JP2005313879A - 車両の制動方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 牽引棒トレーラを持つトラックートレーラ列に特に適している車両の制動方法を提示する。
【解決手段】 車両（２）の制動装置が電子制御装置により自動的に操作可能であり、車輪（８，９，１０，１１）のロックを回避するため、制動装置がロック防止システム（７）により制御可能であり、ロック防止システム（７）によりロックを回避するため、制動装置が、車両（２）の少なくとも１つの車軸（４）に、この車軸（４）の車輪（８，９）用の共通な制動圧力調整器（１２）を持っている。本発明により、車両（２）の転倒の危険があるか否かが検査され、転倒の危険がある場合、電子制御装置により車両（２）の制動装置が自動的に操作され、この自動的な操作中にロック防止システム（７）が、ロック回避のための共通な制動圧力調整器（１２）を持つ車軸（４）の曲線内側の車輪（８）の車輪回転挙動を少なくとも一時的に考慮しない。
【選択図】 図１

Description

本発明は請求項１の上位概念に記載の車両の制動方法に関する。

このような方法は欧州特許出願公開第１１４２７６８号明細書から公知である。

公知の方法は、車両の縦軸線の周りの転倒を回避するのに役立つ。この目的のため転倒の危険が確かめられ、転倒の危険があると、車両又は車両列が自動的に制御される。

最初にあげた方法は、特に自動制御の際車輪のロックを回避するロック防止システムを持つ車両において、有利なことがわかった。

本発明の基礎になっている課題は、牽引棒トレーラを持つトラック−トレーラ列に特に適している車両のこのような制動方法を提示することである。このような牽引棒トレーラは、ロック防止システムによる制動装置の制御に関して、牽引棒トレーラの少なくとも１つの車軸に、ロック防止システムによるロック回避のため、この車軸の車輪に対して共通な制動圧力変調器が設けられているという、特徴を持つことができる。これによりこの車軸へのロック防止システムによる制動力整合が、この車軸のすべての車輪又は車輪制動機へ常に影響を及ぼす。

上述した課題は、請求項１に示される発明によって解決される。本発明の展開及び有利な構成は従属請求項に示されている。

本発明は、トラクタと牽引棒トレーラから成る車両列の走行安全性を著しく高め、例えば狭い曲線車道又は高速自動車道路出口において起こるように、転倒の危険を著しく減少する、という利点を持っている。

車軸に共通な制動圧力調整器を持つ牽引棒トレーラのこのような制動装置は、この車軸におけるロック防止調整に関して、なるべくセレクトロー方式に従って、場合によって若干の変更を加えて調整されるのが普通である。セレクトロー方式に頼るこのような調整方法では、ロック防止システムは、共通な制動圧力調整器を持つ車軸における制動力を、小さい方の摩擦係数を持つ車輪に応じて、換言すれば小さい方の速度で回転する車輪に応じて、決定する。転倒の危険がある車両では、一般に車軸の曲線内側の車輪が荷重を軽減されており、極端な場合には接地しなくなることがある。このような場合車両の自動制動が、まず１回、荷重を除かれる曲線内側の車輪を停止するまで強く減速する。この車輪の強い減速又は停止は、ロックの危険又はロックによるタイヤの摩耗の危険に関して、問題ない。なぜならば、車輪はいずれにせよ全く又は僅かしか接地してないからである。他方共通な制動圧力調整器を持つこの車軸の車輪の調整は、セレクトロー方式に頼る調整方法により、この車軸における有効制動力を著しく減少する。なぜならば、ロック防止システムは、停止して荷重を軽減されている車輪のため、ロックの危険を持つ大きい制動滑りがそこに存在することを仮定せねばならないからである。

本発明による方法は、公知のロック防止システムのこのような誤評価を回避するので、転倒を回避するため制動装置の自動操作により設定される制動力が、共通な制動圧力調整器を持つ車軸においても得られる、という別の利点を持っている。これによりこの車軸の大きい車輪荷重を受ける曲線外側の車輪が、転倒の危険がある車両の減速に著しく寄与することができる。こうして２車軸牽引棒トレーラにおいて、本発明による方法によって、転倒の危険がある場合に可能な減速度をほぼ２倍にすることができる。換言すれば、転倒の危険をほぼ２倍速く除去することができる。

本発明の有利な構成によれば、共通な制動圧力調整器を持つ車軸においてロック防止システムが、制動装置の自動操作中にセレクトロー方式に従って動作する。これにより転倒の危険の範囲内におけるセレクトハイ方式と通常の場合に使用される調整方式との間の簡単な切換えが可能である。別の利点は、セレクトハイ方式が共通な制動圧力調整器を持つ車軸においてのみ使用され、しかも転倒の危険がある場合にのみ使用されることである。これによりタイヤの損傷が回避される。

本発明の有利な展開によれば、共通な制動圧力調整器を持つ車軸の少なくとも曲線内側の車輪が、全く接地しないか又は僅かしか接地しない時に、そうでない走行状態に比較して、転倒の危険があると判定される。いずれにせよロック防止システムが利用可能な信号例えば個々の車輪の速度信号又は加速度信号の評価により、接地の減少を有利に検出することができる。

転倒の危険を知る別の有利な方法を次に例としてあげる。
例えば横加速度センサ又は車輪回転速度信号の差形成による車両の横加速度の評価、
小さい制動圧力による試験制動及びそれに続いてロック防止システムのロック信号の監 視の実行、
例えば力センサ、車輪懸架装置の収縮を検出する変位センサ、又は空気ばね車両の場合 空気ばねベローの圧力検出によるタイヤ接地力の測定、
車輪が全く又は僅かしか接地していないか否かを検出する光センサ例えばＣＣＤカメラ チップの使用、
例えば同様に上述した光センサによるタイヤ変形の検出、
タイヤ圧力の評価。

それ以外の利点をあげながら、図面を使用して本発明を実施例により以下に説明する。

図１には、トラクタ１及びトレーラ２から成る車両列が平面図で示され、道路上をちょうど左旋回している。車両列１，２の走行方向は矢印３により示されている。牽引棒トレーラとして構成されたトレーラ２は、車輪８，９を持つ前車軸４及び牽引棒１５を持ち、この牽引棒によりトレーラ２がトラクタに連結されている。車軸４はかじ取り可能な牽引棒車軸として構成されている。トレーラ２は更に車輪１０，１１を有する後車軸６を持ち、この後車軸は固定し、即ちかじ取り不可能である。トレーラ２は、電子制御装置を有する圧力媒体制動装置を持ち、図１には、制動装置のうち発明の説明に必要な部品のみが示されている。トレーラ２の制動装置は、トラクタ１から、運転者による制動操作の際、図示しない電気導線及び圧力媒体導管を通して操作可能である。更にトレーラ２の制動装置は、電子制御装置により自動的に操作可能であり、その際制動力が調節可能である。制動力の調節は、圧力媒体制動装置では、所望の制動圧力の調節により行われる。

トレーラ２の制動装置の部分として、図１には、ロック防止システムの電子部品を含む電子制御モジュール７が示されている。制御モジュール７は、制動過程において車輪８，９，１０，１１のロック回避のため、電気導線を介して制動圧力調整器１２，１３，１４へ導かれる電気信号により、制動圧力調整器１２，１３，１４を操作する。制動圧力調整器１２，１３，１４は、圧力媒体導管を介して、個々の車輪８，９，１０，１１に属する制動装置の制動シリンダにそれぞれ接続されている。この場合トレーラの前車輪４の車輪８，９に対して、共通な制動圧力変調器１２が設けられている。後車輪６の車輪１０，１１に対しては、それぞれ個々の圧力調整器１３，１４が設けられている。

更にそれぞれの車輪８，９，１０，１１の近くに設けられてこれらの車輪の車輪回転速度検出に役立つ回転速度センサ１５，１６，１８，１９が、電気導線を介して制御モジュール７に接続されている。制御モジュール７は、回転速度センサ１５，１６，１８，１９により求められる信号に基いて、それぞれの車輪の車輪回転挙動即ち回転速度及び回転加速度を求める。

制御モジュール７にあるロック防止システムは、特に次の機能を果たす。即ち回転速度センサ１５，１６，１８，１９の１つ又は複数により、車輪のロック傾向又はロックの危険を示唆する信号が発生されると、ロック防止システムがそれぞれの車輪に属する制動圧力調整器１２，１３，１４を駆動して、車輪のロックが回避されるようにする。この場合通常ロック防止システムは、“制動圧力減少”、“制動圧力保持”及び“運転者により又は自動的に規定される値まで制動圧力上昇”の状態の間で制動圧力変調器を選択することができる。車輪８，９の１つにロック傾向がある場合、制動圧力調整器８，９を制御するためロック防止システムは、回転速度センサ１５，１６の信号を評価して、一層強くロックの危険のある車輪のロックが回避されるようにする。これによりいわば強制的に、車軸４の他の車輪のロックも回避される。このような調整方法は、ロック防止システムにおいて、セレクトロー方式又は修正車軸調整としても当業者に知られている。

更に制御モジュール７は、場合によってはトラクタ１の制御信号を利用して、トレーラ２の制動装置の自動操作のための電子制御を行う。

図１からわかるように、左旋回で走行する車両列１，２では、トレーラ２の車輪９，１１は曲線外側にあり、車輪８，１０は曲線内側にある。曲線走行の際生じる遠心力のため、曲線内側の車輪８，１０は荷重を軽減され、それに応じて曲線外側の車輪９，１１は一層強く荷重をかけられる。小さい曲線半径において適当な速さの曲線走行の際、曲線内側の車輪８，１０の接地が著しく減少し、車輪８，１０が車道から離れ、即ち接地が完全に解消されるまでになる。このような場合トレーラ２又は全車両列１，２がその縦軸線の周りに転倒する危険がある。

図２には、本発明による方法の有利な実施形態が流れ図として示されている。方法はブロック２０で始まる。

それに続くブロック２１において、転倒危険係数Ｕが求められる。このため制御モジュール７において例えば横加速度センサ又は回転速度センサ１５，１６，１８，１９の回転速度信号の評価により求められる横加速度信号が、限界値の超過についてまず検査される。限界値は、超過の場合転倒の危険があるように、定められている。横加速度が限界値を超過する場合、制動装置の電子制御装置は、転倒の危険を更に検証するため、トレーラ２の曲線内側の車輪８，１０における試験制動を自動的に開始する。試験制動は、車両列１，２の感じられる減速を引起こさないほど非常に小さい制動力による制動である。試験制動により引起こされる車輪８，１０の回転挙動から始まって、制御モジュール７は、次の計算規則に従って転覆危険係数Ｕを計算する。

ここで量Ｓ_８，Ｓ_１０はそれぞれの曲線内側の車輪８，１０に存在する制動滑りを示し、量Ｄ_８は車輪８の車輪加速度を示し、量Ａ，Ｂ，Ｃは使用事例に応じて求めることができる車両特有の換算定数を示す。演算子ＭＩＮは、量Ｓ_８，Ｓ_１０の最小値即ち小さい方の制動滑り値を決定する。

こうして求められる転覆危険係数Ｕにより、制御モジュール７は、次のブロック２２において、転覆危険係数Ｕが閾値Ｗを超過しているか否かを検査する。閾値Ｗの超過は、共通な制動圧力調整器１２を持つ車軸４の少なくとも曲線内側の車輪８が全く又は僅かしか接地していないか否かの判定基準として有利に使用される。ｎｏの場合、ブロック２５へ分岐して、必要ならば、通常の場合即ち転倒の危険のない場合使用されるロック回避方法例えばセレクトロー方式が実施される。

ブロック２２による検査が転覆の危険を示した場合、ブロック２３へ移行し、電子制御装置によりトレーラ２の制動装置が自動的に操作される。この場合制動機において設定される制動力は、転倒危険係数Ｕに従って所定の関数ｆ（Ｕ）により決定されて、共通な制動圧力調整器１２を持つ車軸４の曲線内側の車輪８の接地が少なくなるほど、それだけ制動力が大きくなる。これにより車輪８の望ましくないロックによる損傷を回避することができる。

式（１）により転倒危険係数Ｕを求める際、関数ｆ（Ｕ）は比例関数として形成することができる。例えば
ｆ（Ｕ）＝ｋ ＊ Ｕ （２）

それに続くブロック２４において、必要な場合即ちロックの危険が認められる場合、ロック防止システムがセレクトハイ方式に従ってロック回避を行う。この場合ロック防止システムは、共通な制動圧力調整器１２を持つ車軸４の曲線内側の車輪８の車輪回転挙動を、ロック回避のため少なくとも一時的に考慮しない。これは、共通な制動圧力調整器１２を持つ車軸４において、通常の状態でロックを示唆する回転速度信号が車輪８のセンサ１５により発生されても、転倒の回避のために充分な制動力が発生可能である、という利点を持っている。しかしこの場合車輪８の接地が少なくなるため、車輪の損傷を考慮しなくてよい。

図２による方法はブロック２６において終了する。

当業者ならわかるように、本発明は、実施例として前述した車両形式とは異なる車両、例えば共通な制動圧力調整器が前車軸ではなく例えば後車軸のように別の車軸に設けられているトレーラにおいても、有利に使用可能である。本発明は、共通な制動圧力調整器が少なくとも１つの車軸に設けられているトラック及びとラクタにおいても使用可能である。

牽引棒トレーラを持つ車両を平面図で示す。 本発明による方法の実施形態を流れ図で示す。

符号の説明

２ 車両（トレーラ）
４ 車軸
７ ロック防止システム（制御モジュール）
８，９，１０，１１ 車輪
１２ 制動圧力調整器

Claims (6)

1. 車両（２）の制動方法であって、車両（２）の制動装置が電子制御装置により自動的に操作可能であり、車輪（８，９，１０，１１）のロックを回避するため、制動装置がロック防止システム（７）により制御可能であり、ロック防止システム（７）によりロックを回避するため、制動装置が、車両（２）の少なくとも１つの車軸（４）に、この車軸（４）の車輪（８，９）用の共通な制動圧力調整器（１２）を持っているものにおいて、
   ａ）車両（２）の転倒の危険があるか否かが検査され、
   ｂ）転倒の危険がある場合、電子制御装置により車両（２）の制動装置が自動的に操作さ れ、
   ｃ）この自動的な操作中にロック防止システム（７）が、ロック回避のための共通な制動 圧力調整器（１２）を持つ車軸（４）の曲線内側の車輪（８）の車輪回転挙動を少な くとも一時的に考慮しない
   ことを特徴とする、方法。
2. 共通な制動圧力調整器（１２）を持つ車軸（４）においてロック防止システム（７）が、セレクトロー方式に従って動作することを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 共通な制動圧力調整器（１２）を持つ車軸（４）においてロック防止システム（７）が、自動操作中にセレクトロー方式に従って動作することを特徴とする、請求項１又は２に記載の方法。
4. 共通な制動圧力調整器（１２）を持つ車軸（４）の少なくとも曲線内側の車輪（８）が、全く接地しないか又は僅かしか接地しない時に、転倒の危険があると判定されることを特徴とする、請求項１〜３の１つに記載の方法。
5. 共通な制動圧力調整器（１２）を持つ車軸（４）の曲線内側の車輪（８）の接地の程度である転倒危険係数（Ｕ）が計算されることを特徴とする、請求項１〜４の１つに記載の方法。
6. 制動装置の自動操作の際制動機に設定される制動力が、転倒危険係数（Ｕ）に応じて決定されて、共通な制動圧力調整器（１２）を持つ車軸（４）の曲線内側の車輪（８）の接地が少ないほど、それだけ制動力が大きいようにすることを特徴とする、請求項５に記載の方法。

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