JP2005308289A - アンモニアと二酸化炭素を組み合わせた二元冷凍システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 目的の冷却には直接関与しないカスケードコンデンサを安価に製作するとともに、ここでの熱交換効率を極めて向上させることにより、システム全体の高能率化や低コスト化を図る新規な二元冷凍システムを提供する。
【解決手段】 本発明の二元冷凍システム1は、アンモニアサイクル2と炭酸ガスサイクル3とを組み合わせて成り、アンモニアサイクル2は、炭酸ガスサイクル3内のCO2 媒体を冷却、液化する縦型流路のカスケードコンデンサ14を具えるとともに、このカスケードコンデンサ14は満液式の構成を採り、液体状態のNH3 媒体が自然循環状態に供給されるものであり、またこのカスケードコンデンサ14は、NH3 流路とCO2 流路とが仕切面を介して熱交換が行えるように形成されるものであり、NH3 流路は上昇流、且つCO2 流路は下降流として形成されて成ることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、高元側をアンモニアサイクルで構成するとともに、低元側を炭酸ガスサイクルで構成した二元冷凍システムに関するものであって、特にアンモニア冷媒によって炭酸ガス冷媒を冷却するカスケードコンデンサを安価に製作するとともに、ここでの熱交換効率を向上させ、商業実機としての二元冷凍システムの有用性を、より一層向上させた新規な冷凍システムに係るものである。
近年、地球を取り巻くオゾン層の破壊防止や地球温暖化防止の目的から、冷凍機あるいは空調設備等に使用する冷媒を、フロン系のものから水、空気、二酸化炭素、アンモニア、炭化水素ガス等の自然冷媒(ヒートポンプ・システムへの応用を視野に入れ、国際的には自然作動流体とも呼ばれる)に移行する動きが活発になっている。このような社会的要請から本出願人も自然冷媒としてアンモニアと二酸化炭素とを適用したヒートポンプ・システム等の開発を試み、国内特許第3458310号、アメリカ特許第6,619,066号、オーストラリア特許第747666号、中国特許第ZL99816340.6号の特許取得や、特開2003−166765等の特許出願に至っている。
このような自然冷媒を適用した二元冷凍システムは、地球環境に優しく、また目的の冷却が効率的に行える等の点で充分な効果を達成し得るものであり、これによってアンモニアと炭酸ガスを適用した二元冷凍システムは、その基本構造がほぼ確立された。
しかしながら、このような二元冷凍システムであっても、実際に商業実機として導入するには、運転効率の更なる向上や、より一層のコスト低減化等が求められるものであり、この点において、まだ開発の余地があった。
すなわち上述した二元冷凍システムは、アンモニアサイクルと炭酸ガスサイクルとを有するために、二酸化炭素媒体を冷却するカスケードコンデンサを要するものであるが、この部分は冷凍源と、目的の冷却作用部との間において熱の受け渡しを行うだけであるから、目的の冷却作用には実質的に関与していない。このため、この部分は、言わば補機的ないしは付加的な機構部という位置付けとも言える。従って、このような部分での低コスト化、効率化、低スペース化等を図ることによって、システム全体としてトータルでの性能向上を図る可能性が残されていた。
なお、このようなカスケードコンデンサとしては、従来、シェルチューブと称される円筒多管式の熱交換器が一般に用いられていたが、このシェルチューブ型の熱交換器は、冷媒流路がほぼ水平方向に形成されており、気体状態での熱交換部分(いわゆる乾き部分)が多く生じ、また流体の流れも滞りがちとなり、必ずしも高い熱交換効率が得られていないのが実情であった。また、このシェルチューブ型の熱交換器は、冷媒流路がほぼ水平つまり横置き配置が一般的であったため、設置スペースも広い専有面積を要するものとなっていた。
因みに、このような補機部分における低コスト化、高効率化等は、冷凍システムの全体構成からすれば、一見、些細な技術改良に思えるが、上述したように実際の現場にあっては、二元冷凍システムを実機として導入する際の重要な決定要素となることが少なくなく、特に商業的な見地からは、導入にあたり大切なファクターとなっていた。
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、目的の冷却には実質的に関与しないカスケードコンデンサを安価に製作するとともに、ここでの熱交換効率を極めて向上させるようにして、システム全体としての高能率化や低コスト化を推進する、より商業実機に特化した新規な二元冷凍システムの開発を試みたものである。
すなわち請求項1記載のアンモニアと二酸化炭素を組み合わせた二元冷凍システムは、アンモニアを媒体としたアンモニアサイクルを高元側とし、二酸化炭素を媒体とした炭酸ガスサイクルを低元側として組み合わせて成るシステムであって、前記アンモニアサイクルは、炭酸ガスサイクル内の二酸化炭素媒体を冷却、液化する縦型流路のカスケードコンデンサを具えるとともに、このカスケードコンデンサは満液式の構成を採り、液体状のNH3 媒体が自然循環状態に供給されるものであり、また、このカスケードコンデンサは、NH3 媒体を流すNH3 流路とCO2 媒体を流すCO2 流路とが、仕切面を通して熱交換が行えるように形成されるものであり、NH3 流路は上昇流、且つCO2 流路は下降流として形成されて成ることを特徴として成るものである。
前記請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。すなわち本発明によれば、本来の冷却作用には直接関与しないカスケードコンデンサについて、自然循環状態の移送形態を採りながらも、媒体の流れを促進ないしは加勢できるようにし、これによって高い熱交換効率が得られるようにしている。また、カスケードコンデンサ(熱交換器)は、媒体流路が上下方向(縦型)に設定される、いわゆる縦置き式であるため、カスケードコンデンサの据付け面積も抑えられ、システム全体の省スペース化に寄与する。そして、このようなカスケードコンデンサの改良によって、システム全体として冷却効率の向上やコスト削減あるいはランニングコストの低減化を達成し得るものである。
本発明の最良の形態は、以下の実施例に述べるとおりである。
本発明の二元冷凍システム1は、一例として図1に示すように、高元側のアンモニアサイクル2と、低元側の炭酸ガスサイクル3とを組み合わせて成るものであり、以下、各サイクルについて説明する。
アンモニアサイクル2は、一例として圧縮機11と、コンデンサ12と、NH3 レシーバ13と、カスケードコンデンサ14とを具えて成り、実質的に、このカスケードコンデンサ14によって、炭酸ガスサイクル3内のCO2 媒体を冷却する。
なお、このような構成上、カスケードコンデンサ14は満液式の構成を採り、NH3 レシーバ13から常に液体状のNH3 媒体が供給されるものである。またNH3 レシーバ13には、レシーバ内の液面を適宜のレベルに調整するフロートバルブ13aが設けられる。
更にアンモニアサイクル2は、媒体が毒性のあるアンモニアであることから、封入量が極力少量に設定されるとともに、アンモニアサイクル2を構成する部材が、一例として機械室内に設置され、目的の冷却を行う蒸発器17(これについては後述する)から隔離される。
なおNH3 レシーバ13は、カスケードコンデンサ14よりも高い位置に設けることが好ましく、これは、この間に形成されるNH3 媒体の液ヘッド差を利用してNH3 レシーバ13からカスケードコンデンサ14に、NH3 媒体を自然循環状態に供給し、これにより媒体移送に掛かるコスト(ランニングコスト)を低減し、システム全体の運転効率を向上させるためである。
一方、炭酸ガスサイクル3は、一例として上述したカスケードコンデンサ14の他、CO2 レシーバ15、流量調整弁16、目的の冷却を行う蒸発器17とを具えて成るものである。なお蒸発器17で目的の冷却を行うことから、CO2 レシーバ15は蒸発器17よりも高い位置に設置し、これらの間にCO2 媒体の液ヘッド差を形成することが好ましい。これは、液ヘッド差を利用してCO2 媒体をCO2 レシーバ15から蒸発器17に自然循環状態に供給し、これによりシステム全体の運転効率を向上させるためである。もちろん建物の構造やビル環境等によっては、必ずしもCO2 レシーバ15を高所に設置できないことが考えられるため、このような場合にはCO2 レシーバ15と蒸発器17との間に、移送を補助的に担う液ポンプ等を設けることが可能である。
次に、この二元冷凍システム1の冷却態様、すなわち媒体の循環態様を媒体の状態変化と併せて説明する。まずアンモニアサイクル2では、圧縮機11によって圧縮された気体状のNH3 媒体が、コンデンサ12を通るとき、冷却水または空気によって冷やされてほぼ液体となる。そして、コンデンサ12において、ほぼ液体となったNH3 媒体は、その後、NH3 レシーバ13に送られ、ここに貯留される。なおNH3 レシーバ13内では、フロートバルブ13aによって、貯留量がほぼ一定のレベルに保たれる。またコンデンサ12によって液化されたNH3 媒体がNH3 レシーバ13に供給される際、液体状のNH3 媒体がフロートバルブ13aによってレシーバ内の下方貯留部に送られ、気体状のNH3 媒体がレーシバ内の上方(空間)に送られる。
その後、NH3 レシーバ13内に貯留された液体状のNH3 媒体は、例えば液ヘッド差を利用したサーモサイフォン(thermo syphon:熱サイフォン)現象によって自然循環状態に下降し、カスケードコンデンサ14に送られ、ここを下から上に上昇する間に蒸発して気体状に変化する。このとき、NH3 媒体は炭酸ガスサイクル3内のCO2 媒体から熱を奪い、これを液化する。
そしてカスケードコンデンサ14においてCO2 媒体(炭酸ガス)と熱交換し、気化したNH3 媒体は、いったん、NH3 レシーバ13内に戻され、ここから圧縮機11に送られる。
一方、炭酸ガスサイクル3では、カスケードコンデンサ14によって冷やされて液化したCO2 媒体(液化炭酸ガス)がCO2 レシーバ15に貯留される。その後、CO2 媒体は、例えば液ヘッド差を利用したサーモサイフォン現象によって自然循環状態に下降し、流量調整弁16を通って、目的の冷却を行う蒸発器17に送られ、ここで適宜温められて蒸発し、ガス化して再びCO2 レシーバ15に戻っていく。このように蒸発器17では、液体状のCO2 媒体が周囲から気化熱を奪ってガス化することにより目的の冷却を行うものである。また流量調整弁16は、蒸発器17の負荷の大きさによって開閉量が調整される。
なおCO2 レシーバ15と蒸発器17との間のCO2 媒体の循環は、主に液ヘッド差と蒸発器17における蒸発作用とに起因するが、蒸発作用だけでも充分にCO2 媒体を循環させることができれば、特に液ヘッド差を形成しなくても良いし、また上述した液ポンプ等も不要となる。
またCO2 レシーバ15内に戻された気体状のCO2 媒体は、カスケードコンデンサ14に送られ、ここを上から下に下降する間に凝縮液化する。
なお、本実施例では、蒸発器17によって気化したCO2 媒体を、いったん、CO2 レシーバ15に導入してからカスケードコンデンサ14に戻す移送形態を採るが、これは液化したCO2 媒体がカスケードコンデンサ14から落下しやすいように、カスケードコンデンサ14の上下を均圧するためである。
次に、カスケードコンデンサ14の詳細について更に説明する。カスケードコンデンサ14では、上述したようにNH3 媒体とCO2 媒体との熱交換(伝熱)が行われ、NH3 媒体は液体から気体に変化し、その際の気化熱によってCO2 媒体を冷却する。一方、CO2 媒体は、この冷却を受けて凝縮され、気体から液体に状態を変化させる。このようなことから、本発明ではカスケードコンデンサ14における熱交換効率を向上させるために、NH3 媒体とCO2 媒体との流路を縦型に形成しており、以下この縦型流路について説明する。ここでカスケードコンデンサ14においてNH3 媒体が通過する流路をNH3 流路21とし、CO2 媒体が通過する流路をCO2 流路22とし、これらが混合しないように仕切られた面を仕切面23とする(図3参照)。もちろん高い熱交換効率を得るには、NH3 流路21とCO2 流路22とを互いに接する状態、もしくは隣り合うように形成し、仕切面23を介して効率的に熱交換が行えるようにすることが好ましい。
また本発明では、NH3 媒体とCO2 媒体とが向流となるように各流路が形成されるものであり、具体的には蒸発側のNH3 媒体がカスケードコンデンサ14において下から上に向かう上昇流として形成されるとともに、凝縮側のCO2 媒体がカスケードコンデンサ14において上から下に向かう下降流として形成される。なお、これら二流体をこのように設定したのは、ガス化するNH3 媒体は自然に上昇する傾向にあり、液化するCO2 媒体は自然に落下する傾向を有することに因むものであり、上記形態を採ることによって、カスケードコンデンサ14におけるNH3 媒体とCO2 媒体との流れを促進ないしは加勢し、二流体を極めてスムーズに流すことができ、高い熱交換効率が得られるためである。
特に本発明では、カスケードコンデンサ14に供給されるNH3 媒体が常に液体であるため、カスケードコンデンサ14におけるNH3 媒体とCO2 媒体との熱交換は、液−液状態での熱交換部分を多く生じさせ、極めて効率的な伝熱が行える。もちろんカスケードコンデンサ14に送られるNH3 媒体は、ここに入り込んだ段階からCO2 媒体との熱交換によって随時、気化して行くため、気−液状態あるいは気−気状態での熱交換部分も存在するが、このような乾き部分は最小限にとどめることができ、極めて高い熱交換効率が得られるものである。
なおカスケードコンデンサ14におけるNH3 媒体の蒸発温度と、CO2 媒体の凝縮温度との差は、一例として3℃以内に設定されるものであり、これによって、より一層高い熱交換効率が得られ、システム全体としても効率的な運転が行えるものである。
本実施例は、以上述べたように、液ヘッド差や媒体そのものの蒸発作用を主に利用して媒体を自然循環状態に移送するため、システム全体として極めて高能率に運転が行える。またカスケードコンデンサ14には常に液体のNH3 媒体を供給(移送)するとともに、蒸発側のNH3 媒体を上昇流、且つ凝縮側のCO2 媒体を下降流として流路を接触形成するため、二流体の流れが停滞することなく、熱交換を絶えず進行させることができ、高い熱交換効率を実現する。因みに、カスケードコンデンサ14は、目的の蒸発器17で行う冷却作用には直接関与しない部分であり、言わば補機的ないしは付加的な部分と言える。このため、このような部分においては、できる限り設備費を抑え、且つ極めて高い熱交換効率を有し、また省スペース化等にも寄与することが、ユーザ(システム設置者)から強く求められるものであり、本実施例は、この要請に充分応え得るものである。もちろん、本実施例ではシステムそのものが二元であるため、例えば圧縮機11の潤滑油がNH3 媒体に混入したとしても、媒体同士の直接的な接触がないため、この潤滑油がCO2 媒体に入り込んで目的の蒸発器17の冷却効果を低下させることがない。
〔他の実施例〕
本発明は、以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。すなわち先の図1に示した実施例では、カスケードコンデンサ14において気化したNH3 媒体をNH3 レシーバ13に導入してから圧縮機11に戻すものであり、また目的の蒸発器17において気化したCO2 媒体をCO2 レシーバ15に導入してからカスケードコンデンサ14に戻すものであった。しかしながら、各媒体の移送は、必ずしもこのような形態に限定されるものではなく、例えば図2に示すように、カスケードコンデンサ14において気化したNH3 媒体は、直接、圧縮機11に戻すように移送しても構わないし、また目的の蒸発器17において気化したCO2 媒体は、直接カスケードコンデンサ14に戻しても構わない。
また、カスケードコンデンサ14としては、例えば複数の板状部材を適宜の間隙で隔てて縦型流路(NH3 流路21、CO2 流路22)を形成した、いわゆるプレート式熱交換器を適用することが可能であるが、その他にも例えば図3(a)に示すように、内部に複数の流路を長手方向に形成した熱交換器を適用することも可能である。要はNH3 流路21とCO2 流路22とが縦型で且つ向流として形成できれば、カスケードコンデンサ14としては種々の形態が採り得るものである。なお図3(a)に示すカスケードコンデンサ14の場合、熱交換を高能率に行うべく、図3(b)に示すように、NH3 流路21とCO2 流路22とを縦方向及び横方向において交互に設けることが好ましい。もちろん、NH3 流路21やCO2 流路22等は、必ずしも四角形状断面である必要はなく、図3(c)に示すように、三角形状等、種々の断面形状が採り得る。
本発明の二元冷凍システムの一例を示す骨格的説明図である。 本発明の二元冷凍システムの他の実施例を示す骨格的説明図である。 内部に複数の流路が長手方向に形成された熱交換器をカスケードコンデンサとして適用する斜視図(a)、並びにこのカスケードコンデンサの平面図(b)、並びに流路の断面形状を異ならせたカスケードコンデンサの骨格的平面図(c)である。
符号の説明
1 二元冷凍システム
2 アンモニアサイクル
3 炭酸ガスサイクル
11 圧縮機
12 コンデンサ
13 NH3 レシーバ
13a フロートバルブ
14 カスケードコンデンサ
15 CO2 レシーバ
16 流量調整弁
17 蒸発器
21 NH3 流路
22 CO2 流路
23 仕切面

Claims (1)

  1. アンモニアを媒体としたアンモニアサイクルを高元側とし、二酸化炭素を媒体とした炭酸ガスサイクルを低元側として組み合わせて成るシステムであって、
    前記アンモニアサイクルは、炭酸ガスサイクル内の二酸化炭素媒体を冷却、液化する縦型流路のカスケードコンデンサを具えるとともに、このカスケードコンデンサは満液式の構成を採り、液体状のNH3 媒体が自然循環状態に供給されるものであり、
    また、このカスケードコンデンサは、NH3 媒体を流すNH3 流路とCO2 媒体を流すCO2 流路とが、仕切面を通して熱交換が行えるように形成されるものであり、NH3 流路は上昇流、且つCO2 流路は下降流として形成されて成ることを特徴とするアンモニアと二酸化炭素を組み合わせた二元冷凍システム。
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