JP2005318396A - 音場補正機能付きオーディオ再生システム - Google Patents

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Abstract

【目的】聴取位置の変動に対する音場補正機能付きのオーディオ再生システムを提供する。
【構成】音場補正機能付きオーディオ再生システム10は、聴取予定位置uの前方左側及び前方右側に互いに離間して各々配置される主音声用の左スピーカ4及び右スピーカ5に対して、聴取予定位置uの前方中央に近接配置される音場再生用スピーカ2、3を、その中心軸Z回りに回転させる回転手段Kと、左右スピーカ4、5の配置位置で集音する集音手段6、7と、聴取位置から発せられた音声を前記集音手段6、7によって集音した2つの音声信号の時間差tから前記中心軸Zから前記聴取位置への方向を検出する聴取方向検出手段8と、前記音場再生用スピーカ2、3の正面(正中面F′)が前記聴取方向検出手段8によって検出された方向に向くように前記回転手段Kの回転動作を制御する回転制御手段9と、を備える構成である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、立体音場設定の信号処理手段を備えるオーディオ再生システムに関し、特に、聴取位置に応じて最適な音場を提供する音場補正機能を備えるオーディオ再生システムに関する。
所謂近接スピーカ型音場方式は、比較的狭い空間(例えば日本家屋の6畳間の部屋等が該当する。)における聴取予定位置の前方中央に互いに左右近接して配置された一対の近接スピーカ(音場再生用スピーカ)から聴取者の左右の耳に到達する音のうち、不要なクロストーク成分をキャンセルして、スピーカの存在を感じさせずに立体音場を実現する音場形成方式であり、基本的な仕組みは下記[特許文献1]〜[特許文献6]に記載されている。
上記近接スピーカ型音場方式の基本形態は、図13に示される近接スピーカ型音場方式のオーディオ再生システム30の概念図から判るように、立体音場設定の信号処理を行うオーディオ再生装置(FM放送、CD、MD、DVDオーディオ等のマルチチャンネル音源の読み取り・再生部、信号処理・音場形成部、アンプ、システム制御部等からなる。)21と、聴取予定位置uに居る聴取者Mの前方中央に互いに左右近接して設置された一対のスピーカ22、23のみからなるスピーカシステムとで構成され、センターチャンネルCchは実音源で再生し、センターチャンネル以外のチャンネル(例として左チャンネルLch、右チャンネルRch、左サラウンドチャンネルSLch、右サラウンドチャンネルSRch)は、破線で示された聴取予定位置uの前方左右の左チャンネルスピーカ24、右チャンネルスピーカ25及び後方左右の左サラウンドチャンネルスピーカ26、右サラウンドチャンネルスピーカ27の仮想音源から聴こえるように立体音場を形成する所謂近接スピーカ型音場信号処理をして前記一対のスピーカ22、23から出力している。
ところで、一般にオーディオ再生システムにおける音場形成は、オーディオ空間、聴取者(ユーザー)の聴取位置等の条件につき、理想的な状態を想定して予め信号処理が設定されている。しかし、聴取者は理想的な条件で聴取する場合はむしろ少なく、想定された聴取予定位置からずれた位置にて聴取することが多く、現実の聴取者の聴取状態に応じて最適音場を提供するための音場補正が要請される。
この点、下記[特許文献7]には、ラジオカセットプレーヤ等のオーディオ再生装置で臨場感溢れる再生を行うために、聴取者の指示に基づいて背面側にある左右リアスピーカをモータ駆動機構によって回転させ、その角度の変化によって、出力された音と他のスピーカの出力された音との位相差の変化によって趣向性ある臨場感を得るという考案が提示されている。
特表平10−509565号公報
特開平10−108292号公報 特表2000−506691号公報 特開平11−252698号公報 特開2000−333297号公報 特開2001−95085号公報 実開平5−88089号公報
前記近接スピーカ型音場方式(図13参照)の特徴は、狭い空間と一対の近接スピーカ22、23のみによって包み込まれるような立体音場を実現できることにあるが、欠点として、聴取者Mが前記一対のスピーカ22、23の正中面F(一対の近接スピーカ22、23から等距離となる平面で、且つスピーカから音が出る方向)上で且つ前記一対のスピーカ22、23から1〜2m付近の距離の極めて限られた領域に位置しなければ立体音場の効果が十分には得られない点が挙げられる。
これは一対の近接スピーカ22、23の互いの間隔が近接している(一般的に0.1m〜0.3m程度)ことで、聴取者Mの耳に到達する不用成分のクロストークをキャンセルするという近接スピーカ型音場方式の原理が、聴取者Mの位置が正中面F上から外れたり、スピーカ22、23からの距離が非常に遠くなったような場合には、正確に発揮されないことによる。この点、補正のための電気的な信号処理を加える手段は複雑過ぎて、理想的な立体音場の効果を得るのは難しい。
また、上記近接スピーカ型音場方式は、オーディオ再生システムとしては一般的に普及していない。蓋し、聴取空間が多少とも拡がっている場合は、左チャンネルと右チャンネルの音源は、聴取者前方の左右に離間して配置されたスピーカから実音源として出力されないと良好な前方定位のステレオ感が得られないのである。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、近接スピーカ型音場方式の原理を採り入れた聴取予定位置の前方中央に近接配置される一対の音場再生用スピーカと、前方左側及び前方右側に互いに離間して配置される左チャンネルと右チャンネルの主音声用の左右スピーカとを組み合わせたスピーカシステム、或いは、近接スピーカ型音場方式の一対の近接スピーカからなる左用音場再生用スピーカと右用音場再生用スピーカをそれぞれ聴取予定位置の前方左側と前方右側に離間して配置されるスピーカシステムとして、ステレオ感に溢れ且つ効果的な近接スピーカ型音場方式の立体音場を得るとともに、聴取者の聴取位置が聴取予定位置からずれた場合に、前記近接スピーカの向きを聴取者の位置に対して補正することにより、最適の立体音場の効果が得られるようにした音場補正機能付きオーディオ再生システムを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)聴取予定位置uの前方左側及び前方右側に互いに離間して配置されるそれぞれ主音声用の左スピーカ4及び右スピーカ5に対して、前記聴取予定位置uの前方中央に配置される音場再生用スピーカ2、3を、設置面に対して垂直方向の前記音場再生用スピーカ2、3の中心軸Z回りに回転させる回転手段Kと、前記左スピーカ4及び右スピーカ5の配置位置で集音する集音手段6、7と、聴取位置から発せられた音声を前記集音手段6、7によって集音した2つの音声信号間の時間差から前記音場再生用スピーカ2、3の前記中心軸Zから前記聴取位置への方向を検出する聴取方向検出手段8と、前記音場再生用スピーカ2、3の正面が前記聴取方向検出手段8によって検出された方向に向くように前記回転手段Kの回転動作を制御する回転制御手段9と、を備えることを特徴とする音場補正機能付きオーディオ再生システム10を提供する。
(2)また、聴取予定位置uの前方左側に配置される左用音場再生用スピーカ(12、13)DS1及び前記聴取予定位置uの前方右側に配置される右用音場再生用スピーカ(14、15)DS2を、設置面に対して垂直方向の前記左用音場再生用スピーカ(12、13)DS1及び右用音場再生用スピーカ(14、15)DS2のそれぞれの中心軸Z1、Z2回りに回転させる回転手段K1、K2と、前記左用音場再生用スピーカ(12、13)DS1及び右用音場再生用スピーカ(14、15)DS2の配置位置で集音する集音手段6、7と、聴取位置から発せられた音声を前記集音手段6、7によって集音した2つの音声信号間の時間差から前記左用音場再生用スピーカ(12、13)DS1及び前記右用音場再生用スピーカ(14、15)DS2のそれぞれの前記中心軸Z1、Z2から前記聴取位置への方向を検出する聴取方向検出手段8と、前記左用音場再生用スピーカ(12、13)DS1及び前記右用音場再生用スピーカ(14、15)DS2の各正面が前記聴取方向検出手段8によって検出された方向に向くように前記回転手段K1、K2の回転動作を制御する回転制御手段9と、を備えることを特徴とする音場補正機能付きオーディオ再生システム20を提供する。
本発明に係る音場補正機能付きオーディオ再生システムは、上記のように構成されているため、
(1)ダイポール音場方式の立体音場に左右スピーカからの左右チャンネルの実音源の音場が加わって、良好な前方定位のステレオ感とともに優れた立体音場が形成される。
(2)信号処理の補正では難しいスピーカと聴取者との物理的位置関係の補正が聴取者が聴取位置で手を叩くなどの比較的簡単な方法で実現でき、これによってダイポール音場方式の信号処理本来の特性が理想的に再現できる。
(3)音の効果に直接関係する部分であるスピーカに目で見える機械的な動きを加えることで、実際に音場が最適化したという実感をユーザーに与えられる。
本発明に係る音場補正機能付きオーディオ再生システムの実施の形態2例について図面に基づいて説明する。なお、近接スピーカ型音場方式のダイポール信号処理及びオーディオ再生装置における回路構成等については公知技術の適用なので説明を省略し、専ら本発明の新規な特徴であるスピーカシステムのスピーカ配置、回転駆動手段、集音手段、聴取者方向検出手段、及び回転駆動制御手段について説明する。
図1は請求項1の発明に係る第1の実施の形態の音場補正機能付きオーディオ再生システムの構成を説明するための概念図である。図2は前記第1の実施の形態のスピーカシステムの聴取者が聴取予定位置に位置しない場合を示す概念図である。図3は第1の実施の形態の音場補正の方式を説明するための概念図である。図4は第1の実施の形態の音場補正の手段を説明するための概念図である。図5は第1の実施の形態の近接する一対の音場再生用スピーカが共通円上に配置された場合の音場補正内容を説明するための聴取予定位置とずれた聴取位置との関係を示す図である。図6は前記第1の実施の形態の音場補正内容を説明するための補正後の状態を示す図である。図7は第1の実施の形態の音場補正の計算処理内容を説明するための図である。図8は第1の実施の形態の音場再生用スピーカが共通円の内側に配置された場合の位置関係を表す図である。図9は第1の実施の形態の聴取者が共通円の外側に位置する場合の位置関係を表す図である。図10は請求項2の発明に係る第2の実施の形態の音場補正機能付きオーディオ再生システムの構成を説明するための概念図である。図11は第2の実施の形態におけるスピーカシステムの聴取予定位置に聴取者が位置する概念図である。図12は第2の実施の形態における聴取者が聴取予定位置から共通円上のずれた聴取位置にいる場合の補正後の状態を示す概念図である。
以下に説明する本発明に係る音場補正機能付きオーディオ再生システムでは、第1に、図1に示されるオーディオ再生システム10のように、スピーカシステムを単なる近接スピーカ型音場方式の近接配置される一対の音場再生用スピーカ(2、3)DSのみではなく、それに加えて通常のステレオ方式のように、左右に互いに離間して配置される左右チャンネルLch、Rch専用の主音声用のス左ピーカ4と右スピーカ5を付加した構成(請求項1に係る第1の実施の形態)とし、或いは図10に示されるオーディオ再生システム20のように、近接配置の一対のスピーカ(スピーカ12とスピーカ13)DS1及び(スピーカ14とスピーカ15)DS2を通常のステレオ方式のように、それぞれ左右に互いに離間して配置される構成(請求項2に係る第2の実施の形態)のスピーカシステムとして、左右チャンネルLch、Rchの音声を実音源で出力させて前方定位のステレオ感を高めている。なお、上記主音声用の左右スピーカ2と3又はDS1とDS2は想定される聴取予定位置uから略60度の開き角度を持つように配置されるのが好ましい。
第2に、近接スピーカ型音場方式において精度が要求される近接配置される図1の一対の音場再生用スピーカ(2、3)DSの正中面F、或いは図10の音場再生用スピーカの左用音場再生用スピーカ12、13(DS1)、右用音場再生用スピーカ14、15(DS2)の各正中面F1、F2と聴取者Mとの位置関係(方向)に注目し、これを自動的に最適聴取状態になるように補正する補正手段を備えている。
以下、第1の実施の形態の例について上記補正手段を説明する。
先ず、図1に示されるように、近接する音場再生用スピーカ2、3の正面、正確には、正中面F上にある最適聴取領域L内の聴取予定位置uに聴取者Mが位置する場合は何ら問題ないが、図2に示されるように、聴取者Mが正中面Fからずれて最適聴取領域Lから外れた場合に、聴取者M自身は中央正面に配置されている前記一対の音場再生用スピーカ2、3の方に向き直れば良いが、前記音場再生用スピーカ2、3との距離が等しくなくなり、近接スピーカ型音場方式の効果が得られなくなる。
そこで、図3に示されるように、前記一対の近接する音場再生用スピーカ2、3の方も聴取者Mと正面に対峙するように(正中面F上に聴取者Mが位置するように)一体に向かせるのである。この一対の音場再生用スピーカ2、3の向きは単に手動で聴取者M自らスピーカを動かして調整することも不可能ではないが、聴取位置を変える度に手動で調整するのは面倒であり、この補正作業を聴取者Mに期待するのは無理である。また、その調整精度も期待出来ない。
本発明では、図1のスピーカシステムにおける左右の主音声用のスピーカ4、5、或いは図10における近接する一対のスピーカ12、13からなる左用音場再生用スピーカDS1及び一対の近接するスピーカ14、15からなる右用音場再生用スピーカDS2が聴取者Mに対して左右にはっきり別れて位置していることに着目して、聴取者Mの現実の聴取位置と、前記主音声用の左スピーカ4と右スピーカ5との位置関係、或いは左用音場再生用スピーカDS1と右用音場再生用スピーカDS2との位置関係を利用して音場設定を補正して最適化する。
即ち、図4に示されるように、聴取予定位置uの前方中央に配置される音場再生用スピーカ2、3を設置面に対して中間点(正確には2つのスピーカ2、3同士を結ぶ線の2等分点であり、正中面F上の点)における垂直方向の中心軸Z回りに回転させる回転手段K(例えば、図示されないDCモータと減速ギアの組み合わせによる回転角度の微調制御が可能な低速回転駆動機構)を設け、聴取者Mが自分の顔の前で手を叩く等して発するパルス的な短い音声を左右スピーカ4、5の位置に設けられた集音手段6、7を経由して聴取方向検出手段としての時間差検出回路8及び、回転制御手段としての回転駆動制御回路9(マイクロコンピュータによるソフトコントロール)に導き、前記音声の検出の時間差tから聴取者Mの聴取位置を計算し、前記回転駆動制御回路9につながる回転手段Kを作動させて前記音場再生用スピーカDS(2、3)を一体に中心軸Z回りに回転させ、正中面F′上に聴取者Mが位置する角度αで停止させる。これによって近接スピーカ型音場方式の音場再生用スピーカ2、3は聴取者Mに対し正面を向いた形となり、聴取者Mは正中面F′上に位置して聴取者Mにとって理想的な近接スピーカ型音場が再生されるのである。
上記左右スピーカ4及び5の位置に設けられた前記集音手段6、7は、別途設けられた一般のマイクロフォン或いは前記左右スピーカ4、5の出力回路を一時遮断して、前記左右スピーカ4、5自身を集音装置(スピーカコーンの振動による逆起電力を増幅して利用する。)として利用する方法も考えられる。
後者のスピーカ自身を集音装置として利用する方法は、機器内部に切替え機能を設けておき、スピーカをパワー増幅器の出力アンプから切り離し、代わりにマイクアンプ等の微小信号増幅器に接続を切り換えるようにする。この方法は部品点数が減るだけでなく、接続するケーブルをも共用できるという利点があるので好ましい集音手段といえる。
次に、図4の回転駆動制御回路9における前記聴取者Mが現実の聴取位置で発生させた音声の左右スピーカ4、5に達する時間差tから聴取者Mの平面上の位置関係を計算する手法について説明する。なお、Lチャンネルの左スピーカ4及びRチャンネルの右スピーカ5は聴取者Mからみて等角、等距離にはならないが、通常のL、Rチャンネルのステレオ音声は近接スピーカ型音場方式の音場再生用スピーカ2、3に比べて、それ程繊細な位置関係は必要としないので、左右スピーカ4、5については補正の必要性は小さい。
図5は理想状態の位置関係を示す。聴取者Mは最適な聴取予定位置の点Aに位置する。この状態から聴取者Mが点Bの位置に移動したとする。この時点で聴取者Mは、スピーカ2、3の正中面Fから右側にずれてしまったことになり、最適な聴取予定位置の点Aから外れる。
ここで、上記左スピーカ4の位置をL点、右スピーカ5の位置をR点及び聴取者Mの位置A点の3点を共有する円周上に音場再生用スピーカDS(2、3)の中間点C点があり、聴取者Mが移動した先のB点もこの円周上にあるものとして解析を進める。(それぞれが円周上にない場合については後述する。)
図6において、L点、C点、R点は同一円周上にあるので、共通の弧ABを見る円周角∠ALB、∠ACB、∠ARBは等しい(∠ALB=∠ACB=∠ARB=αとする。)。
線分LBの長さをm、線分RBの長さをnとする。また聴取者Mの移動距離(線分ABの長さ)をdとする。
m及びnの値は直接判らないが、聴取者Mが顔の直前で手を叩いて発生させたパルス的な音声を主音声用の左右スピーカ4及び5の位置の集音手段6、7で捉え、その2つの音声の時間差から(m−n)の値が得られる。
常温(摂氏15度)において音が1気圧の大気中を伝搬する速度は秒速340.3メートルとされるので、2つの音声の時間差がtミリ秒であれば、m−n=0.3403×t(メートル)
となる。もしt=2.94ミリ秒であれば、(m−n)は概ね1メートルである。
次に、図7において、聴取者Mが移動した距離d(=線分ABの長さ)を補正する回転角度αと(m−n)との関係を求める。
結論から述べると、sinαは(m−n)の1次関数であり、sinα=k(m−n)と表記される(kは固定定数である)。
次に、L点から円の中心Oを通過する中心線LPを引く。円の半径をr、∠ALP=βとする。r及びnは初期の3点A、L、Rの設定で決まる固定定数である。而して、Lから聴取者Mのいる位置B点までの距離mは、
Figure 2005318396
同様に距離nに注目すると、
Figure 2005318396
[数1]−[数2]から、
Figure 2005318396
従って、
Figure 2005318396
また、聴取者Mの移動距離と(m−n)の関係は、
Figure 2005318396
[数5]から逆関数の形で角度αを導き出し、図6の音場再生用スピーカ2、3を一体に角度αで回転させてやることで、正中面F′上に聴取者Mを位置させることが可能となる。
因みに、三角形ALRが正三角形である場合は、β=30度となるため、[数5]の式からd=m−nとなる。
次に、図8は前記音場再生用スピーカ2、3が共通円の内側に配置された場合である。この場合の補正すべき回転角度θはαより大きく円の中心にいくにしたがって大きくなる。円の中心Oの位置に置かれた場合は、θ=2αなり、その中間では、α<0<2αの値をとる。
また、ちょうど1/2の位置にきた場合は、αが小さい(聴取者Mの移動が少ない)間は概ね、θ=4α/3という関係が成り立つ。
このような関係から、θに関しては複雑な関数計算を行わず、m−nに対する照会テーブルを用意して回転角度を決める方法もある。
次に、聴取者Mの移動位置B′点が共通円から外れる場合、例えば図9のB点ではなく、B′点に移動したような場合は、厳密には非常に複雑な計算になるが、図9で判るように、αが小さい(聴取者の移動距離がそれほど大きくない)限りにおいては、m−n≒m′−n′と考えて差し支えない。
即ち、聴取者MがB′点に位置した場合においても、聴取者Mが手を叩いて発生させたパルス的な音声が左右スピーカ4、5それぞれに到達する時間差t′(ミリ秒)から求まる、m′−n′=0.3403×t′(メートル)を[数5]の式に当てはめてαの値を算出して構わない。
次に、本発明の第2の実施の形態例として、聴取予定位置の前方の左右に離間して配置された左用音場再生用スピーカと右用音場再生用スピーカからなるスピーカシステムを有する場合(請求項2の実施の形態例)を説明する。
図10に示される第2の実施の形態のオーディオ再生システム20の例では、聴取予定位置uの前方の左右両側の離れた位置に配置される一対の近接するスピーカ12、13からなる左用音場再生用スピーカDS1と一対の近接するスピーカ14、15からなる右用音場再生用スピーカDS2にそれぞれ集音手段6、7を設けて前述と同様の補正手段によって補正が行われる。
図11は近接スピーカ型音場方式の2組の近接スピーカを持つ近接スピーカ型音場システムの理想的な位置関係を示す。この近接スピーカ型音場システムにおいては、左右に離間して配置される左用音場再生用スピーカDS1と右用音場再生用DS2は、聴取者Mに対して斜めの位置に置かれているが、この状態で聴取者MはそれぞれのスピーカDS1、DS2の正中面F1、F2上の聴取予定位置uに位置している。但し、聴取者M自身はこの場合の正面、即ち、左右のスピーカDS1、DS2の中間C点の方向を向いている。
図12は、この理想状態の聴取予定位置uから聴取者Mが共有円上の点Bに移動した場合の図である。
この場合の左右の集音手段6、7として、スピーカをマイクロフォンとして利用する場合は、左用音場再生用スピーカDS1の近接スピーカ12、13及び右用音場再生用スピーカDS2の近接スピーカ14、15におけるそれぞれの外側同士のスピーカ12、15、または内側同士のスピーカ13、14を使用し、別途スピーカの筺体にマイクロフォンを設ける場合は、それぞれのスピーカ筺体のセンター付近に配置する。
図12において描かれる解析手順は、図6の場合と全く同様である。即ち、図7の場合と同様にして[数5]の式が導き出されるので、図11の状態から、近接スピーカ型音場方式の一対のスピーカDS1及び一対のスピーカDS2について同じ回転方向(図11では反時計方向)に、
Figure 2005318396
に相当する回転角度だけ回転してやれば、点Bに移動した聴取者Mに対して、左右両方の音場再生用スピーカの正中面F1′、F2′上に位置することが可能となる。
なお、7で述べた「聴取者の移動位置が共通円から外れた場合」についても近似的に、
Figure 2005318396
で求められることに関しても同様である。
以上説明した補正のための解析では、聴取者Mと近接する一対のスピーカ2、3からなるスピーカDS或いは左用音場再生用DS1、右用音場再生用スピーカDS2との距離の関係は無視しているが、比較的狭いオーディオ空間での聴取を前提としている近接スピーカ型音場方式の近接スピーカ型音場システムでは、聴取者Mの聴取位置とスピーカ位置との距離の変動は小さいと考えられるのでさほど問題にならず、方向性を補正することで十分な音場補正効果が得られるのである。
請求項1の発明に係る第1の実施の形態の音場補正機能付きオーディオ再生システムの構成を説明するための概念図である。 前記第1の実施の形態のスピーカシステムの聴取者が聴取予定位置に位置しない場合を示す概念図である。 第1の実施の形態の音場補正の方式を説明するための概念図である。 第1の実施の形態の音場補正の手段を説明するための概念図である。 第1の実施の形態の一対の近接するスピーカが共通円上に配置された場合の音場補正内容を説明するための聴取予定位置とずれた聴取位置との関係を示す図である。 第1の実施の形態の音場補正内容を説明するための補正後の状態を示す図である。 第1の実施の形態の音場補正の計算処理内容を説明するための図である。 第1の実施の形態の一対の近接するスピーカが共通円の内側に配置された場合の位置関係を表す図である。 第1の実施の形態の聴取者が共通円の外側に位置する場合の位置関係を表す図である。 請求項2の発明に係る第2の実施の形態の音場補正機能付きオーディオ再生システムの構成を説明するための概念図である。 第2の実施の形態におけるスピーカシステムの聴取予定位置に聴取者が位置する概念図である。 第2の実施の形態における聴取者が聴取予定位置から共通円上のずれた聴取位置にいる場合の補正後の状態を示す概念図である。 公知技術の近接スピーカ型音場方式の基本的なオーディオ再生システムの概念図である。
符号の説明
1、11 オーディオ再生装置
2、3 音場再生用スピーカ
4 主音声用の左スピーカ
5 主音声用の右スピーカ
6、7 集音手段
8 時間差検出回路
9 回転駆動制御回路
12、13、14、15 スピーカ
10、20、30 オーディオ再生システム
F、F′、F1、F2、F1′、F2′ 正中面
M 聴取者
DS 音場再生用スピーカ
DS1 左用音場再生用スピーカ
DS2 右用音場再生用スピーカ
K、K1、K2 回転手段
Z 中心軸
L 最適聴取領域
d 聴取者が移動した距離
u 聴取予定位置
t 時間差
α、θ 回転角度

Claims (2)

  1. 聴取予定位置の前方左側及び前方右側に互いに離間して配置されるそれぞれ主音声用の左スピーカ及び右スピーカに対して、前記聴取予定位置の前方中央に配置される音場再生用スピーカを、設置面に対して垂直方向の前記音場再生用スピーカの中心軸回りに回転させる回転手段と、
    前記左スピーカ及び右スピーカの配置位置で集音する集音手段と、
    聴取位置から発せられた音声を前記集音手段によって集音した2つの音声信号間の時間差から前記音場再生用スピーカの前記中心軸から前記聴取位置への方向を検出する聴取方向検出手段と、
    前記音場再生用スピーカの正面が前記聴取方向検出手段によって検出された方向に向くように前記回転手段の回転動作を制御する回転制御手段と、
    を備えることを特徴とする音場補正機能付きオーディオ再生システム。
  2. 聴取予定位置の前方左側に配置される左用音場再生用スピーカ及び前記聴取予定位置の前方右側に配置される右用音場再生用スピーカを、設置面に対して垂直方向の前記左用音場再生用スピーカ及び右用音場再生用スピーカのそれぞれの中心軸回りに回転させる回転手段と、
    前記左用音場再生用スピーカ及び右用音場再生用スピーカの配置位置で集音する集音手段と、
    聴取位置から発せられた音声を前記集音手段によって集音した2つの音声信号間の時間差から前記左用音場再生用スピーカ及び前記右用音場再生用スピーカのそれぞれの前記中心軸から前記聴取位置への方向を検出する聴取方向検出手段と、
    前記左用音場再生用スピーカ及び前記右用音場再生用スピーカの各正面が前記聴取方向検出手段によって検出された方向に向くように前記回転手段の回転動作を制御する回転制御手段と、
    を備えることを特徴とする音場補正機能付きオーディオ再生システム。

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