JP2005318859A - 新規な光学活性4−ハロ酪酸誘導体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 4−ハロクロトン酸誘導体を原料として、より高い光学純度で安価かつ簡便に光学活性4−ハロ酪酸誘導体を製造する新規な方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(I)
【化1】

(式中、Rはハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアルコキシ基を、Xはハロゲン原子を、A1およびA2は水素原子またはハロゲン原子を示す。)
で表される4−ハロクロトン酸誘導体に、該化合物のα,β炭素・炭素二重結合を立体選択的に還元する能力を有する微生物の菌体、該菌体処理物及び/または培養液を作用させ、下記一般式(II)
【化2】

(式中、R、X、AおよびAは前記と同義である。)
で表される光学活性4−ハロ酪酸誘導体を生成させることを特徴とする光学活性4−ハロ酪酸誘導体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、微生物の菌体、該菌体処理物及び/または培養液を利用して4−ハロクロトン酸誘導体のα,β炭素・炭素二重結合を光学選択的に還元し、光学活性4−ハロ酪酸誘導体を製造する方法に関する。光学活性4−ハロ酪酸誘導体は医薬、農薬の重要な合成中間体である。
下記一般式(I)
(式中、Rはハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアルコキシ基を、Xはハロゲン原子を、AおよびAは水素原子またはハロゲン原子を示す)
で表されるα,β-不飽和カルボン酸のα,β炭素・炭素二重結合を光学選択的に還元して生成する下記一般式(II)
(式中、R、X、AおよびAは前記と同義である)
で表される光学活性カルボン酸は、生理活性又は薬理活性成分(医薬品、農薬など)の中間原料として有用な物質である。生理活性成分は光学異性体を選択的に製造することが求められ、該カルボン酸の光学活性体は、さらに有用な中間原料となり得ると考えられる。
しかしながら、微生物を用いて炭素・炭素二重結合を不斉還元する方法は報告が少なく、α,β-不飽和カルボン酸を還元する酵素としてはクロストリジウム(Clostridium)属微生物由来のエノエートレダクターゼの報告があるが、該酵素で生成する光学活性カルボン酸は本発明で生成する前記一般式(II)で表される光学活性カルボン酸とは逆の立体異性体である。(非特許文献1)
また、一般的に化学合成法による炭素・炭素二重結合の不斉還元は、触媒が高価である、触媒残渣の除去等プロセス上煩雑な工程が必要になること、等の難点があり、より安価で簡便な製造法の開発が望まれていた。
Angew. Chem. Int. Ed. Engl. (1985) vol.24, p.539-553
本発明は、前記一般式(I)で表される4−ハロクロトン酸誘導体のα,β炭素・炭素二重結合を光学選択的に還元することにより前記一般式(II)で表される光学活性4−ハロ酪酸誘導体を製造する新規な方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、4−ハロクロトン酸誘導体のα,β炭素・炭素二重結合を光学選択的に還元する能力を有する微生物を選別し、得られた微生物を用いることにより、4−ハロクロトン酸誘導体を基質として光学活性4−ハロ酪酸誘導体を効率よく製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 下記一般式(I)
(式中、Rはハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアルコキシ基を、Xはハロゲン原子を、AおよびAは水素原子またはハロゲン原子を示す)
で表される4−ハロクロトン酸誘導体に、該化合物のα,β炭素・炭素二重結合を立体選択的に還元する能力を有する微生物の菌体、該菌体処理物及び/または培養液を作用させ、下記一般式(II)
(式中、R、X、AおよびAは前記と同義である)
で表される光学活性4−ハロ酪酸誘導体を生成させることを特徴とする光学活性4−ハロ酪酸誘導体の製造方法。
(2) Rがメチル基、X、AおよびAがそれぞれフッ素原子であることを特徴とする(1)に記載の製造方法
(3) 微生物が、クロストリジウム(Clostridium)属細菌である(1)〜(2)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、一般式(I)で表される4−ハロクロトン酸誘導体のα,β炭素・炭素二重結合を微生物を用いて立体選択的に還元し、一般式(II)で表される光学活性4−ハロ酪酸誘導体を簡便に製造することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、(1) 下記一般式(I)
(式中、Rはハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアルコキシ基を、Xはハロゲン原子を、AおよびAは水素原子またはハロゲン原子を示す)
で表される4−ハロクロトン酸誘導体に、該化合物のα,β炭素・炭素二重結合を立体選択的に還元する能力を有する微生物の菌体、該菌体処理物及び/または培養液を作用させ、下記一般式(II)
(式中、R、X、AおよびAは前記と同義である)
で表される光学活性4−ハロ酪酸誘導体を製造する。
前記一般式(I)および(II)における、Rはハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアルコキシ基を、Xはハロゲン原子を、AおよびAは水素原子またはハロゲン原子を示す。
ここで、Rにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリーペンチル基、イソアミル基、n−へキシル基等の炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖、環状アルキル基が挙げられる。これらの中で、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、メシチル基、ナフチル基等が挙げられる。また、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、ターシャリーブトキシ基等が挙げられる。これらの中で炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
上記アルキル基、アリール基及びアルコキシ基は置換されていてもよい。置換基としては、反応に悪影響を与えない基であれば特に限定されないが、具体的には、アルキル基(前記Rにおけるアルキル基と同義)、アリール基(前記Rにおけるアリール基と同義)、アルコキシ基(前記Rにおけるアルコキシ基と同義)、ハロゲン原子(前記Rにおけるハロゲン原子と同義)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。したがって、一般式(I)および(II)において、置換されたアルキル基として具体的には、ベンジル基、フェネチル基、トリフルオロメチル基、シアノメチル基、アミノメチル基、ヒドロキシメチル基、ニトロメチル基、メトキシメチル基等が挙げられる。置換されたアリール基として具体的には、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ニトロフェニル基、メトキシフェニル基等が挙げられる。また、置換されたアルコキシ基として具体的には、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
Xはハロゲン原子を、A1およびA2は水素原子またはハロゲン原子を示すが、これらのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。X、A1、A2の全てがフッ素原子であることが特に好ましい。
上記一般式(I)および(II)中のRとしては、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
上記一般式(I)で表される化合物としては、分子量が1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは300以下のものであり、具体的には、例えば4,4,4−トリフルオロチグリン酸等が挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(III)で表されるアルデヒド化合物
(化7)
XA12CHO (III)
(式中、X、AおよびAは前記と同義である)
を第4版実験化学講座(19巻、p62、1992年)記載の方法により所望の安定化イリドとWittig反応を行い、得られた不飽和エステルを加水分解することにより容易に合成することができる。
また、上記一般式(II)で表される化合物として、分子量が1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは300以下のものであり、具体的には、(S)−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ酪酸等が挙げられる。
(本発明に用いられる微生物)
本発明に用いることの出来る微生物としては、4−ハロクロトン酸誘導体のα,β炭素・炭素二重結合を立体選択的に還元する能力(以下これを「立体選択的還元活性」と略称することがある。)を有するものであれば特に限定されない。4−ハロクロトン酸誘導体のα,β炭素・炭素二重結合を立体選択的に還元する能力を有する微生物は、該微生物が有する立体選択的還元活性を確認することにより選別することができ、立体選択的還元活性の確認方法としては、例えば、式(I)の4−ハロクロトン酸誘導体を含む水溶液に対象となる微生物、その菌体処理物又は培養液を作用させ、その反応液を薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーを用い、基質および生成物である式(II)の光学活性4−ハロ酪酸誘導体を定性・定量することによりスクリーニングすることができる。
本発明に用いることのできる微生物は、上記立体選択的還元活性の確認方法に供し、数時間以上、好ましくは1日以上反応させたときに原料基質の減少が確認しうるもの、具体的には、数時間以上、好ましくは1日以上反応させたときに原料基質が1%以上、好ましくは5%以上減少するものである。
式(I)の化合物を立体選択的に還元し、式(II)の 光学活性4−ハロ酪酸誘導体を製造する能力を有する微生物としては、例えばクロストリジウム(Clostridium)属に属する微生物が挙げられる。
クロストリジウム(Clostridium)属に属する微生物として、好ましくは、クロストリジウム コクレアリウム(Clostridium cochlearium) JCM1396等のクロストリジウム コクレアリウム(Clostridium cochlearium)、クロストリジウム ゴニ(Clostridium ghonii) JCM1400等のクロストリジウム ゴニ(Clostridium ghonii)、クロストリジウム ヒラノニス(Clostridium hiranonis) JCM10541等のクロストリジウム ヒラノニス(Clostridium hiranonis)、クロストリジウム ハイドロキシベンゾイカム(Clostridium hydroxybenzoicum) DSM7310等のクロストリジウム ハイドロキシベンゾイカム(Clostridium hydroxybenzoicum)、クロストリジウム オセアニカム(Clostridium oceanicum) JCM1407等のクロストリジウム オセアニカム(Clostridium oceanicum)、クロストリジウム ピュトリフィカム(Clostridium putrificum) JCM1410等のクロストリジウム ピュトリフィカム(Clostridium putrificum)、クロストリジウム スカトロゲネス(Clostridium scatokogenes) JCM1414等のクロストリジウム スカトロゲネス(Clostridium scatokogenes)、クロストリジウム スティクランディ(Clostridium sticklandii) JCM1433等のクロストリジウム スティクランディ(Clostridium sticklandii)などが挙げられる。
尚、上記微生物はJapan Collection of Microorganism(JCM)のインターネットカタログ(http://www.jcm.riken.go.jp)、またはDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)のインターネットカタログ(http://www.dsmz.de/)に記載されており、該JCMまたはDSMZから入手することができる。
また、上記微生物は、UV照射やニトロソグアニジン処理等の通常の変異処理により得られる変異株、細胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法により誘導される組換え株などのいずれの株であってもよい。
また、組換え株の発現株としては、もとの菌株の他、大腸菌等のバクテリアや酵母などを用いてもよく、これらの組換え株も上記微生物という概念に含まれる。
本発明の製造方法においては、上記微生物の1種あるいは2種以上が菌体、菌体処理物及び/又は培養液として用いられる。
具体的には、上記微生物を培養して得られた菌体又はその培養液をそのまま用いることや、あるいは培養して得られた菌体を公知の手法で処理したもの、即ち、アセトン処理したもの、風乾または凍結乾燥処理したもの、菌体を物理的、化学的または酵素的に破砕したもの等の菌体処理物を用いることができる。
また、これらの菌体または菌体処理物から、式(I)の4−ハロクロトン酸誘導体に作用し式(II)の光学活性4−ハロ酪酸誘導体に変換するする能力を有する酵素画分を粗製物あるいは精製物として取り出して用いることも可能である。さらには、このようにして得られた菌体、菌体処理物、酵素画分等を通常の固定化技術を用いて、すなわち、ポリアクリルアミド、カラギーナンゲル等の担体に固定化したもの等を用いることも可能である。そこで本明細書において、「菌体及び/または該菌体処理物」の用語は、上述の菌体、菌体処理物、酵素画分、及びそれらの固定化物全てを含有する概念として用いられる。
また、上記微生物は、通常、培養して用いられるが、この培養については定法通り行うことができる。本微生物の培養の為に用いられる培地には本微生物が資化しうる炭素源、窒素源、及び無機イオン等が含まれる。炭素源としては、グルコース、フルクトース、サッカロース等の炭水化物、グリセロール、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類、有機酸その他が適宜使用される。窒素源としては、NZアミン、トリプトース、酵母エキス、ポリペプトン、肉エキス、大豆抽出物などの有機窒素源、あるいは硫酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩などの無機窒素源、その他などが適宜使用される。無機イオンとしては、リン酸イオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、モリブデンイオンその他が必要に応じ適宜使用される。培養はpH約3〜10、好ましくはpH6〜8、温度4〜80℃、好ましくは25〜60℃の適当な範囲に制御しつつ1〜100時間行う。
上記微生物がClostridium属のように偏性嫌気性菌の場合は、培地にシステイン、チオグリコール酸、Na2Sまたはアスコルビン酸のような還元剤を添加することが効果的であり、培養はCO2やN2気流を通気して酸素を除去する必要がある。上記微生物が通性嫌気性菌または好気性菌の場合は好気的条件下で培養することにより、培養液あたりの菌体量、酵素活性量を増加することも可能である。
(製造方法)
次に、本発明の製造方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法は、原料として式(I)の4−ハロクロトン酸誘導体を用い、これに水性媒体中で上記微生物の菌体、該菌体処理物及び/又は培養液を作用させて、式(II)の光学活性4−ハロ酪酸誘導体を製造するものである。
反応の方法としては、a)上記培養微生物の菌体、該菌体処理物及び/又は培養液と式(I)の4−ハロクロトン酸誘導体とを水性媒体中で接触させる方法、b) 式(I)の4−ハロクロトン酸誘導体含有培地を用い、培養と反応を同時に行う方法等が挙げられ、これらは適宜用いることができるが、工業的には、微生物増殖に転用されるエネルギーロスが無い方が好ましいため、上記a)の方法が好ましい。
反応系中での式(I)の4−ハロクロトン酸誘導体の濃度は0.0001〜50%(w/v)、好ましくは0.01〜5%(w/v)、の範囲が望ましく、必要ならば反応の間、4−ハロクロトン酸誘導体は逐次添加してもよい。
上記水性媒体としては、リン酸カリウムやトリス−塩酸塩等を含有する緩衝能力を有する水溶液が一般的には用いられるが、反応中、pHをモニターし、塩酸や水酸化ナトリウム等の酸・アルカリによりpH変化を制御するのであれば緩衝成分を省略することもできる。
また、基質の溶解度を増加させるためメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド等の親水性溶媒を添加してもよいし、同じ目的でTween80やシュガーエステルのような界面活性剤を添加してもよい。
さらに、基質や生成物による反応阻害を抑えるために反応液の0.1〜10倍容量程度の酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、イソプロピルエーテル、四塩化炭素、1―オクタノール等の疎水性溶媒を添加することもできる。
反応液中には還元反応のエネルギー源としてグルコース、エタノール、イソプロピルアルコール、蟻酸等が基質の1〜20倍モル等量含まれていることが好ましい。
また、還元反応において補酵素として利用される酸化型または還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を0.001〜0.1%(w/v)、添加すると効果的である。
さらに、補酵素の還元型への再生を促進するために、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、蟻酸脱水素酵素等を添加することも効果的である。
反応条件は、微生物の種類によっても異なるが、反応温度は通常4〜70℃、好ましくは20〜50℃、さらに好ましくは28〜42℃の範囲で行い、反応pHは通常3〜10、好ましくは5〜9、さらに好ましくは6〜8の範囲で行う。
反応形態としては、バッチ法でも連続法でも何れでも構わないが、連続法の場合には、式(I)の4−ハロクロトン酸誘導体、微生物の培養液、菌体及び/または該菌体処理物を、必要に応じて、適宜添加して行われ、また、目的生成物から分離された菌体をリサイクルして使用しても良い。
上記反応で得られた光学活性4−ハロ酪酸誘導体の採取方法としては、微生物などの固形分を遠心分離、フィルタープレス、限外濾過などの通常の分離装置によりを除去した後に反応液を有機溶媒による抽出、晶析、カラムクロマトグラフィー、濃縮、蒸留などの分離精製手段に供することにより分離することができ、分離精製手段は単独でまたは複数の手段を組み合わせて利用できる。
抽出に用いる有機溶媒としては、例えばブタノールなどのアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチルなどのエステル類、ケトン類、エーテル類、これらの混合溶媒などが利用できる。
[実施例]
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、その要旨を越えない限り本発明の技術分野における通常の変更をすることができる。
<クロストリジウム属細菌による(S)−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ酪酸の生成>
GAMブイヨン培地(日水製薬社製)にクロストリジウム コクレアリウム(Clostridium cochlearium) JCM1396株を接種し、アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学社製)中、37℃で72時間静置して培養した。培養終了後,培養液(5mL)を集め、遠心分離し菌体を単離した。該菌体を4,4,4−トリフルオロチグリン酸 25mM、グルコース50mM、リン酸カリウムバッファー 100mM(pH7.5)からなる反応液200μLに懸濁し、アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学社製)中、37℃で静置して反応させた。反応開始18時間後6N HCl 10μLを添加し、酢酸エチル500μLで抽出後、酢酸エチル層を遠心エバポレーターで乾固させた。得られたサンプル中の2−メチル−4,4,4−トリフルオロ酪酸を定量した。定量は酢酸エチル溶液をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定した。
GCの条件は以下の通りである。
カラム:β−DEX225 (SUPELCO社製、30m×0.25mmID、0.25μm film)
キャリア:He 1.5ml/min、 split 1/50
カラム温度:110℃
注入温度:250℃
検出:FID 250℃
GC:島津GC−14A(島津製作所)

この結果、本反応での(S)−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ酪酸の生成濃度は5.13mMであり、光学純度は98%e.e.以上であった。
また、その他のクロストリジウム属細菌の菌株についても同様の試験を行い、(S)−2−メチル−4,4,4−トリフルオロ酪酸の収量、光学純度を下記にまとめた。
本発明によって、医薬、農薬等の中間体原料として産業上有用な化合物である光学活性4−ハロ酪酸誘導体を高い光学純度で得ることが可能になった。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)

    (式中、Rはハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアルコキシ基を、Xはハロゲン原子を、AおよびAは水素原子またはハロゲン原子を示す)で表される4−ハロクロトン酸誘導体に、該化合物のα,β炭素・炭素二重結合を立体選択的に還元する能力を有する微生物の菌体、該菌体処理物及び/または培養液を作用させ、下記一般式(II)

    (式中、R、X、AおよびAは前記と同義である)で表される光学活性4−ハロ酪酸誘導体を生成させることを特徴とする光学活性4−ハロ酪酸誘導体の製造方法。
  2. Rがメチル基、X、AおよびAがそれぞれフッ素原子であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法
  3. 微生物が、クロストリジウム(Clostridium)属細菌である請求項1、2のいずれかに記載の方法。
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