JP2005321434A - 熱現像写真感光材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱現像時に発生する昇華性物質を抑制し、熱現像装置の長期間運転での安定性に優れ、かつ湿度耐性の改良された熱現像写真感光材料を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に有機銀塩粒子、ハロゲン化銀粒子、還元剤を含有する感光層を有する熱現像写真感光材料において、120℃における有機酸昇華量が0.1〜10.0mg/m2であり、かつ感光層側の最外層がラテックスとワックスエマルジョンで構成されたバリヤー層であることを特徴とする熱現像写真感光材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱現像写真感光材料に関し、更に詳しくは、熱現像時に発生する昇華性物質を抑え、熱現像装置の長期間運転での安定性に優れ、かつ湿度耐性に優れた熱現像写真感光材料に関する。
支持体上に感光性層を有し、画像露光することで画像形成を行う感光材料は、数多く知られている。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技術が挙げられる。
近年写真製版分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれ、それに加えて、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イメージセッターにより効率的に露光させることができ、高解像・高鮮鋭であり、鮮明な黒色画像を形成することができる、写真製版用途の熱現像感光材料が必要とされている。これにより、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができるからである。
熱現像感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば、有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えば、ハロゲン化銀)、及び銀の還元剤(現像剤)を通常有機バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している。このため熱現像感光材料は常温では安定であるが、保存中に高温(例えば、80℃以上)に加熱された場合には、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤である現像剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。
この酸化還元反応は、露光で発生した潜像の触媒作用によって促進されるため、本来の画像形成過程においては、露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これが非露光領域と対照をなし画像の形成がなされる。この有機銀塩の反応時には有機酸等の熱現像感光材料に含有されていた化合物やその成分が揮発または昇華し、これらは熱現像装置内の熱ローラーまたは熱ベルトに付着することにより、現像の不均一化を引き起こす原因となり、その結果として画像上に現像ムラや汚れ等を発生させる。
この対策として、保護層の結合剤を架橋させて付着を防止する方法、例えば、米国特許第4,886,739号、同4,942,115号、同5,264,334号等の各明細書にはポリアルコキシシラン化合物を使用することが開示されている。しかしながら、このような結合剤を採用しても、熱現像材料からの揮発物や蒸発物をなくすことは難しい。
また、熱現像時に熱現像材料から発生する揮発物または蒸発物、あるいは昇華物の発生を抑えるために熱現像装置に排気装置等を設けることが行われている。特開平5−45850号公報には、熱交換器を介して冷却固化し、除去しきれない成分を吸着剤で除去するガス除去装置、特開昭51−47429号公報には、熱現像機からの排気機構の流路に熱現像で発生する昇華物質を溶解または吸収する排気装置、あるいは熱現像材料を熱現像する熱現像装置からの熱いガスを熱伝導性のアキュムレータに導入し、粒子フィルタを通してから吸着ブロックで濾過した空気を排出するようにした、濾過システムが開示されている(特許文献1参照)。しかし、上記システムを単独、あるいは2つ以上組み合わせて使用しても充分な効果が得られていない。即ち、熱現像感光材料からの揮発または昇華物を低減させることが必要である。
一方、熱現像写真感光材料は、冬場の低湿期においては感光材料中の水分量が少なくなり現像反応が進みにくく濃度が低下し、夏場の多湿期においては、反対に感光材料中の水分量が多くなり、現像反応が進みやすく感度が大きくなり、文字線巾が太るという問題がある。
従来の対策技術としては、保護層に塩化ビニリデンラテックスを使用し、高湿下の文字線巾の影響を少なくする技術(特許文献2参照)が知られている。しかし、湿度耐性も不十分であるとともに、現像時の膜強度が弱くなることにより、熱現像搬送後にローラー跡が付いたり、極端な場合にはロールに接着し搬送できなくなることがわかった。
特表平10−507403号公報 特開2001−272742号公報
本発明の目的は、熱現像時に発生する昇華性物質を抑制し、熱現像装置の長期間運転での安定性に優れ、かつ湿度耐性の改良された熱現像写真感光材料を提供することにある。
本発明者は、上記の問題に対し鋭意検討した結果、感光層側の最外層に、ワックスとラテックスを含有した層を用いると、有機酸等の揮発または昇華を抑制する効果があることがわかり、上記バリヤー層を設置することで、写真性能の湿度耐性、保存性が良好で、さらには熱現像装置の長期間稼働時での安定性に優れた熱現像写真感光材料が得られることを見出した。
すなわち、本発明の目的を達成するには、下記の構成を採ることが有効である。
(請求項1)
支持体上に有機銀塩粒子、ハロゲン化銀粒子、還元剤を含有する感光層を有する熱現像写真感光材料において、120℃における有機酸昇華量が0.1〜10.0mg/m2であり、かつ感光層側の最外層がラテックスとワックスエマルジョンで構成されたバリヤー層であることを特徴とする熱現像写真感光材料。
(請求項2)
前記ワックスエマルジョン中のワックスがパラフィン系であることを特徴とする請求項1記載の熱現像写真感光材料。
(請求項3)
前記バリヤー層の透湿度が1〜20g/m2・24hrであることを特徴とする請求項1または2記載の熱現像写真感光材料。
(請求項4)
前記感光層が溶剤塗布により形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱現像写真感光材料。
(請求項5)
前記感光層に造核剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の熱現像写真感光材料。
(請求項6)
前記支持体が低熱収縮性支持体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の熱現像写真感光材料。
本発明により、熱現像時に発生する昇華性物質を抑制し、熱現像装置の長期間運転での安定性に優れ、かつ湿度耐性の改良された熱現像写真感光材料を提供することが出来る。
以下、本発明について詳細に述べる。
〔バリヤー層〕
本発明のバリヤー層は最外層に設置し、ラテックスとワックスエマルジョンで構成されたものである。ラテックスとワックスの比率は、100:2〜100:100が好ましい。更に好ましくは100:10〜100:50である。100:2よりワックス比率を下げると、有機酸等の揮発または昇華抑制効果及び防湿効果が発揮されず、有機酸の昇華量や写真性能の湿度耐性が劣化する。また100:100を越えてワックス量が超過になると、バリヤー層としての耐熱性が弱くなり、有機酸等の揮発または昇華抑制効果が劣化する。
本発明のバリヤー層の透湿度は、1〜20g/m2・24hrであることが好ましい。更に好ましくは1〜15g/m2・24hrである。1g/m2・24hrより低いと、有機酸等の揮発または昇華抑制効果及び防湿効果はあまり上昇せず、作製上は困難であり、20g/m2・24hrを超えると、有機酸等の揮発または昇華抑制効果及び防湿効果が発揮されず、有機酸の昇華量の増大や写真性能の湿度耐性の劣化をもたらす。
透湿度の測定方法は、JIS Z−208(カップ法)に準じた方法にて測定できる。
また、120℃における有機酸昇華量の測定方法は、以下に示す。
(1)フィルムを12cm×15cmに裁断
(2)ホットプレート(120〜130℃)にフィルム(乳剤が上)を乗せ、その上に金属バットをのせ、さらに氷を乗せたバットを乗せ1分間揮発成分をトラップさせる
(3)バットの付着成分をクロロホルムに溶かし(10ml×3)濃縮乾固する
(4)(1)〜(3)を10回(10枚分)繰り返す(10回分の揮発物の回収は同一の容器で行う)
(5)回収された有機酸をメチル化処理する(*1)
(6)GC−MSにより各有機酸の定量を行う
GC−MS条件
注入量:1μl
測定モード:SIM(検出質量74)
昇温:200℃(2min保持)→5℃/min→280℃(9min保持)3 0min
INLET:250℃/AUX:280℃
溶媒待ち時間:2min
これにより、GC−MSによりメチル化された有機酸が検出/定量される。定量は基準品(メチル化体)を用い、2点検量線により行う。
*1:メチル化処理方法
1)試料に4モル/L−HClを3mlと、メタノール15mlを加え、超音波分散を行う
2)1時間リフラックスする
3)酢酸エチル50ml、水50mlを加え、分液し酢酸エチル側を回収する
4)3)の水相に酢酸エチル50mlを加え、再度分液を行い、酢酸エチル相を3)の酢酸エチル相に合せる
5)回収した酢酸エチル相を乾固し、これをトルエンに溶解し1mlに仕上げる
本発明の120℃における有機酸昇華量は、0.1〜10.0mg/m2であることが好ましい。更に好ましくは0.1〜8.0mg/m2である。0.1mg/m2より低いと、バリヤー層の膜厚を厚くする必要があり、熱現像進行を抑制され、所定の時間に熱現像されず好ましくない。また10.0mg/m2を越えると、有機酸等の揮発または昇華抑制効果及び防湿効果が発揮されず、熱現像自現機に汚れ等を発生させる。
1.ラテックス
本発明のラテックスは、その種類は特に限定されるものではないが、バリヤー性の点で、合成樹脂系または合成ゴム系のラテックスが好ましい。
本発明におけるラテックスは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水又は水溶性の分散媒中に分散したものにおいてポリマー成分を指す。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、或いはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。尚、本発明に係るラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。
ラテックスを構成する重合体のTgは、−20〜60℃であることが好ましい。更に好ましくは0〜50℃である。−20℃より低いと、膜に流動性が発生し、耐熱性が弱くなり、有機酸等の揮発または昇華抑制効果が劣化する。また60℃を越えると、造膜性が劣化し、有機酸等の揮発または昇華抑制効果及び防湿効果が発揮されず、有機酸の昇華量や写真性能の湿度耐性が劣化する。なお、ラテックスのTg(ガラス転移温度)は、1956年発行のBull.Am.Phys.Soc.に記載のT.G.Foxの方法によって、計算で求められる数値を用いている。複数のラテックスを混合して使用する場合には、構成するラテックスの質量比を加算することで算出する。
ラテックスの分散粒子の平均粒径は1〜5万nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本発明に係るラテックスとしては、通常の均一構造のラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合、コアとシェルはガラス転移温度や組成を変えると好ましい場合がある。またラテックスは、2種以上のものを併用する方が造膜性、防湿性、ブロッキング性を両立するためには好ましい。この場合、コアシェル型同様、ガラス転移温度や組成を変えることが好ましい。
本発明ラテックスは、下記のエチレン性不飽和単量体を初めとする単量体を乳化重合することによって得られる。この際使用する乳化剤としては、一般に市販されている陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤などを使用することができる。
(1)合成樹脂
合成樹脂ラテックスとしては、以下に示すエチレン性不飽和単量体をそれぞれ単量重合体又は複数組み合わせて共重合体として製造される。エチレン性不飽和単量体としては例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタルクル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタルリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、などで例示されるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステル;1,2ブタジェン、1,3ブタジェン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン2、4−ジブロモスチレン等で示されるエチレン性不飽和芳香族単量体;アクリロニトリル、メタクロニトリル等の不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびその無水物、フマル酸、イタコン酸並びに、不飽和ジカルボン酸モノアクキルエステル例えば、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノノルマルブチル等のエチレン性不飽和カルボン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の如きビニルエステル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等の如き、ビニリデンハライド;アクリル酸−2−ヒドロキシエチレル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキルエチル等の如きエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の如きエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステルおよび、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルミド等のラジカル重合可能な単量体が挙げられる。
ラテックスの造膜性については、ホモポリマーのTgが0℃以上のアクリル酸メチルやメタクリル酸メチル等のモノマーを含有してポリマーのTgを上昇させた方が良好であり、耐水性についてはスチレン等を含有する方がより好ましい。
(2)合成ゴム
合成ゴム系としては、たとえば、スチレン−ブタジエン−ラテックス(SBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンラテックス(MBR)、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(NBR)、ビニルピリジン−ブタジエンラテックス、イソプレンラテックス(IR)などが挙げられるが、耐水性が良好で、伸びがよく、折り割れによる塗工層の亀裂が生じにくいスチレン−ジエン系ラテックスが好ましい。共役ジエン系単量体(1)としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等、従来ラテックスの製造に通常用いられているものを挙げることができる。これらの共役ジエン系単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。本発明においては、特に1,3−ブタジエンが好ましく用いられる。
このような共役ジエン系単量体は、得られる共重合体に適当な弾性及び膜の硬さを付与するために用いられる。スチレン−ジエン系中の共役ジエン系単量体の使用量は、10〜80質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲である。10%より低いと造膜性が劣化し、防湿の効果が発揮されず、写真性能の湿度耐性が劣化する。また80%を越えると膜に流動性が発生し、耐傷性が劣化する。
また、スチレン−ジエン系ラテックスに上記合成樹脂系の単量体を適度に含有し、造膜性等を調整することが好ましい。
2.ワックスエマルジョン
本発明に用いられるワックスエマルジョンはワックスを乳化したものである。そのワックスとしては、例えばパラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム、フィッシャー・トリブッシュワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、硬化ひまし油、流動パラフィン、ステアリン酸アミドなどが挙げられ、特にパラフィンワックスが好ましく用いられる。また、これらワックスエマルジョンを調製する方法は公知の方法でよく、例えばワックス、樹脂、及び流動化剤などを混合加熱するなどして溶融し、これに乳化剤を加えて乳化すればよい。樹脂としては、例えばロジン、ロジンエステル化合物、石油樹脂などが用いられ、流動化剤としては、例えば多価アルコール、多価アルコールのエステル化物などが用いられる。これらの混合物は溶融後、例えば、アニオン、カチオン、ノニオンなどの界面活性剤、或いは、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性化合物、有機アミン、スチレン−マレイン酸共重合体などを添加し乳化することによりワックスエマルジョンとすることができる。
ワックスエマルジョンは単独使用してもまたは2種類以上を組合せて使用してもよい。
ワックスエマルジョンの示差走査熱量計(DSC)による融点は好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。ここで融点が40℃未満ではブロッキング性が劣化し好ましくない。また100℃より高い温度ではバリヤー層を設ける際の塗膜乾燥に際し、ワックスが十分に軟化、流動しないため、防湿性を損ない結果として湿度耐性が劣化する。
3.マット剤
本発明のバリヤー層にはマット剤を用いてもよい。本発明においてマット剤として添加される微粒子は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子であり、任意のものを使用できる。例えば米国特許第1,939,213号、同第2,701,245号、同第2,322,037号、同第3,262,6782号、同第3,539,344号、同第3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤、同第1,260,772号、同第2,192,241号、同第3,257,206号、同第3,370,951号、同第3,523,022号、同第3,769,020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界でよく知られたものを用いることができる。具体的には用いることのできる有機の微粒子の例としては、水分散性ビニル重合体、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微小カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなどを好ましく用いることができる。無機の微粒子の例としては二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。
上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くてもよい。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
〔溶剤塗布〕
本発明の感光層は溶剤塗布により形成されることが好ましい。水系塗布によってこれらを設置すると塩化ビニリデン層の防湿性が劣化し、好ましくない。溶剤塗布の方法としては一般的なものを使用することができる。
〔感光層〕
1.有機銀
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは5〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環カルボン酸が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以下RD)第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドのようなアルデヒド類とサリチル酸、ベンジル酸3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸のようなヒドロキシ置換酸類);チオン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン及び3−カルボキシメチル−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオン);イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又は塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;メルカプチド類の銀塩等が挙げられる。好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸銀又はステアリン酸銀である。
有機銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
2.ハロゲン化銀
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層に含有されるハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。本発明においては、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが好ましくは0.03μm以下、より好ましくは0.01〜0.03μmの範囲である。尚、本発明の熱現像写真感光材料のハロゲン化銀粒子は前記有機銀塩調製時に同時に作製されるか、又は前記有機銀塩調製時に該ハロゲン化銀粒子を混在させて調製することにより、有機銀塩に融着した状態でハロゲン化銀粒子を形成させて微小粒子のいわゆるin situ銀とするのが好ましい。尚、上記ハロゲン化銀粒子の平均粒子径の測定方法は、電子顕微鏡により50000倍で撮影し、それぞれのハロゲン化銀粒子の長辺と短辺を実測し、100個の粒子を測定し、平均したものを平均粒径とする。
ここで、上記粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば、球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。又ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明において、ハロゲン化銀粒子は平均粒径0.01〜0.03μmで、かつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
又、もう一つの好ましいハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとして、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくは、アスペクト比が3以上、50以下である。又、粒径は0.03μm以下であることが好ましく、更に0.01〜0.03μmが好ましい。これらの製法は米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号等の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。本発明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性も向上する。
ハロゲン化銀粒子の組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀の何れであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、照度不軌改良や改良調整のために、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
ハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
本発明におけるハロゲン化銀粒子は、化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては、当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。
本発明においては熱現像写真感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀粒子及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.3〜2.2gであり、0.5〜1.5gがより好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。又銀総量に対するハロゲン化銀の量は、質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%の間である。
本発明におけるハロゲン化銀粒子は350〜450μmに光の極大吸収を有し、特に増感色素を有してなくてもよいが、必要に応じて含有させてもよい。
3.還元剤
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層に含有される好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号等の各明細書及びRD第17029号及び同29963に記載されており、次のものが挙げられる。
アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシ−3−ピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノレダクトン類(reductones)エステル(例えば、ピペリジノヘキソースレダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシム類;アジン類;脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ;ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ;レダクトン及び/又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール))、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体;ヒンダードフェノール類;3−ピラゾリドン類。中でも特に好ましい還元剤は、ヒンダードフェノール類である。
還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当り1×10-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モルである。
4.造核剤(硬調化剤)
本発明において好ましく用いられる熱現像感光材料において、造核剤(硬調化剤)としては、下記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。本発明に係る化合物を2種以上含有せしめることにより、湿度耐性が向上し、更に上述の効果は、前記バリヤー層と組み合わせることにより、さらに向上するので好ましい。
Figure 2005321434
一般式(1)で表される化合物について説明する。式中、X11は電子供与性のヘテロ環基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルアミノ基又はシクロアルケニル基を表す。電子供与性のヘテロ環の代表例としては、「Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology(Corwin Hansch and Albert Leo著)」の第66〜339頁に記載のσpが負のヘテロ環であり、ヘテロ環の具体的な例としてはピペリジニル基、ピロリジニル基、モルフォリノ基、ピペラジニル基、3−チエニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ピロロ基等が挙げられる。好ましくは3−チエニル基、2−フリル基又は3−フリル基である。これらのヘテロ環は、σpが0又は正にならない範囲で任意の置換基を有しても良い。
また、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基又はシクロアルキルアミノ基の具体的な例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロプロピルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基、シクロプロピルメチルアミノ基、シクロペンチルメチルアミノ基、シクロヘキシルメチルアミノ基、シクロヘプチルメチルアミノ基等が挙げられる。好ましくはシクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルチオ基及びシクロヘキシルチオ基である。シクロアルケニル基の具体的な例としては、シクロプロぺニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基及びシクロヘプテニル基等が挙げられる。好ましくは、シクロペンテニル基又はシクロヘキセニル基である。
11、R12及びR13は、各々水素原子又は一価の置換基を表す。一価の置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニウム基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えばエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、メルカプト基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、リン酸アミド基などが挙げられる。
11は好ましくは電子吸引性基であり、さらに好ましくはシアノ基である。また、R12が水素原子、R13が電子供与性基であることが好ましい。最も好ましくは、R11がシアノ基、R12が水素原子、R13がヒドロキシル基である。
なお、上記した本発明でいう電子供与性基及び電子吸引性基について説明をする。本発明でいう電子供与性基とは、ハメットの置換基定数σpが負の値を取る置換基のことであり、電子供与性基としては、例えば、ヒドロキシル基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、σpが負の値を取るヘテロ環基又はこれらの電子供与性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。本発明でいう電子吸引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取る置換基のことであり、電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、スルホンアミド基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ホスホリル基、カルボキシ基(又はその塩)、スルホ基(又はその塩)、イミノ基、σpが正の値を取るヘテロ環基又はこれらの電子吸引性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論じるために1935年に、L.P.Hammetにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数にはσp値とσm値とがあり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があり、「Lange’s Handbook of Chemistry (J.A.Dean著)」第12販、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域増刊」、第122号、第96〜103頁、1979年(南光堂)、Chemical Reviews、第91巻、第165〜195頁、1991年に詳しく述べられている。本発明における電子吸引性基及び電子供与性基は、σp値により規定しているが、上記の成書に記載の文献既知の値がある置換基にのみ限定されるものではない。
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に列挙する化合物において、ケト−エノール型互変異性体又はシス−トランス型幾何異性体が存在する場合には、その両方を表すものとする。
Figure 2005321434
Figure 2005321434
Figure 2005321434
Figure 2005321434
Figure 2005321434
Figure 2005321434
また、下記C−65、C−66で表される化合物も造核剤として好ましく用いることが出来る。無論、これらも単独でなく併用して使用することも出来る。
Figure 2005321434
5.その他
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層、非感光性層に用いられるバインダーは親水性バインダー(水に溶解するバインダー若しくはラテックス類)又は疎水性バインダー(有機溶剤に溶解するバインダー)の何れでもよいが、各層のバインダーが互いに同一の溶剤系に溶解するバインダーであるのが好ましく、例えば感光性層、中間層、保護層の各層のバインダーが何れも有機溶剤系バインダーであるか、又は親水性バインダーであるのが好ましい。
各層に用いられるバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマーや合成モノポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体となるものが用いられる。上記バインダーの具体例としては、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、デンプン等の水溶性バインダー、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)等の疎水性バインダー、好ましくはポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等の疎水性バインダー、特にはポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル等の疎水性バインダー、及びそれらのバインダー樹脂のモノマーを乳化重合法又は懸濁重合法等により水中で重合して得られるラテックス等が挙げられる。
疎水性バインダーを溶解するための主溶媒としては、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ等が好ましく用いられる。
感光層のバインダーのTgは40℃以上であることが好ましい。好ましくは40〜120℃、更に好ましくは40〜100℃、特に好ましくは40〜80℃である。40℃未満であると、現像性が高くなり、高湿下での感度上昇(文字線巾)が大きく好ましくない。また120℃より高い、熱現像温度とほぼ同じくらいの温度になることから、熱伝達が遅れ、現像性が低くなり好ましくない。
感光性層に通過する光の量又は波長分布を制御するために、感光性層と同じ側にフィルター染料層、又は反対側にアンチハレーション染料層、いわゆるバッキング層等の補助層を形成しても良いし、感光性層に染料又は顔料を含ませても良い。これらの補助層にはバインダーやマット剤の他に、ポリシロキサン化合物、ワックス、流動パラフィンのような滑り剤を含有しても良い。
又、本発明の熱現像写真感光材料には、塗布助剤として各種の界面活性剤が用いられ、中でもフッ素系界面活性剤が、帯電特性を改良したり、斑点状の塗布故障を防ぐために好ましく用いられる。
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層は複数層にしても良く、又階調の調節のため、感光性層の構成として高感度層/低感度層、又は低感度層/高感度層にしても良い。
又、本発明に用いられる好適な色調剤の例は、RD第17029号に開示されている。
本発明の熱現像写真感光材料にはカブリ防止剤が用いられてもよく、これらの添加剤は感光性層、中間層、保護層又はその他の形成層の何れに添加してもよい。
本発明の熱現像写真感光材料には例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、被覆助剤等を用いても良い。これらの添加剤及び上述したその他の添加剤はRD第17029号(1978年6月p.9〜15)に記載されている化合物を好ましく用いることができる。
〔低熱収縮性支持体〕
本発明の好ましい低熱収縮性支持体とは、印刷製版用の熱現像感光材料として使用するにあたって、熱現像時の温度(熱)による版の寸法変化を抑えるために、支持体の熱現像に相当する120℃、60秒での寸法変化率の絶対値がMD(長手)、TD(巾手)方向ともに0.001〜0.06%の範囲、好ましくは0.001〜0.04%の範囲、特に好ましくは0.001〜0.02%の範囲のものである。
本発明における前述の寸法変化率の測定は次のように行われる。すなわち支持体を、23℃、55%RH条件下で、該支持体のMD、TD方向に一定のある長さに印を付けてから、120℃に60秒間加熱後、再び23℃、55%RHの条件下に3時間調湿後して、各方向の長さを測定して、その寸法変化率を評価する。加熱前の寸法から加熱後の寸法を引いて、加熱前の寸法で除したものを百分率で寸法変化率を正の値または負の値として表す。
支持体の基材となるフィルムは熱可塑性樹脂が好ましく、力学強度、熱寸法安定性、透明性から特に好ましいのがポリエステル樹脂である。さらに好ましいのが芳香族ポリエステル樹脂であり、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができる。これらのフィルムの厚みは50μm以上500μm以下が好ましく、75μm以上300μm以下がさらに好ましく、90μm以上200μm以下がさらに好ましい。
本発明の支持体は、前述の寸法変化率にするために以下のような熱処理をすることで達成できる。
本発明に係わる熱処理は、熱収縮の進行を妨げずに、その後の熱処理(熱現像)時の寸法変化を小さくする上で、出来るだけ搬送張力を低くし、熱処理時間を長くすることが望ましい。処理温度としてはポリエステルフィルムのTg+50〜Tg+150℃の温度範囲が好ましく、その温度範囲で、搬送張力としては9.8kPa〜2MPaが好ましく、より好ましくは9.8kPa〜980kPa、更に好ましくは9.8kPa〜490kPaであり、処理時間としては30〜10分が好ましく、より好ましくは30〜5分である。上記の温度範囲、搬送張力範囲及び処理時間にすることにより、熱処理時に支持体の熱収縮の部分的な差により支持体の平面性が劣化することもなく、搬送ロールとの摩擦等により細かいキズ等の発生も押さえることが出来る。
本発明において、熱処理の前の熱固定後に縦弛緩処理及び/または横弛緩処理を行っておくのも好ましい態様である。また熱処理は所望の寸法変化率を得るために、少なくとも1回は必要であり、必要に応じて2回以上実施することも可能である。さらに熱処理したポリエステルフィルムをTg付近の温度から常温まで冷却してから巻き取り、この時の冷却による平面性の劣化を防ぐために、Tgを跨いで常温まで下げるまでに、少なくとも−5℃/秒以上の速度で冷却するのが好ましい。
熱処理条件としての熱処理時間は、フィルムの搬送速度を変えたり、熱処理ゾーンの長さを変えたりすることでコントロールできる。この熱処理時間が短すぎると本発明は効果的でなく支持体の熱寸法安定性が低下してしまう。また60分以上であると支持体の平面性や透明性の劣化がみられ、熱現像感光材料用の支持体としては不適となるので好ましくない。また熱処理の張力調整は、巻き取りロール及び/または送り出しロールのトルクを調整することにより出来る。また工程内にダンサーロールを設置し、これに加える荷重を調整することでも達成出来る。熱処理中及び/または熱処理後の冷却時に張力を変化させる場合、これらの工程前後及び/または工程内にダンサーロールを設置し、それらの荷重を調整することで所望の張力状態を設定しても良い。また振動的に搬送張力を変化させるには熱処理ロール間スパンを小さくすることにより有効に行うことが出来る。
本発明の支持体は、酸化珪素薄膜を設ける前に下引層を設けていることが好ましい。下引層を設ける場合、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロースエステル樹脂、スチレン樹脂及びゼラチン等が好ましい.また必要に応じて、トリアジン系、エポキシ系、メラミン系、ブロックイソシアネートを含むイソシアネート系、アジリジン系、オキサザリン系等の架橋剤、コロイダルシリカ等の無機粒子、界面活性剤、増粘剤、染料、防腐剤などを添加してもよい。
また酸化珪素薄膜を設ける側と反対側に帯電防止層を設けることが好ましい。本発明の帯電防止層は、帯電防止剤とバインダーから構成されている。
帯電防止剤としては、金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、あるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にバインダーとの混和性、導電性、透明性等の点から、SnO2(酸化スズ)が好ましい。異元素を含む例としてはSnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等を添加することができる。これらの異元素の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。酸化スズは、非晶性ゾルまたは結晶性粒子の形態が好ましい。水系塗布の場合は非晶性ゾルが好ましく、溶剤系塗布の場合は結晶性粒子の形態が好ましい。特に環境上、作業の取り扱い性の点で水系塗布の非晶性ゾルの形態が好ましい。
非晶性SnO2ゾルの製造方法に関しては、SnO2微粒子を適当な溶媒に分散して製造する方法、もしくは溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中における分解反応から製造する方法等、いずれの方法でもよい。一方、結晶性粒子は、特開昭56−143430号公報、同60−258541号公報に詳細に記載されている。これら導電性金属酸化物微粒子の作製法としては、第一に金属酸化物微粒子を焼成により作製し、導電性を向上させるために異種原子の存在下で熱処理する方法、第二に焼成により金属酸化物微粒子作製時に異種原子を共存させる方法、第三に焼成時に酸素濃度を下げて酸素欠陥を導入する方法等の単独及び組み合わせが用いられる。
本発明に用いられる金属酸化物の一次粒子の平均粒径は、0.001〜0.5μm、特に0.001〜0.2μmが好ましい。本発明に用いられる金属酸化物の固型分付量は1m2当たり0.05〜2g、特に0.1〜1gが好ましい。また本発明における帯電防止層における金属酸化物の体積分率は、8〜40vol%、好ましくは10〜35vol%がよい。上記範囲は金属酸化物微粒子の色、形態、組成等により変化するが、透明性及び導電性の点から、上記範囲が最も好ましい。
帯電防止層を構成するバインダーについては、上記下引層と同じ樹脂を用いることが好ましい。特に金属酸化物の分散性や導電性の点から、ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、アクリル樹脂、セルロースエステルが好ましい。
帯電防止層は、透明性や塗布ムラ(干渉ムラ)の点から、0.30〜0.70μmが好ましい。より好ましくは0.35〜0.55μmである。0.30μm未満であると所望の高温の導電性の確保及びバック層を設けたときのスリキズ性が劣化し、好ましくない。また0.70μmを超えると干渉ムラが強く、商品価値が低下するとともに、透明性が劣化するので、実用上好ましくない。
下引層、帯電防止層を塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる.例えばキスコート法、リバースコート法、ダイコート法、リバースキスコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤーバーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独または組み合わせて適用するとよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
なお、以下の実施例に記載されている評価方法は以下の通りである。
〔1〕評価方法
〔120℃の有機酸昇華量〕
120℃における有機酸昇華量の測定方法は、以下に示す。
(1)フィルムを12cm×15cmに裁断
(2)ホットプレート(120〜130℃)にフィルム(乳剤が上)を乗せし、その上に金属バットをかぶせて、さらにその上に氷を乗せたバットを乗せ1分間揮発成分をトラップさせる
(3)バットの付着成分をクロロホルムに溶かし(10ml×3)たものを濃縮乾固する
(4)(1)〜(3)を10回(10枚分)繰り返す(10回分の揮発物の回収は同一の容器で行う)
(5)回収された有機酸をメチル化処理する(*1)
(6)GC−MSにより各有機酸の定量を行う。
GC−MS測定条件:
注入量:1μl
測定モード:SIM(検出質量74)
昇温:200℃(2min保持)→5℃/min→280℃(9min保持)30min
INLET:250℃/AUX:280℃
溶媒待ち時間:2min
GC−MS測定によりメチル化された有機酸が検出/定量される。定量は基準品(メチル化体)を用い、2点検量線により行う。
*1:メチル化処理方法
1)試料に4モル/リットル−HClを3mlと、メタノール15mlを加え、超音波分散を行う
2)1時間リフラックスする
3)酢酸エチル50ml、水50mlを加え、分液し、酢酸エチル側を回収する.
4)3)の水相に酢酸エチル50mlを加え、再度分液を行い、酢酸エチル相を(3)の酢酸エチル相と合せる
5)回収した酢酸エチル相を乾固し、トルエンに溶解し1mlに仕上げる
〔透湿度〕
透湿度の測定方法は、バリヤー層を塗布したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを塗工面外側にして、JIS Z−208(カップ法)に準じて測定した。
〔写真性能〕
(露光)
製造した各熱現像写真感光材料に対して、ビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用して、ミラー回転数60000rpm、露光時間1.2×10-8秒の条件下で露光を実施した。このときのオーバーラップ係数は0.449にし、熱現像写真感光材料面上のレーザーエネルギー密度は75μJ/cm2とした。
(熱現像処理)
現像はImation社製フィルムプロセッサーmodel 2771を用い、120℃、48秒の設定で熱現像処理した。その際、露光は23℃、50%RHに調湿した部屋で行い、現像処理はそれぞれ23℃20%RH、および23℃80%RHの環境で行った。
(写真性能の評価)
熱現像写真感光材料を23℃80%RH環境下で、12時間調湿の試料と23℃、20%RH環境下で12時間調湿の試料を作製し、同一環境下で50μmの線幅露光を行なって熱現像処理を行なった。
23℃50%RHと、23℃80%RHでの、処理後の線幅の差を測定することにより、高湿度環境下での感度変動として評価した。またそれぞれの環境下でのDmax(最高濃度)についても評価した。濃度測定はマクベスTD904濃度計で行なった。
〔熱現像自現機の汚れ〕
熱現像自現機の熱現像ロールを溶剤等で綺麗に清掃後、露光、現像処理を3000枚処理し、熱現像ロールの汚れ具合を評価した。熱現像自現機にはImation社製フィルムプロセッサーmodel 2771を用い、120℃、48秒の設定で熱現像処理した。
○ :汚れなし
○△:汚れがかすかに見えるレベル
△ :汚れが1〜2箇所見える
△×:汚れが3〜5箇所見える
× :汚れが5箇所以上
〔2〕試料の作製
〔熱現像感光材料用支持体の作製〕
以下のようにしてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を得た。
(PET樹脂)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、66.5Paで重合を行い、固有粘度0.70のPET樹脂を得た。
以上のようにして得られたPET樹脂を用いて、以下のようにして下引き層付二軸延伸PETフィルムを作製した。
(下引き層付二軸延伸PETフィルム)
PET樹脂をペレット化したものを150℃で8時間真空乾燥した後、285℃でTダイから層状に溶融押し出し、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。
この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、80℃で縦方向に3.3倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムに下記下引き塗布液A(固形分4質量%)をキスコート法にて片面にWET膜厚2g/m2になるように塗布した。引き続き、テンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン90℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率3.3倍になるように延伸した。次いで、70℃2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定した。次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し、テンターを出た後に、駆動ロールの周速差を利用して、140℃で縦(長手)方向に弛緩処理を行い、室温まで60秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放、スリットし、それぞれ巻き取り、厚さ125μmの二軸延伸PETフィルムを得た。この二軸延伸PETフィルムのTgは79℃であった。
〈下引き塗布液A〉
アクリル共重合体 40質量部
化合物(G) 50質量部
ポリグリセリン 10質量部
塗布液中の全固形分が4%となるように純水にて仕上げた。
アクリル共重合体:メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリル酸/メタクリル酸ヒドロキシエチル/アクリルアミド=30/47.5/10/2.5/10、重量平均分子量50万
Figure 2005321434
(支持体の熱処理)
懸垂式熱弛緩装置を用いて、温度:180℃、搬送張力:230kPa、時間:15secの条件で弛緩熱処理し、さらに室温まで10℃/minで冷却してから巻き取った。
(帯電防止層)
熱処理した支持体に、下引き塗布液Bを乾燥膜厚0.35μmになるようにワイヤーバーで塗布し、80℃2分で乾燥し、帯電防止層付き支持体を作製した。
〈下引き塗布液B〉
酸化スズゾル(特公昭35−6616号の実施例1に記載の方法で合成したSnO2ゾルを固形分濃度が8.3質量%になるように加熱濃縮した後、アンモニア水でpH=10に調整したもの) 500g
アクリル変性ポリエステル樹脂(特開2002−156730号記載のB−1:固形分:17.8質量%) 200g
水 300g
〔熱現像感光材料の作製〕
(バック層面側の塗布)
以下の組成のバック層塗布液1とバック保護層塗布液1を、それぞれ塗布前に絶対濾過精度20μmのフィルターを用いて濾過した後、押し出しコーターで前記作製した帯電防止付き支持体上に、合計ウェット膜厚が60μmになるよう、毎分50mの速度で同時重層塗布し、70℃で4分間乾燥を行った。
〈バック層塗布液1〉
メチルエチルケトン 16.4g/m2
赤外染料A 15mg/m2
赤外染料B 6mg/m2
安定化剤B−1(住友化学社製スミライザーBPA) 30mg/m2
安定化剤B−2(吉富製薬社製トミソーブ77) 50mg/m2
セルロースアセテートプロピレート(Eastman Chemical社製 CAP504−0.2) 0.5g/m2
セルロースアセテートプロピレート(Eastman Chemical社製 CAP482−20) 1.5g/m2
Figure 2005321434
〈バック保護層塗布液1〉
メチルエチルケトン 22g/m2
フッ素系界面活性剤F−1:C917(CH2CH2O)OC917 22mg/m2
フッ素系界面活性剤F−1:C817SO3Li 10mg/m2
セルロースアセテートプロピネート(Eastman Chemical社製 CAP482) 2.0g/m2
シリカ(富士デビソン社製サイロイド74;平均粒径7μm) 12mg/m2
(ハロゲン化銀粒子の調製)
純水900ml中にゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(96/4)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムと表1のように(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6モル/リットルを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、{100}面比率86%の立方体沃臭化銀からなるハロゲン化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整した。
(有機脂肪酸銀乳剤の調製)
水300ml中にベヘン酸10.6gを入れ90℃に加熱溶解し、十分撹拌した状態で1Mの水酸化ナトリウム31.1mlを添加し、そのままの状態で1時間放置した。その後30℃に冷却し、1Mのリン酸7.0mlを添加して十分撹拌した状態でN−ブロモこはく酸イミド0.01gを添加した。その後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子をベヘン酸に対して銀量として10モル%となるように40℃に加温した状態で撹拌しながら添加した。さらに1M硝酸銀水溶液25mlを2分間かけて連続添加し、そのまま撹拌した状態で1時間放置した。
この乳剤に酢酸エチルに溶解したポリビニルブチラールを添加して十分撹拌した後に静置し、ベヘン酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を含有する酢酸エチル相と水相に分離した。水相を除去した後、遠心分離にてベヘン酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を採取した。その後東ソー社製合成ゼオライトA−3(球状)20gとイソプロピルアルコール22mlを添加し1時間放置した後濾過した。更に表4に示すバインダー3.4gとイソプロピルアルコール23mlを添加し35℃にて高速で十分撹拌して分散し有機脂肪酸銀乳剤の調製を終了した。
(感光層Em組成)
有機脂肪酸銀乳剤 1.4g(銀で)/m2
ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド 1.5×10-4mol/m2
臭化カルシウム 1.8×10-4mol/m2
2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸 1.5×10-3mol/m2
赤外増感色素1 4.2×10-6mol/m2
2−メルカプトベンズイミダゾール 3.2×10-3mol/m2
2−トリブロモメチルスルホニルキノリン 6.0×10-4mol/m2
4−メチルフタル酸 1.6×10-3mol/m2
テトラクロロフタル酸 7.9×10-4mol/m2
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−
3,5,5−トリメチルヘキサン 4.8×10-3mol/m2
染料A 3×10-5mol/m2
造核剤(C−65) 0.27×10-3mol/m2
造核剤(C−66) 0.20×10-3mol/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いた。
(保護層組成)
保護層塗布液を下記のように調製した。
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製) CAP381−20/セルロースアセテートプロピネート(Eastman Chemical社製)CAP504−05 2/84g/m2
フタラジン 3.2×10-3mol/m2
シリカ(富士デビソン社製サイロイド74;平均粒径7μm) 100mg/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いた。
(バリヤー層の塗布)
表1に示す組成となるバリヤー層になるように塗布液を作製し、絶対濾過精度20μmのフィルターを用いて濾過した後、ワイヤーバー塗布で前記作製した熱現像感光の保護層側に、ウェット膜厚が20μm、表1に示すドライ膜厚になるよう、毎分30mの速度で塗布し、70℃で4分間乾燥を行った。
バリヤー層X
ラテックスA(30%) 53g
ラテックスC(30%) 5g
ワックスあ(45%) 3g
F素活性剤(1% 水/メタノール:1/1) 18g
シリカ分散液(1%) 13g
純水で100gに仕上げる。
バリヤー層Y
ラテックスA(30%) 53g
ラテックスB(30%) 5g
ワックスあ(45%) 2.4g
F素活性剤(1% 水/メタノール:1/1) 18g
シリカ分散液(1%) 13g
純水で100gに仕上げる。
バリヤー層Z
ラテックスA(30%) 55g
ラテックスB(30%) 3g
ワックスう(45%) 5g
F素活性剤(1% 水/メタノール:1/1) 18g
シリカ分散液(1%) 13g
純水で100gに仕上げる。
バリヤー層X′
バリヤー層XよりラテックスA、Cを除いた液。
バリヤー層Y′
バリヤー層Yよりワックスあを除いた液。
ラテックスA:スチレンーブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート=20:40:40(Tg=20℃)
ラテックスB:スチレンーブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート=40:20:40(Tg=45℃)
ラテックスC:スチレンーブチルアクリレート−ヒドロキシメチルメタクリレート=25:50:25(Tg=45℃)
ワックスあ:日本精蝋社製EMUSTAR−0185(融点:80℃)パラフィン
ワックスう:日本精蝋社製EMUSTAR−0413(融点:83℃)カルナウバ0185(融点:80℃)パラフィン
F素活性剤:ネオス社製フタージェント100
シリカ分散液:シリカ(富士デビソン社サイロイド74;平均粒径7μm)の分散液
Figure 2005321434
表1から、本発明内の熱現像感光材料(実施例1〜5)は、熱現像時に発生する昇華性物質を抑制し、熱現像装置の長期間運転での安定性に優れ、かつ写真性能(濃度、感度)の湿度耐性が良好なことがわかる。
一方、本発明外の熱現像感光材料(比較例1〜5)は、いずれの特性も本発明内の熱現像感光材料より劣る結果となった。
なお、比較例4の場合は、良好なバリヤー層膜が出来ず、結果的には比較例1同様な特性となった。

Claims (6)

  1. 支持体上に有機銀塩粒子、ハロゲン化銀粒子、還元剤を含有する感光層を有する熱現像写真感光材料において、120℃における有機酸昇華量が0.1〜10.0mg/m2であり、かつ感光層側の最外層がラテックスとワックスエマルジョンで構成されたバリヤー層であることを特徴とする熱現像写真感光材料。
  2. 前記ワックスエマルジョン中のワックスがパラフィン系であることを特徴とする請求項1記載の熱現像写真感光材料。
  3. 前記バリヤー層の透湿度が1〜20g/m2・24hrであることを特徴とする請求項1または2記載の熱現像写真感光材料。
  4. 前記感光層が溶剤塗布により形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱現像写真感光材料。
  5. 前記感光層に造核剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の熱現像写真感光材料。
  6. 前記支持体が低熱収縮性支持体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の熱現像写真感光材料。
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