JP2005315185A - 可変動弁機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リンク機構を駆動するための電動機に要求される出力や消費電力を抑えることが可能な可変動弁機構を提供する。
【解決手段】 電動機12の回転運動をリンク機構14により直線運動に変換し、気筒1開閉用の弁手段2をバルブスプリング7に抗して駆動する可変動弁機構11において、前記バルブスプリングから前記リンク機構へ付加されるトルクを低減するように作用する反トルクを前記リンク機構へ付加するトルク低減機構30を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 電動機12の回転運動をリンク機構14により直線運動に変換し、気筒1開閉用の弁手段2をバルブスプリング7に抗して駆動する可変動弁機構11において、前記バルブスプリングから前記リンク機構へ付加されるトルクを低減するように作用する反トルクを前記リンク機構へ付加するトルク低減機構30を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関の吸気弁や排気弁を駆動する可変動弁機構に関する。
モータの回転運動をクランク機構により直線運動に変換して吸排気弁を開閉させる可変動弁装置が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
特開2001−152820号公報
特公表2002−500311号公報
クランク機構などのリンク機構には、吸排気弁に設けられたバルブスプリングの反発力によるトルク(バルブスプリングトルク)が付加されている。モータ(電動機)には、このトルクに抗して吸排気弁を開閉するための出力が要求される。そのため、バルブスプリングトルクが増加すると、電動機の消費電力や要求出力が増加し、電動機の大型化を招くおそれがある。
そこで、本発明は、リンク機構を駆動するための電動機に要求される出力や消費電力を抑えることが可能な可変動弁機構を提供することを目的とする。
本発明の可変動弁機構は、電動機の回転運動をリンク機構により直線運動に変換し、気筒開閉用の弁手段をバルブスプリングに抗して駆動する可変動弁機構において、前記バルブスプリングから前記リンク機構へ付加されるトルクを低減するように作用する反トルクを前記リンク機構へ付加するトルク低減機構を備えたことにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
本発明の可変動弁機構によれば、トルク低減機構によりリンク機構に付加されるトルクが低減されるので、電動機に要求される出力を低減させることができる。また、弁手段の開閉に伴うバルブスプリングからリンク機構に付加されるトルクの変動を、トルク低減手段によって抑制することができる。そのため、電動機の出力を安定化させることができる。これにより、電動機の消費電力を低減させるとともに、電動機に必要な定格出力を抑えることができる。
本発明の可変動弁機構は、前記電動機の回転運動を減速して前記リンク機構へ伝達する減速機構を備えていてもよい(請求項2)。減速機構で電動機の回転を減速させてリンク機構へ伝達することにより、電動機の動力を増幅させてリンク機構へ伝達させることができる。そのため、電動機に要求される出力をさらに低減させ、電動機の消費電力や電動機に必要な定格出力を抑えることができる。
本発明の可変動弁機構は、前記リンク機構として、前記電動機の回転が伝達される回転プレートと、一端が前記回転プレートの偏心位置に連結され、他端が前記弁手段に連結されるリンクと、が設けられ、前記トルク低減機構は、前記回転プレートと一体で回転するか又は前記回転プレートの回転速度に対して1/N倍(但し、Nは整数)の回転速度で回転し、表面にカム面が形成された反位相カムと、前記カム面に接触するカム押え部材と、前記カム押え部材を前記反位相カムのカム面に向かって付勢する付勢手段と、を備え、前記反位相カムのカム面の輪郭は、前記バルブスプリングの反力によって前記リンク機構に付加されるバルブスプリングトルクを相殺する反トルクが前記付勢手段から前記反位相カムに付加されるように設定されていてもよい(請求項3)。このようなカム面を有する反位相カムがカム面にカム押え部材を付勢手段で押し付けられつつ回転プレートと回転することで、リンク機構にバルブスプリングトルクを相殺する反トルクを付加させることができる。そのため、簡素な構成で反トルクをリンク機構へ付加させることができる。
なお、本発明における「相殺」の概念は、バルブスプリングトルクを完全に打ち消す場合に限定されない。リンク機構に作用するトルクを反トルクによって低減させる場合も含まれる。
本発明の可変動弁機構は、前記弁手段の動弁特性を調整する動弁特性調整機構を備えていてもよい(請求項4)。この場合、リンク機構等の部品の加工精度に起因する動弁特性(作用角、リフト量など)のばらつきを動弁特性調整機構により調整することができる。そのため、本発明を複数の気筒を有する内燃機関に適用した場合、リンク機構等の部品の加工精度にばらつきがあっても動弁特性調整機構により動弁特性を調整して各気筒の吸入空気量を揃えることができる。これにより、内燃機関のトルク変動を抑え、運転を安定させることができる。
本発明の可変動弁機構は、前記弁手段のバルブヘッドと反対側にステムエンドキャップが設けられ、前記リンクは前記ステムエンドキャップと接触及び離間が可能な作用部を介して前記弁手段を開方向へ駆動し、前記作用部と前記ステムエンドキャップとを離間させるばね手段を備えていてもよい(請求項5)。リンクは、弁手段を開方向へ駆動するためにまず作用部とステムエンドキャップとを接触させる。そのため、ばね手段によって離間された作用部とステムエンドキャップとの距離(クリアランス)を変更することで、弁手段の開弁開始時期を調整することができる。このように弁手段の開弁開始時期を調整して、弁手段の作用角を調整する。なお、クリアランスは、例えばステムエンドキャップの厚さを変更することにより調整することができる。
以上に説明したように、本発明によれば、リンク機構へ付加されるバルブスプリングトルク等のトルクを低減させるとともに安定化させることができるので、電動機の消費電力、電動機に必要な定格出力を抑えることができる。そのため、電動機を小型化して搭載性を向上させることができる。また、弁手段の動弁特性が調整できるので、複数の気筒を有する内燃機関に本発明を適用した場合にリンク機構の部品の加工精度にばらつきがあっても各気筒の吸入空気量等を揃えることができる。そのため、内燃機関の運転を安定させることができる。
図1に、本発明の一実施形態に係る可変動弁機構の斜視図を示す。図1の動弁装置11は、複数の気筒(図1では一つのみを示す。)を有するレシプロ式内燃機関に組み込まれる。この内燃機関では、一つの気筒1にそれぞれ二本の吸気弁2が設けられ、吸気弁2、2は動弁装置11にて開閉駆動される。図2に吸気弁2の拡大図を示す。吸気弁2はフレキシブルリフタ機構3を介して動弁装置11と連結されている。周知のように吸気弁2は、バルブヘッド2aとステム2bとを有している。フレキシブルリフタ機構3は、動弁装置11と連結される作用部としてのバルブリフタ4と、吸気弁2のステム2bの上端に取り付けられるステムエンドキャップ5と、バルブリフタ4とステムエンドキャップ5との間に圧縮して配置されてこれらを離間させる方向に付勢するばね手段としてのフレキシブルスプリング6とを備えている。各吸気弁2は、バルブスプリング7の圧縮反力によって図1の上側(吸気弁2の閉弁方向)に付勢され、それにより吸気ポートのバルブシート(不図示)に吸気弁2が密着して吸気ポートが閉じられる。
動弁装置11は、駆動源としての電動機(以下、モータと呼ぶ。)12と、モータ12の回転運動を減速して伝達する減速機構としてのギア列13と、ギア列13で減速されたモータ12の回転運動を吸気弁2の直線的な開閉運動に変換するリンク機構14とを備えている。モータ12には回転速度の制御が可能なDCブラシレスモータ等が使用される。また、モータ12には、その回転位置を検出するためのレゾルバ、ロータリエンコーダ等の位置検出センサ(不図示)が内蔵されている。ギア列13は、モータ12の駆動軸12aに取り付けられる駆動ギア15と、駆動ギア15と噛み合う減速ギア16と、減速ギア16を支持する中間軸17とをそなえている。駆動ギア15と減速ギア16とは、モータ12の回転が減速されてリンク機構14へ伝達されるようにギア比が設定される。
図3は動弁装置11の正面図、図4は動弁装置11の右側面図である。リンク機構14は、一端が減速ギア16の回転中心CL1から距離r偏心した位置に設けられているピン16aに連結され、他端がバルブリフタ4の軸受4aと連結されるリンク18を備えている。図3に示したようにリンク18の他端側(軸受4aと連結される側)には、リンク18が二本の吸気弁2と連結可能なように軸18aが設けられている。このように減速ギア16にリンク18が連結されることで、減速ギア16は本発明の回転プレートとして機能する。なお、図4に示したようにリンク機構14によって吸気弁2がスムーズに開閉方向へ駆動されるように、内燃機関のシリンダヘッドやカムキャリア(共に不図示)にバルブリフタ4を案内するガイド19が設けられる。
以上のリンク機構14においては、モータ12の回転運動が駆動ギア15を介して減速ギア16へ伝達されると、一端が減速ギア16のピン16aと連結されたリンク18によって回転運動が直線運動に変換されてバルブリフタ4、4が往復動する。なお、図2に示したようにバルブリフタ4とステムエンドキャップ5との間にはフレキシブルスプリング6によってクリアランスtが設けられている。バルブリフタ4が、リンク18によって図1の下方(吸気弁2の開弁方向)へ押し込まれるとフレキシブルスプリング6が圧縮されてクリアランスtが零となり、その後バルブリフタ4とステムエンドキャップ5とが一体で押し下げられて吸気弁2が開弁方向へ駆動される。そのため、クリアランスtを変更して吸気弁2の開弁開始時期を調整し、吸気弁2の作用角を調整することができる。クリアランスtは、例えばステムエンドキャップ5の厚さを調整することで変更できる。このように、クリアランスtを変更して吸気弁2の動弁特性を調整することにより、フレキシブルリフタ機構3は本発明の動弁特性調整機構として機能する。
図1に示したように、動弁装置11にはトルク低減機構30が設けられている。トルク低減機構30はバルブスプリング7が吸気弁2を閉弁方向に押し戻す力に基づいてリンク機構14に作用するトルク(バルブスプリングトルク)を低減するために設けられている。図3及び図4に詳しく示すように、トルク低減機構30は、中間軸17と一体に回転可能な反位相カム31と、その反位相カム31と対向して配置されたトルク付加装置32とを備えている。反位相カム31の外周面はカム面31aとして構成されている。トルク付加装置32は、ハウジング33と、反位相カム31のカム面31aに押し付けられるカム押え部材としてのローラリフタ34と、ハウジング33とローラリフタ34との間に圧縮状態で装着され、ローラリフタ34を反位相カム31のカム面31aに押し付ける付勢手段としてのスプリング35とを備えている。ローラリフタ34は、カム面31aと接触して反位相カム31の回転に伴って回転するローラ34aを備えている。
反位相カム31のカム面31aは、図5に実線で示したように、中間軸17と同軸の一定半径の円弧(これをベース円と呼ぶ。)を描いて延びる円弧部31bと、その円弧部31bよりも中心側に後退した後退部31cとを備えている。このようなカム面31aの形状(カムプロファイル)はバルブスプリングトルクに基づいて設計される。以下、カム面31aの設計について説明する。
バルブスプリングトルクTv(N・m)は、バルブスプリング7の圧縮反力をFs(N)、減速ギア16が単位角度回転するときの吸気弁2のリフト速度をVv(m/rad)としたとき、これらの積Fs×Vvに補正係数を掛けて算出する。
図6に、減速ギア16の回転角と圧縮反力Fs及びリフト速度Vvとの相関関係の一例を示す。図6では、圧縮反力Fsに関しては吸気弁2を閉位置へ押し戻す方向を正方向にとり、リフト速度Vvは吸気弁2が開く方向へ動作する方向への速度を正方向にとっている。また、バルブスプリングトルクTvはリンク18をモータ12による回転方向と逆方向に押し戻す方向のトルクを正方向にとっている。図6に示したように、吸気弁2のリフト速度Vvはリフト(開動作)が開始される位置P1から上昇を開始し、リフト途中でピークを迎える。そして、吸気弁2の最大リフト量が得られる図6の縦軸位置P2、つまり減速ギア16のピン16aが最も吸気弁2に近付いた位置にてリフト速度Vvが零に復帰し、その後は吸気弁2が閉じる途中にリフト速度Vvが負方向のピークを迎え、吸気弁2が完全に閉じる位置P3でリフト速度Vvが零に戻る。なお、リフト速度Vvの変化は2本の吸気弁2において互いに等しいものとする。
一方、圧縮反力Fsは吸気弁2が開く位置P1から徐々に上昇し、最大リフト位置P2にてピークに達する。最大リフト位置P2から吸気弁2が完全に閉じる位置P3までの間は圧縮反力Fsが徐々に減少する。そのため、バルブスプリングトルクTvは、減速ギア16の回転角に対して図6に実線で示したような相関関係をもつ。バルブスプリングトルクTvの波形はリフト速度Vvの波形と比較して正負のそれぞれのピークが最大リフト位置P2に偏ったような波形となる。
リンク機構14に作用するバルブスプリングトルクTvを相殺するためには、トルク低減機構30から図6に破線で示したようなバルブスプリングトルクTvと逆位相で相補的な反トルクを中間軸17に付加すればよい。そのような反トルクは、リンク18が吸気弁2に対して最大リフト量を与える位置P2を境として、リンク18がバルブスプリング7の反力により減速ギア16の回転方向と逆方向に押し戻される側に位置している間(P1〜P2)は反位相カム31をその回転方向に押し出す方向に作用し、リンク18がバルブスプリング28の反力により減速ギア16の回転方向に押し出される側に位置している間(P2〜P3)は反位相カム31を回転方向と逆方向に押し戻す方向に作用することになる。
トルク低減機構30が付加する反トルクは、スプリング35の圧縮反力とローラリフタ34のリフト速度との積によって与えられるので、まずスプリング35の圧縮反力(ばね力)を適宜に設定し、図6に示した逆位相のトルクをそのスプリング35の圧縮反力で除することにより、反位相カム31によるローラリフタ34のリフト速度を求めることができる。そして、求めたリフト速度を積分すれば減速ギア16の回転角に対する反位相カム31のリフト量が取得でき、取得したリフト量から反位相カム31のカム面31aの形状(プロファイル)を決定することができる。図5に実線で示したカム面31aのカムプロファイルはこのような手順により得られたものである。
さらに、反位相カム31を中間軸17に取り付ける際には、吸気弁2のリフト量が最大になるときにローラリフタ34がカム面31aの後退部31cの最も低い位置にあるように反位相カム31を周方向に位置決めすればよい。以上のように反位相カム31のプロファイル、及び中間軸17に対する周方向の取り付け位置を設定することにより、バルブスプリングトルクTvを相殺するトルクをトルク低減機構30からリンク機構14に付加することができる。これによりモータ12に要求される出力を減少させ、モータ12の消費電力を抑え、定格出力が小さいコンパクトなモータ12を使用することが可能となる。
以上に説明した動弁装置11では二つの吸気弁2のバルブスプリング7のそれぞれから付加されるバルブスプリングトルクを単一の反位相カム31に付加されるトルクにて打ち消すものである。従って、反位相カム31のカム面31aを設計する際には、二本のバルブスプリング7のそれぞれの圧縮反力の和を圧縮反力Fsとして使用することになる。
次に、図7を参照して反位相カム31のカム面31aの他の設定方法について説明する。この設定方法では、吸気弁2が開閉駆動される際の往復運動部品の慣性力を考慮して反位相カム31のカムプロファイルを設計する。
リンク機構14を介して吸気弁2を開閉させる場合、吸気弁2に伴ってバルブスプリング7及びバルブリフタ4等が往復運動することにより慣性力が発生する。そのため、リンク機構14にはバルブスプリングトルクに加えてこの慣性力に応じた慣性トルクが作用する。内燃機関の回転速度が低い場合にはバルブスプリング7の圧縮反力に基づくバルブスプリングトルクと比較して慣性トルクが十分に小さいが、特に高回転域ではバルブスプリングトルクと比較して慣性トルクの影響が大きくなり、吸気弁2の動弁特性に無視し得ない影響を与えることがある。そこで、バルブスプリングトルクと慣性トルクとを考慮して反位相カム31のカム面31aの形状を設計してもよい。
慣性トルクの影響を考慮した反位相カム31のカム面31aは、バルブスプリングトルクと慣性トルクとに基づいて、例えば図5に破線で示したようなプロファイルに設定される。慣性トルクTa(N・m)は、慣性力をFa(N)としたとき、この慣性力Faと吸気弁2のリフト速度Vv(m/rad)との積Fa×Vvに補正係数を掛けて算出する。
慣性力Faは、バルブ側等価質量をWe(kg)、吸気弁2の加速度(バルブ加速度)をVa(m/s2)としたときに、これらの積Fa=We×Vaによって算出される。なお、バルブ加速度は内燃機関の回転数によって異なるため、ここでは内燃機関の最高回転数(例えば6000r.p.m.)のときの加速度を使用する。回転数が高いほど慣性トルクの影響が大きく現れるためである。なお、バルブ側等価質量Weは、リンク機構14によって往復駆動される部品の合計質量である。図1の動弁装置11においては、吸気弁2、バルブスプリング7及びフレキシブルリフト機構3等の各質量の和である。
慣性トルクTaと、慣性力Faの影響を考慮していないバルブスプリングトルクTv(図6に示したものと同じ波形)とを重ね合わせることにより、図7(a)に示すような合成トルクTの波形が得られる。図7(a)において位置P1〜P3は図6と同じであり、位置Paは吸気弁2に開弁方向の最大リフト速度が与えられる位置を、位置Pbは吸気弁2に閉弁方向の最大リフト速度が与えられる位置をそれぞれ示している。合成トルクTは、バルブスプリングトルクTvの波形に対して、位置P1〜Pa間の領域A、及び位置P2〜Pb間の領域Cにおいて正(+)方向の慣性トルクTaを、位置Pa〜P2間の領域B、及び位置Pb〜P3間の領域Dにおいて負(−)方向の慣性トルクTbをそれぞれ重ね合わせた波形となる。
慣性力Faの算出方法及び慣性トルクTaの算出方法から明らかなように、慣性トルクTaの向きは、リフト速度Vvとバルブ加速度Vaとの積によって定まる。リフト速度Vv(図7では不図示)は、図7(a)の領域A、Bの境界(図中の左側の破線)で極大値、領域B、Cの境界(図中の縦軸)でほぼ0、領域C、Dの境界(図中の右側の破線)で極小値となる。一方、リフト速度Vvを微分して得られるバルブ加速度Va(不図示)は、領域A、Dで正の値、領域B、Cで負の値となる。従って、リフト速度Vvとバルブ加速度Vaとの積は、領域A、Cで正の値、領域B、Dで負の値となり、図7(a)のような合成トルクTが得られる。
図7(a)に示した合成トルクTを打ち消すためには、図7(b)に示した逆位相の反トルクをトルク低減機構30から中間軸17に付加すればよい。このような反トルクは、上述したバルブスプリングトルクTvのみを相殺するために必要な反トルク(図6の破線参照)と比較して次のような特徴を有している。すなわち、図7(b)の反トルクは、リンク機構14が吸気弁2に対して最大リフト速度を与える位置(図7(a)の位置Pa、Pb)を境として、リフト速度が増加する範囲(図7(a)のP1〜Pa、Pb〜P3)ではバルブスプリングトルクTvのみを相殺するために必要な反トルクよりも相対的に大きく、リフト速度が減少する範囲(図7(a)のPa〜P2、P2〜Pb)では、バルブスプリングトルクTvのみを相殺するために必要な反トルクよりも相対的に小さくなる。
図7(b)の反トルクから反位相カム31のカム面31aのプロファイルを決定するためには、図5の実線のプロファイルを設計した時と同様に、まずスプリング35の圧縮反力を適宜に設定し、次に図7(b)に示した逆位相トルクを設定した圧縮反力で除する。これにより、反位相カム31によるローラリフタ34のリフト速度が得られる。このリフト速度を積分することにより減速ギア16の回転角に対応した反位相カム31のリフト量が取得され、カム面31aのプロファイルが決定できる。
バルブスプリングTvのみを考慮してプロファイルを設定した反位相カム31では、トルク低減機構30から中間軸17へ付加されるトルクが慣性トルクTa分不足してモータ12の回転が遅れ、リフト量の立ち上がりが遅れる傾向にある。これに対して、慣性トルクTaを考慮したプロファイルを有する反位相カム31では、慣性トルクTaを考慮した反トルクがトルク低減機構30から中間軸17へ付加されるので、リフト量の立ち上がりの遅れを解消できる。そのため、吸気弁2を意図した通りの特性で動作させ、吸気弁2の制御精度を向上させることができる。
なお、内燃機関が最高回転数で運転されているときの慣性トルクに合わせて反位相カム31を設計した場合、減速ギア16の回転角の変化に対するトルク変動が大きくなり、反位相カム31のカム面31aの曲率半径が小さくなる傾向がある。しかしながら、設計上の制約からそのような曲率半径の小さいカム面31aを形成できないことがある。この場合には、合成トルクTとバルブスプリングトルクTvとの中間のトルク特性に基づいて反位相カム31のプロファイルを設定してもよい。これにより、反位相カム31のプロファイルの曲率半径が極端に小さくなることを回避できるので、慣性トルクTaを考慮しつつ設計上の制約を満足することができる。
中間軸17のトルク変動は回転数が高くなると減少するので、反位相カム31のカムプロファイルは低回転時の慣性トルクを参照して設計してもよい。吸気弁2の開き始めの慣性力はトルク増加の要因となるが、中間軸17の回転数を高くしていくとVv接点が小さいためにトルク増加は大きくならず、中間軸17の回転が高くなり慣性力が増加することでトルクが安定しやすくなる。そのため、このような場合は慣性力を無視して反位相カム31のプロファイルを設計してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、本発明の動弁装置によって排気弁を開閉駆動させてもよい。バルブスプリングや慣性トルクによるリンク機構への負荷が小さい内燃機関に本発明の動弁装置を適用する場合は、モータの回転を減速させてリンク機構へ伝達させなくてもよい。この場合、減速機構を省いて動弁装置を簡素化できる。
上述したトルク低減機構の構成は一例であり、種々の変形が可能である。トルク低減機構は、中間軸と同軸上に配置される形態に限定されない。モータから中間軸までの回転伝達経路のいずれかの位置にてトルクを付加できればよい。例えばモータの駆動軸と同軸上に反位相カムを設けてもよい。また、モータから中間軸までの回転伝達経路外に中間軸と連動して回転する軸をさらに追加し、その軸に反位相カムを設けてもよい。
但し、トルク低減機構の反位相カムが設けられる軸は、リンクの一端が偏心して連結される回転プレート(図1の動弁装置では減速ギア。)の回転速度に対して1/N(但し、Nは整数)の回転速度で回転している必要がある。リンク機構に作用するバルブスプリングトルクや慣性トルクの周期は、回転プレートの回転周期と同一周期で変動するため、それらのトルクと同一の周期でトルク変動機構からの反位相トルクを変化させるためには反位相カムに対して回転プレートが整数倍の速度で回転している関係が成立する必要がある。なお、反位相カムが回転プレートと等速で回転する場合には反位相カムの一周を回転プレートの一周と対応付けてカム面のプロファイルを設定すればよいが、反位相カムが回転プレートよりも遅い速度で回転する場合、つまりN≧2の場合には反位相カムの1/N周を回転プレートの一周と対応付けて反位相カムのプロファイルを決定すればよい。例えばN=3の場合、反位相カムには図6又は図7(b)に示した反トルクに対応するプロファイルが周方向に3回繰り返し設けられることになる。
図1では一つの気筒の二本の吸気弁に対して一つのトルク低減機構が設けられているが、各吸気弁に別のリンク機構でモータの回転を伝達し、トルク低減機構を吸気弁毎に分けて設けてもよい。
本発明は気筒毎に動弁装置を設ける例に限定されない。複数の気筒の弁を一つの動弁装置で開閉駆動させてもよい。この場合、リンク機構の回転プレートが設けられる中間軸を各気筒で共用させ、この一本の中間軸に対して一つのトルク低減機構を設けてもよい。但し、複数の気筒で中間軸を共用する場合、各気筒で弁の開閉時期が異なるため、中間軸に作用する各気筒のバルブスプリングトルクや慣性トルクを合成したトルクに基づいて反位相カムのプロファイルを決定する必要がある。また、複数の吸気弁に対して一つのトルク低減機構を設ける場合、トルク低減機構のスプリングの圧縮反力は、吸気弁の本数と一本のバルブスプリングの圧縮反力との積に等しくすることが望ましい。
1 気筒
2 吸気弁(弁手段)
2a バルブヘッド
2b バルブステム
3 フレキシブルリフタ機構(動弁特性調整機構)
4 バルブリフタ(作用部)
5 ステムエンドキャップ
6 フレキシブルスプリング(ばね手段)
7 バルブスプリング
11 動弁装置
12 モータ(電動機)
13 ギア列(減速機構)
14 リンク機構
16 減速ギア(回転プレート)
18 リンク
30 トルク低減機構
31 反位相カム
31a カム面
34 ローラリフタ(カム押え部材)
35 スプリング(付勢手段)
2 吸気弁(弁手段)
2a バルブヘッド
2b バルブステム
3 フレキシブルリフタ機構(動弁特性調整機構)
4 バルブリフタ(作用部)
5 ステムエンドキャップ
6 フレキシブルスプリング(ばね手段)
7 バルブスプリング
11 動弁装置
12 モータ(電動機)
13 ギア列(減速機構)
14 リンク機構
16 減速ギア(回転プレート)
18 リンク
30 トルク低減機構
31 反位相カム
31a カム面
34 ローラリフタ(カム押え部材)
35 スプリング(付勢手段)
Claims (5)
- 電動機の回転運動をリンク機構により直線運動に変換し、気筒開閉用の弁手段をバルブスプリングに抗して駆動する可変動弁機構において、
前記バルブスプリングから前記リンク機構へ付加されるトルクを低減するように作用する反トルクを前記リンク機構へ付加するトルク低減機構を備えたことを特徴とする可変動弁機構。 - 前記電動機の回転運動を減速して前記リンク機構へ伝達する減速機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の可変動弁機構。
- 前記リンク機構として、前記電動機の回転が伝達される回転プレートと、一端が前記回転プレートの偏心位置に連結され、他端が前記弁手段に連結されるリンクと、が設けられ、
前記トルク低減機構は、前記回転プレートと一体で回転するか又は前記回転プレートの回転速度に対して1/N倍(但し、Nは整数)の回転速度で回転し、表面にカム面が形成された反位相カムと、前記カム面に接触するカム押え部材と、前記カム押え部材を前記反位相カムのカム面に向かって付勢する付勢手段と、を備え、
前記反位相カムのカム面の輪郭は、前記バルブスプリングの反力によって前記リンク機構に付加されるバルブスプリングトルクを相殺する反トルクが前記付勢手段から前記反位相カムに付加されるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の可変動弁機構。 - 前記弁手段の動弁特性を調整する動弁特性調整機構を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の可変動弁機構。
- 前記弁手段のバルブヘッドと反対側にステムエンドキャップが設けられ、
前記リンクは前記ステムエンドキャップと接触及び離間が可能な作用部を介して前記弁手段を開方向へ駆動し、
前記作用部と前記ステムエンドキャップとを離間させるばね手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の可変動弁機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004134586A JP2005315185A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 可変動弁機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004134586A JP2005315185A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 可変動弁機構 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005315185A true JP2005315185A (ja) | 2005-11-10 |
Family
ID=35442868
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004134586A Pending JP2005315185A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 可変動弁機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005315185A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008069744A (ja) * | 2006-09-15 | 2008-03-27 | Honda Motor Co Ltd | リンク式ストローク特性可変エンジン |
WO2008065881A1 (fr) * | 2006-11-28 | 2008-06-05 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Mécanisme de distribution variable |
CN114837765A (zh) * | 2022-03-29 | 2022-08-02 | 哈尔滨工程大学 | 一种电磁-机械耦合式无凸轮可变配气系统 |
-
2004
- 2004-04-28 JP JP2004134586A patent/JP2005315185A/ja active Pending
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