JP2005308064A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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浩章 木村
Hiroyuki Shioiri
広行 塩入
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Abstract

【課題】ベルト式無段変速機の小型化。
【解決手段】所定の間隔を設けて平行に配置した2本のプーリ軸51,61と、これら各プーリ軸51,61に各々配置し且つ当該プーリ軸51,61上を軸線方向に摺動し得る可動シーブ53,63と、これら各可動シーブ53,63に各々対向させて前記プーリ軸51,61上に配置し且つ当該可動シーブ53,63との間で溝80a,80bを形成する固定シーブ52,62と、前記対向配置した夫々の可動シーブ53,63及び固定シーブ52,62における各溝80a,80bに巻き掛けたベルト80とを備え、可動シーブ53,63の軸線方向位置を定め得る独立制御可能な複数のアクチュエータ55,57を設けること。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ベルト式無段変速機に係り、特に、可動シーブを軸線方向に摺動させる可動シーブ摺動機構と、可動シーブを固定シーブに向けて押圧してベルト挟圧力を発生させる押圧機構とを備えたベルト式無段変速機の改良に関する。
一般に、ベルト式無段変速機は、平行に配置された二本の回転軸と、これら各回転軸に別個に取り付けられたプライマリプーリ及びセカンダリプーリと、このプライマリプーリ及びセカンダリプーリの夫々のV字形状の溝に巻き掛けられたベルトとを備えている。ここで、そのプライマリプーリ及びセカンダリプーリは、夫々、回転軸(プライマリシャフト及びセカンダリシャフト)に固定された垂体状の固定シーブと、その回転軸上でその軸線方向に摺動する垂体状の可動シーブとを有しており、対向する固定シーブの傾斜部分と可動シーブの傾斜部分とで上記V字形状の溝を形成している。
そして、この種のベルト式無段変速機においては、上記可動シーブを回転軸の軸線方向に摺動させてV字形状の溝幅を変化させることで、ベルトとプライマリプーリ及びセカンダリプーリとの夫々の接触半径を無段階に変化させ、これにより変速比を無段階に変えることができる。換言すれば、プライマリプーリ側の接触半径とセカンダリプーリ側の接触半径との比がベルト式無段変速機の変速比になることから、このベルト式無段変速機は、プライマリプーリの溝幅を制御することによって変速比を無段階に可変させることができる。
このように、従来、ベルト式無段変速機において変速比を変える為には可動シーブを回転軸方向に摺動させる必要があり、これが為、このベルト式無段変速機にはプライマリプーリの可動シーブを摺動させる為の機構(可動シーブ摺動機構)が設けられている。この可動シーブ摺動機構として機能するアクチュエータには、例えば、電動モータや油圧モータ等のモータの駆動力を利用したものがある。例えば、下記の特許文献1には、電動モータと、その駆動力を可動シーブに伝達する所謂運動ネジとからなるアクチュエータを備えたベルト式無段変速機が開示されている。
特開平6−249310号公報
しかしながら、上記特許文献1の如く運動ネジを介在させたアクチュエータのみで変速制御を行うと、その運動ネジのネジ効率如何で変速性能が悪化してしまう虞があった。即ち、使用中に例えば油膜切れ等の何らかの影響で運動ネジのネジ部分間の摩擦係数が大きくなると、ネジ効率が悪化して変速性能の悪化を招来してしまう。
また、そのようなアクチュエータ以外の他のアクチュエータを用いて可動シーブを固定シーブ側に押圧し、ベルトへの挟圧力を与えることが考えられるが、単にベルト挟圧力を与えるだけでは変速性能の向上を図り難い。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、変速制御性を向上させて好適な変速性能を得ることのできるベルト式無段変速機を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、所定の間隔を設けて平行に配置した2本のプーリ軸と、これら各プーリ軸に各々配置し且つ当該プーリ軸上を軸線方向に摺動し得る可動シーブと、これら各可動シーブに各々対向させて前記プーリ軸上に配置し且つ当該可動シーブとの間で溝を形成する固定シーブと、前記対向配置した夫々の可動シーブ及び固定シーブにおける各溝に巻き掛けたベルトとを備えたベルト式無段変速機において、可動シーブの軸線方向位置を定め得る独立制御可能な複数のアクチュエータを設けている。
例えば、請求項2記載の発明の如く、複数のアクチュエータとして、可動シーブを固定シーブに向けて油圧で押圧する油圧室を備えた第1アクチュエータと、モータ及び当該モータの駆動力を前記軸線方向の力へと変換して当該軸線方向に可動シーブを摺動させる運動方向変換機構を備えた第2アクチュエータとを設ける。
ここで、具体的には、請求項3記載の発明の如く、その運動方向変換機構をモータと可動シーブとの間に設け、その運動方向変換機構と可動シーブとの間に、運動方向変換機構と可動シーブとが一体回転可能で且つ前記軸線方向の所定範囲で相対移動可能な一体回転/相対移動機構を設ける。
この請求項1,2又は3に記載の発明によれば、夫々のアクチュエータの独立制御が可能である為に、適宜好適なアクチュエータを選択して利用して可動シーブの軸線方向位置の調整を行うことができ、これにより変速制御性の向上が図れる。
また、上記目的を達成する為、請求項4記載の発明では、上記請求項2又は3に記載のベルト式無段変速機において、各アクチュエータの動作を制御する制御部を設け、この制御部に、第1アクチュエータの油圧室の油圧を上昇させた後、第2アクチュエータのモータを駆動させて可動シーブの軸線方向位置の調整を行う変速制御機能を設けている。
この請求項4記載の発明によれば、上記請求項2又は3に係る効果を奏するだけでなく、運動方向変換機構における摩擦抵抗が大きくとも、モータの駆動力を軽減することができる。特に、可動シーブに掛かる第1アクチュエータの油圧の反力方向と第2アクチュエータによる可動シーブの移動方向が相反するアップシフト時において、そのモータの駆動力は有効に軽減される。
また、上記目的を達成する為、請求項5記載の発明では、上記請求項2,3又は4に記載のベルト式無段変速機において、前記制御部に、第1アクチュエータの油圧室の油圧を低下させた後、第2アクチュエータのモータを駆動させて可動シーブを固定シーブから離隔させる変速制御機能を設けている。
この請求項5記載の発明によれば、上記請求項2,3又は4に係る効果を奏するだけでなく、運動方向変換機構における摩擦抵抗が小さい場合に、より有効にモータの駆動力を軽減することができる。特に、可動シーブに掛かる第1アクチュエータの油圧の反力方向と第2アクチュエータによる可動シーブの移動方向が一致するダウンシフト時において、そのモータの駆動力は有効に軽減される。
本発明に係るベルト式無段変速機によれば、夫々のアクチュエータの独立制御により変速制御性を向上させることができるので、これにより好適な変速性能を得ることができる。また、適宜好適なアクチュエータを選択して変速制御を行うことによってモータの駆動力を軽減することができるので、モータの駆動損失の低減を図ることが可能になる。
以下に、本発明に係るベルト式無段変速機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係るベルト式無段変速機の実施例1を図1〜図10に基づいて説明する。
最初に、本発明に係るベルト式無段変速機を備えた動力伝達装置の全体構成について図1を用いて説明する。
この動力伝達装置は、内燃機関10と、この内燃機関10の出力側に配置されたトランスアクスル20とで構成される。
上記トランスアクスル20は、図1に示す如く、内燃機関10の出力側から順に、内燃機関10に取り付けられたトランスアクスルハウジング21と、このトランスアクスルハウジング21に取り付けられたトランスアクスルケース22と、このトランスアクスルケース22に取り付けられたトランスアクスルリヤカバー23とを備えており、これらにより筐体が構成される。
先ず、上記トランスアクスルハウジング21の内部には、トルクコンバータ(発進装置)30が収納されている。このトルクコンバータ30は、内燃機関10のトルクを増加させて後述するベルト式無段変速機1に伝達するものであり、ポンプインペラ31,タービンライナ32,ステータ33,ロックアップクラッチ34及びダンパ装置35等を備えている。
また、このトランスアクスルハウジング21の内部には、内燃機関10のクランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能なインプットシャフト38が設けられている。ここで、このインプットシャフト38における内燃機関10側の端部には、上記タービンライナ32が取り付けられており、更に上記ダンパ装置35を介して上記ロックアップクラッチ34が設けられている。
一方、上記クランクシャフト11におけるトランスアクスル20側の端部には、ドライブプレート12を介してトルクコンバータ30のフロントカバー37が連結されており、このフロントカバー37に上記ポンプインペラ31が接続されている。
このポンプインペラ31は上記タービンライナ32と対向配置され、これらの内側に上記ステータ33が配置されている。また、このステータ33には、ワンウェイクラッチ39を介して中空軸36が接続されており、この中空軸36の内部に上記インプットシャフト38が配置されている。
ここで、上記の如きフロントカバー37やポンプインペラ31等により形成されたケーシング(図示略)内には、作動油が供給されている。
以下に、上記トルクコンバータ30の動作説明を行う。
先ず、内燃機関10のトルクがクランクシャフト11からドライブプレート12を介してフロントカバー37に伝達される。ここで、ロックアップクラッチ34がダンパ装置35により解放されている場合には、フロントカバー37に伝達されたトルクがポンプインペラ31に伝達され、このポンプインペラ31とタービンライナ32との間を循環する作動油を介して、タービンライナ32にトルクが伝達される。そして、このタービンライナ32に伝達されたトルクは、インプットシャフト38に伝達される。
ここで、このトルクコンバータ30と後述する前後進切換え機構40との間には、図1に示すオイルポンプ(油圧ポンプ)26が設けられている。このオイルポンプ26は、そのロータ27により円筒形状のハブ28を介して上記ポンプインペラ31に接続されており、また、そのボデー(筐体)29がトランスアクスルケース22側に固定されている。更に、上記ハブ28は、上記中空軸36にスプライン嵌合されている。以上の如き構成により内燃機関10の動力がポンプインペラ31を介してロータ27に伝達されるので、オイルポンプ26を駆動することが可能になる。
次に、上記トランスアクスルケース22及びトランスアクスルリヤカバー23の内部には、前後進切換え機構40とベルト式無段変速機1と差動装置たる最終減速機70とが収納されている。
先ず、上記前後進切換え機構40は、トルクコンバータ30内のインプットシャフト38に伝達された内燃機関10のトルクを後述するベルト式無段変速機1のプライマリプーリ50に伝達するものであり、遊星歯車機構41と、フォワードクラッチ42と、リバースブレーキ43とから構成されている。
上記遊星歯車機構41は、サンギヤ44と、ピニオン(プラネタリピニオン)45と、リングギヤ46とから構成されている。
ここで、そのサンギヤ44は連結部材(図示略)にスプライン嵌合されており、その連結部材はプライマリプーリ50の回転軸たるプライマリシャフト51にスプライン嵌合されている。かかる構成により、サンギヤ44に伝達されたトルクは、プライマリシャフト51に伝達される。
また、上記ピニオン42は、サンギヤ44の周囲に複数個(例えば3個)配置され、そのサンギヤ44に噛み合わされている。ここで、夫々のピニオン42は、ピニオン42自身を自転可能に支持すると共にサンギヤ44の周囲で一体に公転可能に支持するキャリヤ48に保持されている。このキャリヤ48は、その外周端部でリバースブレーキ43に接続されている。
また、上記リングギヤ46は、キャリヤ48に保持されている各ピニオン42に噛み合わされ、フォワードクラッチ42を介してトルクコンバータ30内のインプットシャフト38に接続されている。
続いて、上記フォワードクラッチ42は、インプットシャフト38の中空部に供給された作動油によりON/OFF制御されるものである。ここで、このON/OFF制御には、ブレーキピストン(図示略)が用いられる。尚、前進走行時には、フォワードクラッチ42がON、リバースブレーキ43がOFFにされ、後進走行時には、フォワードクラッチ42がOFF、リバースブレーキ43がONにされる。
次に、上記ベルト式無段変速機1の概略構成について説明する。
このベルト式無段変速機1は、上記インプットシャフト38と同心上に配置されたプライマリシャフト(プーリ軸)51と、このプライマリシャフト51に対して所定の間隔を設けて平行に配置されたセカンダリシャフト(プーリ軸)61とを備えている。ここで、このプライマリシャフト51は図1に示す軸受81,82により回転可能に支持されており、セカンダリシャフト61は図1に示す軸受83,84により回転可能に支持されている。
先ず、上記プライマリシャフト51には、図1に示すプライマリプーリ50が設けられている。このプライマリプーリ50は、プライマリシャフト51の外周に一体的に配設された固定シーブ52と、そのプライマリシャフト51の軸線方向に摺動可能な可動シーブ53とを備えている。
ここで、この可動シーブ53は、図2に示すスプライン54によってプライマリシャフト51にスプライン嵌合されている。また、上記固定シーブ52及び可動シーブ53の対向面間には、V字形状の溝80aが形成されている。
更に、このプライマリシャフト51には、可動シーブ53をプライマリシャフト51の軸線方向に摺動させて固定シーブ52に接近又は離隔させる可動シーブ摺動機構55が設けられている。以下、本実施例1の可動シーブ摺動機構55について詳述する。
この可動シーブ摺動機構55は、図2に示す如く、可動シーブ53をプライマリシャフト51の軸線方向に摺動させる為の駆動源たる油圧モータ550と、この油圧モータ550の駆動力(回転方向の力)を可動シーブ53の摺動方向の力に変換する運動方向変換機構551とを備えている。
先ず、本実施例1の油圧モータ550としては、インナーロータとの相対回転により生じたアウターロータの回転を駆動力とする構造のモータを用いる。例えば、アウターロータを構成するモータケース内に配置された少なくとも二つのベーン(羽根)により少なくとも二つの油室を形成し、その油室に流入させた作動油の油圧により各ベーンを相対回転させて駆動力を発生させる所謂ベーン式油圧モータを使用する。
本実施例1のベーン式油圧モータ550は、図2及び図3に示す如く、プライマリシャフト51に嵌合又は圧入されて当該プライマリシャフト51と一体的に回転するモータシャフト550aと、このモータシャフト550aに軸受550bを介して相対回転可能に固定されたモータケース550cとを備えている。これが為、そのモータケース550cは、プライマリシャフト51に対してその回転軸を中心とした相対回転を行い得る。
そのモータケース550cは、上記軸受550bを介したモータシャフト550aとの固定部位を有する当該モータシャフト550aと同心円の円筒部550c1と、この円筒部550c1の開口に固定される環状部550c2とにより構成される。
本実施例1のベーン式油圧モータ550においては、図3に示す如く、モータケース550cの円筒部550c1の内周面に二つの第1ベーン550d,550dがモータシャフト550aの外周面に向けて一体的に立設され、そのモータケース550cと第1ベーン550d,550dによりアウターロータが構成される。その一方で、モータシャフト550aの外周面に二つの第2ベーン550e,550eが円筒部550c1の内周面に向けて一体的に立設され、そのモータシャフト550aと第2ベーン550e,550eによりインナーロータが構成される。
ここで、本実施例1のベーン式油圧モータ550においては、モータシャフト550aとモータケース550cとの間の環状の空間に上記第1及び第2のベーン550d,550eを配置することによって図3に示す第1及び第2の油室550f,550gが形成される。
その第1ベーン550d,550dとモータシャフト550aの外周面との間には夫々シール部材550d1,550d1が設けられ、その第2ベーン550e,550eと円筒部550c1の内周面との間には夫々シール部材550e1,550e1が設けられている。
また、モータケース550cにおける円筒部550c1には、その環状部550c2側の外周面に環状の被固定部550c3が一体的に設けられている。この被固定部550c3は、環状のシール部材550c4を介して可動シーブ53における後述する延設部53aの内周面に当接する一方、軸線方向の雌ネジを備えている。また、モータケース550cにおける環状部550c2には被固定部550c3の雌ネジに対応する貫通孔が形成されており、この貫通孔を介してネジ部材Bにより円筒部550c1と環状部550c2との固定が為される。
ここで、環状部550c2の貫通孔の径は被固定部550c3の雌ネジの径よりも小さいので、被固定部550c3の外径を小さくしてもシール部材550c4を嵌め込む被固定部550c3の外周面の溝を深く形成することができる。また、可動シーブ53における延設部53aの内周面への嵌め込みに要する環状の鍔を被固定部550c3の側面から延設することによって、被固定部550c3を小型化しつつベーン式油圧モータ550の芯だし構造を得ることが可能になる。
上述したが如く構成されたモータケース550cは、可動シーブ53における上記溝80aの反対側に延設された円筒状の延設部53aの内部空間に配置され、その延設部53aの内周面に上記運動方向変換機構551を介して取り付けられる。
例えば、本実施例1の運動方向変換機構551としては、アウターロータの回転力をその軸線方向の力に変換する多条ネジや滑りネジ等の所謂運動ネジを用いる。この種の運動方向変換機構551は、図2に示す如く、モータケース550cにおける円筒部550c1の外周面に一体的に設けられた第1運動方向変換機構構成部551aと、可動シーブ53における延設部53aの内周面に軸線方向のスプライン551cを介してスプライン嵌合された第2運動方向変換機構構成部551bとにより構成される。
その第1運動方向変換機構構成部551aの外周面には周方向のネジ部分が形成される一方、その第2運動方向変換機構構成部551bの内周面にも周方向のネジ部分が形成されている。また、ベーン式油圧モータ550は、上述したが如くモータシャフト550aにおいてプライマリシャフト51に固定されているので軸線方向には移動しない。これが為、その運動方向変換機構551は、モータケース550cが回転することによって可動シーブ53を軸線方向に摺動させることができる。
このような運動ネジの如き運動方向変換機構551を設けることによって、比較的小さなトルクで大きな可動シーブ推力の反力をネジ面の摩擦で負担することができるので、ベーン式油圧モータ550の出力(トルク)を低くすることができ、特に変速比定常時における可動シーブ53の軸線方向位置の保持油圧低減による高効率化やベーン式油圧モータ550の小型化(小径化)が図れる。更に、第2運動方向変換機構構成部551bは、従来の如く可動シーブ53への一体構造とするよりも組付性が良く、これにより原価低減効果をも奏することができる。
また、この運動方向変換機構551は、モータケース550cと可動シーブ53とをプライマリシャフト51の回転方向において一体回転させるものであることから、油圧モータ550を可動シーブ53と共に一体回転させる一体回転機構としても機能する。
以上の軸受550bと運動方向変換機構551とにより、油圧モータ550と可動シーブ53との間の相対移動を可能にする相対移動機構が構成される。例えば、モータケース550cが回転すると、この回転力(トルク)は、運動方向変換機構551を介することで可動シーブ53を摺動させる為のベーン式油圧モータ550の推力となる。ここで、この推力に対する反力は軸受550bに掛かるが、この軸受550bはモータシャフト550aを介してプライマリシャフト51に固定されたものであることから、モータケース550cが上記反力の方向に然程移動しないので、可動シーブ53は、油圧モータ550に対して相対移動し、固定シーブ52に接近する。このように、モータケース550cを回転させると、可動シーブ53をプライマリシャフト51の軸線方向に摺動させることができる。
また、軸受550bがモータシャフト550aを介してプライマリシャフト51に固定されているので、ベーン式油圧モータ550の推力に対する反力は軸受550bを介してプライマリシャフト51で受けることができる。更にまた、モータケース550cとプライマリシャフト51との間の相対回転は、可動シーブ53の摺動方向のストロークで制限される。これらのことから、本実施例1にあっては、トランスアクスルケース22やトランスアクスルリヤカバー23等の静止系で上記反力を受けず、また、軸受550bの転動は殆ど起こらないので、この軸受550bにおける損失を低減することができる。
ここで、前述したが如くベーン式油圧モータ550の第2ベーン550e,550eはプライマリシャフト51と一体的に回転するので、ベーン式油圧モータ550のモータケース550cは、ベーン式油圧モータ550の回転が停止していればプライマリシャフト51と同一回転数で回転し、モータケース550cと第2ベーン550e,550eとの間に相対回転が生じていればプライマリシャフト51とは異なる回転数で回転する。
次に、上述したベーン式油圧モータ550における第1及び第2の油室550f,550gへの油路について説明する。
先ず、図3に示す如く、モータシャフト550aには第1油室550f,550fと連通する油路550a1,550a1が形成される一方、プライマリシャフト51にはその油路550a1,550a1と連通する油路51bが形成されており、これら各油路550a1,550a1,51bにより第1油室550f,550fへの作動油の供給又は当該第1油室550f,550fからの作動油の排出が行われる。
また、そのモータシャフト550aには第2油室550g,550gと連通する油路550a2,550a2が形成される一方、プライマリシャフト51にはその油路550a2,550a2と連通する油路51cが形成されており、これら各油路550a2,550a2,51cにより第2油室550g,550gへの作動油の供給又は当該第2油室550g,550gからの作動油の排出が行われる。
ここで、上記プライマリシャフト51の各油路51b,51cは、図4に示す如く、変速比制御用切替バルブ56と連通している。この変速比制御用切替バルブ56には、図4に示すオイルタンクOT,オイルポンプ(O/P)OP,油路59b,レギュレータバルブ59,油路58a,挟圧力調圧バルブ58及び油路56aを介して作動油が供給される。
この変速比制御用切替バルブ56は、複数の油路が形成されたバルブの位置を切り替えることによって、作動油の供給対象たる油室(上記第1油室550f,550f又は第2油室550g,550g)の切り替えを行うものである。この切り替えは、シリンダの内部に配置されたバネの反発力とその内部に供給する空気や作動油等の流体の圧力との差分を調節することで行われ、その流体の圧力制御は後述する電子制御装置(ECU)Cによって行われる。
この変速比制御用切替バルブ56は、例えば、バルブの位置が図5−1に示す如く切り替えられることで作動油の供給先を第1油室550f,550fに切り替え、図5−3に示す如く切り替えられることで作動油の供給先を第2油室550g,550gに切り替える。
また、この変速比制御用切替バルブ56は、バルブの位置を図5−2に示す如く切り替えることで第1油室550f,550f及び第2油室550g,550gに同圧の作動油を供給する。これによりベーン式油圧モータ550の回転が停止するので、この変速比制御用切替バルブ56は、変速比を固定する際にも使用される。
ここで、本実施例1にあっては、上記第1油室550f,550fの油圧を上昇させていった際のモータケース550cの回転方向を正転といい、この正転時に可動シーブ53が固定シーブ52に接近するものと定義する。また、上記第2油室550d,550dの油圧を上昇させていった際のモータケース550cの回転方向を逆転といい、この逆転時に可動シーブ53が固定シーブ52から離隔するものと定義する。
以上示した如く、本実施例1にあっては、プライマリシャフト51上でベーン式油圧モータ550と可動シーブ53とを一体的に配置しているので、そのベーン式油圧モータ550と可動シーブ53とをコンパクトに纏めることができ、可動シーブ53を摺動させる可動シーブ摺動機構55の小型化が可能になる。また、かかる可動シーブ摺動機構55の小型化により、ベルト式無段変速機1自体の小型化も可能となる。更に、ベーン式の油圧モータ550を用いることで、また、上述した運動方向変換機構551を具備することで、モータの駆動力を可動シーブ53に伝達する為の歯車群が不要になり、可動シーブ摺動機構55やベルト式無段変速機1の更なる小型化を図ることができる。
また、上記の如き運動方向変換機構551を用いて可動シーブ53を摺動させるので、従来の如き歯車群により発生していた駆動損失が無くなり、可動シーブ摺動機構55における駆動損失が低減される。
更に、本実施例1のプライマリシャフト51には、可動シーブ53を固定シーブ52側に押し付けて、固定シーブ52と可動シーブ53との間の軸線方向のベルト挟圧力を発生させる押圧機構が設けられている。
この押圧機構は、ベーン式油圧モータ550(モータケース550c)と可動シーブ53との間に形成された図4に示す油圧室57と、この油圧室57に連通する例えばプライマリシャフト51に形成された図4に示す油路51dと、この油路51dに連通する図4に示す挟圧力調圧バルブ58とにより構成される。
このように、本実施例1にあってはベーン式油圧モータ550(モータケース550c)が油圧室57の一部を構成するので、押圧機構の小型化が図れ、ひいてはベルト式無段変速機1の小型化にも寄与する。
この押圧機構は、電子制御装置Cによって作動油の供給圧が調節された挟圧力調圧バルブ58からの油圧を油圧室57に供給することで、固定シーブ52と可動シーブ53との間にベルト挟圧力を発生させ、後述するベルト80の滑りを防ぐことができる。また、油圧室57がプライマリシャフト51の軸線方向に対してベーン式油圧モータ550(モータケース550c)と直列に設けられており、この油圧室57内の油圧によって可動シーブ53を固定シーブ52に向けて押圧することができるので、ベーン式油圧モータ550の出力を小さくすることができ、これによりベーン式油圧モータ550の小型化,ひいてはベルト式無段変速機1の小型化が図れる。
ここで、上記挟圧力調圧バルブ58は、図4に示す油路56aを介して前述した変速比制御用切替バルブ56と連通しているので、この挟圧力調圧バルブ58からの油圧が、変速比制御用切替バルブ56を介して、ベーン式油圧モータ550内の第1油室550f,550f及び第2油室550g,550gにも供給される。
また、上記油圧室57とベーン式油圧モータ550の第1及び第2の油室550f,550gはプライマリシャフト51の軸線方向で対向配置されており、これらにおける油圧は同一であることから、油圧室57と第1及び第2の油室550f,550gとの間の内圧が相殺されている。これが為、油圧室57と第1及び第2の油室550f,550gとの間に位置するベーン式油圧モータ550(モータケース550c)の壁面を薄型化でき、その軽量化を図ることが可能になる。
また、上記油圧室57とベーン式油圧モータ550の第1及び第2の油室550f,550gは、油路51d,油路56a,変速比制御用切替バルブ56,油路51b及び油路51cを介して連通している。これが為、その油圧室57と第1及び第2の油室550f,550gとの間において作動油のやり取りが可能になる。このことは、特に急減速ダウンシフトの際に有用であり、後述する如く油圧室57から排出された作動油を第2油室550g,550gに供給することができるので、変速比変更時のレスポンスを向上し得る。また、その作動油のやり取りを可能にしたことで、オイルポンプOPから供給される作動油の消費量を低減することができ、これによりオイルポンプOPを小容量化することができる。
以上示した如く、このプライマリプーリ50側には、油圧により可動シーブ53を軸線方向に摺動させる二つのアクチュエータ,即ち、油圧室57や挟圧力調圧バルブ58等からなる第1アクチュエータと、ベーン式油圧モータ550及び運動方向変換機構551等からなる第2アクチュエータとが設けられている。
ここで、本実施例1の運動方向変換機構551と可動シーブ53との間には、上述したが如く、可動シーブ53を運動方向変換機構551に対して軸線方向に移動し得ると共に、その可動シーブ53と運動方向変換機構551とを一体的に回転させる一体回転/相対移動機構たるスプライン551cが設けられている。
本実施例1にあっては、そのスプライン551cのスプライン長を「可動シーブ53の軸線方向におけるストローク長さ」+「運動方向変換機構551におけるベーン式油圧モータ550のトルク伝達に要する噛み合い長さ」に設定し、可動シーブ53と運動方向変換機構551との間における相対移動範囲を規定している。即ち、そのようにスプライン551cのスプライン長を設定することによって、油圧室57の油圧を上昇させた際にベルト挟圧力が発生するだけでなく、可動シーブ53を固定シーブ52に向けて摺動させることも可能になる。
これが為、第1アクチュエータを構成する油圧室57は、ベルト挟圧力を発生させる押圧機構として機能すると共に、可動シーブ53を固定シーブ52に接近させる為の可動シーブ摺動機構としても機能する。また、ベーン式油圧モータ550の駆動油圧を低くすることによって、第2アクチュエータはベルト挟圧力を発生させる押圧機構としても機能する。
このように、本実施例1にあっては、可動シーブ摺動機構及び押圧機構としての双方の機能を有する二種類の独立制御可能な第1及び第2のアクチュエータを備えている。これが為、何れか一方のアクチュエータに不具合が生じたとしても、他方のアクチュエータによって可動シーブ53の位置制御とベルト挟圧力の制御を行うことができるので、変速不良の抑制を図り得る。尚、そのようなアクチュエータの不具合が生じなくても、何れか一方のアクチュエータのみで可動シーブ53の位置制御とベルト挟圧力の制御を行ってもよい。
また、車輌牽引時には、第1アクチュエータの油圧室57に作用する遠心油圧力を利用することができるので、ベーン式油圧モータ550を作動させずとも変速比を適宜変化させることができる。更に、その遠心油圧力によりプライマリプーリ50の可動シーブ53を固定シーブ52に接近させて変速比を小さくすることができるので、許容し得る牽引速度を高くすることも可能になる。
更に、例えば、上述したが如く油圧室57における遠心油圧力によりプライマリプーリ50の可動シーブ53は固定シーブ52に接近するが、その可動シーブ53が高回転している場合に油圧室57へ高い油圧が掛けられていると過剰なベルト挟圧力がベルト80に掛かってしまう。これが為、第2アクチュエータのみによってベルト挟圧力を発生させ、第1アクチュエータを停止させる又はその油圧室57への油圧を低下させることによって、過剰なベルト挟圧力を抑制することができる。そして、これによりベルト80の耐久性や効率を向上させることが可能になる。
また更に、例えば図6の上方の図に示す状態からの変速時に、応答速度の速い第1アクチュエータで先ず可動シーブ53を所定の位置(例えば図6の下方の図に示す位置)まで固定シーブ52に接近させ、しかる後、応答速度の遅い第2アクチュエータで可動シーブ53の位置の微調整を行うこともできる。このように可動シーブ摺動機構として機能する第1アクチュエータと第2アクチュエータとを独立制御することができるので、これらの応答速度が異なっていても、その制御対象のアクチュエータを適宜選択して、過渡的な応答速度が求められる変速時の変速性能を向上させることが可能になる。
また、プライマリプーリ50の可動シーブ53には、セカンダリプーリ60側のベルト挟圧力によるベルト張力によって固定シーブ52から離隔させる力(換言すればプライマリプーリ50におけるベルト挟圧力の反力)が働いている。このベルト挟圧力の反力は、可動シーブ53の軸線方向の位置が一定であれば(即ち、ベーン式油圧モータ550における第1油室550f,550fと第2油室550g,550gの油圧が略同等であり、更に油圧室57の油圧にも変化がなければ)、運動方向変換機構551における第1及び第2の運動方向変換機構構成部551a,551bの夫々のネジ部分に掛かる。これが為、変速比一定の定常時の場合には、そのネジ部分間の摩擦力を利用してベルト挟圧力の反力を受けることができるので、その反力に抗する為の油圧室57の油圧を低下させることができる。
以上示したように、本実施例1にあっては二つのアクチュエータの独立制御が可能である為、適宜好適な一方又は双方のアクチュエータを選択して利用することができ、これにより変速制御性の向上が図れる。
尚、ここでは二種類のアクチュエータを例示したが、それ以上の種類のアクチュエータを用意してもよい。また、油圧によるアクチュエータを例示したが、必ずしもこれに限定するものではない。
次に、上記セカンダリシャフト61には、図1に示すセカンダリプーリ60が設けられている。このセカンダリプーリ60は、セカンダリシャフト61の外周に一体的に配設された固定シーブ62と、セカンダリシャフト61の軸線方向に摺動可能な可動シーブ63とを備えている。ここで、この可動シーブ63は、図7に示すスプライン64によってセカンダリシャフト61にスプライン嵌合されている。また、上記固定シーブ62及び可動シーブ63の対向面間には、V字形状の溝80bが形成されている。
更に、このセカンダリシャフト61には、可動シーブ63を固定シーブ62側に押し付けて、固定シーブ62と可動シーブ63との間の軸線方向のベルト挟圧力を発生させる押圧機構が設けられている。ここで、本実施例1の押圧機構としては、トルクカム65と油圧室66の2種類が用意されている。
先ず、本実施例1のトルクカム65は、例えば図7,図8−1及び図8−2に示す如く、可動シーブ63に環状に設けられた山谷状の第1係合部65aと、この第1係合部65aに対向する山谷状の第2係合部65bを有するトルクカム主体65cと、その第1及び第2の係合部65a,65bの間に配置された複数の球状部材65dとから構成される。
ここで、上記トルクカム主体65cは、セカンダリシャフト61に固定された図7に示す軸受61aと、セカンダリシャフト61との間に配置された軸受61bとにより、このセカンダリシャフト61や可動シーブ63に対してその回転軸を中心とした相対回転が可能になっている。
これにより、例えば可動シーブ63が固定シーブ62に接近したとしても(換言すれば、第1係合部65aが第2係合部65bから離隔したとしても)、トルクカム主体65cとセカンダリシャフト61と共に回転する可動シーブ63との間に相対回転が起こるので、トルクカム65を図8−1に示す状態から図8−2に示す状態に変化させることができ、第1係合部65aと第2係合部65bと球状部材65dとの間に面圧を発生させることができる。これが為、第2係合部65bと球状部材65dが第1係合部65aを押圧して、固定シーブ62と可動シーブ63との間にベルト挟圧力を発生させるので、ベルト80の滑りを防ぐことが可能になる。
また、トルクカム主体65cと可動シーブ63とが相対回転するので、このトルクカム主体65cが可動シーブ63に対する推力を発生させても、可動シーブ63と固定シーブ62は互いに捩れることがない。これが為、ベルト80の耐久性を向上させたり、変速比の幅を拡大させたりすることができる。また、それにより、プライマリプーリ50とセカンダリプーリ60との相対位置を初期設定値のまま維持することができるので、耐久性の向上にも寄与する。
ここで、上記面圧によるトルクカム65の推力に対する反力は軸受61aを介してセカンダリシャフト61で受けることができる。このように、その反力をプライマリプーリ50の場合と同様に静止系で受けず、軸受61aの転動は殆ど起こらないので、この軸受61aの損失を低減することができる。
また、トルクカム65の作動箇所(第1及び第2の係合部65a,65b、球状部材65d)を可動シーブ63の外径側に配置しているので、上記第1係合部65aと第2係合部65bと球状部材65dとの間の面圧を低減することができる。
続いて、本実施例1の油圧室66は、可動シーブ63における上記溝80bの反対側の空間部分と、セカンダリシャフト61に設けられた当該セカンダリシャフト61と同心円の円形部材67とから形成される。
ここで、この油圧室66は、可動シーブ63の内径側に配置しているので、その容積を小さくすることができ、これが為、急変速時等における油圧室66の流量の低減が図れる。
この油圧室66は、例えばセカンダリシャフト61に形成された図4に示す油路61cと連通しており、更にこの油路61cと連通する上記油路51dを介して挟圧力調圧バルブ58に連通している。
このように油圧室66,油路61c及び挟圧力調圧バルブ58により構成されたセカンダリプーリ60の押圧機構は、電子制御装置によって作動油の供給圧が調節された挟圧力調圧バルブ58からの油圧を油圧室66に供給することで、固定シーブ62と可動シーブ63との間にベルト挟圧力を発生させ、ベルト80の滑りを防ぐ。
また、変速比変更時(セカンダリプーリ60における可動シーブ63の駆動/非駆動時)等にトルクの乱れが生じてトルクカム65による推力を得られなくても、このトルクカム65とは別個独立に油圧で作動する油圧室66等からなる押圧機構で所望のベルト挟圧力を発生させることができる。これにより、より確実にベルト80の滑りを防ぐことができるので、信頼性の向上やドライバビリティの向上が可能となる。
ここで、本実施例1の油圧室66には、一端が可動シーブ63における上記空間部分の壁面に固定され、他端が円形部材67に固定された例えばコイルスプリング等の弾性部材68が設けられている。
尚、本実施例1にあっては、トルクカム65による推力が必要推力に対して低くなるようなカム角(例えば非線形カム)でトルクカム65を設定し、その不足分を油圧室66等からなる押圧機構又は/及び弾性部材68で補うように設定する。これにより、ベルト80を必要以上の力で挟まずともすむので、そのベルト80の耐久性を向上させることができ、更にベルト80における損失の低減が可能となり、動力伝達効率を向上させることができる。
また、内燃機関10の非駆動時のトルクに対応する推力を油圧室66等からなる押圧機構又は/及び弾性部材68で受け持つように設定してもよく、これにより、トルクカム65の作動により起こり得る可動シーブ63の移動(換言すれば変速)を抑制し、変速比を一定に保つことが可能になる。また、ベルト挟圧力も必要値に保つことが可能になる。
更に、このセカンダリプーリ60側の押圧機構は、必ずしも本実施例1の如く2種類に限定するものではなく、1種類又は3種類以上であってもよい。尚、固定シーブ62と可動シーブ63との間におけるベルト挟圧力の制御性を高める為には、少なくとも2種類以上の押圧機構が設けられることが好ましい。即ち、夫々の押圧機構にベルト挟圧力を分担させ、その内の少なくとも一つを油圧により作動する押圧機構(本実施例1の油圧室66)にすることで、ベルト挟圧力の制御性の向上させることができる。
このように、本実施例1にあっては、セカンダリプーリ60側においても油圧により可動シーブ63を軸線方向に摺動させるアクチュエータ,即ち、油圧室66や挟圧力調圧バルブ58等からなる第3アクチュエータが設けられている。尚、ここでは油圧によるアクチュエータを例示したが、必ずしもこれに限定するものではない。
次に、このセカンダリシャフト61における内燃機関10側には、カウンタドライブピニオン92が固定されており、このカウンタドライブピニオン92の両側にセカンダリシャフト61の軸受87,88が配置されている。
ここで、このカウンタドライブピニオン92と後述する最終減速機70との間には、セカンダリシャフト61と平行なインターミディエイトシャフト91を有する動力伝達経路90が設けられている。そのインターミディエイトシャフト91は、軸受85,86により回転可能に支持され、上記カウンタドライブピニオン92に噛み合わされたカウンタドリブンギヤ93とファイナルドライブピニオン94とを軸上に備えている。
尚、このセカンダリシャフト61におけるセカンダリプーリ60とトランスアクスルリヤカバー23との間には、パーキングギヤ65が配置されている。
ここで、このベルト式無段変速機1においては、上記プライマリプーリ50及びセカンダリプーリ60の夫々のV字形状の溝80a,80bにベルト80が巻き掛けられている。このベルト80は多数の金属製の駒と複数本のスチールリングで構成された無端ベルトであって、このベルト80を介して、プライマリプーリ50に伝達された内燃機関10のトルクがセカンダリプーリ60に伝達される。
次に、上記最終減速機70について説明する。この最終減速機70は、内部が中空のデフケース71と、ピニオンシャフト72と、ピニオン73,74と、サイドギヤ75,76とから構成されている。
先ず、上記デフケース71は、軸受77,78により回転可能に支持されており、その外周に上記ファイナルドライブピニオン94と噛み合わされたリングギヤ79が設けられている。
また、上記ピニオンシャフト72はデフケース71の中空部に取り付けられており、このピニオンシャフト72に上記ピニオン73,74が固定されている。
また、上記サイドギヤ75,76は、車輪100が取り付けられたドライブシャフト(ここではフロントドライブシャフト)101に夫々固定されている。
以上の如く構成されたトランスアクスルケース22の内部においては、その底部(オイルパン)に貯留された潤滑油が、回転するリングギヤ79によって掻き上げられて各ギヤ94,93,92の噛み合い面を伝達し飛散しながら、最終減速機70等の各構成部材(例えば各シャフト101,91,61や各軸受83〜88等)を潤滑すると共に、トランスアクスルケース22の内壁面に当たって落下することでプライマリシャフト51等の潤滑を行っている。
上述したベルト式無段変速機1をはじめとする各構成要素は、各種センサの情報に基づいて図示しない電子制御装置(ECU)Cにより制御される。この電子制御装置Cには、ベルト式無段変速機1の変速制御を行う為のデータ,例えばアクセル開度や車速等の情報に基づいた走行状態に応じてベルト式無段変速機1の変速比を制御する為のデータが予め記憶されている。以下、変速比を制御する際の上記可動シーブ摺動機構55及び押圧機構(トルクカム65、油圧室57,66)の動作について詳述する。
前述したが如く、プライマリプーリ50の可動シーブ53にはセカンダリプーリ60側のベルト挟圧力によるベルト張力によってベルト挟圧力の反力が働いており、このベルト挟圧力の反力は、可動シーブ53の軸線方向の位置が一定であれば(即ち、ベーン式油圧モータ550における第1油室550f,550fと第2油室550g,550gの油圧が略同等であり、更に油圧室57の油圧にも変化がなければ)、運動方向変換機構551における第1及び第2の運動方向変換機構構成部551a,551bの夫々のネジ部分に掛かる。
ここで、そのネジ部分における摩擦力が上記ベルト挟圧力の反力に抗することができなければ(即ち、ネジ部分の摩擦抵抗が小さければ)可動シーブ53は離隔方向へと僅かに摺動する可能性がある。また、その摩擦力が上記ベルト挟圧力の反力に抗することができれば(即ち、ネジ部分の摩擦抵抗が大きければ)可動シーブ53はその位置を保持する。
そこで、本実施例1の電子制御装置Cは、運動方向変換機構551におけるネジ部分の摩擦抵抗の大小に応じた変速比の制御を行う変速制御機能を有しており、その摩擦抵抗の大小に応じて変速制御パターンの切り替えを行う。
尚、その変速制御パターンの切り替えは、例えば、ベーン式油圧モータ550の駆動時の油圧と当該油圧に応じた可動シーブ53の移動量や移動時間とから求めた基準値を電子制御装置Cの記憶手段等に予め持たせておき、その基準値に対する大小に応じて運動方向変換機構551における摩擦抵抗の大小を電子制御装置Cが判断する。
先ず、運動方向変換機構551における摩擦抵抗が大きい場合の変速制御パターンについて説明する。
尚、以下の変速制御を行う前においては、変速比制御用切替バルブ56のバルブ位置が図5−2に示す如き状態にあり、ベーン式油圧モータ550の第1油室550f,550f及び第2油室550g,550g並びに油圧室57には挟圧力調圧バルブ58からの同一の油圧が掛かっているものとする。これが為、そのベーン式油圧モータ550は、プライマリシャフト51や可動シーブ53と共に一体となって回転する。
電子制御装置Cは、変速比を小さくして増速させる(アップシフトする)場合、例えば図2の上方の図に示す状態において、最初に挟圧力調圧バルブ58を制御して第1及び第2の油室550f,550g並びに油圧室57へ掛かる油圧を上昇させる。
ここで、第1及び第2の運動方向変換機構構成部551a,551bの夫々のネジ部分の間には軸線方向のガタを設けているが、上記の油圧上昇制御を行う前の状態では、そのガタがベルト挟圧力の反力により固定シーブ52から離隔する方向に詰まっている。そこで、電子制御装置Cは、可動シーブ53が軸線方向におけるガタの範囲内で摺動し得る油圧となるよう挟圧力調圧バルブ58を設定する。
このような油圧が油圧室57に掛かると、可動シーブ53がスプライン551cによって固定シーブ52側に摺動し、運動方向変換機構551のネジ部分に掛かるベルト挟圧力の反力の負担が軽減される。これが為、かかる状態においては、小さなエネルギ(具体的にはモータケース550cの小さな回転力)で運動方向変換機構551を作動させることができる。
即ち、運動方向変換機構551における摩擦抵抗が大きい場合で、可動シーブ53に掛かる油圧室57の油圧の反力方向とベーン式油圧モータ550による可動シーブ53の移動方向が相反するアップシフトを行う際には、先ず油圧室57の油圧を上昇させることによって、ベーン式油圧モータ550の駆動力を軽減することができる。
そこで、電子制御装置Cは、かかる状態で変速比制御用切替バルブ56の作動用流体の圧力制御を行って図5−1に示す如くバルブ位置の調整を行い、作動油の供給先をベーン式油圧モータ550の第1油室550f,550fのみに切り替える。
これにより、その第1油室550f,550fに作動油が供給されると共に第2油室550g,550gの作動油が排出されながらモータケース550cがプライマリシャフト51に対して相対回転し、運動方向変換機構551を介してプライマリプーリ50の可動シーブ53が例えば図2の下方の図に示す如く固定シーブ52に接近する。また、これに伴って、セカンダリプーリ60の可動シーブ63が固定シーブ62から離隔する。電子制御装置Cは、以上のようにして変速比を小さくする。
ここで、セカンダリプーリ60側においては、その可動シーブ63が固定シーブ62,セカンダリシャフト61及び軸受61aと共に回転するので、この可動シーブ63とトルクカム主体65cとの間に相対回転が起こり、トルクカム65が例えば図8−2に示す離隔状態から図8−1に示す接近状態へと変化する。これが為、固定シーブ52と可動シーブ53との間にベルト挟圧力が発生してベルト80の滑りを防ぐことができる。
また、プライマリプーリ50側においては、可動シーブ53の摺動量に応じた作動油が油路51dを介して油圧室57に供給されるので、この油圧室57の油圧がベーン式油圧モータ550による可動シーブ53の摺動力を補助することになる。これが為、ベーン式油圧モータ550を出力の低いものにしても可動シーブ53を十分に摺動させることができるので、出力を低下させた小型のベーン式油圧モータ550の使用が可能になる。
また、セカンダリプーリ60側においては、油圧室66の作動油が油路61cを介して排出される。ここで、その油路61cは図4に示す如く油路51dと連通しているので、セカンダリプーリ60の油圧室66から排出された作動油は、プライマリプーリ50の油圧室57に供給される。更に、その油圧室66から排出された作動油は、変速比制御用切替バルブ56を介して第1油室550f,550fにも供給される。このように、排出された作動油を循環させて他の油室に送ることができるので、作動油の消費量の低減が図れ、オイルポンプOPの小容量化が可能になる。
以上の如くして変速比の変更を終えると、電子制御装置Cは、変速比制御用切替バルブ56のバルブ位置を図5−2に示す如く調整し、第1油室550f,550f及び第2油室550g,550gに挟圧力調圧バルブ58からの同一の油圧を掛ける。これにより、ベーン式油圧モータ550のプライマリシャフト51に対する相対回転が停止し、このベーン式油圧モータ550は、プライマリシャフト51や可動シーブ53と共に一体となって回転する。これが為、ベーン式油圧モータ550とプライマリシャフト51や可動シーブ53との間の回転差が無くなるので、その間における無用な相対回転や摩擦等による損失を低減することができる。
また、挟圧力調圧バルブ58からの油圧はプライマリプーリ50の油圧室57及びセカンダリプーリ60の油圧室66にも掛けられており、これが為、プライマリプーリ50における固定シーブ52と可動シーブ53との間及びセカンダリプーリ60における固定シーブ62と可動シーブ63との間にベルト挟圧力が発生し、ベルト80の滑りを防ぐことができる。
次に、電子制御装置Cは、変速比を大きくして減速させる(ダウンシフトする)場合についても同様に、最初に挟圧力調圧バルブ58を制御して第1及び第2の油室550f,550g並びに油圧室57へ掛かる油圧を上昇させ、運動方向変換機構551を小さなエネルギで作動できる状態にする。
電子制御装置Cは、かかる状態で変速比制御用切替バルブ56の作動用流体の圧力制御を行って図5−3に示す如くバルブ位置の調整を行い、作動油の供給先をベーン式油圧モータ550の第2油室550g,550gのみに切り替える。
これにより、その第2油室550g,550gに作動油が供給されると共に第1油室550f,550fの作動油が排出されながらモータケース550cがプライマリシャフト51に対して相対回転し、運動方向変換機構551を介してプライマリプーリ50の可動シーブ53が固定シーブ52から離隔すると共に、セカンダリプーリ60の可動シーブ63が固定シーブ62に接近する。電子制御装置Cは、以上のようにして変速比を大きくする。
以上示した変速制御パターンは、運動方向変換機構551における摩擦抵抗が大きい場合に特に有用であるが、その摩擦抵抗が小さくとも運動方向変換機構551を小さなエネルギで作動させることができ、ベーン式油圧モータ550の駆動力を軽減して駆動損失を低減することができるので、摩擦抵抗が小さい場合にも適用してもよい。
ここで、セカンダリプーリ60側においては、その可動シーブ63が固定シーブ62,セカンダリシャフト61及び軸受61aと共に回転するので、この可動シーブ63とトルクカム主体65cとの間に相対回転が起こり、トルクカム65が例えば図8−1に示す接近状態から図8−2に示す離隔状態へと変化する。これが為、固定シーブ52と可動シーブ53との間にベルト挟圧力が発生してベルト80の滑りを防ぐことができる。
また、プライマリプーリ50の油圧室57の作動油は油路51dを介して排出され、その排出された作動油は、油路61cを介してセカンダリプーリ60の油圧室66に供給されると共に、プライマリプーリ50の第2油室550g,550gにも供給される。これにより、特に急減速ダウンシフト時において油圧室57の作動油が第2油室550g,550gに供給されることにより、ベーン式油圧モータ550を即座に回転させることができるので、前述したオイルポンプOPの小容量化だけでなく、変速比の変更のレスポンス向上にも有用である。
尚、この変速比の変更後の動作は、前述した変速比を大きくする場合と同様である。
次に、運動方向変換機構551における摩擦抵抗が小さい場合の変速制御パターンについて説明する。
尚、この場合の変速制御パターンについても、以下の変速制御を行う前においては、変速比制御用切替バルブ56のバルブ位置が図5−2に示す如き状態にあり、ベーン式油圧モータ550の第1油室550f,550f及び第2油室550g,550g並びに油圧室57には挟圧力調圧バルブ58からの同一の油圧が掛かっているものとする。
ここで、変速比を小さくして増速させる(アップシフトする)場合については、上述した運動方向変換機構551における摩擦抵抗が大きい場合と同様に、電子制御装置Cが最初に油圧室57へ掛かる油圧を上昇させてからベーン式油圧モータ550及び運動方向変換機構551からなる第2アクチュエータを作動させてもよく、最初から第2アクチュエータによる変速制御を行ってもよい。
続いて、変速比を大きくして減速させる(ダウンシフトする)場合について説明する。かかる場合、例えば図2の下方の図に示す状態のプライマリプーリ50の可動シーブ53には、これを摺動させようとする方向(固定シーブ52からの離隔方向)とは逆方向の力が油圧室57によって掛けられている。これが為、第2アクチュエータが可動シーブ53を摺動させるには、その油圧室57による押圧力に抗する力もベーン式油圧モータ550の駆動力として要するので、このベーン式油圧モータ550に過度の負担をかけてしまう。
そこで、運動方向変換機構551における摩擦抵抗が小さい場合に変速比を大きくするときは、電子制御装置Cは、最初に挟圧力調圧バルブ58を制御して第1及び第2の油室550f,550g並びに油圧室57へ掛かる油圧を低下させる。
このように油圧室57の油圧を低下させると、可動シーブ53には油圧室57の油圧による押圧力よりもベルト挟圧力の反力の方が強く掛かるようになり、運動方向変換機構551のネジ部分にはベルト挟圧力の反力が大きく作用することになる。これにより、そのネジ部分においては可動シーブ53を固定シーブ52から離間させる方向のネジ戻りトルクが増加する。これが為、かかる状態においては、小さなエネルギ(具体的にはモータケース550cの小さな回転力)で運動方向変換機構551を作動させることができる。
即ち、運動方向変換機構551における摩擦抵抗が小さい場合で、可動シーブ53に掛かる油圧室57の油圧の反力方向とベーン式油圧モータ550による可動シーブ53の移動方向が一致するダウンシフトを行う際には、先ず油圧室57の油圧を低下させることによって、ベーン式油圧モータ550の駆動力を軽減することができる。
ここで、運動方向変換機構551のネジ部分の摩擦抵抗が小さい為、ベルト挟圧力の反力と油圧室57の油圧による押圧力との差分如何で、ネジ戻りトルクにより運動方向変換機構551が動作して可動シーブ53を固定シーブ52から離間させることが可能になる。そこで、電子制御装置Cは、その離間方向への力を動的に与えずとも、可動シーブ53が離間方向へ摺動し得る油圧となるよう挟圧力調圧バルブ58を設定することが好ましい。尚、必ずしも可動シーブ53が自発的に摺動し得るような油圧まで低下させずともよい。
電子制御装置Cは、かかる状態で変速比制御用切替バルブ56の作動用流体の圧力制御を行って図5−3に示す如くバルブ位置の調整を行い、作動油の供給先をベーン式油圧モータ550の第2油室550g,550gのみに切り替える。
これにより、その第2油室550g,550gに作動油が供給されると共に第1油室550f,550fの作動油が排出されながらモータケース550cがプライマリシャフト51に対して相対回転し、運動方向変換機構551を介してプライマリプーリ50の可動シーブ53が図2の上方の図に示す如く固定シーブ52から離隔すると共に、セカンダリプーリ60の可動シーブ63が固定シーブ62に接近する。電子制御装置Cは、以上のようにして変速比を大きくする。
このように、運動方向変換機構551における摩擦抵抗が小さい場合に変速比を大きくするときは、最初に油圧室57の油圧を低下させることによってベーン式油圧モータ550の駆動力を軽減することができ、その駆動損失を低減することができる。
ここで、他の動作は前述した運動方向変換機構551における摩擦抵抗が大きい場合に変速比を大きくするときと同様であり、同様の作用効果となる。
尚、第1及び第2のアクチュエータをセカンダリプーリ60側に設けた場合においては、運動方向変換機構551における摩擦抵抗が小さく且つ変速比が小さいアップシフトのときに、第2アクチュエータの油圧室57の油圧を低下させてから第1アクチュエータのベーン式油圧モータ550による変速制御を行うことによって同様の効果を奏することができる。
以上示した本実施例1にあっては上述した二種類の変速制御パターンを運動方向変換機構551における摩擦力の大小に応じて切り替えるものとして例示したが、その何れか一方を予め設計値や実験値等に基づいて変速機や車輌固有のものとして適用してもよい。
以上示した如く、本実施例1のベルト式無段変速機1によれば、この変速機の小型化が図れ、更に各種構成部品の駆動損失を低減することができる。
ここで、上述したセカンダリプーリ60には、図9及び図10に示す緩衝機構69を設けてもよい。
この緩衝機構69は、円形部材67に配置されたドーナッツ状のアウターケース691と、トルクカム主体65cに立設された板状部材692とから構成される。そのアウターケース691は、内部に粘性流体(例えば作動油)が充填された二つの中空部691aを有しており、円形部材67と一体になって回転する。また、その板状部材692は、面上に貫通孔(オリフィス)692aが形成されており、トルクカム主体65cと一体になって回転する。
ここで、上記各中空部691aには板状部材692が夫々配置されており、アウターケース691と板状部材692とが相対回転することによって、その板状部材692は、中空部691a内を移動する。この板状部材692の端部と中空部691aの内壁面との間には隙間が設けられている。
これにより、変速比の変更時にトルクカム65が作動することで、板状部材692が中空部691a内を移動する。その際、オリフィス692a及び上記隙間を粘性流体が流れることによって抵抗が生じ、トルクカム主体65cと可動シーブ63との間の相対移動を緩やかに行わせることができる。これが為、変速比変更時(トルクカム65の駆動/非駆動切替時)においてトルクカム65のガタが詰まる際のショック低減を図れる。
尚、上記抵抗の大きさは、板状部材692の端部と中空部691aの内壁面との間の隙間、オリフィス692aの径により調整する。
また、この緩衝機構69は、図10に示す中空部691aの中間部分を、その両端部分よりも幅広のものにして、変速比に応じて緩衝の程度(緩衝力)が変化可能なものにしてもよい。即ち、上述した板状部材692の端部と中空部691aの内壁面との隙間が、板状部材692が中空部691aの中間部分に位置する場合には大きく、板状部材692が中空部691aの両端部分に近づくにつれて小さくなるように、円周方向で幅を変化させた中空部691aを形成する。
これにより、板状部材692の移動速度が、板状部材692が中空部691aの中間部分に位置する場合に速く、板状部材692が中空部691aの両端部分に近づくにつれて遅くなるので、変速比に応じて緩衝の程度(緩衝力)を変化させ、トルクカム65のガタが詰まる際のショックを低減することができる。例えば、ダウンシフトのときに緩衝力が大きくなるように隙間を設定することによって、ドライバビリティの向上が図れる。
ここで、可動シーブ63はスプライン64を介してセカンダリシャフト61に取り付けられているので、この可動シーブ63と固定シーブ62は、その回転方向、回転速度が同じである。そこで、上記緩衝機構69は、本実施例2の如く可動シーブ63とトルクカム65との間に限らず、固定シーブ62側に設けてもよい。かかる場合の緩衝機構69は、例えば、トルクカム主体65cと同一の回転を行う回転部材(図示略)を固定シーブ62における溝80bと反対側に設け、その回転部材に上記板状部材692を取り付けると共に、固定シーブ62に上記アウターケース691を取り付けて構成すればよい。尚、その回転部材は、トルクカム65と別個独立のものであってもよく、例えばトルクカム主体65cから延設されたものであってもよい。
次に、本発明に係るベルト式無段変速機の実施例2を図11に基づいて説明する。
本実施例2のベルト式無段変速機1は、前述した実施例1のベルト式無段変速機1における可動シーブ摺動機構55のベーン式油圧モータ550を図11に示す電動モータ552に変更した点が異なり、他は実施例1のベルト式無段変速機1と同一である。
この電動モータ552は、可動シーブ53における延設部53aの内周面に且つプライマリシャフト51と同心円上に配置されたものであり、インバータ553を介してバッテリ554に繋がれた3相交流ブラシ552aへ給電することにより、軸受552bを介した実施例1と同様のモータケース552cをプライマリシャフト51に対して相対回転させるものである。ここで、この電動モータ552は、電子制御装置Cが3相交流ブラシ552aへの給電を制御することで正転又は逆転の切り替えを行う。
また、そのモータケース552cにおける円筒部552c1と可動シーブ53における延設部53aの内周面との間には、実施例1と同様の運動方向変換機構551が設けられており、これが為、この電動モータ552を駆動させることによって、可動シーブ53をプライマリシャフト51の軸線方向に摺動させることができる。
ここで、本実施例2にあっても、電子制御装置Cは、運動方向変換機構551の摩擦抵抗の大小による夫々の変速制御パターンで、実施例1と同様にして第1アクチュエータの油圧室57と第2アクチュエータの電動モータ552を制御する。その制御動作については、実施例1の制御対象たるベーン式油圧モータ550を電動モータ552に変更しているのみであるので、ここでの説明を省略する。
このように、本実施例2の如き構造及び配置の電動モータ552を用いることによっても、実施例1と同様にベルト式無段変速機1の小型化や駆動損失の低減を図ることができる。
以上示した各実施例1,2においては、プライマリプーリ50側の可動シーブ53にモータ(ベーン式油圧モータ550又は電動モータ552)が運動方向変換機構551を介して一体的に設けられたものを例示したが、必ずしもこれに限定するものではない。例えば、そのモータは、セカンダリプーリ60側の可動シーブ63に運動方向変換機構551を介して一体的に設けてもよく、また、プライマリプーリ50とセカンダリプーリ60の双方の可動シーブ53,63に夫々一体的に設けてもよい。
また、運動方向変換機構551として所謂運動ネジを例示したが、この運動方向変換機構は、例えば歯車群等によりモータの駆動力を軸線方向の力へと変換するものであってもよい。
以上のように、本発明に係るベルト式無段変速機は、可動シーブの摺動機構及び押圧機構として機能する複数のアクチュエータを備えたものに有用であり、特に、夫々のアクチュエータを独立制御することによって変速制御性の向上や駆動損失の低減を図る技術に適している。
本発明に係るベルト式無段変速機を備えた動力伝達装置の全体構成を示すスケルトン図である。 本発明に係るベルト式無段変速機におけるプライマリプーリ側の実施例1の構成を示す図であって、プライマリシャフトの上方の図は可動シーブが固定シーブから離隔した状態を示す図で、その下方の図は油圧モータにより可動シーブを固定シーブに接近させた状態を示す図である。 図2に示すX−X線から見た油圧モータの断面図である。 実施例1のベルト式無段変速機における油圧回路構成を説明する説明図である。 実施例1の変速比制御用切替バルブの動作を説明する説明図であって、第1油室に油圧を供給する場合のバルブ位置を示す図である。 実施例1の変速比制御用切替バルブの動作を説明する説明図であって、第1及び第2の油室に油圧を供給する場合のバルブ位置を示す図である。 実施例1の変速比制御用切替バルブの動作を説明する説明図であって、第2油室に油圧を供給する場合のバルブ位置を示す図である。 実施例1のベルト式無段変速機におけるプライマリプーリ側の構成を示す図であって、プライマリシャフトの上方の図は可動シーブが固定シーブから離隔した状態を示す図で、その下方の図は油圧室の油圧により可動シーブを固定シーブに接近させた状態を示す図である。 実施例1のベルト式無段変速機におけるセカンダリプーリ側の構成を説明する説明図である。 実施例1のトルクカムを説明する説明図であって、セカンダリプーリの固定シーブと可動シーブとが離隔した状態にある場合を例示した図である。 実施例1のトルクカムを説明する説明図であって、セカンダリプーリの固定シーブと可動シーブとが接近した状態にある場合を例示した図である。 実施例1におけるセカンダリプーリの他の例であって、緩衝機構について説明する説明図である。 図9に示すY−Y線から見た緩衝機構の断面図である。 本発明に係るベルト式無段変速機におけるプライマリプーリ側の実施例2の構成を示す図である。
符号の説明
1 ベルト式無段変速機
50 プライマリプーリ
51 プライマリシャフト
52 固定シーブ
53 可動シーブ
55 可動シーブ摺動機構
56 変速比制御用切替バルブ
57 油圧室
58 挟圧力調圧バルブ
59 レギュレータバルブ
60 セカンダリプーリ
61 セカンダリシャフト
61a,61b 軸受
62 固定シーブ
63 可動シーブ
64 スプライン
65 トルクカム
65a 第1係合部
65b 第2係合部
65c トルクカム主体
65d 球状部材
66 油圧室
67 円形部材
68 弾性部材
69 緩衝機構
80 ベルト
80a,80b V字形状の溝
550 油圧モータ
550c モータケース
550f 第1油室
550g 第2油室
551 運動方向変換機構
551a 第1運動方向変換機構構成部
551b 第2運動方向変換機構構成部
551c スプライン
552 電動モータ
552c モータケース
553 インバータ
554 バッテリ
C 電子制御装置

Claims (5)

  1. 所定の間隔を設けて平行に配置した2本のプーリ軸と、該各プーリ軸に各々配置し且つ当該プーリ軸上を軸線方向に摺動し得る可動シーブと、該各可動シーブに各々対向させて前記プーリ軸上に配置し且つ当該可動シーブとの間で溝を形成する固定シーブと、前記対向配置した夫々の可動シーブ及び固定シーブにおける各溝に巻き掛けたベルトとを備えたベルト式無段変速機において、
    前記可動シーブの軸線方向位置を定め得る独立制御可能な複数のアクチュエータを設けたことを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記複数のアクチュエータとして、前記可動シーブを前記固定シーブに向けて油圧で押圧する油圧室を備えた第1アクチュエータと、モータ及び当該モータの駆動力を前記軸線方向の力へと変換して当該軸線方向に前記可動シーブを摺動させる運動方向変換機構を備えた第2アクチュエータとを設けたことを特徴とした請求項1記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記運動方向変換機構を前記モータと前記可動シーブとの間に設け、該運動方向変換機構と可動シーブとの間に、該運動方向変換機構と可動シーブとが一体回転可能で且つ前記軸線方向の所定範囲で相対移動可能な一体回転/相対移動機構を設けたことを特徴とする請求項2記載のベルト式無段変速機。
  4. 前記各アクチュエータの動作を制御する制御部を設け、該制御部に、前記第1アクチュエータの油圧室の油圧を上昇させた後、前記第2アクチュエータのモータを駆動させて前記可動シーブの軸線方向位置の調整を行う変速制御機能を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のベルト式無段変速機。
  5. 前記制御部に、前記第1アクチュエータの油圧室の油圧を低下させた後、前記第2アクチュエータのモータを駆動させて前記可動シーブを前記固定シーブから離隔させる変速制御機能を設けたことを特徴とする請求項2,3又は4に記載のベルト式無段変速機。
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