JP2005312699A - シリンジ - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な操作で、正確な量の液体を排出することができるシリンジを提供すること。
【解決手段】本発明のシリンジは、外筒2内で摺動し得るガスケットを移動操作する押し子4と、外筒2内への押し子4の挿入深さを規制するストッパー5とを備える。ストッパー5は、基部51と、これに連結され、押し子4に係合することにより押し子4上での位置を選択して固定する一対の係合部52a、52bと、基部51に連結され、各係合部52a、52bの押し子4に対する係合を解除する操作を行う一対の操作部53a、53bとを備え、各操作部53a、53bを相対的に接近させる操作に伴って、各係合部52a、52bが相対的に離間することにより各係合部52a、52bの押し子4に対する係合が解除され、各操作部53a、53bに対する操作を解除すると、各係合部52a、52bが相対的に接近することにより押し子4に係合するように構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリンジに関する。
シリンジは、外筒と、この外筒内に挿入されたガスケットと、このガスケットに連結された押し子(プランジャロッド)とを備えており、押し子を押圧操作してガスケットを外筒内で先端方向に摺動させ、薬剤等の液体の排出を行う。
このとき、正確な量の液体を排出するには、外筒の外周面に付された目盛りを見ながらガスケットの移動量を調節する必要があり、慎重に押し子を操作しなければならない。
しかしながら、従来のシリンジでは、押し子の操作ミス(押し過ぎ、押し足りない)や、目盛りの読み間違いなどによって、液体の排出量が過多になったり過少になったりすることが生じ易いという問題があった。
かかる問題点を解決するシリンジとして、押し子の移動量を規制可能とした構成のものが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
特許文献1に記載のシリンジ(注射器10)では、ストッパー(調節リング56)が押し子(プランジャー22)に対して回転により、その長手方向に沿って移動可能とされている。そして、ストッパーを押し子の所望の位置に移動させ、この状態で、外筒(円筒2)に押し子を押圧する操作を行うと、ストッパーが外筒の基端に当接することにより、押し子の移動が規制される。なお、ここで使用した符号は、特許文献1に記載の符号である。
ところが、この特許文献1に記載のシリンジでは、ストッパーを押し子に対して固定する手段が設けられていないため、ストッパーの押し子に対する位置が容易にズレてしまい、液体の所望の排出量に保持しづらいという問題がある。また、ストッパーを押し子に対して回転させて移動させることから、その移動操作が極めて煩雑であるという問題もある。
一方、特許文献2に記載のシリンジ(注射器1)では、ストッパー(ストッパー3)が押し子(ピストン2)の長手方向に沿って移動可能とされている。そして、ストッパーを押し子の所望の位置に移動させ、この状態で、外筒(シリンダー4)に押し子を押圧する操作を行うと、ストッパーが外筒の基端に当接することにより、押し子の移動が規制される。
ところが、この特許文献2に記載のシリンジでは、ストッパーに押し子を挿通する孔が設けられており、この孔の縁部に押し子の外周面に形成された係合溝5が係合することにより、ストッパーが押し子に対して固定される構成であるため、ストッパーの押し子に対する移動操作に強い力を要するという問題がある。なお、ここで使用した符号は、特許文献2に記載の符号である。
これらの問題点を解決するものとして、例えば特許文献3に記載のシリンジが開発されている。
ところが、このシリンジでは、ストッパーを構成する部品点数が多く、構造が複雑であり、製造コストが高くつくという問題がある。
実公平2−15502号公報 実開昭62−119944号公報 特開2003−199828号公報
本発明の目的は、部品点数の増大を防止しつつ、かつ、簡単な操作で、正確な量の液体を排出することができるシリンジを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
(1) 先端に液体を排出可能な排出口を備える外筒と、該外筒内で摺動し得るガスケットと、前記外筒の基端開口より挿入され、前記ガスケットを移動操作する押し子と、前記押し子の長手方向に沿ってスライド可能に設けられ、前記押し子に固定した状態で、前記外筒の一部に当接することにより、前記外筒内への前記押し子の挿入深さを規制するストッパーとを有するシリンジであって、
前記ストッパーは、基部と、
該基部に連結され、前記押し子に係合することにより、前記押し子上での位置を選択して固定する一対の係合部と、
前記基部に連結され、前記一対の係合部の前記押し子に対する係合を解除する操作を行う一対の操作部とを備え、
該一対の操作部を相対的に接近させる操作に伴って、前記一対の係合部が相対的に離間することにより、前記一対の係合部の前記押し子に対する係合が解除され、前記一対の操作部に対する操作を解除すると、前記一対の係合部が相対的に接近することにより、前記押し子に係合するように構成されていることを特徴とするシリンジ。
(2) 前記ストッパーは、一体的に形成され、弾性変形可能となっている上記(1)に記載のシリンジ。
(3) 前記押し子は、レール部を有し、
前記ストッパーは、前記基部が前記レール部上を案内することにより、前記押し子の長手方向に沿ってスライドする上記(1)または(2)に記載のシリンジ。
(4) 前記係合部同士および前記操作部同士は、それぞれ、前記基部を介してほぼ対称に配置されている上記(3)に記載のシリンジ。
(5) 前記一対の操作部は、それぞれ板片状をなし、
前記一対の係合部が前記押し子に係合した状態で、一方の前記操作部と他方の前記操作部とは、それらのなす角度が0〜100°となるように設けられている上記(4)に記載のシリンジ。
(6) 前記基部は、平板状をなし、その幅方向の中央部が前記レール部と接触しないように屈曲または湾曲している上記(3)ないし(5)のいずれかに記載のシリンジ。
(7) 前記押し子は、板片を十文字状に交差させた形状の本体部を有し、前記レール部は、1つの前記板片の頂部に設けられている上記(3)ないし(6)のいずれかに記載のシリンジ。
(8) 前記レール部は、前記板片の基端から長手方向の途中にまで設けられている上記(7)に記載のシリンジ。
(9) 前記板片の前記レール部が設けられていない部分の長さは、前記ストッパーの長手方向の長さより大きい上記(8)に記載のシリンジ。
(10) 前記レール部が設けられた前記板片の側面には、その長手方向に沿って、前記ストッパーの前記係合部が係合する押し子側係合部が、連続的または間欠的に複数形成されている上記(7)ないし(9)のいずれかに記載のシリンジ。
(11) 前記押し子には、排出される液量に対応する前記ストッパーの位置を示す目盛りが付されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のシリンジ。
(12) 前記押し子は、その基端部に、前記ストッパーが前記押し子から離脱するのを阻止する機能を有するフランジ部を有する上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のシリンジ。
(13) 前記外筒と前記ガスケットとで囲まれる空間に、予め薬剤が収納されている上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のシリンジ。
本発明によれば、部品点数の増大を防止して、製造コストの削減に寄与する。また、本発明によれば、簡単な操作で、正確な量の液体を排出することができ、排出量が過多・過少となるミスを確実に防止することができる。
また、操作部を操作するだけの簡単な操作で、押し子に対してストッパーを固定およびこれを解除し、押し子上での位置を調整することができる。よって、排出液量の設定操作を極めて容易かつ迅速に行うことができる。
また、液体の排出操作においては、ストッパーが外筒に当接するまで押し子を先端方向に移動させるだけの簡単な操作で前記効果を達成することができ、押し子の操作に微妙な力加減を必要とせず、操作性に優れる。
以下、本発明のシリンジを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のシリンジの実施形態を示す部分断面平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図2中のB−B線断面図である。なお、説明の都合上、図1中の左側を「先端」、右側を「基端」と言い、図2中の紙面手前側を「基端」、紙面奥側を「先端」と言い、図3中の上側を「先端」、下側を「基端」と言う。
図1に示すシリンジ1は、シリンジ内部に予め薬剤が収納されたプレフィルドシリンジであって、外筒(シリンジ外筒)2と、外筒2内で摺動し得るガスケット3と、ガスケット3を移動操作する押し子(プランジャロッド)4と、押し子4の長手方向に沿ってスライド可能に設置されたストッパー5とを備えている。ガスケット3は、押し子4の先端に連結されている。以下、各部の構成について説明する。
外筒2は、先端側に底部21を有する有底筒状の部材で構成され、底部21の中央部には、外筒2の胴部に対し縮径した縮径部(排出口)22が一体的に形成されている。この縮径部22には、例えば、針管のハブ、コネクタ類等(図示せず)が嵌合、装着され、縮径部22を介して、内部に収納された薬剤(液体)が排出される。
縮径部22の基端部外周には、雄ネジ(ルアーロックネジ)が形成されていても良い。
縮径部22の先端には、封止部材として、弾性材料で構成された膜24が装着され、縮径部22の内腔23を気密的に封止している。
また、縮径部22の外側には、キャップ29が嵌合され、固定されている。このキャップ29の先端には、開口291が形成されており、この開口291の縁部と縮径部22の先端面との間で膜24の外周部を挟持することにより、膜24が気密(液密)的に固定される。
なお、縮径部22と膜24とキャップ29とは、それぞれ、互いに接着剤による接着または融着がなされていても良い。
膜24は、両頭針のような針体により刺通可能なものである。この場合、膜24は、針体により刺通可能なものであれば、その形態は膜状に限らず、例えばブロック状のもの(栓体)であってもよい。
膜24の構成材料としては、例えば、後述するガスケット3の構成材料として挙げたものを用いることができる。
なお、縮径部22の先端を封止する封止部材としては、図示の構成に限らず、例えばフィルム等(図示せず)であってもよい。
また、外筒2の基端外周には、板状のフランジ25が一体的に形成されている。押し子4を外筒2に対し相対的に移動操作する際などには、このフランジ25に指を掛けて操作を行うことができる。
外筒2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、水分の蒸散が少ないという点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂が好ましい。
なお、外筒2の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。
外筒2とガスケット3とで囲まれる空間内には、薬剤100が液密に収納されている。薬剤100の形態は、固体状(粉末状、顆粒状を含む)、液体状等、いかなるものでもよいが、本実施形態では、代表的に液体状の薬剤について説明する。
この薬剤100としては、例えば、抗癌剤、麻酔薬、覚せい剤、麻薬、ブドウ糖等の糖質注射液、塩化ナトリウムや乳酸カリウム等の電解質補正用注射液、ビタミン剤、ワクチン、抗生物質注射液、造影剤、ステロイド剤、蛋白質分解酵素阻害剤、脂肪乳剤、蛋白製剤のような各種薬液、あるいは、蒸留水、消毒薬、流動食、アルコール等が挙げられる。
外筒2の外周面には、目盛り27が形成されている。これにより、シリンジ1内の液量を把握することができる。図示の構成では、目盛り27は、0〜5mLまで付されている。
外筒2内には、弾性材料で構成されたガスケット3が収納されている。
このガスケット3の外周部には、複数のリング状の凸部31、32および33が全周にわたって形成されている。この凸部31、32および33が外筒2の内周面26に対し密着しつつ摺動することで、液密性をより確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
本実施形態では、シリンジ1の長手方向に沿って3つの凸部31、32および33が形成されている。すなわち、ガスケット3の基端部と中間部と先端部のそれぞれに、凸部31、32および33が形成されている。また、ガスケット3の先端面36は、先端に向かって外径が漸減するようなテーパ面になっている。
なお、本発明では、凸部31、32および33の形成位置や個数、断面形状等は、これに限定されるものではない。
また、ガスケット3には、その基端面に開放する中空部34が形成されている。この中空部34は、後述する押し子4のヘッド部43が挿入(螺入)される。中空部34の内面には、雌ネジ341が形成されている。
ガスケット3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
なお、ガスケット3は、その少なくとも外周部が前述のような弾性材料で構成されていれば良く、例えば、樹脂材料で構成された芯部(図示せず)を有し、この芯部の外周を覆うように弾性材料が配置された構成のものでもよい。この場合には、芯部に、雌ネジ341が形成されることとなる。
このようなガスケット3には、外筒2の基端開口より挿入され、ガスケット3を外筒2内で長手方向に移動操作する押し子4が連結(装着)されている。
図1および図2に示すように、押し子4は、板片400a〜400dを十文字状に交差させた形状の本体部40を有している。板片400aの頂部には、後述するストッパー5を案内する平板状のレール部41が板片400bおよび板片400cとほぼ平行となるように設けられている。
図1に示すように、レール部41は、板片400a(本体部40)の基端から長手方向の途中にまで設けられている。そして、板片400aのレール部41が設けられていない部分4aの長さがストッパー5の長手方向の長さ(全長)より大きくなるように設定されている。これにより、当該部分4aからストッパー5を押し子4に容易かつ確実に装着することができる。
また、板片400aの両側面には、それぞれ、レール部41が設けられた部分とレール部41が設けられていない部分4aとの境界部に、側方に向かって突出する突起部45a、45bが設けられている。
各突起部45a、45bの板片400aと反対側の端部同士の距離(図1中のW)は、後述するストッパー5の係合部52a、52b同士の最大離間距離(図3中のW)より大きくなるように設定されている。これにより、ストッパー5がレール部41の先端から離脱するのを阻止(防止)することができる。
これらの突起部45a、45bの先端は、それぞれ、傾斜したテーパ面451a、451bとなっている。これにより、シリンジ1の組み立て工程において、ストッパー5を押し子4に装着する際に、各テーパ面451a、451bにストッパー5の係合部52a、52bが摺接することにより、各係合部52a、52bが押し広げられるように弾性変形し、容易に装着することができる。
この本体部40の基端には、指等で押圧することにより押し子4を先端方向へ移動操作する円盤状のフランジ部401が形成されている。このフランジ部401は、ストッパー5が押し子4の基端から離脱するのを阻止(防止)する機能も有している。
したがって、ストッパー5は、各突起部45a、45bに当接する位置と、フランジ部401とに当接する位置との間で、押し子4上をスライド(移動)可能となっている。
本体部40の先端側には、鍔状をなすフランジ42が設けられ、さらにフランジ42より先端側には、ガスケット3の中空部34内に挿入され、ガスケット3と連結されるヘッド部(連結部)43が設けられている。そして、これらのフランジ42およびヘッド部43は、それぞれ本体部40と一体的に形成されている。
ヘッド部43の外周には、中空部34の内面の雌ネジ341と螺合し得る雄ネジ431が形成されている。この雄ネジ431を雌ネジ341と螺合することにより、ガスケット3と押し子4とが連結されている。このような連結状態では、フランジ42の先端面がガスケット3の基端面と接触または密着している。
なお、本発明において、ガスケット3と押し子4との連結構造は、螺合以外のもの、例えば、接着、融着等の固着、嵌合、遊嵌等であってもよい。
押し子4の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、押し子4の構成材料としては、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体またはこれらのポリマーアロイが好適である。これらのものを用いることにより、押し子4の剛性、印刷適性、成形性、寸法精度等をより向上させることができる。また、ストッパー5の摺動性や係合力(係止力)の向上を図ることもできる。
なお、以上のような材料には、必要に応じて、ガラス繊維または炭素繊維等を添加するようにしてもよい。
さて、本発明のシリンジ1は、押し子4の長手方向に沿って移動可能、かつ、押し子4上での位置を所望の位置に調整可能に設けられたストッパー(挿入深さ規制部材)5を有している。
シリンジ1では、押し子4を押圧して先端方向へ移動させて薬剤100の排出動作を行う際、このストッパー5の先端側面501が外筒2の基端面28(外筒2の一部)に当接することにより、外筒2内への押し子4の挿入深さが規制され、これにより、正確な量の薬剤100を排出することができる。以下、このストッパー5について詳述する。
図2に示すように、ストッパー5は、平板状をなす基部51と、基部51の側部下方に連結された一対の腕状をなす係合部52a、52aと、基部51の側部上方に連結された一対の板片状をなす操作部53a、53bとを有している。
係合部52a、52b同士および操作部53a、53b同士は、それぞれ、基部51(レール部41)を介してほぼ対称に配置され、ストッパー5は、全体として正面視形状(先端側または基端側から見た形状)がほぼH字状をなしている。
また、ストッパー5は、各部が一体的に形成され、弾性変形可能となっている。これにより、シリンジ1の部品点数が増大するのを防止することができ、製造コストの低減に寄与する。
基部51は、この基部51がレール部41上を案内することにより、ストッパー5が押し子4の長手方向に沿ってスライド(移動)可能となっている。
基部51は、その幅方向の中央部がレール部51と接触しないように湾曲(または屈曲)している。これにより、基部51とレール部41との接触面積を小さくできるので、ストッパー5を押し子4の長手方向に沿って移動操作する際に、これらの摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減することができる。その結果、ストッパー5を押し子4に対して移動させる操作をより円滑に行うことができる。
各係合部52a、52bは、それぞれ押し子4に係合することにより、ストッパー5の押し子4上での位置を選択して固定する機能を有する。
図3に示すように、各係合部52a、52bは、それぞれ、途中で屈曲して正面視でL字状をなしている。そして、各係合部52a、52bの端面(押し子4の板片400aに対向する面)には、複数の突起521a、521bが形成されている。これらの突起521a、521bは、それぞれ、楔状(V字状)をなしている。
一方、板片400aの両側面には、その長手方向に沿って、突起521a、521bの形状に対応するV字状の溝で構成される押し子側係合部44a、44bが連続的に形成されている。
図3(a)に示すように、各突起521a、521bが、それぞれ、各押し子側係合部44a、44bに挿入することにより、各係合部52a、52bが押し子4に係合し、ストッパー5が押し子4に固定される(図2(a)および図3(a)参照。)。
このように、係合部52a、52bおよび押し子側係合部44a、44bが、それぞれ一対で設けられることにより、ストッパー5を押し子4により確実に固定することができる。また、係合部52a、52bおよび押し子側係合部44a、44bの形状を、V字状とすることにより、ストッパー5をガタツキ等なく、押し子4に正確に固定することができる。
このような構成において、突起521a、521bおよび押し子側係合部44a、44bのサイズを、シリンジ1の容量等に応じて適宜設定することにより、例えば、シリンジ1からの排出液量を0.1mL刻み、0.2mL刻み、0.5mL刻み、1mL刻み、10mL刻み等で変更し得るように設計(設定)することができる。
図示の構成では、シリンジ1からの排出液量が0.1mL刻みで変更し得るように設計されている。この場合、図3に示すように、突起521a、521bの高さ(または押し子側係合部44a、44bの深さ)Lは、0.1〜1mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.5mm程度であるのがより好ましい。また、突起521a、521b(または押し子側係合部44a、44b)のピッチPは、0.1〜1mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.5mm程度であるのがより好ましい。
また、図2に示すように、突起521a、521bの上下方向の長さ(厚さ)Hは、押し子4(板片400a)のサイズ等に応じて適宜設定され、特に限定されないが、1〜5mm程度であるのが好ましく、2〜3mm程度であるのがより好ましい。
なお、各押し子側係合部44a、44bは、図示の構成に限定されず、例えば、U字状、コ字状、半円状の溝(凹部)や孔等で構成することもできる。これらの場合、各突起521a、521bは、対応する形状に形成するようにすればよい。
また、各押し子側係合部44a、44bは、図示の構成のように、連続して形成されたものに限定されず、所定の間隔をおいて、間欠的に形成されていてもよい。
各操作部53a、53bは、一対の係合部52a、52bの押し子4(板片400a)に対する係合を解除する操作を行う部分である。
このようなストッパー5は、指で操作部53a、53bの上端部同士が互いに接近するように把持する操作を行うと、この操作に伴って、係合部52a、52bは、それぞれ基部51の端部をそれぞれ支点511a、511bとして回動して、その下端部同士が互いに離間する。
これにより、各突起521a、521bが各押し子側係合部44a、44bから離脱し、各係合部52a、52bの押し子4に対する固定が解除され(図2(b)および図3(b)参照。)、ストッパー5は、押し子4に対してスライド(移動)することができるようになる。
一方、各操作部53a、53bを把持する操作を解除すると、ストッパー5は、自らの弾性力により、ほぼ元の形状に戻る。すなわち、係合部52a、52bは、それぞれ支点511a、511bを中心に回動して、その下端部同士が互いに接近するように変形する。そして、各係合部52a、52bは、それぞれ、押し子4(板片400a)に当接(圧接)する(図2(a)および図3(a)参照。)。
この状態、すなわち、各操作部53a、53bに外力を付与しない状態(自然状態)では、ストッパー5は、各突起521a、521bが各押し子側係合部44a、44bに挿入し、各係合部52a、52bが押し子4に係合することにより、押し子4に対して固定される。
また、図2(a)に示すように、各係合部52a、52bが押し子4に係合した状態で、操作部53aと操作部53bとのなす角度(図2(a)中のθ)が0〜100°程度に設定されているのが好ましく、20〜50°程度に設定されているのがより好ましい。これにより、両操作部53a、53bを把持する操作がし易くなり、係合部52a、52b同士をより確実に離間させること、すなわち、各係合部52a、52bの押し子4に対する固定をより確実に解除することができる。
以上説明したように、シリンジ1では、各操作部53a、53bを指で把持する操作を行うことにより、ストッパー5の押し子4への固定の解除を行い、ストッパー5を押し子4上でスライドさせて、各操作部53a、53bを把持する操作を解除することにより、ストッパー5を押し子4上の所望の位置に固定することができる。
このようにして押し子4上でのストッパー5の位置を調整することにより、外筒2内へ挿入可能な押し子4の深さを変更することができ、よって、排出する薬剤100の量を所望の量に設定することができる。
図1に示すように、押し子4(レール部41)には、シリンジ1より排出される液量に対応する目盛り48が付されている。一方、ストッパー5の先端には、一対のほぼL字状をなす腕部54a、54bが設けられている。各腕部54a、54bは、ストッパー5(基部51)の先端から先端方向に向かって突出するように、ストッパー5と一体的に形成されている。そして、ストッパー5の腕部54a、54bの先端面541a、541bの位置を目盛り48に合わせた状態で押し子4を押し込むことにより、所望の量の薬剤100を排出することができる。
目盛り48は、外筒2の目盛り27に対応しており、図示の構成では、排出液量が0〜5mLに対応する位置に付されている。
ストッパー5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ストッパー5の構成材料としては、ポリアセタールが好適である。ポリアセタールを用いることにより、ストッパー5の摺動性、弾性力、圧縮耐久歪、係合力(係止力)、印刷適性等をより向上させることができる。
なお、本実施形態では、ストッパー5として、各部が一体的に形成されたものについて説明したが、複数の部材を組み合わせてものであてもよい。この場合、ストッパー5の構成としては、例えば、操作部と係合部とを備える一対の部材を、それぞれ基部の両端部に回動可能に設けたもの等が挙げられる。
また、本実施形態では、各操作部同士および各係合部同士が互いに接近および離間する構成であったが、本発明では、各操作部同士および各係合部同士は、相対的に接近および離間し得るように構成されていればよく、一方の操作部および係合部が固定されており、他方の操作部および係合部が一方のものに接近および離間し得るように構成されていてもよい。
次に、シリンジ1の使用方法の一例について説明する。以下に説明する方法は、シリンジ1に、有底筒状のホルダー本体と両端にそれぞれ鋭利な針先が形成された両頭針(針管)とを有する両頭針付ホルダー(図示せず)を接続し、ボトル(瓶)状またはバッグ状をなす輸液容器(図示せず)に薬剤100を混注する場合の例である。
[1A] まず、ストッパー5を目盛り48の0に位置合わせ(ゼロ点合わせ)する。すなわち、各操作部53a、53bを指で把持する操作を行って、各係合部52a、52b同士を離間させ、ストッパー5の押し子4に対する固定を解除する(図2(b)および図3(b)参照。)。
そして、ストッパー5の腕部54a、54bの先端面541a、541bを、目盛り48上の「0」に合わせる。この状態で、各操作部53a、53bの把持操作を解除して、ストッパー5を押し子4に対して固定する(図2(a)および図3(a)参照。)。
[2A] 次いで、以下のようにして、外筒2内のエア抜きを行う。図1に示すように、シリンジ1には、規定量(図示の構成では5mL)よりやや多い量の薬剤100が充填されている。
このシリンジ1のキャップ29に両頭針付ホルダーのホルダー本体を嵌合する(被せる)。これにより、両頭針の一方の針先が膜24を刺通し、縮径部22の内腔23に侵入する。
このようにして両頭針付ホルダーを装着した後、押し子4のフランジ部401に指を当て、ストッパー5の先端側面501が外筒2の基端面28に当接するまで、押し子4を外筒2に対し先端方向に移動させる。
これにより、押し子4に連結されたガスケット3が外筒2内で先端方向に摺動し、規定量より余剰の薬剤100と外筒2内のエアとが縮径部22の内腔23および両頭針内を通って排出される。
この操作により、外筒2内の薬剤100が規定量になる。すなわち、この状態では、ガスケット3の外周部先端(凸部33)は、外筒2の目盛り27における規定量(図示の構成では5mL)の位置に位置する。
[3A] 次いで、両頭針付ホルダーの両頭針の他方の針先を輸液容器の口部を封止する栓体に刺通する。この状態で、外筒2内と、輸液容器の内部空間とが、両頭針を介して連通する。
[4A] 次いで、再度、各操作部53a、53bを把持することにより、ストッパー5の押し子4に対する固定を解除する。
そして、ストッパー5を押し子4上でスライドさせ、ストッパー5の腕部54a、54bの先端面541a、541bを目盛り48上の希望とする排出量に対応する位置に合わせる。
例えば、図示の構成では、1mLの薬剤100を排出する場合には、先端面541a、541bを目盛り48上の「1」に合わせ、3mLの薬剤100を排出する場合には、先端面541a、541bを目盛り48上の「3」に合わせる。
その後、各操作部53a、53bの把持操作を解除することにより、ストッパー5を押し子4に対して固定する。
[5A] 次いで、フランジ部401に指を当てて押し子4を先端方向に押圧し、ストッパー5の先端側面501が外筒2の基端面28に当接するまで、押し子4を外筒2に対し先端方向に移動させる。
これにより、押し子4に連結されたガスケット3が外筒2内で先端方向に摺動し、設定した量の薬剤100が外筒2内から縮径部22の内腔23および両頭針内を通って排出され、輸液容器内の輸液に配合される。
このように、本発明では、ストッパー5が外筒2に当接することにより押し子4の外筒2内への挿入深さが規制されることから、押し子4を押し過ぎたり、押し足りなかったりすることがなく、設定した量の薬剤100を正確に排出することができる。よって、薬剤100の排出量が過多・過少となるミスを確実に防止することができる。
また、薬剤100の排出操作においては、ストッパー5が外筒2に突き当たるまで押し子4を先端方向に移動させるだけの簡単な操作で前記効果を達成することができ、押し子4の操作に微妙な力加減を必要とせず、操作が容易である。
なお、前述した使用方法の他に、次のようにして、予め薬剤100の過量分を捨てる使用方法を採ることもできる。
[1B] 図示の構成において、規定量5mLのうちの3mLのみを使用する場合を例に説明する。
まず、ストッパー5の腕部54a、54bの先端面541a、541bを目盛り48上の薬剤100の過量分に相当する位置に合わせる。この場合、規定量5mLに対し、使用量3mLであり、2mLが過量であるので、先端面541a、541bを目盛り48上の「2」に合わせる。
[2B] 次いで、シリンジ1のキャップ29に前記と同様にして両頭針付ホルダーを装着した後、押し子4のフランジ部401に指を当て、ストッパー5の先端側面501が外筒2の基端面28に当接するまで、押し子4を外筒2に対し先端方向に移動させる。
これにより、押し子4に連結されたガスケット3が外筒2内で先端方向に摺動し、過量分の薬剤100と外筒2内のエアとが縮径部22の内腔23および両頭針内を通って排出される。
この操作により、エア抜きが行われるとともに、外筒2内に3mLの薬剤100が残存する。すなわち、この状態では、ガスケット3の外周部先端(凸部33)は、外筒2の目盛り27の「3」に位置する。
[3B] 次いで、前記と同様にして、両頭針付ホルダーの両頭針の他方の針先を輸液容器の口部を封止する栓体に刺通し、外筒2内と輸液容器の内部空間とを連通させる。
[4B] 次いで、前記と同様にして、ストッパー5を押し子4上でスライドさせ、ストッパー5を押し子4の基端部(図示の構成では、腕部54a、54bの先端面541a、541bを目盛り48上の「5」より基端側)に移動させて固定する。
[5B] 次いで、フランジ部401に指を当てて押し子4を押圧し、ガスケット3の先端面36が外筒2の底部21に接触(または近接)するまで押し子4を先端方向に移動させ、外筒2内に残存する薬剤100のほぼ全量を排出する。これにより、希望とする量(3mL)の薬剤100を輸液容器内の輸液に配合することができる。
なお、本実施形態では、液体の薬剤100が予め収納されているシリンジ1について説明したが、本発明では、薬剤100が固体状のものでもよい。この場合には、押し子4を基端方向に引いて縮径部22の先端開口から液体を吸引して外筒2内に導入し、この液体に薬剤100を溶解させて使用する。
また、本実施形態では、ストッパー5の先端側面501が外筒2の基端面28(すなわち、外筒2そのものの一部)に当接することにより、外筒2内への押し子4の挿入深さが規制される場合について示したが、「ストッパー5が当接する外筒2の一部」とは、外筒2に設けられた他の部品(部材)の一部であってもよい。
このような部品としては、例えば、外筒2の基端開口部に設けられ、I:開口部から押し子4が抜け落ちる(離脱する)のを防止するストッパー(開口部を狭くする部材)や、II:外筒2内の気密・液密状態、無菌・滅菌状態を維持するためのシール部材等が挙げられる。
また、本発明は、シリンジ1のようなプレフィルドシリンジに限らず、薬剤等が封入されていない通常のシリンジに適用することもできる。
また、シリンジ1は、前述したような両頭針付ホルダーを用いた使用方法に限らず、縮径部22に例えば針管のハブ、コネクタ類、チューブ類等(図示せず)を嵌合、装着して使用してもよいことは言うまでもない。
以上、本発明のシリンジを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、シリンジを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
本発明のシリンジの実施形態を示す部分断面平面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図2中のB−B線断面図である。
符号の説明
1 シリンジ
2 外筒
21 底部
22 縮径部
23 内腔
24 膜
25 フランジ
26 内周面
27 目盛り
28 基端面
29 キャップ
291 開口
3 ガスケット
31、32、33 凸部
34 中空部
341 雌ネジ
36 先端面
4 押し子
4a レール部が設けられていない部分
40 本体部
400a〜400d 板片
401 フランジ部
41 レール部
42 フランジ
43 ヘッド部
431 雄ネジ
44a、44b 押し子側係合部
45a、45b 突起部
451a、451b テーパ面
48 目盛り
5 ストッパー
501 先端側面
51 基部
511a、511b 支点
52a、52b 係合部
521a、521b 突起
53a、53b 操作部
54a、54b 腕部
541a、541b 先端面
100 薬剤

Claims (6)

  1. 先端に液体を排出可能な排出口を備える外筒と、該外筒内で摺動し得るガスケットと、前記外筒の基端開口より挿入され、前記ガスケットを移動操作する押し子と、前記押し子の長手方向に沿ってスライド可能に設けられ、前記押し子に固定した状態で、前記外筒の一部に当接することにより、前記外筒内への前記押し子の挿入深さを規制するストッパーとを有するシリンジであって、
    前記ストッパーは、基部と、
    該基部に連結され、前記押し子に係合することにより、前記押し子上での位置を選択して固定する一対の係合部と、
    前記基部に連結され、前記一対の係合部の前記押し子に対する係合を解除する操作を行う一対の操作部とを備え、
    該一対の操作部を相対的に接近させる操作に伴って、前記一対の係合部が相対的に離間することにより、前記一対の係合部の前記押し子に対する係合が解除され、前記一対の操作部に対する操作を解除すると、前記一対の係合部が相対的に接近することにより、前記押し子に係合するように構成されていることを特徴とするシリンジ。
  2. 前記ストッパーは、一体的に形成され、弾性変形可能となっている請求項1に記載のシリンジ。
  3. 前記押し子は、レール部を有し、
    前記ストッパーは、前記基部が前記レール部上を案内することにより、前記押し子の長手方向に沿ってスライドする請求項1または2に記載のシリンジ。
  4. 前記係合部同士および前記操作部同士は、それぞれ、前記基部を介してほぼ対称に配置されている請求項3に記載のシリンジ。
  5. 前記一対の操作部は、それぞれ板片状をなし、
    前記一対の係合部が前記押し子に係合した状態で、一方の前記操作部と他方の前記操作部とは、それらのなす角度が0〜100°となるように設けられている請求項4に記載のシリンジ。
  6. 前記基部は、平板状をなし、その幅方向の中央部が前記レール部と接触しないように屈曲または湾曲している請求項3ないし5のいずれかに記載のシリンジ。
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JP2011143066A (ja) * 2010-01-14 2011-07-28 Ceres Inc Medical Institution 薬液量調整具

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