JP2008092274A - オーディオ再生装置 - Google Patents

オーディオ再生装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008092274A
JP2008092274A JP2006270834A JP2006270834A JP2008092274A JP 2008092274 A JP2008092274 A JP 2008092274A JP 2006270834 A JP2006270834 A JP 2006270834A JP 2006270834 A JP2006270834 A JP 2006270834A JP 2008092274 A JP2008092274 A JP 2008092274A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
speaker
signal
cancellation
transfer function
listener
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006270834A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4969978B2 (ja
Inventor
Masaru Kimura
勝 木村
Fumihiro Matsuoka
文啓 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2006270834A priority Critical patent/JP4969978B2/ja
Publication of JP2008092274A publication Critical patent/JP2008092274A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4969978B2 publication Critical patent/JP4969978B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Stereophonic System (AREA)

Abstract

【課題】リスナーの位置ずれの許容範囲を広げることができるようにする。
【解決手段】右音信号Rinの特性を変更して、右スピーカ11からリスナー1の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号RCoutを生成し、右キャンセル信号RCoutをリスナー1の正面位置に対して右スピーカ11と非対称に配置されている右キャンセル用スピーカ12のアンプ22に出力する。また、左音信号Linの特性を変更して、左スピーカ13からリスナー1の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号LCoutを生成し、左キャンセル信号LCoutをリスナー1の正面位置に対して左スピーカ13と非対称に配置されている左キャンセル用スピーカ14のアンプ24に出力する。
【選択図】図1

Description

この発明は、複数のスピーカを駆動して、仮想的な音像定位を空間の任意の位置に実現するオーディオ再生装置に関するものである。
従来より、リスナーの前方に設置されているスピーカのみを用いて、空間の任意の位置に音源が存在するようにリスナーに知覚させるオーディオ再生技術(以下、「仮想音像定位技術」と称する)が知られている。仮想音像定位技術の実現方法は、例えば、以下の非特許文献1に開示されている。
仮想音像定位技術では、ある空間の任意の位置から、同じ空間内の任意の位置にいる人間の両耳までの伝達特性を測定(あるいは、推定)しておき、その伝達特性を入力音源に畳み込むことにより、その人間の両耳に到達すると考えられる信号を生成する。
このような信号は、バイノーラル信号と呼ばれ、例えば、ヘッドホンなどの再生機器を用いて、バイノーラル信号を両耳に提示することにより、任意の位置に音源があるかのようにリスナーに錯覚させることができる。
ただし、再生機器がスピーカである場合、バイノーラル信号を正しく人間の両耳に届けるためには、以下に述べるクロストークキャンセル処理が必要になる。
再生機器がスピーカである場合、片方の耳に提示するバイノーラル信号を片方のスピーカでそのまま再生すると、反対側の耳にも音が到達するクロストークが発生するため、バイノーラル信号を正しく両耳に提示することができない。
バイノーラル信号を正しく両耳に提示することができない場合、想定している位置に音像が定位しなくなる問題が発生する。
この問題を解決するために、スピーカ再生による仮想音像定位技術では、一般的に、クロストークの発生を抑圧するクロストークキャンセル処理を実施する。
図10は以下の非特許文献1に開示されているクロストークキャンセラを示す構成図である。
図10のクロストークキャンセラでは、リスナーの前方左側に配置されている左スピーカからリスナーの左耳に到達する伝達関数がHLL、左スピーカからリスナーの右耳に到達する伝達関数がHLR、リスナーの前方右側に配置されている右スピーカからリスナーの右耳に到達する伝達関数がHRR、右スピーカからリスナーの左耳に到達する伝達関数がHRLに設定されている。
図10のクロストークキャンセラがクロストークキャンセル処理を実施すれば、リスナーの左右の耳にバイノーラル信号を正確に提示することが可能になる。
ただし、クロストークキャンセル処理は、想定している再生系と実環境が完全に一致するときには良好に働くが、想定している再生系と実環境が異なる場合、例えば、リスナーの位置が想定している位置からずれている場合には、クロストークの抑圧性能が大幅に劣化する。
リスナーの位置が想定している位置からずれることは、実環境でしばしば起こることである。
そこで、リスナーの位置ずれに伴うクロストークキャンセル効果の劣化度合いを実験すると、図11に示すような実験結果が得られる。図11には、クロストークキャンセル処理におけるリスナーの位置ずれの許容範囲(スイー卜スポット)も示している。
ただし、この許容範囲は、リスナーの片側の耳に到達する音圧と、反対側の耳に漏れてしまうクロストークとの音圧の比が−3dB以下となる範囲としている。
この実験では、頭部の反射/回折を無視し、自由空間上で18cm離れている2点をリスナーの両耳の位置に想定している(人間の頭幅を18cmと仮定している)。
なお、この実験のように、頭部の反射/回折を無視しているモデルにおいても、実環境と傾向が似ていることが、以下の非特許文献2で示唆されている。
以下、この実験の条件を詳細に説明する。
リスナーの頭部の中央を原点とする2次元座標を想定し、リスナーの視線方向(正面方向)をY軸(リスナーよりも前方がプラス)、左右方向をX軸(原点よりも右側がプラス)とする。
このとき、左スピーカの位置は(−100cm,173cm)であり、右スピーカの位置は(100cm,173cm)である。
また、スピーカを点音源と仮定して、500Hzの正弦波を再生することを想定している。
図11の実験結果によると、従来のクロストークキャンセル処理では、リスナーが左右に僅か10cm動いただけで、良好なクロストークキャンセル効果が得られなくなることが分かる。
即ち、良好な仮想音像定位効果を得るためには、リスナーがスピーカの中央付近に頭を保持し続けることが強要され、極めて限定的で不便を伴うことになる。
また、よくある試聴環境として、複数のリスナーが横に並んで同時に試聴する環境が考えられるが、このような試聴環境では、良好なクロストークキャンセル効果が得られなくなる。
なお、以下の特許文献1には、クロストークキャンセル処理におけるリスナーの位置ずれの許容範囲であるスイー卜スポットを広げる技術が開示されているが、この技術を利用しても、僅かに15cm程度の位置ずれを許容できるに過ぎず、複数のリスナーが横に並んで同時に試聴することは極めて困難である。
「音響システムとディジタル処理」P233−P237 コロナ社、平成7年3月出版 「スピーカを用いたバイノーラル立体音響再生」pp.398−403,武内隆、日本音響学会誌61巻7号、2005 特表2000−506691号公報
従来のオーディオ再生装置は以上のように構成されているので、クロストークキャンセル処理におけるリスナーの位置ずれの許容範囲が小さい。そのため、リスナーが左右に僅かにずれただけでも、良好な仮想音像定位効果を得られなくなり、また、複数のリスナーが横に並んで同時に試聴することが困難であるなどの課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、クロストークキャンセル処理におけるリスナーの位置ずれの許容範囲を広げることができるオーディオ再生装置を得ることを目的とする。
この発明に係るオーディオ再生装置は、右音信号分岐手段により分岐された他方の右音信号の特性を変更して、右スピーカから聴取者の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号を生成し、その右キャンセル信号を聴取者の正面位置に対して右スピーカと非対称に配置されている右キャンセル用スピーカのアンプに出力する右キャンセル用スピーカ駆動手段と、左音信号分岐手段により分岐された他方の左音信号の特性を変更して、左スピーカから聴取者の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号を生成し、その左キャンセル信号を聴取者の正面位置に対して左スピーカと非対称に配置されている左キャンセル用スピーカのアンプに出力する左キャンセル用スピーカ駆動手段とを設けるようにしたものである。
この発明によれば、右音信号分岐手段により分岐された他方の右音信号の特性を変更して、右スピーカから聴取者の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号を生成し、その右キャンセル信号を聴取者の正面位置に対して右スピーカと非対称に配置されている右キャンセル用スピーカのアンプに出力する右キャンセル用スピーカ駆動手段と、左音信号分岐手段により分岐された他方の左音信号の特性を変更して、左スピーカから聴取者の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号を生成し、その左キャンセル信号を聴取者の正面位置に対して左スピーカと非対称に配置されている左キャンセル用スピーカのアンプに出力する左キャンセル用スピーカ駆動手段とを設けるように構成したので、クロストークキャンセル処理におけるリスナーの位置ずれの許容範囲を広げることができる効果がある。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるオーディオ再生装置を示す構成図であり、図において、聴取者(以下、リスナーと称する)1はオーディオ再生装置により空間に生成される仮想的な音像を聴取する。
右スピーカ11はリスナー1の前方右側に配置されているメインスピーカである。
右キャンセル用スピーカ12は右スピーカ11からリスナー1の左耳に漏れ込む音を抑圧するために設けられているクロストークキャンセル専用のスピーカであり、右キャンセル用スピーカ12は右スピーカ11よりもリスナー1の近くに配置されている。また、右キャンセル用スピーカ12はリスナー1の正面位置に対して右スピーカ11と非対称に配置されている。
図1の例では、右スピーカ11と右キャンセル用スピーカ12の見開き角度が0度から20度の範囲内になるように、右スピーカ11と右キャンセル用スピーカ12が配置されている。
左スピーカ13はリスナー1の前方左側に配置されているメインスピーカである。
左キャンセル用スピーカ14は左スピーカ13からリスナー1の右耳に漏れ込む音を抑圧するために設けられているクロストークキャンセル専用のスピーカであり、左キャンセル用スピーカ14は左スピーカ13よりもリスナー1の近くに配置されている。また、左キャンセル用スピーカ14はリスナー1の正面位置に対して左スピーカ13と非対称に配置されている。
図1の例では、左スピーカ13と左キャンセル用スピーカ14の見開き角度が0度から20度の範囲内になるように、左スピーカ13と左キャンセル用スピーカ14が配置されている。
アンプ21はオーディオ再生装置から出力される右音信号Routにしたがって右スピーカ11を駆動する。
アンプ22はオーディオ再生装置から出力される右キャンセル信号RCoutにしたがって右キャンセル用スピーカ12を駆動する。
アンプ23はオーディオ再生装置から出力される左音信号Loutにしたがって左スピーカ13を駆動する。
アンプ24はオーディオ再生装置から出力される左キャンセル信号LCoutにしたがって左キャンセル用スピーカ14を駆動する。
右音信号分岐部31は右スピーカ11の駆動に用いる右音信号Rinを入力すると、その右音信号Rinを2つに分岐する。なお、右音信号分岐部31は右音信号分岐手段を構成している。
因みに、右音信号分岐部31が入力する右音信号Rinはバイノーラル信号であることが好ましいが、例えば、音楽CDなどに収録されている通常のステレオ信号でもよく、良好な広がり感を得ることができる。バイノーラル信号の場合には、バイノーラル信号の生成の際に想定された位置に仮想音像定位を実現することができる。
右音信号出力部32は右音信号分岐部31により分岐された一方の右音信号Rinを右音信号Routとして右スピーカ11のアンプ21に出力する。なお、右音信号出力部32は右スピーカ駆動手段を構成している。
右キャンセル信号生成部33は右音信号分岐部31により分岐された他方の右音信号Rinの特性を変更して、右スピーカ11からリスナー1の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号RCoutを生成する。
即ち、右キャンセル信号生成部33は右スピーカ11からリスナー1の左耳に到達する伝達関数がHR1L(=第1伝達関数)、右キャンセル用スピーカ12からリスナー1の左耳に到達する伝達関数がHR2L(=第2伝達関数)であるとき、(−HR1L/HR2L)の特性を右音信号Rinに付与して、右スピーカ11からリスナー1の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号RCoutを生成する。
右キャンセル信号出力部34は右キャンセル信号生成部33により生成された右キャンセル信号RCoutを右キャンセル用スピーカ12のアンプ22に出力する。
なお、右キャンセル信号生成部33及び右キャンセル信号出力部34から右キャンセル用スピーカ駆動手段が構成されている。
左音信号分岐部35は左スピーカ13の駆動に用いる左音信号Linを入力すると、その左音信号Linを2つに分岐する。なお、左音信号分岐部35は左音信号分岐手段を構成している。
因みに、左音信号分岐部35が入力する左音信号Linはバイノーラル信号であることが好ましいが、例えば、音楽CDなどに収録されている通常のステレオ信号でもよく、良好な広がり感を得ることができる。バイノーラル信号の場合には、バイノーラル信号の生成の際に想定された位置に仮想音像定位を実現することができる。
左音信号出力部36は左音信号分岐部35により分岐された一方の左音信号Linを左音信号Loutとして左スピーカ13のアンプ23に出力する。なお、左音信号出力部36は左スピーカ駆動手段を構成している。
左キャンセル信号生成部37は左音信号分岐部35により分岐された他方の左音信号Linの特性を変更して、左スピーカ13からリスナー1の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号LCoutを生成する。
即ち、左キャンセル信号生成部37は左スピーカ13からリスナー1の右耳に到達する伝達関数がHL1R(=第3伝達関数)、左キャンセル用スピーカ14からリスナー1の右耳に到達する伝達関数がHL2R(=第4伝達関数)であるとき、(−HL1R/HL2R)の特性を左音信号Linに付与して、左スピーカ13からリスナー1の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号LCoutを生成する。
左キャンセル信号出力部38は左キャンセル信号生成部37により生成された左キャンセル信号LCoutを左キャンセル用スピーカ14のアンプ24に出力する。
なお、左キャンセル信号生成部37及び左キャンセル信号出力部38から左キャンセル用スピーカ駆動手段が構成されている。
次に動作について説明する。
この実施の形態1では、従来通りの左右2本のメインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)に加えて、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)を2本設けるようにしている。
2本のメインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)と、2本のクロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)の配置は、以下に示す配置であることが好ましい。
第一に、右スピーカ11と右キャンセル用スピーカ12の配置関係においては、右キャンセル用スピーカ12が右スピーカ11よりもリスナー1の近くに配置される。
また、左スピーカ13と左キャンセル用スピーカ14の配置関係においては、左キャンセル用スピーカ14が左スピーカ13よりもリスナー1の近くに配置される。
第二に、右スピーカ11の位置がR1、右キャンセル用スピーカ12の位置がR2、左スピーカ13の位置がL1、左キャンセル用スピーカ14の位置がL2、リスナー1の頭部の中央点がOであるとするとき、右スピーカ11と右キャンセル用スピーカ12の見開き角度である∠R1OR2が0〜20度の範囲内になるように、右スピーカ11と右キャンセル用スピーカ12が配置される。
また、左スピーカ13と左キャンセル用スピーカ14の見開き角度である∠L1OL2が0〜20度の範囲内になるように、左スピーカ13と左キャンセル用スピーカ14が配置される。
2本のメインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)と、2本のクロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)が、上記のように配置されていることを前提として、以下、オーディオ再生装置の動作を詳細に説明する。
オーディオ再生装置の右音信号分岐部31は、右スピーカ11の駆動に用いる右音信号Rinを入力すると、その右音信号Rinを2つに分岐して、一方の右音信号Rinを右音信号出力部32に出力し、他方の右音信号Rinを右キャンセル信号生成部33に出力する。
また、オーディオ再生装置の左音信号分岐部35は、左スピーカ13の駆動に用いる左音信号Linを入力すると、その左音信号Linを2つに分岐して、一方の左音信号Linを左音信号出力部36に出力し、他方の左音信号Linを左キャンセル信号生成部37に出力する。
右音信号出力部32は、右音信号分岐部31により分岐された一方の右音信号Rinを受けると、その右音信号Rinを右音信号Routとして、右スピーカ11のアンプ21に出力する。
アンプ21は、オーディオ再生装置の右音信号出力部32から右音信号Routを受けると、その右音信号Routにしたがって右スピーカ11を駆動することにより、リスナー1の右耳に音が到達する。
右キャンセル信号生成部33は、右音信号分岐部31により分岐された他方の右音信号Rinを受けると、その右音信号Rinの特性を変更して、右スピーカ11からリスナー1の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号RCoutを生成する。
即ち、右キャンセル信号生成部33は、右スピーカ11からリスナー1の左耳に到達する伝達関数がHR1L、右キャンセル用スピーカ12からリスナー1の左耳に到達する伝達関数がHR2Lであるとき、(−HR1L/HR2L)の特性を右音信号Rinに付与して、右スピーカ11からリスナー1の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号RCoutを生成する。
右キャンセル信号出力部34は、右キャンセル信号生成部33から右キャンセル信号RCoutを受けると、その右キャンセル信号RCoutを右キャンセル用スピーカ12のアンプ22に出力する。
アンプ22は、オーディオ再生装置の右キャンセル信号出力部34から右キャンセル信号RCoutを受けると、その右キャンセル信号RCoutにしたがって右キャンセル用スピーカ12を駆動することにより、右スピーカ11からリスナー1の左耳に漏れ込む音を抑圧する。
左音信号出力部36は、左音信号分岐部35により分岐された一方の左音信号Linを受けると、その左音信号Linを左音信号Loutとして、左スピーカ13のアンプ23に出力する。
アンプ23は、オーディオ再生装置の左音信号出力部36から左音信号Loutを受けると、その左音信号Loutにしたがって左スピーカ13を駆動することにより、リスナー1の左耳に音が到達する。
左キャンセル信号生成部37は、左音信号分岐部35により分岐された他方の左音信号Linを受けると、その左音信号Linの特性を変更して、左スピーカ13からリスナー1の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号LCoutを生成する。
即ち、左キャンセル信号生成部37は、左スピーカ13からリスナー1の右耳に到達する伝達関数がHL1R、左キャンセル用スピーカ14からリスナー1の右耳に到達する伝達関数がHL2Rであるとき、(−HL1R/HL2R)の特性を左音信号Linに付与して、左スピーカ13からリスナー1の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号LCoutを生成する。
左キャンセル信号出力部38は、左キャンセル信号生成部37から左キャンセル信号LCoutを受けると、その左キャンセル信号LCoutを左キャンセル用スピーカ14のアンプ24に出力する。
アンプ24は、オーディオ再生装置の左キャンセル信号出力部38から左キャンセル信号LCoutを受けると、その左キャンセル信号LCoutにしたがって左キャンセル用スピーカ14を駆動することにより、左スピーカ13からリスナー1の右耳に漏れ込む音を抑圧する。
上述したように、右キャンセル信号生成部33が(−HR1L/HR2L)の特性を右音信号Rinに付与し、左キャンセル信号生成部37が(−HL1R/HL2R)の特性を左音信号Linに付与しているが、図1の例では、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)が、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)よりもリスナー1に近い位置に配置されているので、(−HR1L/HR2L)及び(−HL1R/HL2R)の特性が因果性を満足する。
逆に、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)が、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)よりもリスナー1に近い位置に配置されている場合、(−HR1L/HR2L)及び(−HL1R/HL2R)の特性が因果性を満足せず、これらの特性の実現が不可能になる。
ただし、この配置の場合でも、入力信号である右音信号Rin及び左音信号Linを一定時間以上遅延させれば、実質的に因果性を満足するように、(−HR1L/HR2L)及び(−HL1R/HL2R)の特性を実現することが可能になる。
しかし、この配置の場合には、より多くのオーディオ信号の遅延を生じるため、特にDVDコンテンツなどの画像と同期しているオーディオ再生システムにおいては、リップシンクがずれる問題が発生するため、好ましくない。
また、音波は距離に応じて減衰するため、図1のように、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)が、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)よりもリスナー1に近い位置に配置されていると、(−HR1L/HR2L)及び(−HL1R/HL2R)の特性のゲインが“1”を超えない。このため、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)を駆動する信号の方が、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)を駆動する信号よりも小さな音量となるため、消費電力が少なくなって経済的になる。
逆に、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)が、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)よりもリスナー1に近い位置に配置されていると、(−HR1L/HR2L)及び(−HL1R/HL2R)の特性のゲインが“1”を超える。このため、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)を駆動する信号の方が、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)を駆動する信号よりも大きな音量となるため、消費電力が多くなって不経済になる。
以上から明らかなように、スピーカ配置の第一の条件である「右キャンセル用スピーカ12が右スピーカ11よりもリスナー1の近くに配置され、左キャンセル用スピーカ14が左スピーカ13よりもリスナー1の近くに配置される」という条件は、信号遅延が少なく、消費電力が経済的になるという効果をもたらすことになる。
メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)と、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)との角度が狭い場合、頭部の回折や反射を考慮しても、右スピーカ11からリスナー1の右耳に到達する伝達関数HR1Rの振幅特性と、右キャンセル用スピーカ12からリスナー1の右耳に到達する伝達関数HR2Rの振幅特性とが極めて似た特性になる。
同様に、左スピーカ13からリスナー1の左耳に到達する伝達関数HL1Lの振幅特性と、左キャンセル用スピーカ14からリスナー1の左耳に到達する伝達関数HL2Lの振幅特性とが極めて似た特性になる。
異なるのは、各スピーカ11〜14からリスナー1の耳の位置までの距離の差によって発生する音波の到達時間差(位相差)が支配的である。
また、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)が、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)よりもリスナー1に近い位置に配置されている場合、下記の近似式(1)が成立する。
-aR1R=HR2R
-bR1L=HR2L
-cL1L=HL2L
-dL1R=HL2R (1)
したがって、右キャンセル信号生成部33が(−HR1L/HR2L)の特性を右音信号Rinに付与する処理は、bサンプルの遅延処理と右音信号Rinの位相反転で代用することができる。
同様に、左キャンセル信号生成部37が(−HL1R/HL2R)の特性を左音信号Linに付与する処理は、dサンプルの遅延処理と左音信号Linの位相反転で代用することができる。
図1のオーディオ再生装置から出力された4つの信号で、4つのスピーカ11〜14を駆動すると、リスナー1の右耳に到達する信号ERと、リスナー1の左耳に到達する信号ELは、以下の式(2)のように表すことができる。
R
=RinR1R−RinR1LR2R/HR2L+LinL1R−LinL1RL2R/HL2R
=Rin(HR1R−HR1LR2R/HR2L

L
=LinL1L−LinL1RL2L/HL2R+RinR1L−RinR1LR2L/HR2L
=Lin(HL1L−HLIRL2L/HL2R) (2)
式(2)から明らかなように、リスナー1の右耳に到達する信号ERは、右耳へのクロストークであるLin成分がキャンセルされてRin成分のみになり、リスナー1の左耳に到達する信号ELは、左耳へのクロストークであるRin成分がキャンセルされてLin成分のみとなるため、リスナー1の両耳に到達する信号ER,ELからクロストーク成分をキャンセルさせることができる。
図1のオーディオ再生装置では、クロストークの抑圧効果が極めて広い範囲に及ぶことになるが、クロストークの抑圧効果については、最初に定性的な説明を行ってから定量データを明示する。
図1のオーディオ再生装置では、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)と、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)との角度が狭く、さらに、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)と、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)とがリスナー1の正面位置(Y軸)に対して非対称に配置されているため、リスナー1の左右のずれが比較的大きくなっても、リスナー1から見たメインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)と、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)との相対的な位置関係が大きく崩れることがない。
ここで、相対的な位置関係とは、リスナー1と、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)とクロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)とのなす角度(∠R1OR2、∠L1OL2)、および、これらのスピーカ11〜14と左右の耳との距離の相対関係である。
一例として、リスナー1が右側にずれた場合を考えると、左スピーカ13からリスナー1までの距離は長くなるが、左キャンセル用スピーカ14からリスナー1までの距離もほぼ同じ程度の長さだけ長くなる。
一方、右スピーカ11からリスナー1までの距離は短くなるが、右キャンセル用スピーカ12からリスナー1までの距離もほぼ同じ程度の長さだけ短くなる。
スピーカの角度については、なす角度∠R1OR2、∠L1OL2の変化分がほとんどない。
このため、リスナー1の左右のずれに対して極めて頑健となり、スイートスポットが大幅に広がることが理解される。
なお、リスナー1が左側にずれた場合も同様である。
図2、図3及び図4は図1のオーディオ再生装置により得られるスイートスポットを示す説明図であり、図2〜図4における各種条件は以下の通りである。
図11と同様に、リスナー1の頭部の中央を原点とする2次元座標において、左スピーカ13の位置は(−100cm,173cm)であり、右スピーカ11の位置は(100cm,173cm)である。
また、左キャンセル用スピーカ14の位置は(−90cm,163cm)、右キャンセル用スピーカ12の位置は(90cm,163cm)である。
図1のオーディオ再生装置では、右キャンセル用スピーカ12が右スピーカ11よりもリスナー1の近くに配置されており、左キャンセル用スピーカ14が左スピーカ13よりもリスナー1の近くに配置されている。また、なす角度∠R1OR2、∠L1OL2が約1.1度である。
すべてのスピーカ11〜14を点音源と仮定して、図2では500Hzの正弦波、図3では1000Hzの正弦波、図4では4000Hzの正弦波を使用している。
図2〜図4から明らかなように、図1のオーディオ再生装置では、500Hz〜4000Hzの広い帯域に亘って、リスナー1が左又は右に約40cmずれても良好な仮想音像定位効果が得られることが確認できる。左右合わせた幅としては80cmに及ぶが、この幅は、頭の中心位置のずれ幅の許容範囲であるため、人の肩幅を40〜50cmとすると、2〜3人が横に並んで試聴する環境においても、全てのリスナー1に同時に良好な仮想音像定位効果を与えることができる。
なお、なす角度∠R1OR2、∠L1OL2が狭くなるようにスピーカ11〜14を配置することで広いスイートスポットが実現することができるが、なす角度∠R1OR2、∠L1OL2が20度を超えると、位置によっては、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)とクロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)の指向特性が大きく異なってくるため、クロストークを抑圧できる範囲が狭くなる問題が発生する。このため、なす角度∠R1OR2、∠L1OL2が0度〜20度の範囲となるようにスピーカ11〜14を配置することが望ましい。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、右キャンセル信号生成部33が右音信号分岐部31により分岐された右音信号Rinの特性を変更して、右スピーカ11からリスナー1の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号RCoutを生成し、右キャンセル信号出力部34が右キャンセル信号RCoutをリスナー1の正面位置に対して右スピーカ11と非対称に配置されている右キャンセル用スピーカ12のアンプ22に出力し、左キャンセル信号生成部37が左音信号分岐部35により分岐された左音信号Linの特性を変更して、左スピーカ13からリスナー1の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号LCoutを生成し、左キャンセル信号出力部38が左キャンセル信号LCoutをリスナー1の正面位置に対して左スピーカ13と非対称に配置されている左キャンセル用スピーカ14のアンプ24に出力するように構成したので、クロストークキャンセル処理におけるリスナー1の位置ずれの許容範囲を広げることができる効果を奏する。
また、この実施の形態1において、右キャンセル信号生成部33が(−HR1L/HR2L)の特性を右音信号Rinに付与する処理を、bサンプルの遅延処理と右音信号Rinの位相反転で代用し、左キャンセル信号生成部37が(−HL1R/HL2R)の特性を左音信号Linに付与する処理を、dサンプルの遅延処理と左音信号Linの位相反転で代用するようにした場合、右キャンセル信号生成部33及び左キャンセル信号生成部37の内部構成の簡略化を図ることができる効果を奏する。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、オーディオ再生装置が極めて広いスイートスポットを実現するものについて示したが、式(2)から明らかなように、リスナー1の両耳に到達する信号ER,ELが変形されてしまうことになる。即ち、リスナー1の右耳に到達する信号ERには、(HR1R−HR1LR2R/HR2L)の特性が付与され、リスナー1の左耳に到達する信号ELには、(HL1L−HLIRL2L/HL2R)の特性が付与される。
近似式(1)を用いて、式(2)を変形すると、以下の式(3)のようになる。
R
=Rin(HR1R−HR1LR2R/HR2L
=Rin(HR1R−HR1L-aR1R/z-bR1L
=RinR1R(1−z-a+b

L
=Lin(HL1L−HLIRL2L/HL2R
=Lin(HL1L−HLIR-cL1L/z-dL1R
=LinL1L(1−z-c+d) (3)
ここで、(1−z-n)という特性(−n=−a+b、または、−n=−c+d)は、ある信号に対して遅延を施して、逆相にした信号を元の信号に加算した特性に相当する。
信号の周波数が低くなる程、遅延処理を施しても信号の位相変化量が少ないため、これらを逆相で加算すると、大幅な振幅の減衰を生じることになる。
また、遅延量nの時間で音波が進行する距離をLとするとき、Lの整数分の1の波長となる周波数ではディップが発生するため、振幅特性がフラットでなくなる。
図5は(1−z-n)の周波数―振幅特性を示す説明図である。図5では、遅延量は0.125msec、音速は340m/secにしてある。このときの距離Lは4.25cmであり、8000Hzの波長に相当する。
図5を参照すると、信号の周波数が低周波領域に移行する程、振幅特性が減衰していることや、波長がLの整数分の1にあたる8000Hz、16000Hz、24000Hzで顕著なディップが発生していることが分る。
図5は一例であり、スピーカ11〜14の配置によって周波数特性が異なってくるが、本発明の好適なスピーカ11〜14の配置では同様の傾向を示すことになる。
このような振幅特性の変形は音質の劣化につながるため、音質を重視するリスナー1においては大きな問題となり得る。
図6はこの発明の実施の形態2によるオーディオ再生装置を示す構成図であり、図6のオーディオ再生装置では、上記の問題を解決することができる。図6において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
周波数特性補正処理部39は右音信号Rinの周波数特性を補正して、補正後の右音信号Rinを右音信号分岐部31に出力する。
周波数特性補正処理部40は左音信号Linの周波数特性を補正して、補正後の左音信号Linを左音信号分岐部35に出力する。
なお、周波数特性補正処理部39及び周波数特性補正処理部40から周波数特性補正手段が構成されている。
次に動作について説明する。
周波数特性補正処理部39は、右音信号Rinを入力すると、右耳に到達する信号ERを出来る限りフラットな周波数特性に修正する補正処理を実施する。
この補正処理には、例えば、右音信号Rinの低域を増幅する低域増幅処理や、図5に示すディップを潰す処理(例えば、1/(HR1R−HR1LR2R/HR2L)の特性を右音信号Rinに付与する処理)などが含まれている。
周波数特性補正処理部39による補正後の右音信号Rinは、右音信号分岐部31に出力され、以後、上記実施の形態1と同様の処理が行われる。
周波数特性補正処理部40は、左音信号Linを入力すると、左耳に到達する信号ELを出来る限りフラットな周波数特性に修正する補正処理を実施する。
この補正処理には、例えば、左音信号Linの低域を増幅する低域増幅処理や、図5に示すディップを潰す処理(例えば、1/(HL1L−HLIRL2L/HL2R)の特性を左音信号Linに付与する処理)などが含まれている。
周波数特性補正処理部40による補正後の左音信号Linは、左音信号分岐部35に出力され、以後、上記実施の形態1と同様の処理が行われる。
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、周波数特性補正処理部39が右音信号Rinの周波数特性を補正して、補正後の右音信号Rinを右音信号分岐部31に出力し、周波数特性補正処理部40が左音信号Linの周波数特性を補正して、補正後の左音信号Linを左音信号分岐部35に出力するように構成したので、リスナー1の左右の耳に到達する信号EL、ERの周波数特性を補正することができるようになり、その結果、上記実施の形態1と同様の広いスイートスポットを実現すると同時に、音質の劣化を防止することができる効果を奏する。
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3によるオーディオ再生装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
右帰還信号生成部41は右キャンセル信号生成部33により生成された右キャンセル信号RCoutの特性を変更する。
即ち、右帰還信号生成部41は右スピーカ11からリスナー1の右耳に到達する伝達関数をHR1R(=第5伝達関数)、右キャンセル用スピーカ12からリスナー1の右耳に到達する伝達関数をHR2R(=第6伝達関数)とするとき、(−HR2R/HR1R)の特性を右キャンセル信号RCoutに付与することによって右キャンセル信号RCoutの特性を変更する。
右加算器42は右帰還信号生成部41による特性変更後の右キャンセル信号RCoutを右音信号Rinに加算する。
なお、右帰還信号生成部41及び右加算器42から右帰還手段が構成されている。
左帰還信号生成部43は左キャンセル信号生成部37により生成された左キャンセル信号LCoutの特性を変更する。
即ち、左帰還信号生成部43は左スピーカ13からリスナー1の左耳に到達する伝達関数をHL1L(=第7伝達関数)、左キャンセル用スピーカ14からリスナー1の左耳に到達する伝達関数をHL2L(=第8伝達関数)とするとき、(−HL2L/HL1L)の特性を左キャンセル信号LCoutに付与することによって左キャンセル信号LCoutの特性を変更する。
左加算器44は左帰還信号生成部43による特性変更後の左キャンセル信号LCoutを左音信号Linに加算する。
なお、左帰還信号生成部43及び左加算器44から左帰還手段が構成されている。
上記実施の形態2では、右音信号分岐部31及び左音信号分岐部35の前段に周波数特性補正処理部39,40を実装して、周波数特性補正処理部39,40が右音信号Rin,左音信号Linの周波数特性を補正するものについて示したが、周波数特性補正処理部39における1/(HR1R−HR1LR2R/HR2L)の特性を正確に実現するフィルタや、周波数特性補正処理部40における1/(HL1L−HLIRL2L/HL2R)の特性を正確に実現するフィルタを設計することは困難である。
また、フィルタを設計することができたとしても、大幅に低域を増幅するような特性となるため、フィルタ処理において、出力信号が飽和してしまう可能性がある。
出力信号の飽和は、クロストークの抑圧効果の低減や音質劣化を引き起こす原因となり得る。
そこで、この実施の形態3では、周波数特性補正処理部39,40を実装することなく、音質の劣化を防止することができるようにしている。
具体的には、以下の通りである。
右帰還信号生成部41は、上記実施の形態1と同様にして、右キャンセル信号生成部33が右キャンセル信号RCoutを生成すると、その右キャンセル信号RCoutの特性を変更する。
即ち、右帰還信号生成部41は、右スピーカ11からリスナー1の右耳に到達する伝達関数をHR1R、右キャンセル用スピーカ12からリスナー1の右耳に到達する伝達関数をHR2Rとするとき、(−HR2R/HR1R)の特性を右キャンセル信号RCoutに付与することによって右キャンセル信号RCoutの特性を変更する。
右加算器42は、右帰還信号生成部41から特性変更後の右キャンセル信号RCoutを受けると、特性変更後の右キャンセル信号RCoutを右音信号Rinに加算し、その加算信号R1を右音信号分岐部31に出力する。
左帰還信号生成部43は、上記実施の形態1と同様にして、左キャンセル信号生成部37が左キャンセル信号LCoutを生成すると、その左キャンセル信号LCoutの特性を変更する。
即ち、左帰還信号生成部43は、左スピーカ13からリスナー1の左耳に到達する伝達関数をHL1L、左キャンセル用スピーカ14からリスナー1の左耳に到達する伝達関数をHL2Lとするとき、(−HL2L/HL1L)の特性を左キャンセル信号LCoutに付与することによって左キャンセル信号LCoutの特性を変更する。
左加算器44は、左帰還信号生成部43から特性変更後の左キャンセル信号LCoutを受けると、特性変更後の左キャンセル信号LCoutを左音信号Linに加算し、その加算信号L1を左音信号分岐部35に出力する。
その他の処理は、上記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
ここで、近似式(1)を用いると、右帰還信号生成部41が(−HR2R/HR1R)の特性を右キャンセル信号RCoutに付与する処理は、aサンプルの遅延処理と右キャンセル信号RCoutの位相反転で代用することができる。
同様に、左帰還信号生成部43が(−HL2L/HL1L)の特性を左キャンセル信号LCoutに付与する処理は、cサンプルの遅延処理と左キャンセル信号LCoutの位相反転で代用することができる。
図7のオーディオ再生装置から出力された4つの信号で、4つのスピーカ11〜14を駆動すると、リスナー1の右耳に到達する信号ERと、リスナー1の左耳に到達する信号ELは、以下の式(4)のように表すことができる。
R
=R1R1R−R1R1LR2R/HR2L+L1L1R−L1L1RL2R/HL2R
=R1(HR1R−HR1LR2R/HR2L
=R1R1R(1−HR1LR2R/HR1RR2L

L
=L1L1L−L1L1RL2L/HL2R+R1R1L−R1R1LR2L/HR2L
=L1(HL1L−HLIRL2L/HL2R
=L1L1L(1−HLIRL2L/HL1LL2R) (4)
ただし、R1は右加算器42から出力される加算信号、L1は左加算器44から出力される加算信号であり、加算信号R1,L1は、以下の式(5)のように表すことができる。
1
=Rin+R1(HR1LR2R/HR2LR1R
=Rin(1−HR1LR2R/HR2LR1R-1

1
=Lin+L1(HL1RL2L/HL2RL1L
=Lin(1−HL1RL2L/HL2RL1L-1 (5)
また、式(5)を用いると、式(4)は、以下の式(6)のように変形することができる。
R
=R1R1R(1−HR1LR2R/HR1RR2L
=Rin(1−HR1LR2R/HR2LR1R-1R1R(1−HR1LR2R/HR1RR2L
=RinR1R

L
=L1L1L(1−HLIRL2L/HL1LL2R
=Lin(1−HL1RL2L/HL2RL1L-1L1L(1−HLIRL2L/HL1LL2R
=LinL1L (6)
式(6)から明らかなように、リスナー1の左右の耳に到達する信号EL,ERは、クロストークがキャンセルされて、それぞれHL1L、HR1Rの特性が付加されていることが分る。
R1Rは右スピーカ11から右耳に到達する特性、HL1Lは左スピーカ13から左耳に到達する特性であるため、通常のステレオスピーカにより再生されたときに付加される特性と同様の特性である。
したがって、図7のオーディオ再生装置では、極めて自然な音質を実現することができる。
ただし、HR1RとHL1Lの特性の付加も無くしたい場合には、図8に示すように、1/HR1Rの特性を右音信号Rinに付与する特性補正部45を右加算器42の前段に実装し、1/HL1Lの特性を左音信号Linに付与する特性補正部46を左加算器44の前段に実装するようにすればよい。
なお、右帰還信号生成部41では、(−HR2R/HR1R)の特性を付与し、左帰還信号生成部43では、(−HL2L/HL1L)の特性を付与する働きをするが、右スピーカ11からリスナー1の右耳への経路と、右キャンセル用スピーカ12からリスナー1の右耳への経路とを比較すると、右スピーカ11からリスナー1の右耳への経路の方が長い。
同様に、左スピーカ13からリスナー1の左耳への経路と、左キャンセル用スピーカ14からリスナー1の左耳への経路とを比較すると、左スピーカ13からリスナー1の左耳への経路の方が長い。
したがって、(−HR2R/HR1R)と(−HL2L/HL1L)の特性は因果性を満足しないことになる。
これについては、図9に示すように、先読み用遅延バッファ47,48を設けることにより、実質的に因果性を満足するように実現することができる。
具体的には、(−HR2R/HR1R)と(−HL2L/HL1L)の特性が、遅延処理を実施することによって因果性を満足するようになる最小の遅延量をn0、m0として、n0以上の任意の実数nとm0以上の任意の実数mを定義する。
このとき、オーディオ再生装置の先読み用遅延バッファ47では、右音信号Rinが入力されると、右音信号Rinをnサンプル以上遅延させ、右加算器42にむけて遅延信号を出力する。
先読み用遅延バッファ47では、さらに、遅延量と同じ分だけ音信号データを保持する。保持の方法は先入れ先出しに従う。また、処理すべき音信号の時刻位置を示すポインタをnサンプル分だけ過去にシフトする。先読み用遅延バッファ47では、nサンプル以上の音信号データを蓄積しているため、時刻位置を示すポインタをnサンプル過去にシフトすることが可能であり、これによって、等価的にnサンプルの先読みが可能となる。
右加算器42では、先読み用遅延バッファ47にて遅延された右音信号Rinと、右帰還信号生成部41から出力された信号とを加算し、右音信号分岐部31に向けて、加算信号を出力し、他方を右キャンセル信号生成部33に向けて出力する。右キャンセル信号生成部33では、上記実施の形態1と同様に右キャンセル信号RCoutを生成する。右キャンセル信号RCoutは、右先読み処理部49に渡される。
右先読み処理部49では、nサンプルの先読み処理を実施する。ここで、先読み用遅延バッファ47を設けたことにより、右先読み処理部49にて、
処理すべき音信号の時刻位置を示すポインタをnサンプル進めるだけで先読みが可能となる。右先読み処理部49では、先読み処理が施された信号を右帰還信号生成部41に向けて出力する。
また、オーディオ再生装置の先読み用遅延バッファ48では、左音信号Linが入力されると、左音信号Linをmサンプル以上遅延させ、左加算器44にむけて遅延信号を出力する。
先読み用遅延バッファ48では、さらに、遅延量と同じ分だけ音信号データを保持する。保持の方法は先入れ先出しに従う。また、処理すべき音信号の時刻位置を示すポインタをmサンプル分だけ過去にシフトする。先読み用遅延バッファ48では、mサンプル以上の音信号データを蓄積しているため、時刻位置を示すポインタをmサンプル過去にシフトすることが可能であり、これによって、等価的にmサンプルの先読みが可能となる。
左加算器44では、先読み用遅延バッファ48にて遅延された左音信号Linと、左帰還信号生成部43から出力された信号とを加算し、左信号分岐部35に向けて、加算信号を出力する。左音信号分岐部35では、信号を分岐し、一方を左音信号出力部36へ向けて、加算信号を出力し、他方を左キャンセル信号生成部37に向けて出力する。左キャンセル信号生成部37では、上記実施の形態1と同様に左キャンセル信号LCoutを生成する。左キャンセル信号LCoutは、左先読み処理部50に渡される。
左先読み処理部50では、mサンプルの先読み処理を実施する。ここで、先読み用遅延バッファ48を設けたことにより、左先読み処理部50にて、
処理すべき音信号の時刻位置を示すポインタをmサンプル進めるだけで先読みが可能となる。左先読み処理部50では、先読み処理が施された信号を左帰還信号生成部43に向けて出力する。
以後の動作は図7と同様なので説明を省略する。
上記のような先読み遅延バッファ47,48と、右先読み処理部49及び左先読み処理部50を設けると、右帰還信号生成部41では、−z-n(HR2R/HR1R)の特性を付与し、左帰還信号生成部43では、−z-m(HL2L/HL1L)の特性を付与することができるため、これらの特性の因果性を満足するように設計することができる。
なお、−z-xは、xサンプルの遅延処理を表すものである。
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、メインスピーカ(右スピーカ11、左スピーカ13)と、クロストークキャンセル用スピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)とが一対一の関係にあるものについて示している。即ち、右スピーカ11で発生するクロストークをキャンセルする信号を再生するスピーカが右キャンセル用スピーカ12であり、左スピーカ13で発生するクロストークをキャンセルする信号を再生するスピーカが左キャンセル用スピーカ14であるものについて示している。
しかしながら、メインスピーカとクロストークキャンセル用スピーカが一対一の関係にあるものに限るものではなく、クロストークキャンセル用の信号を他の複数のスピーカで再生するようにしてもよい。
即ち、右スピーカ11で発生するクロストークをキャンセルする信号を再生するスピーカとして、残り3つのスピーカ(右キャンセル用スピーカ12、左スピーカ13、左キャンセル用スピーカ14)のうちの全てのスピーカ、あるいは、いずれかのスピーカを用いるようにしてもよい。
あるいは、残り3つのスピーカの他に、新たなスピーカを追加して使用するようにしてもよい。
同様に、左スピーカ13で発生するクロストークをキャンセルする信号を再生するスピーカとして、残り3つのスピーカ(右スピーカ11、右キャンセル用スピーカ12、左キャンセル用スピーカ14)のうちの全てのスピーカ、あるいは、いずれかのスピーカを用いるようにしてもよい。
あるいは、残り3つのスピーカの他に、新たなスピーカを追加して使用するようにしてもよい。
なお、音波は距離に応じて減衰するため、クロストークキャンセル用スピーカは、反対側の耳に近い程、距離減衰が少なくなり、より少ない音響エネルギーでクロストークをキャンセルすることができる。
したがって、クロストークキャンセル用スピーカとして、上記実施の形態1〜3におけるスピーカよりも近い位置にあるスピーカも併せて使用することで、クロストークキャンセル用の音響エネルギーを低減させることができ、消費電力を削減することができるようになる。
この発明の実施の形態1によるオーディオ再生装置を示す構成図である。 図1のオーディオ再生装置により得られるスイートスポットを示す説明図である。 図1のオーディオ再生装置により得られるスイートスポットを示す説明図である。 図1のオーディオ再生装置により得られるスイートスポットを示す説明図である。 (1−z-n)の周波数―振幅特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態2によるオーディオ再生装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるオーディオ再生装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるオーディオ再生装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるオーディオ再生装置を示す構成図である。 非特許文献1に開示されているクロストークキャンセラを示す構成図である。 リスナーの位置ずれに伴うクロストークキャンセル効果の劣化度合いの実験結果を示す説明図である。
符号の説明
1 リスナー(聴取者)、11 右スピーカ、12 右キャンセル用スピーカ、13 左スピーカ、14 左キャンセル用スピーカ、21〜24 アンプ、31 右音信号分岐部(右音信号分岐手段)、32 右音信号出力部(右スピーカ駆動手段)、33 右キャンセル信号生成部(右キャンセル用スピーカ駆動手段)、34 右キャンセル信号出力部(右キャンセル用スピーカ駆動手段)、35 左音信号分岐部(左音信号分岐手段)、36 左音信号出力部(左スピーカ駆動手段)、37 左キャンセル信号生成部(左キャンセル用スピーカ駆動手段)、38 左キャンセル信号出力部(左キャンセル用スピーカ駆動手段)、39,40 周波数特性補正処理部(周波数特性補正手段)、40 周波数特性補正処理部(周波数特性補正手段)、41 右帰還信号生成部(右帰還手段)、42 右加算器(右帰還手段)、43 左帰還信号生成部(左帰還手段)、44 左加算器(左帰還手段)、45 特性補正部(右帰還手段)、46 特性補正部(左帰還手段)、47,48 先読み用遅延バッファ、49 右先読み処理部、50 左先読み処理部。

Claims (11)

  1. 聴取者の前方右側に配置されている右スピーカの駆動に用いる右音信号を分岐する右音信号分岐手段と、上記右音信号分岐手段により分岐された一方の右音信号を上記右スピーカのアンプに出力する右スピーカ駆動手段と、上記右音信号分岐手段により分岐された他方の右音信号の特性を変更して、上記右スピーカから聴取者の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号を生成し、上記右キャンセル信号を聴取者の正面位置に対して上記右スピーカと非対称に配置されている右キャンセル用スピーカのアンプに出力する右キャンセル用スピーカ駆動手段と、聴取者の前方左側に配置されている左スピーカの駆動に用いる左音信号を分岐する左音信号分岐手段と、上記左音信号分岐手段により分岐された一方の左音信号を上記左スピーカのアンプに出力する左スピーカ駆動手段と、上記左音信号分岐手段により分岐された他方の左音信号の特性を変更して、上記左スピーカから聴取者の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号を生成し、上記左キャンセル信号を聴取者の正面位置に対して上記左スピーカと非対称に配置されている左キャンセル用スピーカのアンプに出力する左キャンセル用スピーカ駆動手段とを備えたオーディオ再生装置。
  2. 右スピーカと右キャンセル用スピーカの見開き角度が0度から20度の範囲内になるように、上記右スピーカと上記右キャンセル用スピーカが配置され、左スピーカと左キャンセル用スピーカの見開き角度が0度から20度の範囲内になるように、上記左スピーカと上記左キャンセル用スピーカが配置されていることを特徴とする請求項1記載のオーディオ再生装置。
  3. 右キャンセル用スピーカが右スピーカよりも聴取者の近くに配置され、左キャンセル用スピーカが左スピーカよりも聴取者の近くに配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のオーディオ再生装置。
  4. 右キャンセル用スピーカ駆動手段は、右スピーカから聴取者の左耳に到達する伝達関数が第1伝達関数、右キャンセル用スピーカから聴取者の左耳に到達する伝達関数が第2伝達関数であるとき、(−第1伝達関数/第2伝達関数)の特性を右音信号に付与して、上記右スピーカから聴取者の左耳に漏れ込む音の抑圧に用いる右キャンセル信号を生成し、左キャンセル用スピーカ駆動手段は、左スピーカから聴取者の右耳に到達する伝達関数が第3伝達関数、左キャンセル用スピーカから聴取者の右耳に到達する伝達関数が第4伝達関数であるとき、(−第3伝達関数/第4伝達関数)の特性を左音信号に付与して、上記左スピーカから聴取者の右耳に漏れ込む音の抑圧に用いる左キャンセル信号を生成することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のオーディオ再生装置。
  5. 右音信号の周波数特性を補正して、補正後の右音信号を右音信号分岐手段に出力するとともに、左音信号の周波数特性を補正して、補正後の左音信号を左音信号分岐手段に出力する周波数特性補正手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のオーディオ再生装置。
  6. 右キャンセル用スピーカ駆動手段により生成された右キャンセル信号の特性を変更し、特性変更後の右キャンセル信号を右音信号に帰還させる右帰還手段と、左キャンセル用スピーカ駆動手段により生成された左キャンセル信号の特性を変更し、特性変更後の左キャンセル信号を左音信号に帰還させる左帰還手段とを設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のオーディオ再生装置。
  7. 右帰還手段は、右スピーカから聴取者の右耳に到達する伝達関数が第5伝達関数、右キャンセル用スピーカから聴取者の右耳に到達する伝達関数が第6伝達関数であるとき、(−第6伝達関数/第5伝達関数)の特性を右キャンセル信号に付与することによって上記右キャンセル信号の特性を変更し、左帰還手段は、左スピーカから聴取者の左耳に到達する伝達関数が第7伝達関数、左キャンセル用スピーカから聴取者の左耳に到達する伝達関数が第8伝達関数であるとき、(−第8伝達関数/第7伝達関数)の特性を左キャンセル信号に付与することによって上記左キャンセル信号の特性を変更することを特徴とする請求項6記載のオーディオ再生装置。
  8. 右帰還手段が1/第5伝達関数の特性を右音信号に付与し、左帰還手段が1/第7伝達関数の特性を左音信号に付与することを特徴とする請求項7記載のオーディオ再生装置。
  9. 右帰還手段が右キャンセル信号を第1の先読み時間だけ先読みし、先読みした右キャンセル信号の特性を変更し、特性変更後の右キャンセル信号を右音信号に帰還させ、左帰還手段が左キャンセル信号を第2の先読み時間だけ先読みし、先読みした左キャンセル信号の特性を変更し、特性変更後の左キャンセル信号を左音信号に帰還させることを特徴とする請求項6から請求項8のうちのいずれか1項記載のオーディオ再生装置。
  10. 右キャンセル用スピーカ駆動手段は、右音信号に対する(−第1伝達関数/第2伝達関数)の特性の付与を、上記右音信号に対する信号遅延と位相反転で代用し、左キャンセル用スピーカ駆動手段は、左音信号に対する(−第3伝達関数/第4伝達関数)の特性の付与を、上記左音信号に対する信号遅延と位相反転で代用することを特徴とする請求項4から請求項9のうちのいずれか1項記載のオーディオ再生装置。
  11. 右帰還手段は、右キャンセル信号に対する(−第6伝達関数/第5伝達関数)の特性の付与を、上記右キャンセル信号に対する信号遅延と位相反転で代用し、左帰還手段は、左キャンセル信号に対する(−第8伝達関数/第7伝達関数)の特性の付与を、上記左キャンセル信号に対する信号遅延と位相反転で代用することを特徴とする請求項7から請求項10のうちのいずれか1項記載のオーディオ再生装置。
JP2006270834A 2006-10-02 2006-10-02 オーディオ再生装置 Active JP4969978B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006270834A JP4969978B2 (ja) 2006-10-02 2006-10-02 オーディオ再生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006270834A JP4969978B2 (ja) 2006-10-02 2006-10-02 オーディオ再生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008092274A true JP2008092274A (ja) 2008-04-17
JP4969978B2 JP4969978B2 (ja) 2012-07-04

Family

ID=39375935

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006270834A Active JP4969978B2 (ja) 2006-10-02 2006-10-02 オーディオ再生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4969978B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012070135A (ja) * 2010-09-22 2012-04-05 Yamaha Corp バイノーラル録音された音信号の再生方法および再生装置
WO2015151664A1 (ja) * 2014-04-03 2015-10-08 将軍堂株式会社 音響再生システムおよび音響再生方法

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5436901A (en) * 1977-08-29 1979-03-19 Victor Co Of Japan Ltd Sound quality correcting circuit
JPH01198900A (ja) * 1987-08-22 1989-08-10 Shinichi Kojima ステレオ録音・再生の方法
JPH03128400U (ja) * 1990-03-12 1991-12-24
JPH06121400A (ja) * 1992-10-08 1994-04-28 Sony Corp 音声信号出力装置
JPH09130900A (ja) * 1995-10-27 1997-05-16 Kenwood Corp ディレイタイム設定装置
JPH10304498A (ja) * 1997-04-30 1998-11-13 Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd ステレオ拡大装置及び音場拡大装置
JP2001069599A (ja) * 1999-07-29 2001-03-16 Lucent Technol Inc 音響クロストークキャンセルシステム
JP2004112317A (ja) * 2002-09-18 2004-04-08 Sony Corp サラウンド音響システム
JP2004511118A (ja) * 2000-06-24 2004-04-08 アダプティブ オーディオ リミテッド 音響再生システム
JP2005136932A (ja) * 2003-10-29 2005-05-26 Masuo Nagata センタースピーカー利用のクロストークキャンセルシステム
JP2005318396A (ja) * 2004-04-30 2005-11-10 Victor Co Of Japan Ltd 音場補正機能付きオーディオ再生システム

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5436901A (en) * 1977-08-29 1979-03-19 Victor Co Of Japan Ltd Sound quality correcting circuit
JPH01198900A (ja) * 1987-08-22 1989-08-10 Shinichi Kojima ステレオ録音・再生の方法
JPH03128400U (ja) * 1990-03-12 1991-12-24
JPH06121400A (ja) * 1992-10-08 1994-04-28 Sony Corp 音声信号出力装置
JPH09130900A (ja) * 1995-10-27 1997-05-16 Kenwood Corp ディレイタイム設定装置
JPH10304498A (ja) * 1997-04-30 1998-11-13 Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd ステレオ拡大装置及び音場拡大装置
JP2001069599A (ja) * 1999-07-29 2001-03-16 Lucent Technol Inc 音響クロストークキャンセルシステム
JP2004511118A (ja) * 2000-06-24 2004-04-08 アダプティブ オーディオ リミテッド 音響再生システム
JP2004112317A (ja) * 2002-09-18 2004-04-08 Sony Corp サラウンド音響システム
JP2005136932A (ja) * 2003-10-29 2005-05-26 Masuo Nagata センタースピーカー利用のクロストークキャンセルシステム
JP2005318396A (ja) * 2004-04-30 2005-11-10 Victor Co Of Japan Ltd 音場補正機能付きオーディオ再生システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012070135A (ja) * 2010-09-22 2012-04-05 Yamaha Corp バイノーラル録音された音信号の再生方法および再生装置
WO2015151664A1 (ja) * 2014-04-03 2015-10-08 将軍堂株式会社 音響再生システムおよび音響再生方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4969978B2 (ja) 2012-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4273343B2 (ja) 再生装置および再生方法
US7386139B2 (en) Sound image control system
JP5245368B2 (ja) 仮想音源定位装置
US6449368B1 (en) Multidirectional audio decoding
JP4867367B2 (ja) 立体音響再生装置
JP2007266967A (ja) 音像定位装置およびマルチチャンネルオーディオ再生装置
JP5025731B2 (ja) オーディオ装置
JP2011009842A (ja) 音声信号処理装置および音声信号処理方法
JP7151840B2 (ja) 音響システム
EP1811809A1 (en) 3-dimensional acoustic reproduction device
US10560782B2 (en) Signal processor
JP2007228526A (ja) 音像定位装置
WO2022180686A1 (ja) 音響システム
JP4969978B2 (ja) オーディオ再生装置
WO1997004620A1 (fr) Casque audio
JP4848774B2 (ja) 音響装置、音響再生方法および音響再生プログラム
WO2022180687A1 (ja) 音響システム
WO2020045109A1 (ja) 信号処理装置、信号処理方法、及び、プログラム
JP2011259299A (ja) 頭部伝達関数生成装置、頭部伝達関数生成方法及び音声信号処理装置
JP5101351B2 (ja) 音場空間制御システム
JPH05153698A (ja) 音場拡大制御装置
WO2022180685A1 (ja) 音響システム
JP2010028181A (ja) 集音ヘッドホン
JP2009212944A (ja) 音響装置
JP2007202020A (ja) 音声信号処理装置、音声信号処理方法、プログラム

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080703

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090826

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110817

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120327

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120404

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4969978

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350