JP2005313387A - 積層マット及びその製造方法並びにこれに用いる製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 十分な遮音性と吸音性とを併せて有し、且つ優れた滑り止め性を備える積層マット、及びその製造方法、並びにこれに用いる製造装置を提供する。
【解決手段】 本発明の積層マットは、一面側に複数の滑り止め用凸状体711を有するバッキング層71と、バッキング層の他面側に積層された表皮層72とを備え、少なくともバッキング層を貫通する複数の貫通孔712が設けられ、且つバッキング層の一面側において貫通孔の開口部の周縁に返し部713が形成されており、厚さ方向に通気性を有する。また、本発明の積層マットの製造方法は、バッキング層となるバッキングシートに加熱されたニードルを貫通させ、その後、ニードルを引き抜くことによりバッキング層に貫通孔を設けるとともにバッキング層の一面側に返し部を形成することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の積層マットは、一面側に複数の滑り止め用凸状体711を有するバッキング層71と、バッキング層の他面側に積層された表皮層72とを備え、少なくともバッキング層を貫通する複数の貫通孔712が設けられ、且つバッキング層の一面側において貫通孔の開口部の周縁に返し部713が形成されており、厚さ方向に通気性を有する。また、本発明の積層マットの製造方法は、バッキング層となるバッキングシートに加熱されたニードルを貫通させ、その後、ニードルを引き抜くことによりバッキング層に貫通孔を設けるとともにバッキング層の一面側に返し部を形成することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、十分な遮音性と吸音性とを併せて有し、且つ優れた滑り止め性を備える積層マット、及びこの積層マットを簡易な操作により容易に製造することができる積層マットの製造方法、並びにこれに用いる簡易な構造の積層マットの製造装置に関する。
フロアカーペットには吸音性が必要とされており、このフロアカーペットに敷いて用いる車両用マット等のマットには、フロアカーペットの吸音性を損なわないことが要求されている。また、マットは安全性を確保するため滑り止め性を有していなければならない。このマットとして、エラストマー及びゴム等からなるバッキング層と、このバッキング層の一面に積層された繊維層等からなる表皮層とを備える形態のものがある。このマットは、通常、バッキング層の一面側に多数の突起が設けられており、優れた滑り止め性を有する。しかし、バッキング層によって音が反射されてしまうため、吸音性が低下するという問題がある。更に、不織布からなる吸音層を備えるマットも用いられている。このマットは吸音性には優れるが、滑り止め性に劣るため、滑り止めのためのラテックス層等を付設する必要がある。しかし、滑り止め性は十分ではなく、更なる改良が必要とされている。
マットの吸音性を向上させるため、マット基材の下面側に熱可塑性のシート部材と不織布とを積層し、このシート部材と不織布とを貫通してマット基材に達する吸音孔を多数設けた吸音マットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この吸音マットでは、吸音孔の入側の口径を出側の口径より大きくして、吸音孔の内面がテーパー状になるように形成することで、特に優れた吸音性を有する吸音マットとすることができると説明されている。また、マットの滑り止め性を向上させるため、裏打ち材の裏面に、基台突起と、この基台突起の頂面部から突出した複数の小突起とを備える置敷カーペットマットが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
不織布からなる吸音材と、この吸音材等を貫通する吸音孔を備える特許文献1に記載の吸音マットは、優れた吸音性を有する。しかし、吸音材には滑り止めのための突起はまったく設けられておらず、滑り止め性が十分ではない。更に、裏打ち材の裏面に、基台突起と複数の小突起とを備える特許文献2に記載の置敷カーペットマットは、優れた滑り止め性を有するものの、裏打ち材により音が反射されてしまい、吸音性が低下する。
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、十分な遮音性と吸音性とを併せて有し、且つ優れた滑り止め性を備える積層マット、及びこの積層マットを簡易な操作により容易に製造することができる積層マットの製造方法、並びにこれに用いる簡易な構造の積層マットの製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、十分な遮音性と吸音性とを併せて有し、且つ優れた滑り止め性を備える積層マット、及びこの積層マットを簡易な操作により容易に製造することができる積層マットの製造方法、並びにこれに用いる簡易な構造の積層マットの製造装置を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.一面側に複数の滑り止め用凸状体を有するバッキング層と、該バッキング層の他面側に積層された表皮層とを備え、少なくとも該バッキング層を貫通する複数の貫通孔が設けられ、且つ該バッキング層の該一面側において該貫通孔の開口部の周縁に返し部が形成されており、厚さ方向に通気性を有することを特徴とする積層マット。
2.上記1.に記載の積層マットの製造方法であって、上記バッキング層となるバッキングシートに加熱されたニードルを貫通させ、その後、該ニードルを引き抜くことにより上記貫通孔を設けるとともに上記返し部を形成することを特徴とする積層マットの製造方法。
3.上記ニードルの先端側に該先端側とは逆方向に向けて突出する引っ掛かり部が設けられている上記2.に記載の積層マットの製造方法。
4.上記ニードルの上記加熱の温度が60〜200℃である上記2.又は3.に記載の積層マットの製造方法。
5.上記バッキングシートがスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、上記ニードルの上記加熱の温度が100〜140℃である上記2.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法。
6.上記表皮層が通気性を有さず、該表皮層に、上記貫通孔に連通する表皮側貫通孔が設けられる上記2.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法。
7.上記2.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法において用いられる積層マット製造装置であって、周面に複数のニードルが立設されたニードルローラ、該ニードルローラに対向して配設され、且つ該ニードルローラとの間に供給される積層マット中間品を該ニードルローラに向けて押圧するための加圧ローラ、該ニードルローラに対向して配設され、且つ該ニードルローラに向けて押圧された該積層マット中間品を該ニードルローラから離間させるタイミングを制御する離間タイミング制御ローラ、及び該ニードルを加熱するためのニードル加熱手段を備える積層マット製造装置。
8.上記ニードル加熱手段が、上記ニードルローラの上記周面に対向して配設されたニードル用ヒータである上記7.に記載の積層マット製造装置。
9.上記ニードル加熱手段が、上記ニードルローラに内設された加熱手段である上記7.に記載の積層マット製造装置。
1.一面側に複数の滑り止め用凸状体を有するバッキング層と、該バッキング層の他面側に積層された表皮層とを備え、少なくとも該バッキング層を貫通する複数の貫通孔が設けられ、且つ該バッキング層の該一面側において該貫通孔の開口部の周縁に返し部が形成されており、厚さ方向に通気性を有することを特徴とする積層マット。
2.上記1.に記載の積層マットの製造方法であって、上記バッキング層となるバッキングシートに加熱されたニードルを貫通させ、その後、該ニードルを引き抜くことにより上記貫通孔を設けるとともに上記返し部を形成することを特徴とする積層マットの製造方法。
3.上記ニードルの先端側に該先端側とは逆方向に向けて突出する引っ掛かり部が設けられている上記2.に記載の積層マットの製造方法。
4.上記ニードルの上記加熱の温度が60〜200℃である上記2.又は3.に記載の積層マットの製造方法。
5.上記バッキングシートがスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、上記ニードルの上記加熱の温度が100〜140℃である上記2.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法。
6.上記表皮層が通気性を有さず、該表皮層に、上記貫通孔に連通する表皮側貫通孔が設けられる上記2.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法。
7.上記2.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法において用いられる積層マット製造装置であって、周面に複数のニードルが立設されたニードルローラ、該ニードルローラに対向して配設され、且つ該ニードルローラとの間に供給される積層マット中間品を該ニードルローラに向けて押圧するための加圧ローラ、該ニードルローラに対向して配設され、且つ該ニードルローラに向けて押圧された該積層マット中間品を該ニードルローラから離間させるタイミングを制御する離間タイミング制御ローラ、及び該ニードルを加熱するためのニードル加熱手段を備える積層マット製造装置。
8.上記ニードル加熱手段が、上記ニードルローラの上記周面に対向して配設されたニードル用ヒータである上記7.に記載の積層マット製造装置。
9.上記ニードル加熱手段が、上記ニードルローラに内設された加熱手段である上記7.に記載の積層マット製造装置。
本発明の積層マットは、十分な遮音性と吸音性とを併せて有し、且つ優れた滑り止め性を備える。
本発明の積層マットの製造方法によれば、本発明の積層マットを容易に製造することができる。
また、ニードルの先端側に先端側とは逆方向に向けて突出する引っ掛かり部が設けられている場合は、返し部を容易に形成することができ、特に優れた滑り止め性を有する積層マットとすることができる。
更に、ニードルの加熱の温度が60〜200℃である場合は、各種のエラストマー及びゴム等からなるバッキング層の各々に好適な温度範囲において貫通孔及び返し部を容易に設けることができ、十分な吸音性を有する積層マットとすることができる。
また、バッキング層がスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、ニードルの加熱の温度が100〜140℃である場合は、貫通孔及び返し部を容易に設けることができ、十分な吸音性を有する積層マットとすることができる。
更に、表皮層が通気性を有さず、表皮層に、貫通孔に連通する表皮側貫通孔が設けられる場合は、より吸音性に優れた積層マットとすることができる。
本発明の積層マットの製造装置によれば、十分な遮音性と吸音性とを併せて有し、且つ優れた滑り止め性を備える積層マットを簡易な操作により製造することができる。
また、ニードル加熱手段が、ニードルローラの周面に対向して配設されたニードル用ヒータである場合、及びニードル加熱手段が、ニードルローラに内設された加熱手段である場合は、ニードルを所定の温度範囲に容易に加熱することができ、貫通孔及び返し部を容易に設けることができるため、十分な吸音性を有する積層マットとすることができる。
本発明の積層マットの製造方法によれば、本発明の積層マットを容易に製造することができる。
また、ニードルの先端側に先端側とは逆方向に向けて突出する引っ掛かり部が設けられている場合は、返し部を容易に形成することができ、特に優れた滑り止め性を有する積層マットとすることができる。
更に、ニードルの加熱の温度が60〜200℃である場合は、各種のエラストマー及びゴム等からなるバッキング層の各々に好適な温度範囲において貫通孔及び返し部を容易に設けることができ、十分な吸音性を有する積層マットとすることができる。
また、バッキング層がスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、ニードルの加熱の温度が100〜140℃である場合は、貫通孔及び返し部を容易に設けることができ、十分な吸音性を有する積層マットとすることができる。
更に、表皮層が通気性を有さず、表皮層に、貫通孔に連通する表皮側貫通孔が設けられる場合は、より吸音性に優れた積層マットとすることができる。
本発明の積層マットの製造装置によれば、十分な遮音性と吸音性とを併せて有し、且つ優れた滑り止め性を備える積層マットを簡易な操作により製造することができる。
また、ニードル加熱手段が、ニードルローラの周面に対向して配設されたニードル用ヒータである場合、及びニードル加熱手段が、ニードルローラに内設された加熱手段である場合は、ニードルを所定の温度範囲に容易に加熱することができ、貫通孔及び返し部を容易に設けることができるため、十分な吸音性を有する積層マットとすることができる。
以下、本発明を図1〜12を用いて詳しく説明する。
[1]積層マット
積層マット7は、バッキング層71と、このバッキング層の他面側に積層された表皮層72とを備える(図1〜3及び図5〜7参照)。更に、積層マットは厚さ方向に通気性を有する。この通気性とは、積層マットが、その一面側から他面側への空気の流れを遮断する層を有さないことを意味し、この通気性により、バッキング層によって反射される音を低減することができ、吸音性を向上させることができる。バッキング層71には貫通孔712が設けられており、通気性が確保される。また、表皮層が通気性を有しているときは、そのまま通気性を有する積層マットとすることができ(図1参照)、表皮層が通気性を有していないときは、表皮層72に、バッキング層に設けられた貫通孔に連通する表皮側貫通孔721を設けることで、通気性を有する積層マットとすることができる(図3参照)。
[1]積層マット
積層マット7は、バッキング層71と、このバッキング層の他面側に積層された表皮層72とを備える(図1〜3及び図5〜7参照)。更に、積層マットは厚さ方向に通気性を有する。この通気性とは、積層マットが、その一面側から他面側への空気の流れを遮断する層を有さないことを意味し、この通気性により、バッキング層によって反射される音を低減することができ、吸音性を向上させることができる。バッキング層71には貫通孔712が設けられており、通気性が確保される。また、表皮層が通気性を有しているときは、そのまま通気性を有する積層マットとすることができ(図1参照)、表皮層が通気性を有していないときは、表皮層72に、バッキング層に設けられた貫通孔に連通する表皮側貫通孔721を設けることで、通気性を有する積層マットとすることができる(図3参照)。
(1)バッキング層
上記「バッキング層」は、エラストマー及びゴム等により形成することができる。これにより、十分な柔軟性を有する積層マットとすることができる。エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添SBS、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、ゴムとしては、ブダジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム及びクロロプレンゴム等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。尚、十分な強度と柔軟性とを有するバッキング層とすることができれば、ポリエチレン及びポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることもできる。
上記「バッキング層」は、エラストマー及びゴム等により形成することができる。これにより、十分な柔軟性を有する積層マットとすることができる。エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添SBS、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、ゴムとしては、ブダジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム及びクロロプレンゴム等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。尚、十分な強度と柔軟性とを有するバッキング層とすることができれば、ポリエチレン及びポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることもできる。
バッキング層71は、その一面側に複数の上記「滑り止め用凸状体711」を有する(図1〜3及び図5〜7参照)。この滑り止め用凸状体の形状は特に限定されず、円錐、楕円錐、角錐、円錐台、楕円錐台、角錐台、円柱、楕円柱及び角柱等が挙げられる。角錐、角錐台及び角柱である場合、横断面の形状は三角形、四角形等のいずれの多角形でもよい。また、滑り止め用凸状体は、バッキング層の一面側に直立して設けられていてもよいし、傾斜して設けられていてもよい。尚、特定の方向への滑り止め性が特に必要な場合は、滑り止め用凸状体をその方向に向けて傾斜して設けることもできる。更に、滑り止め用凸状体の寸法も特に限定されないが、通常、底面の面積が0.5〜25mm2、特に8〜16mm2であり、高さが0.5〜7mm、特に3.5〜4.5mmである。滑り止め用凸状体の底面の面積が8〜16mm2であり、且つ高さが3.5〜4.5mmであれば、優れた滑り止め性を有する積層マットとすることができる。
また、バッキング層の一面側における滑り止め用凸状体の配置も特に限定されず、バッキング層の一面側の全面に設けられていてもよいし、特に滑り止めが必要な個所のみに設けられていてもよい。更に、隣り合う滑り止め用凸状体の間の距離は同じでもよいし、異なっていてもよい。尚、同一形状及び同一寸法の滑り止め用凸状体が、バッキング層の一面側の全面に均等に配置されることが多い(図2参照)。
バッキング層71の一面側には、その表裏を貫通する複数の上記「貫通孔712」が設けられている(図1、3及び図5〜7参照)。この貫通孔の横断面の形状は特に限定されず、円形、楕円形並びに三角形及び四角形等の多角形などのいずれでもよい。この貫通孔は、バッキング層の厚さ方向に垂直に設けられていてもよいし、傾斜して設けられていてもよいが、特に傾斜させる必要はない。また、貫通孔の径方向の寸法(横断面の形状が円形である場合は直径、その他の場合は最大長さとする。)は、バッキング層の一面側からの音を遮る遮音性と、他面側からの音を吸収する吸音性とを考慮して設定することが好ましい。この径方向の寸法は、0.01〜5.0mmとすることができ、0.1〜2.0mm、特に0.5〜1.0mmとすることが好ましい。貫通孔の径方向の寸法が0.5〜1.0mmであれば、優れた遮音性と吸音性とを併せて有する積層マットとすることができる。
更に、貫通孔の配置も特に限定されないが、通常、バッキング層の滑り止め用凸状体が設けられていない部分に設けられる。また、隣り合う貫通孔の間の距離は同じでもよいし、異なっていてもよい。この貫通孔は、隣り合う2個以上の滑り止め用凸状体の各々から等距離の位置に設けることが好ましく、このようにすれば、優れた滑り止め性並びに遮音性及び吸音性を有し、且つ十分な強度を有する積層マットとすることができる。尚、同一形状及び同一寸法の滑り止め用凸状体711が、バッキング層71の一面側の全面に均等に配置され、且つ各々の貫通孔712が、隣り合う4個の滑り止め用凸状体711の中間の位置に設けられることが多い(図2参照)。このような積層マットは、連続的に製造することが容易であり、積層マットを効率よく製造するという面でも有利である。
また、バッキング層71の一面側において貫通孔712の開口部の周縁に上記「返し部713」を形成することができる(図1〜3及び図5〜7参照)。この返し部の貫通孔の開口部からの高さは特に限定されず、0.01〜1mm、特に0.1〜0.7mm、更に0.2〜0.5mmであることが好ましく、返し部の高さが0.2〜0.5mmであれば、積層マットの滑り止め性をより向上させることができる。更に、返し部は貫通孔の開口部の周縁の全周に均等の高さに形成されていてもよいし、周方向に高さの異なる返し部が形成されていてもよい。このように、バッキング層71の一面側に滑り止め用凸状体711を設け、併せて返し部713を形成することで、滑り止め用凸状体711が大きく変形した場合等に、返し部713が滑り止めとして有効に機能し、より安定した優れた滑り止め性を有する積層マットとすることができる。
(2)表皮層
バッキング層71の他面側に積層された上記「表皮層72」は、バッキング層の他面側からの音を吸収する吸音層として作用する。この表皮層は特に限定されず、繊維層及び発泡層等により形成することができる。繊維層としては、各種のカーペット層722及び不織布層723等が挙げられる。カーペットとしては、基布の一面にパイル糸が植設され、基布の他面に樹脂がコーティングされてなるタフテッドカーペット、基布にパイル糸が植設されていないフックカーペット、段通カーペット及びニードルにより繊維を交絡させてシート化したニードルパンチカーペット(このカーペットは不織布でもある。)等が挙げられる。更に、不織布としては、耐摩耗性等に優れ、且つ強度が大きいポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維及びポリエステル繊維等からなるものが挙げられる。また、発泡層724としては、発泡ポリウレタン層及び発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等の発泡ポリオレフィンなどからなるものが挙げられる。表皮層は、単層でもよく、複数の層が積層されていてもよい。例えば、バッキング層71の他面側にラテックス層9とカーペット層722とがこの順に積層されたもの(図5参照)でもよく、このラテックス層とカーペット層との間に更に不織布層が介装されたものでもよい。更に、バッキング層71の他面側に発泡層724と不織布層723とがこの順に積層されたもの(図6参照)でもよく、バッキング層71の他面側に発泡層724とカーペット層722とがこの順に積層されたもの(図7参照)でもよい。
バッキング層71の他面側に積層された上記「表皮層72」は、バッキング層の他面側からの音を吸収する吸音層として作用する。この表皮層は特に限定されず、繊維層及び発泡層等により形成することができる。繊維層としては、各種のカーペット層722及び不織布層723等が挙げられる。カーペットとしては、基布の一面にパイル糸が植設され、基布の他面に樹脂がコーティングされてなるタフテッドカーペット、基布にパイル糸が植設されていないフックカーペット、段通カーペット及びニードルにより繊維を交絡させてシート化したニードルパンチカーペット(このカーペットは不織布でもある。)等が挙げられる。更に、不織布としては、耐摩耗性等に優れ、且つ強度が大きいポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維及びポリエステル繊維等からなるものが挙げられる。また、発泡層724としては、発泡ポリウレタン層及び発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等の発泡ポリオレフィンなどからなるものが挙げられる。表皮層は、単層でもよく、複数の層が積層されていてもよい。例えば、バッキング層71の他面側にラテックス層9とカーペット層722とがこの順に積層されたもの(図5参照)でもよく、このラテックス層とカーペット層との間に更に不織布層が介装されたものでもよい。更に、バッキング層71の他面側に発泡層724と不織布層723とがこの順に積層されたもの(図6参照)でもよく、バッキング層71の他面側に発泡層724とカーペット層722とがこの順に積層されたもの(図7参照)でもよい。
上記のカーペット類は裏打ち材として樹脂がコーティングされていても、通常、十分な通気性を有し、表皮層としてカーペット類を用いた場合は、このカーペット類をバッキング層に積層することで、優れた通気性を有する積層マットとすることができる。また、表皮層として不織布を用いた場合も、不織布は通気性に優れるため、この不織布をバッキング層に積層することで、優れた通気性を有する積層マットとすることができる。更に、表皮層として発泡体を用いた場合は、連泡構造であり、特に大径の連泡であるときは通気性に優れ、この発泡体をバッキング層に積層することで、優れた通気性を有する積層マットとすることができる。
一方、独泡構造の発泡層及びラテックス層等を表皮層として用いたときは、積層マットの一面側から他面側への空気の流れが遮断され、積層マットの通気性が失われる。このような場合は、バッキング層71を貫通する貫通孔712に連通する表皮側貫通孔721を表皮層72を貫通して設ける必要がある。このように表皮側貫通孔721を設けることにより(図1、3及び図5〜7参照)、積層マットの通気性が確保され、音の反射が低減され、積層マットの吸音性が向上する。
尚、カーペット層及び不織布層等の通気性を有する表皮層に、更に表皮側貫通孔を設けることで、より確実に通気性を有する積層マットとすることもできる。
尚、カーペット層及び不織布層等の通気性を有する表皮層に、更に表皮側貫通孔を設けることで、より確実に通気性を有する積層マットとすることもできる。
[2]積層マットの製造方法
(1)バッキングシートの成形
上記「バッキングシート61」の成形方法は特に限定されない。このバッキングシートは、押出成形等により連続的に成形することができる。また、バッキングシートは、圧縮成形及び射出成形等の方法により個々のシートとして成形することもできる。これらのうちでは、押出成形により連続的に成形する方法が好ましく、この方法によればバッキングシートを効率よく成形することができる。例えば、押出成形によりシートを連続的に成形し、このシートの一面側にニブローラを当接させて滑り止め用凸状体611を形成することで、長尺のバッキングシートを連続的に成形することができる(図4参照)。
(1)バッキングシートの成形
上記「バッキングシート61」の成形方法は特に限定されない。このバッキングシートは、押出成形等により連続的に成形することができる。また、バッキングシートは、圧縮成形及び射出成形等の方法により個々のシートとして成形することもできる。これらのうちでは、押出成形により連続的に成形する方法が好ましく、この方法によればバッキングシートを効率よく成形することができる。例えば、押出成形によりシートを連続的に成形し、このシートの一面側にニブローラを当接させて滑り止め用凸状体611を形成することで、長尺のバッキングシートを連続的に成形することができる(図4参照)。
(2)バッキングシートと表皮材との積層
バッキングシート61と表皮層72となる表皮材62とを積層する方法は特に限定されないが、押出成形等により連続成形されているバッキングシートと長尺の表皮材とを連続的に供給し、接触させ、必要に応じて押圧し、バッキングシートが有する熱量によってバッキングシートと表皮材とを接合させ、連続的に積層させることができる。また、予め成形しておいた長尺のバッキングシートと長尺の表皮材とを連続的に供給し、バッキングシート及び表皮材のうちの少なくとも一方の積層される面を加熱して軟化させ、その後、これらを接触させ、必要に応じて押圧することで接合させ、連続的に積層させることができる。更に、所定形状のバッキングシート及び表皮材のうちの少なくとも一方の積層される面を加熱して軟化させ、その後、これらを接触させ、必要に応じて押圧することで接合させ、積層させることもできる。これらのうちでは連続法が好ましく、連続法であれば、積層マットを効率よく製造することができる。
バッキングシート61と表皮層72となる表皮材62とを積層する方法は特に限定されないが、押出成形等により連続成形されているバッキングシートと長尺の表皮材とを連続的に供給し、接触させ、必要に応じて押圧し、バッキングシートが有する熱量によってバッキングシートと表皮材とを接合させ、連続的に積層させることができる。また、予め成形しておいた長尺のバッキングシートと長尺の表皮材とを連続的に供給し、バッキングシート及び表皮材のうちの少なくとも一方の積層される面を加熱して軟化させ、その後、これらを接触させ、必要に応じて押圧することで接合させ、連続的に積層させることができる。更に、所定形状のバッキングシート及び表皮材のうちの少なくとも一方の積層される面を加熱して軟化させ、その後、これらを接触させ、必要に応じて押圧することで接合させ、積層させることもできる。これらのうちでは連続法が好ましく、連続法であれば、積層マットを効率よく製造することができる。
バッキングシートと表皮材とは、接着剤により接合し、積層させることもできる。この接着剤は、バッキングシートと表皮材の各々の材質によって適宜選択することが好ましい。接着剤としては、溶液に接着成分を溶解させた溶液型接着剤、水等の媒体に接着成分を分散させた分散型接着剤等を用いることができる。これらの接着剤をバッキングシート及び表皮材のうちの少なくとも一方に塗布し、必要に応じて乾燥させ、その後、貼合し、所定温度で加熱し、必要に応じて押圧する等の方法により接合することができる。更に、バッキングシートと表皮材との間に接着性フィルムを介在させ、所定温度で加熱し、必要に応じて押圧する等の方法により接合することができる。
この接着剤を用いる方法の場合も、バッキングシートと表皮材とを連続的に供給し、バッキングシート及び表皮材のうちの少なくとも一方の積層面に接着剤を連続的に塗布し、必要に応じて乾燥させ、その後、貼合し、必要に応じて押圧する等の方法により連続的に接合させ、積層させることができる。また、バッキングシートと表皮材とを連続的に供給し、これらの間に接着フィルムを連続的に供給して介在させ、所定温度で加熱し、必要に応じて押圧する等の方法により連続的に接合させ、積層させることもできる。これらの場合、予め貫通孔が設けられたバッキングシートを用いてもよく、貫通孔が設けられていないバッキングシートを用いてもよいが、予め貫通孔が設けられていると、貫通孔が接着剤又は接着フィルムにより閉塞されることがある。そのため、貫通孔が設けられていないバッキングシートを用いることが好ましく、この場合、この積層マット中間品6(バッキング層となるバッキングシートに貫通孔が設けられていない中間製品である。)のバッキングシート61に貫通孔611を設けることで、積層マットとすることができる。
長尺のバッキングシートと長尺の表皮材とを連続的に供給し、接合して積層する場合について更に詳しく言えば、押出成形により成形されつつあるバッキングシートと、芯管等に巻回され、連続的に送出される表皮材とを積層してもよく、予め成形され、芯管等に巻回されているバッキングシートと、同様に芯管等に巻回されている表皮材とを連続的に送出して、積層してもよい。これらのうちでは、押出成形により成形されつつあるバッキングシートと表皮材とを積層する方法が好ましく、この方法によれば積層マットをより効率よく製造することができる。例えば、押出成形機から連続的に押し出され、一面側に滑り止め用凸状体が形成されつつあるバッキングシートの一面側と、芯管に巻回され、連続的に送出される表皮材とを接合し、積層する方法が好ましい(図4参照)。尚、図4では、滑り止め用凸状体の形成と、バッキングシートと表皮材との接合が同時になされているが、表皮材は、滑り止め用凸状体の形成前のシートと接合してもよいし、滑り止め用凸状体が形成された後のバッキングシートに接合してもよい。
(3)貫通孔の形成
バッキング層71を貫通する複数の貫通孔712は、バッキングシート61に加熱されたニードル241を貫通させ、その後、このニードルを引き抜くことにより設けることができる(図4参照)。上記「ニードル241」としては、ステンレス鋼、鋼及びタングステン等の金属からなるものを用いることができ、強度が大きく、且つ耐久性に優れるステンレス鋼及び鋼等からなるニードルが好ましい。また、このニードルとしては、前記の貫通孔の横断面の形状及び寸法に適した外形及び寸法を有するものが用いられる。
バッキング層71を貫通する複数の貫通孔712は、バッキングシート61に加熱されたニードル241を貫通させ、その後、このニードルを引き抜くことにより設けることができる(図4参照)。上記「ニードル241」としては、ステンレス鋼、鋼及びタングステン等の金属からなるものを用いることができ、強度が大きく、且つ耐久性に優れるステンレス鋼及び鋼等からなるニードルが好ましい。また、このニードルとしては、前記の貫通孔の横断面の形状及び寸法に適した外形及び寸法を有するものが用いられる。
ニードル241としては、例えば、図8の(a)〜(d)に示す縦断面を有するものが挙げられる。(a)は先端側が尖った形状、(b)は先端側に円錐形の凹部が形成された形状、(c)は先端側の周方向の一部に先端側とは逆方向に向けて引っ掛かり部2411が形成された形状、及び(d)は先端側の周方向の全周に先端側とは逆方向に向けて引っ掛かり部2411が形成された形状である。
ニードルの加熱温度は特に限定されず、バッキングシートの材質により設定することが好ましい。この加熱温度は60〜200℃とすることができ、80〜160℃、特に100〜140℃、更に120〜130とすることができる。加熱温度は、バッキングシートが軟化点を有する材料からなる場合は、上記の温度範囲において、バッキングシートを構成するエラストマー等の軟化点から軟化点を10℃上回る温度範囲、特に軟化点から軟化点を30℃上回る温度範囲とすることが好ましい。このようにバッキングシートを構成するエラストマー等の軟化点を大きく越えない温度範囲に加熱されたニードルを用いることにより、所定の形状及び寸法の貫通孔を容易に形成することができる。このニードルの加熱温度は、バッキングシートがSBSエラストマー等のスチレン系エラストマーからなるときは、100〜140℃、特に105〜135℃とすることが好ましい。
ニードル241は、バッキングシート61の表皮材62と積層される側とは反対面から貫通させる。このようにすることで、バッキング層71の一面側において貫通孔712の開口部の周縁に返し部713を形成することができる(図1〜3及び図5〜7参照)。この返し部は、ニードルを引き抜く際に、貫通孔の内壁面近傍のエラストマー等がニードルに同伴して貫通孔の外部に溢出して形成されるものである。この返し部の貫通孔の開口部からの高さについては前記の記載をそのまま適用することができる。更に、返し部は貫通孔の開口部の周縁の全周に均等の高さに形成されていてもよく、周方向に高さの異なる返し部が形成されていてもよいことは前記のとおりであるが、この返し部の形状は、用いるニードルの形状によって調整することができる。例えば、図8の(a)及び(b)のニードルであれば、貫通孔の開口部の周縁の全周に均等の高さの返し部を形成することができる。更に、図8の(c)のニードルであれば、ニードルに引っ掛かり部が形成されている部分に対応する部位において他よりも高い返し部が形成される。また、図8の(d)のニードルであれば、貫通孔の開口部の周縁の全周に均等の高さの返し部を形成され、且つ図8の(a)及び(b)のニードルの場合に比べて全周に渡ってより高い返し部が形成される。
また、表皮材により空気の流れが遮断され、積層マットの通気性が損なわれる場合は、バッキング層に設けられた貫通孔に連通する表皮側貫通孔721を表皮層72を貫通して設ける必要がある。このように表皮側貫通孔を設けることにより、音の反射が低減され、積層マットの吸音性が向上する。この表皮側貫通孔は、バッキングシートに貫通孔を設ける際に、ニードルをより深く押し込むことにより容易に形成することができる。
[3]積層マットの製造装置
積層マットは、上記[2]の(1)〜(3)に記載の製造方法のうちの連続的に供給されるバッキングシートに、連続的に供給される表皮材を積層する方法により製造することが好ましい。この連続法であれば積層マットを効率よく製造することができる。この連続製造に用いる製造装置は特に限定されないが、例えば、図4に示す装置により積層マットを効率よく製造することができる。
積層マットは、上記[2]の(1)〜(3)に記載の製造方法のうちの連続的に供給されるバッキングシートに、連続的に供給される表皮材を積層する方法により製造することが好ましい。この連続法であれば積層マットを効率よく製造することができる。この連続製造に用いる製造装置は特に限定されないが、例えば、図4に示す装置により積層マットを効率よく製造することができる。
図4においてニードルローラ24に供給される積層マット中間品6を製造する工程は、従来の積層マットを連続的に製造する工程と同じである。また、その後の工程において連続的に搬送される積層マット中間品6のバッキングシート61等に連続的に貫通孔が設けられる。このバッキングシート等に貫通孔を設ける工程には、図4のように、連続的に製造される貫通孔が設けられていない積層マット中間品をそのまま連続的に供給することができる。更に、貫通孔が設けられていないバッキングシートを予め製造しておき、この予め製造しておいた貫通孔が設けられていないバッキングシートと、表皮材とを連続的に供給し、加熱により接合して積層させ、又は接着剤により接合して積層させ、その後、この積層マット中間品をバッキングシート等に貫通孔を設ける工程に供給することもできる。これらのうちでは、連続的に製造された貫通孔が設けられていない積層マット中間品を、そのまま連続的に貫通孔を設ける工程に供給することが好ましい。この方法であれば、バッキング層等に貫通孔が設けられた積層マットをより効率よく製造することができる。また、積層マット中間品の製造装置として従来の積層マット製造装置をそのまま用いることができ、コスト等の面でも有利である。
図4におけるバッキングシートに貫通孔を設ける装置について、以下、説明する。
この装置は、周面に複数のニードル241が立設されたニードルローラ24と、このニードルローラ24に対向して設けられ、ニードルローラ24との間に供給される貫通孔が設けられていない積層マット中間品6をニードルローラ24に向けて押圧するための加圧ローラ25と、ニードルローラ24に対向して設けられ、ニードルローラ24に向けて押圧され、バッキングシートに貫通孔が設けられた積層マット7をニードルローラ24から離間させるタイミングを制御する離間タイミング制御ローラ26と、ニードル241を加熱するためのニードル加熱手段3とを備える。
この装置は、周面に複数のニードル241が立設されたニードルローラ24と、このニードルローラ24に対向して設けられ、ニードルローラ24との間に供給される貫通孔が設けられていない積層マット中間品6をニードルローラ24に向けて押圧するための加圧ローラ25と、ニードルローラ24に対向して設けられ、ニードルローラ24に向けて押圧され、バッキングシートに貫通孔が設けられた積層マット7をニードルローラ24から離間させるタイミングを制御する離間タイミング制御ローラ26と、ニードル241を加熱するためのニードル加熱手段3とを備える。
ニードルローラ24の周面に立設されたニードル241の形状及び寸法は特に限定されず、積層マットのバッキング層に所定の形状及び寸法の貫通孔712(図1、3及び図5〜7参照)を設けることができるニードルとすることができる。更に、ニードル241の本数及び配置も特に限定されず、積層マットのバッキング層に所定の形状及び寸法を有する所要個数の貫通孔を所定の間隔で設けることができる本数及び配置とすることができる。このニードルローラ24には積層マット中間品6が供給され、この積層マット中間品はニードルローラ24の周面に接した状態で移送されるが、この積層マット中間品6は、加圧ローラ25によりニードルローラ24に向けて押圧され、貫通孔が形成される。この加圧ローラ25の押圧力により、バッキングシートにのみ貫通孔を設けるか、又は併せて表皮側貫通孔も設けるか等を調整することができる。
また、離間タイミング制御ローラ26により、貫通孔が設けられた積層マット7をニードルローラ24から離間させるタイミングが制御される。この離間タイミング制御ローラ26は、図4に矢印で示すように、ニードルローラ24の周面に沿って移動させることができ、図4において上方に移動させたときは、積層マット7がニードルローラ24から離間するタイミングが遅くなり、下方に移動させたときは、積層マット7がニードルローラ24から離間するタイミングが早くなる。この離間のタイミングは、バッキング層の材質、ニードルの温度、積層マットの搬送速度等に基づき、所定形状の貫通孔が形成されるように設定することができる。
更に、この装置には、ニードルを所定温度に加熱するためのニードル加熱手段3が付設される。このニードル加熱手段3としては、図4のように、ニードルローラ24の周面に対向して配設されたニードル用ヒータが挙げられる。このニードル用ヒータは特に限定されず、例えば、遠赤外線ヒータ、電熱ヒータ及び熱風ヒータ等が挙げられる。このニードル加熱手段3は、ニードルローラ24に内設された加熱手段とすることもできる。この加熱手段としては、ニードルローラ24の内部、特に周面近傍に配設された流体の流路に、適温に調温された水又はオイルを循環させる構造のものが挙げられる。
この装置には、ニードルローラ24から離間した積層マット7を冷却するための冷却手段4を付設することもできる。この冷却手段4としては、図4のように、ニードルローラ24から離間した積層マット7のバッキング層71の側から冷風を吹き付けて冷却する冷風器が挙げられる。また、この冷却手段としては、内部に冷却媒体の流路が設けられた冷却ローラを用いることもできる。更に、冷却ローラに接触させ、且つ冷風を吹き付けて冷却することもできる。この冷却により、バッキング層71の他面側の貫通孔712の開口部の周縁に形成された返し部713が変形しないようにすることができる。
以下、図1〜2、図4及び図8を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
シリンダー温度160℃、ダイス温度190℃に設定されたスクリュー径125mmの押出成形機1のホッパー11に、SBS共重合体(JSR社製、商品名「TR−1600」)を供給し、厚さ2mm、幅1600mmのシートを5m/分の速度で成形した。その後、ダイス12から吐出された直後のシートを、滑り止め用凸状体を設けるためのニブローラ21と押圧ローラ22との間に供給し、シートの一面側に滑り止め用凸状体611を設け、バッキングシート61を形成した。同時に芯管に巻回されている表皮材(タフテッドカーペット)62を、ニブローラ21と押圧ローラ22との間にバッキングシート61の成形速度と等速度で供給し、このタフテッドカーペットの基布側をシートの他面側に接合させ、積層マット中間品6を作製した。滑り止め用凸状体611は、底面の面積12.5mm2、高さ4mmの円錐形であり、碁盤目の交点の位置に形成され、各々の滑り止め用凸状体611の中心間の距離は10mmである。
実施例1
シリンダー温度160℃、ダイス温度190℃に設定されたスクリュー径125mmの押出成形機1のホッパー11に、SBS共重合体(JSR社製、商品名「TR−1600」)を供給し、厚さ2mm、幅1600mmのシートを5m/分の速度で成形した。その後、ダイス12から吐出された直後のシートを、滑り止め用凸状体を設けるためのニブローラ21と押圧ローラ22との間に供給し、シートの一面側に滑り止め用凸状体611を設け、バッキングシート61を形成した。同時に芯管に巻回されている表皮材(タフテッドカーペット)62を、ニブローラ21と押圧ローラ22との間にバッキングシート61の成形速度と等速度で供給し、このタフテッドカーペットの基布側をシートの他面側に接合させ、積層マット中間品6を作製した。滑り止め用凸状体611は、底面の面積12.5mm2、高さ4mmの円錐形であり、碁盤目の交点の位置に形成され、各々の滑り止め用凸状体611の中心間の距離は10mmである。
この積層マット中間品6を搬送ローラ23により連続的に搬送し、周面にニードル241が立設されたニードルローラ24と、このニードルローラ24と対向し、且つニードルローラ24の下方に配設された加圧ローラ25との間に供給し、加圧ローラ25により積層マット中間品6をニードルローラ24に向けて押圧し、バッキングシート61に、横断面形状が円形であり、直径が0.5mmの貫通孔712(図1参照)を形成した。尚、ニードルローラ24の径は500mm、幅は2000mmであり、その周面には、バッキングシート61の一面側に形成された各々の滑り止め用凸状体611の中間点に上記の貫通孔712が形成されるように、図8(C)に示す縦断面形状を有するニードルが立設されている。また、ニードルローラ24の周面に沿ってニードルを加熱するためのニードル加熱用ヒータ(遠赤外線ヒータ)3が配設されており、バッキングシート61等に押し込まれるニードルを120℃に加熱した。
バッキングシート61に貫通孔(積層マット7では貫通孔712となる。)が形成されてなる積層マット7は、ニードルローラ24と対向し、且つ加圧ローラ25から周方向に2mm離間している離間タイミング制御ローラ26(加圧ローラ25及び離間タイミング制御ローラ26の各々の軸心間のニードルローラ24の周面に沿った距離である。)が配設されている位置までは、そのままニードルローラ24に当接されており、この離間タイミング制御ローラ26においてニードルローラ24から離間し、搬送ローラ23により搬送される。また、ニードルローラ24から離間した積層マット7(このニードルの引き抜きにより高さ0.35mmの返し部713が形成された。)を、この積層マット7のバッキング層71の側に配置された冷却装置4(温度10℃の冷風が吹き出される冷風器)により40℃に冷却して搬送し、次いで、トリミング装置5により積層マット7を所定長さに切断し、用品マットを得た。尚、この用品マットは車両用フロアマットであり、幅1600mm、長さ1400mmである。
上記のようにして製造したバッキング層71に貫通孔712が設けられた積層マット7と、貫通孔が設けられていない従来の積層マットの吸音性を残響室吸音率測定法により比較して評価した。その結果、従来の積層マットは、1/3oct中心周波数域の平均吸音率が75%であり、また、本発明の方法及びそれに用いる装置により製造された積層マットは、平均吸音率が78%であり、従来品に比べて優れた吸音性を有していた。更に、滑り抵抗値測定法(縦方向)により評価した本発明の方法及びそれに用いる装置により製造された積層マットの滑り止め性は、従来の積層マットより優れ、十分な滑り止め性を有していた。
1;押出成形機、11;ホッパー、12;ダイス、21;ニブローラ、22;押圧ローラ、23;搬送ローラ、24;ニードルローラ、241;ニードル、2411;引っ掛かり部、25;加圧ローラ、26;離間タイミング調整ローラ、3;ニードル加熱手段[ニードル用ヒータ(遠赤外線ヒータ)]、4;冷却手段(冷風器)、5;トリミング装置、6;積層マット中間体、61バッキングシート、611;滑り止め用凸状体、62;表皮材、7;積層マット、71;バッキング層、711;滑り止め用凸状体、712;貫通孔、713;返し部、72;表皮層、721;表皮側貫通孔、722;カーペット層、7221;基布、7222;パイル糸からなるループ部、723;不織布層、724;発泡層、8;ラテックス層。
Claims (9)
- 一面側に複数の滑り止め用凸状体を有するバッキング層と、該バッキング層の他面側に積層された表皮層とを備え、少なくとも該バッキング層を貫通する複数の貫通孔が設けられ、且つ該バッキング層の該一面側において該貫通孔の開口部の周縁に返し部が形成されており、厚さ方向に通気性を有することを特徴とする積層マット。
- 請求項1に記載の積層マットの製造方法であって、
上記バッキング層となるバッキングシートに加熱されたニードルを貫通させ、その後、該ニードルを引き抜くことにより上記貫通孔を設けるとともに上記返し部を形成することを特徴とする積層マットの製造方法。 - 上記ニードルの先端側に該先端側とは逆方向に向けて突出する引っ掛かり部が設けられている請求項2に記載の積層マットの製造方法。
- 上記ニードルの上記加熱の温度が60〜200℃である請求項2又は3に記載の積層マットの製造方法。
- 上記バッキングシートがスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、上記ニードルの上記加熱の温度が100〜140℃である請求項2乃至4のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法。
- 上記表皮層が通気性を有さず、該表皮層に、上記貫通孔に連通する表皮側貫通孔が設けられる請求項2乃至5のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法。
- 請求項2乃至6のうちのいずれか1項に記載の積層マットの製造方法において用いられる積層マット製造装置であって、
周面に複数のニードルが立設されたニードルローラ、該ニードルローラに対向して配設され、且つ該ニードルローラとの間に供給される積層マット中間品を該ニードルローラに向けて押圧するための加圧ローラ、該ニードルローラに対向して配設され、且つ該ニードルローラに向けて押圧された該積層マット中間品を該ニードルローラから離間させるタイミングを制御する離間タイミング制御ローラ、及び該ニードルを加熱するためのニードル加熱手段を備える積層マット製造装置。 - 上記ニードル加熱手段が、上記ニードルローラの上記周面に対向して配設されたニードル用ヒータである請求項7に記載の積層マット製造装置。
- 上記ニードル加熱手段が、上記ニードルローラに内設された加熱手段である請求項7に記載の積層マット製造装置。
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