JP2005317444A - 燃料電池スタック - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単且つコンパクトな構成で、特に排水性を一層向上させることを可能にする。
【解決手段】インシュレータ部18aは、第1絶縁プレート50、中間絶縁プレート52及び第2絶縁プレート54を備え、前記第1及び第2絶縁プレート50、54には、酸化剤ガス中の水分及び燃料ガス中の水分を排出するためのバイパス流路56、58が設けられる。バイパス流路56は、入口56a側の開口断面積が出口56b側の開口断面積よりも大きく構成されるとともに、バイパス流路58は、入口58a側の開口断面積が出口58b側の開口断面積よりも大きく構成される。
【選択図】図5

Description

本発明は、電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体が、セパレータを介して複数積層された燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒と多孔質カーボンからなるアノード側電極及びカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持する単セルにより構成されている。通常、この単セルを所定の数だけ積層した積層体を用いる燃料電池スタックが使用されている。
この種の燃料電池において、アノード側電極には、燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)が供給される一方、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されている。アノード側電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
燃料電池スタックは、通常、反応ガスである酸化剤ガス及び燃料ガスを、カソード側電極及びアノード側電極に供給するために、前記燃料電池スタックを積層方向に貫通して形成される酸化剤ガス供給側連通孔及び燃料ガス供給側連通孔(反応ガス供給側連通孔)と、前記酸化剤ガス及び燃料ガスを前記カソード側電極及び前記アノード側電極から排出するために、前記燃料電池スタックを積層方向に貫通して形成される酸化剤ガス排出側連通孔及び燃料ガス排出側連通孔(反応ガス排出側連通孔)とを備えている。
ところで、特に、酸化剤ガス排出側連通孔には、電極発電面で反応により生成された生成水が導入され易く、この酸化剤ガス排出側連通孔に滞留水が存在する場合が多い。また、燃料ガス排出側連通孔では、電解質膜を介した生成水の逆拡散や結露等により滞留水が発生するおそれがある。これにより、酸化剤ガス排出側連通孔や燃料ガス排出側連通孔が、滞留水によって縮小又は閉塞されてしまい、酸化剤ガスや燃料ガスの流れが妨げられて発電性能が低下するという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1に開示された燃料電池スタックが知られている。この燃料電池スタックでは、電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体が、セパレータを介して複数積層された積層体を備えている。この積層体は、反応ガスを対応する電極に供給するために積層方向に貫通して形成される反応ガス供給側連通孔と、前記反応ガスを対応する電極から排出するために前記積層方向に貫通して形成される反応ガス排出側連通孔とを備えている。積層体の積層方向両端には、それぞれターミナル端子、インシュレータ及びエンドプレートが外方に向かって順次配設されている。
そして、インシュレータ又はエンドプレートには、反応ガス供給側連通孔と反応ガス排出側連通孔とを繋ぐバイパス流路が設けられており、反応ガスが積層体に導入される前に、前記反応ガス中の水分が、前記バイパス流路から前記反応ガス排出側連通孔に排出されるように構成している。
このため、簡単且つコンパクトな構成で、電極発電面が水滴で覆われることを確実に阻止することができ、燃料電池スタックの発電性能を有効に維持することが可能になるという効果が得られている。
特開2003−346869号公報(図5)
本発明はこの種のバイパス流路を設けるとともに、特に排水性を一層向上させることが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体が、セパレータを介装して複数積層された積層体を備え、前記積層体は、反応ガスを対応する前記電極に供給するために積層方向に貫通して形成される反応ガス供給側連通孔と、前記反応ガスを対応する前記電極から排出するために前記積層方向に貫通して形成される反応ガス排出側連通孔とを設け、前記積層体の積層方向両端に、それぞれターミナル端子板、インシュレータ及びエンドプレートが外方に向かって順次配設された燃料電池スタックである。
そして、インシュレータ又はエンドプレートには、反応ガス供給側連通孔と反応ガス排出側連通孔とを繋ぐバイパス流路が設けられるとともに、前記バイパス流路は、入口側開口断面積が出口側開口断面積よりも大きく構成されている。
また、本発明では、エンドプレートの外方には、反応ガス供給側連通孔に反応ガスを導入する反応ガス導入通路と、反応ガス排出側連通孔から前記反応ガスを導出する反応ガス導出通路とが設けられ、前記反応ガス導入通路と前記反応ガス導出通路とがバイパス流路を介して連通するとともに、前記バイパス流路は、入口側開口断面積が出口側開口断面積よりも大きく構成されている。
さらに、反応ガス供給側連通孔は、反応ガス排出側連通孔よりも上方に配置されることが好ましい。このため、水は自重により反応ガス供給側連通孔から反応ガス排出側連通孔に向かってバイパス流路内を円滑に流れることができる。
本発明によれば、バイパス流路の入口側開口断面積が、出口側開口断面積よりも大きく設定されるため、前記バイパス流路内に水を押し出す力が増大する。これにより、反応ガス供給側連通孔の排水性が良好に向上し、簡単且つコンパクトな構成で、電極発電面が水滴で覆われることを確実に阻止することができ、燃料電池スタックの発電性能を有効に維持することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10の概略全体斜視図であり、図2は、前記燃料電池スタック10の一部断面側面図である。
燃料電池スタック10は、複数の単セル12が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備え、前記積層体14の積層方向(矢印A方向)両端には、それぞれ負極側ターミナル端子板16a及び正極側ターミナル端子板16bと、インシュレータ部18a、18bと、エンドプレート20a、20bとが外方に向かって、順次、配設される。
図2及び図3に示すように、各単セル12は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極接合体)24と、前記電解質膜・電極構造体24を挟持する第1及び第2セパレータ26、28とを備える。第1及び第2セパレータ26、28は、例えば、金属製の板材により構成されるとともに、絶縁及びシール機能を有する樹脂シール部材が一体成形されている。なお、第1及び第2セパレータ26、28は、カーボン部材により構成してもよい。
単セル12の長辺(図3中、矢印B方向)側の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給側連通孔(反応ガス供給側連通孔)30a、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給側連通孔32a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出側連通孔(反応ガス排出側連通孔)34bが設けられる。
単セル12の長辺側の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給側連通孔(反応ガス供給側連通孔)34a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出側連通孔32b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出側連通孔(反応ガス排出側連通孔)30bが設けられる。
電解質膜・電極構造体24は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜36と、該固体高分子電解質膜36を挟持するアノード側電極38及びカソード側電極40とを備える。
アノード側電極38及びカソード側電極40は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布された電極触媒層とをそれぞれ有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜36の両面に接合される。
図3及び図4に示すように、第1セパレータ26の電解質膜・電極構造体24に向かう面26aには、燃料ガス供給側連通孔34aと燃料ガス排出側連通孔34bとを連通する燃料ガス流路42が形成される。この燃料ガス流路42は、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部を備える。図3に示すように、第1セパレータ26の面26bには、冷却媒体供給側連通孔32aと冷却媒体排出側連通孔32bとを連通する冷却媒体流路44が形成される。この冷却媒体流路44は、矢印B方向に延在する複数本の溝部を備える。
第2セパレータ28の電解質膜・電極構造体24に向かう面28aには、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部からなる酸化剤ガス流路46が設けられるとともに、この酸化剤ガス流路46は、酸化剤ガス供給側連通孔30aと酸化剤ガス排出側連通孔30bとに連通する。
図5に示すように、負極側ターミナル端子板16aの外方に配置されているインシュレータ部18aは、第1絶縁プレート50、中間絶縁プレート52及び第2絶縁プレート54を矢印A方向に積層して構成される。第1絶縁プレート50の中間絶縁プレート52に対向する面50aには、図5及び図6に示すように、酸化剤ガス供給側連通孔30aと酸化剤ガス排出側連通孔30bとを繋ぐバイパス流路56が形成される。
バイパス流路56は、入口56a側の開口断面積が出口56b側の開口断面積よりも大きく構成されている。バイパス流路56は、実際上、入口56aから出口56bに向かって連続的に開口断面積が減少する楔形流路を構成している。
図5に示すように、第2絶縁プレート54の中間絶縁プレート52に向かう面54aには、燃料ガス供給側連通孔34aと燃料ガス排出側連通孔34bとを繋ぐバイパス流路58が形成される。バイパス流路58は、入口58a側の開口断面積が出口58b側の開口断面積よりも大きく構成されており、バイパス流路56と同様の形状に設定されている。
なお、インシュレータ部18bは、上記のインシュレータ部18aと同様に構成されており、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図1に示すように、エンドプレート20aの長辺側(矢印B方向)の一端縁部には、酸化剤ガス供給側連通孔30a、冷却媒体供給側連通孔32a及び燃料ガス排出側連通孔34bに連通する酸化剤ガス供給口60a、冷却媒体供給口62a及び燃料ガス排出口64bが設けられる。エンドプレート20aの長辺側の他端縁部には、燃料ガス供給側連通孔34a、冷却媒体排出側連通孔32b及び酸化剤ガス排出側連通孔30bに連通する燃料ガス供給口64a、冷却媒体排出口62b及び酸化剤ガス排出口60bが設けられる。
このように構成される第1の実施形態に係る燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
燃料電池スタック10内には、図1に示すように、エンドプレート20aの酸化剤ガス供給口60aから酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給口64aから水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給口62aから純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。このため、積層体14では、矢印A方向に重ね合わされた複数組の単セル12に対し、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体が矢印A1方向に直列的に供給されることになる。
図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給側連通孔30aから第2セパレータ28の酸化剤ガス流路46に導入され、電解質膜・電極構造体24を構成するカソード側電極40に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス供給側連通孔34aから第1セパレータ26の燃料ガス流路42に導入され、電解質膜・電極構造体24を構成するアノード側電極38に沿って移動する。
従って、各電解質膜・電極構造体24では、カソード側電極40に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極38に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、カソード側電極40に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出側連通孔30bに沿って矢印A2方向に流動した後、エンドプレート20aの酸化剤ガス排出口60bから排出される。同様に、アノード側電極38に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出側連通孔34bに排出されて矢印A2方向に流動した後、エンドプレート20aの燃料ガス排出口64bから排出される。
また、冷却媒体供給口62aに供給された冷却媒体は、冷却媒体供給側連通孔32aから第1セパレータ26の冷却媒体流路44に導入された後、矢印B方向に沿って流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体24を冷却した後、冷却媒体排出側連通孔32bを矢印A2方向に移動し、エンドプレート20aの冷却媒体排出口62bから排出される。
ところで、燃料電池スタック10の始動時や、この燃料電池スタック10の発電を一時的に停止した後、再度、運転を開始する際、酸化剤ガスや燃料ガスを前記燃料電池スタック10に供給する配管(図示せず)の温度が低下し、前記配管内に結露水が発生する場合がある。
ここで、第1の実施形態では、酸化剤ガス供給側連通孔30aの入口近傍に対応し、負極側ターミナル端子板16aとエンドプレート20aとの間に、インシュレータ部18aが介装されている。このため、エンドプレート20aの酸化剤ガス供給口60aに供給された酸化剤ガスが、図5に示すように、第1絶縁プレート50から中間絶縁プレート52に導入される際に、前記第1絶縁プレート50の面50aに形成されているバイパス流路56に水(結露水)が移動する。この水分は、バイパス流路56から酸化剤ガス排出側連通孔30bに送られた後、エンドプレート20aの酸化剤ガス排出口60bから排出される。
その際、バイパス流路56の入口56aに投入された水には、出口56bに向かって力Fが付与される。この力Fは、F={(入口56a側の圧力)×(圧力が作用する面積)+重力}−{(出口56b側の圧力)×(圧力が作用する面積)+水の表面張力}から決定される。
従って、入口56a側の開口断面積が出口56b側の開口断面積よりも大きく構成されることにより、バイパス流路56内に水を押し出す力Fが増大する。このため、バイパス流路56内では、酸化剤ガス排出側連通孔30bに向かって水が良好に排出され、酸化剤ガス供給側連通孔30aの排水性が有効に向上するという効果が得られる。
一方、エンドプレート20aの燃料ガス供給口64aに供給された燃料ガスは、第1絶縁プレート50及び中間絶縁プレート52を介して第2絶縁プレート54の燃料ガス供給側連通孔34aに導入される。燃料ガス供給側連通孔34aに導入された水分は、第2絶縁プレート54の面54aに形成されているバイパス流路58に移動する。
その際、バイパス流路58は、入口58a側の開口断面積が出口58b側の開口断面積よりも大きく構成されている。従って、水分は、バイパス流路58内から燃料ガス排出側連通孔34bに向かって良好に排出された後、エンドプレート20aの燃料ガス排出口64bから排出される。
これにより、第1の実施形態では、積層体14に結露水が導入されて電極発電面(電極触媒層)が水滴で覆われることを確実に阻止することができ、燃料電池スタック10全体の発電性能を有効に維持することが可能になる。しかも、負極側ターミナル端子板16aとエンドプレート20aとの間にインシュレータ部18aを介装するだけでよく、簡単且つコンパクトな構成で、余分な水分を確実に除去することができる。
また、燃料電池スタック10では、正極側ターミナル端子板16bとエンドプレート20bとの間にインシュレータ部18bが介装されている。このため、積層体14の奥側(エンドプレート20b側)に滞留し易い生成水が良好に押し出され、前記生成水や結露水の排出性が有効に向上する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック70の一部断面側面図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に示す第3〜第5の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
燃料電池スタック70は、負極側ターミナル端子板16a及び正極側ターミナル端子板16bの外方に、インシュレータ板72a、72bを介装してエンドプレート74a、74bが積層されるとともに、前記エンドプレート74a、74bに蓋プレート76a、76bが取り付けられる。
図8に示すように、エンドプレート74aの蓋プレート76aに向かう面78aには、酸化剤ガス供給口60aと酸化剤ガス排出口60bとを繋ぐバイパス流路80が形成される。エンドプレート74aのインシュレータ板72aに向かう面78bには、燃料ガス供給口64aと燃料ガス排出口64bとを繋ぐバイパス流路82が形成される。
バイパス流路80は、入口80a側の開口断面積が、出口80b側の開口断面積よりも大きく構成されるとともに、バイパス流路82は、入口82a側の開口断面積が出口82b側の開口断面積よりも大きく構成される。バイパス流路80、82は、実際上、流れ方向に向かって連続的に開口断面積が減少する楔形流路を構成している。なお、エンドプレート74bは、上記のエンドプレート74aと同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。
このように構成される第2の実施形態では、燃料電池スタック70を構成するエンドプレート74a、74bに、酸化剤ガスに含まれる水分を除去するためのバイパス流路80と、燃料ガスに含まれる水分を除去するためのバイパス流路82とが設けられている。しかも、バイパス流路80、82は、それぞれの入口80a、82a側の開口断面積がそれぞれの出口80b、82b側の開口断面積よりも大きく構成されている。
このため、バイパス流路80、82からの排水性が良好に向上し、積層体14に余分な水分が導入されることを確実に阻止することができる。これにより、簡単且つコンパクトな構成で、燃料電池スタック70全体の発電性能を有効に維持することができる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第1及び第2の実施形態では、バイパス流路56、58、80及び82が楔型流路を構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示す第3の実施形態と、図10に示す第4の実施形態とを採用することができる。その際、第3及び第4の実施形態では、インシュレータ部84、86を用いて説明しているが、エンドプレートにも同様の構成を採用してもよい。
図9に示すように、第3の実施形態のインシュレータ部84では、第1絶縁プレート50の面50aには、酸化剤ガス供給側連通孔30aと酸化剤ガス排出側連通孔30bとを繋ぐバイパス流路88が形成される。バイパス流路88は、入口88a側の開口断面積が出口88b側の開口断面積よりも大きく構成されている。バイパス流路88は、実際上、酸化剤ガス供給側連通孔30aで開口断面積が拡大される他、残余の部分が同一太さ(同一開口断面積)に設定されている。
第2絶縁プレート54の面54aには、燃料ガス供給側連通孔34aと燃料ガス排出側連通孔34bとを繋ぐバイパス流路90が形成される。バイパス流路90は、入口90a側の開口断面積が出口90b側の開口断面積よりも大きく構成されており、燃料ガス供給側連通孔34a側で開口断面積が増大する一方、出口90b側に向かって略同一太さに設定されている。
図10に示すように、第4の実施形態のインシュレータ部86では、第1絶縁プレート50にバイパス流路92が形成されるとともに、第2絶縁プレート54にバイパス流路94が形成される。バイパス流路92、94は、入口92a、94a側の開口断面積が出口92b、94b側の開口断面積よりも大きく構成されている。バイパス流路92、94は、実際上、入口92a、94aから出口92b、94bに向かって、暫時、開口断面積が減少する鋸刃状流路を構成している。
このように構成される第3及び第4の実施形態では、バイパス流路88〜94のそれぞれの入口88a〜94aの開口断面積が、それぞれの出口88b〜94b側の開口断面積よりも大きく構成されている。従って、排水性の向上を図ることができる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図11は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池スタック100の概略全体斜視図である。
燃料電池スタック100を構成するエンドプレート20aには、酸化剤ガス供給口60a、冷却媒体供給口62a及び燃料ガス排出口64bに対応してそれぞれ酸化剤ガス供給管(反応ガス導入通路)102a、冷却媒体供給管104a及び燃料ガス排出管(反応ガス導出通路)106bが接続される。エンドプレート20aには、さらに燃料ガス供給口64a、冷却媒体排出口62b及び酸化剤ガス排出口60bに対応してそれぞれ燃料ガス供給管(反応ガス導入通路)106a、冷却媒体排出管104b及び酸化剤ガス排出管(反応ガス導出通路)102bが取り付けられる。
酸化剤ガス供給管102aと酸化剤ガス排出管102bとには、バイパス管108が接続されるとともに、燃料ガス供給管106aと燃料ガス排出管106bとには、同様にバイパス管110が接続される。
図12に示すように、酸化剤ガス供給管102a及び燃料ガス供給管106aには、邪魔板であるリング状壁板部112が酸化剤ガス及び燃料ガスの流路内に突出して設けられる。この壁板部112よりも流れ方向後方(矢印A2方向)に所定距離だけ離間した位置には、バイパス管108、110の入口108a、110aが連結される。入口108a、110aは、拡開しており、前記入口108a、110aの開口断面積は、バイパス管108、110の出口108b、110bの開口断面積よりも大きく構成されている。
なお、酸化剤ガス排出管102b及び燃料ガス排出管106b内には、壁板部112は設けられていない。バイパス管108、110には、それぞれの管路を開閉するための電磁弁114a、114bが取り付けられている。
このように構成される第5の実施形態では、始動時のように温度が低い際や、電圧が低下した際に、電磁弁114a、114bを介してバイパス管108、110の管路が開放される。このため、例えば、酸化剤ガス供給管102a内を酸化剤ガスが水分(結露水)とともに矢印A1方向に移動すると、この水分は、酸化剤ガス供給管102a内に形成された壁板部112により補足される。
従って、水分は、酸化剤ガス供給管102aの下端部側に連通するバイパス管108に拡開する入口108aを介して良好に送られる。水分は、バイパス管108内を通って酸化剤ガス排出管102bに確実に排出される一方、適度に加湿された酸化剤ガスのみが、燃料電池スタック100内に供給される。
これにより、第5の実施形態では、燃料電池スタック100の外部に酸化剤ガス供給管102a及び燃料ガス供給管106aと、酸化剤ガス排出管102b及び燃料ガス排出管106bとを繋ぐバイパス管108、110を設けるだけでよく、前記燃料電池スタック100全体の構成が有効に簡素化される。しかも、バイパス管108、110が、燃料電池スタック100の外部に取り付けられており、組み立て作業性や保守管理が一層簡素化するという効果がある。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの概略全体斜視図である。 前記燃料電池スタックの一部断面側面図である。 前記燃料電池スタックを構成する単セルの分解斜視図である。 前記単セルを構成する第1セパレータの一方の面の正面説明図である。 前記燃料電池スタックを構成するインシュレータ部の分解斜視説明図である。 前記インシュレータ部を構成する第1絶縁プレートの一方の面の正面説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの一部断面側面図である。 前記燃料電池スタックを構成するエンドプレートの分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタックを構成するインシュレータ部の分解斜視説明図である。 本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタックを構成するインシュレータ部の分解斜視説明図である。 本発明の第5の実施形態に係る燃料電池スタックの概略全体斜視図である。 前記燃料電池スタックを構成する反応ガス供給管の一部断面説明図である。
符号の説明
10、70、100…燃料電池スタック 12…単セル
14…積層体 16a、16b…ターミナル端子板
18a、18b、84、86…インシュレータ部
20a、20b、74a、74b…エンドプレート
24…電解質膜・電極構造体 26、28…セパレータ
30a…酸化剤ガス供給側連通孔 30b…酸化剤ガス排出側連通孔
32a…冷却媒体供給側連通孔 32b…冷却媒体排出側連通孔
34a…燃料ガス供給側連通孔 34b…燃料ガス排出側連通孔
36…固体高分子電解質膜 38…アノード側電極
40…カソード側電極 42…燃料ガス流路
44…冷却媒体流路 46…酸化剤ガス流路
50、54…絶縁プレート 52…中間絶縁プレート
56、58、80、82、88〜94…バイパス流路
56a、58a、80a、82a、88a〜94a、108a、110a…入口
56b、58b、80b、82b、88b〜94b、108b、110b…出口
60a…酸化剤ガス供給口 60b…酸化剤ガス排出口
62a…冷却媒体供給口 62b…冷却媒体排出口
64a…燃料ガス供給口 64b…燃料ガス排出口
72a、72b…インシュレータ板 76a、76b…蓋プレート
102a…酸化剤ガス供給管 102b…酸化剤ガス排出管
104a…冷却媒体供給管 104b…冷却媒体排出管
106a…燃料ガス供給管 106b…燃料ガス排出管
108、110…バイパス管 112…壁板部

Claims (3)

  1. 電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体が、セパレータを介装して複数積層された積層体を備え、前記積層体は、反応ガスを対応する前記電極に供給するために積層方向に貫通して形成される反応ガス供給側連通孔と、前記反応ガスを対応する前記電極から排出するために前記積層方向に貫通して形成される反応ガス排出側連通孔とを設け、前記積層体の積層方向両端に、それぞれターミナル端子板、インシュレータ及びエンドプレートが外方に向かって順次配設された燃料電池スタックであって、
    前記インシュレータ又は前記エンドプレートには、前記反応ガス供給側連通孔と前記反応ガス排出側連通孔とを繋ぐバイパス流路が設けられるとともに、
    前記バイパス流路は、入口側開口断面積が出口側開口断面積よりも大きく構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体が、セパレータを介装して複数積層された積層体を備え、前記積層体は、反応ガスを対応する前記電極に供給するために積層方向に貫通して形成される反応ガス供給側連通孔と、前記反応ガスを対応する前記電極から排出するために前記積層方向に貫通して形成される反応ガス排出側連通孔とを設け、前記積層体の積層方向両端に、それぞれターミナル端子板、インシュレータ及びエンドプレートが外方に向かって順次配設された燃料電池スタックであって、
    前記エンドプレートの外方には、前記反応ガス供給側連通孔に前記反応ガスを導入する反応ガス導入通路と、
    前記反応ガス排出側連通孔から前記反応ガスを導出する反応ガス導出通路と、
    が設けられ、
    前記反応ガス導入通路と前記反応ガス導出通路とがバイパス流路を介して連通するとともに、
    前記バイパス流路は、入口側開口断面積が出口側開口断面積よりも大きく構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池スタックにおいて、前記反応ガス供給側連通孔は、前記反応ガス排出側連通孔よりも上方に配置されることを特徴とする燃料電池スタック。
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