JP2005315160A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 予混合燃焼と拡散燃焼のどちらを実現させる際にも適切な噴射角度を確保できる燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】 ノズルホルダ1の下部に配置され、比較的小径で且つ噴射角度θ1が比較的小さく設定された第一噴射孔3aと、第一噴射孔3aよりも上方に配置され、第一噴射孔3aの孔径以上の孔径でかつ噴射角度θ2が第一噴射孔3aの角度θ1以上に設定された第二噴射孔3bとを備え、予混合燃焼を実現させる領域では、針弁2のリフト量を比較的小さくして主に第一噴射孔3aから燃料Fを噴射し、拡散燃焼を実現させる領域では、針弁2のリフト量を予混合燃焼を実現させる領域よりも大きくして主に第二噴射孔3bから燃料Fを噴射するようにしたものである。
【選択図】 図6
【解決手段】 ノズルホルダ1の下部に配置され、比較的小径で且つ噴射角度θ1が比較的小さく設定された第一噴射孔3aと、第一噴射孔3aよりも上方に配置され、第一噴射孔3aの孔径以上の孔径でかつ噴射角度θ2が第一噴射孔3aの角度θ1以上に設定された第二噴射孔3bとを備え、予混合燃焼を実現させる領域では、針弁2のリフト量を比較的小さくして主に第一噴射孔3aから燃料Fを噴射し、拡散燃焼を実現させる領域では、針弁2のリフト量を予混合燃焼を実現させる領域よりも大きくして主に第二噴射孔3bから燃料Fを噴射するようにしたものである。
【選択図】 図6
Description
本発明は燃料噴射装置に係り、特に、エンジンの運転状態に応じて予混合燃焼と拡散燃焼とを切り換えるディーゼルエンジンに用いられる燃料噴射装置に関するものである。
従来、ディーゼルエンジンでは、筒内が高温・高圧となるピストンの圧縮上死点近傍で燃料を噴射するのが一般的であった。この場合、燃料の噴射中に燃料が着火して火炎が形成され、その火炎に後続の燃料が供給されることで燃焼が継続される。このような従来の燃焼形態では、初期に噴射した燃料が着火遅れ期間の後一気に燃焼する部分と、空気が不足する燃焼ガス中での燃焼部分とが存在し、NOxやスモーク等が発生するという問題が指摘されていた。このように、燃料がその噴射中に着火する燃焼形態を本明細書では拡散燃焼と称する。
一方、近年では、燃料の噴射時期を圧縮上死点近傍よりも早期にして、燃料の噴射終了後に予混合気を着火させるようにしたディーゼルエンジンが提案されている(特許文献1、2参照)。
このディーゼルエンジンでは、燃料の噴射終了後、ある程度の期間を経て予混合気が着火するため、着火までに予混合気が充分に希薄・均一化される。従って、局所的な燃焼温度が下がりNOx排出量が低減する。また、局所的に空気不足状態での燃焼も回避されるのでスモークの発生も抑制される。このように燃料の噴射終了後に予混合気が着火する燃焼形態を本明細書では予混合燃焼と称し、燃料の噴射が終了してから予混合気が着火するまでの期間を予混合期間と称する。
この予混合燃焼を実現させる場合、ピストンの圧縮上死点よりも早期に燃料を噴射するため、ピストンが比較的下方に位置した(燃料噴射弁から離れた)状態で燃料が噴射される。このため、燃料の噴射角度を拡散燃焼を実現させるときよりも狭くする必要がある。なぜなら、燃料を噴射するときのピストン位置が低いので、燃料の噴射角度が広いと噴射された燃料がピストン頂部のキャビティ内に入らずに、シリンダ側壁に衝突・付着してしまいHC等の発生につながるからである。
ところで、エンジンの高負荷領域で予混合燃焼を実現させると、筒内圧力が高くなりノッキング等が生じるおそれがあるため、エンジンの高負荷領域では拡散燃焼に切り換える必要がある。
しかしながら、予混合燃焼用に燃料噴射角度が狭く設定された燃料噴射弁を用いて拡散燃焼を実現させると、噴射された燃料がキャビティの中心側に集中してしまうため分散が悪くなり、燃料と空気との良好な混合が得られずスモーク等が発生してしまう可能性がある。
これを図7を用いて説明する。
図中左半分が、予混合燃焼を実現させるときの燃料噴霧とピストンとの関係を示しており、右半分が拡散燃焼を実現させるときの同関係を示している。
上述したように、予混合燃焼を実現させる場合(図の左側)、ピストンPが比較的下方に位置した状態で燃料Fが噴射される。この燃料Fの全てがピストンPのキャビティC内に入るように燃料噴射弁Iの噴射角度θが設定される。キャビティCに衝突した燃料Fは、燃焼室N内の比較的広い範囲に分散されて空気と良好に混合する。
一方、拡散燃焼を実現させる場合(図の右側)、ピストンPが圧縮上死点近傍に位置した状態で燃料Fが噴射されるため、燃料FはキャビティCの径方向内側部分(中心側部分)に衝突する。こうなると、燃料FがキャビティCの中心部に集中してしまうため、燃料Fと空気との混合が不充分となり排気ガスが悪化する。特に、拡散燃焼は高負荷領域で実行されるため燃料噴射量が多いので、多量の燃料がキャビティC中心に集中してしまうことになり、排気ガスが悪化する。
つまり、予混合燃焼と拡散燃焼とでは燃料の噴射時期が異なり、最適な噴射角度が異なるため、エンジンの運転状態に応じて両燃焼形態を切り換えるエンジンでは、両方の燃焼形態で適切な噴射角度を確保することが課題となっていた。
なお、燃料の噴射角度を調節できる可変噴射弁を用いればこの課題は解決するが、そのような燃料噴射弁は現時点では研究段階であり、信頼性やコスト面等に課題を残している。
そこで、本発明の目的は、エンジンの運転状態に応じて予混合燃焼と拡散燃焼とを切り換えるエンジンに用いられる燃料噴射装置において、どちらの燃焼形態を実現させる場合でも適切な噴射角度を確保できる燃料噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、エンジンの運転状態が比較的低負荷領域であるときは、燃料の噴射終了後に予混合気を着火させる予混合燃焼を実現させるべく、ピストンの圧縮上死点近傍よりも前に燃料を噴射し、エンジンの運転状態が上記予混合燃焼を実現させる領域よりも高負荷領域であるときは、燃料をその噴射中に着火させる拡散燃焼を実現させるべく、圧縮上死点近傍で燃料を噴射するディーゼルエンジンに用いられる燃料噴射装置であって、燃料の噴射孔を備えたノズルホルダと、そのノズルホルダ内に上下方向に移動可能に設けられた針弁とを備えた燃料噴射弁と、上記燃料噴射弁の針弁をリフトさせて上記ノズルホルダの上記噴射孔を開き、その噴射孔から燃料噴射を実行させるための制御装置とを備え、上記噴射孔は、上記ノズルホルダの下部に配置され、比較的小径で且つノズルホルダの軸心に対する角度が比較的小さく設定された第一噴射孔と、上記第一噴射孔よりも上方に配置され、上記第一噴射孔の孔径以上の孔径で且つノズルホルダの軸心に対する角度が上記第一噴射孔の角度以上に設定された第二噴射孔とを備え、上記制御装置は、上記予混合燃焼を実現させる領域では、上記針弁のリフト量を比較的小さくして主に上記第一噴射孔から燃料を噴射し、上記拡散燃焼を実現させる領域では、上記針弁のリフト量を上記予混合燃焼を実現させる領域よりも大きくして主に上記第二噴射孔から燃料を噴射するものである。
請求項2の発明は、上記第一噴射孔の上記ノズルホルダの軸心に対する角度を、上記予混合燃焼を実現させる際に、上記第一噴射孔から噴射される燃料がピストン上部に形成された凹部内に噴射されるように設定するものである。
ここで、上記請求項1又は2の燃料噴射装置はコモンレール型燃料噴射装置であっても良い。
本発明によれば、エンジンの運転状態に応じて予混合燃焼と拡散燃焼とを切り換えるエンジンに用いられる燃料噴射装置において、どちらの燃焼形態を実現させる場合でも適切な噴射角度を確保できるという優れた効果を奏するものである。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施形態はディーゼルエンジンのコモンレール型燃料噴射装置に適用したものであり、図1がディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の概略図である。なお、図1では一気筒のみ示されているが、当然多気筒であっても良い。
図中101がエンジン本体であり、これはシリンダ102、シリンダヘッド103、ピストン104、吸気ポート105、排気ポート106、吸気弁107、排気弁108、吸気管112、排気管113等を備える。
シリンダ102とシリンダヘッド103との空間に燃焼室110が形成され、この燃焼室110内に本実施形態の燃料噴射装置から燃料が直接噴射される。ピストン104の頂部には凹部(キャビティ)111が形成され、キャビティ111は燃焼室110の一部をなす。本実施形態では、キャビティ111は底部中央が隆起したトロイダル型燃焼室の形態をなす。なお、本発明は燃焼室110の形状に制約はなく、リエントラント型燃焼室等であっても良い。
燃料噴射装置は、燃料室110内に臨んで設けられたインジェクタ(燃料噴射弁)109、インジェクタ109に供給する燃料を蓄圧するためのコモンレール124、コモンレール124に燃料を供給するためのサプライポンプ125、サプライポンプ125の吐出圧力、インジェクタ109による燃料噴射時期及び燃料噴射量等を制御する制御装置(ECU)126等から構成される。
このエンジンは、排気管113内の排気ガスの一部を吸気管112に還流するEGR装置119を備えている。EGR装置119は、吸気管112と排気管113とを結ぶEGR管120と、EGR管120の管路面積を変えてEGR率を調節するためのEGR弁121と、EGR弁121の上流側にてEGRガスを冷却するEGRクーラ122とを備えており、EGR弁121の弁開度を調節することで混合気のEGR率を制御できるようになっている。
ECU126には各種センサ類が接続されており、ECU126はそれらセンサの検出値に基づいてエンジンの運転状態を読み取り、サプライポンプ125、インジェクタ109、EGR弁121等を制御する。前記センサ類としては、アクセル開度(エンジン負荷)を検出するアクセル開度センサ114、エンジンの回転速度を検出するエンジン回転センサ115、エンジンのクランク軸の角度を検出するクランク角度センサ116、コモンレール124内の燃料圧力を検出するコモンレール圧センサ117等が含まれる。
本実施形態のディーゼルエンジンは、エンジンの運転状態に応じて上述した予混合燃焼と拡散燃焼とを切り換えるものである。
即ち、図2に示すように、エンジンの運転状態が予め設定された第一運転領域(図から分かるように比較的低負荷領域に設定される)であるときは、燃料の噴射終了後に予混合気を着火させる予混合燃焼を実現させるべく、ピストン104の圧縮上死点近傍よりも前(例えば40〜20°BTDC程度)に燃料を噴射する。本実施形態では、この第一運転領域(予混合燃焼領域)では、EGR装置19により混合気のEGR率が比較的高く制御される。これにより、予混合気の酸素濃度が低くなり着火時期が遅れて予混合期間が長くなるため、排気ガスの改善効果をより高めることができる。
一方、エンジンの運転状態が予め設定された第二運転領域(第一運転領域よりも高負荷領域に設定される)であるときは、燃料がその噴射中に着火する拡散燃焼を実現させるべく、少なくともピストン104の圧縮上死点近傍(例えば10°BTDC〜10°ATDC程度)で燃料を噴射する。
次に、本実施形態のインジェクタ109の詳細構造を図3及び図4を用いて説明する。なお、このインジェクタ109の構造は、本出願人が特開2000−018122号公報で開示しているものと同様である。
図示するように、インジェクタ109は、下端部(先端部)に燃料の噴射孔(ホール)3を備えたノズルホルダ1と、そのノズルホルダ1内に上下方向に移動可能に設けられた針弁2とを備え、ECU126(図1参照)により針弁2をリフト(上昇)させることで、ノズルホルダ1の噴射孔3を開いて燃料噴射を実行する、ホール型(VCO:Valve Covered Orifice)のノズルである。ここで、本実施形態の燃料噴射装置の特徴は、インジェクタ109の噴射孔3にあるのだが、まず、インジェクタ109の全体構造を説明する。
ノズルホルダ1は、中央本体4の下部に、第一ピース5、第2ピース6、第3ピース7を順次同軸に取付け、リテーニングナット8でこれらを一括保持した構成となっている。針弁2は第二、第三ピース6,7に形成された中心穴10内に装入される。針弁2の外周面と、第三ピース7の中心穴10の内周面との間に所定の隙間11が設けられ、燃料の通過が許容されている。この隙間11は、ノズルホルダ1内部に形成された燃料通路12を介して、コモンレール124(図1参照)に接続された燃料配管13に連通される。これにより隙間11にはコモンレール圧の高圧燃料が常時供給され、針弁2は中間部の受圧面14と尖頭状の先端面とで燃圧を受け、上昇力を受ける。
燃料通路12と隙間11とはスプリング室15を介して連通され、スプリング室15にはスプリング16が設けられる。スプリング16は針弁2の外周に嵌合されると共に、針弁2のツバ部17と第二ピース6との間に圧縮状態で挟まれ、針弁2を閉弁方向(下方)に付勢する。
針弁2の直上には圧力制御部18が設けられる。これについては後述する。そしてその上方に押圧ピストン19が、押圧ピストン19の上方にプッシュピン20がそれぞれ配設される。押圧ピストン19とプッシュピン20とはそれぞれスプリング21,22により上方に付勢され、かつ互いに当接される。プッシュピン20の上方にソレノイド23が設けられ、ソレノイド23がON(通電)されるとプッシュピン20及び押圧ピストン19が同時に下降し、ソレノイド23がOFF(非通電)されるとプッシュピン20と押圧ピストン19とがスプリング21,22の付勢力により同時に上昇するようになっている。ソレノイド23のON/OFFはECU126(図1参照)によって行われる。
プッシュピン20は中央本体4の中心穴24内に挿入されるが、やはりこれらの間の隙間25でも燃料の通過が許容され、特にリーク燃料を通過させられるようになっている。即ち、インジェクタ109の開弁時に圧力制御部18から燃料がリークされるが、この燃料は押圧ピストン19の外周側の隙間、押圧ピストン19とプッシュピン20との当接部の隙間、及び上記隙間25を通じてリーク通路27に至り、ニップル28及びリーク配管(図示せず)を通じて燃料タンク(図示せず)に戻される。
図4を用いて圧力制御部18の構造を説明する。
図示するように、第二ピース6には中心穴29が形成され、第一ピース5にはその底面から所定長さだけ加工された穴部30が形成される。中心穴29と穴部30とは同軸上に配置されて互いに連通され、中心穴29は穴部30より2倍程度の大径とされる。中心穴29には針弁2の上端部31が摺動自在に挿入される。ただしここでの隙間は小さく、燃料が通過できないような大きさである。従って、この挿入部(中心穴29と上端部31)により軸シール部34が形成される。そして、中心穴29と、穴部30と、針弁2の上端面32とで圧力制御室33(バランスチャンバ)が区画形成される。このように圧力制御室33は第一ピース5と第二ピース6との分割部に形成される。上記スプリング室15は第二ピース6の直下にあり、軸シール部34により圧力制御室33と隔離される。
穴部30の上端部は上方に向かうほど小径となるテーパ状に形成される。そしてその上端には、小孔35が同軸上に形成される。この小孔35により圧力制御室33の燃料排出口が形成される。ただし小孔35には軸体36が挿通されるので、燃料のリークは小孔35と軸体36との隙間を通じて行われることになる。小孔35の出口は凹部37を介してピストン挿入穴38に連通される。そしてリーク燃料はピストン挿入穴38と押圧ピストン19の隙間を通じて上方に流れる。
圧力制御室33内には弁体39が装入配置される。弁体39の中心孔40に上記軸体36が圧入され、カシメにより完全に固定される。これら弁体39及び軸体36がセルフシール弁41を形成し、一体に昇降移動して小孔35を開閉する。
セルフシール弁41の下端面は針弁2の上端面32と対向する。弁体39の上端部は小孔35の上端部に倣うテーパ状とされ、それらテーパ面同士が面接触するようになっている。つまり小孔35のテーパ面が弁座を形成する。この面接触は圧力制御室33内の燃圧が高まれば高まるほど強力となり、これによりセルフシールが達成される。
軸体36の上端部は小孔35から上方に突出され、且つその上端部に上方ほど大径となるテーパ部46が形成される。このテーパ部46に押圧ピストン19が上方から当接し、軸体36及び弁体39を一体に下降させて小孔35を開放するようになっている。この下降時にはテーパ部46が凹部37内に入り込み、これにより押圧ピストン19が凹部37の外周側のピストン挿入穴38底面に突き当たって停止できる。押圧ピストン19と軸体36とが当接すると、図示のようにテーパ部46が押圧ピストン19の中心孔45を塞ぐが、押圧ピストン19が上昇しテーパ部46から離れると、中心孔45にもリーク燃料が導入され、リーク燃料の排出が促進される。
圧力制御室33と燃料通路12とは燃料導入通路42で連通される。即ち、圧力制御室33には燃料通路12の途中から分岐された高圧燃料が燃料導入通路42を通じて常時導入される。燃料導入通路42は大径穴43と小径孔44とからなる。即ち、第一ピース5の底部から穴部30を利用して側方且つ斜め上方に大径穴43をドリル加工し、この後大径穴43の先端から燃料通路12まで同軸に小径孔44をドリル加工することにより、燃料導入通路42は形成される。小径孔44が絞り通路をなすため、燃料の導入がある程度制限される。小径孔44の通路面積は、小孔35と軸体36との隙間の通路面積より小さい。
このインジェクタの作用を述べる。
燃料噴射を実行しないときは、ECU126によりソレノイド23がOFFされ、プッシュピン20及び押圧ピストン19が上端に位置し、圧力制御室33内の燃圧によりセルフシール弁41が上方に押し付けられ小孔35を閉じる。この場合、燃料が小孔35を通じてリークできないので、圧力制御室33内の燃圧が針弁2の上端面32に作用し、針弁2が下方に押し付けられ、ノズルホルダ1の噴射孔3が閉じられる。
燃料噴射を実行するときは、ECU126によりソレノイド23がONされる。これにより、プッシュピン20及び押圧ピストン19が下方に移動し、セルフシール弁41を下方に押して小孔35が開かれる。すると、圧力制御室33内の燃料が小孔35からリークされ圧力制御室33内が低圧となる。これにより、針弁2の上端面32に作用していた燃圧が解放されるので、力のバランスが崩れ、針弁2が上昇し、ノズルホルダ1の噴射孔3が開かれる。これにより隙間11にあった燃料が噴射孔3から燃焼室110(図1参照)内に噴射される。
ECU126は、燃料噴射を実行する際、エンジン運転状態に基づいて、予め定められたマップから目標燃料噴射量を決定し、その目標燃料噴射量に従ってソレノイド23に対する通電電流を調節する。これにより、小孔35の開度が調節され圧力制御室33内の圧力が調節されるため、結果として針弁2のリフト量が制御される。具体的には、エンジン負荷が高い領域では目標燃料噴射量が多く設定され、ECU126はソレノイド23に対する通電量を多くして針弁2のリフト量を比較的大きくする。逆に、エンジン負荷が低い領域では目標燃料噴射量が少なく設定され、ECU126はソレノイド23に対する通電量を少なくして針弁2のリフト量を比較的小さくする。
さて、上述したように本実施形態の燃料噴射装置の特徴は、インジェクタ109の噴射孔3にあるので、以下、図5を用いて噴射孔3の構造を説明する。
図5はノズルホルダ1及び針弁2の下端部の拡大図であり、図の左半分が予混合燃焼を実現させる場合(エンジン運転状態が第一運転領域である場合)を示し、右半分が拡散燃焼を実現させる場合(エンジン運転状態が第二運転領域である場合)を示している。
図から分かるように、ノズルホルダ1の下端部はテーパ状に形成されており、そのテーパ部分の上下方向に間隔を隔てた二つの位置に噴射孔3a,3bが形成される。
図中下側に配置される第一噴射孔3aは、ノズルホルダ1の周方向に等間隔を隔てて複数形成されており、その孔径が比較的小さく(例えば、φ0.15mm以下)設定される。また、第一噴射孔3aの中心軸とノズルホルダ1の軸心Cとの角度θ1(燃料の噴射角度)は比較的小さく(例えば、135°/2以下)設定される。具体的に説明すると、第一噴射孔3aの噴射角度θ1は、予混合燃焼を実現させる際に、第一噴射孔3aから噴射される燃料が全てピストン104のキャビティ111の径方向外側部分に衝突するような角度に設定される。つまり、第一噴射孔3aの噴射角度θ1は、拡散燃焼を実現させるディーゼルエンジンの噴射角度よりも狭く設定される。
他方、第一噴射孔3aよりも上方に配置される第二噴射孔3bもまた、ノズルホルダ1の周方向に等間隔を隔てて複数形成されており、その孔径が第一噴射孔3aの孔径以上(例えば、φ0.15mm以上)に設定される。また、第二噴射孔3bの中心軸とノズルホルダ1の軸心Cとの角度θ2は、第一噴射孔3aの噴射角度θ1以上(例えば、135°/2〜160°/2)に設定される。具体的には、第二噴射孔3bの噴射角度θ2は拡散燃焼を実現させる際に、第二噴射孔3bから噴射される燃料がピストン104のキャビティ111の径方向外側部分に衝突するように設定される。つまり、第二噴射孔3bの噴射角度θ2は、拡散燃焼を実現させるディーゼルエンジンの噴射角度とほぼ等しく設定される。なお、第二噴射孔3bの噴射角度θ2を第一噴射孔3aの噴射角度θ1以上としたのは、第二噴射孔3bが第一噴射孔3aよりも上方に位置しているので、噴射角度θ2を第一噴射孔3aの噴射角度θ1と等しくしても、第二噴射孔3bから噴射される燃料は第一噴射孔3aから噴射される燃料よりも径方向外側に到達するからである。
このように、本実施形態のノズルホルダ1は、上下方向位置及び噴射角度の異なる(噴射角度については同じ場合もある)二種類の噴射孔3a,3bを備えている。
針弁2の下端部はノズルホルダ1の下端部とほぼ同じ角度で傾斜したテーパ状に形成されており、針弁2が下端部に位置したときには、このテーパ部分が第一噴射孔3a及び第二噴射孔3bを完全に閉ざすようになっている。
以上説明してきた燃料噴射装置を備えたエンジンにおいて、予混合燃焼及び拡散燃焼を実現させるときの燃料噴霧とピストンとの関係を図5及び図6を用いて説明する。
1:予混合燃焼を実現させる場合
上述したように、予混合燃焼を実現させる領域はエンジンの低負荷領域であり、目標燃料噴射量が比較的少ないので、ECU126は、針弁2のリフト量を比較的小さくする。即ち、ECU126は、予混合燃焼を実現させる場合、図5の左半分に示すように、針弁2が第一噴射孔3aのみを主に開放するような距離だけ針弁2をリフトさせる。
上述したように、予混合燃焼を実現させる領域はエンジンの低負荷領域であり、目標燃料噴射量が比較的少ないので、ECU126は、針弁2のリフト量を比較的小さくする。即ち、ECU126は、予混合燃焼を実現させる場合、図5の左半分に示すように、針弁2が第一噴射孔3aのみを主に開放するような距離だけ針弁2をリフトさせる。
この結果、図6(a)に示すように、主に第一噴射孔3aから燃料Fが噴射される。予混合燃焼ではピストン104の圧縮上死点近傍よりも早期に燃料Fが噴射されるため、ピストン104が比較的下方に位置した(インジェクタ109から離れた)状態で燃料Fが噴射されるが、上述したように第一噴射孔3aの噴射角度θ1は狭く設定されているため、第一噴射孔3aから噴射された燃料Fは全て、ピストン104のキャビティ111の径方向外側部分に衝突する。キャビティ111に衝突した燃料Fは、燃焼室110内の比較的広い範囲に分散されて空気と良好に混合する。なお、針弁2のリフト量によっては、第二噴射孔3bと針弁2との間に若干の隙間が形成され、第二噴射孔3bからも燃料が噴射される場合もあると考えられるが、この場合、第二噴射孔3bから噴射される燃料は極僅かであることと、第二噴射孔3bの孔径が大きく噴射圧力が低いことから、燃料噴霧の到達距離が短くなるため、シリンダの側壁に衝突することはない。
このように、予混合燃焼を実現させる場合、主に噴射角度の狭い第一噴射孔3aを用いて燃料噴射を行うため、噴射された燃料がシリンダの側壁に衝突・付着して未燃HCが発生することはない。また、噴射された燃料が広い範囲に分散されるため、空気との良好な混合を得られる。また、第一噴射孔3aの孔径は比較的小さく設定されているため、予混合燃焼時の噴射量に見合った噴射圧力で燃料を噴射することができる。
2:拡散燃焼を実現させる場合
上述したように、拡散燃焼を実現させる領域はエンジンの高負荷領域であり、燃料噴射量が比較的多いので、ECU126は、針弁2のリフト量を予混合燃焼を実現させるときよりも大きくする。即ち、ECU126は、図5の右半分に示すように、針弁2がノズルホルダ1の第一噴射孔3aと第二噴射孔3bの両方を開放するように針弁2をリフトさせる。
上述したように、拡散燃焼を実現させる領域はエンジンの高負荷領域であり、燃料噴射量が比較的多いので、ECU126は、針弁2のリフト量を予混合燃焼を実現させるときよりも大きくする。即ち、ECU126は、図5の右半分に示すように、針弁2がノズルホルダ1の第一噴射孔3aと第二噴射孔3bの両方を開放するように針弁2をリフトさせる。
この結果、図6(b)に示すように、ノズルホルダ1の第一噴射孔3a及び第二噴射孔3b両方から燃料Fが噴射される。このとき、第二噴射孔3bの孔径が第一噴射孔3aの孔径よりも大きいため、インジェクタ109に供給された燃料Fの大半は第二噴射孔3bから噴射される。
拡散燃焼ではピストン104が圧縮上近傍に位置した状態で燃料Fが噴射されるが、第二噴射孔3bの噴射角度θ2が広く設定されているため、第二噴射孔3bから噴射された燃料Fはピストン104のキャビティ111の径方向外側部分に衝突し、燃焼室110内の比較的広い範囲に分散される。第一噴射孔3aから噴射された燃料Fはキャビティ111の径方向中心側に衝突することになるが、第一噴射孔3aから噴射される燃料は極僅かであるため問題とはならない。むしろ、燃料Fの全てを第二噴射孔3bから噴射するよりも、より広い領域に燃料Fを噴射でき燃焼室110中心部の空気を効果的に利用できるため、燃料と空気との混合がより良好に行われる。
このように、拡散燃焼を実現させる場合、噴射角度の広い第二噴射孔3bを主に用いて燃料噴射を行うため、噴射された燃料がキャビティ111の中心部に集中することはなく、スモーク等の発生を防止できる。また、第二噴射孔3bの孔径が比較的大きく設定されているため、拡散燃焼時の噴射量に見合った噴射圧力で燃料を噴射することができる。
以上説明したように、本実施形態の燃料噴射装置によれば、予混合燃焼を実現させる領域では、主に噴射角度の狭い第一噴射孔3aから燃料を噴射し、拡散燃焼を実現させる領域では、主に噴射角度の広い第二噴射孔3bから噴射することができるため、各燃焼形態に適した噴射角度で燃料噴射を行うことができ、燃料と空気との良好な混合を全ての運転領域で確保できる。
なお、インジェクタ109の構造は単に一例として示したものであり、本発明は様々な構造のインジェクタに適用できるものである。
また、上記実施形態では、拡散燃焼を行う場合、圧縮上死点近傍で一回の噴射を行うとして説明したが、本発明はこの点において限定されず、圧縮上死点近傍の噴射よりも前に所謂パイロット噴射を実行する等、多段噴射を実行するエンジンにも適用可能である。
1 ノズルホルダ
2 針弁
3 噴射孔
3a 第一噴射孔
3b 第二噴射孔
109 インジェクタ(燃料噴射弁)
124 コモンレール
126 ECU(制御装置)
2 針弁
3 噴射孔
3a 第一噴射孔
3b 第二噴射孔
109 インジェクタ(燃料噴射弁)
124 コモンレール
126 ECU(制御装置)
Claims (3)
- エンジンの運転状態が比較的低負荷領域であるときは、燃料の噴射終了後に予混合気を着火させる予混合燃焼を実現させるべく、ピストンの圧縮上死点近傍よりも前に燃料を噴射し、エンジンの運転状態が上記予混合燃焼を実現させる領域よりも高負荷領域であるときは、燃料をその噴射中に着火させる拡散燃焼を実現させるべく、圧縮上死点近傍で燃料を噴射するディーゼルエンジンに用いられる燃料噴射装置であって、
燃料の噴射孔を備えたノズルホルダと、そのノズルホルダ内に上下方向に移動可能に設けられた針弁とを備えた燃料噴射弁と、
上記燃料噴射弁の針弁をリフトさせて上記ノズルホルダの上記噴射孔を開き、その噴射孔から燃料噴射を実行させるための制御装置とを備え、
上記噴射孔は、上記ノズルホルダの下部に配置され、比較的小径で且つノズルホルダの軸心に対する角度が比較的小さく設定された第一噴射孔と、上記第一噴射孔よりも上方に配置され、上記第一噴射孔の孔径以上の孔径で且つノズルホルダの軸心に対する角度が上記第一噴射孔の角度以上に設定された第二噴射孔とを備え、
上記制御装置は、
上記予混合燃焼を実現させる領域では、上記針弁のリフト量を比較的小さくして主に上記第一噴射孔から燃料を噴射し、
上記拡散燃焼を実現させる領域では、上記針弁のリフト量を上記予混合燃焼を実現させる領域よりも大きくして主に上記第二噴射孔から燃料を噴射する
ことを特徴とする燃料噴射装置。 - 上記第一噴射孔の上記ノズルホルダの軸心に対する角度は、上記予混合燃焼を実現させる際に、上記第一噴射孔から噴射される燃料がピストン上部に形成された凹部内に噴射されるように設定される
請求項1記載の燃料噴射装置。 - コモンレール型燃料噴射装置である請求項1又は2記載の燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004133611A JP2005315160A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 燃料噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004133611A JP2005315160A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 燃料噴射装置 |
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JP2005315160A true JP2005315160A (ja) | 2005-11-10 |
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ID=35442849
Family Applications (1)
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JP2004133611A Pending JP2005315160A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 燃料噴射装置 |
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JP (1) | JP2005315160A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015172357A (ja) * | 2014-03-12 | 2015-10-01 | 株式会社日本自動車部品総合研究所 | 燃料噴射弁 |
-
2004
- 2004-04-28 JP JP2004133611A patent/JP2005315160A/ja active Pending
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