JP2005315356A - 燃料配管用継手 - Google Patents

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孝治 中村
Takashi Yamashita
山下  隆
Koichi Uchida
光一 内田
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Abstract

【課題】 成形品壁面からの燃料透過量を大幅に低減することができ、高温でも優れた剛性、燃料透過防止性を有する燃料配管用継手、特に自動車用に使用される燃料配管用継手を提供すること。
【解決手段】 継手材料が、全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、全ジアミン単位に対して、炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位を60モル%以上含むジアミン単位とからなる(A1)半芳香族ポリアミド重合体100重量部に対して、その分子中に(A2)層状珪酸塩0.1〜30重量部が均一に分散された層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物よりなることを特徴とする燃料配管用継手。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料の壁面透過量が少なく、高温でも優れた剛性、燃料透過防止性を有する燃料配管用継手に関する。特に自動車用に使用される燃料配管用クイックコネクターに関する。
従来、自動車用の燃料配管には金属配管とゴムチューブが組み合わされて使用されていた。しかし、ゴムチューブは自動車用燃料として使用されているガソリン等に対する透過防止性が十分でなく、安全上及び環境上好ましくなかった。また、ゴムチューブは重く、しかも金属配管に連結する場合には金属配管の端部に外挿し、更に外周をホースバンドで締めて固定する必要がある等取り扱い性が悪かった。
そこで近年では上記ゴムチューブの代わりに樹脂チューブが使用され始めている。この樹脂チューブはガソリンに対する透過防止性に優れており、ゴムチューブと比較して軽量である。また、樹脂チューブと金属配管を迅速に接合できるコネクターが開発され、取り扱い性に優れたシステムとして採用が進んでいる。このコネクターはクイックコネクターと呼ばれており、金属又はプラスチックの雄型チューブ端部と着脱自由に係合するプラスチックハウジングの雌型タイプクイックコネクターである(例えば、特許文献1参照)。雌型ハウジングの向き合った端部は外周面に形成された複数の軸線的に離間したアゴ部を有し、それらを覆って圧入されたポリアミド樹脂又はプラスチックチューブでシステムが接合されている。
また、最近の米国連邦法は自動車燃料中の主成分である炭化水素の大幅な蒸散減少を要求しており、燃料チューブと接合部を含め、高い燃料透過防止性能が求められるようになった。
元来、樹脂チューブの中でもポリアミド11又はポリアミド12を単独で使用したチューブが優れた機械特性と耐薬品性を有することから使用されてきたが、燃料透過防止性能を満足しない。したがって、燃料透過防止性の良好な樹脂、例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンナフタレ−ト(PBN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)等を配置した積層チューブの適用が提案されてきた(例えば、特許文献2参照)。
このような高い透過防止性能を有するチューブを使用することにより、配管からの透過は将来の炭化水素蒸散上限値を大幅に下回ることが可能になる。しかし、クイックコネクターにはポリアミド12、ナイロン66が広く使用されており、その材料自体の透過防止性能では、クイックコネクターの肉厚の増大を招き、将来予想される厳しい燃料蒸散規制に対して対応できなくなる可能性がある。また、地球温暖化により、実質的な気温の上昇のため燃料透過量が増大する傾向もある。
このような炭化水素透過防止ニーズに対応するため、O−ringの配置や、スピン溶着等によるシール性の改良が提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、クイックコネクター筒状母材からの透過により、将来の設計に制約をきたす可能性がある。
特開平11−294676号公報 特表平7−507739号公報 特開2000−310381号公報 特開2001−263570号公報
本発明の目的は、上記問題点を解決することである。即ち、成形品壁面からの燃料透過量を大幅に低減することができ、高温でも優れた剛性、燃料透過防止性を有する燃料配管用継手、特に自動車用に使用される燃料配管用継手を提供することにある。
即ち、本発明は、継手材料が、全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、全ジアミン単位に対して、炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位を60モル%以上含むジアミン単位とからなる(A1)半芳香族ポリアミド重合体100重量部に対して、その分子中に(A2)層状珪酸塩0.1〜30重量部が均一に分散された層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物からなることを特徴とする燃料配管用継手に関するものである。
本発明の燃料配管用継手は、燃料の壁面透過量を大幅に防止することができ、また、高温でも優れた剛性、燃料透過防止性を有し、厳しい蒸散規制へも対応可能となる。また、本発明の燃料配管用継手は、樹脂チューブとの溶着接合によりシール性の高い配管システムを構築でき、特に自動車用に使用される燃料配管用クイックコネクターとして好適に使用できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において継手材料に使用される層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物は、全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、全ジアミン単位に対して、炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位を60モル%以上含むジアミン単位とからなる(A1)半芳香族ポリアミド重合体(以下、(A1)半芳香族ポリアミド重合体と呼ぶ。)とその分子中に均一に分散された(A2)層状珪酸塩からなる。
(A1)半芳香族ポリアミド重合体は、全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、全ジアミン単位に対して、炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位を60モル%以上含むジアミン単位とからなる。
(A1)半芳香族ポリアミド重合体中のテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸単位の含有量としては、全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であり、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸単位の含有量が50モル%未満の場合には、得られる燃料配管用継手の耐熱性、燃料透過防止性等の諸物性が低下するため好ましくない。ナフタレンジカルボン酸単位としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。上記ナフタレンカルボン酸単位の中でも、2,6−ナフタレンジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。
(A1)半芳香族ポリアミド重合体中のジカルボン酸単位は、本発明の燃料配管用継手の優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。該他のジカルボン酸単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、1,3/1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。上記単位の中でも、芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。これら他のジカルボン酸単位の含有量としては、50モル%以下であり、40モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であるのがより好ましく、10モル%以下であるのがさらに好ましい。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸から誘導される単位を溶融成形が可能な範囲内で含有することもできる。
(A1)半芳香族ポリアミド重合体中の、炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位の含有量としては、全ジアミン単位に対して、60モル%以上であり、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位の含有量が60モル%未満の場合には、燃料配管用継手の耐熱性、低吸水性、耐衝撃性が低下する傾向がある。
炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位としては、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミンから誘導される単位が挙げられる。炭素数が上記を満たす限り、直鎖状脂肪族ジアミン単位のみでなく、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐状脂肪族ジアミンから誘導される単位を含有していても構わない。
上記、炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位の中でも、経済性、燃料透過防止性の観点からは、1,9−ノナンジアミン及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される単位が好ましく、耐衝撃性の観点からは、1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位が好ましい。さらに、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位とのモル比は、成形性及び耐衝撃性、共押出成形性のバランスの観点から、30:70〜98:2モル%であることが好ましく、40:60〜95:5モル%の範囲内であることがさらに好ましい。
(A1)半芳香族ポリアミド重合体中のジアミン単位は、本発明の燃料配管用継手の優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、炭素数9〜13の脂肪族ジアミンからなる単位以外の他のジアミンから誘導される単位を含んでいてもよい。該他のジアミン単位としては、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ペプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、1,19−ノナデカンジアミン、1,20−エイコサンジアミン、2/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3/1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル等の芳香族ジアミンから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。これらのジアミン単位の含有量としては、40モル%以下であり、25モル%以下であるのが好ましく、10モル%以下であるのがより好ましい。
また、上記(A1)半芳香族ポリアミド重合体は、その分子鎖の末端が末端封止剤により封止されていることが好ましく、末端基の40%以上が封止されていることがより好ましく、末端基の60%以上が封止されていることがさらに好ましく、末端基の70%以上が封止されていることが特に好ましい。
末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性及び封止末端の安定性等の点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、酸無水物、モノイソシアネ−ト、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコ−ル類等も使用できる。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。これらの内、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が特に好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン、あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。これらの内、反応性、沸点、封止末端の安定性及び価格等の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが特に好ましい。
(A1)半芳香族ポリアミド重合体を製造する際に用いられる末端封止剤の使用量は、最終的に得られるポリアミドの相対粘度及び末端基の封止率から決定される。具体的な使用量は、用いる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件等によって変化するが、通常、ジカルボン酸とジアミンの総モル数に対して0.3〜10モル%の範囲内で使用される。
さらに、(A1)半芳香族ポリアミド重合体は、ポリアミドを製造する方法として知られている公知のポリアミドの重合方法を用いて製造することができる。製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置を用いることができる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
本発明において、継手材料に使用される層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物中に含有される(A2)層状珪酸塩は局所的に凝集することなく、分子レベルで均一に分散し、珪酸塩層を形成している必要がある。ここで珪酸塩層とは、(A2)層状珪酸塩を構成する基本単位であり、(A2)層状珪酸塩が劈開されることにより得られるものである。ここで、(A2)層状珪酸塩とは、例えば一片が0.002〜1μmで、厚みが6〜20Åの物質の一単位を示すものが好ましい。
ここでいう分子レベルで均一分散されるとは、前記(A2)層状珪酸塩が(A1)半芳香族ポリアミド重合体中に分散される際に、(A2)層状珪酸塩のそれぞれが平均20Å以上の層間距離を保っている状態をいう。ここで、層間距離とは(A2)層状珪酸塩の平板の重心間距離を指し、分散されるとは(A2)層状珪酸塩の一枚一枚がもしくは平均的な重なりが5層以下の積層物が平行にあるいはランダムに、もしくは平行とランダムが混在した状態で、その50重量%以上、好ましくは70重量%以上が塊を形成することなく分散されている状態をいう。具体的には、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の試験片について広角X線回折測定を行い、珪酸塩層の厚み方向に起因するピークが消失されていること、もしくは透過型電子顕微鏡写真撮影観察により、層状珪酸塩の塊がないことから確認することができる。
本発明で使用する(A2)層状珪酸塩の好ましい例としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト等の雲母族、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等の脆雲母族、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等の緑泥石族等が挙げられる。
上記例示の(A2)層状珪酸塩は、天然のものであっても、合成あるいは変性されたものであってもよく、単独、あるいは数種を組合せて用いても構わない。
(A2)層状珪酸塩は、珪酸塩を主成分とする負に帯電した層とその層間に介在するイオン交換能を有する陽電荷(イオン)からなる構造を有するものである。
これらの(A2)層状珪酸塩の陽イオン交換容量(CEC)が、50〜200ミリ当量/100gの範囲にあることが望ましい。陽イオン交換容量は、メチレンブルーの吸着量測定により求めることで測定される。この陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満のものでは、(A2)層状珪酸塩の分散劈開が十分に進行しない場合がある。一方、この陽イオン交換容量が200ミリ当量/100gを超えるものでは、層間の結合力が強固なため、(A2)層状珪酸塩の劈開が困難な場合がある。
特に陽イオン交換容量や入手容易性から、ベントナイトを精製して得られるモンモリロナイトが本発明には最適である。
モンモリロナイトは、次式で示されるもので、天然に産出するものを精製することにより得ることができる。
Si(Al2−aMg)O10(OH)・nH
(式中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25〜0.60である。また、層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数は、カチオン種や湿度等の条件に応じて変わりうるので、これ以降、式中ではnHOで表す。)
またモンモリロナイトには次式群で表される、マグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイトの同型イオン置換体も存在し、これらを用いてもよい。
Si(Al1.67−aMg0.5+a)O10(OH)・nH
Si(Fe2−a 3+Mg)O10(OH)・nH
Si(Fe1.67−a 3+Mg0.5+a)O10(OH)・nH
(式中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25〜0.60である。)
通常、モンモリロナイトは、その層間にナトリウムやカルシウム等のイオン交換性カチオンを有するが、その含有比率は産地によって異なる。本発明においては、イオン交換処理等によって層間のイオン交換性カチオンがナトリウムに置換されていることが必要である。また水ひ処理により精製したモンモリロナイトを用いることが好ましい。
また、本発明において、分散性をより向上させる目的で、前記(A2)層状珪酸塩の層間に、有機オニウムイオンを挿入(インターカレーション)した層状珪酸塩が、好適に用いられる。
有機オニウムイオンとは、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、複素芳香環由来のオニウムイオン等に代表される構造を持つものである。これらのうち、入手容易性、安定性の観点から、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、複素芳香環由来のオニウムイオンが好適である。
アンモニウムイオンとしては、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム、デシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、ヘキサデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム等のアルキルアンモニウム、エタノールアミン、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール等の水酸基を有する1級アミンのアンモニウム、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、チロキシン、メチオニン、シスチン、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン等のα−アミノ酸のアンモニウム、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸のアンモニウム等の1級アンモニウム類、メチルドデシルアンモニウム、ブチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウム等のジアルキルアンモニウム、ジエタノールアミン等の水酸基を有する2級アミンのアンモニウム等の2級アンモニウム類、ジメチルオクチルアンモニウム、ジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム等のトリアルキルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウム、ジフェニルドデシルアンモニウム、ジフェニルオクタデシルアンモニウム等のフェニル基を有する3級アンモニウム、トリエタノールアミン等の水酸基を有する3級アミンのアンモニウム等の3級アンモニウム類、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム等の同一のアルキル基を有する4級アンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルエイコサニルアンモニウム、トリメチルオクタデセニルアンモニウム、トリメチルオクタデカジエニルアンモニウム等のトリメチルアルキルアンモニウム、トリエチルドデシルアンモニウム、トリエチルテトラデシルアンモニウム、トリエチルヘキサデシルアンモニウム、トリエチルオクタデシルアンモニウム等のトリエチルアルキルアンモニウム、トリブチルドデシルアンモニウム、トリブチルテトラデシルアンモニウム、トリブチルヘキサデシルアンモニウム、トリブチルオクタデシルアンモニウム等のトリブチルアルキルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデセニルアンモニウム、ジメチルジオクタデカジエニルアンモニウム等のジメチルジアルキルアンモニウム、ジエチルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジエチルジオクタデシルアンモニウム等のジエチルジアルキルアンモニウム、ジブチルジドデシルアンモニウム、ジブチルジテトラデシルアンモニウム、ジブチルジヘキサデシルアンモニウム、ジブチルジオクタデシルアンモニウム等のジブチルジアルキルアンモニウム、メチルベンジルジヘキサデシルアンモニウム等のメチルベンジルジアルキルアンモニウム、ジベンジルジヘキサデシルアンモニウム等のジベンジルジアルキルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム、トリテトラデシルメチルアンモニウム等のトリアルキルメチルアンモニウム、トリオクチルエチルアンモニウム、トリドデシルエチルアンモニウム等のトリアルキルエチルアンモニウム、トリオクチルブチルアンモニウム、トリドデシルブチルアンモニウム等のトリアルキルブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等の芳香環を有する4級アンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アンモニウム等のイオンが挙げられる。
ホスホニウムイオンとしては、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム等のアルキル4級ホスホニウム、フェニルトリメチルホスホニウム、フェニルトリブチルホスホニウム、ジフェニルジメチルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等のフェニルアルキル4級ホスホニウム等の4級ホスホニウム類が、複素芳香環由来のオニウムイオンとしては、ピリジニウム、メチルピリジニウム、ジメチルピリジニウム、キノリニウム、イソキノリニウム等のイオンが挙げられる。また、有機オニウムイオンは親水性を付与するために、エチレンオキサイドが付加されたアンモニウムイオン、ホスホニウムイオンであってもよい。これらは複数種組み合わせて用いても良い。
これらの有機オニウムイオンのうち、比較的低分子量のもの、例えばヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム、デシルアンモニウム等のアルキルアンモニウム、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸のアンモニウム、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、メチオニン、シスチン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン等のα−アミノ酸のアンモニウム等のアンモニウム類、ピリジニウム、メチルピリジニウム、ジメチルピリジニウム等の複素芳香環由来のオニウム類が好ましく、更に好ましくは、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸のアンモニウム、ピリジニウム等のイオンが、最も好ましくは10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸のアンモニウムイオンが使用される。
有機オニウムイオンの量は、(A2)層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し0.8〜2.0当量の範囲であることが好ましく、通常0.9〜1.3当量程度となる。この量が0.8当量よりも少ないと、(A1)半芳香族ポリアミド重合体への分散性が低下する場合があり、2.0当量より多いと該オニウムイオン由来の遊離化合物が顕著となり、成形時の熱安定性低下、メヤニの発生、発煙、金型汚染、臭気等の原因となる場合がある。
有機オニウムイオンの(A2)層状珪酸塩の層間への挿入は、(A2)層状珪酸塩の懸濁液に該オニウムイオン又はこれを含む溶液を添加して、陽イオン交換を行わせることにより容易に達成される。含溶媒中での(A2)層状珪酸塩と有機オニウムイオンとの接触で簡便に行われる該オニウムイオンの層間への導入により、負に帯電した珪酸塩層の層間に有機構造を導入することができ、これにより(A2)層状珪酸塩の(A1)半芳香族ポリアミド重合体への均一な分散が達成される。
有機オニウムイオンの(A2)層状珪酸塩の層間への挿入の際に用いる分散媒は、(A2)層状珪酸塩、有機オニウムイオン及び(A1)半芳香族ポリアミド重合体の種類により適宜決定することができるが、層状珪酸塩を均一に分散させ、かつ膨潤化剤及び(A1)半芳香族ポリアミド重合体との相溶性がよいものが好ましい。
分散媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸、ギ酸、ピリジン、アニリン、フェノール、ニトロベンゼン、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、二硫化炭素、プロピレンカーボネート、2−メトキシエタノール、四塩化炭素、n−ヘキサン、ε−カプロラクタム、ω−ドデカンラクタム、6−アミノカプロン酸、12−アミノドデカン酸等を例示することができる。分散媒は1種類又は2種類以上を用いることができる。特に、分散媒として水、メタノール、エタノール及び/又はε−カプロラクタムを用いることが好ましい。
本発明における(A2)層状珪酸塩の添加量は、(A1)半芳香族ポリアミド重合体100重量部に対して、0.1〜30重量部であり、0.5〜10重量部が好ましい。(A2)層状珪酸塩の添加量が0.1重量部未満の場合は、燃料透過防止性が十分でなく、30重量部より大きい場合は、燃料配管用継手において成形が困難になるとともに、耐衝撃性や引張伸度が低下し好ましくない。
(A1)半芳香族ポリアミド重合体に(A2)層状珪酸塩を均一に分散させる方法については、(1)(A2)層状珪酸塩を膨潤化剤と接触させ、予め層間を広げて層間にモノマー分子を取り込みやすくした後、(A1)半芳香族ポリアミド重合体のポリアミド原料モノマーと混合し、重合する方法(特開昭62−74957号公報参照)、(2)分散媒中に(A2)層状珪酸塩が膨潤した状態で均一に分散された層状珪酸塩複合体を(A1)半芳香族ポリアミド重合体と混合又は混練する方法(特開平2−305828号公報参照)、(3)層状珪酸塩を高濃度で含む層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物を予め前記方法で調製し、この層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物と(A2)層状珪酸塩を含まない(A1)半芳香族ポリアミド重合体を混合する方法を適用することができる。
本発明において継手材料に使用される層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物は、JIS K−6920に準じて測定した相対粘度が、1.5〜4.0の範囲内であることが好ましく、1.8〜3.5の範囲内のものがより好ましく、2.0〜3.0の範囲内のものがさらに好ましい。前記の値より小さい場合、得られる燃料配管用継手の機械的性質が不十分なことがあり、また、前記の値より大きくなると、燃料配管用継手の製造が困難となることがある。
本発明において使用される継手材料は、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物とともに、他のポリアミド系樹脂及び/又はその他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。継手材料中の層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の含有率は、50重量%以上であることが好ましい。層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の含有率が、50重量%未満の場合、燃料配管用継手における燃料透過防止性に劣る場合がある。
他のポリアミド樹脂としては、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラアミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリノナメチレンアゼラアミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))やこれらポリアミド原料モノマ−を数種用いた共重合体等を挙げることができる。特に、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612又はこれら原料モノマ−を数種用いた共重合体は成形性のために好適に使用される。
また、その他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂及び、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された上記ポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のポリサルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエ−テル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリカ−ボネ−ト(PC)等のポリカ−ボネ−ト系樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等を挙げることができる。これらは、単独で使用しても、併用しても良い。
本発明において使用される継手材料には、さらに充填材を添加することが好ましい。
充填材としては、ガラス繊維や炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維等の金属繊維、石膏繊維、セラミックス繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウム繊維等の無機系繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ジアミノジフェニルエーテルとテレフタル酸もしくはイソフタル酸からの縮合物から得られる繊維等の全芳香族ポリアミド繊維、又は全芳香族液晶ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の有機系繊維、ワラステナイト、モンモリロナイト、カオリン、タルク、マイカ、クレイ、アルミナシリケート等の珪酸塩、アルミナ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、ガラスパウダー、ガラスビーズ、セラミックスビーズ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、燐酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。特にガラス繊維は補強効果が高く、好適に使用される。ガラス強化することにより、締結部のクリープ耐性が高く変形が発生しなくなり、永続的なシールが可能となる。
上記繊維状充填材としては、繊維径が好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.03〜15μmであり、繊維カット長は好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは0.7〜5mmである。
また、発明に使用する上記の充填材の表面は、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等の公知のカップリング剤にて処理されたものを使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
充填材の使用量は、継手材料中で、好ましくは5〜65重量%、より好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。5重量%より少ない場合、機械的強度は充分満足されない場合がある。65重量%より多ければ、機械的強度は充分満足されるが、成形性や表面状態が悪くなる場合がある。
また、本発明において使用される継手材料には、さらに導電性フィラーを添加することが好ましい。導電化された継手と導電化されたチューブを接合し、電気運搬回路を形成することにより、燃料等の流体の搬送時に発生する静電気の散逸が可能になり、スパークによる部品の破損や爆発防止が可能となる。
導電性フィラーとは、樹脂に導電性能を付与するために添加されるすべての充填材が包含され、粒状、フレーク状及び繊維状フィラー等が挙げられる。
粒状フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト等が好適に使用できる。フレーク状フィラーとしては、アルミフレーク、ニッケルフレーク、ニッケルコートマイカ等が好適に使用できる。また、繊維状フィラーとしては、炭素繊維、炭素被覆セラミック繊維、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブ、アルミ繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維といった金属繊維等が好適に使用できる。これらの中では、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、炭素繊維が特に好ましい。
カーボンナノチューブとは、中空炭素フィブリルと称されるものであり、本発明で用いられる中空炭素フィブリルは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが該フィブリルの円柱軸の周囲に実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。更に、上記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、上記中空領域の直径が2〜20nmであることが好ましい。カーボンナノチューブの外径は、好ましくは3.5〜70nmであり、より好ましくは4〜60nmである。外径が3.5nm未満の物は、樹脂中への分散性に劣る場合があり、70nmを超えると得られる樹脂成形体の導電性が劣る場合がある。カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/外径の比をいう)は、好ましくは5以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは500以上である。該アスペクト比を満たすことにより、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
カーボンブラックとは、導電性付与に一般的に使用されているカーボンブラックがすべて包含され、好ましいカーボンブラックとしては、アセチレンガスを不完全燃焼して得られるアセチレンブラックや、原油を原料にファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック等が挙げられるが、これらに限定されないが、アセチレンブラック、ファーネスブラック(ケッチェンブラック)が特に好適に用いられる。
また、カーボンブラックは、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分等の特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。本発明で用いることのできるカーボンブラックは、これら特性に特に制限は無いが、良好な鎖状構造を有し、凝集密度の大きいものが好ましい。カーボンブラックの多量配合は耐衝撃性の面で好ましくなく、より少量で優れた電気伝導度を得る意味から、平均粒径は500nm以下、特に5〜100nm、更には10〜70nmであることが好ましく、また表面積(BET法)は10m/g以上、更には300m/g以上、特に500〜1500m/gが好ましく、更にDBP(ジブチルフタレート)吸油量は50ml/100g以上、特に100ml/100g、更に300ml/100g以上であることが好ましい。また灰分は0.5重量%以下、特に0.3重量%以下が好ましい。ここでいうDBP吸油量とは、ASTM D−2414に定められた方法で測定した値である。また、カーボンブラックは、揮発分含量が1.0重量%未満のものがより好ましい。
また、炭素繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられ、物性、導電性のバランスからPAN系炭素繊維が好ましい。また、炭素繊維の繊維径は5〜50μmのものが好ましい。
これら、導電性フィラーは、熱可塑性樹脂との相溶性、親和性の改良、作業性改良のため、チタネート系、アルミ系、シラン系等の表面処理剤により表面処理を施されていても良いし、ポリアミド、ポリウレタン樹脂等の集束剤により結束処理を施されていても良い。また溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
導電性フィラーの添加量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性と流動性、機械的強度等とのバランスの点から、樹脂組成物中に、一般に2〜30重量%が好ましく選択される。
またかかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る意味で、それを配合した樹脂組成物を溶融押出して得られる成形品の体積固有抵抗値が10Ω・cm以下、特に10Ω・cm以下となる程度の量を配合することが好ましい。但し、上記導電性フィラーの配合は強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため目標とする導電レベルが得られれば、上記導電性フィラーの配合量はできるだけ少ない方が望ましい。
また、本発明において使用される継手材料には、上記充填材と導電性フィラーを重量比で1:3〜3:1の割合で配合することが好ましい。
本発明において使用される、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物への、上記充填材や導電性フィラーの配合方法は、特に制限はないが、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物に、充填材及び/又は導電性フィラー、並びに、必要に応じてその他添加剤等の原料成分よりなる混合物を溶融混練する方法が一般的な製造例として挙げられる。溶融混合のための具体的な方法としては、原料成分を、所定の配合割合にて、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等の混練機を用いて混練する方法が例示できる。さらに、各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではなく、上記原材料を一括して混練する方法、上記原材料内の一部を配合し、上記の方法にて溶融混練した後、さらに残りの原料を配合し、溶融混練する方法、あるいは、上記原材料内の一部を配合し、上記の方法にて溶融混練中に、サイドフィーダー等を用いて残りの原料を混合する方法のいずれであってもよい。
さらに、本発明において使用される継手材料には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機質充填材、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、可塑剤、着色剤、潤滑剤、衝撃改良材等を添加してもよい。
本発明の燃料配管用継手の具体例としては、上記継手材料により筒状本体部が形成されてなる燃料配管用クイックコネクターが挙げられる。
図1には、代表的なクイックコネクターの断面を示す。本図に示すクイックコネクター1は、スチールチューブ2の端部とプラスチックチューブ3の端部を相互結合している。スチールチューブ2の端部から離れた位置にあるフランジ形状部4とコネクター1のリテーナー5により着脱可能に係合し、O−ring6の列によって燃料を封止する。リテーナー5は、好ましくは上記継手材料によって形成される。また、プラスチックチューブ3とコネクター1の接合部では、コネクター1の端部は径方向へ突出した複数のあご部8を有する細長いニップル7を形成している。プラスチックチューブ3の端部はニップル7の外面に密着嵌合し、あご部8との機械的な接合とチューブとニップル間に備えたO−ring9により燃料を封止する。
クイックコネクターの製造法としては、筒状本体やリテーナー、O−ring等各パーツを射出成形等で作成した後、所定の場所にアッセンブリーして組み立てる方法等が挙げられる。
上記クイックコネクターは樹脂チューブと係合した形のアッセンブリーに組み立てられ、燃料配管部品として用いられる。クイックコネクターと樹脂チューブとは、嵌合により機械的に接合してもよいが、スピン溶着、振動溶着、レーザー溶着、超音波溶着等の溶着方法により接合することが好ましい。これにより気密性を向上させることができる。また、挿入後、オーバーラップする部分に十分締めつけ力をかけられる、厚肉の樹脂チューブや熱収縮チューブ、クリップ等を用い気密性を向上させることもできる。
樹脂チューブは、その途中に波形領域を有するものであってもよい。このような波形領域とは、チューブ本体途中の適宜の領域を、波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状、又はコルゲート形状等に形成した領域である。かかる波形の折り目が複数個環状に配設されている領域を有することにより、その領域において環状の一側を圧縮し、他側を外方に伸張することができるので、応力疲労や層間の剥離を伴うことなく容易に任意の角度で曲げることが可能となる。
また、樹脂チューブは、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミド系樹脂よりなる層を有するものを用いることが好ましい。またその他に燃料透過防止性樹脂よりなる層を含む積層構造をとることが好ましい。燃料透過防止性樹脂としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンナフタレ−ト(PBN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエ−テル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、本発明において規定されている(A1)半芳香族ポリアミド重合体、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物、層状珪酸塩を含有し、かつ本発明に規定した半芳香族ポリアミド重合体以外のポリアミド重合体よりなる組成物等が挙げられる。
また、液体燃料が流動するラインでは、導電フィラーを含有する組成物からなる層が、最内層に配置された構成が静電気による破損防止のため好ましい。
上記樹脂チューブの外周の全部又は一部には、石ハネ、他部品との摩耗、耐炎性を考慮して、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン/プロピレンゴム(EPR)、エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成されるソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクター)を配設することができる。保護部材は既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維等を添加してその強度を改善してもよい。保護部材の形状は特に限定されないが、通常は、筒状部材等燃料配管用継手を受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に燃料配管用継手を後で挿入したり、あるいは燃料配管用継手の上に筒状部材を被覆押出しして両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに燃料配管用継手を挿入等嵌着し、両者を密着することにより、燃料配管用継手と保護部材の一体化された構造体を形成する。
本発明におけるクイックコネクターは、O−ringや溶着等の気密性向上技術と合わせることにより、燃料ガソリン混合燃料等の壁面透過量が少なく、クリープ変形耐性等の特性に優れたものとすることができる。したがって、燃料透過防止性に優れた燃料配管用継手と組み合わせて、厳しい燃料蒸散規制に対して対応できる燃料ラインシステムとして有用である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における分析及び物性の測定は次のように行った。
また、実施例及び比較例にて用いた材料を示す。
[相対粘度]
JIS K−6920に準じて、96%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃の条件下で測定した。
[物性評価]
(機械特性)
下記の特性を評価した。
曲げ弾性率
ASTM D−790に準拠した方法にて測定した。
ノッチ付きアイゾット衝撃強度
ASTM D−256に準拠した方法にて測定した。
電気抵抗
ASTM D−257に準拠した方法にて測定した。
(燃料透過防止性)
外径8mm、肉厚2mm、長さ100mmの継手を作成し、その片端を密栓し、内部にFuelC(イソオクタン/トルエン=50/50体積比)とエタノールを90/10体積比に混合したエタノール混合ガソリンを入れ、残りの端部も密栓した。その後、全体の重量を測定し、次いで継手を60℃のオ−ブンに入れ、重量変化を測定し燃料透過防止性を評価した。
[実施例及び比較例で用いた材料]
(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物
(A1−1)半芳香族ポリアミド重合体の製造
テレフタル酸32927g(198.2モル)、1,9−ノナンジアミン25326g(160モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン6332g(40モル)、安息香酸586.2g(4.8モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物60g(原料に対して0.1重量%)及び蒸留水40Lをオ−トクレ−ブに入れ、窒素置換した。
100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内部温度を210℃に昇温した。この時、オ−トクレ−ブは2.2MPaまで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1.0MPaまで下げ、更に1時間反応させて、プレポリマ−を得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。これを230℃、0.013kPa下にて、10時間固相重合し、融点が301℃、相対粘度が2.30の半芳香族ポリアミド重合体を得た(以下、この半芳香族ポリアミド重合体を(A1−1)という)。
(A−1)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造
層状珪酸塩の一単位の厚みが平均的に9.5Åで、一辺の長さが約0.1μmのモンモリロナイト100gを2.3リットルの水に分散させ、これに28.1gの12−アミノドデカン酸と12mlの濃塩酸を加え、80℃で60分間攪拌した。さらに、十分洗浄したものを、ブフナーロートを用いて吸引濾過を行い、含水状態の複合物(以下、12MMTと略す。)を得た。この複合物の一部を採取し、水分量を求めたところ88%であった。なお、12−アミノドデカン酸とモンモリロナイトとの複合物(12MMT)の層間距離をX線回折により測定したところ、18Åであった。
次に、この12MMTに水及びカプロラクタムをその比率が、1:9:9になるように加えて攪拌、混合した。
この後、上記製造した半芳香族ポリアミド重合体(A1−1)100重量部に対して、前記12−アミノドデカン酸モンモリロナイトとの複合物(12MMT)に、さらに水及びε−カプロラクタムを加えた12MMT複合体38.8重量部を、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダー温度260〜330℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、半芳香族ポリアミド重合体及び複合体からなるペレットを得た。このペレットを熱水中に浸漬し、前記12MMT中の分散媒の一つであるカプロラクタムを除去した後、真空乾燥して、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物を得た(層状珪酸塩含有率2.0重量部、相対粘度2.15、以下、この組成物を(A−1)という)。該組成物を用いて、試験片を作成し、広角X線回折測定を行ったところ、珪酸塩層の厚み方向に起因するピークが消失していることを確認した。
(A1−2)半芳香族ポリアミド重合体の製造
(A1−1)半芳香族ポリアミド重合体の製造において、テレフタル酸32927g(198.2モル)を、2,6−ナフタレンジカルボン酸42848g(198.2モル)に変えた以外は、(A1−1)半芳香族ポリアミド重合体の製造法と同様の方法で、融点が306℃、相対粘度が2.48の半芳香族ポリアミド重合体を得た(以下、この半芳香族ポリアミド重合体を(A1−2)という)。
(A−2)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造
(A−1)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造において、半芳香族ポリアミド重合体(A1−1)を(A1−2)に変えた以外は、(A−1)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造法と同様の方法で、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物を得た(層状珪酸塩含有率2.0重量部、相対粘度2.35、以下、この組成物を(A−2)という)。該組成物を用いて、試験片を作成し、広角X線回折測定を行ったところ、珪酸塩層の厚み方向に起因するピークが消失していることを確認した。
(A1−3)半芳香族ポリアミド重合体の製造
(A1−1)半芳香族ポリアミド重合体の製造において、1,9−ノナンジアミン25326g(160モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン6332g(40モル)を、1,12−ドデカンジアミン40073g(200モル)に変えた以外は、(A1−1)半芳香族ポリアミド重合体の製造法と同様の方法で、融点が301℃、相対粘度が2.45の半芳香族ポリアミド重合体を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(A1−3)という)。
(A−3)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造
(A−1)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造において、半芳香族ポリアミド重合体(A1−1)を(A1−3)に変え、シリンダー温度を260〜310℃に変更した以外は、(A−1)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造法と同様の方法で、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物を得た(層状珪酸塩含有率2.0重量部、相対粘度2.33、以下、この組成物を(A−3)という)。該組成物を用いて、試験片を作成し、広角X線回折測定を行ったところ、珪酸塩層の厚み方向に起因するピークが消失していることを確認した。
(A1−4)半芳香族ポリアミド重合体の製造
(A1−3)半芳香族ポリアミドの製造において、テレフタル酸32927g(198.2モル)を、2,6−ナフタレンジカルボン酸42848g(198.2モル)に変えた以外は、(A1−3)半芳香族ポリアミドの製造法と同様の方法で、融点が311℃、相対粘度が2.42の半芳香族ポリアミド重合体を得た(以下、この半芳香族ポリアミド重合体を(A1−4)という)。
(A−4)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造
(A−3)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造において、半芳香族ポリアミド重合体(A1−3)を(A1−4)に変えた以外は、(A−3)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造法と同様の方法で、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物を得た(層状珪酸塩含有率2.0重量部、相対粘度2.30、以下、この組成物を(A−4)という)。該組成物を用いて、試験片を作成し、広角X線回折測定を行ったところ、珪酸塩層の厚み方向に起因するピークが消失していることを確認した。
(A−5)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造
上記製造した(A−2)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物70重量%に平均長13mmのガラス繊維(日本電気硝子(株)製)30重量%をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ−温度250〜330℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この組成物を(A−5)という)。
(A−6)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造
(A−5)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造において、平均長13mmのガラス繊維((日本電気硝子(株)製))30重量%を平均長13mmのガラス繊維((日本電気硝子(株)製))15重量%と繊維径7μmの炭素繊維(東邦テナックス(株)製)15重量%に変更した以外は、(A−5)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物の製造と同様の方法にて、層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この組成物を(A−6)という)。
(B)ポリアミド12
(B−1)ポリアミド12 UBESTA3030U (宇部興産(株)製、相対粘度2.26)
(B−2)ポリアミド12樹脂組成物 UBESTA3024GC6 (宇部興産(株)製、ガラス繊維30重量%入り)
(C)ポリアミド66
(C−1)ポリアミド66 UBE Nylon 2020B (宇部興産(株)製、相対粘度2.75)
実施例1
(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を用いて、ASTM規格に沿ったテストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を(A−2)に変えた以外は、実施例1と同様にして、テストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を(A−3)に変えた以外は、実施例1と同様にして、テストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を(A−4)に変えた以外は、実施例1と同様にして、テストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を(A−5)に変えた以外は、実施例1と同様にして、テストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
実施例6
実施例1において、(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を(A−6)に変えた以外は、実施例1と同様にして、テストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
また、当該継手の電気抵抗を測定したところ、体積固有抵抗値が10Ω・cm以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
比較例1
実施例1において、(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を(B)ポリアミド12(B−1)に変えた以外は、実施例1と同様にして、テストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を(B)ポリアミド12(B−2)に変えた以外は、実施例1と同様にして、テストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を(C)ポリアミド66(C−1)に変えた以外は、実施例1と同様にして、テストピースを成形し、機械特性を測定した。また、継手を成形し、燃料透過防止性を測定した。結果を表1に示す。
[継手とチューブの溶着]
実施例7
(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)を用いて外径8mm、肉厚2mm、長さ100mmの継手を成形した。また、成形品はチューブ圧入のため、切削により先端5mm前から先端にかけて外径を8mmから7mmに円錐状に縮径した。別に(B)ポリアミド12(B−1)を用いて、外径10mm、内径7.5mmのチューブを得た。得られた継手をチューブに20mm圧入し、スピン溶着により接合した。継手とチューブ接合品を引張試験に供したところ、チューブが50%伸びた状態でも接着状態を保持し、強固な接着を示し、気密性に優れた接合が可能なことを示した。
比較例4
実施例7において、継手を(A)層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物(A−1)から(C)ポリアミド66(C−1)に変えた以外は、実施例7と同様に継手とチューブ接合品を作成した。
継手とチューブ接合品を引張試験に供したところ、チューブが50%伸びるまでに、接合部の剥離が発生し、弱い接着力を示し、気密性確保が困難なことを示した。
Figure 2005315356
代表的なクイックコネクターの断面図を示す。
符号の説明
1…クイックコネクター
2…スチールチューブ
3…プラスチックチューブ
4…フランジ形状部
5…リテーナー
6…O−ring
7…ニップル
8…あご部
9…O−ring

Claims (9)

  1. 継手材料が、全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、全ジアミン単位に対して、炭素数9〜13の脂肪族ジアミン単位を60モル%以上含むジアミン単位とからなる(A1)半芳香族ポリアミド重合体100重量部に対して、その分子中に(A2)層状珪酸塩0.1〜30重量部が均一に分散された層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物よりなることを特徴とする燃料配管用継手。
  2. 継手材料が、前記層状珪酸塩含有半芳香族ポリアミド組成物50〜99重量部と、他のポリアミド樹脂及び/又は他の熱可塑性樹脂1〜50重量部からなるポリアミド樹脂組成物よりなることを特徴とする請求項1に記載の燃料配管用継手。
  3. 前記継手材料が、さらに充填材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料配管用継手。
  4. 前記継手材料が、さらに導電性フィラーを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料配管用継手。
  5. 前記継手材料が、さらに充填材と導電性フィラーを重量比で1:3〜3:1の割合で含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料配管用継手。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の継手材料により筒状本体部が形成されてなることを特徴とする燃料配管用クイックコネクター。
  7. シール材としてO−ringが使用されることを特徴とする請求項6に記載の燃料配管用クイックコネクター。
  8. 請求項7に記載のクイックコネクターが、スピン溶着、振動溶着、レーザ溶着、超音波溶着から選ばれる溶着方法により樹脂チューブと接合されてなる燃料配管部品。
  9. 前記樹脂チューブが、ポリアミド系樹脂よりなる層及び燃料透過防止性樹脂よりなる層を含むことを特徴とする請求項8に記載の燃料配管部品。
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JP2013043976A (ja) * 2011-08-26 2013-03-04 Unitika Ltd ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体

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