a 第1制動部材
65b 第2制動部材
65c 摩擦部
65d 係合部
65e 環状溝
65f テーパ部
65g 本体部
65h 第1環状部
65i 第2環状部
65j 突出部
65k 第1突出部
65l 第2突出部
65m 第1係合溝
65n 第2係合溝
65o 面取り部
66 ばね部材

Claims (6)

  1. 前端部外周に装着溝を有するリール本体に回転自在に装着されたロータを、糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに揺動するベールアームの揺動に応じて制動するスピニングリールのロータ制動装置であって、
    前記ベールアームに連動して糸巻取姿勢に対応する第1位置と前記糸開放姿勢に対応する第2位置とに移動自在に前記ロータに設けられた移動部材と、
    複数の部材から構成され前記装着溝に装着される環状の本体部と、前記本体部の内周側に形成され前記装着溝に対して相対回転可能に摩擦係合する摩擦部と、前記本体部の外周側に形成され前記第2位置に移動した前記移動部材が係合する複数の係合部と、前記本体部の外周側に形成された環状溝とを有し、前記移動部材が前記係合部に係合したとき、前記摩擦部を前記リール本体に対して摩擦摺動させる制動部材と、
    前記環状溝に装着され、前記制動部材を前記リール本体に圧接するばね部材とを備え、
    前記係合部は、前記本体部の外周側の前記環状溝の前側に前記移動部材の移動方向に沿って形成された複数の第1係合溝と、前記本体部の外周側の前記環状溝の後側に前記第1係合溝と連通し前記第1係合溝より幅狭に形成された複数の第2係合溝とを有している、スピニングリールのロータ制動装置。
  2. 前記制動部材は略半円形状の2つの部材により構成されている、請求項1に記載のスピニングリールのロータ制動装置。
  3. 前記移動部材は金属により形成され、前記制動部材は合成樹脂により形成されている、請求項1又は2に記載のスピニングリールのロータ制動装置。
  4. 前記移動部材は、前記第2位置にあるとき、前記リール本体に向けて一部が突出し、前記制動部材の前記係合部に係合する突出部を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載のスピニングリールのロータ制動装置。
  5. 前記移動部材は、先端が前記ベールアームの揺動中心の近傍に向けて揺動軸芯に沿うように屈曲して前記ベールアームに回動自在に係止され、後端が前記ロータの回転軸芯に向けて屈曲して前記ロータに前後移動自在に係止され、その間が前記ロータの回転軸芯に沿って配置された棒状部材である、請求項1から4のいずれか1項に記載のスピニングリールのロータ制動装置。
  6. 前記第1係合溝は、前記移動部材を前記第2係合溝に誘導する面取り部を有している、請求項1から5のいずれか1項に記載のスピニングリールのロータ制動装置。
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