JP2005318398A - 気象情報の配信装置 - Google Patents

Abstract

【課題】大域的な天気予測を簡単なシステム構成でもって実施することができると共に、地域的な天気予測も低コストで行える気象情報の配信装置を提供する。
【解決手段】放送用送信機５から人工衛星１に放送用信号ｃが送信され、所定の信号変換が行われて放送信号ａ１〜ａｎが日本全域に送信される。気象情報用の地上局６−１〜６−ｎが設置される。この地上局は、人工衛星１から送信される放送信号ａ１〜ａｎを受け、その受信レベルの大小情報に基づく受信状態信号ｂ１〜ｂｎを人工衛星１に送信する。これらの受信状態信号は、電波減衰量が雲の有無、雲の濃度、雨や雪の有無等に応じて変動することに伴って変化する。これらの受信状態信号は、天気予測センタ９に一括して送り返され、天気予測センタ９で解析して得られた天気予測情報ｅが人工衛星１に送信され、人工衛星１から日本全域に天気予測情報ｆが送信される。

Description

本発明は、人工衛星を用いて気象データを採取し、その採取データに基づいて得られた天気予測情報を配信することができる気象情報の配信装置に関する。

人工衛星を用いて得られる天気予測情報の配信を行う装置は、わが国においては「ひまわり」と称される人工衛星に代表されるように、雨状態と雲状態等を観測するための観測センサを当該の人工衛星に搭載し大域的な観測を行うことによって、大域的な天気予測を実施している。

さらに、複数の地域の天気予測をする場合には、予測をするための地域毎に設置された複数の天気予測センタのそれぞれに設けられた観測センサからの検出データを集計することによって天気予測を行っている。

例えば、天気予測センタでは、一定時間間隔で、当該地域の気温を計測し、計測データは、日毎の時系列データとし、また、当該日時の雲の量と共に、気象観測データベースで蓄積管理する。ここで、雲の量とは、人工衛星によって観測される雲の分布データを主として用い、予備的データとして目視により雲の有無を判定してそれをマニュアルを参照させることによってデータ登録している。

また、［特許文献１］に開示されているように、ある地域の事象を過去の類似した事象に基づいて事象を予測する場合に、広域観測網による事象を予測するセンタＡと、広域事象予測を行い、局所観測により蓄積されている事象データベースを保持するセンタＢとを設け、このセンタＡからセンタＢのエリアを含む広域の事象予測結果を取得し、事象予測結果とセンタＢのエリアの過去の事象との類似性に基づいて、現況に類似した過去の現象を事象データベースから過去の事象の選定を行い、選定された過去の事象と該事象の後の変化に基づいて現況の予測値を生成することを行なっている。

さらに、これらのデータから、１つの気象予測画像を生成したり、気象観測画像として気象レーダ画像または気象衛星画像を用いたり、可視画像、赤外画像、ＧＰＶデータから得られた画像特徴量を利用したり、過去のデータを第１段階の候補データとして、検索して第１段階の候補データの中から、当該日時の別の種類の過去の気象観測データと別の種類の過去の気象観測データの予測値とが類似しているデータを、検索された過去の候補データから選択し、過去の候補データに基づいて気象予測情報を生成することによって天気予測を行っている。
特開２００１−３２４５７６公報（図２、［０００８］〜［００１２］に開示）

従来の気象情報の配信装置によれば、ひまわりと称される気象用の人工衛星に代表されるように、雨や雲等を観測するための観測センサを人工衛星に搭載し、大域的な観測を当該の人工衛星を用いて行うことで大域的な天気予測を実施することが可能であるものの、地域的な天気予測は不可能であるという難点がある。

この難点は、地域的な天気予測のための地上センサを該当する複数箇所に設けねばならず、その管理を含めたコストが大きくなるため、広域的な展開、例えばわが国の全域に展開させることが極めて困難な状況であった。

そこで、本発明の目的は、大域的な天気予測を簡単なシステム構成でもって実施することができると共に、地域的な天気予測も低コストで行うことができる気象情報の配信装置を提供することにある。

前述の課題を解決するため、本発明による気象情報の配信装置は、次のような特徴的な構成を採用している。

（１）人工衛星からの送信電波を地球上に設けられた複数の地上局で受信し、
該複数の地上局のそれぞれから当該送信電波の受信状態情報を前記人工衛星に送信し、
前記人工衛星から、該人工衛星で受信された複数の受信状態情報に基づく解析を行って求められた天気予測情報を前記地球に配信する気象情報の配信装置。

（２）人工衛星からの送信電波を地球上に設けられた複数の地上局で受信し、該複数の地上局のそれぞれから当該送信電波の受信状態情報を前記人工衛星に送信し、
前記人工衛星から、該人工衛星で受信された複数の受信状態情報を前記地球に設置された天気予測センタに送信し、
前記天気予測センタで該複数の受信状態情報に基づく解析を行って求められた天気予測情報を前記人工衛星に送信し、
前記人工衛星で受信された天気予測情報を該人工衛星から前記地球に配信する気象情報の配信装置。

（３）人工衛星からの送信電波を地球上に設けられた複数の地上局で受信し、
該複数の地上局のそれぞれから当該送信電波の受信状態情報を前記人工衛星に送信し、
該人工衛星で受信された複数の受信状態情報に基づく解析の一部を該人工衛星の側で行なうと共に、
前記人工衛星から、該人工衛星で受信された複数の受信状態情報を前記地球に設置された天気予測センタに送信し、
前記天気予測センタで該複数の受信状態情報に基づいて行われた解析情報を前記人工衛星に送信し、前記人工衛星で受信された前記解析情報を加味して得られた天気予測情報を該人工衛星から前記地球に配信する気象情報の配信装置。

（４）前記人工衛星は、前記地球上から発信された放送用及び／または通信用の信号を受信し、該受信された信号に基づく信号を前記地球に向けて送信するように構成された衛星を流用する上記（１）乃至（３）のいずれかに記載の気象情報の配信装置。

（５）前記天気予測情報は、前記受信状態情報以外の情報を加味して求める上記（１）乃至（４）のいずれかに記載の気象情報の配信装置。

（６）前記受信状態情報以外の情報は、当該地域の有する温度情報及び／または湿度情報を含む情報である上記（５）に記載の気象情報の配信装置。

（７）前記人工衛星は、前記地球に対して実質的な静止状態に位置される上記（１）乃至（６）のいずれかに記載の気象情報の配信装置。

従来の気象情報の配信装置では、地域的な天気予測を実施する場合には必要な地域ごとに別途用意しなければならなかったセンサが必要であったが、本発明による気象情報の配信装置によれば、気象予測とは別の用途で設置された既存の放送／通信システム用地上端末を巧みに利用して所望の天気予測が出来るので、全体システムのコストを著しく低くすることができ、コスト面で非常に有利となる。

また、気象予測とは別の用途で設置される放送／通信用端末は、本来の利用態様が、非常に広い地域に配置され得るものであり、地域的な天気予測を網羅的に展開することを簡単に実現させることができる。

また、この地域的な天気情報（トレンドを含む）を全域的な天気予測に付加データとして反映させることによって、全域的な天気予測の精度向上も期待できる。

従って、本発明によれば、大域的な天気予測を簡単なシステム構成でもって実施することができると共に、地域的な天気予測も低コストで行うことができる気象情報の配信装置を提供することができる。

本発明の実施の形態を［実施例１］として図１と図２を用いて説明する。なお、本実施例は、わが国の全域を視聴エリアとする放送衛星サービスに、本発明を適用し気象情報の配信機能を持たせたものである。図１は、本発明の［実施例１］による気象情報の配信装置の基本動作を説明するための図を示し、図２は、図１に示される気象情報の配信装置の概略構成を示すブロック回路図を示す。

図１において、放送視聴用のソースを出力する放送用送信機５は地上に設置され、そこから人工衛星１に向かってＧＨｚ帯の高周波信号でなる放送用信号ｃが発射され、この信号（電波）は人工衛星１に設けられた送受信機２によって受信され、所定の信号変換が行われ、わが国の全域に電波到達できるような送信出力で送信されこれがわが国の全域に電波到達される。なお、図１においては説明の都合上、放送信号ａ１乃至放送信号ａｎのように分割されて表現されているが実際にはわが国の全域に連続的に電波到達されるものである。

さて、地上には、気象情報用の複数（ｎ個）の地上局６−１乃至地上局６−ｎがわが国内に均等に分布して設置されていて、その内の１つの地上局６−１は、受信機７−１と送信機８−１を有して構成されている。受信機７−１は、人工衛星１から送信される放送信号ａ１を受け、その受信レベルの大小の情報を送信機８−１に入力し、送信機８−１から受信状態信号ｂ１が人工衛星１に向けて送信される。

この受信状態信号ｂ１は、放送信号ａ１を受信する際に、人工衛星１から地上局６−１に至るまでの間に生じる電波減衰量が雲の有無、雲の濃度、雨や雪の有無等に応じて変動するのでその情報と地上局６−１の位置情報（複数の地上局を特定するアドレス信号）を付加し、受信状態信号ｂ１として人工衛星１に送信する。

地上局６−１の隣に位置する地上局６−２においても同様に、放送信号ａ２を受信する際に、人工衛星１から地上局６−２に至るまでの間に生じる電波減衰量が雲の有無、雲の濃度、雨や雪の有無等に応じて変動するのでその情報と地上局６−２の位置情報を併せて受信状態信号ｂ２として人工衛星１に送信する。

以下同様にして地上局６−ｎまでのそれぞれから受信状態信号ｂｎが人工衛星１に送信される。

ここで、放送信号ａ１〜放送信号ａｎは、同等の送信出力であるが、受信状態信号ｂ１〜受信状態信号ｂｎのそれぞれは、地上局設置の位置における気象状態、雲の有無、雲の濃度等々に応じて変動するので、その変化が気象状態の変化となリ、このデータが基礎データとして後述の気象予測解析のために用いられる。

これらの受信状態信号ｂ１〜受信状態信号ｂｎは、人工衛星１に設けられた受信機３によって受信され、そのデータが送受信機２に出力され解析用受信状態信号ｄとして天気予測センタ９に送信される。

天気予測センタ９は、地上系である放送視聴エリアの略中央に設置され、解析用受信状態信号ｄを所定の統計時間毎に集計するデータ集計部１０と、これを基礎データとして天気予測のための解析を行う天気予測部１２と、天気予測部１２で得られた天気予測データを配信するための天気予測情報ｅを人工衛星１に向けて送信するデータ配信部１１が設けられている。

天気予測センタ９に設けられた天気予測部１２によって解析される天気予測は、例えば当日の１時間毎の雲の量を解析用受信状態信号ｄに基づいて、例えば、雲の量を観測データを３つのレベル（晴れ、薄曇り、曇り）に変換し、該当エリアの雲の量が画像濃度の２５６階調で表現されているとき、濃淡値が５以上の領域の面積占有率が３０％以上の場合に曇りと判定し、３０％未満５％以上の場合に薄曇りと判定し、５％未満の場合に晴れと判定する。

そして、先に検索された過去の統計データの中から該当する候補データを抽出し、当日のこれからの雲のレベルに近い時系列データを更に選択することによって予測データとする。

また、天気予測部１２にはその他の天気予測のための情報、例えば、天気予測センタ９の設置場所の温度と湿度のデータ、もしくは地上局６−１乃至地上局６−ｎのそれぞれの地点における温度と湿度のデータも必要に応じて入力することによってこれらのデータを加味した状態での天気予測を行うことができる。

また、各所における温度と湿度のデータは、地上局６−１乃至地上局６−ｎ
のそれぞれの受信状態信号ｂ１乃至受信状態信号ｂｎの有する雲等の基礎情報に付加する状態で人工衛星１の側に出力するようにしても良い。

そして、人工衛星１の受信機３で受信された天気予測情報ｅに対し、所定の信号変換が与えられ、送信機４に入力されて地上に向けてＧＨｚ帯の高周波信号でなる天気予測情報ｆがユーザーに配信される。なお、送信機４を天気予測情報出力用に独立して人工衛星１内に設けているが、独立して設けずに、その機能を放送視聴用の送信を行う送受信機２に受け持たせるように構成しても良い。

今まで説明した［実施例１］は、天気予測情報ｅを得るためのデータを全て地上系から衛星系へ電波送信し、衛星系から地上系の天気予測センタ９のデータ集計部１０の側に解析用受信状態信号ｄとして送信し、この解析用受信状態信号ｄを基礎にして天気予測情報ｅを求めているが、図３に示す［実施例２］のように、地上局６−１〜地上局６−ｎのそれぞれからの付加情報ｇ１〜付加情報ｇｎを地上に設置されている各種の通信回線を介して天気予測センタ９に付加的に入力するように構成しても良い。

即ち、付加情報ｇ１〜付加情報ｇｎのそれぞれは、受信状態信号ｂ１〜受信状態信号ｂｎと同様のものであったり、これとは別個の情報、例えば、天気予測センタ９の設置場所の温度と湿度のデータ、もしくは地上局６−１乃至地上局６−ｎのそれぞれの地点における温度と湿度のデータであっても良く、これらを必要に応じて入力することによってこれらのデータを加味した状態での天気予測を行うことができる。

また、受信状態信号ｂ１〜受信状態信号ｂｎのデータ群と、付加情報ｇ１〜付加情報ｇｎのデータ群は、その一部が重複しても良く、天気予測センタ９に対して地上系の通信手段で確実にデータ伝達できるものであれば受信状態信号を人工衛星１の側に送信することを省略することができる。

例えば、天気予測センタ９に対して近距離に位置する地上局のデータを地上通信（付加情報ｇ１等の地上通信）で行い遠距離に位置する地上局のデータを衛星通信（受信状態信号ｂ１等の衛星通信）で行うこともできる。

今まで説明した２つの実施例は、天気予測を地上に設置した天気予測センタによって天気予測の解析を行っているが、この機能を全て人工衛星の側に持たせるようにしたり、天気予測センタと人工衛星の両方に受け持たせるように構成しても良い。

また、本発明による対象地域はわが国の全域の場合のみならず、これより狭い範囲、例えば関東地方のみであったり、逆に広い範囲、例えばアジア地域であったても良いことは勿論である。

さらに、人工衛星は既存の放送衛星を流用し、放送の形態は、画像と音声の視聴であるが、画像または音声のみの場合、パソコンデータの場合であっても良く、放送衛星ではなく音声通信もしくは文字や写真等の通信を行う通信衛星であっても本発明を有効に適用させることができる。

以上の実施例において、人工衛星は、地球の自転と同期して移動する、いわゆる静止衛星だけでなく、利用する人工衛星の数を増加する等により同期しないで移動する人工衛星（軌道衛星）等であってもよいことは明らかである、

本発明の［実施例１］による気象情報の配信装置の基本動作を説明するための図である。 図１に示される気象情報の配信装置の概略構成を示すブロック回路図である。 本発明の［実施例２］による気象情報の配信装置の概略構成を示すブロック回路図である。

符号の説明

１ 人工衛星
２ 送受信機
３ 受信機
４ 送信機
５ 放送用送信機
６−１〜６−ｎ 地上局
７−１〜７−ｎ 受信機
８−１〜８−ｎ 送信機
９ 天気予測センタ
１０ データ集計部
１１ データ配信部
１２ 天気予測部
ａ１〜ａｎ 放送信号
ｂ１〜ｂｎ 受信状態信号
ｃ１〜ｃｎ 放送用信号
ｄ 解析用受信状態信号
ｅ 天気予測情報
ｆ 天気予測情報
ｇ１〜ｇｎ 付加情報
ｈ 配信情報

Claims (7)

1. 人工衛星からの送信電波を地球上に設けられた複数の地上局で受信し、
   該複数の地上局のそれぞれから当該送信電波の受信状態情報を前記人工衛星に送信し、
   前記人工衛星から、該人工衛星で受信された複数の受信状態情報に基づく解析を行って求められた天気予測情報を前記地球に配信することを特徴とする気象情報の配信装置。
2. 人工衛星からの送信電波を地球上に設けられた複数の地上局で受信し、該複数の地上局のそれぞれから当該送信電波の受信状態情報を前記人工衛星に送信し、
   前記人工衛星から、該人工衛星で受信された複数の受信状態情報を前記地球に設置された天気予測センタに送信し、
   前記天気予測センタで該複数の受信状態情報に基づく解析を行って求められた天気予測情報を前記人工衛星に送信し、
   前記人工衛星で受信された天気予測情報を該人工衛星から前記地球に配信することを特徴とする気象情報の配信装置。
3. 人工衛星からの送信電波を地球上に設けられた複数の地上局で受信し、
   該複数の地上局のそれぞれから当該送信電波の受信状態情報を前記人工衛星に送信し、
   該人工衛星で受信された複数の受信状態情報に基づく解析の一部を該人工衛星の側で行なうと共に、
   前記人工衛星から、該人工衛星で受信された複数の受信状態情報を前記地球に設置された天気予測センタに送信し、
   前記天気予測センタで該複数の受信状態情報に基づいて行われた解析情報を前記人工衛星に送信し、前記人工衛星で受信された前記解析情報を加味して得られた天気予測情報を該人工衛星から前記地球に配信することを特徴とする気象情報の配信装置。
4. 前記人工衛星は、前記地球上から発信された放送用及び／または通信用の信号を受信し、該受信された信号に基づく信号を前記地球に向けて送信するように構成された衛星を流用することを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の気象情報の配信装置。
5. 前記天気予測情報は、前記受信状態情報以外の情報を加味して求めることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の気象情報の配信装置。
6. 前記受信状態情報以外の情報は、当該地域の有する温度情報及び／または湿度情報を含む情報であることを特徴とする請求項５に記載の気象情報の配信装置。
7. 前記人工衛星は、前記地球に対して実質的な静止状態に位置されることを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の気象情報の配信装置。
   

Images