JP2005310635A - 蒸着マスク、蒸着マスク製造方法、有機薄膜成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 蒸着マスク表面の凹凸の低減方法、接着材のはみ出し防止する方法を提案し、高精細蒸着マスク蒸着を実現する。
【解決手段】 マスクにテンションをかけて基準面の外側の接着面で接着剤により薄板状蒸着マスクとフレームとを固定するか塗布する接着材の断面積が、フレームの基準面外側の接着面断面積以下となる断面積の接着剤量を塗布する。
【選択図】 図1
【解決手段】 マスクにテンションをかけて基準面の外側の接着面で接着剤により薄板状蒸着マスクとフレームとを固定するか塗布する接着材の断面積が、フレームの基準面外側の接着面断面積以下となる断面積の接着剤量を塗布する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、有機ELディスプレーなど真空中で微細加工されたマスクによるパターン成膜が必要な成膜方法に関するものである。
有機EL素子は、発光輝度が高いこと、発光色が多いこと、膜構成が簡単であることよりカラーディスプレーの分野などで注目されている技術である。有機材料は、吸湿性が高く成膜後の大気中のパターニングは、素子の寿命を著しく低下させることになる。フォトリソグラフなどの半導体をパターニングする技術を応用することは、有機材料自体吸湿性があり大気中のパターニングが難しいこと、レジストが有機材料であり露光後、剥離するときに同時に素子材料まではがれてしまい大気中のパターニングが難しい。そこで、真空中での微細加工されたマスクを通し、パターニングする技術が一般的に用いられる。真空中のマスク成膜では、多色の有機EL素子を製作する場合、1素子分ずれたパターンのマスクを交換して成膜するか、同一マスク、または、基板を素子1ピッチ分移動させて成膜する。このどちらかの方法を使用するのが一般的である。
高精細に加工された蒸着マスクでマスク蒸着するために重要なことは、蒸着マスクの自重撓みなどを抑制し、平面状態で基板に密着させることである。
その方法としていろいろな提案がなされている。蒸着マスクは、特許文献1では繊維状の材料が使用されテンションをかけてフレームに接着材により固定されている。また、特許文献2では、磁性材料の薄板メタルマスクが使用されており、磁石で吸引することと、蒸着室内にテンションをかける手段を有し蒸着マスクの撓みを抑制して密着性を向上している。このようにマスクにテンションをかけ撓みを抑制することは一般的に行われている。
また、特許文献3では、薄板メタルマスクのフレームへの固定方法として、溶接で固定する方法が提案されている。
特開2000−615054号公報
特開2000−160323号公報
特開2002−69619号公報
表示素子、フラットパネルディスプレイに低分子有機ELなどのディスプレイの製作にはマスク成膜技術によるパターニングが必須である。また、ディスプレイなどのデバイスは、高精細化が求められており、マスクパターンの高密度化が進んでいる。高精細マスク成膜での問題点としてパターンずれの発生がある。パターンずれは、初期の蒸着マスクと基板のアライメントのずれ、蒸着マスク、基板の製作精度、蒸着マスクと基板のスキマが主原因である。高精細化するマスク蒸着では、蒸着マスクと基板の密着性が重要な要素となっている。
蒸着マスク表面の凹凸があると蒸着マスクと基板の密着性が悪くなり、パターンずれを発生するため、特開2002-69619では、溶接でテンションをかけた薄板状蒸着マスクを固定する方法において、溶接部に凹部を設け表面の溶接バリを減少させる方法が提案されている。
我々は、蒸着マスクとフレームを接着剤で固定することを試みた。蒸着マスクとフレームを接着剤で固定する方法では、接着剤の塗布厚さの不均一さ、接着剤の収縮、接着剤のはみ出し、などの問題で蒸着マスク表面に数μmから数十μmの凹凸ができてしまうことがわかった。また、幅が狭いフレームを使用した場合、接着剤が画素エリアにはみ出してしまう現象も発生した。本発明は、蒸着マスク表面の凹凸の低減方法、接着材のはみ出し防止する方法を提案し、蒸着マスクと基板の密着性を向上させ、高精細蒸着マスク蒸着を実現することにある。
前記課題を解決するために、蒸着マスクを固定するフレームの内側に基準面を作り、その外側に基準面より高さの低い接着面を設け、接着面に接着剤を塗布することで、基準面にならった平面性の良い蒸着マスクを製作することができた。フレームに基準面と高さが低い接着面がないと接着剤厚さが均一にならず蒸着マスク表面に凹凸ができる。フレームに基準面と基準面より高さの低い接着面を設けたため薄板状蒸着マスクとフレームに大きな荷重をかけることが可能になり、接着剤の収縮による、蒸着マスクパターンずれの減少にもなった。また、フレームの内側が基準面となり、接着剤の厚さむらによる凹凸が減少し、平滑性の向上した蒸着マスクの製作ができた。溝内に接着剤が入っているために、接着剤のはみ出し(特に画素エリア側)がなくなり、画素エリアとフレームの距離を短くすることができ、蒸着マスク、フレームがコンパクトになった。この蒸着マスクを使用した結果、蒸着マスクと基板の密着性が向上し高精細有機薄膜を蒸着することが可能になった。
本発明によれば、接着剤厚さの不均一さによって生じる表面の凹凸を減少させ、蒸着マスクの平面性を向上させることによって、蒸着マスクと基板の密着性が向上し着膜形状、着膜精度が良好になった。有機ELディスプレイの高精細化は、蒸着マスクの精度で決まるといっても過言ではない。この蒸着マスクを使用することにより高精細な有機ELディスプレイを製作することが可能になった。また、接着剤が、フレームの外側にはみ出すことが無く、特に画素エリアへのはみ出しがなくなり、蒸着マスクの製作歩留まりが向上した。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に関する蒸着マスクの製造を示す概略図である。図1の1は薄板状蒸着マスク、2はフレーム、3は接着面、4はテンションを張るバネ、5は画素エリア、6は薄板状蒸着マスクを密着させるための荷重を掛ける手段、7は接着剤、8は高さ基準面を示す。フレーム形状は図2に示したように、フレーム内側に高さ基準面8、高さ基準面8の外側に3の今回は溝形状の基準面より高さの低い3の接着面を設けたフレームを使用した。今回の1の薄板状蒸着マスクは、Ni合金製でエッチングにより画素エリアの穴を形成した30μm厚さを使用した。画素エリアの穴形成は、エッチングの他、電鋳などの微細加工できる方法ならば問題は無い。また、1の薄板状蒸着マスク材質もSUS304やSUS316、SUS430など微細加工できる材質であれば良い。フレームに加工した溝深さは0.3mmに加工した。このフレームの3の接着面に7エポキシ系接着剤を塗布し、1の薄板状蒸着マスクは4のバネでテンションを掛け上から6の荷重を掛ける手段で荷重をかけ、高さ基準面8に1の薄板状蒸着マスクを密着させ、7の接着剤を乾燥させ、1の薄板状蒸着マスクを2のフレームに固定した。この方法で製作した蒸着マスクは、数百μmあった表面の凹凸が数μmから10数μmに平坦性が向上した。
この蒸着マスクを使用して有機薄膜を成膜した例を以下に説明する。成膜機は、図3のように構成されている。真空を保持するための10の真空槽、真空槽を真空に排気するための11の真空排気システム、有機材料を蒸発させるための9の蒸発源、前記方法で製作した蒸着マスク、ガラス基板15、ガラス基板を1画素分シフトさせるための駆動系12、蒸発速度を測定するための膜厚モニター13、成膜時間(膜厚)を管理するためのシャッター14で構成されている真空蒸着装置を使用した。
10の真空槽を大気圧に開放し、ガラス基板15をセットする。あらかじめ前記方法で製造した蒸着マスクを10の真空槽内に取り付けておく。蒸着材料を入れた蒸発源9(今回はボートを使用する)を取り付ける。今回のテストでは、有機材料はAlq3を使用した。次に真空槽10を11の真空排気システムで所定(5x10-5Pa)の圧力まで真空排気する。有機材料を入れた蒸発源9に通電し、有機材料の脱ガスを行いながら、ゆっくりと加熱を行う。蒸発速度を膜厚モニター13で確認し所定の蒸発速度になり、蒸発速度が安定したら、シャッター14を開きガラス基板15に有機薄膜を成膜する。膜厚モニター13で所定の膜厚(今回は着膜精度を確認するため100nm着膜させた)が着膜したことを確認してシャッター14を閉める。ガラス基板15を1画素分12の駆動系でシフトさせる。再度、膜厚モニター13で所定蒸発速度であることを確認してシャッター14を開く。膜厚モニター13で所定の膜厚が着膜したことを確認してシャッター14を閉める。3画素目も同様の操作を繰り返し成膜した。
フルカラーディスプレイを製作するためには、赤、青、緑の3種類の有機材料を成膜する必要があるが、今回はテストであるため、有機材料を1種類で3回のマスク成膜を行い単色で着膜の精度を確認した。蒸着マスクの平面性が向上し、蒸着マスクと基板の密着性が向上したため蒸着マスクの開口部とほぼ同形状の着膜形状が観察された。
図4は、実施例2のフレームの特徴を最も表す図である。フレーム形状は図4に示したように、2のフレームの内側に基準面8、基準面8の外側に8の基準面より0.5mm高さの低い3の接着面を基準面の外側全体に設けたフレームを使用した。1の薄板状蒸着マスクは、Ni合金製で電鋳により画素エリアの穴を形成した50μm厚さを使用した。このフレームの接着面3にセラミック系接着剤を塗布した。実施例1と同様に1の薄板状蒸着マスクを4のバネでテンションを掛け、6の上から荷重を掛ける手段で荷重をかけて基準面8に密着させて、接着剤を乾燥させ、1の薄板状蒸着マスクを2のフレームに固定した。7の接着剤のはみ出しに関して、フレーム外側全体に基準面より高さの低い接着面3を持った図4のフレームは、実施例1のフレームよりも接着剤はみだしに有効であり、接着材の塗布量管理が楽になった。
この蒸着マスクを使用して有機薄膜を成膜した例を図3の装置を使用し説明する。成膜機は、真空を保持するための10の真空槽、真空槽を真空に排気するための11の真空排気システム、有機材料を蒸発させるための9の蒸発源、前記方法で製作した蒸着マスク1と一体のフレーム2(今回は、図4の溝形状のフレームを使用した)、ガラス基板15、ガラス基板を1画素分シフトさせるための駆動系12、蒸発速度を測定するための膜厚モニター13、成膜時間(膜厚)を管理するためのシャッター14で構成されている真空蒸着装置を使用した。
10の真空槽を大気圧に開放し、ガラス基板15をセットする。あらかじめ前記方法で製造した蒸着マスクを10の真空槽内に取り付けておく。蒸着材料を蒸発源9(今回はKセルを使用する)に入れた。今回のテストでは、有機材料はAlq3を使用した。次に真空槽10を11の真空排気システムで所定(5x10-5Pa)の圧力まで真空排気する。有機材料を入れた蒸発源9に通電し、有機材料の脱ガスを行いながら、ゆっくりと加熱を行う。蒸発速度を膜厚モニター13で確認し所定の蒸発速度になり、蒸発速度が安定したら、シャッター14を開きガラス基板15に有機薄膜を成膜する。膜厚モニター13で所定の膜厚が付いたことを確認してシャッター14を閉める。ガラス基板15を1画素分12の駆動系でシフトさせる。再度、膜厚モニター13で所定蒸発速度であることを確認してシャッター14を開く。膜厚モニター13で所定の膜厚(今回は着膜精度を確認するため100nm着膜させた)が着膜したことを確認してシャッター14を閉める。3画素目も同様の操作を繰り返し成膜した。
フルカラーディスプレイを製作するためには、赤、青、緑の3種類の有機材料を成膜する必要があるが、今回はテストであるため、有機材料を1種類で3回のマスク成膜を行い単色で着膜の精度を確認した。蒸着マスクの平面性が向上し、蒸着マスクと基板の密着性が向上したため蒸着マスクの開口部とほぼ同形状の着膜形状が観察された。
図5は、実施例3の接着剤塗布の特徴を最も表す図である。フレーム形状は図5に示したように、フレームの内側に基準面8、基準面8の外側に7の溝をもつものを使用した。今回の1の薄板状蒸着マスクは、SUS430でエッチングにより画素エリアの穴を形成した50μm厚さのものを使用した。フレームの溝深さは0.5mmに加工した。このフレームにエポキシ系接着剤を図5のように不連続に複数回塗布した(今回は千鳥配列)。実施例1と同様に1の薄板状蒸着マスクをバネでテンションを掛け上から荷重を掛ける手段で、基準面8に密着させて、7の接着剤を乾燥させ、1の薄板状蒸着マスクをフレームに固定した。このように不連続に複数回接着剤を塗布することで、余った接着剤が不連続な隙間に入り込み、7の溝の外部へのはみ出しを防止できた。この蒸着マスクを使用しての有機薄膜成膜は、実施例1と同様の手順で行った。結果は実施例1と同様に蒸着マスクの平面性が向上し、蒸着マスクと基板の密着性が向上したため蒸着マスクの開口部とほぼ同形状の着膜形状が観察された。
図6は、実施例4のマスク製造方法の特徴を最も表す図である。フレーム形状は図4に示した実施例2と同じ、フレームの内側に基準面8、基準面8の外側全体に基準面8より0.5mm高さの低い接着面を設けたものを使用した。今回の1の薄板状蒸着マスクは、インバー材でエッチングにより画素エリアの穴を形成した50μm厚さのものを使用した。このフレームの接着面にエポキシ系接着剤を塗布した。実施例1と同様に1の薄板状蒸着マスクをバネでテンションを掛けた。上からの荷重の掛け方は、マスクの中心方向から外側へ余った接着剤を外側へ押し出すように順番に荷重を掛けた。1の薄板状蒸着マスクは、まず、基準面8に接触し、次に接着材と1の薄板状マスクが接触して行く。その後、7の接着剤を乾燥させ、1の薄板状蒸着マスクをフレームに固定した。このように製作したマスクは、画素エリア側への接着剤のはみ出しのない、平坦性の良いマスクを製造することができた。有機薄膜の蒸着は、実施例1と同様の手順で行った。結果は実施例1と同様に蒸着マスクの平面性が向上し、蒸着マスクと基板の密着性が向上したため蒸着マスクの開口部とほぼ同形状の着膜形状が観察された。
1 薄板状蒸着マスク
2 フレーム
3 接着面
4 バネ
5 画素エリア
6 荷重を掛ける手段
7 接着剤
8 基準面
9 蒸発源
10 真空槽
11 真空排気システム
12 基板駆動系
13 膜厚モニター
14 シャッター
15 ガラス基板
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9 蒸発源
10 真空槽
11 真空排気システム
12 基板駆動系
13 膜厚モニター
14 シャッター
15 ガラス基板
Claims (5)
- 複数の開口を持つ薄板状蒸着マスク、フレームで構成され、薄板状蒸着マスクにテンションをかけてフレームに固定された蒸着マスクにおいて、
薄板状蒸着マスクを固定するフレームの形状が蒸着マスクの中心から薄板状蒸着マスクの高さを規定する基準平面、基準面の外側に接着剤を塗布する基準面より高さの低い接着面で構成されており、
前記外側とは、蒸着マスクの中心から距離の離れる方向のことであり、
前記内側とは蒸着マスクの中心方向のことであり、
且つ、
薄板状蒸着マスクにテンションをかけて基準面の外側の接着面で接着剤により薄板状蒸着マスクとフレームが固定されていることを特徴とする蒸着マスク。 - 複数の開口を持つ薄板状蒸着マスクにテンションをかけてフレームに固定した蒸着マスクを製造する方法において、
薄板状蒸着マスクを固定するフレームの形状が蒸着マスクの中心から薄板状蒸着マスクの高さを規定する基準平面、基準面の外側に接着剤を塗布する基準面より高さの低い接着面を有していて、塗布する接着材の断面積が、フレームの基準面外側の接着面断面積以下となる断面積の接着剤量を塗布することを特徴とし、前記接着面断面積とは、基準面より高さの低い切欠き部断面積のことである蒸着マスク製造方法。 - 前記蒸着マスクを製造する方法において、前記接着面に複数回不連続に接着剤を塗布することを特徴とした請求項2に記載の蒸着マスク製造方法。
- 前記蒸着マスクを製造する方法において、薄板状マスクに張力をかけながら、薄板状マスクを中心方向から外側へフレーム基準面及び接着剤に接触させて接着剤で固定することを特徴とした請求項2及び3に記載の蒸着マスク製造方法。
- 複数個の開口を持つ薄板状マスクにテンションをかけフレームに固定された蒸着マスクを使用する有機薄膜成膜方法において、薄板状蒸着マスクを固定するフレームの形状が蒸着マスクの中心から薄板状蒸着マスクの高さを規定する基準平面、基準面の外側に接着剤を塗布する基準面より高さの低い接着面で構成されており、
前記外側とは、蒸着マスクの中心から距離の離れる方向のことであり、
前記内側とは蒸着マスクの中心方向のことであり、
且つ、
薄板状蒸着マスクにテンションをかけて基準面の外側の接着面で接着剤により薄板状蒸着マスクとフレームが固定されている蒸着マスクを使用して、フレームの基準面上に薄板状蒸着マスクを介し、基板を配置させて成膜することを特徴とした有機薄膜成膜方法。
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JP2004128062A JP2005310635A (ja) | 2004-04-23 | 2004-04-23 | 蒸着マスク、蒸着マスク製造方法、有機薄膜成膜方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007256311A (ja) * | 2006-03-20 | 2007-10-04 | Toppan Printing Co Ltd | スパッタ用メタルマスク及びカラーフィルタ及びその製造方法 |
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2004
- 2004-04-23 JP JP2004128062A patent/JP2005310635A/ja not_active Withdrawn
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